※この作品はR-18です。

ラグナロクオンラインの世界に転生した。―歪な愛の行方―   作:和泉終夜

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R18です

TS百合が苦手な方は読み飛ばしてください。


閑話 二人だけの秘密の熱量

時計塔の影から二人の買い物をそっと見届けていたエルネストは、ギフト箱を嬉しそうに抱えるリリアの姿を確認すると、深くかぶったフードの奥で静かに息を吐いた。

 

(……レナードへの土産も買い終えたか。これで大人しく宿へと戻るだろう)

 

これ以上、街の男どもに不快な視線を向けられる懸念もないと判断したエルネストは、二人よりも一足先に宿へ戻り、夕食の手配や弓の手入れを進めるべく、気配を消して影の中へと消えていった。

 

――しかし、エルネストのその予測は、思わぬ「突発事故」によって脆くも崩れ去ることになる。

 

「ふふ、レナードさん喜んでくれるといいな〜」

 

「……ああ。あいつ、口では『気にしてない』なんて言ってるけどさ、本当は街中じゃずっと肩身の狭い思いをしてたんだ。リリアのその気遣い、絶対泣いて喜ぶぞ」

 

「えへへ、レイちゃんにそう言ってもらえると嬉しいな!」

 

ご機嫌な足取りで露店街を歩いていた二人。だがその背後から、聞き覚えのある陽気でハキハキとした声が突如として投げかけられた。

 

「あれ? リリアとレイじゃないかい? 久しぶりだね!」

 

振り返ると、そこに立っていたのは『聖者の行進』の聖職者仲間であるアリシアとレベッカの二人だった。

 

「今日はエルネストは一緒じゃないのかい? 珍しいね」

 

「あ、はい! 今日はちょっと二人でお買い物を指定まして……」

 

「そちらもイオンさんとは一緒じゃないんですね」

 

愛想よく答えるリリアに対し、レベッカはどこか悪戯っぽい笑みを浮かべ、ニヤリと口角を上げた。

 

「いやー、今日はね、女だけしか入れない店に行こうと思ってたからイオンはお留守番なのさ。ちょうどいいや、リリアとレイも一緒に行こうよ!」

 

「えっ……? 女性限定のお店ですか……?」

 

「ちょっと待て、俺たちはこれから宿に——」

 

レイが断ろうと口を開かけた瞬間、アリシアとレベッカはニヤニヤしながら二人の腕をがっしりと掴み、強引に路地の奥へと引っ張っていってしまった。

 

「まあまあ、そう硬いこと言いなよ! 女同士の社会勉強だよ!」

 

連れ込まれたのは、大通りの喧騒から外れた裏路地にひっそりと佇む、重厚な木造の店舗だった。

 

妖艶な紫色と桃色の魔法ランプが薄暗い店内を静かに照らし出し、甘く濃厚な香水の香りが立ち込めている。そして、棚やガラスケースの中に所狭しと並べられていた商品を目にした瞬間、レイは息を呑み、思考が完全にフリーズした。

 

(……っ!? ……え、ええぇっ!?)

 

店内に並んでいたのは、あからさまな「女性専用の大人の道具(おもちゃ)」の数々だった。

 

滑らかな曲線を描くガラス製の器具、妖しく微振動する魔法具、艶やかな革製の拘束具まで、視界の全てが刺激的なピンク色に染まっている。

 

(い、いやいやいや! まてまてまて! ここってどう見てもそういう店だろ!? なんでこんな場所に俺たちが連れてこられてんだよ!?)

 

心の中で叫び、頭を抱えて大パニックに陥るレイ。

 

身体は可憐な女性になろうとも、内面はれっきとした男だ。

 

理性と記憶が猛烈なアラートを打ち鳴らしている。だが、すぐ隣に立つリリアはというと――。

 

「えっ……すごーい、ナニコレ……! ちょっとエッチだけど……」

 

頬をぽっと朱に染め、上着の裾をキュッと握りしめながらも、リリアは珍しそうに怪しげなアイテムを指先でつついている。

 

案外まんざらでもない様子で、どこか興味津々に眺めているのだ。

 

(り、リリア……っ!? お前、なんでそんな興味深そうに見てんだよ!?)

