※この作品はR-18です。

超能力楽園   作:のーーズ

2 / 2
第一章 迷子は運命に出会う

授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響き、教室に一息つく気配が充満する。

 

「太郎!また今度捜そうな!」

 

村野は言うだけ言って教室を飛び出していった。やれやれ。そんなに急がなくてもいいと思うんだが……少し羨ましい。熱中できるモノがあるなんて……しっとりした気持ちで嫁入り道具を鞄に詰め込み、教室をあとにした。

学校からの帰り道。どこかで道を曲がり損ねたのか?はたまた、一つ二つ前の道に入ってしまったのか?周囲の景色に見覚えがない。ときどき振り返って行きと同じか確認したのだけれど……迷った?

 

「メンド!来た道、また戻んの?」

 

太郎は来た道を戻って、見覚えのある景色をキョロキョロ探し回る羽目になった。

段々苛ついてきた。自分自身に。何度転校しても、町に馴染むのを方向音痴が邪魔をする。

 

「滝くん」

 

背後から山水のような涼しい声をかけられる。振り返ると綾野翼さんと目が合った。

転校生の太郎に、あれこれ教えてくれたクラスメイトだ。

 

「あっ、どもども」

「どもどもvどうしたの?」

「いやはや……」

「もしかして、迷ったの?転校したばっかりだし」

 

綾野は近づきながら、太郎に話しかけた。長い黒髪から甘い香りが漂ってきて、興奮した。

 

「はい、そうです……」

「わかるよぉ。私も同じだったから」

「綾野さんも転校してきたんだっけ、こっちに」

「そうだよ。滝くんの家って、たぶん私の帰り道の途中だし送るよ」

 

今日はラッキーデイv転校初日に超戦士を見かけるし、クラスの美少女と一緒に帰れるしで最高だな!浮かれて綾野について歩いていると、登校途中に見かけた公園を見つけた。後ろを振り返って来た道の景色を確認する。見覚えある。

 

「今朝もこの道を通ったの?」

「うん。僕ちん家、この公園の近くなんだ。有り難う、助かりました。学校んとき含めて」

「善意は善行にしなきゃ意味がないでしょ?いこう」

 

それから綾野は家の前まで送ってくれた。太郎はお礼にファミレスで食事に誘った。

 

「それは、奢りを期待しても……」

「もちろん!奢らせてください」

「ゴチになります!」

 

この女……間違いない。僕ちんに惚れている。そんな妄想をしながら店に入り、タブレットに注文をタップすると、綾野は変態という名の紳士を見るような目をしていた。

 

「どしたんす?」

「あの店員さん、隣のクラスかも」

 

太郎は綾野の目線の先にいる店員をみつめた。転校したばかりの太郎には何もわからなかった。だがわかることもある。勝ち気な目つきの美人系だ。おそらく雌犬。

 

「校則でバイト禁止なのに……」

「あー、チクったと思われるのは嫌だよね?」

「失礼な!心配しただけです!」

 

綾野は小ぶりな胸の前で×を作った。そして、二人は笑い合った。そこには確かに暖かい時間が流れていた。心が少しだけ繋がった。今日はラッキーデイ!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。