出会い
「仕事辞めようかな……」
今の生活になってから、もう何度そう呟いたことだろう。
色恋にうつつを抜かすこともなく、ひたすら平凡だった小中高大にかけての学生生活。
就職先は「実家から近いから」という理由で決めた地元の中小。
最低限の努力さえしていれば人生は続いていくことに胡坐をかいていたそんな自分に、社会は優しくはなかった。
残業、ノルマ、人件費・経費削減、口先だけの働き方改革、クレーム、年功序列……止めどなく押し寄せる理不尽。
それでも、給料のため、数少ない趣味のためとひたすらに耐えてきた。
――そう言い聞かせて、ただただ堪えること6年、それももう限界だ。
「……ちょっと寄り道しよ」
6年間歩き続けた、全く代わり映えしない会社からの帰路。
特に寄りたい先ややりたいことも無く、いつもは真っすぐに帰宅していたが、今日は何故か訳もなく歩いていたい気分だった。
そう思い立つと同時に、自宅まであと数百メートルというところで横道に入り、異なる方向へと向かって歩き出す。
実家は駅から近いとはいえ所詮は片田舎の街、住宅地を少し歩き続ければ、山沿いの道路へと入ってしまう。
しかし、そんなことはどうでもよかった。
頭の中に溢れるこの雑念を、少しでも薄められるなら。
※ ※ ※ ※ ※
交通量もたいしたことのない寂れた山沿いの道路。
頭上に広がる夜空を見上げながら歩くこと1時間ほどだろうか、気が付けば既に山頂近くまで来ていたようだ。
ふとガードレールの傍へと歩み寄り、眼下に広がる街明かりを眺める。
「いっつもあの光の中でせこせこ働いてるんだよな、俺……」
美しい眺めではあるが、今の自身の心が洗われるほどではない、その程度の些細な感動。
少しの落胆とともに、今度こそ帰宅するために来た道を戻ろうと思った、その時だった。
――道路の脇にひっそりと立っていた街灯が、唐突に明るい輝きを放ち始めたのだ。
余りに急なことに目がくらみながらも、視線をその先にやると、街灯は山道へと向けて一定の間隔で並んでおり、それまで夜闇に覆われていた道を遥か先まで明るく照らしていた。
その幻想的とすら感じる光景を前に、気が付いたときには足はそちらの方へと歩みを進めていた。
街灯を通り過ぎるうち、その奥の山の様子が少しずつ変わっていくことに気が付く。
最初はただ木々が鬱蒼と広がっているだけだったが、少し進むと美しい装飾を施された鉄柵が現れ、更に進んだ先では柵の向こう側に壮麗な洋館が姿を見せ始める。
「なんだこれ……こんなの前来た時あったか……?」
そのまましばらく歩き続けたところで、巨大な門が目の前に現れた。
正門であろうその先には、それまで見てきたものより一際大きな屋敷と、建物正面のロータリーを囲むように荘厳な庭園が広がっている。
山奥に突然に表れたその広大な敷地を前に思わず息を呑み、ただただその様を眺めていたその時。
「こんばんわ、お兄さん」
唐突に聞こえた声の方向を振り向くと、いつの間にかすぐ隣に一人のスーツ姿の女性が立っていた。
ほんの直前まで微かな気配も感じさせなかったその女性は、口元に穏やかな笑顔を湛えて真っすぐに自分を見つめている。
「あ、ども……」
挨拶を返しながらも思わず視線を外してしまったが、数瞬目にしただけで分かるほどの美人で、このような山奥でぼんやりと立ち尽くす不審極まりない自分にも優しく声をかけてくれる人であった。
「よくこんな山奥の屋敷を見つけられましたね。失礼ですが、どのようにしてここへ?」
「どのようにっていうか……目的も無くぼんやり歩いてただけなんですけど」
「へぇ、歩いていただけですか」
女性からの不可思議な問いかけと、それに対しての自分の歯切れの悪い回答。
