※この作品はR-18です。

ラグナロクオンラインの世界に転生した。―歪な愛の行方―   作:和泉終夜

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R18です。

TS百合が苦手な人は読み飛ばしてください。

すごく長編になってしまいました。


閑話 密室の熱量

(……もう、本当に勘弁してくれ……)

 

自室のベッドに寝転がり、天井を虚ろな目で睨みつけながら、レイは何度目になるかもわからない深い溜息を吐き出した。

 

外見は誰もが振り返る凛とした黒髪のショートボブ美少女。

 

だが、その中身は正真正銘、歴とした男性である。

 

それだけでも日々精神をゴリゴリと削られているというのに、直面する現実のストレスはそこにとどまらなかった。

 

旅の道中、そして今日のプロンテラでの再会を経て、レイの脳裏には一つの大きな問題が重くのしかかっていた。

 

——エルネストの過保護さと、無防備すぎるリリアの存在だ。

 

「おいおい……あの弓野郎、リリアを護るのに必死なのは分かるけどよ……。何で俺まで『か弱い女の子』枠に入れられて、ガッチリ護衛の対象になってんだよ……」

 

日中は男としてのプライドがジリジリと焼かれるような屈辱感を覚え、夜になれば今度は別の意味で理性が崩壊しかける。

 

風呂場での出来事を思い出すだけで、レイの顔に熱がぐっと集まった。

 

無防備に豊満な肢体を揺らし、「頼りになるお姉さんみたい!」と満面の笑みで懐に飛び込んでくるリリア。

 

あの純粋無垢な好意と圧倒的な色気のギャップに、元男の理性がどれほど音を立てて崩れかけそうになったことか。

 

「くそっ……! 身体が女になっちまってからというもの、色んな意味で感覚がおかしくなりそうになるんだよ! あんなの、直で浴びせられたら男の理性が保つわけねえだろ……!」

 

誰もいない部屋だからこそ、レイは頭を抱えて枕に顔を埋め、声を押し殺してジタバタと身悶えした。

 

周囲の奴らは「男のフリをしていた女の子」と勝手に納得している。

 

だから、リリアもレイに対して一切の警戒心を持たず、あんなにも距離が近い。

 

(……だがな……!)

 

バッと顔を上げたレイの瞳に、ギラリと切実で野暮ったい光が宿る。

 

(俺が好きだったのは、最初から一貫して……あのゲームの画面越しに見てた、あるいは一緒に戦ってきた『リリア』なんだよ……っ!!)

 

心は生粋の男である。

 

目の前にいるのは、圧倒的に可愛い、胸も性格もドストライクな美少女リリア。

 

しかも彼女は無防備に自分を頼り、至近距離で甘えてくる。

 

(こんなのよォ……! 幾ら中身が男で、いくら周囲に女扱いされて身動きが取れなくなってようと、男の本能が刺激されないわけねえだろ……!!)

 

脳裏にちらつく、あの豊満で柔らかそうな体躯と、無邪気な笑顔。

 

それを守るふりをして、もしこの理性が完全にブチ切れたら——。

 

「……最悪の場合、本当にいつか本気で押し倒してやろうか……なんて、バカなこと考えちまうじゃねえか……っ!」

 

自嘲交じりの呟きと同時に、レイは頭をガシガシとかきむしった。

 

もちろん、そんな真似をすればエルネストが本気で殺しにかかってくるだろうし、何よりリリアに嫌われてしまうかもしれない。

 

だからこそ、このドス黒く甘い衝動は、すべて心の奥底に封印しなければならないのだ。

 

「はあ……本当に、どうしてこうなったんだよ……」

 

再びベッドに大の字に倒れ込み、レイは天井に向かって乾いた笑いをこぼす。

 

男としてのプライドと、変化した肉体が持つ煩悩の狭間で、今日も今日とて、レイの静かなる苦悩は終わりなく続いていくのだった。

 

——だが、その平穏は長くは続かない。

 

リリアが「ちょっとエルネストの部屋に行ってくるね」と部屋を出て行った後、静まり返った自室でレイの心に渦巻く熱と波立ちは収まっていなかった。

 

先ほどまで目の前で無防備に微笑んでいたリリアの姿が、脳裏に焼き付いて離れない。

 

あの圧倒的な豊満な肢体、湯上がりの火照った肌、そして自分を「頼りになるお姉さん」と信じて疑わない無垢な瞳。

 

温泉での近すぎる距離感や、肌が触れ合いそうになった瞬間の甘い香りが、レイの理性を内側から少しずつ、確実に溶かしていく。

 

(……くそっ、こんな身体になりやがって……っ!)

