崩落した土煙が、湿った地下の冷気に混ざり合って喉の奥を刺した。
生臭い泥の臭気と、鉱物特有の苦い粉塵。視界を遮っていた薄茶色の幕が引けると、そこには無惨に裂けた赤土の亀裂と、半ば埋没した洞窟の岩壁が露出していた。
スラムのチンピラどもが持ちかけてきた「新しく生成された迷宮で一攫千金」などという与太話は、出だしの数歩で破綻した。
地脈の歪みが生み落としたばかりの極小迷宮は、自らの構造を支えきるだけの安定性すら持っていなかった。
チンピラ御一行が足を踏み入れた瞬間、天井を支えるべき魔力流が断裂し、空間そのものが軋みを上げて圧潰。連れてこられたチンピラどもは最初の震動で悲鳴を上げて逃げ散り、残された二柱の精霊は、崩れ落ちた土砂の奔流に呑み込まれた。
「……っ、くそ……! 動かない……っ、なんなのよこれ、完全に固まってるじゃないの……!」
苛立ちを隠そうともしない金切り声が、狭い空洞に反響する。
ヒカリの身体は、崩落した粘土質の土壁に両手両足を大の字に広げられた状態で深くめり込んでいた。白銀と薄布で仕立てられたミニドレス状の軽装甲は、無残にも泥塗れになり、露出した白い太腿や滑らかな肩口に泥水が筋を作って伝っている。
手首と足首は崩れて固まった粘土層に隙間なく覆われ、どれほど身悶えしても、湿った土がずるずると擦れる嫌な感触を返すばかりで、抜け出す気配すらない。
「ヒカリちゃん、無闇に暴れては駄目です……。周囲の土がさらに締まって、かえって抜けなくなってしまいますから……」
すぐ隣の壁面から、苦しげな、けれど宥めるような声が返る。
ホムラもまた、まったく同じ無様な格好で壁に固定されていた。真紅のホットパンツと胸元を辛うじて覆うだけの軽鎧は、泥と小石に塗れて朱色の光沢を失っている。
引き締まりつつも肉感的な双丘が、荒い呼吸に合わせて激しく上下し、粘土の壁に押し潰されて歪な形に変形していた。開帳された形のまま拘束された両脚は、彼女の豊満な太腿の柔らかさを余計に強調している。
「そんなこと言ったって……っ! あいつら、私たちを置き去りにして逃げたのよ!? このままじゃ、リュージのところへ戻れないのよ!」
「はい、それは理解しています。ですが、今の私たちには……主から供給される魔力はありませんから」
ホムラのその言葉に、ヒカリは悔しげに唇を噛み締めた。
自らの過失で、最愛の主であるリュージの魔脈を全焼させ、男としての尊厳ごと不能にしてしまったあの日以来、二柱の天の精霊は常に極度の魔力飢餓状態にある。
主からの供給が絶たれた身体は、大気中に溶け出す存在魔力を維持するだけで精一杯だ。こうして物理的な土壁に拘束された程度のことすら、自力で魔力を爆発させて吹き飛ばすことができない。
何より、チンピラどもから事前に受け取っていたはずの微弱な生体魔力は、崩落を防ごうとした瞬間の反射的な障壁展開で完全に底をついていた。
「あーもうっ! 最悪! 最悪よ! あんな腰抜けのチンピラに身体を好きにさせてまで手に入れた魔力だったのに……全部パァじゃない!」
「言っても仕方がありません。今は、どうやってこの拘束を解くか、です。……ヒバナちゃんも、リュージ君のお世話でスラムの小屋に残してきましたし……外部からの助けは期待できません」
二人が泥の中で身悶えを繰り返し、無駄に体力を削っていたその時だった。
じとじとと濡れた洞窟の奥、曲がりくねった通路から、ぺたぺたという湿った足音がいくつも響いてきた。
同時に漂ってくる、鼻腔を突く腐敗臭。洗われていない脂ぎった皮膚の臭気と、生肉が腐ったような饐えた匂い。
カチカチと鳴る乾いた歯音、そして下品な濁音の混ざった低い笑い声。
「ギギッ……?」
「ガ、グチャ……!」
現れたのは、五匹の小鬼――ゴブリンの群れだった。
身長は人間の子供ほど、緑がかった赤黒い皮膚は垢と泥に塗れ、異様に長い腕の先には汚れた爪が生えている。黄色く濁った眼球が、土壁に貼り付けられた二柱の極上の女体を認めた瞬間、爛々と下卑た光を宿して見開かれた。
「っ……ゴブリン……!?」
ヒカリの背筋に、冷たい悪寒が走る。
本来の彼女たちであれば、指先一つ振るうだけで灰燼に帰すことができる最下級の魔獣。だが今の二人は、手足をもがれたも同然の無力な肉塊だった。
「まずいです、ヒカリちゃん……。あの眼、完全に私たちを……」
ホムラの声がわずかに震える。
外縁原生林の澱みから生じるこの亜人種は、雌を持たない。繁殖のために人間の女を執拗に求め、一度捕らえれば肉便器兼苗床として使い潰す習性を持つ。
目の前で大の字に固定され、豊かな乳房と無防備な秘部を晒している二柱の精霊は、彼らにとって天から降ってきた極上の配給肉に他ならなかった。
「グシシッ! グチャッ、オンナだァ!」
「やわらかい、肉! 交尾、する! タネ、うえる!」
ゴブリンたちが、腰に巻いたボロ布を押し上げながらにじり寄ってくる。布の隙間から露わになったのは、青筋の浮いた、異様に赤黒く反り返った醜悪な生殖器だった。獣特有の刺激臭と、先端から滴る粘液が、じめじめした洞窟の空気を汚染していく。
「来ないでッ! あっちへ行きなさいよ、この汚らわしい害虫が……っ!」
ヒカリが気丈に罵声を浴びせ、拘束された足を必死にばたつかせる。しかし、その身悶えが薄布の装甲を擦れさせ、かえってゴブリンたちの嗜虐性と性欲を刺激した。
「ギヒヒッ! いっぱつ、なぐるか?」
先頭のゴブリンが、手にした錆びた小刀の柄を振り上げ、ヒカリの腹部を小突こうとする。
「待ちなさい、ヒカリちゃん!」
ホムラの鋭い制止が飛んだ。
「ホムラ!?」
「暴力を振るわれたら終わりです! 今の私たちの肉体は、魔力による保護膜すら張れていません……殴打されれば大怪我をしてしまいます!」
