※この作品はR-18です。

妬まれ真乃の盗撮被害 性悪女子にパンツも裸も撮られてしまった現役美少女アイドル   作:高牧園

4 / 4
第4話

3

 

 ――真乃の逆さ撮り盗撮動画の興奮も冷めやらぬ数日後、圭太は再びグループチャットに文字を打ち込む。

 

けいた:「「速報」」

 

 短い文字を打つ間も心臓は早鐘を打っていて、指をもつれさせながら圭太はこう続けた。

 

けいた:こないだの櫻木さん盗撮動画の仕入れルートからすげえやばい映像買い取った

    貯めてたバイト代全部飛んだ

    割り勘くれたら動画共有する

    ちなみに動画はガチでヤバイ

 

 短いメッセージをいくつも連ね、スマートフォンの画面は圭太のメッセージだけで埋まってしまう。

 

田中(か):え、こないだのよりヤバイ?もうかなり満足してるけど

けいた:いやマジヤバイ

隼人:バイト代結構ためてたよな?全部使ったの?

けいた:全部

    でも後悔してないガチヤバイ

 

 少し迷ってから、貯めていたバイト代の金額まで書き込む圭太。

 

へいぞる:金貯めすぎだろこれ全部払ったの?

けいた:うん、マジで最高

植木俊介:櫻木さんの動画だよね?じゃあ全然払っていい

こさ君:俺も

つゆりん:ボクもお支払い致す オナニーも致す

隼人:笑

 

 そんな流れが出来れば、あまりチャットに書き込まない男子からもぽつぽつとリアクションが増える。

 

ゴッシー:ほしい!割り勘ギリ払える

ゆーま:金額了解 明日金持ってく

杉村くん:りょ

 

 真乃のとんでもない動画を見たい気持ちは一致している。

 しかし、手放しに割り勘を承諾できる者ばかりではなかった。

 

へいぞる:推しVのメンシ払ったばっかでガチ金ないんだけど

田中(か):来月なったらばーちゃんち行くから払えるけど今は無理!

植木俊介:親に嘘ついて漢検代とかもらえば?

 

 そんなメッセージを前にして、圭太は今日の出来事を思い出す。

 由梨に呼び出されたのは今日の放課後のこと。由梨たちがいつも駄弁っている高校近くのファストフード店に一緒に行くと、由梨たちは「イイ話があるから奢って」と宣った。

 普段の圭太なら断るところだが、由梨の笑みは真乃関連の情報を持っていると物語っていた。

 結局圭太は三人分のフード代を奢らされ、真乃のとんでもない盗撮動画を見せられたのだ。

 

(アレはヤバかった)

 

 思い出すだけで股間が熱くなってしまう。

 盗撮動画はほんのさわりしか見せてもらえなかった。全部見たければ――と由梨から提示された金額は、バイトに明け暮れる圭太であっても払えるかどうか危ういほど高額。

 葛藤こそあったものの、迷う圭太に由梨は動画を引っ込めようとした。今買わないならもう売らない、と急かす由梨に負けて、結局圭太は貯め込んだバイト代を全額明け渡すハメになったのだ。

 

(マジで全員見た方がいい)

 

 他の男子に割り勘を持ちかければいい、と入れ知恵したのも由梨。

 由梨の言う通りにグループチャットで割り勘を持ちかける圭太だが、何よりも男子全員でこの興奮を分かち合いたい。キーボードの上で指はわずかに迷いを見せてから、こんな文言を打ち込んだ。

 

けいた:わかった

    これ見れないの可哀想すぎだから待つよ

    卒業までに払ってくれればいいから

へいぞる:神?

田中(か):ありがとう!来月には払う!

けいた:PeyPey貼るから払えるやつは今払って

 

 送金用のコードを貼り付ければ、さっそく数名から送金が入る。

 

ゆーま:送金完了

隼人:払った!

植木俊介:コンビニでPeyPeyチャージしてるちょいまち

     払った

杉村くん:送金できたと思う。あんま使わないから自信ない。動画いつ送れる?