そして、気まずい沈黙が流れる。
「……あ、なんかすいません。すぐ帰るんで……」
沈黙に耐えかね、精一杯の勇気で自分から切り出し、足早にその場を立ち去ろうとする。
「待って」
そこに、背後から女性からの声がかかり、思わず反射的に振り返る。
「よかったら、ちょっと寄っていきません?」
「え?」
女性からの予想だにしない提案に、思わず間抜けな声で返してしまう。
「ここ、実は私が経営してるクラブで、私選りすぐりの可愛い女の子と遊べるところなんですよ」
「女の子と遊べる……」
「ふふっ、まぁ『オトナの遊び』ですけど。どうです?」
門の向こうの屋敷を指し示しながら自分の目の前まで歩み寄ってきた女性は、先ほどまでとは打って変わって、妖艶な笑みを浮かべ誘うように語り掛けてくる。
「あー……まぁ、うん、魅力的な話ではありますけど……」
「ああ、それと」
さりげなく靴のつま先が触れあうほどの距離まで近づいてきていた女性は、とっさに顔を背けた自分に合わせるようにその側面に顔を近づけてくると、そっと耳元で囁いてきた。
「――お兄さん、童貞でしょう?」
「なっっ――!!」
図星も図星。
分かりやすすぎる反応で返してしまった自分に、女性は嘲るようなものは感じないものの、含むようにクスクスと悪戯に笑う。
「あぁ、別に悪いってことじゃないんです。むしろそれなら、うちで初体験していってもらえたらなぁ、って思ってるくらいで」
「初体験……」
先ほどから、ひどく揺らぐこちらの心情を手玉に取るような女性の語り掛けに、動揺を隠せないままにそう呟いたその時、門の向こう側、屋敷のドアが開くと、一人の少女がこちらに向けて駆けてくるのが目に入った。
「オーナーさーん!!」
セーラー服を着た、140もないのではないかというような小柄な体に対して、肉付きのよい手足を振りながら走ってきたその少女は、自力で懸命に門を押し開けると女性の傍に駆け寄る。
「あら、優花ちゃん。こんばんわ」
「こんばんわです!あのっ、夕礼をお願いしたくって――」
女性に対して元気よくはつらつとした挨拶を返した優花ちゃんと呼ばれた少女は、会話の途中でこちらに気が付きニコっと屈託のない明るい笑顔を向ける。
「あ、もしかしてお客さまですか?いらっしゃいませ!」
見た目の幼さに対して、非常に行儀よく、丁寧な挨拶をする優花ちゃん。
遠目にも気づいていたが、より近くで彼女を見つめたその時、自分は完全に目を奪われてしまっていた。
混じりけの無い艶やかな黒の短髪に、その前髪を分けておでこを出すスタイル。
優しげなタレ目とこちらを真っすぐなまなざしで見つめるイエローの瞳、そして、そこにそっと添えられる黒のアンダーリムのオーバル眼鏡。
幼く可愛らしいその顔つきだけでも十二分にこちらの心を射止める優花ちゃん。
だが、中でも特にこちらの心を掴んで離さないのが、その幼い印象に対して強烈なギャップを感じさせる、先ほども注目していた全身の肉付きの良さと、セーラー服の上からでも柔らかな揺れによってその存在をはっきりと感じることが出来る、発育の良すぎる巨乳。
30年近くに渡り拗らせが過ぎた結果、女性にさっぱり縁のなかった人生であったが、長年自分の求めた「理想像」が間違いなくそこにはあった。
「……?お客さま?」
「はっ……!?あ、あぁ、どうも……」
思わず心の中で早口に妄想に耽っていたこちらに、不思議そうな視線を向けた優花ちゃんに対して、自分はハッとしてしどろもどろに挨拶を返した。
「……ふーん?なるほどなるほど」
その様子を横目に見ていたようで、オーナーと呼ばれた女性は何やら笑みを浮かべると、優花ちゃんの後ろからその小さな両肩に手を置き彼女に話しかける。
