※この作品はR-18です。

ラグナロクオンラインの世界に転生した。―歪な愛の行方―   作:和泉終夜

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壊れた夜の残光と、朝の距離感

刺客が窓を突き破って逃走した直後、割れたガラスの破片が月光を反射してキラキラと床に散らばっていた。

 

宿の支配人や警備兵が騒ぎを聞きつけて駆けつけてきたものの、エルネストの冷徹な一言と圧倒的な圧威、そして十分すぎるほどの金貨の支払いによって、隣の広々とした高級スイートルームへ即座に部屋を変更させることで決着がついた。

 

「もう大丈夫だ、リリア。新しい部屋の扉にも強固な重魔導鍵がかけられている。俺の目が黒い内は、指一本触れさせない」

 

「エルネストさん……ありがとうございます。でも、手……すごく冷たくなっています……」

 

新しい部屋のキングサイズベッドの上。

 

リリアはエルネストの引き締まった大きな手に自分の小さな両手を重ね、温めるようにキュッと握りしめた。

 

極限の緊張から解放された安堵と、自分を全身全霊で庇ってくれた庇護者への強い愛着。

 

リリアの潤んだ瞳が甘く濡れ、その豊満な胸が、エルネストの腕に無防備に押し付けられている。

 

(リリア……君のこの温もりだけが、俺のすべてだ……)

 

エルネストの胸の奥で、甘く重い独占欲がさらに深く根を張っていく。

 

彼はリリアの額に優しく唇を落とすと、その華奢な体を慈しむようにしっかりと抱きすくめた。

 

一方、そのすぐ隣——「女友達」として当然のように同じベッドの片側に腰掛けているレイは、毛布を引っ張り上げながら苦々しい表情で二人を見つめていた。

 

(……おいおいおい、目の前でそこまで甘い雰囲気出されたら、こっちは目のやり場に困るんだよ……! 俺が男だったら確実に血吐いて倒れてるぞ……!)

 

心の中で必死に叫びつつも、レイはふと自分の胸元に視線を落とした。

 

ナイトウェア越しでも主張するしなやかな胸の膨らみ、滑らかな肌、細い手首。

 

刺客との戦闘で魔法を放った瞬間、己の身体が完全に「エレメンタルマスターとしての完璧な女性」として機能していることを、嫌というほど再認識させられていた。

 

(……くそっ。どんなに中身が男だって叫んだところで、エルネストのあの牽制と、リリアのあの無垢な笑顔の前じゃ意味ねえな。……もう腹くくるしかねえ)

 

レイはベッドにゴロンと横になると、背中を二人へ向け、不機嫌そうに呟いた。

 

「おい、イチャつくのは勝手だが、明日の準備もあるんだから早く寝ろよ。今度刺客が来たら、寝不足の状態でたたき起こすからな」

 

「……レイ」

 

闇の中から、エルネストの低く落ち着いた声が届いた。

 

「さっきの戦闘……判断の早さに助けられた。お前が同じ部屋にいてくれて良かった」

 

「……へっ、今更しおらしいこと言ってんじゃねえよ。俺だってリリアを危険に晒したくねえだけだ」

 

「えへへ、レイちゃんってば、素直じゃないんだから」

 

リリアは無邪気で鈴を転がすような笑い声が、静かな室内に響く。

 

(――本当はすごく優しくて、頼りになるレイちゃん……)

 

暗がりの中、リリアは自分の胸にそっと手を当てた。

 

ぶっきらぼうな口調の裏にあるレイの温かさや、整いすぎた美しい横顔を思い出すと、さっきまでの恐怖とは違う、甘い熱が胸の奥でトクトクと脈打つのを感じる。

 

(……エルネストさんも頼もしいけど、レイちゃんにこんな風に守ってもらえたら、なんでだろう?なんだか胸がドキドキしちゃうな……っ)

 

(……たくっ。調子狂うぜ……)

 

レイは暗闇の中でフッと口元を緩めると、そっと目を閉じた。

 

翌朝。

 

窓から差し込む柔らかい朝日と、焼きたてのパンの甘い香りでレイは目を覚ました。

 

「ん……ふぁ……」

 

小さくあくびをしながら体を起こしたレイは、次の瞬間、固まった。

 

「……あ、おはよう!レイちゃん!」

 

目の前には、朝の着替えを終えたばかりのリリアの姿。

 

胸元が少し寛いだ部屋着姿で、可憐な笑顔を浮かべながらレイの顔を覗き込んでいる。

 

ふわりと漂う甘い女の子の香りと、目と鼻の先にある圧倒的な迫力の胸元。

 

「〜〜〜〜っ!? リ、リリアっ!! 近い、近いって……!!」

 

顔を真っ赤にして跳ね起きるレイ。

 

「えっ? だって、レイちゃんを起こそうと思って……あ、お顔赤いよ? 熱でもあるの……?」

 

心配そうにさらに顔を寄せてくるリリア。

 

その無防備すぎる接触に、レイの理性がガラガラと音を立てて崩れそうになる。

 

(危ねええええっ!! 女友達扱いって、こんなに心臓に悪いのかよ……!!)

 

「……朝から騒々しいな」

 

部屋の隅で、すでに完璧な装備を整えたエルネストが、冷徹な眼差しで二人を見下ろしていた。

 

「レイ。起きているなら朝食だ。……それと、今日からのゲフェンでの行動計画について話し合う」

 

「……ふぅ、助かった。……で、計画ってなんだ?」

 

レイが必死に平静を装いながら尋ねると、エルネストはテーブルの上のゲフェン市街図に視線を落とし、重々しい声で告げた。

 

「刺客の狙いは明確にリリアだ。そして、街道の閉ざされた今、この街の裏組織や黒い思惑を潰さない限り、我々に安全な旅路はない。……今日から、ゲフェンの『闇』を探る」




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