 

 その中には隼人もいる。クラスの誰もが認めるイケメンで、先輩女子と付き合って振りすらした隼人すらもこの動画を楽しみにしているのだと思うと、圭太の背筋を快感に似た優越感が駆け上がる。

 

けいた:「「誰にも見せないで」」

 

 十分もせずに由梨に払った金額の半分は回収できて、圭太はその動画をグループチャットに貼り付ける。

 

けいた:俺ももっかい見よ

 

 そうコメントを送ってから、圭太は改めて由梨から買った盗撮動画を再生し始める――。

 

●

 

 時を遡って、水泳授業のあるその日。

 由梨、千春、桃音の三人は早めに女子更衣室へ移動し、タオルで包んだスマートフォンでこっそりと真乃の着替えを撮影する。

 

「……」

 

 都合の良いことに、真乃は更衣室の奥で一人着替えている。盗撮に他の女子が巻き込まれることはなく、真乃一人を狙っての盗撮をするのは簡単なことだった。

 

「……」

 

 撮られているとも気付かず、真乃はセーラー服を脱ぎ始める。

 真乃は壁の方を向いていた。襟元からリボンが外され、上衣が脱げるとセーラー服の下には透けを防ぐための白いキャミソールがあらわになる。薄いキャミソール越しの背中は華奢で、少女らしい首の細さがよく目立った。

 

「あー後ろ姿もかわいーねー」

「枕営業してる子は違うね」

 

 ヒソヒソと悪口を交わす由梨と千春に見られているとも気付かない真乃は、セーラー服を丁寧に畳む。

 指先を揃えた仕草は育ちの良さゆえか、それともアイドルとしてのレッスンの成果か。丁寧な所作のたびに真乃の肩の上で色素の薄い髪が揺れ、キャミソールのストラップがずれると下にあるブラジャーのストラップが覗く。

 

「今日はピンクじゃないんだ」

「ストラップは白系? 清純ぶりすぎー」

 

 囁き合う三人の前で、真乃はスカートのホックに手をかける。

 ジ、と小さな音は他の女子たちが着替える喧騒にまぎれてほとんど聞こえない。ホックが外れ、ジッパーを下ろしきるとショーツの側面が見えて、真乃はスカートを静かに脚から引き抜いた。

 

(黄色!)

 

 視線を交わすだけで、三人はそう声を揃えたような気になってしまう。

 今日の真乃のショーツは可愛らしいパステルイエロー。後ろ向きになった真乃のヒップに視線を向ければ、真乃はこれまたゆっくりとスカートを畳んでいるところだ。

 

(パンツ丸出しなの、撮られてるのに気付いてない)

 

 忍び笑いを漏らす千春は、真乃の臀部に視線を送る。

 布地は真乃のヒップをしっかり包んでいた。今日は食い込みもなく、すっぽり覆われたお尻の割れ目に合わせてわずかな皺が見て取れるのみ。ここから更に過激なストリップを晒せたら、と思う三人だが、彼女たちの意に反して真乃はタオルを手に取った。

 

「は?」

 

 由梨の声は低い。

 家から持ってきたバスタオルを湯上がりのように身体に巻き付けてしまえば、キャミソールもショーツも隠れてしまう……ごそごそとタオルの下で腕を動かす真乃はタオルの隙間からキャミソールを脱ぎ、真っ白な薄布をしまいこむ。

 

「つまんなっ」

 

 吐き捨てたのは千春だ。

 真乃は依然としてタオルの下で何やらやっている。このままブラジャーとショーツを脱ぎ、水着を着終えるつもりなのだろうと――裸を晒さないように着替えるのは当たり前のことだと彼女たちも分かってはいるが、今だけは当たり前のことをしようとする真乃が腹立たしい。

 

「桃音、行って」

「え、私?」

 

 有無を言わせぬ由梨の言葉の直後、桃音は三人の輪から押し出される。

 

「――あ……!」

 

 桃音はすでに着替えを終えていた。長袖のラッシュガードがセットになった紺色水着の桃音が押されてヨロヨロと真乃に近付くと、華奢な真乃の身体が間近に感じられる。

 

(やるしかないんだ)

 

 桃音は、由梨と千春の二人がかりで押し出された。

 三人組で行動しているとはいえ、ふとした時に由梨と千春は桃音を置いて行ったり内緒話をしたりする。そのたび桃音は置いて行かれないように急いで、二人の内緒話が何なのか不安になりながら様子を窺うばかりだ。

