僕はまなみの言葉に耳を疑って、思わず聞き返してしまった。
「ご、ご奉仕?」
まなみはベッドに座ったまま、僕を見上げている。
「うん、ご奉仕。ていうか、セックスね」
「いや、言葉の意味が分からないわけじゃなくて……」
僕は顔をそむけて、まなみを強引に視界の外に追いやった。いきなりそんなことを言われても、心の準備ができていない。
しかし、まなみは考える暇も与えてくれない。
「したくないの?」
「……したいです」
「じゃあ、ご奉仕させてよ」
まなみはそう言うと、僕の手を掴んでベッドに引き込もうとする。
セックスは、したい。めちゃくちゃしたい。その上で、もう少し心の準備と言うか、覚悟を決める時間が欲しい。
僕は回らない頭を必死に回転させ、頭に浮かんだ言い訳を口にした。
「あのさ、僕って実は、童貞なんだよね」
「うん」
「だから、その、うちにコンドームの用意は当然無いんだよね」
「うん」
「つまり、今日はセックスは出来ないってこと」
チラリと時計を見ると、時刻は21時を回っていた。風呂に入った後のこんな時間にコンビニに行きたくはないし、こんな時間にまなみを出歩かせたくもない。
咄嗟にしては、なかなか悪くない論理だ。しかし、まなみはあっさりと言い放った。
「じゃあ、今日は口でしてあげる」
僕はベッドの横に立たされていた。まなみはベッドから降りて、僕の目の前に膝立ちになる。
「じゃあ、ズボン下ろすよ」
「……うん」
僕は素直に従うしかなかった。コンドームがないなら、コンドーム無しで出来るご奉仕をすればいい。そんなまなみの理論に、僕は返す言葉もなかった。
まなみは僕のズボンを掴むと、躊躇なく下におろした。
「パンツも下ろすね」
まなみはそう言うと、僕の返事も待たずにパンツを下にずりさげた。僕のいきり立ったペニスが、勢いよく飛び出してきた。
僕は思わず赤面してしまった。女の子の前でペニスを晒すなんて、当たり前だが初めてのことだ。裸体を晒し続けているまなみの前で言うのもなんだが、恥ずかしさで全身が震えてくる。
一方のまなみは、興味津々と言った様子で僕のペニスを眺めている。
「こんなにガチガチにしちゃって」
まなみは心なしか楽しそうだ。僕は思わずムッとして、言い返した。
「だって、まなみの裸がよすぎるから。しょうがないだろ」
「あはは。素直なおちんちんだね」
まなみはそう言うと、いきなり僕の亀頭にチュッと軽く口づけした。ペニスがビクンと跳ね上がる。
「な、なにそれ……」
「誓いのキス、的なやつ?」
何を言っているのかはよく分からないが、ものすごくゾクゾクする。思わず言葉を失ってしまう僕だったが、対するまなみの行動は速い。
「じゃあ早速、失礼しまーす」
まなみはそう言うやいなや、竿を下からなぞるように舌を這わせた。
「うあ……」
ペニスを撫でるざらりとした感触に、思わず声が出てしまった。それも、一度だけではない。下からなぞり上げるように、まなみは何度も、何度も舐める。
もともと硬かったペニスが、さらに硬さを増していく。油断していると、すぐにでも出してしまいそうだ。
「気持ちいい?」
そんなことを聞かれても、今の僕に言葉を返す余裕なんてない。辛うじて、コクコクと頷くだけだ。そんな僕を見て、まなみは笑顔だ。
「手を使ってもいいんだけど……今日はご奉仕だから、口だけでするね」
そう言うと、まなみは今度は僕の亀頭をパクリと咥えた。亀頭を通じて、まなみの口内の熱が伝わってくる。
「うおっ……」
僕の反応を見て、まなみは亀頭にチラチラと舌を這わせてくる。
絶え間なくやってくる刺激に、僕のペニスはビクンビクンと暴れ出す。ボロン、とまなみの口から飛び出して、まなみの口からよだれが糸を引いた。
「大人しくしてて。もっと気持ちくしてあげるから」
まなみはふふっと楽しそうに笑うと、僕のペニスをその口で捕まえ、再び咥え込んだ。そして今度は、亀頭だけではなく竿の方までゆっくりと飲み込んでいく。
「あぁ……」
僕はペニス全体にまなみの口内を感じ、声にならない声を漏らす。
