近視の姉が弟とめちゃくちゃエッチする話 作:ビリオン8551
初めてセックスして一ヶ月目の、蒸し暑い夜中だった。オレは上半身裸のまま、リビングのソファに座っていた。
喉がカラカラだ。姉ちゃんとのエッチで生まれた熱がまだ体に残ってて、背中にじっとり汗がにじんでくる。
「あー、麦茶飲みたい。でも立つのだりぃ」
ソファの左端で、片腕を背もたれに引っかけたまま、ぼーっと天井を見る。スウェットの腰まわりまで、汗で湿っていた。
窓は少し開けてある。虫の声と、ときどきぬるい風が入ってくるだけで、ちっとも涼しくない。
部屋には、さっきのにおいがまだこもっていた。姉ちゃんの汗とオレの汗が混じった、甘ったるいにおいだ。
「ただいまー!」
ガチャ、と玄関のドアが開いた。
オレは首だけひねって、玄関のほうを振り返った。
姉ちゃんが、はぁはぁ息を弾ませて入ってくる。右手にコンビニのレジ袋を提げたまま、左手を後ろに回して、ドアの鍵をかけた。
赤茶のボブがくしゃくしゃで、頭のてっぺんのアホ毛がぴょこんと揺れている。赤い眼鏡もずれてるし。
で、姉ちゃんの体にはオレの白いTシャツがぶかぶかで、それが汗で胸に貼りついている。裾は短パンがほとんど隠れるくらい長いのに、胸のところだけ、布がぴんと張っていた。首すじから鎖骨まで、汗でてかてか光っている。
姉ちゃんは足を振ってサンダルを脱ぎ捨てると、数歩でソファまで来て、オレの右隣にぺたんとへたり込んだ。短パンのポケットからスマホと財布を出して、ローテーブルに放る。
ソファがぎしっと沈んで、姉ちゃんの左肩がオレの右の二の腕にくっついた。Tシャツ越しなのに、湿った肩が熱い。
「ちゃんと買ってきたよ。お姉ちゃん、えらくない?」
膝の上のレジ袋を、得意げに持ち上げてみせる。薄いビニール越しに、小さな四角い箱の形が透けていた。
「おかえり。……てか、息、めっちゃ上がってんじゃん」
「は、走ったから! はぁ……走ったからだってば!」
「べつに、走んなくてよかったのに」
姉ちゃんは、ずるずるとソファの背に沈み込んだ。投げ出した脚の膝が、小さく震えている。短パンから出た白い太ももまで、ぷるぷるしてる。本人は気づいてないらしい。膝をそろえようともしない。
いや、走ったせいだけじゃないだろ、それ。
オレがまじまじと見てることに、姉ちゃんも気づいたらしい。得意げだった口元が、むにゃっと歪んだ。
明かりの下で、姉ちゃんの顔が見えた。頬が上気して赤い。垂れた赤紫の目が、うるうるに潤んでる。ずれた眼鏡のレンズが、少しくもっていた。
口元の小さなほくろのあたりまで、汗で光っていた。半開きの口から、はふ、はふ、と短い息が漏れている。
オレは喉の奥で、小さく息を詰めた。喉は、カラカラのままだ。
「悪い。ゴム切れてたの、気づかなくて」
「ほんとだよ。アンタが真顔で『まだしたい』とか言うからさー」
姉ちゃんが、くっつけた肩でオレの腕をぐいっと押してくる。
「だって、まだしたいし」
「……分かってる? 私たち姉弟なんだからね」
オレは顔を横にそらした。
膝に置いた右手が、じっとり汗ばんでいる。で、そらした先で、目が姉ちゃんの胸元に行っちゃうんだよな。
汗で透けたTシャツに、胸の形がそのまま浮いていた。ブラ、してない。白い布の下で、丸いふくらみの先まで、ぽつんと形が分かる。胸を張ったせいで、布がよけいに貼りついていた。息をするたびに、それが上下する。
……おいおい、このかっこうでコンビニ行ったのかよ。
たまんねえ、とオレは内心でうめいた。口には出さない。出さないけど、目はすぐにそこへ戻っていた。
「それ、オレのTシャツだろ」
声が、自分でも分かるくらい上ずった。
「し、しょうがないじゃん! だってだって、慌ててたんだから……」
