(間違いねえ……! ずっと探し求めてた、あの二人だ……!!)
目の前の二人が大切な仲間だと確信したレイは、歓喜と焦燥のあまり自分の胸に手を当て、一歩前へ踏み出した。
「お前たち……! その、もしかして……!」
「「……え?」」
スレンダーな美女のただならぬ様子に二人の動作がピタリと止まった。
エルネストの冷徹な瞳が、目の前の美女の頭から足先までを疑念を込めて凝視する。
黒髪の美しいショートボブ、洗練された目元、しなやかで整いすぎている女性の身体。
どこをどう見ても、自分たちが知っているPT仲間の要素が見当たらない。
(……待てよ。そういえば、ネトゲ時代に女性キャラの見た目でプレイしてた奴もいたが……いや、あいつは中身は男だったはずだし、こんな本物の美女のわけがない……)
「あの……お姉さん? 私たちのこと、知ってるのですか……?」
リリアが首をかしげ、純粋な疑問に満ちた声を上げた。
「ずっと二人で旅をしていたのですけど……私たち、どこかでお会いしましたっけ……?」
「っ……! お、おい……冗談だろ……? 俺だよ、いつも一緒に高難度ダンジョン行ってただろ……っ!」
「えっ……?」
レイの必死の訴えに、リリアは目を丸くしてパチパチとまばたきをさせる。
「私たち、昨日ここに飛ばされてきたばかりで……それに、一緒にダンジョンに行っていた仲間なんて、みんな男の人でレナードさんとレイくんとノアさんとバルドさんしかいませんし……」
「だからそのレイが俺だよ!! 転生した時に、どういうわけか身体が女になっちまっただけで――」
「レイ……くん……? えっ、レイちゃんって女の子だったの!?」
リリアが純粋な驚きに満ちた声を上げた。
「ずっと男の子だと思ってた! ごめんね、私ずっと気づかなくて……っ!」
「ち、違う! 違うんだリリア! 俺は男だ! 転生した時に、どういうわけか身体が女になっちまっただけで——」
「……なるほど」
レイの必死の弁明を遮るように、エルネストが深く頷いた。
その瞳には納得と、どこか哀れむような光が宿っている。
「……男勝りで、男として振る舞いたかったというわけか。異世界に来て混乱していたのだろう。無理をして男のふりをする必要はない」
「違うと言ってるだろ!! 俺は元々男なんだよ!!」
「いいんだよ、レイちゃん!」
リリアが可憐な笑顔を咲かせ、ぽんと手を叩いた。
「女の子だって全然気にしないよ! だって、こんなに優しくて強くてかっこいいんだもん! 教えてくれてありがとう!」
「リリア……お前、本気で納得して……っ」
完璧に「女の子が男のふりをしていた」という方向で納得してしまったリリアの無垢な笑顔。そして、「なるほど、実は女性だったのか……」と疑問を解消させてしまったエルネストの視線。
二人の温かい受容の空気を前に、レイはがっくりと肩を落とした。
(ダメだ……完全に詰んだ……。『身体が女になっているだけで俺は男だ』なんて、これ以上言い出せる雰囲気じゃねえ……!!)
「……ふぅ。まあいい……話は分かった」
エルネストは警戒を解くと、そっとリリアの肩を抱き寄せた。
「レイ……君だったとはな。無事で何よりだ。……プロンテラへの街道が閉ざされていた以上、俺たちもゲフェンへ向かうところだった。行くぞ、一緒に」
「……ああ。そうさせてもらうよ……」
女体化した事実を突きつけられ、男性としてのプライドを完府なきまでに打ち砕かれたレイ。
こうして、勘違いと甘い誤解を孕んだまま、三人のゲフェンへの同行が始まった。
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