綾小路をハメるために綾小路の周りの女全員ハメる 作:泌尿器形成外科
俺の地元は、絵に描いたような田舎町だった。
四方を切り立つ山々に囲まれ、田園が見渡す限り広がっている。
季節が変われば田んぼの緑が黄金色に染まり、収穫が終わると寂しい土の景色が露出する。
その循環以外で、目を引くものなど町には何もなかった。
住民の姿はまばらで、すれ違うのはほとんど老人か、農作業着に身を通した中年ばかりだ。
若い世代は、高校を卒業すると同時に都会へ出ていってしまう。
残るのは家業を継ぐ者か、進学のあてもなく地元に留まる少数だけ。
この町には当然のように娯楽施設なんてものが存在しない。
映画館もゲーセンも、カラオケボックスもない。
コンビニのひとつすらなく、まともな買い物をしようとするならば、車で1時間以上かかるショッピングモールへ向かう必要があった。
当然自転車しか足のない学生にとって、そこは縁遠い場所である。
休日に友達と遊びに行く、なんて発想自体が成立しなかった。
遊び場もなく、刺激もない。
そんな何もない田舎町で、若い衝動を発散するには一体どうすればいいのか。
俺の同年代に男友達はいない。
幼少期から中学卒業まで、4人の女友達と共に過ごした。
そしていつからか、彼女たちと体を重ねることだけが唯一の娯楽になっていた。
このメンバーでできることなんて、セックスくらいしか思いつかなかったのだ。
ただ1人の男である俺を中心に、代わる代わる毎日のように交わりあう。
放課後誰かしらの家に集まり、親が仕事でいない時間帯を利用した。
3P・4Pなんてのは日常茶飯事で、タイミングが合えば、5人全員で絡み合うことも決して珍しいことではなかった。
経験人数は4人と決して多くない数字だが、好奇心の赴くままに数多のプレイをそのメンバーで共有した。
ネットで買った道具を使ったり、外でやったり、制服のまま試してみたり。
誰がリードするかもその日の気分次第で、時には俺が完全に主導し、時には彼女たちのペースに身を委ねることもあった。
自然の音しか聞こえない静かな町の中で、彼女たちの嬌声を浴びる日々が当たり前になっていたのだ。
そんな日常を送りながら、俺は漫然と近場の高校に進学しようと考えていた。
隣町の県立高校。
この町にいる以上、進路に選択肢なんてものはあるはずもなく、俺自身もそれを当然のように受け入れていた。
だが、そんな時にそれは届いた。
高度育成高等学校からの推薦状である。
こんな田舎暮らしでも風の噂くらいは聞いたことのある、政府主導の全寮制国立高校。
日本の未来を支える人材育成に重きを置き、進学率・就職率共にほぼ100%を誇るという名門校だ。
校内の最新の設備も魅力の一つであり、都会の人間ですら狭き門だと言われている場所である。
自分の人生には一切関わることのないと考えていた高育。
推薦ということは、こんな田舎にまで学校の目が行き届いていることを意味するだろう。
その事実にまず驚き、その後自然と湧いてきたのは「なぜ俺が?」という疑問だった。
確かに、俺の成績は全国平均よりも上に位置している。
苦手な科目も今のところなく、バランス良く高得点を取れていると言って良いだろう。
だがそれでも、際立って優秀というわけではない。
また俺には特別な資格も、目立った実績もない。
そんな俺の元に推薦状が届いた理由が、どれだけ考えても見つからなかったのだ。
だが実際に入学してみて、俺は一つの答えに辿り着くことができた。
高育が理念に掲げるのは、社会で通用する人材の育成だ。
具体的に社会に出て問われる事とは、何も単純な頭の良さだけではない。
与えられた職務を全うする力、部下を導く統率力、トラブルが発生した際に求められる迅速で的確な対応力。
人脈を広げるための社交性も必要なスキルといえるだろう。