 

(昨日も、二人で先に行っちゃうし――)

 

 今日も昨日も、桃音ばかりリスクを背負わされている――そう考えると何もかもに腹が立って、桃音はヤケになりながら真乃の背中に手を伸ばす。

 

「櫻木さーん、なーんで窮屈そうに着替えてるのー?」

 

 燻る黒い感情は、全て真乃への攻撃欲に変わる。

 真乃の身体に巻き付いたタオルをむんずと掴んで思いきり引けば、真乃の真っ白な背中があらわになった。

 

「――!」

 

 はっと真乃が息を呑み、素早く後ろを振り向く。

 真乃はすでにブラジャーを外していた。かばうように両腕は胸を押さえていて、二つのふくらみは実に柔らかそうに潰れている。振り向いた拍子に片手に持ったブラジャーがヒラリと揺れた瞬間、由梨は目ざとくブラジャーを見つめた。

 

(黄色)

 

 口の中でだけそう呟く。

 黄色いブラジャーには白い花のプリントが施されていて、胸の間には小さな黄色のリボンがある。ひらっとブラジャーが動いた拍子に見えたホックは三段で、二段ホックのブラジャーで事足りるくらいには胸が控えめな由梨の苛立ちを煽る。

 

「あっ……あ、タオル……!」

 

 驚きながら振り向く真乃はショーツしか身に着けていない。

 

「へえ、可愛いブラしてるんだー!」

「……あ……!」

 

 桃音に言われてブラジャーを手にしたままだと気付いて顔を赤らめる真乃を前に、桃音は密かにほくそ笑む。

 

(これなら全部映るはず!)

 

 後ろ向きで服を脱いだ真乃をようやく正面から捉えられた、となぜか勝ち誇りたくなる桃音。

 真正面から見ると、真乃の肢体の美しさが強く感じられる。真乃にカメラを向けながらも盗み見る由梨と千春も、真乃の身体に釘付けになっている。

 

「すご」

 

 二人は果たして、真乃のどこを見てそう呟いたのか。

 どこであっても真乃の身体が非常に美しいことは変わらない。羞じらいに赤らんだ顔は相変わらず尋常でない可愛らしさで、ほっそりした肩に対して隠された胸の豊かさが目立つ。胸の膨らみの豊かさとは対照的に腰ははっきりとくびれており、お腹には贅肉のひとつも見当たらない。

 

(脚キレイすぎない?)

 

 由梨は真乃の下半身に視線を向ける。

 真乃がこちら側を向いたことで、ショーツのフロント部分がはっきり見える。ブラジャーと同じ明るいイエローのショーツにも前面に白い花が描かれていて、真乃の可憐さを引き立てる。昨日の盗撮動画で確認した限りでは尻は大きめのようだったが、立ち姿を見ると身体の均整は取れていて、それなりに肉付きのある太ももも真乃の身体にはベストな太さだと感じられる。

 

(男ってこういうオンナ好きだよねー)

 

 整ったプロポーションをジットリと眺め回して、心の中で悪態をつく。

 

「……あ、あのっ……」

 

 ブラジャーを持っていると指摘された真乃は、慌てた様子で畳んだ制服の上にブラジャーを置いて桃音に向き直る。

 制服の上下の間にでも挟んでブラジャーを隠したいところだが、タオルを取られて動転した真乃はそれどころではない。目を潤ませた真乃は切実そうな表情で、じっと桃音を見つめて。

 

「タオル……返して、もらってもいいかな……」

 

 語気を強めることも出来ず、困った顔で弱気にお願いする真乃。

 その後ろの棚には真乃の畳まれた制服とブラジャーがある。両腕で胸を隠しているとはいえトップレス姿で、ブラジャーもショーツもよく見える状態のまま目を潤ませる真乃の姿は何とも嗜虐心を煽るものだ。

 

「えー、なんでー? 女同士だし別に良くなーい?」

 

 言いながら、桃音は真乃の上半身にあからさまな視線を注ぐ。

 肩を縮めた姿勢の真乃の鎖骨はくっきり浮き上がり、華奢な首元と豊かな胸の膨らみの対称性が眩しい。かばうように胸を隠す両腕の中でむにゅっと潰れたバストはよく見れば腕に肉が乗るほど豊かで、桃音は絶妙な稜線を辿るように瞳を動かす。

