※この作品はR-18です。

【完結】掟の底食い【R-18】   作:hige2902

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第十三話 Cash Out R-18版

 眩しい午後の陽光が降り注ぐ港町ナノハナ。活気あふれる波止場に停泊する一隻の大型帆船が停泊している。その甲板で、ビビは誇らしげな笑みで一行を先導していた。

 

「さあ見て! アラバスタが誇る船大工たちが総出で改装してくれたのよ!」

 

 バロックワークスの露悪的な海賊のモチーフが撤去され、かわりに白とオレンジを基調とした爽やかなカラーに仕上がっている。

 野心家のクロコダイルが海戦において軍事的優位に立つための試作船か、グランドラインでは珍しい三角型の縦帆が採用されていた。

 一般的な横帆と比べて追い風時に劣るが、帆の取り扱いが容易で横風や斜め前からの風にも対応でき、なんといっても風上に向かって進むことが出来る。

 

 一見すると革新的だがしかし、グランドラインで横帆が主流なのは相応の理由がある。縦帆は風を受ける方向が多い事が利点であるのに、あらゆる気象が流転するこの海で使いこなすのは至難の業なのだ。わざわざ扱いにくい縦帆を操るより、横帆にパドルでも付けた方がいい。こうして正式採用されず、死蔵されていたそうだ。

 

 だがこの世界にただ一人、肌で天候を読む天資と真に優れた航海術を持つ者がいる。

 ナミならば、縦帆はまさに彼女の為にある技術だった。

 

「腕が鳴るわ! 理屈の上では向かい風なら同性能の横帆に追いつかれることは決して無いし、グランドラインでも最速の船かも。あ、お願いしたミカン畑もあるわね」

 

 甲板の一番日当たりが良い場所には豊かな土壌を敷き詰めたこじんまりとした畑があり、ココヤシ村から持ってきたオレンジが移植されている。

 操舵室の上部は、夜空の星を観測して現在地を正確に割り出すため、半球状のガラス張りドームになっている。デッキチェアもあり星空を楽しむのにも最適だが、「使用料 30分100ベリー」と書かれた小さな料金箱が設置されていた。

 

 台所や倉庫をまわり、やがて一行が案内されたのは船の居住エリアだった。立派な両開きの扉を開けたビビが、中を見渡してふと不思議そうに首を傾げる。

 

「……あれ?」

 

 そこは高級ホテルのスイートルームを思わせるテラス付きの豪奢な造りの部屋だったが、奇妙なことに部屋の中央にはふかふかの異様に巨大なベッドが ドンッ! と鎮座していたのだ。

 なぜかガラス張りのシャワールームもある。ここと直結している大浴場が別にあるのに……。テーブルやソファーなども置いてあるが、どうも不自然だ。

 個々のプライベートルームも設えてあるはずだが、これほど大きな寝室がある理由とはいったい……

 

 小首を傾げる。

 

「どうしてかしら、こんなに大きなベッド……これって誰の部屋なの?」

 

 問われたナミは視線を泳がせ、気まずそうに冷や汗を流す。そんな彼女の肩越しに、ステューシーが「ふふっ」と悪戯っぽい笑みを漏らした。

 大胆に求婚をした割に、その後奥手なビビはモアとの仲を進展させている様子は無い。

 それにしてもなぜナミがビビとモアの婚約に焦りを覚えていないのか、少し探ってやろうと悪戯心が芽生える。

 カーネーションピンクのリップで彩られた唇を、ビビの耳元で甘く掠めさせた。

 

「ここはね、モアくんとセックスする為のお部屋なの」

「セッ……!!」

 

 ビビの顔はヒッコシクラブのように真っ赤になった。反射的にぎゅっとスカートを握りしめる。

 

「どうかしら、ビビちゃん。せっかくだし処女航海の前に一発……」

 少し下品ね、と思い直して言い換える。

「一度経験してみない?」

 

「も、もモアさんと!?」

「他に誰がいるの? 結婚するんだから当然でしょ。いずれはスる事になるんだから、早い方がいいんじゃない?」

 

 緊張を解きほぐすように、ステューシーの細い指がビビの乳房を柔らかくさする。

 

「ひゃあっ、す、ステューシーさん!?」

 

 滑らかなシャツの上からでもたっぷりと瑞々しい果実を確かに感じ取れた。

 

「あのねえステューシー……あんたいい加減に」

「おれはシたいけど」

「あんたはそうでしょうけど……前も説明したけど、結婚したら一緒にいるのが普通になるのよ」

「それって良い事なんじゃないのか? だから考えたんだけど、ナミとも」

 

「まあまあ。安心して、わたしたちはしばらく外に出てるから」

 ステューシーはナミの背を無理やり押し出す。

「ほら、行きましょ。あとは若い二人にまかせて」 

 

「ま、待って!!」

 

 ほらー、さすがに怒られるわよ。とナミはステューシーに咎めるような視線を送る。

 

「えっと、その。できれば二人にもいてほしいというか」

 指をいじいじさせながら言った。

「わたし、経験無いし、そういうエッチな事って知識はあるけど……」

 

「大丈夫よ、モアくんがすぐに気持ちよくしてくれるから」

「あんまり……その、あそこで、気持ちよくなるっていうのが、信じられないっていうか、あっ! モアさんを信じてない訳じゃないのよ!」

 

 ビビが慌てて訂正するが、それよりもナミとステューシーは気になる言葉があった。顔を見合わせて、再びビビを見やる。

 

「ちょっと待って、ビビ。あのさ、オナニーくらいはシたことあるわよね?」

「今までむらむらってした時とか、あったでしょ? クリトリスを弄ったり、ちょっと指を入れてみたり」

 

