僕はマットの上に正座して、まなみと向き合った。
「ど、どうしようか……」
突然のことに、他のクラスメートたちも動き出す気配がない。みんな、誰かが先陣を切ってくれないかと様子をうかがっているようだ。
そんな中、まなみは不思議そうに首を傾げた。
「どうするって……するしかないんじゃないの?」
「で、でもさ……」
意外と前向きなまなみに困惑してしまう。二人で決めたルールでは、外でのエッチな行為は禁止である。
僕がおずおずとまなみの表情をうかがうと、まなみは苦笑いをした。
「ルールは、一旦いいんじゃない? 学校の指示なら、逆らえないっしょ」
まなみの目は真剣だった。
まなみの首には、学校で付けられた首輪が光っている。リモコン一つで電流が流れ、行動不能に陥らせることのできる代物だ。リモコンの所有者は僕だが、学校もスペアくらいは持っているだろう。
まなみは学校側に生殺与奪の権を握られているわけだから、従うしかない。そう考えると、僕が抵抗した場合もまなみに危害が加わる可能性はある。
となれば、僕も覚悟を決めるしかない。時計を見ると、もう2分は経過している。
「よし……なら、やろうか」
そうと決まればのんびりはしていられない。僕はまなみのワイシャツのボタンに手を伸ばした。しかし、脱がし慣れていないのでなかなかうまくいかない。
これまでの一カ月間、僕は毎晩まなみのご奉仕を受けていたが、いつだってまなみは裸だった。自分の決めたルールのせいで経験不足だなんて、恥ずかしくて仕方ない。
「時間もあんまないし、それぞれ自分で脱ごうよ」
「……そうだね」
まなみの言葉に、僕は同意した。そして、ワイシャツのボタンに手をかける。
しかし、教室でみんながいる中で脱ぐなんて緊張する。そう思っていると、何となく視線を感じて周りに目を向けた。
クラスメートたちが、僕らの挙動に注目している。僕の視線に気づくと、サッと目を逸らして慌てたように自分のパートナーに向き合った。
うん、それぞれ自分の相手に集中してもらったほうが、恥ずかしさが紛れる。僕は僕で、まなみだけに集中することにする。
時間もないので、恥ずかしがる余裕もあまりない。服を脱ぎ終わって全裸になると、ちょうどまなみも全裸になったところだった。
「さ、まなみ。おいで」
僕はまなみを呼び寄せ、唇を重ねた。軽く、何度もキス。そして僕は、まなみの身体に手を這わせた。
これは、僕とまなみのいつも通りの流れだった。僕たっての希望で、挿入だけでは終わらせない。前戯もしっかり時間をかける。
明文化されていない、僕らの暗黙のルールの一つだった。
「まなみ、かわいいよ」
「ご主人様……」
まなみは甘えたように僕に身体を預けてきた。最初の頃と比べて、まなみの反応はずいぶんとよくなった。
親密度が上がったと言うことなのか、それとも僕の手技が上達したのか。どちらにせよ、まなみが僕との行為で喜んでくれるのは、うれしいことこの上ない。
僕は周囲の目も気にせず、まなみの身体を丁寧に愛撫した。その途中で、さりげなく時計を見る。まだ10分以上は残っているから、問題は無い……。
そう思ったタイミングで、思わぬものが目に入った。クラスメートの一人が立ち上がって、担任と何やら話している。
「はい、受け取りました」
そう話す担任が持っているのは、使用済みのコンドームだ。
もう、終わったのか!?
僕は慌てて周囲に目を走らせた。他のグループはいずれも、服は脱がずに下半身だけ露出させ、すでに挿入フェーズに入っている。全裸で抱き合っているのは僕たちだけだ。
僕は赤面しつつも、担任に尋ねた。
「時間は、一杯まで使っていいんですよね?」
「はい、構いません」
であれば、ゆっくりやる分には何の問題もないはずだ。
もしかしたら、かかった時間が何かしら評価に影響するのかもしれないが、だとして短いのがいいのか、長いのがいいのかもわからない。だったら、好きなようにやってみるしかない。
腕の中のまなみを見ると、まなみも周りが服を脱いでいないことに気づいて顔を赤らめていた。僕は、そんなまなみを励ますように言った。
「気にしないで、いつもみたいにやろうよ」
「……うん」
僕はまなみに再び集中して、今度はまなみの股間へと手を伸ばした。
僕は人差し指でまなみの膣口を軽く撫でた。ヌルリとした愛液で指が濡れる。
今度は、クリトリスに軽く触れてみた。
「はぅ……」
まなみは恥ずかしそうに身体をよじらせる。挿入前に手で責めるのは、最近の僕のお気に入りだった。
まなみは顔を赤くして僕を急き立てる。
「は、早く挿れない?」
「もうちょっとだけ……」
僕はもう一度、まなみのクリトリスを指で軽く弾いた。まなみの細い身体がビクンビクンと跳ねるのが、可愛くて仕方がない。
僕がまなみの反応に夢中になっていると、まなみが今度は僕の腕を掴んで止めてきた。
「ご主人様」
「なに?」
「……もう、みんないないけど」
その言葉に、僕はようやく顔を上げた。確かに、他に四組いたはずのクラスメートたちは、いつの間にか試験を終えて退室していた。
……みんな、早いな。
僕は焦りを感じて時計を見たが、まだ10分も残っている。そこまで急ぐ必要はない。
「そろそろ、しようか」
僕の言葉に、まなみはコクコクと頷いた。