 

自嘲と焦燥の入り混じった吐息を漏らしながら、レイは震える指先をゆっくりと自身の身体へと這わせていく。

 

だが、男だった前世の感覚しか知らないレイにとって、女の子の身体を自分で弄るなど完全に未知の領域だ。

 

どこにどう指を添えればいいのかすら分からず、服の上からおそるおそるなぞる手つきはぎこちなく、酷く頼りない。

 

頭の中でリリアの無防備な笑顔や甘い香りを必死に再現し、距離の近かった彼女の体温を幻視してみるものの、慣れない自分の指先が直接肌に触れるたび、レイはビクッと体を硬直させて情けなく身をすくめてしまう。

 

(っ〜……!? どこ……触ればいいんだよ……ッ!? なんだよこれ……っ!)

 

男の時の知識など何の役にも立たない。

 

自分の身体でありながらどこか他人事のような生々しさと恥ずかしさに襲われ、レイは真っ赤な顔を歪めながら、手探りで不器用な慰めへと静かに身を委ねていった。

 

「……っ……んぅ……ぅ……ん」

 

熱を帯びた吐息と、小さな嬌声が混じり合う静かな夜。

 

男としての誇りと、美少女の肉体がもたらす狂騒の狭間で、レイの孤独な戦いは続いていく――はずだった。

 

——カチャリ。

 

重厚な木製の扉が開き、リリアが「ただいま、レイちゃん」と戻ってきた。

 

(……っ!? そうだった、リリアはちょっとエルネストのところに行ってから、戻ってくるんだったわ……っ!)

 

頭をガツンと殴られたような衝撃と同時に、レイの背筋に冷や汗が一気に吹き出す。

 

同室であるリリアが用事を済ませてこうして自分の部屋に戻ってくるのは、最初から当たり前のことだった。

 

――だが、問題は『たった今、まさに自分自身を慰めている真っ最中だった』ということだった。

 

部屋の空気に残る生々しい熱気、高ぶった神経、そして自分の手に残る確かな残響。

 

「……あれ? レイちゃん、どうしたの? そんなに顔を真っ赤にして……。どこか熱い?」

 

エルネストの部屋から戻ってきたリリアが不思議そうに小首をかしげ、心配そうにレイの顔を覗き込みながら近づいてくる。

 

(近くで見ると、レイちゃんの肌。こんなに赤らんでて……なんだかやけに色っぽくない……?)

 

リリア自身も、レイのただならぬ色気と密室の雰囲気に気付いてしまい、内心で微かな胸騒ぎを覚えていた。

 

(あ、危ねぇ……! この距離で見詰められたら、さっきのことがバレるどころか別の意味で理性が完全にブチ切れる……っ!)

 

レイは慌てて視線を逸らし、必死に震える声を殺しながら、冷徹でクールな美少女の仮面をかろうじてかぶった。

 

「っ……なんでもない! ちょっと、部屋の中が……その、暖房の効きすぎか、少し暑かっただけだ!」

 

「そっかぁ。じゃあ、窓を開けよっか?」

 

「いや、いい! 開けなくていい!」

 

あまりに必死すぎるレイのトーンに、リリアはきょとんとした顔で目を瞬かせた。

 

動揺を隠しきれず、冷や汗を流しながら、レイは自分のベッドからできるだけ離れた場所で硬直する。

 

「ねえ、レイちゃん。なんだかさっきからすごく落ち着かない様子だけど……本当に大丈夫?」

 

リリアが心配そうに一歩、また一歩と距離を詰めてきた。

 

その無邪気で可憐な仕草に、レイの心臓は激しく波打つ。

 

「っ、なんでもない! ちょ、ちょっと体が冷えて……その、ストレッチでもしてたんだよ!」

 

必死に取り繕うレイの声は、わずかに上ずっていた。

 

だが、リリアはその異変を真に受け、ふんわりと優しい笑みを浮かべる。

 

「そっかぁ。じゃあ、少し温かいお茶でも淹れよっか? わたし、お部屋に持ち込んでるハーブティーがあるんだよ」

 

そう言って、リリアはトコトコと部屋の一角にあるテーブルへと歩み寄り、慣れた手つきで湯を沸かし始めた。

 

(……なんだか、胸の奥が熱い……? さっきから、体がふわふわして、変な感じがする……)

 

部屋の空気に微かに残っていた――先ほどまでレイが一人で発散させていた熱と情熱の残り香が、密室の中で彼女の纏う甘い香りと混ざり合い、リリアの知覚を内側からじっとりと侵していた。

 

本人はそれが何であるかなど気づきもしないが、身体の奥底から得体の知れない熱がじわじわと引き出されている。

 

