※この作品はR-18です。

妬まれ真乃の盗撮被害 性悪女子にパンツも裸も撮られてしまった現役美少女アイドル   作:高牧園

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第1話

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 真夏の熱い空気が教室を駆け抜けると、櫻木真乃の髪がふわりと揺れた。

 授業は終わったばかりで、教室にいる生徒たちの視線は見るともなしに真乃へ注がれる――アイドルになってから日に日に美しさを増す真乃は彼らの視線を惹きつけたまま、教壇にいる教師の元へ駆け寄った。

 

「あの、先生……来週なんですけど、仕事が――」

「おお、そうか。次の授業あるから、話は職員室でもいいか?」

「はいっ……」

 

 クラスメイトたちは教室のあちこちで数人のグループを作って各々のやり方で休み時間を過ごしてはいるものの、誰もが真乃の様子に意識を払っている。

 その証拠に、真乃が教師とともに教室を出ていくと賑わいが一段と増す。先ほどまでと微妙に異なるムードの中、教室後ろの廊下側に陣取った男子グループのうち一人はこんな声を上げた。

 

「今の櫻木さん、めっちゃ可愛かったよな!」

 

 興奮気味に声を上げたのは圭太(けいた)だ。

 

「髪ふわーってして! シャンプーのCMみたいじゃねえ!?」

 

 目鼻立ちのくっきりした彼は見た目通りに声も大きい。圭太の言葉に、教室後ろの窓際に陣取っていた女子たちは「うるさ」と呟いて大袈裟に眉を寄せるも、圭太たちのグループは女子の様子に気付いた風もない。

 

「てか前からめっちゃ可愛いだろ、さすがアイドル」

「地味っぽかったけど、アイドルになってからどんどん可愛くなってるよな。マジですげえ」

「そうそう! もうすっげえよ!」

 

 そんなやり取りをする男子集団の中で、一人だけ椅子に座っている男子が口を開く。

 

「櫻木さんは前から一番可愛かっただろ」

 

 サラリとそう言ってのけたのは隼人(はやと)だ。

 彼が口を開くと、窓際でうんざり顔だった女子たちが一斉に隼人に目を向けた。

 整った目鼻立ちにサラサラの髪、ニキビ跡の一つもない爽やかな雰囲気の隼人はクラスで一番のイケメンだ。正真正銘アイドル級の美少女である真乃の隣に並んで見劣りしないのは、学年中を見渡しても隼人くらいのものだろう。

 

 見た目、学力、運動……あらゆる能力に長け、クラスのカーストトップに君臨する隼人が真乃の話題を出したのだ。女子たちが一斉におしゃべりの声を止めて隼人の動向を窺う中、隼人はこう続けた。

 

「初めて見た時から思ったもん。この子には一生手が届かないんだろうなって」

「うらら先輩と付き合っといてなんだコイツ!」

 

 隼人を中心に男子の輪は笑いが広がる。

 

「……はっ」

 

 対する女子の反応は冷たいもの。

 

「櫻木さんって隼人くんに媚びてるんだ、ヤバ」

 

 潜めた女子の声には棘が混ざる。

 真っ先に毒づいたのは由梨(ゆり)。顔を歪めると塗り固めたメイクが崩れかけ、元の薄い顔立ちが見え隠れする。

 

「へえ、アイドル様ってすっごいね」

 

 手元の菓子を頬いっぱいに貪りながら千春(ちはる)が呟く。

 もぐもぐとクッキーを噛み砕くたび顎肉が揺れる。あと十キロも痩せればそれなりに可愛いだろうに、太った指を動かして菓子を鷲掴みにする手は止まらない。

 

「あははー、ほんとすごーい」

 

 桃音(ももね)は首筋のアトピー痕を引っ掻きながら笑った。

 色素が薄めの瞳はしきりに由梨と千春の顔を行き来し、この場における最適な行動を探る。大抵の場合の答えは共感で、真乃への陰口を叩く流れに乗ろうと桃音はこう続けた。

 

「調子乗りすぎだよねー、枕とかして媚びるの上手くなった感じー?」

「分かる!」

 

 桃音に頷きながら、由梨は隼人の横顔を盗み見る。

 横から見ると惚れ惚れする高い鼻梁の隼人に、思わずため息を漏らす由梨。

 

(何なの? ファンなんて全国にいるんだし、隼人くんにまで色目使わなくても良くない?)

 

 隼人に淡い気持ちを抱く由梨からすれば、隼人が真乃を褒めたというのは実に気に食わない。

 由梨の考えなど知るよしもない男子集団は、なおも真乃の話を続けている。

 

「俺さ! 写真集買っちゃったんだよね!」

「え、櫻木さんの写真集? 俺も俺もー!」

 

 近くにいた男子も話に乗って、今やクラス中の男子が真乃の話題で盛り上がる。

 

「いや全員買ってるのかよ」

「だって気になるじゃん、発売日に本屋行ったらラスイチだったんだよね~」

「つか普通に胸すごくね? 水着の谷間エグかったんだけど! あれマジでシコ――」

「おい」

 

 盛り上がりのあまり圭太が何か言いかけた時、隼人の低い声がした。

 

「女子もいるんだし、あんまそういう話はすんなよ」

 

 静かに、しかしハッキリとした拒否に、クラス中の男子が一瞬だけ黙ってから。

 

「……いや無理だろ~!」

「アイドル頑張ってるんだからさ。そういう目で見たら失礼だろ」

「そうだそうだ! てか櫻木さんは女神みてえなもんだからエロい目で見んなよお!」

 

 茶化すように笑う圭太、冷静に彼らをたしなめる隼人に続いて、俊介(しゅんすけ)は強く拳を握り。

 

「櫻木さんでシコんじゃねえぞおめえら!」

「っつってもエロくはあるじゃん!」

「さすがにあのカラダはそういう目で見ちゃうじゃんかぁ」

 

 なおもガヤガヤと騒ぐ男子たち。

 一分前に何を話していたかも忘れたような態度で盛り上がる男子たちから顔を逸らす由梨は、イライラと机を爪で叩く。

 

「はーあ、人気者ですごいすごい。……ちょっと可愛いだけの陰キャが調子乗んなよ」

 

 嫉妬心丸出しで毒づく由梨は見るからに機嫌を損ねている。

 

「てかさ、どうせアレでしょ? アイドルって枕とかしなきゃトップになれないんでしょ? 櫻木さんも裏ではえっぐいコトやってんだろうね」

「あはー、確かにー」

「お偉いさんに媚びたりしてさあ……てか見た? この衣装とかスカート短いし臍出てんの。こんな格好でテレビ出れるとか恥ずかしくないのかな。こんなんしてまで人気になりたいとか、ほんと神経疑うんだけど」

 

 呪詛のような由梨の言葉はいつまで経っても止まる気配はない――お菓子を食べながら話を聞いていた千春は、不意ににんまりと笑顔を浮かべて。

 

「じゃあさっ、もっと人気者にしてあげちゃわない?」

 

 にこやかに、それでいて腹黒さを隠さず言い放つ千春。

 

「は?」

 

 彼女の意図を受け止め損ねた由梨はわずかに眉を寄せる。この三人組のボス格である由梨の態度に千春はコクンと頷いて、由梨に何事かそっと耳打ちする。

 

「え、えー?」

 

 置いてけぼりにされた格好の桃音が不安そうに由梨を見つめる中、由梨はニンマリ笑って。

 

「――いいじゃん、それ」

 

 千春が発案した最高の考えを実行に移すべく行動を始めるのだった――。

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