TS剛膣娘と硬い盾役 作:笑石
「エリックのやつが、エゲツないセックスしてるらしい」
昼食をパーティーのみんなでとっている時に、突然アルがそんなことを言い出した。ケイトが、ポカンと口を開けて首を傾げる。
「やっぱ、童貞は捨てたんだ」
「ああ、それどころじゃない……マイヤのやつがさ、三日前くらい、ほら俺達が混血モンスター倒した日」
ドキン!
と、心臓が強く跳ねた。いや止まるかと思った。あの日にエリックとセックスをしたのはオレだ。マイヤとは、アリサやマリーと同じくエリックのパーティーメンバーの一人だ。すこしビッチで、よくいろんな男の元へフラフラとしている。
そのマイヤに、見られて……いた?
ドキドキと、顔から血の気が引いていくのを感じる。いや、素知らぬふりをしなければ。よく考えたらアルの話ぶり的に、オレが相手だという感じはなかった。
「最近、垢抜けてきたエリックの童貞喰ってやろうと夜訪ねたらしいんだよ。ほら、あいつらエリックだけ少し離れてるから。そしたらさ……もう、凄まじい『音』と揺れだったらしい」
オレは一周回って冷静になってきた。そんなに、凄かったの? あの日。
「あいつの離れ見たことある? そこがさ、すんげえ壊れんじゃねえかってくらい揺れてたらしい───で、怖くなって逃げたんだって」
良かった。マイヤが激しいプレイが好みとかじゃなくて……。エリックのやつ普通に名前呼んでたし、そういや防音対策してないから全然バレるじゃん。
オレは反省した。そして、こうして客観的な見え方を聞いて、ふと自分に対して思った。
(ああ〜。オレ……もう戻れないんだな……)
すっかり『女』になってしまった。いや少し、チンコがあればエリックみたいに気持ちよくなれるのになって嫉妬はある。
あった頃の記憶があるからこそ、エリックの顔を見ているとそれがどれだけ気持ちいいか何となく想像がついて、自分を重ねてしまうのだ。それもまた興奮材料になる、どうしようもない。
いやでも、エリックのやつだいぶ硬くなったとはいえ、終わった後めっちゃ赤かったし、オレの膣圧強すぎて気持ちいいより痛いが先にきてたりしないかな?
強く締めてしまったときの、我慢しているけど少し顔に出てしまう苦悶の表情……それを思い出し、ミスカは何故か自分の股が少し湿った。
(やべ)
前世は映像として他人の性行為を見る機会が非常に多い。故に、経験はないが、チンコを扱うさまざまな技術はオレの頭の中にある。そして元々持っていたからこそ、どこをどう刺激したら気持ちいいのか、オレはこの世界の女の誰よりも詳しい……かもしれない。
何が言いたいかというと、次はアイツにあんなプレイしてやろうかな〜とか、何をしてもらおうかな〜とか、暇な時はそんなことばかり考えてしまっている。
(オレは……猿か……?)
この世界に来て、15歳になるまでオレはむしろそういう行為に対して嫌悪しかなかった。おそらくそれが現在の膣圧の異常さに繋がっているが、性欲とは汚らわしくて、欲に流される姿は醜く、それを御せない人間は何と浅はかなのだろうとすら思っていた。
だが冒険者になって、全力で『生命』を生きる人達を見て、良い人も、悪い人も、物差しで簡単に測ったり、仕切りで簡単に分けられるものではないと悟った。
それは故郷を失い、拾ってくれた教会にいた人達のおかげでもあるだろう。月一で仕送りをしているが、届いている確証も無いしそろそろ顔を出した───それは叶わない。オレはあの国では罪人に等しい。
「てかマイヤってエリックもイケるんだ」
ボケッと考え事をしていたがケイトの言葉に、ハッとなった。思わず彼女の方を見てしまい、その勢いにケイトが驚いていた。しまった。
「アイツはまぁ、なんでもイケる……俺は避けているが」
「私の前なら正しい反応ねぇそれは」
アルとケイトも別に恋人ではないだろうに。てかケイトもお前、何人かセフレいるだろ……。
「ふふっ、獣の様に……か。エリックをただ盾として終わらせるのは、勿体無いかもしれんな」
レンだけは少し注目ポイントが違う。
「アリサに進言してみるか」
ふふふ、と楽しそうに含み笑いをするレンをオレ達は無視した。コイツの話に付き合っていたら長くなるからだ。レンの考えるエリック育成プランみたいなのを語られる。オレからすればとにかく『硬く』育てたいので、意見の対立もありそうだし。
「ミスカ、あんたエリックのこと気になってんの?」
「え?」
ケイトの顔は真顔だった。からかいとか、探りを入れているとか、そういう段階ですらなく普通に疑問をぶつけられている。
オレは、言葉に詰まってしまう。気になる……とは?
