※この作品はR-18です。

レイプから始まる異世界生活 私は「犯られ戻り」で異世界を生きていく   作:みなぽん

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ヤク中 勇者 マイアとアリステラ 教会の日常

天童昴(てんどう・すばる)

十八歳。黒髪のショートカット。小柄で細身だが、弓道の有段者で、神社の境内を走り回り、祭りの準備や薪割り、掃除などを手伝って育ったため、体幹が強く運動神経もいい。性格は快活、行動的、好奇心旺盛。異世界に転生時に権能を特殊な授かる。それは「犯られ戻り」男に犯されると一定のタイミングで過去の時間に戻ることができる。

 

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アルキュオネー=ヴァル=ルシリオン 種族 人間

二つ名 傲慢(プライド)のアル

ドルガルド連邦に滅ぼされたルシリオン王国の第三王女 

金色の髪とサフィアの瞳を持つ、美貌の聖騎士。お嬢様言葉が堅苦しい印象を与えるが、高貴な誇りゆえ。昴からアル姉と慕われ懐かれるお姉様

•武器:光翼剣《ルクス・レギナ》

「聖騎士の力は心の中に宿るもの、気高い心で自らに誇りが持てる生き方をするのです。」

「私は昴のお姉ちゃんでナイトですから❤️」

 

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アリステラ・エーレクトラー 聖導女

大陸で大きな勢力をもつリーキスト教団の聖導女。心優しい彼女は、自らの意思で孤児たちをあつめ

孤児院で世話をしている。子供たちのためであれば、どんな犠牲も厭わない彼女周囲の汚れた男たちから

時に利用され、時に虐げられる。しかし彼女の清い心はくじける事は無い。

アルキュオネー様、昴様と相手には尊称をつけて話す。

「可愛い子供達のためなら私はどんな屈辱や痛みにも絶えてみせます」

「慈悲深き地母神よ!傷つきしものに癒しの光を」

 

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メローペ・ヴァイス 魔剣士

ドルガルド連邦軍特殊執行部隊で白銀の処刑人と呼ばれていたクールな少女。

アルキュオネー暗殺に参加するが、l郷里の村をドルガルド連邦に虐殺された事を知りドルガルドを脱して

昴達の味方になる。ことに、自分の命と妹のペリーヌの命を助けてくれたアリステラには恩義を感じており

彼女に個人的に剣を捧げている。アリステラの教会に住んでおりクールで塩対応のシスターとして名物になっている。

愛刀は魔剣 絶刀 雪月花

「アリステラ、私は命に換えてもも貴女を守る。」

「何かしらその目は、身の程を知りなさい。

 

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」

大陸の地図 

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⭐️シスター・メローペの憂鬱 塩対応の修道女

アリステラの教会に妹ペリーヌと共にメローぺが身を寄せてから1ヵ月が過ぎた。アリ、ステラに並々ならぬ恩義を感じている彼女は聖導女アリステラに使える修道女として孤児や信徒の世話に明け暮れていた。

朝の五時。

 

まだ夜の名残が空に残る時間に、メローペ・ヴァイスは静かに目を覚ます。

 

修道女としての白い法衣に袖を通し、愛刀・絶刀雪月花を背に負う。その姿は、どう見ても修道女には見えなかった。銀色の長い髪、アイスブルーの冷たい瞳、すらりと伸びた四肢に隙がない。ドルガルド連邦軍特殊執行部隊──かつて"白銀の処刑人"と呼ばれた少女が、聖導女アリステラの教会で修道女として暮らして一月が過ぎていた。

 

「……朝の点呼、ではないわよね」

 

独り言をつぶやき、廊下に出る。

 

教会の静かな石造りの廊下に、メローペの足音だけが響く。孤児院を兼ねたこの教会には、アリステラが保護した十六人の孤児が暮らしている。メローペの朝は、彼らの朝食の準備から始まる。

 

──はずだった。

 

「あ」

 

台所に入ったメローペは、動きを止めた。

 

すでに鍋が三つ、コンロにかけられている。小麦粥の甘い香り。パンを焼く石窯には既に薪がくべられ、適切な温度に保たれていた。調理台の上には、一人分の食事がきれいに並べられている。

 

「……アリステラ」

 

台所の奥、小さな椅子に座って微睡んでいたのは、この教会の主、聖導女アリステラ・エーレクトラーその人だった。栗色の髪が肩からこぼれ、祈りの際に手を組んだまま眠っている。