 

「っ……で……でも、……恥ずかしいよ……」

 

 消え入りそうな声で真乃は言うが、ヤケクソ状態で加害欲に囚われた桃音の暴走は止まらない。

 

「櫻木さんのおっぱいおっきくて羨ましいんだよねー! ねえ、参考にするからよく見せてよ!」

「え……?」

「見たらタオル返してあげるから! ね! いいでしょー!」

「あ……、え、……あの……」

 

 何か言おうとする真乃だが、頭は混乱してしまってうまく言葉が出せない。

『参考にする』とは何なのか、見せたくはない、恥ずかしい――いくつもの気持ちがない交ぜになって黙ってしまう真乃を桃音は急き立てる。

 

「見せてってー! すぐ終わるから! 早く早くー!」

「あ……、……あの、少しだけ……なら……?」

 

 しつこく食い下がる桃音に負けて、真乃は胸を隠す腕から徐々に力を抜く。

 半球が潰れかけるほどだった腕の力が抜けるにつれ、胸は元の丸みを取り戻す。ブラジャーの跡もほとんどない白い肌が少しずつあらわになって、ついに桃音の前に真乃の乳房の全てが晒される。

 

「え、めっちゃ綺麗ー……!」

「……っ……!」

 

 歓声を上げる桃音の正面、真乃は恥ずかしそうにうつむいてしまう。

 すぐにでも胸を隠そうとして、腕は半端に上がっている。しかし乳房を隠せはせずに、真乃は桃音の――そして由梨の手元にある録画中のスマートフォンに向けて、自分の身体を晒してしまうのだ。

 

「や、すごい、ほんと綺麗ー。なんかしてるの?」

「……な、何か、って……?」

「育乳ー? みたいなー?」

「……っ」

 

 目を潤ませてかぶりを振る。

 

「わ、揺れた!」

「っ……!」

 

 大声を上げる桃音に、真乃はますます萎縮する。

 桃音の視線は真乃のバストに釘付けだ。同い年とは思えないほど真乃の乳房はしっかりした膨らみを持ち、ほとんど大人と変わらないように見える。それでいて豊かな丸みの中心にある乳首は淡いピンク色で乳輪も小さく、美しすぎる胸は見ていると無性に腹立たしい。

 

(顔可愛いだけじゃなくて身体も綺麗って何?)

 

 たとえば由梨は化粧をすれば美人だがメイクを落とせばとんでもない地味顔で、千春は可愛い顔はしているが太っている――桃音自身はパッとしない平凡な顔立ちなうえ、身体だって特別綺麗なわけではない。

 それなのに、目の前にある真乃の身体はあまりにも麗しく、完璧な造形をしていた。

 

「へー、すごーい」

 

 悔しさを誤魔化そうとして、桃音は真乃の胸に触れる。

 

「っぇ……?」

 

 生乳の稜線に添えられた桃音の手に、真乃は何が起きたか分からないと目を見開く。

 仲が良いわけでもないクラスメイトが直接肌に触れてきたのだ。いくらなんでも常識外れな行為に真乃が呆然とするのを良いことに、桃音は真乃の下乳を支える手を上下させてみる。

 

「すごーい、プルプルだー」

 

 手のひらに伝わる確かな重みと柔らかさ。

 桃音が手を上下に動かせば、ぽよんぽよんと乳肉が揺れる。透明感のあるバストは形を持った水のようでもあり、桃音は手の中にある胸を確かめるように軽く掴む。

 

「ぁ、」

 

 むにゅ、と形を変える乳房の奥から真乃の体温が伝わった。

 思ったよりも熱く感じられたのは初夏の気温のせいか、それとも羞恥心に駆られて体温が上がっているのか。しっとりときめ細かな素肌は桃音の手に吸い付くようで、首や身体のあちこちにアトピー跡が残る桃音は触れているだけで真乃への嫉妬に狂いそうだ。

 

(こんなの、何してもいいよね)

 

 どうせ綺麗な身体なのだ、自分が何をしたって構わない――まったく理屈の通っていない考えが浮かんで、桃音は指を伸ばして真乃の乳首を引っ掻く。

 

「っ?」

 

 カリ、と真乃の乳首に爪を立てる。

 小ぶりな乳首は勃起もしておらず、桃音の指先にはふにゃっと柔らかい感覚が伝わる。その後も何度か爪を立てて引っ掻いてみるが、真乃は困ったように眉を下げては桃音の表情を窺っている。

 

(……どうして……?)

