前線基地には酒場は数あるが、娼館やそれに類する物は今までなかった。だが、最近──司令官が就任してから──娼館を兼ねた酒場が出来た。
そこの店主は妖艶な雰囲気を放つ年齢不詳な女性のルディア、オーナーは前線基地の司令官、という前線基地内でも一際異彩を放っていた。
厳格なルールが定められており、嬢は働きやすい環境になっている。ルール違反者には厳しい罰が待っているからだ。
娼館には様々な女性が働いていた。
例えば、馬鹿みたいに大きなリュックを背負っている商人やお硬い雰囲気を放つ騎士、豊か過ぎる胸を持つ小動物のような少女などだ。
そんな娼館に、アイナという純粋なそうなどこか大人びた雰囲気を持つ少女が働いていた。
元気を失った息子を癒して元気にしてくれる優しくてロリ系美少女がいる、と評判になっており連日予約が殺到していた。
そんなアイナは今日も今日とて御奉仕するために娼館へ来ていた。
「あら、アイナさん、こんにちは。今日も予約のお客様がたくさん居るけど大丈夫かしら?」
「あ、ルディアさん。こんにちは」
ルディアに対して、ペコリとお辞儀をするアイナ。
「は、はいっ! 大丈夫です! まだまだ未熟なのですが、お客様に喜んでもらえるように頑張ります!」
「大丈夫よ。あなたはお客様からとっても評判だもの。アイナさんも慣れてきたんじゃない?」
「そうですね。お客様が元気にすることに私も慣れてきました。やっぱり、お客様を元気にすることが出来ると私もすごく気分がいいです」
「ふふ⋯⋯それは良かったわ」
「でも、本当に大丈夫? 連日出勤しているし疲れていない?」
ルディアはアイナを気遣うように眉根を寄せ心配気な表情を見せる。
「心配していただきありがとうございます! でも大丈夫です!」
アイナは屈託の無い笑顔でそう言った。
「そう? それならいいけど⋯⋯」
ルディアはまだ少し心配そうな様子だったが、何かあれば司令官に言えば大丈夫でしょうと思い、無理はしないようにね、とだけ伝える。
アイナは出勤前のルディアとの会話に花を咲かせていた。そろそろ時間が迫ってきていた。
「そろそろ予約のお客様が来る時間ね」
「はいっ! 頑張ります! お客様を元気にしてみせます!」
「それじゃあ、よろしくね」
アイナはルディアと別れ、2階に上がっていく。割り当てられた部屋に入り、ベッドに座り今日これから来る客のことを考えていた。
(今日はどんな御奉仕をしようかな⋯⋯)
今まで、司令官や他のお客様と行った様々なプレイを思い浮かべる。だけど、今日これから来るお客様が第一だと思い直し、一旦頭の片隅に置いておき、ドキドキしながらお客様が来るその時を待っていた。