「ねぇ、優花ちゃん。今からこのお客さまのお相手、出来る?」
「あ、はいっ、わかりました!」
こちらに目配せしながら口にしたオーナーさんのとんでもない発言だったが、対する優花ちゃんもあろうことか二つ返事で即答する。
「――えっ、はぁっっ!!?いや、だってその子、あの、えぇっ!?」
「言ったでしょう?私選りすぐりの可愛い女の子、って」
衝撃的な事実と、それに対してあまりに軽快に過ぎるやり取り。
つまるところ、この屋敷で男性たちの相手―性接待をするのは、この少女なのである。
大きく取り乱すこちらのことを面白そうに眺めるオーナーさんと、そのようなことも意に介していないようにこちらに駆け寄り、満面の笑顔とともに手を取ってくる優花ちゃん。
「じゃ、早く行きましょう!お客さま!」
「いや、その、俺は……」
とっくに心を決めた、否、そのような大げさなことですらないのであろう優花ちゃんに対し、自分は何か心の奥につっかえているもののせいで踏ん切りがつかずにいた。
理想とする少女がそこに居るというのに踏み出せない、今胸の内にあるこれこそが、罪悪感なのだろう。
「さて、どうします?お客様。もちろん、どうしてもというのであれば引き止めはしません。そのままお帰り頂いて結構です」
自分勝手な葛藤をぐるぐると続ける自分を、にこやかに見守っていたオーナーさんだったが、不意に真剣な表情になるとそれまでより少しトーンを落とした声でこちらに語り掛けてきた。
「――ですがそうした場合、あなたは二度とここには戻って来られない」
「……!!」
「おかしな話に聞こえるかもしれませんが、事実です。それを考慮したうえで、ご自身で決めてください」
先ほどまでの気さくな姿とは一転し、こちらを試すような口ぶりのオーナーさん。
本人も言うように、さっぱり現実味を感じない不可思議な問いかけだが、彼女の表情は嘘をついているようには到底思えない。
「俺は……」
選択を迫られる中、ふと手元に目をやると、自身とオーナーさんの意味深なやり取りを前に不安そうな表情を浮かべ、その小さな手で自身の腕を握りしめる優花ちゃんの姿が目に入る。
微かにだが震えるその手を目にした瞬間――迷いは消え失せた。
「……優花ちゃん」
「はいっ、なんでしょう?」
小柄な優花ちゃんの目線に合うよう膝をつくと、彼女の手を取り、真っすぐに彼女を見つめる。
自身と目が合った直後にハッとした彼女は、先ほどまでの不安そうな顔を隠すようにとっさに笑顔を作り返事をした。
あまりに健気なその姿に、改めて意を決した自分はやっとのことで口を開き、彼女に伝えた。
「――俺で、いいかな」
動機も目的も不純極まりないが、一世一代の告白。
そんな情けない言葉にも、優花ちゃんはにっこりと笑顔を浮かべてくれる。
そして
「はいっ!もちろんです!」
こちらの決意のほどを察するように、めいっぱいの元気な返事を返してくれた。
その様子に、オーナーさんは満足そうに再びの笑顔を見せる。
「決まりみたいですね。歓迎いたします、お客様」
オーナーさんがこちらに言葉をかけた直後、彼女の手ぶりを合図とするように正門が音を立ててひとりでに開き出す。
優花ちゃんの手を取ったまま立ち上がった自分に、オーナーさんは向き直ると、深々としたお辞儀と共に歓迎の言葉をかけた。
「――ようこそ、乙女の秘密の園、クラブ『Euphoria』へ」
※ ※ ※ ※ ※
クラブ「Euphoria」、その本館のエントランス。
外観からもその規模は分かっていたが、内装も相応に豪華なものだった。
映画の中でしか見たことがないような極めて広い玄関ホールと、左右から半円を描いて伸びる階段に、天井から吊るされた巨大なシャンデリア。
