ラビット族のムキムキマッチョのふたなり女王を討伐セヨ 作:江戸枕
「なるほどな…面白そうな話ではあるな…」
サイオンはふんふんとしきりに頷きながらジジの話を聞いていた。
「つまり、アンタらの王族がこのままだとお家断絶になりかねんから、王女様を超える男を探しとると…」
「左様でございます」
「なんか…こう…ズレてる気がするぜ」
「はい?」
「つまりよ…女王様を倒すにはもっと…こう…腕力と精力以外のものが必要なんじゃねえかってことだよ」
「よく分かりませんね…」
「なんつーかさ…まぁ…あれだ…いいや…なあ、女王様の写真はねえのか?」
ジジはポケットからリリの写真を取り出し、サイオンに渡す。
「その話乗ったぜ。べっぴん女王様、えらくべっぴんだなぁ」
明るくサイオンは笑った。
不可能を可能にする男がいいと言ってくれたのだ。
これほど心強いものもない。ジジはサイオンの笑顔をみていると、もしかすると、この男ならばリリを倒してくれるのではないかと言う気持ちになってくる。
彼が笑うと春風が吹き抜けるような爽やかさがある。
人の不安をすっと消し去るような、圧倒的な陽の気配が彼にはあったのだ。
「ただ、俺は腕力にはちょっと自信はあるが、精力の方が自分でもどんなもんか分かってねえんだ。なんてったって、産まれてこれまで格闘技一筋だったからよ。そこまで女に溺れた経験もねえ。精力を一から鍛え直すのに時間をくれねえか?」
「どれほど…」
「そうだな…とりあえず半年ってとこかな…半年経ったらあんたらの国に行くよ」
※
リリは退屈していた。
何をしても人よりも優れている。
腕力でも、精力でも、リリに勝てる男はいない。
それでも、まあ、やることはやってるので、気持ちいいし、楽しいと言えば楽しい。
でも、違うのだ…心の奥底が砂漠のようにカラカラに乾いているのだ。
どれだけヤッても、どれだけ絶頂しても、楽しいのは一瞬だけ。すぐに砂漠が潤いを吸い取って、心をカラカラにしてしまう。
リリは思う。
早く、私よりも強い男に出会いたい。
私よりも強い男ならば、もしかするとこの渇きを満たしてくれるんじゃないかしら?
そして、同時にこう思う。
でも、私よりも強くて精力がある男でも乾きを満たせなかったらどうしよう…???
※
「うひゃひゃびびびびびびっっっ!!!!」
神の末裔とも言われているドラゴン族の当主、ヒースをガン堀りすると、彼は情けない声を上げながら絶頂失神をぶちかました。
リリはその体に思いっきり精を解き放つ。
ふう…と息を吐く。
とんでもない絶倫&怪力だったけど、ま、私にかかればこんなもんね…
虚しさを感じつつ、コロシアムを後にしようとすると、召使のジジが控え室で待ち構えていた。
うやうやしくタオルをリリに手渡す。
リリはそれを手にし、どしんとソファに座り込む。
リリの身の回りの世話をする召使は全員枯れ切った老人である。
若い男はもちろん、女性であっても、彼の色気に当てられればすぐさま発情してしまうからだ。
「いかがでしたか?ヒース様は?」
「まあ…すっごい良かったけど…良かったけど…って感じ…」
「お気に召されなかったのですね」
「…ジジ…次はだれ?」
「は、人族の英雄、サイオン様です」
「人族かぁ…まぁ…うん…」
「サイオン様はちょっとこれまでの男性と違うかもしれません」
ようやくリリがピクっと反応する。
「どう言うこと?」
「なんと言うか…彼には、人を期待させる何かがあると言うことですよ」
「私がただの人に負けるとでも思ってる?」
「あるいは…」
「ふーん…興味湧いてきた♡」
※
コロシアムに歓声が鳴り響く。
今日はリリVSサイオンの決戦の日。
控え室でジジはサイオンと向き合う。
別に半年間で何か変わったような様子はない。
ベッドの上で寝転んでいた時のように,どこか飄々としている。
「サイオン様、勝算は?」
「わからん!!!」
潔いほどキッパリと言う。
「つーか…やっぱり…そもそもあんたらズレてんだよ…」
「…???」
サイオンは不思議そうなジジに何も言わなかった。
ただ静かに笑った。
※
サイオンがコロシアムに現れると、大歓声が轟く。
皆、サイオンのことは知っているのだ。
人間族でありながら格闘技世界一位になった男。通称不可能を可能にする男。
わぁぁあ!!!!
と言う大歓声とは裏腹、サイオンは大きな欠伸をしてのんびりとしたものだった。
続いてリリが姿を現す。
より大きな歓声…
『さあ!!!今日の相手は一味違う!!!これまで数多の不可能を跳ね除けてきた、人呼んで『不可能を可能にする男!!!』さあ!今日は最強の女、我らが女王リリに奇跡を起こせるのか!!!!』
2人が向き合う。
少しリリの方が身長が高い。ガタイもリリの方が厚みがある。
付き合った瞬間、リリはこれまでの男とは違う雰囲気をサイオンから感じた…え!?この男…