「じゃあどうするのよ!? このままコイツらに好き放題犯されろって言うの!?」
「……魔力です」
ホムラは、脂汗の浮かぶ額から紅い前髪を揺らしながら、必死に思考を巡らせていた。
「ゴブリンとはいえ、生体魔力を持っています。私たちの身体は、粘膜接触を通じて外部の魔力を吸い上げることができる……。コイツらに危害を加えさせず、機嫌を取って……性交の体液から魔力を掠め取るしかありません」
「はぁっ!? な、何言ってんのよ! こんなドブネズミ以下の化け物の相手をしろって言うの!?」
「殺されるよりはマシです! それに、少しでも魔力が溜まれば、この土壁を砕いて脱出できます! ……いいですか、刺激してはいけません。煽てて、気持ちよくさせて、手酷い乱暴を避けるんです……!」
「そ、そんな……っ!」
ヒカリが絶句する間に、ゴブリンたちの汚れた手が、二人の露出した肌へと伸びていた。
爪の間に黒い垢を詰まらせた指先が、ヒカリの白く滑らかな太腿を撫で回す。ざらりとした爬虫類のような感触と、獣の饐えた体臭が鼻孔を満たし、ヒカリの胃袋が激しく痙攣した。吐き気が込み上げる。
だが、隣でホムラが、すでに覚悟を決めた声を出していた。
「あ……っ、ふふ……。すごいですね、あなたたち……こんなところで、私たちを見つけるなんて……」
ホムラは、引き攣りそうになる頬の筋肉を必死に引き締め、とろけるような笑みを浮かべようとしていた。
「ギ……?」
獲物が抵抗もせずに艶然と微笑んだことに、ゴブリンが動きを止め、濁った目を瞬かせる。
「偉いですよ……とっても勇敢な、狩人さんたちです……。ねえ、そんなに乱暴にしなくても……私たちはどこにも逃げませんから……優しく、仲良くしてくれませんか……?」
「ホムラ、あんた……っ!」
「ヒカリちゃんも、早く……! 殺されたいの!?」
ホムラの必死の視線に射抜かれ、ヒカリは奥歯を噛み締めた。
プライドが千々に引き裂かれる。古代の天の精霊たる自分が、こんな薄汚い泥人形のような亜人に媚びを売るなど、万死に値する屈辱だ。
だが、死ねばリュージを一人残すことになる。あの不能の、不器用で、自分たちがいなければ生きていけない主の顔が脳裏をよぎり、ヒカリの喉から掠れた声が絞り出された。
「……そ、そうよ……。あんたたち、なかなか……いい男じゃない……」
声が震えている。だが、ゴブリンの単純な脳味噌を騙すには十分だった。
「ギヒッ! オレたち、つよい! いいオトコ!」
「そうよ……っ、すごーい、かっこいいわねー……。えらいえらい……将来はきっと、群れを率いる……え、エリートゴブリンさまね……っ」
言っている端から、自分自身の舌を噛み切りたいほどの嫌悪感に襲われる。将来のエリートゴブリンなどという、この世で最も無意味で下等な賛辞を、まさか自分の口から発することになるとは夢にも思わなかった。
しかし、褒めそやされたゴブリンたちはすっかり気を良くし、下卑た歓声を上げながら武器を放り出した。
「ギヒャハハッ! エリート! オレ、エリート!」
「オンナ、オレのタネ、ほしがってる! エリートの、タネ!」
「ええ……そうです、エリートさんの強い種、いっぱい欲しいです……。だから、痛くしないで……優しく、いっぱい注いでくださいね……?」
ホムラが目を細め、母性的な響きすら帯びた声音で囁く。その豊満な胸元に、一匹のゴブリンが飛びつき、垢まみれの顔を押し当てて激しく擦り付けた。
「んっ……ふ、あぁっ……!」
ホムラの口から、苦悶と生理的な悪寒の混じった吐息が漏れる。泥と獣の脂が、白く輝くはずの柔肌にべっとりと塗りたくられていく。ゴブリンのざらついた舌が、露出した谷間を無遠慮に舐め上げ、生臭い涎の筋を残していった。
「上手ですね……とっても上手ですよ、ゴブリンさん……っ。いい子、いい子……」
ホムラは動かない手首の代わりに、首を傾けてゴブリンの脂ぎった頭を頬で撫でる。その瞳の奥には、冷え切った殺意と、屈辱に耐えかねた涙が滲んでいた。
一方のヒカリにも、二匹のゴブリンが群がっていた。
「おい、こっちのオンナも、エリートのタネだ!」
「ギヒッ、ケツ、でかい! うまそう!」
「きゃっ……!? あ、あんまり引っ張らないでよ……っ! もう、せっかちなんだから……っ」
ヒカリの薄布のスカートが、無造作に引き裂かれた。
拘束され、左右に大きく開かれた白皙の太腿。その合間に秘められた、薄桃色の柔らかな花弁が、湿った洞窟の空気に晒される。
ゴブリンの爛れた指先が、無遠慮にそこへ割り込んできた。
「ひゃっ……! あ、あんっ……!」
爪が粘膜を浅く傷つけ、鋭い痛みが走る。ヒカリは悲鳴を上げそうになる喉を必死に抑え込み、無理やり媚びた笑みを作った。
「い、痛いじゃない……もう、ダメよぉ……? そんなに焦らなくても、ちゃんと……あんたの、汚い……じゃなくて、立派なモノ、受け止めてあげるから……っ」
「オレの、スゴイか!? ギヒッ!」
「ええ、ええ……っ! すっごいわよ、世界一よ……! よく出来たねー、立派なおちんちん持てて、えらいねー……っ! だから、早く……っ、早く入れなさいよ、このクソ……エリートさまっ!」
半ば自暴自棄になったヒカリの煽り文句に、ゴブリンは完全に興奮を沸騰させた。
赤黒く充血した生殖器が、濡れ切ってもいないヒカリの狭隘な肉襞へと、力任せに押し込まれる。
「ぎっ……!? んぐぅぅぅぅぅっ……!!」
裂けるような痛打。
潤滑も不十分なまま、獣の硬い肉茎が強引に処女ではないとはいえ狭い膣孔をこじ開けて侵入してくる。異物感と、擦過の激痛。ヒカリの喉から、押し殺した呻きが漏れ、全身の筋肉が硬直した。
壁に埋もれた両手足を激しく痙攣させ、ヒカリは頭を後ろの土壁に打ち付けた。
(痛い……っ、汚い、臭い……っ! 何これ、何なのよぉっ……!)