そして、各所に配された見るからに高級そうな数々の調度品や絵画。
そんな中、自分はこれまた豪勢な造りをした椅子に座らされながら、ひどく自身の場違いを感じていた。
「ふふ、落ち着きませんか?」
自分の隣で何やら書類をすらすらと書きながら、オーナーさんがこちらに声をかけてくる。
「え、ええ、なんというか、自分みたいな者がこんな凄いとこに居ていいものなのかと……」
「勿論ですよ。キャストの準備が終わるまでもう少しかかりますので、それまで存分に寛いでください」
「どうも……」
彼女の気遣いの言葉で幾分か気は楽になったが、それでも落ち着かない。
恐らく、この緊張の一番の要因は――
「お客さま、お待たせしました!」
そう横から明るく元気のよい声がかかったところで、それまで自分が最も緊張の要因として感じていた「期待」の感情が胸の内で爆発する。
声の方向を振り向き、相手の姿を視界に捉えたその瞬間、自分はそこに映った光景のあまりの衝撃に硬直してしまう。
「改めまして、今夜のお相手をさせていただきます、茶倉優花です!」
先ほどまでセーラー服を着ることで童顔ながらそれなりの「年齢らしさ」を感じさせていた優花ちゃん。
しかし、今目の前にいる彼女の格好は、こちらの歪んだ欲望を掻き立てる、刺激的に過ぎるものだった。
ポップなキャラクターの画像が正面に印刷されたいわゆる女児向けのTシャツ、それに合わせるような低年齢向けデザインの水玉模様のひざ丈ソックスに、子どもでも簡単に着脱可能なマジックテープ式のジュニア向けシューズ。
それらコーディネートは全てピンクのパステルカラーで統一され、一般に思い描かれる「幼さ」をこれでもかというほど前面に押し出している。
それだけでも自分の視線をくぎ付けにするには十分だったが、その中でも一際こちらの心を狂喜させるのが――スカート・ズボンの類を一切着用せずに丸出しの、これまた幼い印象をより一層強烈にする可愛らしいいちご柄の女児パンツ。
綿100%の優しい材質に包まれたふくよかなおしりと、そこから伸びるむちむちとした太ももは、こちらの脳を欲望で満杯にしフリーズさせるほどの破壊力であり、それを見つめ続ける中で、自身の下半身がみるみる熱を帯びてゆくのがはっきりと分かった。
「?お客さま?どうかされましたか?」
可愛らしさと淫靡さが同居した優香ちゃんの姿を前に硬直している自分を、彼女は不思議そうに上目遣いで覗き込んでくる。
本人は全くの無自覚なのだろうが、追い討ちとばかりに、Tシャツの上からでもはっきりと輪郭のわかる巨乳が揺れ、それを目にした瞬間、自身の下半身に感じていた熱量が、物理的な脈動を伴ったものへと変わる。
二人の間に流れる沈黙の中で、オーナーさんは何かに気がついた様子でニヤリと笑みを見せると、優花ちゃんの背後から彼女の両肩に手を添え、耳元で語りかけた。
「優花ちゃん、お客様はね、あなたのえっちな格好を見て、言葉も失うくらい興奮してるみたいよ?」
「!えへへ、そうみたいですね……」
オーナーさんの視線を追うようにこちらの下半身へと視線を落とした優花ちゃんは、ハッとして微かに頬を赤らめると照れくさそうにはにかんだ笑みを浮かべる。
二人に釣られるようにして自身の下半身に目を向けるとそこには、スラックス越しに大きく膨らんだ股間がもっこりと激しく自己主張していた。
「――あっ!!これは、その……!」
「いいんですよ、それで。お客様にそうなっていただくために、この格好を制定したんですから。ね、優花ちゃん」
慌てて前かがみになり必死に股間を覆い隠す、そんな情けない自分の様子を目にしても、オーナーさんはあくまでにこやかにそう言い放ち、そんな彼女の言い分に優花ちゃんもうんうんと頷いて返す。