挙げればキリのない、有能な社会人になるために必須といえる能力群。
その中で、俺がこれまでの人生で培ってきた、社会に出て有効となる能力を1つ見つけることができた。
それはずばり、セックスだ。
一瞬の衝動で、これまで積み上げてきたキャリアを棒に振る男は少なくない。
欲望に溺れ公私を混同し、挙げ句の果てに自身の首を絞める愚かな末路。
だがそれは、あくまで「コントロールできない側」の話だ。
セックスを単なる性欲の発散で終わらせず、道具として用いる。
相手の欲望を正確に読み取り、満たして、有益な情報を対価として引き出す。そして、相手の信頼を積み重ねていく。
時には自分の立場を優位に運べることもあるだろう。
いわば、枕営業と呼ばれるスキルだ。
ビジネスの世界や政治の世界でも、表向きは否定されながら、しかし裏では実際に横行しているという現実がある。
酒の席で交わされた一夜の関係が翌日の契約で有利に働いたり、あるいは自分の未来を良い方に大きく変えたりもする。
必要なのは相手が何を欲し、どこまで許容できるかを見極める観察眼と、相手を満たす圧倒的なセックスのテクニックだ。
恋愛や身体の関係は、単なる感情の産物ではない。
適切に扱えば、それは立派な社会的資本となり得る。
相手の弱みを知り、快楽を与えることで心理的優位性を構築する。
愛情を装いながら計算し、親密さを武器にしながら相手に向き合う。
その関係を通じて情報や人脈、時には権力さえも手に入れることが可能だ。
そうした感情を自在に操れる人間こそが、渾然一体となった社会を駆け上がることができるのだろう。
俺がこれまで4人の女友達と過ごした退廃的な日々は、田舎の退屈が偶然生み出したものに過ぎない。
だがしかし、そこでしか身に付かないものが確かにあった。
相手の反応を読み取り空気を変え、自分にとって都合の良い方向へ傾ける感覚。
複数の異性を同時に相手どっても、関係が壊れないようにバランス良く立ち回る嗅覚。
欲望を隠さず、しかし決してそれに全てを支配されない自制心。
これらは全て、社会で通用する対人スキルの原型だ。
高育は、俺のそんな一面を見出したのではないだろうか?
この学校では校則により、不純異性交遊が固く禁じられている。
しかし、俺にはそれがただの建前に感じられてならない。
なぜならば、敷地内のコンビニで当たり前のように避妊具が販売されているからだ。
教職員をはじめとした学校関係者も利用するとはいえ、客の大半を占めるのは生徒である。
用途を禁じられているそんなメイン層に向けて、何故お誂え向きな商品をわざわざ用意するのか。
その矛盾を、俺は見逃すことができない。
もちろん、一線を越えようとする学生に対する保険の意味合いはあるだろう。
どれだけルールで縛りつけようとも、そこをはみ出してしまう人間は一定数いる。
数ある禁則事項の中でも、不純異性交遊の果てにあるのは妊娠だ。
学校側も、その現実は好ましくないのだろう。
だが避妊具以外にも、どうしても解せない部分がもう一つある。
それは、男女を同じ棟に住まわせている事実だ。
性別によって住む階が分けられているとはいえ、その境界線はエレベーター1つで簡単に跨ぐができる。
体裁として門限は存在するが、寮に監視の目などなく、形骸化しているのが実態だ。
やろうと思えば、好きなだけ異性の部屋に入り浸ることができるだろう。
田舎育ちで世間知らずの俺でも分かる。
こんなこと、普通の高校ではありえないはずだ。
これらが暗に示しているのは、学校側が俺たち学生に対して、一歩踏み込んだ恋愛経験を求めているということ。
いや、それ以上の男女の経験も多分に含まれているのかもしれない。
身体の関係を通じて相手を知り、支配して利用する技術を、学生のうちから実践的に磨かせようとしているのではないか。
