レイプから始まる異世界生活 私は「犯られ戻り」で異世界を生きていく 作:みなぽん
十八歳。黒髪のショートカット。小柄で細身だが、弓道の有段者で、神社の境内を走り回り、祭りの準備や薪割り、掃除などを手伝って育ったため、体幹が強く運動神経もいい。性格は快活、行動的、好奇心旺盛。異世界に転生時に権能を特殊な授かる。それは「犯られ戻り」男に犯されると一定のタイミングで
過去の時間に戻ることができる。
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アルキュオネー=ヴァル=ルシリオン 種族 人間
二つ名 傲慢(プライド)のアル
金色の髪とサフィアの瞳を持つ、姫君のような美貌の聖騎士。お嬢様言葉が堅苦しい印象を与えるが、高貴な誇りゆえ。
•武器:光翼剣《ルクス・レギナ》
「聖騎士の力は心の中に宿るもの、気高い心で自らに誇りが持てる生き方をするのです。」
【挿絵表示】
天童昴(十八歳)は異世界に転生し、男に犯されると過去に戻る権能「犯られ戻り」を授かった。一周目は路地裏で五人の男に輪姦され時間が戻る。二周目は宿代を稼ぐため冒険者ガルドのパーティに加わるが、ダンジョン奥で麻痺薬の罠にかけられ輪姦され再び戻る。三周目は冒険者ギルドに登録後、ガルドらが金髪の美女を勧誘するのを目撃。尾行し宝箱の罠を逆利用して男たちを麻痺させるが自身も巻き込まれる。絶体絶命の中、美女が圧倒的強者の聖騎士アルキュオネーと判明。華麗な剣技で悪党を討伐。二人は意気投合しパーティを結成する。
天童昴(てんどう・すばる)
十八歳。黒髪のショートカット。小柄で細身だが、弓道の有段者で、神社の境内を走り回り、祭りの準備や薪割り、掃除などを手伝って育ったため、体幹が強く運動神経もいい。性格は快活、行動的、好奇心旺盛。異世界に転生時に権能を特殊な授かる。それは「犯られ戻り」男に犯されると一定のタイミングで
過去の時間に戻ることができる。
アルキュオネー=ヴァル=ルシリオン 種族 人間
二つ名 傲慢(プライド)のアル
金色の髪とサフィアの瞳を持つ、姫君のような美貌の聖騎士。お嬢様言葉が堅苦しい印象を与えるが、高貴な誇りゆえ。
•武器:光翼剣《ルクス・レギナ》
「聖騎士の力は心の中に宿るもの、気高い心で自らに誇りが持てる生き方をするのです。」
『犯られ戻り――異世界の路地裏にて』
第一章 転生
気づいたとき、昴は狭い石畳の上にうずくまっていた。
「……どこ、ここ」
黒髪のショートカットにコンクリートの冷たさなど触れるはずもない感触。見上げれば、左右の建物に挟まれた細長い空。異国の空——いや、もっと根本的に、空気の密度が違った。
昴はゆっくり体を起こし、自分の手を見た。見慣れた自分の手だ。弓を握ってタコになった指先も、神社の掃除で微かに擦れた手のひらも。間違いなく棒原昴の体だ。だが、周囲は——
「……異世界、ってやつ?」
呟いた声は、路地裏の湿った壁に吸い込まれた。
第二章 路地裏の住人たち
昴は路地裏を慎重に歩き出した。弓道で鍛えた体幹と、境内を走り回った体力だけが頼りだった。見知らぬ世界で無防備に振る舞うつもりはない。
「あの、すみません」
通りかかった物干し場の老婆に声をかけた。老婆は驚いた顔をしたが、敵意はない。
「おや、見ない顔だねえ。どこから来たんだい?」
「……遠いところから。ここがどこなのか、教えていただけませんか」
老婆の話と、その後路地裏で出会った数人との会話で、昴は状況を把握していった。
ここはアルトリア王国の港街デルム。異世界——と呼ぶしかない場所だ。魔法が存在し、種族も多様で、経済は貨幣で回っている。そしてこの路地裏は、都市の影。貧民街に近い雑居区域だった。
「身分証がないと、まともな仕事にはつけないよ。とくに女一人じゃね」
屋台の店主は、野菜の切れ端を昴にくれながら言った。
「親切に、ありがとうございます」
「親切じゃないよ。あんたみたいのが路地裏で倒れてたら、後で面倒が起きる。早く身分を整えな」
その言葉の意味を、昴はまだ正しく理解していなかった。
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第三章 黄昏
陽が傾き始めたころ、昴は路地裏の奥にたどり着いていた。
日中は人通りもあった。だが、西日が壁を橙色に染めるこの時間、路地裏は急速に人の気配を失っていく。昴はそれを本能で感じ取った。弓道場で培った集中力が、周囲の空気の変化を捉えていた。
——引き返そう。
そう思ったとき、背後の影が動いた。
「おや、見ない子だ」
低い男の声。振り返ると、路地の入り口に三人の男が立っていた。粗末な革の上着に、日焼けした腕。それぞれの腰には短剣がぶら下がっている。
昴は即座に姿勢を低くした。戦いの構えではない。逃げるための判断だ。だが——
「逃がさないよ」
背後から声がした。振り返れば、さらに二人。昴は完全に囲まれていた。
第四章 囲まれて
「なにか用ですか」
昴は声を落ち着けた。恐怖を悟られてはいけない。父に教わった弓道の作法——心の静寂を保つ技術が、いま初めて実戦で試されていた。
「用? ああ、あるよ」
先頭の男がにやりと笑った。欠けた前歯が見えた。
「こいつ見たこともない服を着てやがる!見たところ金もなさそうだ。だが——」
男の視線が昴の体を舐めるように降りていった。小柄で細身の体。日焼けしていない白い肌。十八歳の、まだ少女の面影を残す顔立ち。
「——別のつかい方もある」
昴の背筋に冷たいものが走った。
「来るな」
鋭い声。だが男たちは笑った。
「元気だねえ。そこがいいよ」
「俺らでおいしくいただいた後は奴隷市に売ってやるよ」
三人が同時に動いた。
昴は即座に最初の男の腕を弾いた。弓道で鍛えた反射神経。体幹の強さ。薪割りで培った握力。男の手首を捻り、間合いを取ろうとした。
「つっ——この野郎」
だが二人目が背後から腕を掴み、三人目が足を払った。小柄な体は簡単にバランスを崩された。石畳に背中が打ち付けられる。息が詰まった。
「離して——!」
抗った。暴れた。男の一人に肘打ちを入れ、もう一人の指を噛み切るほどの勢いで噛みついた。
「ぐっ——この、暴れやがって!」
男が昴の腹部を殴った。石畳に叩きつけられた背中と、腹部への打撃で、一瞬息が止まった。その隙に、四人の男が四肢を押さえつけた。
「ひひひ数には勝てねえよ」
第五章 路地裏の石畳で
一人の男が昴のシャツの裾を掴み、力任せに引き裂いた。布が裂ける乾いた音が路地裏の壁に反響した。夕暮れの橙色の光が、露わになった白い肌に落ちた。
弓道で鍛えた引き締まった腹。日焼けしていない柔らかな肌。小ぶりだが形の整った胸が、恥ずかしげもなく外気に晒された。
「やめ——!」
