朝の陽射しを受けて目を覚ました俺は、大きく伸びをした。
ペルソナ世界へと転移してから二日目の朝だ。
昨日のことは鮮明に覚えている。
ペルソナを覚醒させ、使役した"スルタン"の力で認知存在のりせを生み出し、濃厚な初体験を遂げたこと。
一日に起きたこととは思えない密度で、果たして現実だったのかと疑いたくなるほどだったが、部屋の様子やスマホを見ればその疑念もすぐに消えた。
跡形もなく消えたペルソナシリーズの資産には未練があるが、メメントスで女性を好き放題できる楽しみを見出した今となっては引きずることなどない。
「認知世界で好きなキャラたちを自由にできるなら、こっちの世界も悪くないか」
朝食と整容を手早く済ませると、俺は再びヰセカイナビを起動した。
自由に楽しむためにもメメントスを再び訪れ、"スルタン"で何ができるのかを検証する必要がある。
「あれ……? 何だ、ここは?」
視界が揺れ、瞼を開いた先に広がっていたのは、いつものメメントスではなかった。
壁一面を青と白を基調としたタイルが覆い、金色の装飾が鮮やかに輝いている。
部屋の中央には厚みのある絨毯が敷かれ、天井は緩やかなドームを描いていた。
壁際には天蓋付きの大きな寝台が据えられ、反対側にはソファや金細工の家具が散りばめられている。
庶民の俺から見てもスケールが桁違いの豪華さで、まるで王や皇帝のための寝室のようだった。
「あ~! やっと来た! おじさん、待ってたんだからね!」
場違いな場所に放り出されて啞然としている俺に、背後から聞き慣れた声がして何者かが抱き着いてきた。
それはりせだった。りせは嬉しそうに頬を擦り付けてくる。
「何でここにいるんだ?」
「何でって、ここおじさんの家でしょ? 突然いなくなったから、あたしの方が驚いたんだからね!」
どうやら俺がナビで現実に戻った際に取り残され、この俺の家らしき場所で待っていたらしい。
メメントスでシャドウに襲われなかったのか、そもそもどうしてここが分かったのか。
「うーん、直感?」
まともに取り合う方が馬鹿馬鹿しくなってくる。
「ところで、ここはどこなんだ? 前にナビを起動した時はこんな場所に来なかったはずだが」
「ここはおじさんの家だよ。何となくだけど、私には分かるの」
「っていうか~、そんなことどうでもいいじゃん。ここだとシャドウも現れないわけだし、自由に使えば~」
ふかふかのベッドに腰を下ろし、その感触を楽しむりせ。
理屈などお構いなしにくつろぐ姿に呆れつつも、その艶めかしい肢体を見て俺の性欲が刺激される。
認知存在のりせが俺の家で、しかもシャドウが出ないと言うならば、ここでりせを好きにできるな。
昨日と同じりせに再び出会えたわけだし、せっかくなら楽しむとするか。
俺もりせのいるベッドに腰を下ろし、彼女の肩を引き寄せて唇を重ねた。
「んっ、ちゅっ……おじさん、昨日より積極的だね♡」
「そりゃ、あれだけヤッたからな」
離れた唇から交えた唾液が糸を引き、名残惜しそうに切れる。吐息とともに上気したりせの顔は、すでに完全に発情していた。
「ふふっ、雄ぶっちゃって♡ ドーテーおじさんの癖に」
挑発するりせにムッとなり、俺は彼女の身体に執拗に悪戯する。
柔らかい胸を、くびれた腰を、そして弾力のあるお尻の感触を存分に味わいながら、りせを感じさせてやった。
「もう童貞じゃないっての」
「あん♡」
乳首を舌で転がすと、りせは可愛らしく喘ぐ。
その様子に俺の欲求はどんどん高まり、エスカレートしていく。
ぺろっ、ぺろっ、ぬちゃっ……。
りせが反応を見せる部分を丁寧に、そして執拗に舐め上げる。
舌がりせの股間に到達した頃には、いつの間にか俺の一物もりせに扱かれていた。
怒張したペニスを優しく撫でながら露わにしたりせは、ゆっくりとそれを口に含んだ。