表向きは清廉潔白を演じながら、裏で欲望と計算を武器に動ける人間こそが、真に社会で通用する人材なのだと。
性を極めることもまた、その人物の実力の一つなのだと。
俺は、この学校に誘われた理由をそこに見出した。
ある時は愛情を持ちながら、そしてまたある時は暴力的になりながら行為に及ぶ。
相手の心を開き、依存させ、時には恐れさせる。
高育は、その「実践」の場として最適といえるだろう。
これまでの俺の人生では想像もつかないほどの数の同年代がひしめく環境。
そして俺の手に余るほど存在する、魅力的な女たち。
その全てを抱いて経験を積みたい。
不可能だが、そんな欲求を抱かずにはいられない魅力的な空間にいま俺はいる。
田舎で培った性の技術を、この最高の舞台で本格的に磨き上げる。
セックスを単なる快楽から、社会で上り詰めるための武器へ昇華させるために。
恋愛もその先にあるセックスも、全て自分の価値を高める手段として使いこなす。
それが、俺が高度育成高等学校で目指す道だと、入学早々結論づけた。
そして、翼を初めて抱いた翌日の昼休み。
2年のフロアで大立ち回りを演じる宝泉の後ろに俺は控える。
廊下には人だかりができ始めており、騒ぎを聞きつけてその数はどんどん増え続けていた。
宝泉の声が野太く響く中、俺は周囲を注意深く観察する。
するとそこで、2年Dクラスから顔を出した綾小路清隆の姿を、俺はこの目で初めて捉えた。
黒髪に無表情。身長も体格も平均的で、俺に負けず劣らずのツラの良さ以外特に目を引くところはなし。
昨夜覚えた綾小路のOAAを、俺は脳内で反芻した。
2-D 綾小路清隆 1年次成績
学力 C(51)
身体能力 C+ (60)
機転思考力 D +(37)
社会貢献性 C+(60)
総合力 C(51)
改めて思い返しても、実に取るに足らない成績だ。
学力も身体能力も平凡、機転思考力に至っては下位層に位置している。
何故こんな生徒が、2000万ポイントという法外な懸賞金をかけられているのか。
実際に会ってみてもその疑問が晴れることはなく、「ただの凡人」という評価が強まるばかりであった。
俺がそんなことを考えていた、その時。
周囲に漂う違和感に気付いた。
騒動を察知して、Dクラス以外の2年も次々に廊下へ姿を現す。
Aクラス、Bクラス、Cクラスの生徒たちが、俺と宝泉を中心とした包囲網を形成していた。
そんなクラスの垣根を超えた集団の中で、少なくない人数の女が、綾小路に対して視線を向けていたのだ。
それは単なる偶然ではないと、俺は直感する。
一瞬だけ顔を覗いてすぐに目を逸らした女もいれば、今も遠巻きで綾小路を見つめ続ける女もいる。
興味、期待、はたまた親愛。
そんな様々な色を伴って、綾小路という意中の男に視線が降り注いでいたのだ。
おいおい綾小路パイセン。どうやら随分とモテモテのようだなぁ?
その中に綾小路の本命はいるのか、いるのならばどの女なのか、現状そこまで読み取くことは出来ない。
だが、これだけ個人的な感情が向けられておいて、彼女たちと綾小路の間で何の関係性もないなんてことはないだろう。
奴をどうやって退学させようか考えていたが、正攻法はこのまま宝泉に任せて、俺は外堀を埋めていくのも悪くない。
綾小路の周りの女、全員ハメちまおう。
同学年の女とは3年間じっくり遊べるが、上級生となると必然的に期間は短くなる。
さらに言えば、2年には見逃すには惜しい上玉ばかりが揃っているようだ。
1年は取り敢えず後回しにして、綾小路の周りの女を優先的に狙うのも悪くない。
どうしても俺の竿は一本しかないからな。
結果綾小路を精神的に追いつめ、自主退学にできれば儲けものだ。
失敗したとしても、俺の本来の目的を達成できるしな。
そうして暴れる宝泉の影に隠れながら、俺は今後の動きを組み立てていった。