 

 そこにあるのは純粋な困惑。

 性感帯は未熟で、乳首を引っ掻かれても快感は生まれない。胸の先に摩擦を受けても他の部分の素肌をこすられたのと感覚は変わらないが、プライベートゾーンの中でも極めつけの場所に触れられているという嫌な感じは強い。

 

「あ――あの、……」

 

 さして親しくない桃音を何と呼べば良いのか迷うような沈黙の間も、桃音は真乃の乳房で遊ぶ。

 カップの下部分を指と手のひら全体を使って掴み、ゆっくりと揉んでみる。ふにゃっとやわらかなバストは自分の胸を触るのとはまるで違う感覚で、桃音は話に聞く痴漢の気持ちが分かるような気がした。

 

「うわー、ほんとすごーい……」

 

 呟きながら、真乃の乳首をピンと弾いてみる。

 

「く……くすぐったいよっ……!」

 

 困惑するばかりの真乃だが、さすがに乳首に触れられる不快感は強いらしい。

 身をよじれば桃音の手は離れてしまい、真乃の乳房は桃音が触る以上の大きな揺れを見せる。ぷるんっ!と瑞々しい大きな揺れを見せた後も乳房は余韻のように震え続けていて、桃音は口を半開きに乳房を見つめてしまう。

 

「わ、すっご……」

「……!」

 

 少しでも胸を隠したいと思ったのか、きゅっと腕を寄せる真乃。

 そのせいでかえって谷間が深くなり、ますます身体の魅力が際立つ。腕に寄せられたバストは楕円形に変わるさまに目を奪われる桃音だが、真乃が目元に力を入れ、彼女なりに抗議しようとしていることに気付くとヘラっと笑みを浮かべて。

 

「ごめんごめーん、調子乗りすぎちゃったー」

 

 あくまで女同士のじゃれ合いが行き過ぎただけだと伝えるように、冗談めかして謝罪する。

 

「う、うん、大丈夫……っ」

 

 真摯さのかけらもない謝罪で真乃の気持ちが晴れるわけもないが、だからといって怒りや悲しみを伝えられるほど真乃は強くない。

 行き場のない心の靄を持て余した真乃にとって、今一番気がかりなのは自分がトップレス姿を晒し続けていること。身体を隠すためのバスタオルは桃音が腕にかけてしまっていて、真乃は遠慮がちにタオルに目を向ける。

 

「それより、着替えるからタオル、返して欲しいなって……」

「えー、なんでー?」

 

 この期に及んでとぼける桃音。

 

「……っ……」

 

 更衣室の時計を見れば、授業開始までもうほとんど時間はない。

 授業が始まった時にプールにいなければ、体育教師は更衣室まで様子を見に来るかもしれない――これ以上誰かに身体を見せるなんて考えるだけで辛いことだ。

 桃音と向き合ったまま、真乃は傍らにある着替えに視線をやる。

 

「……」

 

 とにかく着替えなければいけないし、そのためにはショーツを脱がなければいけない。

 強いためらいを覚えながらも、真乃はショーツに指をかける。

 

「っ……」

 

 震えながら、桃音たちの前でショーツを下ろす真乃。

 いま背中を向ければ桃音を拒絶したことになると思って、真乃は後ろ向きになることも出来なかった。桃音の視線は脚から下ろされるショーツを見つめていて、見られながらショーツを下ろす恥ずかしさは尋常ではない。

 

「あ、あまり見ないで……っ……」

 

 絞り出すように言って、ついに真乃は全裸になった。

 手にショーツを持った真乃は、大急ぎで水着を引っ張り出す。早く肌を隠さないと、と急ぐ真乃だが、唐突に「待って!」と桃音が声を上げたので動きを止めてしまう。

 

「櫻木さんって、下の毛剃ってるの!?」

「っ……!」

 

 言われて、真乃は泣き出しそうな表情に。

 真乃のその場所には毛が一切生えておらず、お腹から地続きのなめらかな素肌があらわになっていた。

 桃音たちは陰毛を軽く整えることくらいはあるものの、完全な無毛にはしていない。物珍しさにジロジロと遠慮ない視線を向ける桃音は、驚いた素振りで立ち位置を調整。

 

(この位置なら、カメラに全部映るよね?)