俺とりせはシックスナインの体勢でお互いの性器を貪欲に刺激し合った。
「はふっ、おひしゃん、おっきい……あむっ、んっ、あっ、しょこ、いい……」
「ハァ、ハァ、りせのおマンコ、いやらしいぞ。んんっ!」
りせの割れ目を両指で割り開き、その構造を観察するように舐め回す。
ぷくりと膨らんだクリトリスの皮を剥き、舌で丹念になでると、りせは大きく身を震わせた。
一方で、俺の肉棒もりせの口に深く咥え込まれ、熱い粘膜と舌の動きに頭が沸騰しそうだった。
互いを求め合う前戯。
AVや同人誌でしか見たことのなかったシックスナインの快感に俺はすっかり夢中になっていく。
「あっ、おじさん! 私、変なの……いっ、いやぁ~~~!!」
びくびくっと大きく痙攣した次の瞬間、りせは潮を噴いた。
顔がびしょ濡れになって参ったが、初めて女性を、しかもりせをイカせたという事実に、俺の中で雄としての自信がじわりと湧き上がってくる。
「ハァ、ハァ……あっ、おじさん、ごめん……」
「いいよ。俺の舌で気持ちよくなってくれたんだろ。逆に嬉しい」
「……でも、体位のせいでりせのイキ顔が見れなかったのは、ちょっと残念だったかも」
「もうっ! おじさんの馬鹿!」
真っ赤になって拗ねるりせ可愛すぎだろ!
嗜虐心と肉欲が大いに刺激され、俺はりせを強引にベッドへ押し倒した。
「りせ、入れたい。尻を上げろ」
「おじさん、調子乗りすぎ……んっ」
口では抵抗しつつも俺の言葉通りに尻を高く上げ、いやらしく腰を振るりせ。
限界まで硬くなった肉棒を、一気にりせの中へ突き入れた。
「あんっ……硬くて、ごつごつする……!」
「うぐっ……昨日と全然違う。りせっ、すげえ気持ちいい……」
初体験の時とは違い、りせの誘導なしに挿入できた。
そのまま奥へ、さらに奥へと肉棒を進ませる。
しかし、後背位での感触は正常位とは明らかに違っていた。
亀頭が入口で強く締め付けられ、鋭い刺激が走って息を吐く。
それはりせも同じらしく、突き上げるたびに甘い悲鳴を漏らした。
「おじさんのおちんぽ……大事なとこに、こつんこつんって当たるの。圧を感じる♡」
りせの腰を掴み、肉棒を激しく出し入れする。膣壁を何度も擦り上げながら、奥を執拗に抉った。
途中、肉棒の先端がりせの最奥にある柔らかな凸凹に当たるたび、りせは強く反応を見せる。
ここが子宮の入り口か。あるいはGスポットってやつか?
まるでりせを犯しているかのような感覚に嗜虐心が燻ぶる。
反応の強い場所を狙い、執拗に突き上げた。
ぬちゅっ、ぬちゅっ、ぐちゅっ……。
膣内は愛液で満たされ、滑りを増していく。
「おじさん、なにかくる……! あっ、あぁ~~ん♡」
りせが大きく喘いだ瞬間、膣壁が急激に収縮し、俺の亀頭を強く圧迫した。
「うっ……俺も、出るっ……!」
俺もりせの最奥、子宮口らしき場所に肉棒を押しつけ、溜まっていた白濁を一気に放つ。
そのままりせに覆いかぶさる形で、汗まみれの肌を俺たちは重ね合った。
「ようやく終わったか。どこまでも性欲旺盛な男だ」
部屋の奥から、知らない声が響いた。
りせと抱き合っていた俺は、侵入者の存在に慌てて体を起こす。
声のした方へ視線を向けると、そこにはフードを被った小さな異形が腕を組んで立っていた。
顔の大きさに見合わぬ、ぎょろりと大きな目。嘴を持つその不気味な姿に、俺は思わず息を呑む。
しかし、初対面のはずなのに、その姿に何故か強い既視感があった。
「ワシの名はルフェル。敵意はない。お主に話があって参った」
ルフェル……?
ルフェル……。
あ――っ!!
ペルソナ5Xの相棒兼マスコットの、あのフクロウじゃねえか!
どうりで既視感があるわけだ。
実際に見ると想像以上に気味が悪いな!