だが、ゴブリンは容赦なく腰を打ち付け始めた。
パチン、グチャ、と泥と肉がぶつかり合う下品な水音が、狭い洞窟に響き渡る。
「ギヒッ! キツい! オンナの中、すげえ締まる!」
「あ……っ、ぐ、ふぅ……っ! そ、そう……? よ、喜んでくれて……嬉しいわぁ……っ!」
ヒカリは涙目で歯を食いしばりながら、必死に言葉を紡ぐ。
「あんたの……っ、あんたのすっごいのが入ってきて……わたし、壊れちゃいそう……っ! じょ、上手よぉ……すっごくパコパコするの上手……っ、いい子ね、えらいねー……っ!!」
屈辱で頭がおかしくなりそうだった。こんな下等な魔獣の生殖器を褒め称え、腰の動きを歓喜の声で実況するなど。しかし、こうして機嫌を取っていなければ、首を絞められるか、眼球を抉られていたかもしれないのだ。
隣のホムラもまた、限界を迎えていた。
「あぁっ……! んんっ……、はぁっ、ふーっ……!」
ホムラの膣内にも、別のゴブリンの熱い肉塊が深々と突き刺さっていた。
大柄な肉付きを持つホムラの腰を、ゴブリンの短い手足が必死に抱え込み、がむしゃらにピストンを繰り返している。ゴブリン特有の生体親和性麻酔ホルモンを含んだ分泌液が分泌されているとはいえ、生理的な嫌悪感を消し去ることなどできない。
「ふ、ふふ……っ、すごい、です……っ。奥まで、届いてますよ……っ。ゴブリンさんの、おちんぽ様……とっても、元気がよくて……偉いですねぇ……っ」
ホムラは汗塗れの顔で、聖母のような笑みを貼り付けながら、荒い息を吐き出す。
「ギヒャッ! タネ、でる! タネ、でるぞ!」
「はい……っ、いいですよぉ……。全部、私の中に捨ててください……っ。将来のエリートさんの、大切な命……全部、飲んであげますから……っ!」
「グチャッ! ギィィッ!」
ゴブリンが甲高い咆哮を上げ、ホムラの下腹部に己の腰を強く押し当てた。
ビクビクと激しく脈打つ肉茎から、ドクドクと熱い粘液がホムラの子宮口めがけて射出される。
「あっ……ん、くぅぅぅ……っ!!」
ホムラの身体が弓なりに反り、緋色の瞳が白濁した。
注ぎ込まれる、生温かく粘つく精液。それと同時に、粘膜を通じて微弱な生体魔力がホムラの体内へと流れ込んでくる。
(魔力……っ、来た……!)
ホムラは心の中で叫び、必死にその魔力を吸い上げようとした。
しかし――。
(……え? うそ……これだけ……!?)
