BLEACH世界転生者のサルベージ 作:レインボー
時間移動して最初に訪れたのは現世のある町だった。
何処にでもあるような普通の町並み。強いて違うところを挙げるとするのなら町全体を囲うように霧のようなものが出ていた。
霧の先に行く事は出来ず、無理に先に行こうとしても戻って来てしまう。
これが僕がこの世界に落ちた影響というやつらしい。
過去と未来、その全てがパズルのようにバラバラになってしまった。
僕はあのハゲの命令で元居た世界とこれから訪れる世界を繋ぎ合わせなくちゃいけないのである。
幸いな事に、本物のパズルのように決められたピース同士で組み合わせる必要は無いのが唯一の救いか。
「さて、来て早々だけど
虚がこの町の人を襲い掛かってる光景を真上から見下ろしながら頭を痛める。
逃げている人の様子から察するに、一般人でも虚が見えてしまっているらしい。
まるで話に聞く原初の世界のようだ。
どうして見えているのかは分からないが、今この町にある霊圧で戦えるのは僕ともう一人くらいしか居ない。
そしてそのもう一人は光る弓を持って虚と戦っていた。
「逃げて下さい! ここは私が食い止めますから!」
その少女は学生服を身に纏いながら虚に対し勇敢に立ち向かう。
彼女の名前は黒崎真咲。
黒崎一護の母親だ。ただし今ここに居る彼女はまだ石田家に居候をしていた頃の、一心に出会う前の頃だった。
このまま彼女に任せてればすぐに片がつく。
が、何もしないのはちょっとあれなので武器を構えて虚を背後から斬り捨てる。
「っ、貴方は――――」
「この状況について色々と気になるだろうけど後にして。今は町の人々を守るのを優先しよう」
2本の剣を振るいながら虚に向かって歩みを進める。
「死神に対し思うところがあるだろうけど、僕は味方だ。だから信じてほしい、滅却師のお嬢さん」
出来る限り優しく声を掛けると真咲は一瞬呆気に取られたような顔をするも、すぐに笑顔になる。
「――――はいっ!」
力強く弓を構える彼女の姿に怯えは無かった。
※
「――――と、いう事なんだよ。今の町がこんな事になってるのは」
ある程度は暈しながらも世界全体がピンチで、自分はそれの解決に動いている。
それだけを真咲に説明して改めて現状のヤバさを理解する。
一般人にも虚が見えてるのもそうだけど町の出入りも出来ない。と、なると限られた食料の奪い合いが発生して殺し殺されの争いが始まるのは時間の問題だ。
そうならないようにする為に自分が居るのだけれど。
「事態解決の為に一度この町を時間凍結する必要があるんだ。出来ればきみには手伝ってもらいたいんだよ。えーっと…………」
「真咲、黒崎真咲です」
「僕は白井時光。それで、返答の方はどうかな?」
「私も手伝う。今ここに居る人達を助けるのに、それしかないのなら」
「ありがとう。と、一つ質問があるんだけど、きみ以外に戦える人は居ないのかな? 人手があると心強いんだけど」
「ううん。この町には私だけ。竜ちゃん――――私がお世話になってる石田家はこの町に住んでなかったから」
「そっか…………それなら僕と真咲だけでやるか」
石田家が居なかったのは残念ではある。
ユーハバッハ絶対殺すマンに協力してもらえたら心強かったのも本当だ。
ただ居ないのなら居ないで真咲を手中に収める事も出来る。
「今からやり方を教えるんだけど、そのやり方っていうのがね。僕の斬魄刀、刻時彗からじゃないと出来ないんだよ」
短い方の剣を持って再現させる。
再現するのは月島秀九郎のブック・オブ・ジ・エンド。
僕の斬魄刀の能力の一つ、時間の再現。
それは再現した対象の能力を少しだけ使えるというものだ。
まあオリジナルと違って時間制限はあるし、本人ほど上手く使えないけど。
「刻時彗の短い方は情報を相手に伝える力を持ってる。普通に斬ることも出来るけど情報を伝える方は相手を傷付ける事が無いんだ。まあ情報を一気に受け取るからちょっとだけ混乱するけど………大丈夫かい?」
「さ、流石に斬られるのはちょっと怖いかなって」
「大丈夫。僕もそう思う。だから、軽く指で先端に触れるさ程度で良いよ。それで情報は伝わるから」
「わ、分かりました」
真咲は恐る恐る短い方の刻時彗の刃に触れ、同時に過去を挟み込む。
「うっ、うぅ…………」
「だ、大丈夫?」
「ちょっと、辛いかも…………」
「なら少し休んだ方が良いよ。万全な状態でやらなきゃ危ないからね」
「は、はは…………すみません」
そう言って真咲は横になる。
同時に真咲に対し更に過去を挟み込む。
最初はこの状況を何とかする為の時間凍結、その為の結界のやり方だった。
だが今度は最初からだ。
彼女との出会い、そこに至るまでの関係性もだ。
幼少期に出会って親しい関係になり、石田家に引き取られてからも親交が続く。
石田家で辛い時があったら慰めたりもした。
ブック・オブ・ジ・エンドはあくまで栞だから、過去を破棄出来ず自分の存在を挟み込むだけなのが難点だなぁ。石田家に引き取られたんじゃなく、僕の下で育った過去に出来れば良かったんだけど、そうは上手くいかないらしい。
まあそれでも過去を変えられるだけでもすごい力だけど。
と、いうか味方にするならこれが一番手っ取り早い。僕一人で出来る事なんかたかが知れているんだから。
「…………折角だし、いけるところまでやってみるか」
真咲とお風呂を一緒に入ってる事にしよう。
それで胸を大きくする為の豊胸マッサージもして、ついでに性感マッサージも行っている事にして関係性もそれをしても許せるだけ深めればまあ大丈夫だろう。
「よし、準備は出来た。真咲、起きて」
ブック・オブ・ジ・エンドによって過去を書き換えた真咲の頬を軽く叩いて起こす。
「ん、ぅう…………準備は出来たの?
「うん」
改変した過去の中で真咲は僕の事をお兄ちゃんと呼び慕っていた。
胸を揉んでも笑って許してくれる、そんな妹分が今の真咲だ。
「すぐに時間凍結するから準備をお願い」
「うん。お兄ちゃんも頑張ってね」
そう言って真咲は飛廉脚で、僕は瞬歩で移動を開始して町の外周を霊子で覆っていく。
そして霊子が町全体を覆った事で僕の斬魄刀の能力が発動し、町全体の時間が凍結した。