昴は腕を振り払おうとした。だが両手は二人の男に押さえつけられ、石畳の上に縫い付けられていた。残りの男が昴のズボンを掴み、下着ごと引き下ろした。冷たい石畳の感触が尻に触れた瞬間、昴の体が跳ねた。
「いい体してるな。弓道だかで鍛えてんだろ。引き締まってていい感じだ」
先頭の男が昴の太ももを横から撫で上げた。その手は薪割りで研いだ斧の柄のように粗く、硬いタコができていた。その手が昴の内腿を開かせようとするのを、弓道で鍛えた脚力で必死に抵抗した。膝を閉じ、内転筋に力を込めた。
「閉じるなよ」
男が昴の膝の内側を拳で殴った。鋭い痛みが走り、一瞬脚の力が抜けた。その隙に、男が無理やり脚を開かせた。夕暮れの光が、昴の最も秘められた部分を照らした。
「やめて、見ないで——!」
昴は顔を横に背けた。屈辱で目の奥が熱くなった。神社の境内で育ち、弓道の道場で礼儀を学んできた自分が、見知らぬ男たちの前に全裸を晒されている。その事実が、暴力以上に昴を深く傷つけた。
男が指を一本、昴の中にねじ込んだ。
「ひっ——」
異世界に来て何も食べていない体は、完全に乾いていた。指の侵入は、まるで砂紙を押し込まれたような摩擦だった。指が動くたびに、粘膜が引っ張られる痛みが走った。
「乾いてんな。まあ、すぐに慣れる」
男が指を出し、代わりに自分の昂ぶりを昴の入り口に押し当てた。太く、熱く、硬い感触。それが昴の乾いた粘膜を押し広げていく。
「いっ——!」
裂けるような痛み。体が拒絶して筋肉が収縮するが、それがかえって摩擦を増幅させた。男は構わず腰を進めた。昴の体が石畳の上で反り返った。背中の肩甲骨が石に食い込む。
「きついな。弓道で締め方でも覚えたのか?」
男が笑いながら、さらに奥まで押し込んだ。昴の体の奥で、何かが破れる感覚があった。鋭い痛みと共に、温かい液体が流れた。処女の血だった。
——奪われた。
その認識が、昴の胸を貫いた。弓道の試合で負けたときよりも、どんな失敗よりも、深い喪失感だった。
男が動き始めた。ゆっくりと、しかし容赦なく、腰を前後に振った。乾いた粘膜を無理やりこするたびに、昴の体は痙攣した。痛みだけだった。痛みしかなかった。石畳の冷たさと、男の熱だけが昴の世界を占めていた。
「う、ぅ……」
塞がれた口の奥で、声が漏れた。涙が出た。怒りで。屈辱で。何より、自分の無力さで。
男の動きが激しくなる。石畳が背中を擦った。皮が剥ける感覚。男の荒い息が耳元にかかった。酒とタバコの匂い。汗の粘つく感触が昴の太ももに触れた。
「殺してやる。絶対に——」
「へえ、気強いね。そこがいいよ」
男が笑って、さらに奥を突いた。昴の体が跳ねた。痛みとは違う何かが、脊髄を走った。それが悔しくて、昴は唇を噛み切った。血の味がした。
——感じているわけじゃない。体が勝手に反応しているだけだ。それは拒絶の痙攣だ。
そう自分に言い聞かせた。だが男はそれを「感じている」と誤解し、あるいは誤解したふりをして、さらに激しく腰を振った。昴の内壁がこすれ、粘膜が腫れ始めた。腫れた粘膜は敏感になり、男の動きのたびに、痛みの中に鋭い刺激が混じり始めた。
「いや、いや、いや——」
昴は石畳を見つめながら呟いた。目を閉じた。何も見たくなかった。何も感じたくなかった。だが男の動きは止まらない。息遣いは荒くなり、腰の動きが速さを増した。
「くっ——」
男が昴の奥で弾けた。熱い液体が体内に注がれる感覚。昴の体はそれを拒絶するように震えた。男が抜けたとき、体内の液体が石畳の上に流れ落ちた。白く濁った粘液が、橙色の光に照らされた。
「次は俺だ」
二人目の男が昴の上に乗った。一人目の体液で滑りやすくなったそこは、しかしまだ完全に乾いていた部分もあり、二人目の侵入もまた摩擦を伴った。だが一人目の血と体液が潤滑油になり、痛みは少し変わった。裂けるような痛みから、こすれる鈍い痛みへ。そして、粘膜の腫れが増すにつれ、その鈍い痛みの中に、時折鋭い閃光のような感覚が走った。
「んっ——」
昴の声が漏れた。男が特定の角度で突いたとき、体の奥が勝手に跳ねた。弓道で鍛えた体幹の筋肉が、意思とは無関係に収縮した。
「あれ、感じてきたか?」
男が同じ角度で何度も突いた。昴は必死に声を堪えた。感じているわけではない。体が裏切っているだけだ。だが男は昴の内壁の収縮を感じ取り、満足そうに腰を振った。
「締め付けがすげえ」
昴は目を閉じたまま唇を噛んだ。血の味が広がった。石畳の冷たさだけが、昴の正気を繋ぎとめていた。
二人目が終わり、三人目が代わった。三人目は昴の脚を持ち上げ、深く入ってきた。角度が変わり、これまでとは違う場所が刺激された。昴の背中が石畳から離れ、弓なりに反った。
「あっ——!」
声が出た。出したくなかった。だが体が勝手に反応した。三人目の男は昴の反応を見て、さらに激しく腰を振った。昴の内壁は腫れ、熱を持ち、男の形を覚え始めていた。それが悔しくて、昴は自分の手のひらを爪で抉った。掌の痛みで、下の感覚を打ち消そうとした。
——まだ、負けない。
四人目が終わったとき、昴の意識は、痛みと怒りの境界で明滅していた。弓道の教え——心を静寂に保て——それが皮肉にも、昴を狂わせない最後の支えだった。だがその支えも、限界に近かった。
五番目の男が昴の体を反転させた。仰向けからうつ伏せに。石畳の粗い表面が胸と腹を擦った。擦り傷が焼けるように痛んだ。男が昴の腰を持ち上げた。膝で石畳を突く格好。尻が高く上げられ、夕暮れの空に晒された。
「この体勢がいいだろ」
男が後ろから入ってきた。今までとは全く違う角度。昴の体の奥の、まだ触れられていなかった場所に、男が当たった。
「ひ、あっ——!」
昴の指が石畳を引っ掻いた。爪が欠けた。男の動きに合わせて、昴の体が前後に揺れた。胸が石畳に擦れ、乳首が粗い石の表面で擦れた。痛みの中に、痺れるような感覚が混じった。
——死ぬなら、まだいい。
だが死ねない。体は生きて反応し続ける。男の動きが速くなり、昴の内壁は収縮を繰り返した。男が昴の腰を強く掴み、最後の深い一突きで、奥に放出した。熱い液体が子宮口を叩いた。昴の体はそれを拒絶するように、激しく震えた。
男が抜けた。体内の液体が太ももを伝って流れた。石畳の上に、白濁した液体が溜まった。
「いい女だったぜ。さて、奴隷市場に連れて行くか?」
昴は石畳の上で動けなかった。
背中の擦り傷。腹部の打撲。脚の間に流れる血と男たちの体液。夕暮れは完全に終わり、路地裏は暗闇に沈んでいた。
昴は震える手で、自分の体を抱きしめた。太ももに流れる粘液が冷たくて、それが自分の中に注がれたものの記憶を呼び覚ました。体の奥がまだ脈打っていた。男たちの形を覚えた粘膜が、収縮と弛緩を繰り返していた。それが悔しくて、昴は自分の腹を拳で殴った。男たちの痕跡を体から叩き出すように。
——売られたくない!