 

「ちょっと、リリア……っ! お前、何触ってんだ! 早く出るぞ!」

 

「だって……レイちゃん、女同士だと、なんだかちょっとタガが外れちゃうというか……少し気になるじゃない?」

 

モジモジと恥ずかしそうに身体を揺らすリリア。その可憐で無防備な様子に、連れてきたレベッカがニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべて二人へ顔を寄せた。

 

「ところでさ、あんたた ちはエルネストとはどこまで進んでるんだい?」

 

「「っ……!?」」

 

不意を突かれた質問に、二人の顔が一瞬で真っ赤に染まる。

 

「ちょ、ちょっと待ってください! なにも! なにもしてないですよ!?」

 

「そうだぞ! 俺とリリアは……じゃなくて、エルネストとリリアはそんなんじゃない……っ!」

 

焦りまくって手と顔をぶんぶんと振る二人。

 

しかし、レベッカはニヤニヤ顔を崩さない。

 

「なんだ、そっちじゃないのかい? ……んじゃ、あんたた ちがデキてるのかい?」

 

「「なっ……!?」」

 

身体の繋がり——かつて一線を越えた経験があるリリアとレイは、さらに顔をリンゴのように真っ赤に熟させながら、「ち、違いますっ……!」「そんなわけねえだろ……っ!」と必死に否定の声を上げた。

 

(やべぇ……! なんでここで俺とリリアの関係を突っ込まれてんだよ!? 冗談じゃねえぞ……っ!)

 

そんなレイの動揺をよそに、アリシアがあっけらかんと肩をすくめた。

 

「なんだい、何も女同士だからって不思議じゃないじゃないか。うちだってすることあるよ。ねえ、アリシア?」

 

「そうね。二人でしてるところをイオンに見てもらって、それから本番……なんてこともあるしね」

 

「ぶっ……!?」

 

アリシアとレベッカの口から飛び出した、あまりにも過激で刺激的な体験談。

 

レイの脳内キャパシティは限界を突破し、完全にパンク状態となった。

 

(えっ!? なにこの世界!? 女同士でそういうことするのが普通なのか……!? というかイオン公認で観賞会からの本番ってどういうことだよ!? どんなプレイしてんだあの三人組は……!?)

 

大混乱で冷や汗を流すレイの隣で、リリアは上目遣いで頬を赤らめながら、恐る恐る聞き返していた。

 

「え、そうなんですか……? 女性同士でも、そういう……気持ちよかったりするんですか……?」

 

「そうそう! ほら、この本みたいにあーやってやるんだよ」

 

レベッカが店頭の春画を開いて指し示すと、そこには肌を重ね合わせ、艶やかに絡み合う二人の女性の美しい絵図が細部まで描かれていた。

 

「女性同士のための道具もたくさん売ってるから、ちょっと試してみなよ。日常のストレスも解消されるし、気持ちいいし最高だよ〜?」

 

「へ、へぇぇ……っ」

 

恥ずかしそうに手で口元を覆いながらも、どこか熱っぽい眼差しで春画の図を見つめるリリア。

 

その可憐で色っぽい横顔に、レイの胸の奥が激しく脈打ち始める。

 

(あかん……! リリアのやつ、本気で興味持ち始めてるじゃねえか……!)

 

「それじゃ、私たちは自分たちのやつ何買おうか話し合いに行ってくるから〜。ゆっくり見てみなよ!」

 

そう言うと、レベッカとアリシアは楽しそうに笑いながら店の奥へと消えていってしまった。

 

取り残されたのは、怪しげな大人の道具と刺激的な春画に囲まれた、リリアとレイの二人だけ。

 

店内に流れる濃厚で甘い空気。

 

リリアは真っ赤な顔で上着の裾を握りしめたまま、上目遣いに潤んだ瞳でレイを見つめてきた。

 

「……ど、どうしよう、レイちゃん……」

 

(どうしようじゃねえよ……っ! ヤバい、マジでヤバい……!ここまできて何のアクションもないエルネストは絶対先に戻って『二人ともすぐ帰ってくる』と思って宿で待ってるぞ……!? もしこんなエッチな店でリリアと二人きりになってるのがバレたら、あいつ本気で俺を射殺しに来るぞ……っ!)