というか、何でここにいるんだ?
「えっと……話ってのは?」
「お主、ヰセカイナビを使ってここに来たのだろう? そして、欲望とペルソナを有しておる。違うか?」
「あ、ああ……その通りだ」
実際に異世界にいる以上、隠しても仕方ないな。欲望についてはルフェルには感じ取れるらしいし。
「ふむ。やはりな」
ルフェルは大きく片目を見開き、こちらを値踏みするように見つめた。
「ワシに協力してくれぬか? 世界から奪われた欲望を取り戻すため、お主の力を貸してほしい」
「はっ……!? えっ……」
待て待て待て。それはワンダーの仕事だろ!
何で俺にその話が来るんだ!?
それに、やっぱりここはペルソナ5Xの世界なのか。
「うぅん……おじさん、どうしたの? って……何この化け物!? きも~~~!!」
ベッドで意識を失っていたりせがルフェルの姿を見て目を見開き、慌てて俺の後ろに隠れた。
「なっ、何を言うか! 小娘!!」
まあ……確かにキモイよな。5の面々からも「フードお化け」とか「メガネザル」なんて言われてるくらいだし。
「りせ、そこまでにしておけ。ルフェルに詳しく事情を聞きたい」
「は~い」
俺の言葉に素直に従うりせ。そういうところが可愛くて仕方がない。
肩に手を回して引き寄せ、軽くイチャイチャしていると、ルフェルがジト目になる。
「ワシの前でも構わず睦み合いおって……。まあよかろう。説明してやろう」
「おいおい、嘘だろ……」
ルフェルから語られた内容に俺は頭がくらくらした。
本来、人間に備わっている欲望が何者かに奪われており、そのせいで現実では無気力な人間があふれている。
欲望を奪う者は自身の歪んだ欲望によってパレスを形成する。
そのパレスの主が持つ「オタカラ」を盗み、改心させることで欲望を奪われた人々は欲望を取り戻せる。
さらにルフェルは記憶を失っており、その記憶はパレス主のオタカラと関係しているらしい。
そのため、パレス主からオタカラを盗む協力者を探していた、とのことだ。
ここまでは俺の知っている通りだった。
ゲームではこの後、ワンダーと出会い、怪盗団を結成していくはずだ。
しかし、ここでアクシデントが起きたらしい。
ルフェルによると、欲望の素養を持ち、ペルソナに覚醒した少年を見つけたものの、メメントス内に現れた奇妙なシャドウによって敗れてしまったらしい。
ルフェルは辛くも逃れたが、その少年の消息は不明だそうだ。
「襲われた場所を再度訪れたが、合流することはできなかった。おそらくはもう……」
「仮に生きておったならば、ナビを起動させて現実に戻っている可能性が高い。そのため、ワシは探し回っていた。そこでお主を見つけたのだ」
「つまり、その名前も知らない少年を探してほしい、と?」
「いや、生きておればよいが、その可能性は限りなく低いであろう。お主にそれを頼むのも忍びない。奴のことはワシが個人的に探すつもりじゃ」
うーん、弱ったな。
世界の謎や仕掛け人の思惑とかは全てワンダーたち怪盗団に任せるつもりだったんだが……。
この世界はいずれ滅亡し、その度に巻き戻って「ループ」を繰り返している。
ゲーム内の4章でそこまでは分かったが、具体的な原因や仕掛け人については俺は知らないんだよな。
あっ、そういえば……。
「なあ、もしかしてここって俺のパレスだったりしないか?」
「それはワシも思っておった。お主は人並み外れた性欲を持っておるようだしのう」
うっ、それは否定できない。
「だが、どうもワシには違うように思える。それに、他者から欲望を奪ってはおらぬのじゃろう? 認知存在には好き勝手やっておるようじゃが……」
再びジト目で俺を見るルフェル。
まあ、そこは男の性(さが)だ。好きにできる女の子、しかもとびっきりの美少女のりせがいたら普通はそうなるだろう。
「よくわかんないけど~、要するにおじさんの力が必要ってことでしょ? さっきからそっちの事情しか話してないけど、協力したらおじさんに何かメリットあるの?」
りせが眉をひそめて怪訝そうに尋ねる。
良い着眼点だ。直球で切り込んでくれたりせに同意するように俺も頷いた。
「人々の欲望を解放してほしい、という義侠心ではお主らは納得せぬであろうな」
「そ奴らはいずれお主らに危害を加えるやもしれぬ。それに、メメントスにも異変が起きているとワシは薄っすら感じておる」
「火の粉を払うためにもワシに力を貸さぬか? ワシはペルソナの力を扱える。お主らが協力するならば、ワシもお主らに可能な限り手を貸そう」