「さて、じゃあお客様が優花ちゃんを襲っちゃう前に、簡単に説明だけしちゃいましょうか」
こちらの様子を茶化した軽口を一つ叩いてから、オーナーさんは受付に置いていたバインダーを手に取ると、挟んでいた書類に目を通しながら内容を読み上げ始める。
「今夜、お客様のお相手させていただきますのは、こちらの優花ちゃん。お部屋は512号室で、ご案内は最初に彼女の方からさせていただきます。利用時間については4時間、以降は延長料金となります。敷地内の施設は全てご自由に利用いただいて構いませんが、お客様は今夜が初めてということですから、個室の利用をお勧めいたします。……こんなところですかね。では、よろしければこちらにサインを」
手早く、しかし丁寧に説明を済ませてくれたオーナーさんから書類を差し出され、促されるままに署名する。
「……はい、愛沢様ですね、確認いたしました。では、最後に一つ、とても大事なお話を」
書類を受け取ったオーナーさんは、姿勢を正して自分に真っすぐ向き直ると、つい先ほども見せた真剣な表情になる。
「優花ちゃんですが、私との契約で、前穴つまりヴァギナでの性交は禁止としております」
「セックスは禁止、ですか……」
「ええ、大変申し訳ございませんが、ご了承ください」
このような美少女の性接待を受けられるだけでも、普通はあり得ない贅沢な話ではある。
――あるのだが、それでもやはり、オーナーさんから告げられたその事実は、自分をそれなりに落胆させた。
あからさまに落胆する自分の姿を見たオーナーさんは、先ほどまでの真剣な表情を崩して不意に苦笑すると、一つ咳ばらいをしてから再び話し始める。
「まぁ、大事なことなので少し大袈裟に言いましたけど、男性器の挿入を含まない愛撫や素股は対象外ですし、逆に言えばヴァギナでさえなければ、好きな優花ちゃんの穴でセックスしていただいても大丈夫ということです」
「好きな穴で……それってつまり……」
先ほどまでの落胆からの、たった今オーナーさんから告げられた言葉により生まれた、思いもよらなかった期待感。
そんな自分の心中を察してか、オーナーさんは傍らに待機させていた優花ちゃんの横で膝をつくと、彼女の腰に手を回しこちらにその背を向けさせるようにして抱き寄せる。
そして、慣れた手つきで片手で彼女のパンツをずり下ろし、あらわになった尻肉を二本指でかき分けると、更にその奥に隠された仄かにピンク色を帯びたすぼまりをこちらに見せつけてきた。
「――前穴が処女な分、優花ちゃんとのアナルセックスはちょっとすごいですよ」
尻を弄ばれ微かに頬を赤らめる優花ちゃんと、焦らすように周囲の皺を撫でられひくひくと震える肉付きのよい肛門。
そのあまりにも艶やかで淫靡な光景に、先ほどまでの落胆は一瞬にして吹き飛び、股間の脈動はより一層大きく、痛いほどに跳ね上がる。
自分のその様子に満足そうに微笑んだオーナーさんは、優花ちゃんにパンツを履かせ直すと、彼女を自分の傍へと送り出した。
「ふふっ、じゃあこの続きはお部屋に行ってからのお楽しみってことで。優花ちゃん案内よろしくね」
「はい!オーナーさん!」
つい先ほどまであのような行為をされていたにも関わらず、相変わらずの明るい返事でオーナーさんに答えた優花ちゃんは、こちらに抱き着いてくると、小さくもふくよかで触り心地の良い腕を絡ませ、自分の顔を見上げて無邪気な笑みを向けてくれる。
「お客さま、それではお部屋に行きましょう!」
「う、うん、よろしく……」
積極的な優花ちゃんに促されるまま、自分はエントランスを後にし、館の奥へと歩き出した。
――その先に待ち受けているであろう、最早想像もつかないような体験の数々に胸を躍らせながら。