 

男としての衝動と理性、リリアへの溢れんばかりの恋心、そして一足先に戻ったエルネストからの無言の圧力がレイの脳内でぐちゃぐちゃに交錯する。

 

レイはダラダラと冷や汗を流しながら、怪しい道具と、頬を染めて思案する可憐なリリアの姿を交互に見つめ、「くそっ、どうすりゃいいんだ……っ」と絶体絶命のパニックの中で必死に頭を抱えるのだった。

 

取り残された二人の周りに漂う、甘く濃厚な香水と桃色の空気。

 

男としての理性を必死に繋ぎ止め、冷や汗を流しながら頭を抱えるレイ。

 

そんなレイの葛藤を前に、リリアは上着の裾を握りしめた手を小さく震わせ、意を決したように静かに一歩を踏み出した。

 

トントン、と可憐な足音が近づき、リリアはレイのすぐ隣まで身を寄せる。そして、爪先立ちになると、真っ赤に染まった顔をレイの耳元へ寄せた。

 

「……レイちゃん」

 

吐息が耳たぶを優しくくすぐり、レイの身体がビクッと跳ね上がる。

 

「あのね……すごく恥ずかしいんだけど……私、意を決して……言いたいことがあって……」

 

吐息に混じる甘い香りと、伝わってくる少女の柔らかな体温。

 

リリアは蚊の泣くようなとても小さな声で、言葉を紡いだ。

 

「これ……ちょっと試してみない……? レイちゃん……」

 

潤んだ瞳で上目遣いに見つめてくるリリア。

 

彼女の手には、先ほどまで棚に並んでいた小さな魔法具(女性用の大人のおもちゃ)が大切そうに握られていた。

 

上目遣いに向けられた、可憐で、どこか妖艶な熱を孕んだ瞳。

 

(——あ、ダメだ……っ)

 

好きな女の子から向けられた、あまりにも無防備で真っ直ぐな誘い。

 

それらを叩きつけられた瞬間、レイが必死に保っていた鋼の理性が、音を立ててガラガラと崩れ去った。

 

(もう、どうにでもなれ……っ! せめてエルネストには絶対ばれないようにしないと……っ!)

 

男としての矜持も、後先を考える思考も、すべて熱い欲望の渦の中へと吹き飛んでいく。

 

レイは震える手でリリアの華奢な肩を引き寄せると、熱っぽい視線を真っ向から受け止め、深く息を吐き出した。

 

「……後で後悔しても、知らねえぞ……リリア……っ」

 

「うん……っ! レイちゃん……っ!」

 

二人は真っ赤な顔で小さく頷き合うと、アリシアたちに気付かれないよう店の奥にある個室の暖簾をくぐり、桃色の陰影の中へと身を沈めていくのだった。

 

店の奥にある薄暗い個室。

 

桃色の魔法ランプが微かに揺れ、甘く濃厚な香水の香りが二人を取り囲んでいた。

 

(……っ! マジで入っちゃったよ……どうするんだ俺……っ!?)

 

暖簾をくぐった途端、男としての理性を必死につなぎ止め、冷や汗を流しながら固まるレイ。

 

しかし、そんなレイの動揺をよそに、リリアは上着の裾を握りしめた手を小さく震わせながら、意を決したように静かに一歩を踏み出した。

 

トントン、と可憐な足音が近づき、リリアは固まるレイのすぐ隣まで身を寄せる。

 

そして、爪先立ちになると、真っ赤に染まった顔をレイの耳元へ寄せた。

 

「……レイちゃん」

 

吐息が耳朶を優しくくすぐり、レイの身体がビクッと跳ね上がる。

 

「あのね……私、いつもレイちゃんに助けられてばかりだから……今日は、私から……レイちゃんを気持ちよくしてあげたいの……っ」

 

「っ……!? り、リリア……っ!?」

 

不意打ちすぎる宣言にレイが息を呑む間もなく、リリアは可憐な指先で上着のボタンをそっと外し、華奢な肩口と薄桃色の下着を露わにした。

 

そして、照れに頬を染めながらも熱っぽい瞳でレイを見つめ、先ほど店頭から手に取っていた小さな魔法具——柔らかな素材でできた微振動の宝珠をレイの手から奪うように引き寄せ、そっと魔力を通した。

 

ブーン、と心地よいかすかな振動が立ち上る。

 

「……これ、使ってみるね……? レイちゃん……っ」

 

「待っ……リリア、お前何を——っ!?」

 