 

メローペは数秒、その寝顔を見つめた。

(アリステラ 可愛い )

 

そして──静かに上着を脱いで、アリステラの肩にかけた。

 

「……風邪を引く」

 

それだけ言って、背を向け、鍋の火加減を確認する。

 

手際よく粥の仕上げをし、パンを焼き上げ、子どもたちの食事を準備する。元殺し屋の手は、刃物を握るのと同じ精度で包丁を操った。ただし──

 

「メローペお姉ちゃーん!」

 

「……何」

 

階段から駆け下りてきた小さな影。六歳の孤児、トーマ。続いて八歳のリーナ、五歳の小さなカイ。子どもたちは次々と台所になだれ込んでくる。

 

「今日の粥、甘くない!」

 

「昨日は甘かったから今日は薄めにしたの。文句があるなら自分で砂糖を入れなさい」

 

「お姉ちゃん、冷たいー!」

 

「私は冷たいのが取り柄だから」

 

子どもたちが口を開けて待つ。メローペはため息をつきながら、一人一人に粥をよそう。その手つきは正確で、どの皿にも同じ量が盛られる。かつて任務で標的の喉元を正確に狙ったその精度が、粥の盛り付けに生かされている事実に、本人は気づいていない。

 

「メローペお姉ちゃん、パン焦げてるよ」

 

「……っ」

 

慌てて石窯を開けたメローペの目に、微妙に焦げたパンの姿が飛び込んできた。三秒の隙が命取り。かつて戦場でその三秒が生死を分けた。今はパンの焦げ具合を分けただけだった。

 

「……失敗した」

 

低く呟くメローペの背後で、眠っていたアリステラが目を覚ます。

 

「あら、メローペさん、おはようございます。……あら、パンが焦げてますね」

 

「……見ればわかる」

 

「ふふ、大丈夫です。焦げた部分は削れば食べられますから。それに──」

 

アリステラがにっこりと笑う。

 

「メローペさんが焼いてくれたパンは、どんなパンより美味しいです」

 

「…失敗はちゃんと叱責してくれ、アリステラは優しすぎる。」

 

「いいえ、気持ちが入っていれば味は二の次です」

 

「……論理的におかしい」

 

メローペはそう言いながら、耳の端が微かに赤くなっていたのを、アリステラは見逃さなかった。

 

午前中の礼拝が終わると、メローペは教会の庭に出た。

 

庭の片隅にある小さな花壇。アリステラが孤児たちと一緒に作ったもので、季節の花が咲き乱れている。その花壇の前に、小さな少女がしゃがんでいた。

 

妹のペリーヌ・ヴァイスである。

 

ドルガルド連邦の虐殺から生き残り、アリステラに救われた十二歳の少女。銀色の髪はメローペと同じだが、瞳は空のように青い。病弱で、今も時折熱を出しては寝込む。

 

「ペリーヌ。ここにいたのか」

 

「あ、お姉ちゃん」

 

ペリーヌが振り返ると、小さな手には土がついていた。花壇の土をいじっていたらしい。

 

「何をしている」

 

「お花のお世話。アリステラお姉ちゃんが教えてくれたの。こうすると元気になるんだって」

 

「……無理はするな」

 

「無理してないよ。ただお花に水あげてただけ」

 

メローペは妹の隣にしゃがんだ。そして、土で汚れたペリーヌの手を見る。指先に小さな水膨れができていた。

「──ペリーヌ」

「え?」

「手」

 

メローペがペリーヌの手を取る。水膨れを見つけ、眉をひそめた。その表情は戦場で敵を前にした時と同じだった。ただし、敵は五ミリの水膨れである。

「これ、いつから」

「えっと、昨日くらい……」

「昨日。なぜ言わなかった」

「だって、お姉ちゃん忙しそうだったし……」

メローペは無言でペリーヌの手を引き、教会の中に連れて戻った。薬箱を取り出し、手際よく軟膏を塗る。その手つきは戦傷の処置で培われたものだが、今は十二歳の妹の水膨れに使われている。

「お姉ちゃん、痛くないよ」「黙っていろ」

「……怒ってる?」「怒っていない」怒っていた。

メローペは明確に怒っていた。ただし、怒りの対象はペリーヌではなく、自分自身。妹が水膨れを作ったことに気づかなかった自分。かつてどんな些細な変化も見逃さなかった処刑人が、妹の小さな手の異変に気づかなかった。

