階段を上がり、自分の部屋に入る。僕はクローゼットから座布団を二つ引っ張り出してきて、部屋の真ん中に置いた。片方に腰を下ろし、もう片方を手で示す。
「ど、どうぞ」
しかし、藍はこちらを見たまま動かない。どうしたの、と視線を向けた先にあるのは藍の裸体である。僕は恥ずかしさについつい目線を逸らしてしまう。
「どうしたの?」
「奴隷ごときがご主人様と並んで座るなど、許されることではありません」
藍の返答は速い。僕は困ってしまった。しかし、そのまま立っていられるのも居心地が悪い。
「だったら……命令だ。座れ」
「かしこまりました」
思い切って命令してみると、藍は素直に従った。ああ……正座なんかしなくていいのに。
僕と藍は向かい合って座った。ここまで来たら、もう目を背け続けるわけにはいかない。僕は藍の裸体をじっくりと観察した。
まず目が行くのは、やはりその大きな胸だった。どう見ても手に収まりきらないボリューム感に、思わず顔をうずめたくなる。そして、薄ピンク色の乳輪と乳首は美しくその存在を主張しており、これまた思わず吸い付きたくなる。
これだけ立派な胸を持ちながら、腕もウエストもほっそりとしている。真っ白ですべすべな肌は輝いて見えた。
そして、綺麗に揃えて座る両足の奥には、黒々とした陰毛が茂っている。そのさらに奥にある、女性の一番大事なところは見えないけれど……藍の身体はこれでもかと僕の性欲をかき立ててくる。
そこまでじっくり眺めたところで気づいたが、藍は両手を後ろに回し、自身の身体が僕によく見えるような姿勢を取っていた。おそろしいほどの奴隷根性だ。
そこに来てようやく、僕は藍の顔を、そして目を見た。裸体をむさぼるように見た上で、今更かと言われても仕方がない。それでも、藍は目が合うと嬉しそうに笑顔を見せた。
まったく、これだけの美女がどうして僕の前で裸を晒しているのか、まったくもって訳が分からないし、信じられない。
急に罪悪感が湧いてくるが、一方で僕の股間は素直だった。藍の素晴らしく魅力的な裸体を前にしてガチガチに硬くなり、誰が見ても分かる程度にはズボンを押し上げ、いきり立っていた。
僕はさりげなさの欠片もない動きで座り直し、ポジションを直した。ちょうどそのタイミングで、藍が口を開く。
「何でも、ご主人様の好きなようにご命令ください」
なんと空気の読める奴隷なのだろうか。涙が止まらなくなりそうだ。
「じゃ、じゃあ……」
がっついているようで、みっともない。そんな体裁なんて気にする余裕はなかった。
「おっぱいを触ってもいい?」
我ながら、情けない声だったと思う。しかし、藍の行動は速かった。
「はい、どうぞ」
そう言うと、ズイと藍は身体ごと僕に寄せてきた。そして、思い切り胸を張って僕の方へと突き出す。美巨乳が、僕の眼前で踊っている。
「失礼します……」
ご主人様らしからぬ間抜けな台詞を言いながら、僕は藍の胸へと手を伸ばした。そして、恐る恐る手を触れる。
僕の指は、驚くほど素直に沈み込んでいった。
「うわあ……」
思わず声が漏れてしまう。やわらかい双丘は、僕の指の動きに合わせてふにゃりと形を変える。
僕は手を離し、自らの手のひらを見つめた。その手には、マシュマロのようにやわらかい感触と、ほんのり暖かい人肌の熱が残っている。
もう一度、今度は下から包み込むように掴んで、優しく揉んだ。やはり、両手には収まりきらない。揉むたびに手からこぼれそうになる。しかし、それでもいい。こぼれても、また手を伸ばせばそこには変わらぬやわらかさが僕を待っていた。
藍はわずかに頬を赤く染めながら、されるがままだ。僕は無心で藍の胸を揉みしだいた。幸せな気分で一杯になり、頭は真っ白で何も考えられない。
「…………」
揉み続けて、どれだけの時間が経っただろうか。
ふと顔を上げて、僕は驚愕した。部屋に帰ってきてから、優に20分は経っている。どれだけこの胸に没頭しているんだ、僕は。
「あ、ありがとう。もういいよ」
そう言って僕は藍の胸から手を離した。
「……」
「……」
僕は黙り込み、藍は僕の言葉を待っている。沈黙が続き、空気が重い。
今更ながら、僕は童貞である。というより、彼女いない歴イコール年齢の冴えない男だ。こんなときにどうすればいいのかなんて、見当もつかない。
「えーと……」
僕は部屋の中に視線を巡らせた。えー、こういうときは……。
「……マリカーでもやる?」
もう少しマシな選択ができる男に、僕はなりたかった。