僕の愛したアリスを返して~ソラの幼馴染救済譚~ 作:アロンの杖
「初めまして、よろしくね?ソラ・・・」
「・・・う、うん。よろしくね?アリス」
“ミスティオール一家”が“
「ねえねえソラ。あなたは何か得意なモノ、ある?」
「・・・う、うん。木苺を潰すこと、かな?」
自分の可愛さを鼻にも掛けずにグイグイと来るアリスに対して
「凄ーい、ソラは野生の木苺を食べた事があるのね!!?」
そんな自分の態度に、アリスはしかし素直に喜んでくれた、ただでさえ閉塞的な社会であった町外れの一軒家にお客様が来る事自体が珍しかったが、中でも彼女の存在は宇宙にとってはまさしく奇跡でその反応が一々眩しくて輝いていたのだ。
「・・・ア、アリスは。アリスは、何が得意なの?」
「私?う~んとねぇ・・・っ。あっ、“縄跳び”が得意なのっ。あと“体操”もねっ!!?」
少年の質問に、アリスは咄嗟にそう答えた、本当は彼女はこの時点で宇宙と同じく将来を見据えて両親から“対悪魔撃退用”の戦いの訓練を受けており、その影響で“縄跳び”や“体操”が得意なだけだったのだが。
「運動神経が良いんだね、アリス。羨ましいよ、僕は駆けっこの方が好きかなぁ・・・」
「へえぇ?あんた駆けっこも出来るんだ。ねぇ、ソラ。雨が上がったら競争しようよ、良いでしょ?ねえねえっ!!!」
それに対して宇宙もまた、少し踏み込んだ発言をしたところ、今度はその言葉に興味を持ったアリスが勝負を提案して来た、彼女は負けず嫌いな上に好奇心が旺盛で、そんな性分だったから早速この異国の少年に対する興味を爆発させたのである。
「うん、良いよ?家の周りの道があるんだけど大体1週400メートル位だから・・・。じゃあ軽く5週位でどう?」
この頃になると少年も大分自然体で話せるようになって来ていたのだが、すると早速“ボロ”が出るモノの言ってしまってから宇宙は“しまった”と思った、彼はいつも両親からの鍛錬を受ける前の“ウォーミングアップ”として軽いマラソンをしていたのだが、如何に体操が得意とは言えども普通の女の子がそんなに走れる訳が無い。
ところが。
「うん、良いよ?2キロ位ならいつもパパ達と走っているから・・・!!!」
「・・・えっ、えっ?」
「あっ、ううん?な、なんでも無いよ。そっか、ソラは2キロも走れちゃうんだ。凄いなぁ~・・・!!!」
「あ、あははっ。ね、ねえソラ。3週位にしない?あんまり走りすぎると疲れちゃうし・・・」
「う、うん。そうだねっ、じゃあ3週で!!!」
そんな会話をしつつも終始和やかなムードでやり取りする事が出来た2人はその日は長旅の疲れやもてなしの消耗の影響だろう、グッスリと眠る事が出来たモノの、この時に。
アリスはある夢を見ていた、それは大人になった自分が“ガリア帝国”の帝都“ルテティア”の舗装された石畳の道を、誰かと一緒に歩いている夢だったのだ。
夢の中ではアリスは、その人の事を良く知っていた、それこそ“生まれる前”から今に至るまでの事を頭の中で知覚していたのである。
「どうしたの?アリス・・・」
「・・・ううん、なんでも無いよ」
他愛もない会話をこなす2人であったが彼女に優しく声を掛けて来てくれたその人の事をアリスは“夫”だと認識しており思わずドキドキと鼓動が強く脈を打つが、それと同時に。
彼女は瞬間的に察してしまったのである、その男性が大人になったソラである事を。
そして2人がまたこうしてこの世界で出会い、愛を育めたのだ、と言う事を刹那の合間に直感していた。
「・・・・・っっっ!!!!!」
(ああ、幸せ・・・っっっ❤❤❤❤❤)
夢の中でアリスはつとにそう思うが大きくなったソラの事を、アリスは堪らなく愛しており彼に意識を向けられているだけで胸が高鳴ってしまい、どうしようもない程にまで途方にくれてしまった。
(そっか。私達、結婚するんだ・・・)
“大人になった自分”の中に“子供のままの自分”がいて、だけど二つの意識は全く矛盾もなく溶け合わさって存在していた、それはとても心地好く、かつ堪らない程にまで甘美な夢であったのだが。
「・・・リス、アリス。起きなさい!!!もう朝ですよ?」
「・・・・・っ。う、う~ん!!!」
そんな極楽の世界に
「早く支度しなさい?せっかくソラ達がご飯に呼んでくれているのだから・・・」
「・・・・・っ!!?」
(ソラ・・・ッ❤❤❤)
その言葉を受けて下着姿のまま布団からモソモソと起き出したアリスはそのまま素早く洗面台で歯を磨いて顔を洗い、クシとドライヤーで長いプラチナブロンドを整える、そしてー。
迎えに来ていた宇宙と合流するといそいそと母屋へと向けて彼と2人で歩いていったが、その途中。
「・・・・・っっっ❤❤❤❤❤」
「・・・な、なにさ。アリス、なんか顔に付いていたりする?」
「~~~~~っっっ////////////な、何でも無いったら。なんでも無いっ!!!」
なんだか熱っぽい表情と潤んだ瞳を向けられた宇宙がキョトンとしてそう尋ねると、つい今さっきまで夢の世界で彼と共に過ごしていたアリスは慌てて誤魔化し、先を急いだ。