妬まれ真乃の盗撮被害 性悪女子にパンツも裸も撮られてしまった現役美少女アイドル 作:高牧園
1
その日の放課後、桃音は帰り支度をする真乃に近づいた。
「櫻木さーん」
「……え、あの……?」
桃音と真乃はほとんど会話したこともない間柄。本当に自分に声がかけられたのか、と真乃が小首を傾げると、遠くで桃音を見ている由梨と千春がクスクス笑っていた。
千春のアイデアに由梨が乗り、実行するのは桃音だった。桃音は手元にあるプリントを軽く持ち上げてから真乃にこう伝える。
「先生からプリントの貼り替え頼まれちゃってー。手伝ってもらってもいい?」
「……う、うんっ……」
桃音の頼みに、真乃はゆっくりと頷く。
教室の後ろにある掲示物は高い位置にある。桃音は自分の席の机と椅子を持ち出すと、掲示板の前に置いて。
「じゃあ、押さえてるからー」
「……あ、ええと……机に……」
「机じゃないと届かない位置だから、お願い!」
机を押さえる役と掲示物を貼り替える役のどちらが良いかも聞かない桃音の様子に、真乃はほのかな違和感を覚える。
(それに、机に乗るのは……)
靴を脱いだとしても、机の上に乗ること自体に抵抗はある。
机と椅子を前にした真乃は動きを止め、物言いたげに桃音を見つめる――しかし真乃と向き合う桃音は、その向こうにいる由梨の顔を窺っていた。
由梨は意地悪そうに口元を歪めてから、千春と教室を出て行く。教室にいた生徒たちは少しずつ捌けていって、日直が日誌を手に教室を出れば桃音と真乃の二人きりだ。
「櫻木さーん? どうしたの、早く終わらせようよー」
真乃が机に上がることへ抵抗を覚えていると分かりながら、桃音はとぼけた大声を上げる。
大声に真乃はわずかに息を詰まらせる。ひるんだ真乃に追い打ちをかけるように桃音は手元のプリントをひらひらさせて、さらに真乃に呼びかける。
「櫻木さーん、机の上、乗っちゃってー」
「……う、うん……」
困ったように眉を下げて目を潤ませる真乃の顔はハッとするほど愛らしい。
もしも今の二人を見たら、桃音が真乃をいじめているように見えたかもしれない――見れば見るほど可愛い真乃の姿に苛立ちを強め、桃音は首筋のアトピー痕をいっそう強く掻く。
「じゃ、じゃあ……失礼しますっ……」
意を決したように頷く真乃が、椅子に、次いで机に足をかける。セーラー服のスカートは両手で前後を押さえていて、品のある振る舞いがやけに目についた。
(この後ナニされるか知ったら、卒倒しちゃうんじゃなーい?)
桃音はひそかに思いながら、ポケットから取り出したスマートフォンを真乃のスカートの下に忍ばせる。
スマートフォンは真乃の後ろ側から。録画モードにしたスマートフォンのレンズに覗き込まれているとも知らない真乃が桃音からプリントを受け取るためにスカートから手を離せば、ひらりとプリーツの襞を揺らめいた。
(ここから撮れば、パンツのお尻くらいは見えるよねー)
心の中にどす黒い気持ちを燻らせながら、桃音は真乃の様子を見つめる。
「えと……」
すでに貼られた掲示物を外そうと、机の上で背伸びする真乃。
無防備なほどスカートは揺れ続ける。果たしてどんな動画が撮れているかは分からないが、間違いなく真乃のスカートの内側は撮れているだろう。
「……こ、これ……剥がしたプリント……」
「ありがとねー、櫻木さん」
真乃からプリントを受け取りながら、わざわざ真乃の名前を呼ぶ桃音。
「櫻木さん、今度はこのプリント貼ってもらえる?」
「うんっ……」
この動画を観た人にスカートの中身を撮られた少女を知らしめるかのように名前を呼びながら、桃音はスマートフォンのレンズが真乃のスカート内に向けられていることをチェックする。
「ん……ここ、に――」
何も知らない真乃は、先ほど剥がした掲示物の跡に合わせてプリントを貼ろうとする。
プリントはA4の縦一枚だけ。上の短辺のひとつにピンを刺そうとしたらしい真乃がわずかにかかとを上げたのを見計らって、桃音は「あ!」と声を上げる。
「っ……!」
先ほど桃音が大きい声を出したせいもあるだろう、真乃は少しだけ背伸びした不安定な状況で肩を跳ねさせ、脚全体に力を入れてしまう。
ソックスに包まれた脚がこわばり、伸びやかな脚の輪郭線が明瞭になったような気すらする。ダンスレッスンの賜物かしなやかな脚は、力が入った時の形が何より美しかった。
「ごめんごめーん、櫻木さん、もうちょっと上に貼ってって言われてたんだった」
「あ……そ、そうなんだ」
目を瞬かせる真乃は、桃音に視線を送って頷く。
桃音の方を見てはいるものの、手元のスマートフォンは真乃の後ろ側にある。とてもそこまでは見えない真乃は桃音の悪巧みには気付けず、改めて掲示板に向き直った。
元の位置に掲示物を貼り替えるとしても、真乃は腕をいっぱいに上げなければいけなかった。さらに上となると、机の上でギリギリまで背伸びをしなければいけないだろう。
「櫻木さんのこと支えてるからー、頑張ってねー!」
「う、うんっ……」
桃音の声援に頷いて、真乃は足を肩幅に開く。
(今!)