ルフェルの言葉に、俺はしばし考える。
これからメメントスを徘徊し、レベル上げや能力の確認、メメントス内で手に入る貴重品を集めるにはルフェルの力は非常に魅力的だ。
それに、ワンダーがいなくなった以上、仕掛け人が何をしでかすか分からない。
俺が自由に生きるためにも、不本意ながら奴らの行動を抑える必要が出てくるかもしれない。
面倒この上ないが……。
「……分かった。ひとまずは、期限付きでの協力関係、お試し、ってことでどうだ?」
「ふむ。まだ信頼が足りぬか。いいだろう。ワシもお主らが協力者足り得るか、直に見て判断させてもらうとしよう」
ルフェルが手、といってもフクロウの翼を差し出してくる。
その翼を取り、俺たちは仮の契約を結んだ。
「わぁ~~~! すっごい! ねえねえ、ルフェル。もっとスピード出して!」
「ええい、小娘! 危ないから顔を出すでない!」
吹き抜ける風を浴び、髪をたなびかせながら歓喜の声を上げるりせ。
注意するルフェルは傍におらず、俺たちの乗る車内からその声は響く。
そう、この車こそがルフェルが変身した姿だ。
俺とりせは車と化したルフェルに乗り、メメントス内を駆け巡っていた。
途中、シャドウと遭遇するが、大型は避け、小型は引き倒して先へと進む。
「それにしても便利だな。歩くより断然楽だ」
「ホホゥ、さっそくワシの有用性を理解したようじゃな」
得意げになるルフェル。こいつ意外と可愛いんだよな。
それにしても、りせまで来る必要はなかったと思うが……。
隣にいるりせは頑なに俺に付いてくると主張して譲らなかった。
ペルソナの力が使えない以上、戦えないわけだが、それも覚悟のことらしい。
俺の認知存在だからか都合が良すぎるな。
車で移動する前に俺は"スルタン"の能力を簡単にだが確認した。
メメントスでシャドウと戦う以上は、戦闘能力を色々と把握しておかなければならい。
下級のシャドウとの戦闘を経て分かったことだが、どうやら"スルタン"は呪怨属性以外にも『スラッシュ』と『マカジャマ』。物理や状態異常の技を使うことが出来た。威力は低レベル故にそれほどであったが。
また、りせ以外の認知存在も生み出せるかどうかをシャドウの前に試してみたが、結果は不発に終わった。
恐らく"スルタン"のレベルが足りないせいだろう。もしくは何か他の条件が必要だったのかもしれない。
りせのことは可愛く思っているし、大事にしているが、能力で更に生み出せるなら生み出したいという欲はある。
まあ現状は無理のようなので、条件を調べつつレベル上げだ。
そして、俺たちはルフェルの案内でワンダーとルフェルが襲われた場所へと向かっている。
「ここだ」
ルフェルが止まる。
そこは寂れた廃駅のような場所だった。
俺とりせが初めて身体を重ね合った場所に似ているが、エスカレーターがある分、この場所の方が大きな駅に感じる。
「やはり、おらぬか……」
「まあ気を落とすなって。ルフェルの見立て通り、生きているなら現実世界に戻って……んっ!?」
そこで、俺は咄嗟に後退る。
エスカレーターの付近に巨大な影が現れた。
影は、次第に変容し、その正体を露わにする。
長い黒髪を地面に垂らした、紫色の巨大な人の頭部。その大きな眼窩は空洞で、眼窩から鎖に繋がれて飛び出た大きな眼球が鋭い牙を見せた口を開き、蛇のように身体を蠢かせている。
俺は目の前に現れたシャドウを知っている。仕掛け人が放ったシャドウだ。
「っ! 気を付けろ! あれがワシらを襲ったシャドウ、"シェディム"だ!」
ルフェルが大声を上げると同時に、シェディムから飛び出た眼球からこちらを襲ってくる。
「出ろ! "ロブ・ロイ"!」
俺が跳躍して攻撃を避ける一方で、変化を解いたルフェルは背後からペルソナを召喚する。
SD体型のロボットのような姿をしたペルソナは、手にした銃から火炎を繰り出し、眼球へとぶつけた。
おおっ、凄え……って、そうじゃない! 俺もペルソナを。
「支配しろ! "スルタン"!」
スルタンを呼び出し、スラッシュで追ってきた眼球を跳ね除ける。
戦闘経験が浅い俺とは対照的に、ルフェルの動きは素早い。
一度交戦した経験があるのも大きいだろう。シェディムの隙を的確に突いていた。
俺もルフェルのカバーをするように遅れてエイハやスラッシュを放つ。
ルフェルの善戦もあり、勝機は十分にあった。
このまま押し切れる!