流れ込んできた魔力は、あまりにも矮小だった。
人間のチンピラや、あるいはギルドの職員から注ぎ込まれた魔力とは比べ物にならないほど、薄く、雑味に塗れ、濁りきった微々たる澱み。乾き切った砂漠に、スポイトで水を一滴垂らされた程度の感覚しかなかった。
「あ……、あぁ……っ、そんな……」
ホムラの顔から、営業用の笑みが剥がれ落ちそうになる。
拘束を吹き飛ばすための最低限の術式を編むことすら、到底不可能な量だった。この程度の魔力では、爪先を数ミリ動かすことすらおぼつかない。
「ギヒヒッ! つぎ、オレ!」
射精を終えてへたり込んだゴブリンを押しのけ、後ろで順番待ちをしていた別の個体が、涎を垂らしながらホムラの股間へと割り込んでくる。
「ま、待って……っ! まだ、入ったばかり……っ、あぁぁっ!!」
抜かれた直後の、白濁液が溢れ出る秘裂へと、間髪入れずに二本目の汚れた棒が突き立てられた。
「ぎぃっ……! 痛……っ、あ、あぁ……っ、上手……っ、上手ですね、おかわりさんも……っ! すごい、すごいですよぉ……っ!」
ホムラは混乱した精神を必死に繋ぎ止め、再びゴブリンを褒め称え始めた。涙が頬を伝い、泥と混ざり合って顎から滴り落ちる。
一方のヒカリもまた、絶望の淵に立たされていた。
「ひゃうっ……! あ、あぁぁぁぁっ……!!」
ヒカリの胎内にも、最初のゴブリンの種が勢いよくぶちまけられていた。
下腹部を満たすドロリとした異物感。そして、微かに体内に染み渡る魔力の気配。
「はぁっ、はぁっ……! 魔力……っ、これで、剣を……っ!」
ヒカリは光の剣を召喚しようと、意識を集中させた。
だが、手のひらに生じたのは、蛍の光ほどの小さな火花だけだった。パチリと音を立てて、一瞬で霧散する。
「な……っ!? なによこれ……っ! 全然、足りないじゃないのよぉっ……!!」
ヒカリの絶叫が洞窟に響く。
ゴブリン一匹から得られる生体魔力など、文字通り雀の涙だったのだ。彼らは個としての魔力保有量が極めて低く、数と繁殖力だけで生き延びている下等種族。その精液に宿る魔力など、高位の精霊であるヒカリたちの渇きを癒やすには、あまりにも貧弱すぎた。
「ギシシッ! おまえ、いい声で啼く! オレもヤる!」
「ちょっ……、待ちなさいよ! 抜いてすぐ入れたら壊れるでしょ!? やめ……ぎゃぁぁっ!!」
悲鳴を上げるヒカリの制止など聞くはずもなく、二匹目のゴブリンが荒々しく腰を割り込ませてきた。
先程のゴブリンが撒き散らした白濁液を潤滑油代わりに、ずぶり、と下品な音を立てて肉塊が奥深くまでねじ込まれる。
「あぐっ……! お、奥……っ、当たりすぎ……っ! この、バカ……っ、エリート……っ、エリートさまぁっ……!」
ヒカリはもはや、何を言っているのか自分でも分からなくなっていた。
両手両足を壁に固定されたまま、腰を激しく打ち付けられるたびに、豊かな胸が泥の中で無様に揺れ動く。金色の長髪は粘土に貼り付き、汗と涙と涎で顔面はぐしゃぐしゃに崩れていた。
「え、えらい……っ、すごいわよ、あんた……っ! よく出来たねー……っ! こんなに、精霊のおまんこ犯せて……大したタマよぉ……っ! あぁんっ、パコパコ、いっぱいしてぇ……っ! もっと、もっと魔力を頂戴よぉっ……!!」
自嘲と屈辱が一周回って、ヒカリの口からは自暴自棄な煽り文句が止めどなく溢れ出していた。
どうせ犯されるなら、一滴でも多くの魔力を絞り取らなければ割に合わない。
「出して……っ! 早く、その汚いザーメン全部出しなさいよ……っ! いい子ね、ほら、びゅっびゅーってして……っ! 将来のエリートゴブリンさまの、種付け汁……全部、子宮で受け止めてあげるからぁっ……!!」
「ギヒャッ! オンナ、狂った! よろこんでる! ギィィッ!」
ゴブリンは歓喜に濁った目をギラつかせ、獣のような唸り声を上げながら、ヒカリの奥深くへと二度目の濁流を注ぎ込んだ。
ドクドク、と脈打つ感触。
しかし、それでも足りない。
身体の芯がわずかに温かくなる程度で、拘束を解くための力には程遠かった。
「うそ……っ、うそでしょ……? まだ……まだ足りないの……?」
ヒカリの瞳から、光が失われていく。
ふと横を見れば、ホムラもまた、二匹目のゴブリンから中出しを受け、男根を咥えながら、虚ろな笑みを浮かべていた。
「あ……ふ、ふふ……っ。お上手、ですね……。でも……もう一杯、おかわり……いかがですか……? 足りません……全然、足りないんです……」
ホムラの股間からは、収まりきらない白濁液が太腿を伝って床の泥へと垂れ流されていた。肉感的な下腹部は、ゴブリンたちの吐き出した精液によってわずかにぽっこりと膨らみ、その度にホムラは苦しげに息を継いでいる。
「ギヒッ! こいつら、もっとヤりたがってる!」
「メス豚だ! タネ、まだまだあるぞ!」
ゴブリンたちは完全に優越感に浸り、勝ち誇ったように嘲笑いながら、すでに一度発射を終えた個体までもが再び下腹部を硬化させ始めていた。
助けは来ない。
スラムのチンピラどもはとうに逃げ去り、この崩壊した洞窟の奥深くに二柱の精霊が取り残されていることなど、誰も知らない。リュージは今頃、スラムの粗末な小屋で、動かない身体を引きずりながら二人の帰りを待っているはずだった。
「リュージ……っ」
ヒカリの唇から、弱々しい呟きが漏れる。
「リュージ、ごめんなさい……っ。あんたに一度も使わせてあげてないのに……っ、こんな、こんな奴らに……っ」
涙がボロボロと溢れ、泥に塗れた頬を洗っていく。
だが、三匹目のゴブリンが、再びヒカリの開かれた秘部へとその醜悪な顔を近づけていた。