 ビビはぽかんとした表情を浮かべた。まるで初めて聞いた異文化のしきたりのように。

 

「……え? おな……クリ? なんでそんな事を?」

 

 こうなると話が違ってくる。

 

「しょ~~がないわね」

 

 ナミとしては、処女だろうとは思っていたが、まさかオナった事も無いとは。だとしたら一緒にいてほしいという願いを無下には出来ない。さぞ不安だろう。

 

「心配しないでちょうだい、絶対に忘れられない初体験にしてあげるわ」

 

 ナミの出方を探ろうとしていたステューシーに性的な好奇心がむらむらと湧き上がってくる。自慰すら知らない処女の王女様が初めて性を知る瞬間。特等席で見たくない訳が無いのだ。

 

 おお! やはり持つべきものは仲間。

 心細かったビビの心に暖かな勇気が湧いてくる。

 胸いっぱいに広がる感激に耐えきれなくなり、ビビは思わず二人の身体へと飛びつくように抱きついた。

 

「ナミさん……! ステューシーさん……っ!」

「ちょっと、ビビ!? 急に抱きついたら危ないじゃない」

「あらあら、可愛いお姫様ね……本当に」

「ありがとう……! 本当に、本当にありがとう……っ! 二人が一緒にいてくれて、わたし……すごく心強くて、嬉しい……!」

 

 涙声で感謝を伝えるビビの背中を抱きながら、ナミは照れくさそうに笑い、ステューシーは内心で舌なめずりしていた。

 かなり蚊帳の外なモアが、手持ち無沙汰にぼけーっとしいている。

 

「ん~、そうね。まずはキスで緊張をほぐしましょうか」

 

 ソファに腰掛けたステューシーが、ぱんぱん、と手を叩き段取りを決める。隣に座るナミが半目を向ける。なんだか映像電伝虫でいかがわしいモノを撮る監督のよう。そういう商売があるとすれば。

 

 モアとの前で立ち尽くすビビの胸の奥では、早鐘のような鼓動がトクトクと打ち鳴らされていた。着慣れた旅装ではなく、ほんの少しだけ背伸びをして纏った洋服。そして密かに引いた薄紅色のリップ。

 宮殿の給仕長 テラコッタに「モアと会ってくる」と言うと、必ずこれを勧めてきた理由が今わかった。

 

 ビビのうなじからほのかに漂う甘く清廉な香りが、二人の隙間を埋めるように揺らめく。

 

「モアさん……」

 

 名前を呼ぶビビの声はどこか震えていて、見上げる大きな瞳は熱っぽく潤んでいた。長いまつ毛の奥で揺れる瞳には、目の前にいるモアの姿だけが映り込んでいる。

 ビビの胸に、初めての出会いと、クロコダイルを釣る為の作戦会議、砂漠での壮絶な遅滞作戦までが思い起こされた。

 

(出会ったばかりのわたしに力を貸してくれて、救国の為にカジノで全財産を捨てて、砂漠では身を削ってまで国民の王族への信頼を取り戻してくれた人……)

 

 モアの傷だらけの無骨な手がそっとビビの頬に触れると、その温もりに導かれるように、彼女は小さく吐息を漏らして瞳を伏せた。

 間近に迫る彼の気配。吐息が重なるほどの距離に、ビビの身体は熟した果実のように甘い熱を帯びていく。ほんの少し爪先を伸ばして背伸びをする。生まれて初めて知る胸の昂ぶりに、痺れるような感覚が身体を駆け抜けた。

 

「ふふっモアくん、王女様のファーストキスよ。たっぷり味わってね♡」

 

 初めてである事を改めて強調するようなステューシーの言葉に、なぜだかドキドキしてしまう。

 

(そっか、わたし……初めてなんだ……モアさんが、最初で最後の……)

 

 そっと重なり合ったのは、驚くほど柔らかく、瑞々しさを帯びたビビの唇。

 

「ん……っ」

 

 薄いリップが密着し、ほのかな甘さと熱が互いの唇を通じて溶けていく。触れ合うだけの優しいキスから、ほんの少しだけ深く、確かめ合うような重なりへ。ビビはきゅっとモアの胸元を小さく掴み、すべてを委ねるように彼の身へと寄り添った。

 腰と肩を抱かれる。

 

 やがてお互いに熱い吐息を漏らす。その開いた唇、互いの隙間を埋めるように、静かに滑り込んでくる舌先。

 

(あっ、舌が、入って……いいのかしら、こんな事)

 

 ビビにとってのキスとは、おとぎ話の登場人物がするような儀礼的なものしか知らなかった。目覚めの為の、婚約の証の為の、ハッピーエンドを象徴する為の、こどもが読む為のもの。

 だから舌を絡ませる事に背徳感を覚えてしまう。

 

「ちゅ、んぅ、んっ。はぁ、ちゅう」

(もっと……モアさんのこと、ぜんぶ感じたい……)

 

 口内に広がるのは、彼女が密かに塗っていたリップの甘い香りとモアの確かな体温。そっと触れ合い、甘く痺れるように深く絡み合う舌先に、ビビの背筋を甘美な調べが駆け抜ける。

 

「っはあ、ちゅぷっ、んじゅうぅ、れろっ、んにゅる♡ ん~、れろれぉ」

 

 言葉にならない吐息が混ざり合い、水音が溶けていく。いつの間にか、ビビもモアの身体を抱きしめていた。双丘をむにゅりと押し付け、もぞもぞと太ももをすり合わせる。下腹部からナニか、初めての感覚が熱を持ったようにじくじくと疼く。

 