その熱にあてられるように、リリアの瞳は潤み、頬はほんのりと赤い熱を帯びていった。

 

「あのさ、レイちゃんってスラッとしてて……すごくモデルさんみたいで可愛いよね。」

 

ハーブティーを淹れようとしていた手が止まり、リリアはふと寂しそうな、どこか物欲しそうな瞳でレイを見つめた。

 

「やっぱりレイちゃんのスタイル、すっごく羨ましいな……スラッとしてて……すごくモデルさんみたいで可愛いよね。……私なんて、こんなに胸ばかり大きくて、なんだかぽっちゃりしてて……」

 

(――は? 何言ってやがる……。お前、鏡見たことあんのかよ。どう見てもお前の方がスタイルいいだろ……!)

 

あまりの言動の斜め上っぷりに、レイは心の中で激しく卓袱台をひっくり返した。

 

(俺は出るとこも出てないし、ただ細いだけだろうがッ……! お前のその圧倒的なボリュームと柔らかそうな曲線美に比べたら、俺の身体なんてただの棒じゃねぇか……何がぽっちゃりだ贅沢な悩み言いやがって……っ!)

 

あまりの解釈違いと不条理さに加え、自分の理想からかけ離れた貧相な体型へのコンプレックスが限界に達し、レイは思わずヤケクソ気味に声を荒げた。

 

「――はぁ!? お前、何言ってんだよ……! お前の方がよっぽどスタイル良いだろ!……俺と違って!」

 

(……って、はっ!? 俺は今なんて……っ!?)

 

自分の口から飛び出した言葉のヤバさに気づいた瞬間、レイの頭の中で激しく警報が鳴り響いた。

 

真っ赤だった顔から一気に血の気が引き、冷や汗が一気に噴き出す。

 

「な、なんでもねぇよ!! 今のは聞き流せ……っ!」

 

慌てて取り繕おうと顔を背けるレイだったが、そのポロッと零れ落ちた「本音」の破壊力は凄まじかった。

 

レイが言葉を詰まらせた瞬間、リリアの瞳はぱぁっと明るく輝き、嬉しそうにとろけるような笑みを浮かべる。

 

「それならレイちゃん、またちょっと触ってみても良い? ……でも、それだけじゃ不公平だから、私の胸もレイちゃんが羨むようなところがあるか、ちゃんと触って確かめてみていいから……っ!」

 

悪気のない好意と、あまりにも直球すぎる大爆弾の提案。

 

その言葉が耳に届いた瞬間、レイは自分の失言の自爆と斜め上の展開に、張り詰めていた頭の回路が完全にフリーズした。

 

(……って、うわあああぁぁぁっ! なんで話がそっちの方向に加速してんだよ――っ!?)

 

「……はぁ?お前何言ってんだ。自分を大切にしろ!」

 

「……だって、レイちゃんだもん」

 

「……は?」

 

「レイちゃんのことは女の子の中で一番好きだし……レイちゃんなら……どこ触られてもいいし、私が何をしても受け入れてくれるかなって、思っちゃったんだもん……」

 

そう言って潤んだ瞳で甘えてくるリリアに、レイは呆れと焦りが混ざったような声で問い詰める。

 

「……っ、お前……! エルネストはどうすんだよ? アイツのことが好きなんじゃないのか……!?」

 

「好きだよ……っ。すごく大事だし、大好きだからこそ……こんなカッコ悪い、恥ずかしい私なんて見せられないの……! 嫌われたくないから……っ。でも……レイちゃんの前にいると、我慢できなくなっちゃうの……っ。レイちゃんなら……私の全部、受け止めてくれるって……」

 

「……じゃあ、もしお前がエルネストと上手くいって付き合うことになったらどうすんだよ!? その時、俺のことはどうするつもりなんだよ……!?」

 

「え? その時は……3人で一緒に仲良くすればいいんじゃないかな?」

 

「…………は?」

 

予想を遥かに超えた斜め上の回答に、レイの思考回路が完全にフリーズする。

 

ポカーンと呆然とするレイに対し、リリアは「レイちゃん……?」と首をかしげながら、全く悪気のない様子でさらに距離を詰めてきた。

 

「ねぇ、レイちゃんってば……。やっぱりレイちゃんのスタイル、すっごく羨ましいな……」

 

言いながら、リリアの手がごく自然な手つきでレイの腰や、丸みのあるお尻へと伸びていく。

 

お風呂の時と同じ……いや、それ以上に無防備で遠慮のない手つきで、吸い付くように柔らかく揉みしだいていく。

 

「あっ、ここも……すごくキュッとしてて綺麗な形……っ」

 

(……は? 3人一緒……? って、お前……固まってるのをいいことに、どこ触って……ッ!?)