「……次からは、必ず言え」「うん」

「どんな小さなことでもいい。何かあれば、すぐに私を呼べ」

「はーい」

ペリーヌがにこりと笑う。その笑顔に、メローペの眉間の力が少しだけ緩んだ。

「お姉ちゃん」「何だ」「大好き」「……っ」

メローペは何も言わず、ペリーヌの頭を撫でた。ただし、その手は微かに震えていた。

──この手を守るためなら、何度でも剣を振るう。

それがメローペの誓いだった。

 

⭐️塩対応シスターの日常

昼過ぎ。教会には信徒たちが訪れる。

 

アリステラが礼拝や相談に応じる間、メローペは教会の雑務をこなす。掃除、薪割り、買い出し。そして──信徒の対応。

 

「あの、シスター・メローペさん、お疲れ様です」

 

やってきたのは、近所のパン屋のオヤジ。太った中年男で、メローペの前で妙に畏まっている。

 

「何か用か」

 

「あ、いえ、うちのパンが余ったので、よかったら孤児院の子どもたちに……」

 

「……ほう」

 

メローペは差し出されたパンの袋を受け取った。中を確認する。昨日の残りパン。端が少し固くなっているが、食べられないことはない。

「品質に問題はないのか」

「は、はい!もちろん──」

「嘘をつくな。端が固くなっている。昨日の売れ残りだ」

「あ、いえ、それは……」

「だが──」

メローペは袋を抱え直した。

「子どもたちは気にしない。もらっておく」

「ところでアリステラ様はどちらにいらっしゃいますか?癒しの手で私の腹を撫でてもらいたいのですよ。それがすごく気持ちよかったので」

教会には美しく優しいアリステラ目当ての男たちがいつも集まってくる。

「アリステラ様は今忙しい、お前の汚い腹など撫でるものか。卑しい豚め 身の程を知りなさい!お前など私の足で十分だ。」そういうとパン屋の腹を、長い足で蹴り飛ばした。スカートの下からの覗く雪族の白い足が魅惑的だ。

「ぶひぃいいいいっ!」

パン屋のオヤジは新しい性癖に目覚めて去っていった。

 

廊下ですれ違ったアリステラが、困ったように微笑む。

「メローペさん、もう少し優しくしてあげてもいいのですよ」

「命は取らないでおいてやった。十分優しい。」

「言葉の危害、というものもあります」

「……言葉は武器ではない」

「言葉は時として、剣より深く刺さります」

メローペは一瞬、黙った。かつて雪月花で無数の命を絶った。だが、言葉で人を傷つけたことは考えたこともなかった。

「あのパン屋は喜んでいるように見えたが……考慮する」

「はい、少しだけでいいですから」

アリステラの笑顔に、メローペは小さく頷いた。それが精一杯の譲歩だった。

夕方。

教会の裏庭で、メローペは薪割りをしていた。

斧を振り下ろすたび、薪が正確に二つに割れる。かつて敵の首を刎ねた斧の技術が、薪割りに転用されている。一本、また一本。正確で、無駄のない動作。

「すごい……」

孤児の一人、十歳のユーリが目を丸くして見ていた。

「お姉ちゃん、強いね」「当たり前だ」

「でも、なんでいつも怖い顔してるの」

「怖い顔ではない。これが私の顔だ」

「えー、でもアリステラお姉ちゃんと話してる時は、ちょっとだけ怖くないよ」

「……見間違いだ」

メローペは斧を振り下ろした。薪が割れる。その音が、返答の代わりだった。

ユーリは首をかしげながら去っていった。メローペは一人になり、最後の薪を割る。

「……怖くない顔、だと」斧を地面に突き立て、メローペは空を見上げた。

夕焼けが空を染めている。オレンジと紫の境界線。かつて戦場で、次の敵が来る前に空を見上げたものだった。その時の空は、どんな色だったか。覚えていない。空の色を気にする余裕など、なかった。

──今の自分は、空の色がわかる。それが良いことなのかは、メローペにも判断がつかなかった。

⭐️夜の聖導女

夜。子どもたちが寝静まった後、教会は静寂に包まれる。

メローペは眠れなかった。目をつぶればかつての任務がフラッシュバックして、彼女に殺された人間たちの顔が浮かぶ。そのため、夜は一人で起きていることが多かった。

礼拝堂に通じる廊下を歩いていると、微かな光が漏れていた。

ドアの隙間から覗く。

アリステラが一人、祭壇の前にひざまずいていた。ろうそくの明かりだけが、彼女の顔を照らしている。

「──地母神よ、子どもたちに安らかな眠りを。ペリーヌ様の体が健やかでありますように。そして、メローペ ヴァイス様が、孤独の闇から解放され、その心に安らぎを見出せますように どうか、この祈りが──」