(なにこれ、頭の芯が、とろけちゃいそう……どうしよう、息の仕方、わからなくなる……それになんだか、おまたが、熱い……♡)

 

 モアはビビの甘露な唾液を纏った舌に吸い付き、舐め回す。熱いベロを何度も擦り付け、それ自体が生殖器で交尾しているかのようだった。するりと腰に回していた手を下げ、尻の肉をさぐる。形よく柔らかなそれは、いつまでも撫でていたいほどだった。華奢な身体がびくりと震えたが、すぐに舌を絡めるのに夢中になった。

 

「んちゅぢゅるっ♡……っぷはぅ……ちゅっぢゅっ♡ りゅむりゅむぅ、んふぅ~……」

(モア……好き……大好き……っ)

 

(わたしが仕込んでナミちゃんとさんざんディープキスしただけあって、板についてるわね。生娘を夢中にさせるなんて、エッロいわよ)

 と、ステューシー。教え子の成長を喜ぶ教師のよう。ナミは小さな貧乏ゆすりで二人を眺めている。

 

 ふっ、とモアが唇を離す。二人の涎が糸を引いて落ちた。

 

「ビビちゃん、服を脱いで。身体を見せてあげて、隠しちゃダメよ」

 

 ぽーっとした頭で、ステューシーの言葉に従う。というかステューシーも脱いでいる。

 

「なんであんたまで……」

「だって、ビビちゃんだけ裸なんて恥ずかしいと思って。ほらナミちゃんも脱いで脱いで」

 

 絶対面白がってるだけでしょうが……と思いつつも、まあいいかと従う。

 

 ブラウス、スカートが床に落ちる。夜の砂漠に降り注ぐ静謐な月光を、そのまま掬い上げて織り込んだかのように白く滑らかな肉体が露になった。

 

 ビビの豊かに波打つ水色の髪は、澄み切ったオアシスの水面そのものだった。

 華奢な肩口から、しなやかに引き締まった背筋、そして腰元へと至る柔らかな曲線は、穏やかな砂丘の稜線を思わせる。

 手のひらに収まりきらないほどの双丘と薄い桜色のころんと可愛らしい先端は、かぶりつけば熱砂の渇きを潤してくれそうなほど瑞々しく実った果実のよう。

 

 そして彼女のこころを悶えさせる、指先で触れられたことも誰かの視線に晒されたこともない穢れを知らぬ薄紅色の肉の花弁は、開花を待ちわびて朝露に濡れている。

 

 王女としての気高く清廉な美しさと、砂漠に咲く花のように生命力に満ちたうら若き乙女の色香。

 まさに王家の至宝だった。

 

 多くの女を見て来たステューシーでさえなかなかお目にかかれない、ナミに比肩し別種の魅力に満ちた肉体美。

 ステューシーはうっとりとしながら、ビビの手をとってベッドへいざなう。

 

「脚を開いてよく見せてあげなさい……そう、いい子ね。ほら、ナミちゃんも来て手を繋いであげて」

「はいはい」

 

 まあ初めては誰だって不安だろうし、と従う。

(あんたは楽しんでるだけでしょうけど)

 

 ビビは初めて、男の裸を目撃した。薄々思っていたが、顔と同じく全身傷だらけで痛ましい。その理由をいつか語られる日が来るのだろうか。

 憐憫を覚えはするが、やはりこの状況で目が行くのは物々しく屹立した男性器だった。

 

(あ、あれが男の人の……ちょっと、こわい、けど……)

 

 ごくり、と大きく固唾を呑む。

 

 その心境を、ステューシーは手に取るように見透かした。そっと脚をさする。

 ビビの内ももは愛液で濡れており、出どころである乙女の秘部は生娘らしい美しさがあった。

 

「いい? ここがクリトリス。女の子の大事なところよ、勃起してるのがわかる? ここを弄ると──」

 

 小さく輝く肉芽の宝石を、指の腹で優しく按摩する。

 

「はっ、んひぃ……んっ!」

 

 ビビは自分でもそんな声が出た事に信じられないといった表情を見せた。

 

「怖がらないで、女の子ならおかしくない事だから……さあ、モアくん。王女様の処女まんこをほぐしてあげて」

 

 モアは女の甘い色香が漂う花園へ舌を這わせた。

 

「も、モアさん! ほぐすって!? そんなところ!? は、恥ずかしいっ、から止めっ。あっく」

 

 なんとか手で押し返したいが、ステューシーとナミに握られていてそれもかなわない。

 

 舌を入れるとぬるぬるの膣が初めての感覚にビクビクとうぶな反応を示した。ねっとりと浅い所をほじくり、果汁のように甘いトロリとした愛液を啜る。

 太ももをよじらせてモアの頭をどかそうとするが、その程度でどうにかなるものではない。

 クリトリスを舌先で磨き上げるように舐め回し、啜る。

 

 オナニーすら知らないまったく未知の感覚に、ゾクゾクと全身に柔らかな鳥肌が立った。

 

「あっ、だめだめだめ吸わないでぇ! なにこれぇ、んあっ、すご、いっ、おまんこの、おつゆ飲まれてっ♡」

(なんなの、さっきのキスとは、違う……これ)

 

 先ほどとは別種の、直接的な快楽に身もだえする。

 

 ずちゅ、ぢゅるるぅっ、ぐちゅぐちゅ。

 

 下品な音を立ててしゃぶられるている事実がまた、ビビを昂らせる。

 

「!? ぁあっ! こ、こんなの初めてっ! あっあっ! なにかきちゃう!! ぁあっ! んんん゙ん゙~~ッ!」

 