 

密着した身体から伝わる熱と、腰やお尻を直に弄ばれる強烈な感触に、フリーズしていたレイの脳内に一気に血が上った。

 

「……っつ、お前……ッ! どこ触ってんだよ……ッ!?」

 

「ふぇ……? レ、レイちゃん……?」

 

「人のこと散々混乱させておいて、好き勝手触りやがって……っ! もう知らねぇ……ッ! 『お返しに触っていい』って言ったの、お前だからな――こうなったら倍返しだ……っ!!」

 

恥ずかしさと怒りと理不尽さの限界を超え、半ばヤケクソになったレイは、勢いそのままにリリアをベッドへと押し倒した。

 

「っ……!? レ、レイちゃん……?」

 

突然の反撃に驚き、リリアが目を丸くする。

 

逃げ場を塞ぐように覆いかぶさったレイは、動揺を隠すように、そのまま勢い任せに彼女の唇を奪った。

 

驚きに目を見開くリリアの隙を突くようにキスを叩き込みながら、レイの手はヤケクソの勢いのまま、彼女の服の上から圧倒的なボリュームの胸をぐっと掴みかかった。

 

「んん……っ!?」

 

——しかし、直後にレイの思考は、別の意味で完全に跳ね飛んだ。

 

(……っ!? な、なんだこれ……柔らかすぎだろ……ッ!?)

 

女の子としてのレイの華奢な手では、リリアの豊かな爆乳は到底収まりきらず、指の隙間からたわわな柔らかさが溢れ出してしまう。

 

自分の身体には絶対にない圧倒的な質量と、本物の女性の胸の柔らかさに直面した瞬間、童貞のレイはギョッとして全身の血が逆流し、思考回路が盛大にショートした。

 

そのまま目を見開いたまま、無我夢中で何度もその感触を確かめるように揉みしだいてしまう。

 

「……え。俺のと全然ちがう……」

 

「ふぇ……? レ、レイちゃん……?」

 

突然真剣な表情(かつ必死)で自分の胸を味わい尽くすようなレイの挙動に、リリアは少しだけ目を丸くした。

 

しかし、すぐにふわりと嬉しそうにとろけるような笑みを浮かべ、レイの頭を優しく包み込むようにそっと抱き寄せる。

 

「……ふふ、そっか。レイちゃん、そんなに私の胸……気に入ってくれたんだ……」

 

「っ……!? あ、いや、そういうわけじゃ……っ!」

 

動揺して思わず手が緩んだスキを見逃さず、リリアはレイの腕を優しく包み込み、自分の胸からそっと引き剥がすと——今度は甘く微笑みながら、レイの服のボタンへと手を伸ばした。

 

「じゃあ……もー、お返ししてあげるね?」

 

「っ……え……? お、お返しって……んむっ……!?」

 

狼狽するレイの唇が、下から重なるように突き上げられたリリアの熱いキスによって呆気なく塞がれる。

 

さっきのレイの不器用な接吻とは違う、相手の熱をじっくりと絡め取るような濃厚な舌使い。

 

口内に広がるリリアの甘い体温と強烈な快感に、レイの思考は一気に痺れ、胸を揉んでいた手も思わず力を失って離れてしまった。

 

(っ~……!? な、なんだこれ……っ!?)

 

唇から与えられる痺れるような熱にレイが甘く翻弄されている間も、リリアの手は滑らかにレイの服の合わせへと潜り込んでいた。

 

迷いのない手つきでボタンや帯が手際よく解かれ、布地が肌を滑り落ちていく。

 

「んっ……ふぁ……っ、り、リリア……っ!?」

 

ようやく唇が離れた時には、肌を撫でる部屋の空気がやけに冷たく感じられた。

 

呆然として自分の身体を見下ろすと、レイの服はあっさりと脱がされ、華奢で白い素肌が露わになっていた。

 

すっかり生まれたままの姿にされた自分と、目の前でうっとりと微笑むリリアを見比べ、レイは真っ赤な顔のまま完全にフリーズするしかなかった。

 

「あ……れ……っ? な、なんで……俺……ッ!?」

 

驚愕と恥ずかしさで声を詰まらせるレイの首筋に、リリアは愛おしそうにそっと手を添え、至近距離から悪戯っぽく囁いた。

 

「……レイちゃん、ちょっと練習しよっか?」

 

「っ……!? れ、練習って……なんの……っ!?」

 

「ふふっ、レイちゃん……脱がすのも、キスも……すっごく不器用だったから。私が手取り足取り……いーっぱい、教えてあげるね?」

 