姉ちゃんが胸元をつまんで、ぱたぱたとあおぐ。指を離すと、湿った布がまた、ぺたりと胸に貼りついた。丸い形も、真ん中のとがりも、布の上にそのまま出ていた。
「べつに」
姉ちゃんが、ぷうっと口をとがらせる。膝に抱えていたレジ袋を、オレの胸の前へぐいっと突き出した。
私の脚は、まだ力が入らない。奥のほうに、さっきの感じが残っていて、じんじんしている。座面の前に投げ出した両脚は、ふくらはぎのあたりがまだ少し震えていた。
汗で湿ったTシャツが背中に貼りついて、ソファの背に当たったところが冷たい。左肩には、リョウの右の二の腕がくっついている。そこだけ温かい。
私は膝の上のレジ袋をがさがさと開けて、アイスのカップとゴムの箱を出した。アイスはローテーブルに置いて、箱のほうを両手でリョウに差し出す。空になった袋は、ローテーブルの脚元に落とした。
カップの外側には、もう水滴が浮きはじめている。
リョウが、背もたれに乗せていた左腕を下ろす。右手で箱を受け取ると、左手で、その場で外のフィルムをびりっと破った。
え、ここで開けるの。
ぜんぜん迷わない。丸めたフィルムをローテーブルに置いて、親指でふたを押し上げる。
「十二個入ってる。すげ」
うれしそうな声だった。リョウの指が、箱の中の包みを一つずつ数えていく。数える指が、妙にていねいだった。
「え、全部、使う気?」
呆れて聞く。声の最後が、ちょっと上ずった。
「うん」
真顔だった。箱から顔を上げて、まっすぐ私を見て言う。笑ってもいないし、照れてもいない。たぶん、本気で全部使うつもりだ。
あ、だめ。お腹の下のほうが、ひくっとうずいた。
太ももをもじもじとすり合わせて、ぴたりと閉じる。汗で湿った内ももどうしが、ぺたりとくっついた。力の入らない脚が、閉じたところだけ小さく震える。
私は箱から目をそらした。膝の上の手を、引っ込めるように握りしめる。頬から首まで、赤いのが一気に上がっていくのが自分でも分かる。
リョウはもう、箱の中に目を戻していた。私の脚のことには、たぶん気づいていない。
包みを数えていたあの指で、さっき私……。
……って、なに考えてんの私。
リョウが箱をローテーブルに置いて、今度はアイスのカップを取った。ふたを開けると、ふちのほうがもう溶けて、とろとろになっている。
バニラの甘いにおいが、鼻まで届く。
「姉ちゃんさ。焦って走ってきた顔、めっちゃエロいんだけど」
真顔だった。眠たげな目が、まっすぐ私の顔に止まっている。からかってるのか本気なのか、分からない。
「な……っ、生意気」
目をそらして言い返す。頬が熱くなって、指で眼鏡を押し上げるふりをした。
そのとたん、リョウが木のスプーンでアイスをすくって、私の唇に押しつけてきた。
冷たい。唇に当たった木のスプーンから、溶けたアイスが口の端まで広がる。
顔を引けばいいのに、私はそのまま、スプーンのアイスをぺろっと舐めていた。舌の上で、冷たいのがすぐにとろける。
甘い。
……って、なにやってんの私。年下に、スプーンで食べさせてもらってるんだけど。
舐めながら、リョウの唇をちらちら見てしまう。薄く開いた唇が、すぐそこにある。見て、目をそらして、また見る。
リョウのTシャツの下で、胸の先が湿った綿にこすれて、肩がぴくっと揺れた。
「べ、別に。アイスが、食べたいだけだから」
眼鏡を押し上げながら言った「べ、別に」の声が、みっともなく裏返った。ごまかすみたいに、もう一口舐める。舌を伸ばして、スプーンのふちまで。
スプーンから落ちかけたアイスが、リョウの指先にとろりと垂れた。
もったいない。
そう思ったときには、私はその指先を、ぱくっと軽くくわえていた。唇の内側に、硬い指の腹が当たる。舌の先で、垂れたアイスをそっと舐め取る。アイスの甘さと、少ししょっぱい汗の味がする。