制止する声よりも早く、リリアはレイの華奢な身体をそっと押し倒すと、照れに身をよじらせながらも、その振動する宝珠をレイの太ももの内側、最も繊細で敏感な場所へと優しく押し当てた。

 

「ひゃうッ……!? んあぁっ……!!」

 

不意に与えられた未体験の振動と快感に、レイの喉から漏れたのは、自分でも信じられないほど甘く甲高い喘ぎ声だった。

 

「え……っ……、な、なんだよこれ……すごい……響く……ッ!!」

 

「ふふ……レイちゃん、すごく可愛い声出してる……っ。……もっと、気持ちよくなって……?」

 

目の前で一生懸命に自分を喜ばせようと、微小な振動を滑らせ、息を吹きかけてくるリリアの健気で、どこか艶やかな姿。

 

身体の反応の鋭さと未経験の刺激に、レイの元・男としての記憶と自尊心が大パニックを起こして渦巻く。

 

(……っ!? な、なんだこれ……っ!? いま、俺……どんな声出した……!? この前はそこまでじゃなかったのに……っ! くそっ……身体が勝手に……っ、頭がどうにかなりそうだ……っ!)

 

「どう……? レイちゃん……気持ちいい……?」

 

上目遣いで不安そうに、けれど熱っぽい瞳で尋ねながら、リリアは可憐な指先でレイの肌を優しくなぞり、追い打ちをかけるように甘い口づけを重ねていく。

 

「っ……あ、ああ……っ! すごい……ぁっ……あ……っ!」

 

上目遣いで不安そうに、けれど熱っぽい瞳で尋ねてくるリリアに、レイはもう言葉すら満足に返せないまま真っ赤な顔を歪ませ、彼女の華奢な背中に手を回して強く抱き寄せた。

「……っ、もう我慢できねえ……! リリア、覚悟しろよ……っ!」

 

「んふっ……うん……っ! レイちゃん……っ!」

 

主導権を奪われたことでかえって火がついたレイもまた、リリアを抱き返し、二人は互いに甘い体温と快感を貪り合うように、密室の桃色の空気の中へと深く溺れていくのだった。

 

――しばらくして息を整えた二人は、乱れた衣装を慌ただしく整えた。

 

個室の暖簾に手をかけ、出る直前——リリアはふと足を止めると、後ろを振り返ってレイの首元にギュッと抱きついた。そして、熟した熟柿のように真っ赤な顔で、耳元へそっと顔を寄せると——。

 

「……えへへ、夜もしようね……レイちゃん」

 

小悪魔的で可憐な、いたずらっぽい笑みを浮かべて囁いた。

 

「っ……!? リ、リリア……お前……っ!!」

 

不意打ちすぎる誘惑に、レイは心臓が口から飛び出そうなほど激しく打ち跳ね、顔を真っ赤にして固まったのだった。

 

そのまま二人は真っ赤な顔で個室の暖簾をくぐり抜けた。

 

レジの奥から、アリシアとレベッカがニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべて二人を迎える。

 

「あらあら〜? だいぶ長いことお試ししてくれたじゃないか。どうだったい?」

 

「っ……!! あ、あの……これ、お買い上げで……っ!」

 

レイは顔から火が出そうなほど真っ赤になりながら、先ほど使った魔法具と、それに合わせた専用のケアオイルをカウンターの上にドカンと叩きつけた。

 

「ふふっ、まいどあり! 女同士で楽しむなら、そのオイルをたっぷり使うといいよ〜!」

 

「言わなくていいから早く包んでくれ……っ!」

 

代金を素早く支払うと、レイは丁寧に包装された小箱を上着のポケットへと押し込んだ。

 

店を出ると、プロンテラの街角にはすっかり夕闇が迫っていた。

 

「……はぁ、マジで心臓が止まるかと思ったぞ……」

 

「えへへ……でもね、レイちゃん。私、すごく楽しかった……っ」

 

リリアは頬を染めたまま、レイの腕にギュッと抱きついて微笑んだ。

 

「……っ、帰るぞ。エルネストの奴、絶対しびれを切らして待ってるからな!」

 

「うんっ!」

 

二人は内緒の秘密(とお買い上げした小箱)を胸に抱き、真っ赤な顔のまま、仲間たちが待つ宿屋へと急ぎ足で戻っていくのだった。

 




もう少し閑話が続きます。

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