そう言って蕩けた瞳で微笑むリリアの指先が、レイの露わになった胸元からお腹へと、甘くゆっくりとなぞり落ちていく。

 

押し倒したはずの立場は完全に逆転し、レイは今度こそ真っ赤な顔で情けない声を漏らすことしかできなくなった——。

 

「っ……!? あ、あの……リリア……ッ!?」

 

抗おうにも、生まれたままの姿にされた恥ずかしさと、肌を直接撫で回されるくすぐったいような熱に、レイの全身からあっという間に力が抜けていく。

 

「ん……レイちゃん、ここ……すごくキュッとして可愛い。……あっ、力入れちゃダメだよ?」

 

「ふぁっ……!? どこ……触って、んぁ……ッ!」

 

迷いのない的確な手つきで、レイの華奢な腰や太ももの内側をなぞり上げられ、レイの口から情けない声が漏れた。

 

(~っっ!? な、なんだよこの声……ッ!? 俺は男だぞ……!? なんでこんな甲高い声出してんだよッ……!?)

 

生まれたままの姿でベッドに押しつけられ、自分より背の低いリリアに上から見下ろされたまま、レイは過剰な快感に身体を大きく跳ねさせる。

 

背丈は自分の方が高いはずなのに、馬乗りになって見下ろしてくるリリアの圧力と、逃げ場のない愛撫。

 

直接的な行為すら始まっていない、ただ敏感な場所を執拗に弄られているだけだというのに、身体の奥から沸き立つ熱と快感にレイの理性が呆気なく溶かされていく。

 

頭では「俺は男だぞ」「抗え」と必死に叫んでいるのに、与えられる甘い刺激に対して身体が勝手に反応し、快感の波へ深く沈んでいってしまう。

 

(くそ……っ! なんで俺の方がデカいのに……っ、力が……っ!)

 

「ふふ、レイちゃん……身体、すごくビクビクしてる……。でもダメだよ? もっといーっぱい気持ちよくなってほしいんだもん」

 

どこをどう触ればレイが甘い悲鳴を上げるのかを察したリリアの手つきは、逃げ場を一切与えないほど執拗で濃厚だった。

 

「待って」「もう無理」と必死に縋り付いてくるレイの細い腕を優しく受け止めながら、リリアはウットリとした表情で、レイが快感の頂点へと達するまで容赦なく甘い愛撫を重ねていく。

 

「ね? 力を抜いて……私に任せて? レイちゃん……っ」

 

「っあ……ッ!? ぁ……っ、んぁぁぁぁぁッッーーーー!?」

 

極限まで追い詰められたレイの頭の中が真っ白に弾け飛ぶ。

 

(なに……これッ!? なんだよこれぇッ……!?)

 

男だった前世の感覚とは、何もかもが違っていた。

 

局所的に弾けて終わる男のそれとは異なり、身体の底から溢れ出す強烈な快感が、波となって何度も何度も全身の神経を駆け巡り、脳を激しく揺さぶってくる。

 

全身の筋肉が勝手に収縮し、呼吸の仕方すら分からなくなるほどの過剰な波。

 

未知の快感に追いつけない理性がぐにゃりと溶けて崩壊していく。

 

一度押し倒して反撃しようとした男のプライドも何もかもが吹き飛び、レイはリリアの下で完全に腰を砕かれ、激しい絶頂の余韻に身体を跳ねさせて打ち震えることしかできなかった。

 

(~っっ!? な、なんだよこれ……ッ!? こんなの……知らねぇよ……ッ!)

 

過剰な快感の残響に身を悶えさせ、必死に情けない声を殺すレイ。

 

そんなレイの荒い吐息と真っ赤な顔を、上から愛おしそうに見つめていたリリアは、ふっと満足そうに口元を緩めた。

 

増悪する熱に浮かされたままピクピクと震えるレイの太ももをそっと撫で上げると、リリアはスルリと向きを変え——レイの顔の上へ静かに腰を落とすように、上から跨がりかかってきた。

 

「ふふ……っ、レイちゃん、すごかったね。……でもね?」

 

「っぁ……っ、はぁ……っ……れ、リリア……ッ!?」

 

目と鼻の先に迫るリリアの生々しい体温と、甘く濃厚な芳香。

 

そして、恥ずかしげもなく露わにされた女の子の秘部を至近距離で突きつけられ、レイは一瞬で呼吸を忘れて目を白黒させた。

 

(っ~……!? 待っ……近っ……!? な、なんだよこれ……ッ!?)