んっ!? なんだ、あれは……。
シェディムの眼球が止まり、浮遊し始め、エネルギーが集まる。
エネルギーの集合体が球状となり、その危険性に俺はハッと気づいた時には遅かった。
エネルギーが拡散し、俺とルフェルは吹き飛ばされる。
「ぐおっ!」
「ぐっ、くそっ……」
地面へと倒れ伏し、衝撃で動けずにいる俺たちに、シェディムは止めを刺さんとゆっくりと近づいてくる。
視界が霞み、力が入らない。
こんなところで終わるのか。こいつと遭遇する可能性を考慮せずにいた俺が浅はかだった。
もっと地道にレベリングしていれば……。
いや、そもそも"ペルソナ"を扱ってシャドウと戦うのは俺には無謀だったのか……。
身体は動かないのに後悔の念が脳内に渦巻く。
そんな俺になどお構いなしに、シェディムが眼球を振り下ろそうと高く上げた。
「おじ、さん……」
俺の指示で隠れていたりせが姿を現す。
りせの顔は青ざめ、この事態にショックを受けているようであった。
「……嫌だよ。おじさんがいなくなったら、りせはどうすればいいの?」
「おじさんが私の生きる意味なのに。いなくならないでよ!」
震えて顔を覆うりせ。
りせのために立ち上がりたいが、まだ手に力が入りきらない。
クソッ! あと少しだけ……あれ? りせの様子、変じゃないか?
「ハァ、ハァ……これも、私なの。だから……あっ、アァァァ!」
「……汝は、我!」
りせが大きく腰を仰け反らせると、強い風が周囲へと吹き抜ける。
そして、次の瞬間、りせの背後からりせを守るペルソナが現れた。
その姿を、ゲームをやり込んだ俺は知っている。
「力を貸して、"ヒミコ"!」
パラボラアンテナの頭部を持つ、久慈川りせのペルソナ"ヒミコ"が大きく手を広げると、波動のようなものが同時に広がる。
そこで、俺の全身から力が湧いてきた。
俺は急いで態勢を立て直すと、攻撃を繰り出してきたシェディムの眼球をスラッシュで薙ぎ払う。
りせがペルソナに覚醒した。
俺の認知存在のはずのりせが何故!?
疑問は尽きないが、優先すべきは目の前の敵への対処だ。
「おじさん、私の力を分けてあげる」
りせが"ヒミコ"を通じて仲間を強化するスキルを俺に向けて発動する。
そのバフによって、俺の全身から力が漲った。
「放て! "ロブ・ロイ"!」
見計らったようにルフェルが火炎の球を銃口から放ち、シェディムの態勢を崩す。
その好機に、俺はシェディムに特大の一撃をぶつけた。
シェディムが消滅していく。
満身創痍ながらも俺たちは危機を脱することが出来たようだ。
「ハァ……良かった。うっ……」
バフが切れたのか、それとも無理が祟ったのか、俺の身体から力が抜ける。
悲鳴とともに駆け寄り、俺に呼びかけるりせ。
だが、りせの声が次第に遠ざかり、俺の意識は途絶えた。
●ペルソナ紹介
スルタン / 茂部 成雄
《属性》呪怨
《スキル》スラッシュ エイハ マカジャマ
高評価や感想をいただけましたら励みになりますので、気に入っていただけましたら是非お願いいたします。