「おい、オンナ、また啼け! エリートって言え!」
「……っ」
ヒカリは奥歯を震わせ、泣き腫らした瞳でゴブリンを見下ろした。
逃げられない。死ぬことも許されない。主の元へ生きて帰るためには、この悪夢を呑み込み続けるしかなかった。
「……ええ、そうよ……っ」
ヒカリは、震える唇を無理やり吊り上げ、歪んだ笑みを作った。
「あんたは……っ、最高のエリートゴブリンさまよ……。ほら、おいで……っ。いい子いい子してあげるから……っ、いっぱい、種を……魔力を、ちょうだい……っ」
下品な水音と、嘲笑と、空虚な賛辞が、光の届かない地下の暗がりに、いつまでも、いつまでも響き続けていた。
既に五匹の雑魚ゴブリンから何度も中出しを受け、土壁に貼り付けられた二柱の肉体は、自重を支えることすら困難なほどに惨めな様相を呈していた。
左右に無理やり開帳された白皙の太腿には、幾筋もの白濁した粘液と赤土が混じり合い、マーブル状の汚辱となってへばりついている。結合部からは、収まりきらずに逆流した生温かい体液が、ぷちぷちと泡を噛みながら泥の床へと絶え間なく滴り落ちていた。
「はぁっ、はぁっ……、うぅ……っ。もう……嫌……っ、誰か、助けてよ……っ」
ヒカリの唇からは、もはや強がりすら消え失せ、震える呼気とともに泣き言が漏れ出していた。黄金の双眸は涙でぐしゃぐしゃに濡れ、自慢の金髪は泥水とゴブリンの撒き散らした脂汁で固まり、見る影もなく変色している。
これだけの下等種に胎内を蹂躙され尽くしたというのに、身体の芯に溜まった魔力は、指先をピリピリと痺れさせる程度にしかならない。拘束している粘土層を吹き飛ばすどころか、大気中への自然揮発分を補填するのが精一杯の、情けない微量だった。
「ヒカリちゃん……気を、確かに……っ。諦めたら、本当にここで……一生、苗床として……っ」
隣のホムラもまた、紅い前髪を汗と汚液で額に張り付かせ、苦鳴を上げていた。豊かな胸元は雑魚どもに散々吸い付かれ、赤黒い鬱血痕と歯形が無数に刻まれている。肉感的な下腹部は、短時間のうちに幾度も注ぎ込まれた獣の種によって、ぽっこりと不格好に膨らんでいた。
その時、通路の暗がりから、先程の雑魚どもとは明らかに異なる異質な足音が響いてきた。
カツン、カツンと、乾いた骨の杖が岩肌を叩く音。
そして、鼻を突く強烈な香煙の臭気と、肌を粟立たせるような、ねっとりとした濃密な魔力の波長。
「ギヒヒ……。なにやら、騒がしいと……思うてみれば……」
「ホホッ……! 極上の、天のメスが……二匹も、転がっておるではないか……」
現れたのは、三体の異形だった。
身の丈は一般的なゴブリンより頭一つ大きく、皺だらけの赤黒い皮膚の上から、動物の頭蓋骨をくり抜いた不気味な仮面を被り、ぼろぼろの鳥の羽を編み込んだ粗末なローブを羽織っている。
手にした歪な曲がり木の杖には、濁った魔石が括り付けられており、そこから淀んだ紫がかった燐光が立ち上っていた。
ゴブリンメイジ。
外縁原生林の澱みを色濃く吸い上げ、群れの中で呪術や火炎を操る上位個体。その体内に宿る生体魔力は、先程まで二柱を嬲っていた雑魚どもとは比べ物にならないほどに強大で、濃密だった。
「メイジ……っ!?」
ヒカリの瞳に、恐怖と、そして底なしの屈辱を孕んだ歪な希望が走った。
あいつらなら、魔力を持っている。この土壁を粉砕し、自分たちを縛る惨めな現状を覆すだけの、圧倒的な生体エネルギーをその下腹部に蓄えているはずだ。
だが、それは同時に――あの醜悪極まりない長老格の化け物に、自らの全てを差し出さなければならないという地獄を意味していた。
「ギヒャハ! メイジのジジイどもだ!」
「このオンナたち、すげえぞ! エリートって褒めて、喜んで中出しさせてくれるんだ!」
取り巻きの雑魚ゴブリンどもが、メイジたちに群がり、下卑た手振りで二柱の肢体を指差して騒ぎ立てる。
中央のメイジが、仮面の奥から黄色く濁った、知恵と執着に満ちた爛れた視線を、ヒカリの無防備な秘所へと這わせた。
「ほう……エリート、とな。ただの肉人形かと思えば……言葉を解し、我らを崇める雌豚か……」
「ギシシ……。神聖なる天の精霊が、我ら小鬼の種を欲して媚びるとは……たまらんのう……」
メイジたちがローブをはだけると、その股間から露わになったのは、雑魚どものそれとは比較にならないほど凶悪な肉塊だった。
異常に発達し、黒ずんだ血管が蛇のようにのたうち回る極太の生殖器。先端の亀頭は握り拳ほどに肥大化し、魔力の実体化である白みがかった粘液をボタボタと地面に滴らせている。
あまりの異臭と禍々しさに、ヒカリの喉が恐怖で引き攣った。
「あんなの……入れたく、ない……っ!」
「ヒカリちゃん、迷っている暇はありません……!」
ホムラが悲痛な、しかし狂気を孕んだ決意の声を張り上げる。
「あの魔力を奪うんです……! あれさえあれば、私たちは動ける……! どんな屈辱にも耐えて、全部……全部飲み干すんです……っ!」
「ホムラ……っ!?」
「あ……っ、おいでませ、偉大なる……大魔導士さま……っ!」
ホムラは自ら首を反らせ、泥塗れの双丘を突き出すようにして、メイジたちに向かって嬌声を上げた。その顔には、先程よりもさらにあからさまで、卑屈極まりない笑みが貼り付けられている。
「すごい……なんて素晴らしい魔力なんですか……っ! 下等な人間たちなんかよりも、ずっとずっと大きくて……高貴で、お強いです……っ! どうぞ、この哀れな精霊の身体を……あなた様の偉大な魔力で、満たしてくださいまし……っ!」