 

 悪巧みをしながら真乃の秘所をジロジロ眺める桃音。

 完全に無毛の秘所には毛穴や剃り残しも見当たらない。透明感のあるその場所は澄み渡って見えて、身体の真ん中にあるスジのわずかな窪みまでくっきりと現れている。

 

「み、水着の撮影とかもあるから……っ、だから、アイドルのお仕事を始めてからは……そ、剃るようにしてて……」

 

 桃音の目には奇異に映ったと思ったのか、真乃の言葉はどこか言い訳がましい。

 

「へーっ、初めて見たー」

 

 言いながら、桃音は真乃の後ろに回り込んで両手首を掴む。

 

「!?」

「ふーん、なるほどねー、参考になるなー」

 

 後ろから首を伸ばして秘部を見つめ、そんなことをブツブツと漏らす桃音。

 明らかに違和感のある体勢を取ったのは、由梨が持つカメラに真乃のフルヌードを確実に捉えさせるため。ここまで来れば多少の違和感があっても構わないだろうと不自然な行為を取る桃音に対し、真乃は手にしていたショーツを取り落として硬直する。

 

「――」

 

 何が起きているのか、真乃には分からない。

 恥ずかしいことが立て続けに起きている。タオルを取られて、胸を触られて、挙げ句裸で手首を押さえられて――頭の中で状況の整理がつくにつれ首から上はみるみる赤らんで、赤味が頭頂に達した瞬間真乃は声を上げる。

 

「あ、あの……っ!」

 

 泣きそうに震えた声が更衣室に響く。

 桃音が真乃の顔を見れば、真乃は長い睫毛を震わせていた。どうしてこんなことになったのか、と問いたげな瞳は揺れていて、真乃は明らかに桃音を警戒している。

 

(まあ、このくらいやればしっかり映ったかなー?)

 

 真乃の様子から潮時と悟って、桃音は真乃の手を離す。

 

「色々参考にしたくてさー、勉強になったよー。ありがとね櫻木さん」

「う……うん……」

 

 桃音が手を離すと真乃はすぐに水着を引き寄せ、胸に抱くようにして大事な場所をかばう。

 胸の前に当てた水着と自由になった両腕のおかげで乳首や割れ目こそ隠れたものの、胸の膨らみは隠しきれるものではない。裸を晒した反動か肩を縮めて身を守るように腕を寄せたせいで真乃の乳房は押し潰され、谷間は首のすぐ下から始まってすら見えた。

 

(参考って……どういう意味なんだろう……?)

 

 結局桃音が何を考えているのかは最後まで分からなかったが、今はとにかく服が着たい。

 お礼を言った桃音が由梨と千春に合流すると、真乃は大急ぎで後ろを向いて水着に脚を通す。授業までの時間もなく、何より早く裸を隠したい――と急いで水着を着る真乃の後ろ姿まで、由梨はしっかりと録画していたのだった。

 

●

 

 ――そんな動画は由梨から圭太へ、圭太からクラスの男子全員へと渡される。

 動画を送ってからしばらく、グループチャットは静かだった。改めて動画を見返した圭太はすでに二発放っていて、今はスマートフォンを横目に真乃の写真集を開いているところ。

 

(櫻木さんの裸、あんなんなんだ……)

 

 水着姿の写真を見れば、激烈な性欲が襲ってくる。

 これまでも淡い欲望はあったものの、それ以上にクラスメイトがアイドルになった驚きと静かな尊敬があったのに、今の圭太には過去の自分のことが曖昧だ。どんな衣装を着ている真乃を見ても、服を剥がした裸を想像しては股間が硬くなってしまう――圭太が硬くなったペニスをいじり始めた頃、スマートフォンから通知音が鳴った。

 

田中(か):おっぱいでっっっっっっっっか!