 ビビが身をこわばらせるが、胎から溢れそうなナニかは訪れない。

 モアはゆっくりと身体の緊張がほぐれるのを待ち、マンコから口を離す。粘質な体液が糸を引き、女の荒い息遣いが部屋に満ちた。

 

「どう、して」

 

 まるで好物を目の前で取り上げられた子供のように、涙目のビビが尋ねる。もう少しで、期待に満ちたナニかがこの身から溢れそうだったのに。

 

 先走りを滴らせ、屹立した男性器が膣口にあてがわれる。

 愛液でぬるぬるの粘膜ににゅちにゅちと擦り合わせた。

 

「あっ、そこ、なんだか」

 

「そうね、初イキはチンポがいいわよね」

「一気に奥まで入れなさいよ。半端に処女膜を破るよりはそっちの方がいいでしょ」

 

「え? ……え」

 

 酩酊に似たビビの思考では何を言っているのかわからず、ステューシーとナミの顔を交互に見やるだけだ。

 

 みちみちぃっ! 

 遠慮なく太い肉棒で、余すことなく処女まんこを貫き媚肉を味わう。

 その痺れるような衝撃で、ビビは目を見開いて身震いした。ぎゅっと爪先を丸めて耐える。

 

「あぐッッ! いっ、ひぁっ! あっ、っく。ん……っく! はっ、はぁ、あひぃん」

(い、っ痛い! なに、これ、わたしの中に、なに!?)

 

 声が出なかった。

 心の準備が出来ていなかったのもあって、膣に無理やりねじ込まれた異物で満たされた圧迫感と痛みに息が詰まる。

 守られてきた操が破られ、純潔の証が鮮烈な赤となって男根に絡む。

 

 力一杯に握られたビビの手から感じる惑乱っぷりに、ナミも他人事ではなかった。

(まー最初はびっくりよね)

 それと同時に、王女という高貴な身分のセックスを間近で見守るという状況に、倒錯的な興奮を覚えてもいた。

 ましてや破瓜の瞬間などお目にかかれるものではない。

 

「大丈夫よビビ! すーぐ気持ちよくなるから」

 

「そうよビビちゃん。わたしも手伝うから」

 最初っからそのつもりで観戦していたステューシーは、テンションが上がりっぱなしだった。

(す、すごいわモアくんっ! 王族の処女を散らすなんて。ふふっ、なんて幸せなおちんぽなのかしら♡)

 

 そして汗ばんでしっとりとして揺れる乳房を柔らかく揉み、我慢できずに蕾を口に含む。

 

「れろっ、んちゅっ、ちゅぅぅ♡」

「あっ、ステューシーさん、おっぱい吸わないでっ、恥ずかしいっ、はっ、はぁ……あ、やぁ」

「ちゅぱっ、大丈夫よ、お姉さんに身を任せない。ぢゅるっ、んっ、はぁ、んりゅりゅぅ、ちゅぅちゅちゅうぅぅ♡ ん~、こりこりの乳首おいし♡ ちゅっぢゅっ♡」

 

 モアは、クンニで焦らされ淫液でにゅるにゅるの秘部をゆっくりと味わうように腰を動してじっくりと膣の具合を探る。男を知らない花園、無垢でキツキツのマン肉がぎゅうぎゅうと男根を圧迫する。

 弱い所、擦り付けると自分が気持ちいい所、どこにどういうヒダがあるか、突くとより締まる所。

 時間をかけて入念に調べ上げる。

 

 にゅち、にゅっち、にゅちゅ。

 

 あやすような抽挿に小さな悦びだけが繰り返し与えられ、痛みの脈動が小さくなっていくのを感じる。

 牝の本能が目覚めだした。

 

「んああっ、そこ、あっ♡ あっ、あぅぅうう、……っはあ、っはあん♡」

「っぷはぅ……いい声ね、気持ちよくなってきたのかしら」

「あぅっ、あっ、わたしなんだか、ヘンなんですっ、あぁっ、んっ、ぁはぁぁぁっ!」

 

「変じゃないわ……」

 とナミ。少しだけ、諦観の混じった表情で言った。

「……モアの事、好きなんでしょ?」

 

「へっ? あっ、そうです、ん゙ぅっ、あぁん♡ も、モアさんの事がわたしっ、んあっ! す、好きです!」

「好きな人とのセックスで気持ちよくなるのは、おかしい事じゃ無いの。だからおまんこに集中して、他のことはなにも考えなくていいのよ」

「はひっ、ナミさんっ、ひぃんっ、わかったぁ♡ あ、モアさん、いいっ♡ そこ、おまんこ、ずりずりって♡ ああん」

 

(あら、ナミちゃん大人ね)

 ステューシーは意外そうに視線を上げた。ただ、その自信がどこからくるのかわからない。モアがアラバスタに縛られてもいいのだろうか。

 

 バチュ! バチュ! バチュ! 

 

 新品のベッドに汗と淫液が浸み込み、発情した女の芳香がむわりと立ち昇る。

 瞳はだらしなくとろけ、淫らに歪んだ顔をしている。これがあのクロコダイルに沙汰を下した清廉な王女だとは、とても思えないほどに。

 ビビの理性は決壊しそうだった。欲しくてたまらない、この性欲の先にある未知の快楽が。

 

「いい? ビビちゃん、おまんこからナニか気持ちいいのが来たら、ちゃんとイクって言うのよ」

「は、はいっ。モアさん、わたし、んぁっ♡ もうちょっとでッ♡」

 

「モアっ! 膣内射精で初イキさせてあげるのよ、忘れられない思い出にしてあげて」

「そうよ、王女様のロイヤルおまんこに、たっぷり吐き出して中出しアクメをキめてね♡」

 