「ホホッ! よい鳴き声じゃ! 物分りの良い雌は好ましいぞ! ほれ、そこの共をせい」
「ギギ、わかった」
左側のメイジが、杖を放り出してホムラの開かれた太腿の間へと飛び込んだ。
そして、白の粘液にまみれた太い先端を、すでに雑魚の精液でドロドロに緩んだホムラの割れ目へと、躊躇なく押し当てた。
「あぐぅぅぅっ……!!」
ホムラの口から、引き裂かれるような呻きが漏れる。
雑魚とは次元の違う質量。幅広の亀頭が、狭い膣口の肉壁を極限まで押し広げ、メリメリと強引に侵入してくる。あまりの太さに、子宮口が一瞬で奥へと押し込まれ、下腹部の皮膚越しにゴツゴツとした棒の輪郭が浮き上がるほどだった。
「ひっ……ふぅぅーっ! お、おっきい……っ! 大魔導士さまの、おちんぽ様……すっごく、太くて逞しいです……っ! あぁんっ、中が、破裂しちゃいそう……っ!」
「ギヒヒッ! 我が魔導の剛竿、存分に味わうがよい!」
メイジが腰を激しく打ち付けるたび、ドチュッ、グチュッ、と重苦しい破裂音が洞窟に反響する。
ホムラは拘束された両足をピクピクと痙攣させ、泥の壁に頭を擦り付けながら、狂ったように称賛の言葉を叫び続けた。
「じょ、上手……っ! なによりも、ずっとずっと気持ちいいです……っ! えらい、えらいです、大魔導士さまぁっ……! もっと、もっと奥まで……あなた様の熱い魔力で、私のお腹を掻き回してください……っ!!」
ホムラの眼窩から、大粒の涙が滝のように零れ落ちる。その言葉のすべてが、自らの尊厳を自らドブに投げ捨てる行為だと分かっていても、舌は止まらない。相手を最高潮に昂らせ、一滴残らず濃厚な魔力精液を搾り取らなければ、脱出の機会は永遠に訪れないのだ。
そして、ヒカリの前にも、残る二体のメイジがねっとりと歩み寄っていた。
「ギシシ……。金髪の雌よ、お主も我らの魔導の種が欲しいか?」
「エリート……などという生温いものではないぞ。我らは群れの長、偉大なる呪術主官じゃ……」
二本の禍々しい巨根が、ヒカリの目の前で脈打ち、紫の我慢汁をヒカリの太腿へと垂らしてくる。
ヒカリの全身が、屈辱と恐怖で激しく震えた。
だが、隣でホムラが、白目を剥きかけながらも必死にメイジをヨイショし、魔力を貪り食おうとしている姿が視界に入る。自分だけがプライドを守って無駄死にするわけにはいかない。
リュージの顔が、あの不能で、自分たちに申し訳なさそうに泥水を啜っている主の姿が、ヒカリの脳裏を焼き尽くした。
(あいつのために……っ、でも……っ、なんで私が、こんな……っ!!)
だが、その怒りと執着こそが、ヒカリを突き動かした。
ヒカリは歪んだ唇を無理やり吊り上げ、舌先で唇を舐め回すと、媚びきった、蕩けるような甘ったるい声を絞り出した。
「ほ、ほんとだぁ……っ! さっきの雑魚どもとは……格が違うわぁ……っ!」
「ギ……?」
「すっごーい……っ! 大魔導士さまぁ……っ! こんなに太くて、魔力がギンギンに詰まったおちんちん……わたし、生まれて初めて見たぁ……っ!」
五百年以上生きてきた古代の天の精霊が、薄汚い小鬼の呪術師に向かって、両手を広げた無様な姿勢のまま、涎を垂らして歓声を上げる。
「すごーい……っ! さすが長老さま、さすが偉大なるゴブリンの王さまぁっ……! わたしみたいな生意気な光の精霊を……その凶悪な魔導棒で、徹底的にお仕置きしてくださいぃっ……!」
「ギヒャハハハッ!! 見ろ、天の精霊が、平伏しておるわ!」
「我らの魔力に屈服したぞ! 突き刺してやるわい!」
一体のメイジが、ヒカリの裂け目へと狙いを定め、腰を一気に突き出した。
「きゃあぁぁぁぁぁっ……!?」
激痛。
先程までの雑魚の比ではない。まるで焼け爛れた鉄杭をそのまま打ち込まれたかのような、強烈な圧迫感と摩擦熱がヒカリの肉壁を引き裂かんばかりに拡張する。
「お"っ……、お"ぐぅっ……。ふ、ふーっ……」
あまりの質量に、喉の奥から汚い声が漏れ出してしまう。ヒカリの金色の瞳が限界まで見開かれ、焦点が合わずに宙を泳ぐ。
「ど、どうじゃ……っ! 我が魔導の一撃は……!」
「す、すご……っ、しゅごいぃぃぃっ……。お腹、割れちゃうぅぅ……っ! 大魔導士さまの、ぶっといのが……子宮の奥まで、ゴリゴリ届いてるぅぅっ……!!」
ヒカリは自ら腰をわずかに浮かせ、抜け出せない泥壁に背中を擦り付けながら、メイジのピストンに合わせて必死に媚態を晒した。
「上手、上手すぎますぅぅっ……! こんな硬いの、はじめてですぅ……っ! わたしのおまんこ、大魔導士さまの専用便器ですぅぅっ……! もっと、もっと奥を突いてぇっ……!!」
「ギシシッ! ならば口も空いておるな! 我が義兄弟の棒も、咥えるがよい!」
「ん、むぐぅっ……!?」
もう一体のメイジが、ヒカリの顔面へと躍り出た。
垢と香煙のヤニがこびりついた赤黒い生殖器が、ヒカリの開かれた唇へと強引にねじ込まれる。
「んぶっ……、じゅる……っ、おえっ……!」
喉奥を直接突かれる嘔吐感。獣の腐敗臭と、舌先を麻痺させるような苦い魔導粘液の味が口内を満たす。涙がボロボロと溢れ、鼻腔から苦悶の空気が漏れる。
「ギヒヒ! 吸え、精霊! 大魔導士の剛竿を、しゃぶるのじゃ!」
「んぐ……っ、ちゅぷ……っ、れろぉ……っ! ん、んふぅ……っ」
ヒカリは舌を必死に巻き付け、メイジの肥大化した亀頭を丹念に転がした。顎が外れそうな痛みに耐えながら、目を細め、上目遣いでメイジの仮面を見つめ、恍惚とした表情を繕う。
(吸ってやる……っ! 全部、全部搾り取ってやるわよ、このクソゴブジジイ……っ!!)