まなみはペニスを根元まで咥え込み、僕の股間に顔をうずめていた。
亀頭の先に、まなみの喉奥が触れる。快感の連続ですっかり敏感になった僕の亀頭は、少し触れただけで再び、まなみの口の中で暴れ出そうとする。
そんな中、まなみはゆっくりと顔を前後させていく。
予告通り、手は一切使わない。身体ごと前後させ、僕のペニスを優しく舐め上げていく。その動きに合わせて、怒涛のような快感が僕を襲う。僕は早くも、限界一歩手前だった。
出すときは、出すと言わなければ。
僕はそう思って、まなみを見下ろした。まなみは一生懸命に顔を動かしながら、少し涙目だ。見てはいけないものを見てしまった気がして、僕はドキリとした。
「つらくない?」
急に声をかけたものだから、まなみは驚いたように僕を見た。口からペニスを離し、首を横に振る。
「全然……って、ああ、これね」
まなみは目の涙をぬぐう。
「喉奥に当たって、咳き込みかけただけ。別につらいとかじゃない」
「そ、それならよかった」
「あのさ、別に話すのはいいんだけど、その度にこうやって中断してもいいの?」
「……よくないです」
僕はシュンとした。返す言葉もない。
僕は気を取り直して全神経をペニスに集中させた。まなみが口淫を再開すると、落ち着きかけていた僕のペニスは一瞬で硬さを取り戻した。
まなみは徐々にストロークの速度を上げていく。
「うっ……くっ……」
僕は次々と押し寄せる快感に、ただ身をゆだねた。ほとんど思考を停止し、真っ白な頭でひたすら快感だけをむさぼるのみだ。
僕は何の気なしに、ぼんやりとまなみのことを眺めた。
僕のペニスを夢中でしゃぶっているまなみは、なんともおかしな姿勢を取っていた。
両手の肘を曲げた状態で拳を軽く握り、肩の横あたりで遊ばせている。
なんとも中途半端な体勢だ。まなみは口だけでご奉仕をしているから、手の位置にとくに意味はない。
つまり、一心不乱にご奉仕した結果生まれた、無意識の姿勢ということだ。
しかしその姿勢は、あまりにも……。
「か、かわ……」
つい言葉が出かかってしまい、慌てて止めた。下に視線を送ると、まなみが亀頭だけ咥えたまま、「なに?」と目で聞いている。
「な、なんでもないから、続けて」
「ん」
まなみはすぐにペニスに視線を戻した。全身を使って顔を前後に動かす中、やはり両手は宙に浮かせている。
かわいすぎるだろう、これは。
それが、トリガーとなった。僕は一気にせりあがってくるものを感じる。
「で、出るっ!」
僕はあっけなく絶頂を迎え……堤防は決壊した。
ビュッ、ビュッ、ビュルルッ!
やばいと思ったが、もう止まらない。僕はまなみの口の中に、大量の精液を吐き出していた。
まなみは僕のペニスをしっかり咥えて離さない。健気に精液を受け止め続けている。
僕のペニスは、見たことのない量の白濁液をぶちまけて、ようやく大人しくなった。
「はぁ、はぁ……」
僕は荒い息を吐きながら、ふらりと後ろに一歩、よろめいた。気づかないうちに、全身に力が入っていたらしい。ガクガクと震える足で、立っているのもやっとだ。
「んー」
足元から聞こえてくる声を聞いて、僕はまなみを見た。大量の精液を口に含んでもごもごしている。僕は慌ててティッシュの箱を差し出す。
しかし、まなみはティッシュ箱を手で押し返した。そしてしばらくもごもごした後、ゴクン、と喉を鳴らした。僕はあまりのことに呆気に取られてしまう。
「の、飲んじゃったの?」
唖然とする僕を見るまなみは怪訝な表情だ。
「飲まないと、ご奉仕にならないじゃん」
そう言って首をわずかに傾けるまなみを見ていると、僕の方がおかしいのかと心配になってしまう。
そんな僕を尻目に、まなみは再び僕のペニスに口を付けた。舌だけで器用に残った精液を押し上げ、先っぽに出てきた白い汁をチュッと吸い取った。
まなみの唇はよだれと精液でしっとりと濡れている。
「はい、お掃除完了」
そう言って笑うまなみは普段の百倍増しで色っぽい。僕はなんて返事をしたらいいのか分からず、すっかり黙り込んでしまった。