真乃の意識が掲示板に向いている隙に、桃音は真乃の足の間にスマートフォンを滑り込ませる。
これまでは真乃のスカートの後ろ側――ヒップ部分しか写せていなかったが、これで真乃のショーツを真下から捉えられた。
同性として、ショーツのクロッチを人に見られる恥ずかしさは分かっていた。そんなものを披露しているとも知らずに真乃は背伸びして、身体を前に傾けて掲示物をピンで留める。
「んっ……」
力の入った吐息が漏れるのを聞きつけて、桃音はサッとスマートフォンを引く。
(これ以上撮ったら、さすがにバレちゃうよねー)
由梨と千春からは可能な限り多く盗撮するように言われていたが、これ以上はリスクが高い――全身が熱いのは、録画をオンにしたスマートフォンが熱を孕んだためだけではない。
「ん、っ……」
プリントの上の角二つをピンで刺してしまえば、あとは力を入れて背伸びする必要もない。
華奢な足から力が抜け、肩幅に開いた脚は元通り揃えられる。いちいち足を揃えるところにほのかな苛立ちを覚える桃音をよそに真乃は四隅にしっかりピンを差し込んで、スカートを押さえながら机を下りる。
「これで、どうかな……?」
不安そうにプリントを見上げる真乃に、桃音はにっこり笑って。
「うん、大丈夫ー」
一緒にいれば何かボロが出て盗撮がバレるかもしれない――そんな不安に衝き動かされるように、桃音は大急ぎで自分の机と椅子を元の場所に戻し。
「じゃ、ありがとねー!」
「あ……う、うん、また――」
真乃の顔も見ず、大急ぎで教室を後にするのだった。
●
由梨と千春は、学校そばのファストフード店で待っていた。
「どうだった?」
ポテトと水を乗せたトレイを持った桃音が現れるなり、由梨はそう尋ねる。
「撮れてたよー」
ここへ来る前に軽く動画を確認した桃音は力強く頷いて、テーブルの上にスマートフォンを置く。
アップルパイを頬張る千春が桃音のスマートフォンに顔を寄せる中、動画は始まる――早めに録画を始めたせいで最初はしばらく何でもない暗い画面が続いたが、不意に映像が明るくなったかと思うと真乃のショーツが現れた。
「うわ!」
思わず大声を上げる由梨に、近くの席の客たちが迷惑そうな視線を向ける。
しかし、由梨たちはそんな視線も気にならないほど画面に見入っていた。
真乃の後ろ側から差し込まれたスマートフォンは、果たして真乃のショーツのお尻部分を捉えていた。スカートの影こそあるものの初夏の西日のおかげか画面は明るく、下着の色柄まではっきりと見て取れる。
「うわ、ピンクだ」
「パンツまでぶりっ子じゃん」
底意地悪く呟いて、由梨も千春も画面を見つめる。
真乃が履いているのは可愛らしいピンク色のショーツだ。後ろからのショットで柄は見えない代わりに、真乃の尻にショーツが食い込み、皺が寄っているところはバッチリ映っている。
「ヤッバ!!」
丸みを帯びた尻に食い込むピンクショーツを前に、たまらず吹き出す由梨。
周囲で迷惑そうな視線を向けていた客の一人が大仰なため息をついて席を立つ。それでも由梨の大笑いは止まらず、ヒイヒイと引きつったような笑い声が店内いっぱいに響いた。
「あっは、櫻木さん恥っずかし~っ」
千春もニヤニヤ笑いながら真乃の尻を見つめ、桃音の前にあるポテトを二本つまんで。
「パンツ、こ~んななっちゃってるっ!」
二本のポテトで鋭利なV字を作っては真乃をこき下ろす。
動画はまだ続いていた。真乃が身じろぎするたびにスカートは揺れ、ショーツの食い込みがある尻も動く。太ももと臀部の境界はわずかに現れてしまっていて、それが彼女たちの嗤いに繋がる。
「ねえケツ振りすぎじゃない? やっぱ枕とかで慣れてんだね」
「ヤッバ~っ! ヤることヤッてるアイドルは違うね~っ!」
などと言いながら映像を見ていると、不意に動画全体が揺れる。
「あ……これー、スカートの中にもっと入れてー」
桃音がそう説明する間にも、小さい画面いっぱいにピンク色が広がって。
「うわ!! マジで!?!?」
画面いっぱいに広がる真乃のショーツを前に、由梨は手を叩いて大喜び。