 二人はビビに最高の思い出絶頂を刻ませるべく、その乳房に吸い付いて更なる快楽を浴びせた。

 勃起乳首を口の中でねぶり、舌で舐め回す。

 

「んっ、ぁあっ♡ んほっ♡ ああっこんなっ! はしたない声だしちゃうなんてッ!! モアさんごめんなさいっ、ひゃううん、んっ、あっ、気持ちいいの来るっ、来る来るっ、あぁあイクッ! イクイクイクッ♡ イクのガマンできないぃぃ♡♡♡」

 

 熱気で汗だくの身体の内にある蜜壺は愛液と本気汁でドロドロのねちょねちょ、それでいて膣壁は激しく収縮している。

 肉棒に走る血管がぶくりと太くなる。尿道から昂ぶりが吐き出された。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 びゅぐ~ー~ぅぅ! びゅぶっ! どぷぷっ! びゅるるっ、どぷぅ! 

 

 ビビは生まれて初めての絶頂を膣内射精と共に体験し、盛大に潮を吹いた。

 

 ぶしゃああああ──! 

 

 これまでの人生で得た事の無い性の快楽に、子供のように無邪気に恍惚の表情を浮かべる。

 

「あっ、お腹の奥、パンパンになってるぅ♡ 苦しいのにっ幸せ♡ はあっはあっ……これが、セックス♡ きもちいぃ」

 

 じんじんと残響するような悦楽に酔いしれる膣内は、長い射精が終わってもなお、力を失わない男らしい陰茎に膣全体で吸い付いてきた。

 その期待に応えようと、チンポを抜かずにメス穴をどちゅどちゅと再び突き上げる。

 

「ん゙あ゙ッッ!? はひっ、はひっ、ひいぃぃ♡ だ、だめ、っはあ、わたしっ、なんだかあそこが敏感になっててっ♡ らめええぇ♡」

 

 まるで中出しでマーキング済みだと言わんばかりに、王族まんこを自分の所有物と主張するように我が物顔で何度も何度も抽挿を繰り返す。

 

 ぐっぼ! ぐぼ! ぐぢゅっ! 

 

 責め立てるようなピストンで、膣内の塊のような精液がいやらしい音を立てて溢れ出る。

 

「うわ~、エグい事するわね~。これずっとイってるんじゃない」

「ビビちゃん、ちょっとマゾっぽい所があるからきっと喜んでるわよ」

 

 そうかな? と小首を傾げるナミを無視してステューシーは呂律の怪しいビビに語り掛ける。

 

「うらやましいわぁ、結婚したら毎晩こんなに可愛がってもらえるなんて」

「あっ、はひっ結婚♡ モアさんと♡ へっ、はへぇ……あ、んっ♡ 一緒に、アラバスタを再興しゅるぅ、あっ、またイクっ」

「……結婚はいいけど、おれ、グランドラインを旅するよ」

「んぇ!? しょれ、どういう、んあんっ♡」

 

 うぉっ、すごい事言う。

 

「えーと、モアくん。王位を継いだら、基本的にはその国に腰を据えて内政に注力するものなの。わかってなかった?」

「そうなの? じゃあ王様にはならなくていいかな」

 

 容赦ない腰振りでビビを喘がせながら、事実上の婚約破棄しだした。

 

「んあぁああん、そんなっ、わたしっ、わたしっ、あっあっ、っくぅぅう」

 

 ナミとしてはちょっと可哀想に思えるが、ビビは自分でも気づかぬうちにずきりと痛む胸の奥から不思議な滾りを覚える。

 ステューシーのマゾ見立てはあながちハズレではないかもしれない。

 

「おれはてっきりビビも一緒に船に乗ると思ってたけど……」

「あぁあっ、んはぁぁ♡ しょれはぁ、モアさんがっ、ここを離れるならっ、んあぁああん♡ でもでもわたしっ、まだぁ国がぁ」

 

「急に言われても迷うわよね」

 とナミ。

 そうねえ、とステューシーが後を継ぐように言った。

「内乱が全面抗争に発展したならともかく、未然に防いだ状況ならコブラ王の統治で問題ないと思うけど。いずれ帰還するのなら見識を広めるのもいいんじゃない?」

 

 モアは上体を倒し、種付けプレスで上から子宮を潰しながら、ビビの耳元で囁く。

 

「大丈夫ならビビもおれたちと一緒に来ないか」

「んにゅっ!? あへぇ、でも、でもでもぉ、ああんっ、わらひぃ、おうじょ、あ゙あああん♡」

 

 暴力的とも思えるチンポの杭打ちに、膣内は締め付けを強めた。

 ビビは無意識的にモアの腰に脚を回してがっちりとホールドする。

 ステューシーが悪魔の甘言のように囁く。

 

「ビビちゃんも一緒に来たら、毎日モアくんとセックス出来るわよぉ。お船の中でも外でも好きなだけハメまくれるのになぁ」

 

「ッん゙あ゙ああんッッ!? はひっ、はひっ、ひいぃぃ、イクっ、わたしも一緒にっ、行きたいっ♡ いっぱいちゅーして、毎日せっくしゅ♡ ンンゥ~~ッッ!! あはあっ、イクっ、んおっ♡ みんなとイキますぅぅううう♡♡♡」

 

 ぎゅっ、とトロトロの膣肉が抱きついてくる。

 イキまくって痙攣する穴に抽挿を繰り返す。強制絶頂でギチギチになっている肉穴に深い一撃とともに、陰嚢から込み上がってくる精子を思いっきり吐き出した。

 

 びゅぐびゅぐっっ! びゅるるぅぅう~~~ッッ!! 