弓道場で学んだ集中力。祭りの準備で培った忍耐力。神社の境内で育った強さ。それらが、壊れかけた心を辛うじて繋ぎ止めていた。その瞬間だった。
昴の体が光に包まれた。暖かい——いや熱い光。そして世界が反転した。
気づいたとき、昴は狭い石畳の上にうずくまっていた。
「どこ、ここ」
空は明るかった。昼過ぎの光が、路地裏の石畳を照らしている。
戻った?
昴は自分の体を見た。服は破れていない。背中にも痛みはない。脚の間にも——何もなかった。体の奥の脈動も、太ももの粘液も、すべて消えていた。
だが体が覚えていた。石畳の冷たさ。男たちの息遣い。裂けるような痛み。五人の男の重み、匂い、熱。そして体が勝手に反応したあの瞬間の、悔しさと屈辱。
「犯られ戻り…」
その言葉が、自然に浮かんだ。授かった権能の名前。男に犯されると、一定のタイミングで過去の時間に戻る。それが昴の異世界で唯一の武器だった。
昴はゆっくり立ち上がった。脚は震えていた。だが——立った。
「次はやられない」
黒い瞳に、固い決意が宿った。弓道の作法で呼吸を整える。吸って、止めて、吐く。心の静寂を取り戻す。
——次は、やられない。
昴は路地裏を見渡した。同じ場所。同じ時間。だが昴はもう、この世界の何も知らない少女ではなかった。体が、五人の男の感触を覚えている。その記憶を、武器に変える。
路地裏の入り口を避け、日当たりのいい大通りへ向かって歩き出した。
天童昴、十八歳。異世界での二周目が始まる。
第八章 二周目の午後
昴は大通りに出た。同じ時間、同じ場所。だが記憶が違った。
体内に残る感覚——五人の男の重み、熱、痛み——それらは幻ではない。体が覚えている。だが今の体には何の痕跡もない。傷も、体液も、破れた服も。
「時間は戻った。記憶は残った」
昴は自分の手を握りしめた。震えはもう止まっていた。弓道の作法で呼吸を整え、冷静に状況を整理した。
——日が暮れる前に宿を確保する。それが最優先だ。
路地裏で何が起きるか、もう知っている。あの時間、あの場所にいなければいい。だが宿には金がいる。この世界の通貨を昴は持っていない。
財布の中身を確認した。日本の硬貨と紙幣。この世界で通用するはずもない。スマートフォンは圏外のまま画面も点かない。弓と矢筒——これだけは手元に残っていた。父から譲られた和弓。道場で何年も握り続けた竹の感触だけが、異世界で唯一の救いだった。
「売るわけにはいかない」
弓を抱きしめた。父の形見だ。何があっても手放せない。だが弓があっても金がなければ、今夜も路地裏で野宿することになる。それだけは避けなければならない。
昴は大通りを歩きながら、周囲を観察した。商店が並び、冒険者と思しき装備の者たちが行き交う。酒場の前では活気が聞こえる。何か仕事がないか——だが身分証がないとまともな仕事にはつけない。路地裏の老婆の言葉がよみがえった。
途方に暮れた。
手元には使えない金と、売れない弓。知り合いもいない。帰る場所もない。異世界の午後の日差しが、昴の肩に重くのしかかった。
第九章 冒険者の誘い
「おい、君」
声をかけられたのは、昴が広場の噴水そばで途方に暮れて座り込んでいたときだった。
振り返ると、大柄な男が立っていた。革の鎧を着け、腰に長剣を差している。年は二十五歳ほど。赤褐色の短髪に、日焼けした顔。笑うと目尻に皺が寄る。
「座り込んでるところ悪いんだが、もしかして金に困ってる?」
昴は警戒した。路地裏の男たちの記憶がまだ生々しかった。だがこの男の目は——少なくとも今のところ——欲望ではなかった。
「…まあ、そんなところです」
「やっぱりな。ふらふらしてるってことは、そういうことだろ。名前は?」
「天童昴」
「変わった名前だ。俺はガルド。冒険者をしてる」
ガルドと名乗った男は、手近な石段に腰を下ろした。
「正直に聞くが、戦えるか?」
「戦える?」
「弓を持ってるだろ。使えるのか?」
昴は矢筒を背負った和弓に手を触れた。
「…使えます」
「よし。なら話がある」
ガルドは親指で広場の向こうを指した。そこに三人の人物が立っていた。
「うちのパーティ、今日から近所のダンジョンにクエストに行くんだ。初心者向けのとこでな、スライムとゴブリンの討伐。報酬は銀貨十枚。一人頭にすれば銀貨二枚ずつだ。まぁ二日分の宿代と飯代にしかならんがな」
銀貨二枚。それがどれほどの価値か昴には正確にはわからなかった。だが宿代二泊分——それなら今夜の寝床は確保できる。
「なんで私を?」
「弓手が足りないんだ。遠距離から援護してくれるだけで助かる。初心者向けのダンジョンだし、危なくない」
危なくない——その言葉を昴は疑った。異世界に安全な場所などない。だが選択肢はなかった。日が暮れる前に金を稼がなければ、また路地裏で——
「わかりました。お願いします」
「よし。じゃあ紹介する」
ガルドに連れられて広場の向こうへ行くと、三人の人物が待っていた。
一人目は、ガルドより少し年下の男。細身で、茶色の髪。革の軽装に短剣。名はレン。盗賊技能を持つと自己紹介した。
二人目は、金髪を後ろで縛った女。青いローブに杖。名はフィーナ。魔法使いだと言った。年は二十歳くらい。物静かな話し方で、昴をじっと観察する目が鋭かった。
三人目は、小太りの男。鎧を着込み、盾を持つ。名はドルク。戦士。よく笑う男で、昴を見ると「ようこそ」と明るく言った。
「んじゃ行こう。日が暮れるとダンジョンの入り口が閉まる」
第十章 初戦
ダンジョンの入り口は、街の外れの丘陵にあった。苔むした石のアーチの下に、暗い階段が地下へと続いている。
「アルトリア旧跡、通称『緑苔の地下牢』。初心者向けだが油断はするな」
ガルドが先頭に立ち、松明を灯した。続いてドルクが盾を構え、レンが探索を行い、フィーナが後衛に回る。昴はフィーナの隣、後衛に位置した。
和弓を構える。矢を番える。弓道の作法——足、腰、肩の位置を確認する。異世界の地下だが、弓を握ればそこは道場と同じだった。呼吸が整い、視界が狭まり、的だけが浮かび上がる。
「来た」
レンが囁いた。前方の石室に、半透明の塊が蠢いていた。スライム。昴は初めて見る異世界の生物だった。大きさは犬ほど。ぬめぬめとした体表に、中央に核のようなものが見える。
「スライム一匹。昴、やってみろ」
ガルドが言った。昴は頷き、弓を引き絞った。
——残心。
矢が放たれた。矢がスライムの中央——核を貫いた。スライムは一瞬で崩れ、液体となって石床に広がった。
「綺麗に撃ったな」
ガルドが目を丸くした。