くわえたまま、ちらっとリョウの顔を見上げる。目が合いそうになって、あわてて伏せて、それでもまた、ちらっと見る。
リョウの喉が、ごくっと動いた。たぶん、息を詰めたんだと思う。
私の口元のほくろのあたりが、照れでひくっと動いた。
「姉ちゃん」
指をくわえられたまま、リョウが私の耳元に顔を寄せて、低く呼んだ。
私は指を口から離した。
「い、息っ、当たってる……! 耳、だめなんだってば……」
言い終わったとたん、「はう」と、自分でもびっくりするくらい情けない声が出た。リョウの声が一段低く落ちただけで、ソファの上で腰が勝手に小さくくねる。
気づいたら、膝に置いていた手で、Tシャツの胸元をくしゃっと握りしめていた。耳まで熱い。
リョウの目は、私の唇の端を見ている。そこに、白いアイスが残っていた。
唇の端のアイスが、とろりと垂れた。顎を伝って、鎖骨へ落ちていく。冷たい筋が、首の横をすうっと下りていく。
「あっ、垂れた……ティッシュ」
慌てて、ローテーブルのティッシュの箱へ手を伸ばしかける。お姉さんなのに、子どもみたいにこぼしてる。
「いいって。オレが取る」
伸ばしかけた手が止まった。
取る、って、ティッシュを?
リョウはスプーンをカップに差して、上半身をこっちへ傾けた。右手で、私の肩を押さえる。大きな手のひらが、Tシャツ越しに肩をすっぽり包んで、動けない。
え、と思ったときには、リョウの顔が首元まで下りてきていた。熱い息が、鎖骨にかかる。
鎖骨の雫を、舌でぬるっとすくい上げられた。冷たいアイスのすぐあとに、熱くて柔らかい舌。ざらっとした舌が、鎖骨のくぼみから上へ、ゆっくり這っていく。
肩が、びくっと跳ねる。跳ねた肩は、リョウの手のひらに押さえられたまま、逃げられなかった。
息が詰まった。喉の奥で「ひっ」と鳴って、吐くのを忘れる。舐められたところだけ、肌がじんじんしている。首すじから耳まで、かあっと熱くなっていく。
鎖骨から襟に染みたアイスが、冷たい点になって肌に貼りついている。
「て、手、離して……っ。T、Tシャツ……っ、染み……なっちゃう……。……は、離さなくて、いい、けど」
途切れ途切れに言う。声が上ずって、ぜんぜんお姉さんっぽくない。
「オレのだし」
短く言われて、言葉が続かなくなる。息が詰まる。
オレの。そうだ、これ、リョウのTシャツだ。リョウの服を着て、リョウに鎖骨を舐められてる。……って、なに考えてんの私。
顔を上げたリョウの唇に、白いアイスが残っていた。私の鎖骨からすくったアイスだ。唇の真ん中に、ちょんと白く乗っている。
私はそれを、じっと見てしまう。目をそらそうとしても、そらせない。ずれた眼鏡のふちの外から、片方の目だけで、リョウの唇を見上げてしまう。
目の奥が、じわっと潤んでくる。宙で止まっていた手が、いつの間にかソファの座面をぎゅっとつかんでいた。
リョウは黙って、こっちを見ている。喉が、ごくっと動いた。たぶん、リョウも余裕がないんだと思う。
何か言おうとしたのに、言葉が一つも出てこなかった。
そのとき、ローテーブルの上のリョウのスマホが、ぱっと光った。通知だ。
「あ、スマホ鳴った」
リョウの目が、そっちへ行く。私の鎖骨のすぐ上にあった顔が、すっと離れかけた。
「いい、から」
私は右手を伸ばして、スマホを裏返して伏せた。ことっ、と小さな音がして、画面の光がテーブルに押しつけられて消える。
リョウの目が、スマホから私へ戻ってくる。眠たげな目が、私だけを見ている。耳が赤い。たぶん、私が何をしたのか、まだ分かっていないんだろう。
……って、なにやってんの私。スマホ伏せるとか、ドラマのやつじゃん。
でも、いい。誰からの通知でも、今はいらない。
(続く)