上下の粘膜から、同時に貪り食う。
下腹部では猛烈なピストンが肉壁を叩き、口内では汚らわしい肉棒が喉を突き破らんばかりに蠢く。
そして――。
メイジたちが、甲高い絶頂の叫びを上げた。
「ギィィィッ! で、出るぞ! 我が至高の魔導精液、受け取れいッ!」
「オレもじゃ! 口の中に、全部孕ませてやるわいッ!」
「んぐぅぅぅぅぅぅーーーっ!!」
ドバッ、ドババババッ……!!
暴力的な勢いで、ヒカリの胎内と口腔内へと、桁違いの熱量を帯びた白濁液が同時に叩き込まれた。
ドロリとした、粘度の異常に高い、魔力の精液。
子宮口を直接こじ開けられ、腹の底へと熱湯のような濁流が注ぎ込まれる。あまりの量に、ヒカリの下腹部が目に見えて大きく膨れ上がった。口内にも溢れんばかりの精液が噴出され、飲み込みきれない飛沫が唇の端からブクブクと泡を立てて溢れ出す。
「ごくっ……、んぶっ……、げほっ、ごくんっ……!!」
ヒカリは涙を流しながら、喉を鳴らしてそれを強制的に嚥下した。
吐き出せば、魔力が逃げる。どんなに汚らわしく、どんなに反吐が出る味であっても、これは生き残るための、反撃のための燃料なのだ。
直後、ホムラの側からも、凄まじい絶叫が響いた。
「あぁぁぁぁぁっ……!! 熱い……っ、熱いですぅぅっ、大魔導士さまぁっ……!!」
ホムラの胎内にも、メイジの全魔力が凝縮された濃厚な種が、ドクドクと脈打つ肉茎から限界を超えて注ぎ込まれていた。
パチン、パチンと、ホムラの太腿が痙攣し、白濁した液体が結合部から滝のように噴き零れる。
「あ……っ、ふぅぅ……っ、すご……っ、すごいです……っ。全部、全部……いただきましたぁ……っ 」
メイジたちが腰を脱力させ、息を荒らげて二柱の身体からずるりと肉棒を引き抜いた。
ボトボトと、洞窟の地面に大量の白濁液が撒き散らされる。
メイジたちは勝ち誇ったように骨の杖を掲げ、取り巻きの雑魚どもに向かって高らかに咆哮した。
「ギヒャハハハッ! 見たか! 天の精霊は、完全に我らのモノとなったぞ!」
「腹を見よ! 我が魔導の種で、パンパンに膨らんでおるわ!」
「これより、この二匹を巣穴の奥へと運び、一生、我らの幼体を産ませ続けるのじゃ!」
ゴブリンどもが一斉に下卑た歓声を上げ、武器を打ち鳴らし、狂喜乱舞する。
二柱の精霊が、完全に自分たちに屈服し、快楽と恐怖で骨抜きにされたと信じ切っていた。
だが――。
その時、洞窟内の温度が、急激に氷点下と灼熱の二極へと引き裂かれた。
「…………へぇ」
低く、地這うような声が、泥壁の中から響いた。
ゴブリンたちの歓声が、ピタリと止まる。
「誰が……誰の、専用便器だって……?」
ヒカリが、ゆっくりと顔を上げた。
その顔面は、未だにゴブリンの精液と泥でドロドロに汚れ、唇からは汚らわしい白濁が糸を引いて垂れていた。下腹部は異形の種でぽっこりと突き出たままだ。
だが――その両眼には、もはや媚びも、涙も、恐怖もなかった。
爛々と輝く、純度百パーセントの、神話の時代から続く絶対的な捕食者の殺意。
ドクン、とヒカリの胸の奥で、強大な魔力炉が音を立てて再点火した。
メイジ三体分の濃密な生体魔力。体内の粘膜から強制的に吸い上げられた膨大なエネルギーが、荒れ狂う奔流となって全身の魔脈を駆け巡る。
「よくも……よくもまぁ、ここまで……言わせてくれたわね……」
ヒカリの全身から、眩いばかりの白銀の燐光が吹き荒れた。
「ヒカリちゃん、余計なお喋りは不要です」
ホムラの声もまた、静まり返っていた。
彼女の全身からも、目も眩むような紅蓮の業火が噴出していた。泥塗れの肌を焼き清めるように、高熱の魔力が立ち上り、周囲の土壁を一瞬で陶器のように焼き固めていく。
「こんな下等な汚物……一秒たりとも、この世に存在させておく価値はありません」
「ホムラ、私のセリフを取るんじゃないわよ……っ!」
バシィィィィィンッッ!!