「弓道やってたんで」
「きゅーどう? 何でもいいが、腕は確かだ」
その後もスライムは次々と現れた。昴の矢は正確に核を射抜き、ガルドの剣が漏れたものを斬った。パーティとしては順調だった。
「次はゴブリンだ。気をつけろ」
レンの警告通り、地下二層に入るとゴブリンが現れた。小柄で緑色の肌をした人型。粗末な棍棒を持っている。三体。
一体がドルクの盾に弾かれ、ガルドの剣が首を刎ねた。二体目がレンの短剣で背後から刺された。三体目が昴に向かって突進してきた。
昴は矢を番え、引き絞った。ゴブリンの動きは速い。だが弓道で動的視力は鍛えている。相手の動きを予測し、進路に矢を放つ。
矢はゴブリンの肩に刺さった。致命傷ではない。だが動きが止まった。フィーナの魔法——火の玉——がゴブリンを焼いた。
「助かりました」
フィーナが初めて昴に微笑んだ。その笑顔は、昴の警戒心を少しだけ解いた。
——悪い人たちではないかもしれない。
そう思いかけた。だがその油断が、後の悲劇を招くことになる。
第十一章 地下牢の奥
地下三層に降りたとき、空気が変わった。
湿気が増し、壁の苔が濃くなった。松明の火が揺れ、影が不気味に踊った。
「もうそろそろ戻らないか」
昴が言った。帰還報酬をもらうためには、討伐数を証明しなければならない。すでにスライム七体、ゴブリン四体。十分な戦果だった。
「あと少し。奥に宝箱があるかもしれない」
ガルドが先を促した。昴は違和感を覚えた。初心者向けダンジョンの三層に、なぜ宝箱が? だがガルドの言葉に他の三人は従順に従った。このパーティでの信頼関係を見れば、当然かもしれない。
奥の部屋に入った。石造りの広間。中央に、古びた木箱があった。
「あったぞ 昴開けてみろ」
ドルクが命じた。駆け寄っ昴は箱を開けた。箱の中から薄紫色の霧が噴き出した。
「何だこれ——」
膝から崩れ落ちた。
「麻痺の——!」
昴は息を止めた。だが霧は予想以上の速度で広がった。息を止めても、露出した皮膚から吸収される。弓道で鍛えた体幹の筋肉が意思とは無関係に弛緩していった。
膝から崩れ落ちた。弓が手から滑り落ちた。矢筒が背中からずれた。石の床に頬を打ち付けた。動けなかった。指一本、動かせなかった。
——罠だ。
昴の意識だけが明晰だった。体は完全に麻痺していた。動かない。話せない。だが見える。聞こえる。感じる。
「効いたな」
ガルドの声だった。
「おい、起きろ」
ガルドが肩を叩いた。
「やっぱり麻痺薬はよく効く」
ドルクが盾を置きながら笑った。
「金を払う必要もなくなるしな」
レンが昴の弓を拾い上げた。矢筒も外した。
「いい弓だな。売れば銀貨二十枚はする」
「返して——!」
声が出なかった。唇が動かない。麻痺は声帯まで効いている。昴は目だけで三人を睨んだ。
「目が怖いな。弓使いってのは気骨がある」
ガルドが昴の前にしゃがみ込んだ。手を伸ばし、昴の頬に触れた。その手は路地裏の男たちと同じではなかった。冒険者として鍛えた手だが、その先にある欲望は同じだった。
「悪いな。商売なんだ」
ガルドが言った。
「初心者をパーティに入れて、ダンジョンの奥で麻痺させて、装備を奪って、体を楽しんで。これで三度目だ。前の二人は泣いてたが、お前はどうかな」
第十二章 地下牢の輪姦
「始めるか」
ガルドが昴のシャツの裾に手をかけた。麻痺した体は抵抗できなかった。布が引き裂かれる音が石壁に反響した。地下牢の冷たい空気が、露わになった肌に触れた。
弓道で鍛えた引き締まった腹。小ぶりだが形の整った胸。白い肌が松明の明かりに照らされた。
「いい体だ。前の二人より断然いい」
ガルドが昴の胸を鷲掴みにした。冒険者の硬い手のひらが、柔らかな膨らみを押し潰す。指が乳首を挟み、無理やり捻った。
「んっ——」
声が出ない。だが体は反応した。麻痺しているはずの筋肉が、痛みに微かに痙攣した。
「あ、麻痺してるけど感覚はあるのか。面白い」
ガルドが乳首に舌を這わせた。ざらついた舌の感触が、昴の麻痺した体に直接伝わった。感じる。動けないのに、全て感じる。それが路地裏のとき以上の恐怖だった。路地裏では少なくとも抵抗できた。今は指一本動かせない。
「フィーナ、お前も来い」
ガルドが後方を振り返った。フィーナは広間の入り口に立っていた。腕を組み、無表情で昴を見下ろしていた。
「早く済ませな、男ども」
「つれないな。まあいい」
ガルドが昴のズボンに手をかけた。ゆっくりと引き下ろした。昴は止めることも、足を閉じることもできなかった。麻痺した脚は意思を持たない人形のそれだった。下着が除かれ、地下牢の冷気が太ももの間に流れ込んだ。
「見ろよ、こいつ」
ドルクが昴の脚を開かせた。太い指が内腿を撫で上げる。
「弓道で鍛えてるって言ってたが、ほんとに引き締まってる。筋肉のつき方がいい」
「しまりもいいんじゃないか」
レンが短剣の手入れをしながら言った。
「確かめてやる」
ガルドがズボンを脱ぎ、昂ぶりを露出させた。すでに硬くそそり立っていた。昴の脚の間に体を割り込ませた。
「濡らしてないときついからな——」
ガルドが指を昴の中にねじ込んだ。路地裏のときとは違い、昴の体は乾いていた。指の侵入に摩擦が走った。動かない体の中で、痛みだけが鋭く響いた。
「きついな。前のやつよりずっと」
指が出し入れされ、粘膜が無理やり押し広げられた。痛みが昴の意識を白く染めた。だが動けない。逃げることも、身をよじることもできない。
「十分だ。入れるぞ」
ガルドが指を抜き、代わりに自身を当てた。路地裏の男たちより太かった。乾いた粘膜を押し広げる圧力が、昴の体を内側から裂いた。
「いっ——!」
声にならない叫びが喉の奥で詰まった。ガルドが一気に奥まで押し込んだ。昴の体が石床の上で弓なりに反った。麻痺しているはずの背筋が、痛みで勝手に収縮した。
「ほお、反応するじゃないか。麻痺してても体は感じるのか」
ガルドがゆっくり動き始めた。路地裏の男たちのような荒々しさではなく、意図的にゆっくりと、昴の内側の形状を確かめるような動きだった。それがかえって昴には残酷だった。ゆっくり動かれるたびに、粘膜のひだ一つ一つが男の形を感じ取ってしまう。感じたくないのに、全てが鮮明に伝わる。
「弓道で鍛えた体幹ってのは、こういうときにも効くんだな。締め付けがすごい」
ガルドが腰の角度を変えた。昴の体の奥の、特定の場所を擦った。昴の脚が微かに痙攣した。麻痺しているはずなのに。
「ここか」
ガルドが同じ場所を何度も突いた。昴の体が意思とは無関係に反応した。内壁が収縮し、男を締め付ける。それがさらにガルドの興奮を煽った。