 

「イクイクイクッ! イきゅッ! んイクゥゥウウ!! 凄いの来てりゅぅッ! んあ゙ぁあ♡ お腹の中で、出てる♡ おまんこ焼けそう、あっあっ! ッ!? んっ、あっ出るっ、またお漏らししちゃううぅぅうう!!」

 

 ぷしっ、ぷしゃっ、じょばああああぁぁぁ!! 

 

 頭が白く染まる。喉が開き、女の悦びに満ちた絶叫と共に再びの特大潮吹きで心底の絶頂を味わうと、そのまま気を失った。

 最後の一滴まで搾り取ろうとする膣からペニスを引き抜く。にゅぽんっ、と亀頭が、続いて白濁液が排卵のごとく出てきた。

 

「モアくんも罪な男ねぇ、あんなエロくてカッコいい種付けプレスでお願いされて、断れる女の子なんていないわよ」

「それより、早いところンニヒを飲ませないと妊娠するわよ、確実に」

 

 濃厚なオス臭とメス臭が入り混じって漂うビビの肉穴を見やって、その量と濃さにナミが呆れ半分に言った。

 それはそうとして、とステューシーが尋ねる。

 

「ナミちゃんはこの展開を予想出来てたみたいだけど、訳を聞いてもいい?」

「うん? あー、ココヤシ村でわたしたちが言ってた事、忘れちゃった? 聞いてたんでしょ」

 

 迷いのないナミの口振りに、ステューシーは記憶を探る。たしか──

 

 ナミは屈託なく笑ってみせた。

 

「だって王様になっちゃったら、わたしとの夢が叶えられないじゃない!」

 

 ココヤシ村で交わした約束が、王族という地位より遥かに勝ると信じて疑わないのだ。

 ステューシーは一瞬呆気にとられ、まいったとばかりにくつくつと笑う。笑って、空虚さを誤魔化す。

 眩しさを覚えたのだ。二人の間にある信頼に。

 それはすなわち、彼女は疎外に位置している事を意味する。羨望とは、自らの内に無いモノを見た時に覚えるのだから。

 

 

 

 :::

 

 

 

 その後二人がかりでモアを搾り取り、あるいはわからされたのか、とにかく新しい船は満足のいく物だった。

 3Pで盛っている時にビビが目覚め、たいそう驚いていた。そういう事は本当に大切な人としかしないと教わって来たのだから当然だ。

 

「そ、そんな! わたしの方が先に好きだったのに!」

 

 ナミがコップを片手にかいた汗と吹いた潮の水分補給をしながら、諦め半分でモアを親指で指す。寝バックでパンパンとステューシーをよがらせていた。

 

「いやあいつにそういう倫理通用しないから」

「おれはビビもナミもステューシーも大切なんだけど」

「んぁっ! そんなこと言われたらお姉さん嬉しいぃ♡ あんっ、奥っイイぃ、子宮ずんずんされたらぁ♡ ひゃぅうぅ、いくいく……イグッ!」

 

「それは、わたしも、モアさんに大切だと言われたら嬉しいけど」

(けど、まあ、そっか。そうよね。ナミさんやステューシーさんみたいな素敵な女性がほっとくわけないもん)

 ズキリとこころが空虚に痛む。同時に下腹部が熱く沸き立った。こ、これはいったい!? 

 

「ていうかビビ、わたしたちがヤってたの気付かなかった? なるべくこっそりシてたけど、絶対気付かれてると思ってたわ…………気持ち良くてフツーに大声出ちゃってたし」

「ええぇっ!? い、いつの間にそんな!」

 

 ミス・ウェンズデーとして出会った時から薄っすらと思っていたが、結構抜けているところがある。

 

 ビビが少しだけ弱気になりかけたその時。ふと脳裏に甦ったのは、アラバスタ王国給仕長 テラコッタの猛々しい言葉だった。

 

 

 

「ビビ様。よろしいですか?」

 恰幅の良い給仕長は紅茶を注ぎながら、いつもの人の好さそうな笑顔で言った。

「耐え忍ぶことは美徳でしょう。時に身を引く事も……ですがそればかりが良い結果を生むとは限りません。救国を成し遂げたビビ様には、海ネコに泳ぎを説くようなものでしょうが」

 

 ビビには、給仕長が何を言いたいのかわからなかった。

 ただテラコッタは見抜いていたのだ、モアに向けられるビビ王女の視線の正体がなんであるか。同じ女として。

 

「例え敵わぬ相手と思っても、諦めない心が肝要なのです。ご自身の気持ちに正直に、遠慮などご無用!」

 

 テラコッタは昔を懐かしむ。横恋慕に恋心の炎がバチバチと灯っていたあの頃を。幾人もの女と戦い、そうして見事勝ち取ったのだ。イガラムという夫を!!! 

 

「? わかったわ」

 

 

 

 あの時はピンとこなかったが、今ならわかる。

 恋とは戦いだという事が! 