先ほどまではスマートフォンを真乃の後ろから差し込んだ格好で、真乃のショーツやお尻は画面の半分ほどにしか映っていなかった。もちろんそれでも十分ショーツの色や下着が食い込んだ尻たぶは見ることが出来たが――今は真乃の足の間、身体の真下にスマートフォンが差し込まれ、真乃の下着の全面を眺められるようになったのだ。
「すっごっ!! すご、すっごっ!!」
「ヤバすぎじゃない!? 桃音才能あるんじゃないっ!?」
「えー、盗撮の才能ってー……ふふ」
椅子から転げ落ちそうな勢いで笑う由梨と千春に、桃音も笑みをこぼす。
笑い合う三人の真ん中で、真乃は惜しげもなくピンク色のショーツを見せつける。サーモンピンクのショーツは前部分に大ぶりな花柄の刺繍がある可愛らしいデザインで、透明なチャームがアクセントになっている。
「こっちは食い込んでないんだ」
言いながら、由梨は真乃の股間部分を指差す。
食い込みのある後ろ側と違い、クロッチは完全に真乃の秘所を覆っている。隠されたその場所から何か見えないかと桃音は目を凝らしてからかぶりを振り、こう呟いた。
「毛とかはみ出てないんだー」
「えっ、桃音は毛とか出る? マン毛濃いの? ヤバっ」
「え」
何となく漏らした一言を千春からつつかれて、オドオドと視線をさまよわせる桃音。
そんな二人の小競り合いを無視して由梨は画面に夢中。クロッチ部にフロントまで思った以上の鮮明さで映っているのを確かめて、由梨は自分のスマートフォンを指で叩く。
「今から圭太来るから」
由梨がそう言ってからほどなくして、圭太が友人を連れてファストフード店に現れた。
圭太が引き連れているのはクラスの男子数人。隼人はおらず、パッとしない顔の男たちへの由梨の態度はぞんざいで、由梨は彼らに手招きしながら手鏡を取り出す。
「これ見といて」
笑いすぎて取れかけた付け睫毛を直しながら由梨が言えば、桃音は圭太たちの前で盗撮動画を再生。
「うお……!?」
「……え、これ櫻木さん!?」
動画内、『櫻木さん』と呼びかける桃音の声に反応して、そんな声を上げる男子たち。
圭太はといえば、わずかに食い込んだショーツから見える真乃の尻たぶを見つめて真剣な声音を漏らす。
「いや確かに……このケツ、写真集で見たのと同じだ……!!」
「ケツソムリエかよ」
友人のツッコミも耳に入らない様子で真乃のスカートの中を凝視する圭太。
「え、うわ……エッロ……!!」
ショーツのフロントやクロッチまで見えるような画角になって、男たちは興奮の色を隠せない。
彼らのいる一角は異様な熱気を帯びて、他の客たちはその辺りを遠巻きにしていた。動画を見つめる男子たちは真剣さすら感じられる眼差しだが、口元は勝手にニヤニヤと緩んでしまっていた。
「――やば……」
動画を最後まで見終えて、呆然と呟く圭太。
他の男子たちも似たような有様。驚きのあまり立ち尽くす男子の一人は大きく膨らんだ股間を隠そうともせず、隼人とは大違いのデリカシーのなさに由梨は眉を寄せながらもこう尋ねる。
「この動画、欲しい?」
「え、いいの?」
訊き返す圭太はハッと顔を上げ、期待に目を輝かせて由梨を見つめている。
「んー……」
まるで餌を待つ犬のような表情の圭太に見つめられるのは悪くない気分。少しでも長く味わっていたい由梨は、もったいぶるように足を組み替える。
(普通に考えたらダメだけど)
動画を渡さない方が良いことは分かっていた。
いくら気に入らなくとも真乃はアイドルで、迂闊なことをツイスタに書いた誰かが事務所から注意を受けた――というような話だって聞いたことはある。もしもこんな動画が出回ったことがバレれば、由梨たちはただでは済まないだろう。
(でも、まあ)
しかし。
真乃を貶めることさえ出来れば後は何でも良かった。
「――うちのクラスの男子以外には、絶対見せちゃダメだけど。約束するならデータあげよっか」
「マジか!! くれくれ!!」
由梨の言葉に飛びつく男子たちに動画を送ってあげると、彼らは「やべえ」としきりに呟く。
「クラスの男子以外には見せないでね」
「感謝してね~っ」
「ま、またねー……」
彼らが貰ったばかりの動画を見つめるのをよそに、由梨たちは立ち上がる。
ひと仕事終えた時のような満足感を胸に、由梨たちは店を後にするのだった。