「いい女だ。前の二人とは段違いだ」
——前の二人。同じ目に遭った女がいた。昴は怒りで目の奥が熱くなった。だがその怒りも、体の反応には何の影響も与えなかった。麻痺した体は、昴の意思を完全に無視して、男の動きに合わせて快感を拾い始めていた。
感じているわけではない。体が裏切っているだけだ。路地裏のときと同じ。だが今回は動けない分、全ての感覚が逃げ場なく昴の意識に流れ込んできた。
ガルドの動きが速くなった。石床に押し付けられた背中に、冷たい石の感触が伝わる。男の腹が昴の腹に触れ、荒い息が耳元にかかった。
「くっ——」
ガルドが昴の奥で弾けた。熱い液体が体内に注がれる感覚。麻痺しているため、体がそれを排出することもできない。重力に従って、子宮の奥に溜まっていく感覚があった。
ガルドが抜けた。体内から液体が流れ出た。石床の上に白濁した液体が広がった。
「次は俺だ」
ドルクが前に出た。小太りの体を昴の上に重ねた。体重がのしかかり、呼吸が苦しくなった。ガルドとはまた違う形のものが入ってきた。太さは似ているが、長さが違い、当たる場所が違った。
「おお、きつい。ガルドの後なのに締め付けてくる」
ドルクはガルドよりも速いピストン運動を始めた。肉と肉がぶつかる音が地下牢に反響した。昴の胸がドルクの体重で押し潰され、毎回の突上で揺れた。
「いい肉だ。弾力がある」
ドルクが昴の胸を両手で掴み、突きながら揉みしだいた。乳首を指で弾かれるたびに、麻痺した体の奥に痺れるような感覚が走った。路地裏のときにはなかった感覚。体が男たちの形を覚え、二度目の刺激に敏感になっている。
——犯られ戻りの副作用?
昴は恐怖した。体が前の記憶を保持している。それが今回の感度を高めている。戻るたびに体は敏感になり、それが「犯られやすく」なっていくのではないか。
「んっ、んっ——」
声にならない声が漏れた。ドルクが昴の反応に気づいた。
「お、感じてんのか? 麻痺してんのにいい声出してるぜ」
違う。感じているんじゃない。だが否定の言葉を発せない昴の口からは、ただ息が漏れるだけだった。
ドルクが激しくなり、最後に深く押し込んで放出した。二度目の注液。ガルドの液体と混ざり、昴の体内は粘液で満たされていった。
「俺の番だな」
レンが近づいた。細身の体だが、ズボンを脱ぐと予想以上のものが現れた。細身の割に太く、少し反り返っていた。
「前の二人の液で滑るな。これは楽だ」
レンは昴の脚を持ち上げた。麻痺した脚は完全に脱力し、レンの肩に容易く乗せられた。深く入る角度。ガルドとドルクの液体が潤滑油になり、摩擦の痛みは少なかった。だがその分、粘膜の感覚がより鮮明に伝わった。
「前の二人より奥に入るな。弓道で鍛えた体でも、ここまでは——」
レンが昴の奥の最深部を突いた。昴の背中が弓なりに反った。麻痺しているはずの体が、その刺激だけに反応した。体の奥が痙攣し、レンを締め付けた。
「すごい締め付けだ。イってるのか?」
——違う。違う。違う。
だが体は否定しなかった。できなかった。麻痺した体は、昴の意思を完全に無視して、男の動きに反応し続けた。内壁が収縮を繰り返し、レンの動きに合わせて波打った。
レンが昴の脚を片手で持ち上げ、もう片方の手で胸を弄った。二箇所同時の刺激。路地裏のときとは全く違う。動けない体に、四方から感覚が押し寄せた。
「いい反応だ。前の二人は麻痺してると全然反応しなかったのに、お前は違うな」
レンが腰を速くした。石床に背中が擦られ、擦り傷ができたのがわかった。だが動けない。痛みも快感も、すべてが昴の中に溜まっていくだけだった。
レンが奥で弾けた。三度目の注液。昴の体内は三人の液体で満たされ、脚の間から溢れた液体が石床に広がった。
「三人終わったか。んじゃもう一回——」
ガルドが再び近づいた。昴の意識が白く霞み始めた。
二度目のガルドは一度目より激しかった。一度目で慣れたのか、より深く、より速く突いた。昴の体は三人の液体で滑りやすくなっていたが、腫れた粘膜はより敏感になっていた。ガルドの動きのたびに、昴の体は痙攣した。
「次はドルク、その次はレン。その後はまた俺だ。麻痺が切れるまで楽しめる」
ガルドが笑った。
——切れるまで。
麻痺が切れれば動ける。だが切れるまで、何度も——
昴の意識は、絶望と快感の境界で明滅した。
第十三章 麻痺が切れるとき
何時間が経っただろう。
地下牢の松明が燃え尽きかけ、広場は薄暗くなっていた。昴の体は四人——いや三人だが、ガルドが三度、ドルクが二度、レンが二度、合計七度の侵犯を受けた。
体の中は三人の液体で満たされ、溢れた粘液が太ももを伝い、石床に大きな染みを作っていた。胸には噛み跡と指の痕が残り、腹には男たちの体重に押し潰された痕があった。
そして——麻痺が、徐々に薄れ始めた。
最初に指が動いた。次に手首。肩。膝。感覚が戻ると同時に、体中の痛みが一気に押し寄せた。石床で擦れた背中。何度も犯された粘膜の腫れ。胸の噛み跡。腹部の打撲。
「——っ!」
声が出た。麻痺が声帯まで戻ったのだ。昴は石床の上で体を丸めた。震えが止まらなかった。中から液体が流れ出る感覚が、嘔吐感を催させた。昴は石床に嘔吐した。
「お、麻痺が切れたか」
ガルドが立ち上がった。
「じゃあ、そろそろ行くか。装備はもらったし、体も楽しんだ。十分だろ」
ガルドが昴の和弓と矢筒を背負った。弓を奪われた。父の形見を。
「返して——」
昴の声は掠れていた。体は震え、立つことすらできなかった。
「返す必要はないだろ。お前にはもう必要ない」
ガルドが冷酷に言った。
「このままダンジョンに置いていけば、夜になったら魔物が来る。そう長くは持たないだろうよ」
見捨てられる。装備を奪われ、体を犯され、ダンジョンの奥に置き去りにされる。夜のダンジョンには魔物が集まる。装備なしでは——
三人の男が去っていった。フィーナだけが、入り口で一瞬立ち止まり、昴を見た。その目に何があったか、昴にはわからなかった。
第十四章 二度目の戻り
広間に静寂が戻った。昴は石床の上で体を抱きしめた。
冷たい。痛い。汚い。悔しい。
路地裏の五人の男たちより、この三人の方が残酷だった。信頼した相手に裏切られ、麻痺した体で何もできずに犯される。その屈辱は、路地裏の暴力以上に昴の心を砕いた。
そして弓を奪われた。父の形見。弓道の生命線。異世界で唯一の武器と心の支えを同時に失った。
涙が出た。止まらなかった。
——死ぬのかな。