 

前世は男だったとはいえ、中身は筋金入りの童貞だ。

 

本物の女の子のそんな場所なんて、間近で見つめたことすら一度もない。

 

画面越しや知識で知っているつもりの情報など何の役にも立たず、目の前の甘い質感とリアリティにレイの脳は完全にオーバーヒートを起こしていた。

 

どうすればいいのか、どこをどう触ればいいのかすらさっぱり分からず、レイはただただ真っ赤な顔で固まるしかない。

 

息を整える暇すら与えられないまま、頭上からリリアの甘くウットリとした声が追い打ちのように降ってきた。

 

「レイちゃん……私にもしてよぉ。……お返しなんでしょ?」

 

「っ~……!? 今イかされたばかりだぞ……!? っていうか、こんな……どうすりゃいいのか……ッ!」

 

パニックのあまり思わず本音が漏れてしまうレイだったが、リリアはうっとりと微笑んだまま、レイの手をそっと取った。

 

「ふふ、大丈夫だよ。……ほら、私の指見てて?」

 

そう言ってリリアは、レイの目の前で自分の指先を秘部へと伸ばした。 尖った芽を優しく指腹で転がしながら、もう片方の指を滑らせて腔内へと浅く潜り込ませていく。

 

「んっ……あ……っ、こうやって指でここを撫でながら……中も、ゆっくり動かすの……っ」

 

「っあ……ッ!? ちょ、お前……目の前で何やって……ッ!?」

 

目と鼻の先で繰り広げられる生々しい指の動きと、甘い水音、そしてリリアの艶っぽい吐息。

 

刺激が強すぎる光景をダイレクトに見せつけられ、レイの顔は爆発しそうなほど真っ赤になり、目が完全に泳ぎ出す。

 

「ふふ、分かった? ……はい、レイちゃんの指で……やってみて?」

 

「っ~……ッ!? ゆ、指で……っ!?」

 

拒絶しようにも、手首を優しく導かれ、リリアの温かく濡れた質感の場所へと指先を押し当てられてしまう。

 

逃げ場がないことを悟ったレイは、涙目を浮かべながら、おそるおそるリリアに教えられた通りに指先を動かし始めた。

 

(っくそ……! 触り方なんて……全然分かんねぇよ……ッ!)

 

前世の知識もプライドも完全に吹き飛び、ただリリアのお手本通りに震える指で一生懸命に弄るレイ。

 

お返しをしてやるつもりが、完全にリリアの誘導にハマり、懸命に奉仕させられているだけの甘い地獄が続いていくのだった

 

「ん……あ……っ、そう……上手だよ、レイちゃん……っ」

 

「っ、ふぁ……っ……ほ、ほんとに……これで……っ?」

 

目の前に迫るリリアの甘い体温と濡れた質感に頭をクラクラさせながら、レイは教えられた通りに恐る恐る指先を動かし続ける。

 

(な、なんだよこれ……ッ! どこをどう触れば正解なのかも分かんねぇのに……っ!)

 

指腹で尖った蕾を小さく撫で、浅く滑り込ませた指先を不器用になぞるたび、頭上からリリアの艶っぽい吐息が降ってくる。

 

男としてのプライドは完全に打ち砕かれ、ただリリアを満足させるためだけに懸命に指を動かしている自分の姿が情けなくて、レイの顔は爆発しそうなほど熱かった。

 

だが、リリアがそこで攻め手をゆるめてくれるはずもなかった。

 

「ふふ、レイちゃんが頑張ってくれてるから……私、すごく気持ちいい……っ」

 

「っ~……!? ちょ、お前……ッ!?」

 

レイの健気で初々しい奉仕に甘くウットリとしたリリアは、レイの手首を優しく握り直すと、その指先をさらに深く、そして速く動かすように誘導してきた。

 

同時に、リリア自身の指先がレイの無防備な秘所へとしなやかに伸び、過敏になっている蕾を容赦なく弾く。

 

「ひぁぁぁッ……!? あ、だ、ダメぇッ……! 今……触られたら……ッ!」

 

一回イかされたばかりの過敏すぎる身体にダイレクトな刺激を流し込まれ、レイの口から甲高い悲鳴が跳ね上がった。

 

「レイちゃん……私に指動かしながら……自分も、もっと気持ちよくなろうね……♪」

 

「む、無理……っ! 息……っ、できな……っ! んぁぁぁぁッ!!」

 

リリアに指を誘導されてお返しをさせられながら、自身も容赦なく執拗に甘いポイントを突かれ続けるという、逃げ場ゼロの泥沼。

 

(くそ……っ! 反撃……してるはずなのに……なんで俺の方が……とろかされてんだよッ……!?)