「──届くとでも言うのか」

アリステラが振り返る。メローペは扉枠に寄りかかって、腕を組んでいた。

「メローペさん」

「神に祈って何か変わるなら、戦争など起きない」

「……そうかもしれません」

アリステラは微笑んだ。その微笑みが、メローペの何かを崩す。

「私の孤独が癒したいのなら、御身を私に自由にさせて欲しい。それが叶うなら、私の心は安らぎに憩うことだろう。」

もちろん、意地悪言ったつもりだ。叶えられるとは思っても見なかった。

 

 

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「メローぺさんが望むなら─」

アリステラが立ち上がり、メローペに近づく。

「アリステラ」花のような優しい香りが鼻腔をくすぐる。メローペの理性は崩壊した。

 

礼拝堂の冷たい空気の中、メローペはアリステラの細い腕を掴み、自分の方へ引き寄せた。抵抗する間もなく唇が重なる。

 

「んっ……」

 

最初は触れるだけのキス。次いで深く、激しく。舌先でアリステラの唇を割り開き、熱を注ぎ込む。神に捧げるべき祈りの言葉はすべて飲み込まれ、代わりにメローペの欲望が流し込まれた。

 

「……ふ、メローぺさん……」

 

唇を離すと、アリステラの頬が薔薇のように染まっていた。サフィアの瞳が潤み、白い法衣の胸元が激しく上下している。

 

「神の前で……こんなこと……」

 

「構わない。」

 

メローペは再び唇を塞いだ。片手でアリステラの後頭部を支え、もう片方の手で法衣のボタンに手をかける。一つ、また一つ。白い肌が露わになるたび、メローペの瞳は冷たい輝きを増していった。

 

「あなたは……私の天使だ……アリステラ」

 

小さな乳房が現れた。決して豊かではない。だがメローペには何よりも美しく見えた。手のひらで包み込むと、アリステラの体がびくりと震えた。

 

「あっ……」

 

「震えている」

 

「……はい」

 

「怖いか」

 

「いいえ……違います」

 

メローペは乳房に唇を寄せた。舌先で先端をなぞり、口に含んで吸い上げる。アリステラの指がメローペの銀髪に絡まり、背中に爪が立てられる。

 

「んっ……あ……メローぺ……さん……」

 

「メローペでいい」

 

「メローペ……あっ……」

 

名前を呼ぶたびに声が高くなる。メローペは反対側の乳房にも同じ愛撫を与えた。舐める。吸う。時に甘く噛む。アリステラの体が次第に沈んでいく。ろうそくの明かりだけが二人を照らす神聖な空間で、聖導女が堕ちていく。

 

法衣が床に落ちた。アリステラの全てが露わになる。メローペはアリステラの足の間に顔を埋めた。

 

「だめ……そこは……っ!」

 

恥じらうアリステラが逃げようとする。だがメローペの腕は鉄の枷のように彼女を捕らえていた。

 

「逃げるな」

 

「でも……汚らわしい……です……」

 

「アリステラに汚いところなどない。全てが美しい」

 

舌先が割れ目をなぞった。アリステラの背中が弓なりに反る。

 

「ああっ……!」

 

メローペは構わず舐め続けた。秘めた花弁を開き、芯を探り当てて舌で弄ぶ。アリステラの手がメローペの頭を押し返そうとするが、力が入らない。

 

「いやっ……メローペ……お願い……」

 

「お願いとは何だ。もっとしてくれか? やめてくれか?」

 

「わかり……ません……っ!」

 

アリステラの体が痙攣した。絶頂。だがメローペは止まらない。むしろ激しくなった。

 

「ひっ……まだ……ああっ……!」

 

過敏になった体にさらに刺激を与える。アリステラは声も出せず、ただ首を振るだけ。涙が頬を伝い落ちる。それをメローペは指で拭い取り、舐め取った。

 

「泣いているか」

 

「……違います……これは……」

 

「泣けばいい。私が見ている」

 

メローペは再びアリステラの足の間に顔を埋めた。長い愛撫の後、メローペは体を起こし、アリステラの脚を開かせた。自分の脚をアリステラの脚の間に滑り込ませる。

 