ガルドの言葉がよみがえる。夜になれば魔物が来る。装備なしでは持たない。だが——死ぬのか。異世界に来て、二度も犯されて、見捨てられて、死ぬのか。
「いやだ」
呟いた。
「もう一度」
その言葉が前回と同じだった。
昴の体が光に包まれた。暖かく、熱い光。傷口から入り込み、体の中で膨れ上がった。
——また、戻る。
そして世界が反転した。
第十五章 三周目
気づいたとき、昴は狭い石畳の上にうずくまっていた。
「どこ、ここ」
空は明るかった。昼過ぎの光が路地裏の石畳を照らしている。
戻った。
昴は即座に体を確認した。服は破れていない。背中の痛みもない。体内の異物感もない。和弓も矢筒も手元にある。
だが体が覚えていた。
路地裏の五人の男たち。ダンジョンの三人の冒険者。合計八人の男の感触。痛み。熱。そして体が勝手に反応したあの瞬間たち。
昴は立ち上がった。脚は震えていた。だが立ち上がった。
弓道の作法で呼吸を整えた。吸って、止めて、吐く。
——今度こそ。天童昴、十八歳。異世界での三度目の午後が始まる。
第十六章 冒険者ギルド
三周目の午後。昴は路地裏を出て、真っ直ぐに冒険者ギルドへ向かった。
二度の失敗から学んだことは単純だ。金が必要なら、正規の手段で稼げばいい。モンスターは倒せる。スライムもゴブリンも、自分の矢で確実に仕留めた。問題は手段ではなく、相手の選び方だった。あのパーティに加わらなければよかった。それだけのこと。
弓道場で学んだのは集中だけではない。失敗から原因を分析し、次に活かす思考法も、父からの教えだった。
「同じ手は食わない」
昴は呟き、大通りを歩いた。
冒険者ギルドは街の中心にあった。石造りの三階建てで、入り口の上に剣と盾の紋章が掲げられている。扉を開けると、広いホールに木の長桌が並び、冒険者たちが談笑したり、掲示板の前でクエストを吟味していた。
「初めてです」
受付の女性に言った。赤いベストを着た事務員で、恰幅のいい中年の女だった。
「冒険者登録をしたいんです」
「身分証は?」
「ありません」
「じゃあ、登録証明で代用するわ。名前と種族と年齢をここに書いて」
女が紙と羽根ペンを差し出した。昴は一瞬躊躇した。異世界の文字が書けるのか。だがペンを握った瞬間、手が勝動いた。すらすらと、この世界の文字が紙の上に並んでいく。
「テンドウ スバル? 変わった名前ね。種族は人間。年齢十八。はい、登録料は銅貨五枚なんだけど——」
「ありません」
「……あんた、一文無し?」
受付の女はため息をついた。
「まあいい。初回はツケにしてあげる。でも次の報酬から引くからね」
「ありがとうございます」
「はい、これが冒険者証。初心者ランクは白。初心者向けのクエストだけを受注できるわ。死ぬような依頼には出られないから安心しなさい」
冒険者証を首にかける。小さな金属のプレートに、白い石が嵌め込まれていた。
昴は掲示板に向かった。初心者向けのクエストが並んでいる。スライム討伐、ゴブリン討伐、薬草採取。報酬は銀貨一枚から三枚。宿代一泊は銀貨一枚と銅貨五枚。二、三のクエストをこなせば、当面の生活費は稼げる。
「全部一人で受けられる?」
「一人での依頼は認められるけど、ダンジョン系は推奨しないわ。パーティを組んだ方が安全よ」
「パーティは組みません」
昴の声に、受付の女が少し驚いた顔をした。だが何も言わなかった。
昴は掲示板を眺めながら、計画を立てた。今日中にクエストを一つ完了させ、宿を確保する。路地裏には近づかない。日が暮れる前に街に戻る。シンプルだ。二度目までは必要ないはずだ。
そのとき「おい、お嬢さん」
聞き覚えのある声。昴の背筋が凍った。
振り返らなかった。振り返れば、あの男の顔を見ることになる。ガルド。路地裏の男たちとは違う、もっと計算高い悪意の持ち主。
だが視界の端に映った。
ガルドが、広間の隅に立っていた。ドルクとレンもいる。そしてフィーナ。四人は揃っていた。
彼らの前に、一人の女性が立っていた。
第十七章 金髪の女性
昴は掲示板の陰から、様子を窺った。
女性は目を引いた。まず、髪。金色だった。ただの金髪ではない。夕陽を溶かして糸にしたような、輝く金色。背中まで届く長い髪が、ギルドの窓から入る光を受けて淡く発光しているようだった。
次に、佇まい。背筋が伸びていた。まるで糸で吊られているように。長い首、高い鼻梁、凛とした輪郭。サファイアのような青い瞳が、穏やかだが隙のない光を帯びていた。白い肌、細身だが曲線のある体。上品な白の旅装を着ているが、鎧は着けていない。腰に剣は差しているが、装飾が施された細身の剣で、実戦的なものには見えなかった。
世間知らずなお嬢様。それが昴の第一印象だった。
「それでは、あなた方のパーティに加われば、初心者向けのダンジョンで実戦経験を積めると?」
女性の言葉遣いは丁寧だった。いや、丁寧というより堅苦しかった。古風で、格式ばった口調。日本で言えば御令嬢の言葉遣いに近い。
「ああ、もちろんです。初心者向けのダンジョンですから、安全ですよ。弓使いのあなたなら、後方から援護していただくだけで」
ガルドが笑顔で言った。あの笑顔。昴を騙したときと同じ笑顔。歯が見える、人懐っこい、しかし目が笑っていない。
「わたくし、冒険者としての経験がなくて。聖騎士としての修行は積んでおりますが、実戦が」
「聖騎士様ですか! それは心強い。我々のパーティに回復役がいなくて困っていたんですよ」
レンが口を挟んだ。滑らかな口調。昴を勧誘したときと同じ手口。
「回復魔法が使えるなら、パーティの生存率が格段に上がります。あなたの経験を活かせるし、報酬も公平に分配します」
「そうですか。では、お言葉に甘えさせていただきます」
女性が頷いた。
——駄目だ。
昴は息を呑んだ。このままでは、あの女性があのダンジョンで、同じ目に遭う。麻痺薬の罠にかけられ、四人に——いや、フィーナは手を出さないとしても、三人の男に輪姦される。
前の二人。ガルドが言っていた。昴の前にも、同じ手口で犠牲になった女が二人いる。そして今、三人目が罠にかかろうとしている。
昴は拳を握りしめた。
どうする。警察のような機関に通報する? この世界でそれがどれほど機能するかわからない。証拠もない。ダンジョンの中で何が起きるか、被害者が告発しなければ立件できないだろう。そして被害者は、麻痺して犯されたあと、ダンジョンに置き去りにされる。死んでいれば告発すらできない。