 

パニックと過剰な快感に頭の中がぐにゃりと溶かされ、レイはもはや自分の指を動かしているのか、リリアに動かされているのかすら分からなくなり、涙目になって甘い悲鳴を上げ続けるのだった——。

 

——どれほどの時間が経ったのだろうか。

 

ぐったりとベッドの上に横たわったまま、レイは乱れた前髪の間からボーッと天井を仰いでいた。

 

全身の力がすっかり抜けきり、指一本動かすことすらおぼつかない。

 

肌にはじんわりと甘い汗が浮かび、過剰な快感の残響が未だに身体の奥で小さくピクピクと脈打っていた。

 

(……なんで……こうなった……ッ)

 

一度押し倒して優位に立ったはずだった。

 

男のプライドを見せてやり返すはずだったのに、蓋を開けてみれば最初から最後までリリアの手のひらの上で転がされ、情けなく甘い悲鳴を上げさせられただけだった。

 

しかも、女の身体で初めて味わったあの凄まじい快感。

 

男だった頃の知識も経験も何の役にも立たず、ただ翻弄されてイかされてしまったという事実に、レイは真っ赤な顔を両手で覆って深く絶望した。

 

「ふふ……レイちゃん、大丈夫? お顔、すっごく真っ赤だよ?」

 

隣からすり寄ってきたリリアが、ウットリとした満足気な表情でレイの首元に顔をうずめてくる。

 

柔らかい体温と甘い香りが再び至近距離で重なり、レイはビクッと肩を跳ねさせた。

 

「っ……あ、頭……撫でるな……ッ」

 

「えー? だってレイちゃん、すごく頑張ってくれて可愛かったんだもん。……また練習、しようね?」

 

「つ、次の『練習』なんてねぇよ……ッ!!」

 

弱々しく抗ってみせるものの、リリアの胸の中に抱きかかえられたままでは全く威厳がない。

 

完全にリリアに甘く毒されてしまった自分の身体に焦りを感じつつも、抵抗する気力すら湧かず、レイはそのまま彼女の体温に包まれるがまま、とろけるような意識のなかで眠りに落ちていった。

 

――そして、夜が明けるまでの数時間前。

 

意識が朦朧とする中でも、リリアはまるで大切なお人形を抱きしめるように、レイの体を優しく腕の中に囲い込み、その黒髪や背中を心地よさそうに撫で続けていた。

逃げ場のない密着と、肌越しに伝わる穏やかな体温。

 

眠りながらも、レイの身体は昨夜刻み込まれた快感の記憶をどこか安心感として覚えてしまっており、無意識にリリアの体温を求めて小さく身を寄せてしまう。

 

(……ん……あったけぇ……って、ちがうっ……!)

 

夢うつつの中でそれに気づいた瞬間、レイは心の中で冷や汗を流し、猛烈な気恥ずかしさに襲われた。

 

中身は男だというのに、すっかり甘え切った体勢で女の子の腕の中に収まっている自分。

もし今ここで目を覚ましてしまったら、どんな顔をしてリリアと向き合えばいいのか分からない。

 

気まずさと恥ずかしさで、レイは眠りの中でも顔を真っ赤に染め上げ、必死に呼吸を乱しながら現実逃避するように再び深い眠りへと沈んでいくのだった――。

 

 

 

まぶしい朝の光が薄いカーテンを透かして室内に差し込み、レイの瞼を優しく叩いた。

 

「……ん……っ……」

 

重い瞼をうっすらと開けた瞬間、全身を襲ったのは強烈なだるさと、下腹部に残る甘く痺れるような熱の残響だった。

 

身体を少し動かそうとしただけで、昨夜リリアに骨抜きにされるまで甘く弄ばれ尽くした感触が、脳裏に生々しく蘇ってくる。

 

(……っ〜〜〜〜ッ!?)

 

一瞬で顔が爆発しそうなほど熱くなり、レイは布団の中で頭まで被り直して絶叫しそうになるのを必死で耐えた。

 

夢であってほしかった。

 

だが、肌を撫でる体のダルさも、節々に残る力が入らないような疲労感も、すべてが「現実」であることを主張している。

 

(俺は……転生前は男だぞ……っ!? 童貞ではあるけど…………なんで……なんであんな……ッ!)