「ミスカにアイツのデカチン入るのかな?」
とりあえずアルは無言で足を踏んでおいた。
「なんか、ミスカへの、エリックからの熱視線が……強まってる気がするんだよねぇ……」
「そ、それは、オレも察するところではありますが……」
エリックはオレに懸想している。
流石に、気付いた。そしてその気持ちを利用して気持ちよくなっている自分がいることに、ちょっと落ち込んでる。
オレ側はどうなのか───分からないのだ。オレは、心が男なのか女なのか分からない。先程も考え事をしている時に男からかけ離れてきたとは思ったがらそれはただ肉欲で、女の身体だから男の身体を求めているだけなのかもしれない。それなら彼の『想い』に、『心』に答えるのは……不誠実なことでは、ないだろうか。
「えっ、流石に気付いたんだ」
「まぁ、最近ですかね。訓練で顔を合わせる機会も増えましたから」
身体の関係もったし、童貞だったし、この可愛いミスカちゃんに惚れるのは仕方ない。あんまり深く考えないようにしているから、基本はこんなスタンスでいる。
自分で言ってちょっと恥ずかしくなるが。
てか、行為の最中めちゃくちゃ『言ってくる』しなぁ〜。流石に気付くよね。結構盛り上がっちゃうから、言わせたくなってくるし。
「アイツ、ここに来た時からお前に惚れてんだぞ」
「えっ」
エリックが来た時……。
何年前だっけ? ほぼ同期くらいな気はするが。しかし、そんなまさかぁ?
「嘘、でも、言い寄ってきたりしなかったよ?」
「最近やっと雰囲気丸くなって、そもそも『アレ』を忘れられたりしてきたけど、あの頃のお前を口説ける男はなかなか居なかっただろ……」
呆れ顔で言ってくるアルに、必死にエリックのことを思い出そうとする───しかし薄情なことに、あの腹に穴開けた事件の時くらいからの記憶しかない。
しかし、随分前からオレに懸想していたとして、だぞ?
「じゃあなんで、あんなハーレムパーティー組んでるわけ?」
「「えっ」」
アルとケイトが、ギョッとした顔でオレを見てきた。なんだその反応は。
レンが腕を組み、残念そうに言った。
「まぁ残念ながら、我々『ブレイド』の高速戦闘にはついてこれないからな、エリックは。足並みを揃える様な状況次第では彼のパーティーの皆が心強いのだが……」
「いやそういう話じゃなくて……」
アルがついつい突っ込んでしまった。
「まぁでも、なんでだったかなぁ〜でも、確か、最初に組んだのはアリサと二人だったんだよ」
少し、もやりとした。
それに気付かないフリをしておく。
「なんでそんなこと覚えてんの?」
「アリサ美人だし」
ケイトの疑問にあっさりと答えるアル。
「その後マリーが入って、マイアの順だったな。なんか歪な構成のパーティーだったから印象的だけどなぁ」
「三人魔法使いパーティーになってからは、流石に覚えてるけど〜」
俺たちが先輩とはいえ、メンバー間の年齢も近いため、ささやかな交流は昔からあったことは覚えている。
でも、女性三人のキャラが印象的でそっちの記憶ばかり残ってるんだろうなぁ〜いや、昔から女王三人に尻に敷かれる黒一点というところは有名だった。
「というかアリサも何故、エリックを選んだのでしょう? 彼はオレと同い歳だし、昔はまだ身体も仕上がってないでしょう?」
オレの疑問はつまり、後衛である魔法使いのアリサがまだ身体の育ち切ってない盾役を選んだのは何故だろう? というものだ。
ふと気になったので口にしてみると、アルとケイトは何を考えているのか分からないまんまるな目を向けてくる。
「な、なんですか」
「……いや、エリックとアリサって同じとこ出身の幼馴染だぞ?」
幼馴染? あの、幼い頃から一緒にいる、あの幼馴染?
「ェッ!?」
驚いて立ち上がってしまった。
ハッとなり、慌てて座る。
「ど、通りであの普通なら組むことなんてなさそうな二人が、パーティーを組むことになんてなるわけですね」
「……まぁ、そう。見た感じ、アリサはあいつのこと弟か何かみたいに思ってそうだし」
「あー、確かにそうですね。なんだか既視感のある関係性だなとは思っていましたが、なるほどなるほど」
ケイトがレンの様に腕を組み、少しこちらに身を乗り出してきた。
「やっぱ、エリックのこと気になってない?」
「エッ!?」