ギルドに相談する? 「あのパーティが初心者を罠にかけています」と? 証拠がない。昴の言葉は、 newcomers の嫉妬か誤解と受け取られるだけだ。それに昴は、自分が被害者だとは言えない。時間が戻った今、昴の体には何の痕跡もない。
——なら。
昴は目を閉じた。弓道の作法。呼吸を整える。吸って、止めて、吐く。心を静寂に保つ。
——ついて行く。ダンジョンの奥で、罠が発動する前に止める。あるいは、罠を逆利用する。
「犯られ戻り」の権能は、男に犯されると時間が戻ること。だがそれは最後の手段だ。三度目の周回で、また犯されるわけにはいかない。体が敏感になっている。前の記憶が残っている。また犯られれば、今度は——
考えない。今は、あの女性を助けることだけを考える。
## 第十八章 尾行
ガルドのパーティと金髪の女性がギルドを出た。昴は十分な距離を置いてついていった。
街の外れ。丘陵の斜面。苔むした石のアーチ。あのダンジョンだ。
四人が地下へ消えた。昴は入り口の岩陰に隠れ、十分な時間を置いてから階段を降りた。
松明は持っていない。だが地下通路は苔が発光しているらしく、薄緑色の光が道を照らしていた。和弓を構え、矢を番えて、慎重に進む。
一層。スライムの蠢く気配。だが昴たちは戦闘を避けた。ガルドたちは早く奥へ進んでいる。罠を仕掛けるために。
二層。ゴブリンの声が遠くから聞こえた。だがガルドたちは戦っていない。素通りしている。急いでいる。
三層。空気が変わった。湿気が増し、壁の苔が濃くなる。あの広間に近づいている。
昴は壁に背を付け、息を殺した。弓道で鍛えた呼吸法。吐く息を極限まで薄くする。心拍数を下げる。気配を消す。
広間の入り口から、中の様子が見えた。
「ここが最深部です。奥に宝箱があるでしょ」
ガルドの声。
「まあ、本当に。こんな場所に?」
女性の声。好奇心と無邪気さ。何も知らない。
「初心者向けのダンジョンだからね。たまに宝箱が置いてあるんです。開けてみてください」
「いいのですか? わたくしが?」
「ええ。新人さんの特権ですよ」
——来る。
昴は広間に飛び込んだ。
「開けないで!」
声が広間に反響した。四人が同時に振り返った。
ガルドの目が見開かれた。ドルクが盾を構えた。レンが短剣に手をかけた。フィーナは無表情だった。
そして金髪の女性——サファイアの瞳が昴を捉えた。
「あなたは——」
「その宝箱は罠よ。麻痺薬の霧が噴き出すの」
昴は叫んだ。女性の顔が硬直した。
「な、なんだって?」
ガルドの目が変わった。人懐っこい笑顔が消え、冷酷な光が瞳の奥に宿った。
「お前、誰だ」
「昨日、あなたたちに同じことをされた。ダンジョンの奥で麻痺させられて、装備を奪われて——」
昴の声は震えなかった。震えるわけにはいかなかった。
「この女性を巻き込まないで」
ガルドの顔が歪んだ。怒り。計画を邪魔された怒り。
「誰なんだお前、なんでそれを知ってるんだ。—」
ドルクが盾を構えた。レンが短剣を抜いた。
ガルドが剣に手をかけた。
昴は宝箱の蓋に手をかけた。
「おい、何をする——」
昴は宝箱を持ち上げ、男たちの方へ向き直った。そして蓋を開けた。
薄紫色の霧が噴き出した。昴は事前に息を止めていた。だが霧は予想以上の速度で広がった。
「なっ——」
ガルドが息を呑んだ。霧を吸い込んだ。ドルクが盾を落とした。レンが膝から崩れた。
三人の男が石床に倒れた。
麻痺が効いた。
「お前——!」
ガルドが地面に這いつくばりながら、昴を睨みつけた。体は動かない。だが口はきける。
「この、くそ女——!」
「うるさいわ、このクズ」
昴は息を吐いた。息を止めていた時間は十五秒。弓道で鍛えた呼吸法が、限界まで耐えてくれた。
だが——
「あ……」
昴の膝が揺れた。息を止めていた時間が長すぎた。それだけではない。霧は皮膚からも吸収される。完全に避けきれていなかった。昴の体にも麻痺が回り始めていた。
弓が手から滑り落ちた。矢筒が背中からずれた。膝が折れた。
「まさか……自分も吸っちまったのか」
ガルドが地面で笑った。麻痺した体で笑っている。
「馬鹿な女だ。自分も動けなくなることをして、どうするつもりだったんだ」
昴は石床に倒れた。動けなかった。また動けない。二度目の麻痺。ダンジョンの恐怖が重なり、昴の意識が白く霞み始めた。
——失敗した。
助けようとして、自分も罠にかかった。麻痺した体で、三人の男と同じ空間にいる。麻痺が切れるまで、好きにされる。
——三度目の犯られ戻りが、来る。
昴は目を閉じた。覚悟した。
そのとき「大丈夫ですか」
声がした。落ち着いた、澄んだ声。女性の声。
昴は目を開けた。
金髪の女性が、昴の前に立っていた。霧を吸っていない。広間の入り口付近にいたため、霧の届く範囲ぎりぎりだったのか。それとも——
「あなたは……」
「動かないでください。今、回復魔法を」
女性が昴の額に手を当てた。温かい光が体の中に流れ込んできた。麻痺が溶けていく。指が動いた。手首が動いた。肩、膝、足首。感覚が戻った。同時に、体の痛みも戻ったが、麻痺の重苦しさが消えただけでも救いだった。
昴が体を起こすと、女性は倒れている男たちに向き直った。
ガルド、ドルク、レン。三人は回復薬を用意していたのか、フラフラと立ち上がった。
「ひひひこうなったら2人とも犯して殺してやるぜ。——」
ガルドが下卑た声で言った。
「お黙りなさい」
女性が腰の剣を抜いた。
その瞬間、昴は息を止めた。
剣が光った。物理的な反射ではない。剣そのものが光を放っていた。白く、純粋で、眩い光。薄暗い地下牢が真昼のように照らされた。
だがその刀身は光でできているかのように輝いていた。刃の縁に沿って、羽のように薄い光の翼が広がった。
光翼剣《ルクス・レギナ》。
女性が構えた。剣を正面に構え、左足を引き、右足を前に。優雅だが隙のない構え。昴は弓道の作法を知っている。あの構えには無駄が一つもない。
「あなたたちは、初心者の冒険者を騙し、ダンジョンの奥で麻痺させ、装備を奪い、体を辱めていたのですね」
問いかけだった。だが答えを求めていない。女性はすでに知っていた。昴の言葉を聞いて、確信していた。女性が一歩踏み出した。
第十九章 聖騎士の剣
ガルドが地面から這い上がろうとした。麻痺が薄れ始めているのか。だが女性は待たなかった。
光翼剣が走った。
一閃。
昴には見えなかった。速すぎた。ただ光の筋が空中に残り、ガルドの革鎧が胸から肩にかけて裂けた。血が飛んだ。ガルドが叫び声を上げる間もなく、二度目の一閃がガルドの腕を斬り飛ばした。短剣を持っていた腕が石床に落ちた。