 

男としてのプライドも、転生前の知識も、すべてが木端微塵に砕け散った敗北感。

 

そして何より、抗おうとすればするほど快楽に屈してしまった自分自身の「身体」に対する情けなさに、レイは布団の中で縮こまって涙目になるしかなかった。

 

「……あ、レイちゃん! おはよ~!」

 

その時、頭上からちゅ、と軽い音がして、おでこに柔らかい感触が落とされた。

 

びくっと身体を跳ねさせて布団から顔を出すと、そこにはすっかり身支度を済ませたリリアが、朝陽のような眩しい笑顔で覗き込んでいた。

 

昨夜あれほど濃厚にお返しをさせ、最後はレイを蕩けきらせていたとは思えないほど、すっきりと爽やかなお顔立ちである。

 

「っ……り、リリア……ッ! お前、な……なに自然におでこにキスしてんだよ……ッ!」

 

「えー? だって、おはようのキスだよ? レイちゃん、まだお顔真っ赤だね。……ふふ、昨日はあんなに頑張ってくれて可愛かったんだもん♪」

 

「思い出すようなこと言うなーーーッ!!」

 

真っ赤になって枕を抱え込むレイに対し、リリアはクスクスと嬉しそうに笑うと、ベッドの端に腰かけてレイの乱れた黒髪を優しく撫でた。

 

「あのね、レイちゃん。私……すごく嬉しかったの。レイちゃんが私の全部を受け止めてくれて……。また、二人で『練習』しようね?」

 

「つ、次の『練習』なんて絶対にねぇからな……ッ!!」

 

弱々しく抗ってみせるものの、自分の髪を撫でるリリアの甘い体温と香りに毒されてしまっているレイの体には、まったく威厳がない。

 

(……くそっ、なんで俺の方がデカいのに、完全にこいつの手のひらの上で転がされてんだよ……ッ!)

 

と、そこでふと、レイの頭の中に突如として恐ろしい疑問が浮かび上がった。

 

(……待てよ?)

 

(俺は前世で童貞のまま転生してきた。それはいい。だが昨夜、リリアに散々イかされて……その、手篭めにされたわけだろ……?)

 

(……ということは、俺はもう童貞じゃないのか……!?)

 

(いや待て待て待て!! 貫通はしてない!! 挿入はされてないんだから、物理的にはまだ処女のはずだろ……!?)

 

(……けど!! あんなに気持ちよくされてイかされまくったのに『未経験です』なんて顔ができるかよッ!? 身体の感度は完全に開発されちゃってんだぞ!?)

 

(……は? え? じゃあ俺は今、『感度だけ開発された物理的処女の童貞』なのか……!? 男の童貞としても女の処女としても、概念が迷子になりすぎて意味が分からんぞーーーッ!?)

 

あまりに不条理すぎる「経験の定義」に脳のCPUが完全に熱暴走を起こし、レイは枕に顔をうずめて無音の絶叫を上げた。

 

「レイちゃん? どうしたの、頭痛いの?」

 

「触るなッ……! 今、俺のアイデンティティと処女膜の定義が崩壊しかけてんだよッ……!!」

 

「えぇ〜? よく分からないけど……」

 

ベッドの上で膝立ちになったリリアが、パニックを起こして顔を真っ赤にしているレイの顔を覗き込んでくる。

 

(……くそっ、本当の理由なんて口が裂けても言えるかよッ! 『俺は前世男で、童貞のまま転生して、でもお前に散々イかされて感度開発されたから混乱してる』なんて言ったら、一発で頭おかしいと思われるか、嫌われるかだッ……!)

 

レイは「絶対にバラさない」という固い決意のもと、必死に前世の秘密を心の中に封印した。

 

「レイちゃんって、男の人とそういうことしたことないでしょ?」

 

「……っ、そ、そりゃそうだろッ! そんな経験ねぇよッ!」

 

「でしょ? 貫通もしてないんだし……じゃあレイちゃん、普通に処女じゃない?」

 

「……………………………………」

 

ピキッ、とレイの頭の中で何かが砕け散る音がした。

 

(ふ、普通に処女……!?)

 

「俺は男だ」という最大の前提を隠しているせいで、リリアから出された「客観的な真実(ド直球)」に、何ひとつ反論ができない。

 

「お前……ッ!」

 

レイは真っ赤な顔を枕から上げると、涙目の凄まじい形相でリリアを睨みつけた。

 

「お前……ッ! そういう身も蓋もない言い方をするなッ……!! 俺の血の滲むような葛藤を秒で雑に解決するんじゃねぇええええッ!!」

 

「えっ、だって本当のことじゃない? 何でそんなに怒ってるの〜?」

 

「怒ってねぇ!! 虚しいんだよッ!! 『普通に処女』って言われて『あ、はい』って納得できるかよッ! 昨日お前にあんな手篭めにされておいてッ!!」

 

「えへへ、レイちゃん可愛かったもん♪ じゃあ、処女のレイちゃんに『おはようのなでなで』ね」

 

「話を聞けぇぇぇッ!! 触るな! 撫でるなぁぁあああ! !」

 




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現段階で六章まで書き終えておりますので暫くは毎日7:00と19:00の1日2回のペースで更新していこうと思っています。

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