轟音とともに、二人を拘束していた巨大な土壁が、内側からの魔力解放によって粉微塵に破砕された。
飛び散る土塊。自由を取り戻した二柱の足が、力強く洞窟の地面を踏みしめる。
「ギ、ギギャッ……!?」
「な、なんじゃ……!? こいつらから魔力は、感じなかったはず……!」
メイジたちが慌てて骨の杖を構えようとする。
だが、遅い。
「顕現しなさい――『光の剣』ッ!!」
ヒカリの右手に、大気を切り裂くような高純度の白銀の光刃が凝固した。
「焼き尽くしなさい――『炎の剣』ッ!!」
ホムラの右手に、洞窟の酸素を一瞬で喰らい尽くす紅蓮の炎刃が燃え盛った。
ゴブリンの種によって充填された魔力で顕現した、皮肉極まりない神聖武装。その刀身の根元からは、未だに二人の股間から滴り落ちる白濁液の蒸発する、生臭い湯気が立ち上っていた。
「エリートだの大魔導士さまだの……虫唾が走るのよ、この生ゴミどもがぁぁぁぁっっ!!」
ヒカリが一歩を踏み出し、光の剣を横一文字に薙ぎ払った。
閃光。
視界のすべてが白一色に染まり、次の瞬間、手前にいた五匹の雑魚ゴブリンの上半身が、斜めにスライドして宙を舞った。断面からは血の一滴すら流れない。超高熱の光刃が、肉も骨も内臓も、一瞬で炭化させて蒸発させたのだ。
「ギ、ギャァァァァッ……!?」
「逃がすわけ、ないでしょう……?」
ホムラが冷徹な笑みを浮かべ、炎の剣を地面へと突き立てた。
ズドォォォォォンッッ!!
紅蓮の火柱が洞窟の天井を突き破り、通路全体を巨大な灼熱の炉へと変貌させる。逃げ惑うメイジたちの背中に、容赦のない爆炎が襲いかかった。
「ア、アヅィィィッ! たす……ギシャァァッ!」
動物の頭蓋骨が砕け散り、羽のローブが瞬時に燃え尽きる。メイジたちは自慢の魔導障壁を展開することすら許されず、脂身の多い肉体を自らの魔力ごと燃料にされ、生きたまま炭へと焼き縮んでいく。
「全部……全部なかったことにするのよ! 誰が見てた!? 誰も見てないわよねぇっ!?」
ヒカリは狂乱したように光の剣を振り回し、既に絶命して炭化したゴブリンの残骸を、さらに細切れの塵へと切り刻んだ。
「あんたたちなんか褒めてない! いい子いい子なんて言ってない! おちんちん凄いなんて、一言も言ってないんだからぁぁぁぁぁっっ!!」
洞窟の岩壁がスライスされ、天井が轟音を立てて崩落していく。
ホムラもまた、両手で炎の剣を構え、残る一体のメイジの頭上から容赦なく振り下ろした。
「消えなさい……私たちの恥部ごと、灰になりなさいッ!!」
ドッバァァァァァンッ!!
最後の爆発が洞窟の最深部を完全に吹き飛ばし、メイジも、雑魚も、散乱していた武器も骨も、すべてが原子レベルで燃え尽き、黒い煤となって消滅した。
静寂が、戻ってきた。
パチパチと、周囲の岩肌が熱で弾ける音だけが、煙の立ち込める空間に響いている。
立っているのは、二柱の精霊だけだった。
敵は、一匹残らず消滅した。
脅威は去り、土壁の拘束も完全に破壊され、二人は自由の身となった。
……数十分後。
完全に焼けただれ、ツルツルのガラス状に融解した洞窟の残骸から、二つの人影がふらふらと歩み出てきた。
「……ふぅ。これで、完璧ね」
ヒカリは、焼け残ったわずかな布地を胸元に巻きつけ、煤だらけの顔をゴシゴシと拭った。
洞窟の中には、ゴブリンの死体どころか、彼らが存在していた痕跡すら塵一つ残っていない。もちろん、壁に飛び散っていた怪しげな白い染みも完全に灰燼に帰した。
「ええ……完璧です。私たちはただ、迷宮の崩壊に巻き込まれたものの、自力で脱出して魔物を殲滅した……ただそれだけの話です。屈辱を克服した私たちは、これからもリュージ君の役に立てます」
ホムラもまた、ボロボロになった軽鎧の残骸をなんとか整え、息を整えていた。
体内の魔力は満ち足りている。満ち足りすぎて、下腹部の奥がきゅんと疼き、歩くたびに太ももの内側が擦れ合って熱い。
「……でもさ、ホムラ」
「何ですか、ヒカリちゃん?」
「……中、まだすっごいドロドロしてて、気持ち悪いんだけど」
ヒカリが、顔を真っ赤にして内股になりながら呟いた。
魔力は綺麗に吸い尽くしたが、物理的に注ぎ込まれたメイジたちの粘つく精液までは、精霊の身体といえども即座に完全分解できるわけではない。動くたびに、下腹部の奥からぬちゃりと卑猥な感触が這い上がってくるのだ。
「……我慢してください。街に帰って、リュージ君に会う前に……川で、徹底的に洗い流しましょう。ヒバナちゃんに見つかったら、即座に成分分析されて『ゴブリンの生体反応を検出しました!』って大騒ぎされますから」
「絶対嫌ぁぁぁっ! あいつにだけは絶対言えないぃぃっ!」
二柱の天の精霊は、満身創痍のボロボロな姿で、夕暮れの街道を街の粗末な掘っ建て小屋へ向けて、小走りで駆けていくのだった。
同じ世界観でのTSモノの設定の草案を見直し中です。 参考までにどれが好みか教えてください。
-
サモンナイト3のアティTS転生異種姦モノ
-
ソフィーとコルネリアのTS転生エロコメ
-
ハーフエルフっぽい少女リンクにTS転生