 けれど、結果を急ぐ事でもないようにも思えた。今はこうしてみんなと仲良くするのも心地いい。想い人が他の女性と交わっている姿を見るのも、不思議とむらむらする。

 

 あれほど頼りになる大人の女性だったステューシーが、だらしなく顔を蕩けさせている。

 

(こういう知らない一面を見るのも、楽しいし! ……だからテラコッタ、勝負はゆっくりとするわね)

 

 ビビはくすりと口元に笑みを浮かべた。

 

 ただ、勝負と言うなら一つ忘れている事があった。相手はナミやステューシーだけとは限らない。

 モアが勝つ場合もあるのだった。

 

 

 

 :::

 

 

 

 ひとしきり楽しんだ後、ステューシーは一人、火照った身体にバスローブ姿で甲板に出て空を見上げる。

 黄昏時だった。

 柵にもたれかかり、心に空いた穴を埋めたくて港町を眺めるが、慰めにもならないことも理解している。

 

「それだけじゃ寒いだろ」

 

 モアがやってきて一枚の毛布を分かち合うようにかける。

 

「ありがとう。二人は?」

「休憩してる……あれ、なんだっけ、コウモリ? アラバスタにもいるんだ」

 

 モアが指さす方を見やると、灯りに誘われた羽虫を食べているのだろうか。街灯りと宵闇の境界線をなぞるように、黒い影が不規則な軌道を描いて飛んでいる。

 ステューシーは指先から黒い霧を出し、コウモリを発現させた。

 

「それがステューシーの悪魔の実の能力?」

「ええ。そう言えば見せるのは初めてね」

 

 ぱたぱたとモアの前に飛び、くるくると回ってステューシーの掌へと溶けるように消える。

 

「コウモリって鳥だと思ってたけど、今見ると犬みたいな牙があった」

 

「……ふふっ、どっちなのかしらね」

 ステューシーは手すりに頬杖をついて、珍しく自嘲の表情を見せた。

「サウスブルーに、こんなお話があるの」

 

 波の音に溶け込むように、静かに言葉を紡ぎ出す。

 

 

 

『サウスブルーのあるブドウ畑で、ネズミの被害に困った農家がフクロウを飼った。音もなく飛ぶフクロウに、夜目の利かないネズミは狩られていく。

 そんなある日、コウモリが通りかかった。美味しそうにブドウを食べるネズミが羨ましくて、けれどフクロウは怖かったのでこう言った。

 

「わたしはお前たちと同じく牙がある獣だ。そのよしみで助けてあげよう。わたしが空からフクロウを見張って、近づいたら知らせてあげる。見返りとして、ブドウを取ってきてくれ」

 

 コウモリの知らせは完璧ではないものの仲間の死は減り、ネズミたちは喜んでブドウを差し出した。

 

 なかなか狩りが成功しなくなったフクロウが、ブドウ畑でコウモリを見つけた。

 ネズミと同じくブドウを盗む者ならと鋭い爪で地に伏せると、コウモリは苦しそうに言った。

 

「待ってくれ、わたしはあなたと同じく羽のある鳥だ。そのよしみで助けてくれ。見返りとして、あなたの狩りを手伝おう。わたしは鼻で熱を感知できる、どんな小さなネズミも見逃さないから」

 

 こうしてコウモリは、昼はネズミから献上されたブドウをたらふく食べ、夜はフクロウの分け前としてネズミを食べた。もともと全てのネズミを救えたわけではなかったので、どちらにもバレないはず、と。

 フクロウは以前ほどではないがネズミを狩り、ネズミは以前ほどではないが仲間を狩られなくなった。

 だが優れた耳を持つフクロウはある夜、コウモリが巧妙にネズミたちに危険を知らせている音を聞き取った。だから二度と飛べないように、その黒い羽を引き裂いて地に落とした。

 

 コウモリは集まって来たネズミに助けを求めたが、あるネズミがこう言った。

 

「ぼくたちは決死の思いで取って来たブドウをたくさん捧げているのに、おまえの口からは血の臭いがする……」

 

 コウモリは爛々とする無数の瞳に弁解する勇気もなく、我先にと群がるネズミたちに食われてしまったのでした』

 

 

 

「……わたしは牙があるから獣だ、羽があるから鳥だと寝返り続けたどっちつかずのコウモリは、最後に何も得る事も無く哀れに死んでしまった……利益と保身の為、立場を翻す者の末路を戒めとする有名な寓話よ……」

 

 溜息を飲み込んだステューシーが、波間に視線を落とした。

 なぜ急にこんなことを言い出したのか自分でもわからない。いや、本当はわかっている。じぶんは獣にも鳥にもなれない。すべてを裏切るという事は、すべてに見放されるという事。

 いくら船を共にしても、モアやナミ、ビビとは立場を同じくする事が出来ない。砂漠の時と先ほどのナミの笑顔を見て、それがよくわかった。それが突き付けられた現実なのだと。

 

「きっとそのコウモリは、自分自身ですら獣と鳥のどちらなのか最後までわからなかったでしょうね」

 

 自虐するように笑うステューシーを一瞥し、モアは少しだけ考えてから同じ波間に視線を落とし、静かに口を開いた。

 

「コウモリはコウモリだと思うけどな」

「え?」

 

 モアの横顔を見やる。いつもと変わらない、純朴さを覚える端正で、傷だらけの。

 

「獣のネズミには羽が無くて、鳥のフクロウには牙が無い。コウモリだけが両方有るんだから、鳥でも獣でもなくコウモリなんだ。だからネズミの真似をしてブドウを食べたり、フクロウに従って狩りをする必要は無かったんだと思う。きっと、コウモリにはコウモリにしか出来ない事がある」

 

 言って、ステューシーを見つめ返す。

 

「おれは、ステューシーが本気で助けたいと思っている人のためなら、命を賭けて手伝うよ。出会ったばっかりのビビにも同じ事が出来たんだから、信じて欲しい」

「そう、ね……」

 

 戸惑いの色が、ステューシーの瞳をかすかに揺らす。

 

 いずれ決断するべき時。世界政府という立場を取り、モアたちをいつでも切り捨てられる便利な道具とするのか。

 静かな波音だけが響く甲板で、やがてステューシーはふっと息を吐く。

 仮面を脱ぎ捨てたような柔らかい笑みを浮かべた。

 