 

 そんなメッセージが出てほどなくして、次のメッセージが届く。

 

こさ君:射精&射精

植木俊介:えろすぎ

 

 メッセージが届く間隔は次第に短くなり、怒涛の勢いでグループチャットが騒ぎだす。

 

へいぞる:一生これで抜く

つゆりん:乳首の色が芸術的でした

ゴッシー:精子とまんないんだけど無限に出る

隼人:いやーこれはエロいわ笑 明日から櫻木さんのことそういう目でしか見れない笑笑

 

 速度を上げるチャットに、圭太もメッセージを書き加える。

 

けいた:だよな!?

   マジエロだからすごいよ

   みんなどこで抜いた?

ゆーま:乳首くすぐられてるとこで我慢できなくなった

杉村くん:わかる

つゆりん:服脱ぐとこでもう出ましたね

 

 煮え立つような興奮のメッセージが連なる。

 

田中(か):てかこれ水泳の授業の時?確かに櫻木さん元気なかったよね

つゆりん:おっぱいしか見てなかったのでわからないです

植木俊介:ケツしか見てなかったから分からん

隼人:俺は腰も見たけど?笑

こさ君:やばww

 

 メッセージを見て大きく頷きながら、合間に動画を見返す圭太。

 クラスの女子に恥ずかしい目に遭わされた真乃は少なからず傷ついているだろう。しかし、その裏で一部始終が撮られ、男子に回されているとは思いもしないはず――それなのに自分たちは真乃の裸を知っているのだと思うと男たちは異常なほど興奮に駆られ、ますます熱心に真乃の身体について書き立てる。

 

へいぞる:パイパンなのやべーー前の動画の時もパイパンだったてこと??

隼人:でしょ、パイパンって痴女しかやんないと思ってた

ゴッシー:胸尻デカすぎィ

杉村くん:最後の水着着ようとするとこエロくなかった? 足上げてるからプリケツ揺れてさあ

田中(か):わかる!!!!!

 

 絡み合う欲望のまま、彼らは何度もメッセージを送り合う。

 

隼人:乳首くすぐったいの可愛いよね開発したい笑

田中(か):乳首イキできるようになったらアイドル続けられねーだろ

こさ君:今更?w

へいぞる:あの身体がうちのクラスのあるのやばくね?

ゴッシー:パイパンなの感動してる

ゆーま:おっぱいでいっぱいになった

 

 クラスの男子は全員、櫻木真乃に魅了されていた。

 可愛らしい顔、控えめな性格と態度――そして裸。見知った場所で行われた盗撮は彼らの欲望に薪をくべ、チャット欄が止まる様子はない。

 

杉村くん:しゅんすけいなくね

植木俊介:ごめんまた抜いてた(4回目

ゴッシー:4!?俺と同じじゃん

へいぞる:シコシコとまんねー

 

 好き勝手にメッセージを連ねるメンバーは時おり出入りがある。

 誰かが長く黙るのは、大抵そいつがオナニーを始めたから。十分も待てばメッセージが途絶えた者は戻ってきて、律儀にどこで抜いたかを報告してくる。

 

隼人:櫻木さんがパンツ脱ぐとこ見て射精した笑 顔かわいいと捗る

つゆりん:チャット見てたら櫻木さんのケツで射精したくなってきたのでちょい抜けます

けいた:射精報告する流れ何? 俺は胸揉まれてるとこ

ゴッシー:やっぱそこよなーでも全裸見ながら出すとありえん気持ちいい

ゆーま:やばまたシコる

 

 多少のメンバーの出入りはありつつも、男子だけのグループチャットの盛り上がりが衰えることはない。

 

田中(か):五時じゃん、徹夜朝練きちい

つゆりん:今日は授業中寝ます

こさ君:寝たいけど夢精しそうでやばい

ゆーま:休みたい気持ちと櫻木さん見たい気持ち半々くらい

植木俊介:俺は櫻木さん見たいから学校は行く、授業はまあって感じ

隼人:シコるの落ち着いたら行くけど無理かも笑

 

 カーテン越しにも朝日が感じられるようになったが、圭太たち男子はみんなスマートフォンから放たれる輝きに夢中。

 小さな画面の中では何度も盗撮動画が再生される。

 見慣れた制服姿よりも、いつでも見られるアイドル姿よりも、裸の真乃が目に焼き付いて仕方なかった。




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