「ぎゃああああ!」
ガルドが絶叫した。
「次」
女性がレンに向き直った。レンは這って逃げようとしていた。だが麻痺した脚は動かない。
光翼剣が突き出された。レンの肩を貫いた。レンが意識を失った。女性は剣を抜き、レンの体を一瞥もせず、ドルクに向き直った。
「ひ、ひぃ——」
ドルクが盾を上げようとした。
「待て、待ってくれ、話せば——」
「話すことはありません」
光翼剣が振り下ろされた。ドルクの盾が光の刃に両断された。金属の盾が紙のように切れ、二つに分かれて石床に落ちた。ドルクの目が限界まで見開かれた。次の瞬間、剣がドルクの腿を斬り裂いた。戦闘不能。
三つの体が石床に転がった。悲鳴と呻き声が広間に響いた。
「ひぃいいいい、何も殺すことないじゃないの!」
フィーネが恐怖のあまり尻餅をついた
「あなたは、罪のない女性冒険者が、この男たちに犯されて殺されるのを黙認していたんですよね。」
「だって、そうしなかったら、あいつらの言いなりにならなかった。私が殺されていたんだもん。」フィーネは泣き崩れた。
昴は呆然としていた。
華麗だった。それが昴の最初の感想だった。弓道で「美しい射」を目指してきた昴にとって、女性の剣技は圧倒的に美しかった。無駄のない動き。正確な刃筋。光の軌跡が空中に描く線が、まるで舞のようだった。
だが同時に、残酷だった。一方的な暴力。容赦のない裁き。女性は相手が動けないことを知りながら、それでも剣を振るった。それは私刑だった。だが昴には、それを止める言葉を持たなかった。彼らがしたことも、同じように一方的で残酷だったから。
女性が剣を振って血を払った。光の刃が血を弾き、石床に赤い雫が散った。
「終わりました」
女性が剣を納めた。光が消え、広間は再び薄暗くなった。
振り返った女性の表情は、変わっていなかった。怒りも、興奮も、躊躇も、何もなかった。ただ静かに、凛として立っていた。
「大丈夫ですか」
昴に向かって言った。お嬢様口調に戻っていた。
「はい。助けていただいて、ありがとうございます」
昴は頭を下げた。深く。心から。
「あなたが警告してくださったから、わたくしも無事でした。あの宝箱を開けていれば、わたくしも同じ目に遭っていたでしょう」
女性が手を差し出した。昴はその手を取って立ち上がった。白く、細い指。だが握力は強く、弓道で鍛えた昴の手と比べても遜色なかった。
「あなたの名前を教えていただけますか」
「天童昴です」
「変わったお名前ですね。わたくしはアルキュオネー=ヴァル=ルシリオン。長いので、アルとお呼びください」
「アル、さん」
「はい。以後お見知りおきを」
アルキュオネーは微笑んだ。サファイアの瞳が柔らかな光を帯びた。お嬢様口調の堅苦しさの中に、温かみがあった。
「あの女に全てを証言させましょう。初心者を騙して装備を奪うような悪党たちを退治したのですからあなたに報奨金が出るでしょう」
昴は驚いた。この女性は、ただのお嬢様ではない。状況判断が速く、実利的な思考ができる。
「あなたはどこかの国の聖騎士なんですか」
「ええ。ですが、今はもはや守る国のないはぐれ聖騎士なのです」
アルキュオネーは剣の柄に手を置いた。
「でも世騎士としての生き方を捨てたわけではありません。聖騎士の力は心の中に宿るもの。気高い心で、自らに誇りが持てる生き方をするのです。剣はその誇りを形にしたものに過ぎません」
「誇り……」
「ええ。どんな状況にあっても、自分を曲げないこと。それが聖騎士の誇りです」
昴はその言葉を胸に刻んだ。弓道の教えに似ている。心を静寂に保つこと。的を射ること。それは技術ではなく、心の在り方だ。
「アルさん。一つ聞いていいですか」
「なんでしょう」
「なぜ、あんな危険なパーティに入ろうとしたんですか。あれだけ強いなら、一人でも——」
アルキュオネーは少し困ったように微笑んだ。
「わたくし、剣も使えます。ですが、冒険者としての経験がなくて。ギルドでパーティを組めば経験が積めるかと思って」
「それで、あの男たちの言葉を信じた」
「はい。世間知らずで、申し訳ありません」
アルキュオネーは少し恥ずかしそうに目を伏せた。お嬢様の威厳が崩れ、年相応の少女の顔が覗いた。
「でも、あなたが助けに来てくれた。ありがとうございます、昴」
名前を呼ばれた。初めて、この世界で名前を呼ばれた。路地裏の男たちも、ガルドたちも、昴の名前を呼ぶことはなかった。アルキュオネーは、初めて昴を人間として名前で呼んだ。
昴の目から、一筋の涙がこぼれた。
「……ありがとう」
それしか言えなかった。
第二十章 二つの道
二人はダンジョンを出た。外は夕暮れだった。橙色の空が丘陵を染め、風が草原の草を揺らしていた。
ガルドたちの装備を回収し、討伐したモンスターの素材を持ち帰った。ギルドに届ければ、報酬と賞金が得られる。当面の昴の宿代は、それで確保できる。
「昴、これからどうするのですか」
「宿を取って、明日からクエストをこなします。一人で」
「一人で? 危なくはないですか」
「まだパーティーを組んでくれる人いないし、、」
アルキュオネーは昴の顔を見た。小柄で細身の体。黒髪のショートカット。その瞳の奥に、何度も何かを耐え抜いた光があるのを、アルキュオネーは見逃さなかった。
「昴。わたくしも、一人で冒険者を続けるつもりです。ですが、今日のことで思いました。パーティを組む相手は、選ばなければいけないと」
「……ええ」
「もしよければ、わたくしとパーティを組みませんか。あなたの弓と、わたくしの剣。二人ならクエストを十分にこなせるはずです」
昴は驚いた。この女性は、自分と組みたいと言っている。今日出会ったばかりの、何も知らない異世界の少女と。
「なんで」
「あなたは、わたくしを助けるために飛び込んできた。自分も罠にかかるとわかっていて。その勇気は、本物です。わたくしは、そのような人と組みたいのです」
「でも、私は——」
「名前も、経歴も、この世界での実績も関係ありません。あなたの行動が、あなたのすべてを語っていました」
アルキュオネーは真っ直ぐに昴を見た。サファイアの瞳に、夕暮れの光が映っていた。
「聖騎士の力は心の中に宿るもの、です。あなたの心は、わたくしが信じるに足るものです」
昴は泣きそうになった。堪えた。弓道の作法。呼吸を整える。吸って、止めて、吐く。
「……うん。組もう」
「ありがとうございます。昴」
アルキュオネーが微笑んだ。夕暮れの光の中、金色の髪が風に揺れた。
天童昴、十八歳。三度目の周回で、初めて味方を得た。