「ねえ、モアくん。ナミちゃんたちを誘って、この船の新しい浴場に行ってみましょうよ。久しぶりに、たっぷりのお湯に浸かりたいの」

 

 その言葉は、猜疑に満ちた過去の決別であると同時に、信頼に満ちた未来への一握だった。

 

「おれもちょうどそう思ってた、汗が冷えて寒いし」

 

 そして迷いのない手で彼女の手を取ると、二人は一枚の毛布に身を包んだまま、並んで歩き出した。

 

「ナミちゃんがお願いした猫足の大きなバスタブ、ちゃんとあるかしら」

「それとは別に大きな浴槽もあるって聞いた」

 

「いいわね。けど……ふふっ、狭いと密着できて楽しめそうじゃない?」

 意味深に笑って、夜の寒さを埋めるように身を寄せ、モアの腕を胸で挟むように抱く。甘く脈打つ鼓動を聞いて欲しくて。

「出立の前に、お風呂で使うマットも用意しなきゃね」

 

「風呂で? マット?」

「そっか、知らないわよね。洗いっこするのよ、ぬるぬるの液体を使って、お互いの身体でね。ぐちょぐちょのねちょねちょになって……気持ちいいわよぉ、お姉さんのテクを見せてあげる」

 

 そんな不埒な世間話をしながら、ステューシーは自問した。なぜ、決める事が出来たのだろう。

 やがて答えに辿り着く。

 もしあの場所(エッグヘッド)で会ったなら、伝えよう。

 

 ねえ、ベガパンク。わたし、あなた以外にも守りたい人たちが出来たみたい。

 

 

 

 :::

 

 

 

「すっっっごいじゃない!!」

 

 大浴場はナミの期待を上回るものだった。敷き詰められた滑らかな濃淡のある砂色のタイルに、奥に行くにつれ、波間を思わせる落ち着いたブルーのモザイクタイルが美しく浜辺を描いている。

 注文通りの大きな猫脚のバスタブの他に、四人が思い切り手足を伸ばしてもまだ余りある広い浴槽もあった。

 今はブラインドで視界を塞いであるが、大きな窓から海を一望できる造りになっている。

 

 バスオイルはアラバスタ特有のものの他に、柑橘系のものまで取り揃えられていた。もちろんジグヤジーもある。

 

 立ち込める湯気が四人の上気した素肌を艶やかに濡らしていた。

 

 そして、おお、クウイゴスやジグヤジー、ンニヒに並んで、なんだか便利だなあと呼ばれている謎チカラのアレやコレでお湯が出るし都合よくもう張ってある。

 四人は手早く身体にまみれてカピカピになってる淫液を洗い流すと、大浴槽に向かう。ビビはまだ少しだけ股を開き、よたよたと歩いている。

 

「ほらモア、沈むわよ」

 

 たっぷりと張られた湯の中で、ナミが背後からモアの身体を抱え込むように支えた。ざばりと湯が溢れる。悪魔の実の呪いで湯に浸かると完全に脱力してしまうモアの背中には、浮力によってふわりと持ち上げられた豊かな双丘が、布一枚すら隔てずに生々しい弾力をもって密着していた。

 彼女の腕がモアの腹に回され、オレンジ色の髪から滴る雫が鎖骨を滑り落ち、甘い吐息が首筋にくすぐったく掠める。

 

 一方、対面では、また別の悩ましい光景が繰り広げられていた。

 

「ス、ステューシーさん……もう少し、というか、なんで向かい合わせなの……っ?」

「あら、ビビちゃんったら冷たいのね。私だってカナヅチなのよ……? ふふっ。そ、れ、に……もっと濃厚な裸の付き合いは済ませたじゃないの。ほーら、ちゃんとぎゅっとして」

「それはそうだけどお」

 

 顔を赤くしてにして視線を泳がせるビビの目の前に、ステューシーの妖艶な笑みがあった。若々しく瑞々しい王女の珠のような柔肌に熟れた柔肌がぴたりと重なり、湯面の下でふたつの豊満な果実が押し潰され合っている。

 

 

「んっ……ちょ、ステューシーさんっ、あんっ」

「いいお湯ね……たまにはこうして、誰かに身を預けるのも悪くないわ」

 

 対面座位で久しぶりの入浴を楽しむ。色香の漂うため息を漏らし、気怠げに目を細めた。張り詰めていた警戒心を溶かすような熱い湯の中で、素肌と素肌を直接触れ合わせる濃密な温もり。

 こんな瞬間が来るとは、彼女自身思いもしなかった。なぜなら、とローグタウンの時を思い起こす。

 

 悪魔の実の能力者にとって、水に深く浸かる行為は死に直結するリスクを伴う。全身の力が抜け、非能力者以上に無防備な状態に晒されるからだ。

 だから能力者は普段シャワーで済ませるか、あるいは自身の命を預けられるほど深く信頼できる相手と混浴するか。

 

 世界政府のエージェントとして、多くの敵を始末してきた彼女にとって、この瞬間は致命的に脆弱で愚かな行為だった。

 

(今までのわたしなら、絶対こんなことはしなかった。けどこれからは……)

 

 ビビに言って、後ろから抱きかかえてもらう。モアとナミと目が合う。

 ナミは、彼女の行為の真意がわかっているのだろう。能力者の入浴という行為の重さ。だからただ静かに、何も言わず、口元に笑みを浮かべていた。

 

 その信頼に、ステューシーもまた応えなければならない。たとえモアを傷つける事になったとしても。それこそが信頼だと信じているから。

 

「ねえ、ナミちゃん……」

 

 胸に秘め続けていた推察を口にする。あの時、海ネコの挙動はおそらく……

 

「チュウとモームは、どこへ消えたと思う?」

 

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