「メローペ……?」

 

「同じように感じてほしい」

 

秘所同士を密着させる。アリステラの体が再び跳ねた。

 

「あっ……!」

 

メローペは腰を動かした。ゆっくりと、しかし確実に。摩擦が生まれ、熱が高まる。アリステラの腰も無意識に動き始めた。

 

「んっ……はあっ……メローペ……気持ち……いい……」

 

「私もだ……アリステラ……」

 

速度が上がる。祭壇のろうそくが揺れ、二人の影が壁に踊る。神に背く行為。だが二人にとってはこれこそが救いだった。

 

「ああっ……! メローペ……! わたし……!」

 

「一緒に……っ!」

 

二人同時に絶頂が訪れた。声にならない叫びが礼拝堂に響く。メローペはアリステラの体を抱きしめ、震える体を支えた。

 

しばらく二人はそのまま抱き合っていた。やがてメローペはアリステラの小さな体を抱き上げた。

 

「メローペ……?」

 

「寝室へ行く。ここは冷える」

 

アリステラは抗わず、メローペの首に腕を回した。その顔には穏やかな微笑みが浮かんでいた。

 

寝室に運び入れ、ベッドに横たえる。メローペも隣に滑り込み、アリステラを抱きしめた。肌と肌が触れ合い、互いの体温が伝わる。

 

「メローペ」

 

「何だ」

 

「温かいですね」

 

「……そうか」

 

「はい。とても」

 

アリステラはメローペの胸に顔を埋めた。細い指がメローペの背中を優しく撫でる。

 

「眠れますか?」

 

「……眠れるかもしれない」

 

「よかった」

 

アリステラは歌い始めた。子守唄。かつて孤児たちに歌って聞かせたものだろう。柔らかく、優しい旋律。メローペの胸に染み入る。

 

「……アリステラ」

 

「はい」

 

「私は……孤独じゃないのかもしれない」

 

「ええ。そうですね」

 

「お前がいるからか」

 

「私もメローペがいてくれて安心しています」

 

メローペの瞼が重くなってきた。長い間忘れていた感覚。安心感。守るべき者がいるという強さと、守られているという安らぎ。

 

「……アリステラ」

 

「はい」

 

「明日も粥を作ってやる」

 

「はい。楽しみにしています」

 

「パンは焦がさない」

 

「ふふ、焦げていても美味しいですよ」

 

「……嘘をつくな」

 

「嘘じゃありません。メローペが作ってくれたものは何でも」

 

メローペは小さく笑った。かつて処刑人と呼ばれた唇が、穏やかな笑みを形作る。

 

「おやすみ、アリステラ」

 

「おやすみなさい、メローペ」

 

歌は続く。メローペの意識が闇に溶けていく。だがそれは冷たい闇ではなかった。アリステラの腕の中の温かい闇。そこには何の恐怖もなかった。

 

──地母神よ。私の祈りは届いたようです。

 

アリステラは眠るメローペの額に口づけた。

 

──この心が安らぎを見出せますように。

 

そしてメローペは久しぶりに悪夢を見ずに朝を迎えた。

 

 

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⭐️堕ちた月の勇者

 

大陸中央部 アルトリア王国の市場は、常に活気と喧騒に包まれている。スパイスの香り、行商人の呼し声、果物を奪い合う子供たちの笑い声。

 

天童昴は、その雑踏の中で異質な存在を見つけた。

 

金色の長髪。それが本来なら豊かな光を放つはずのものだと、昴はなぜか直感した。だが今、その髪は汗と垢にまみれ、艶を失くして乱れている。背丈は高く、すらりとした肢体はエルフ特有の美しさを留めているが、その足取りは覚束なく、人にぶつかっては謝りもしない。

 

「あ、あぁ……」

 

ろれつが回らない声音。すれ違った市場の男が、嫌な顔をして彼女を避けた。

 

昴は足を止めた。彼女の腰には、見事な細工の長弓が下がっている。矢筒には白羽の矢。その弓の握りには、月の紋章。かつて大陸で名を馳せたという「月の勇者」、冒険者マイア・アルトリア。昴はアリステラの教会の書庫で読んだことがあった。かつて魔物の侵攻を精霊魔術と弓矢を使い単騎で食い止めたエルフ。だが、数年前に姿を消したという。

 

(この人が、あの伝説の冒険者?)

 

昴は胸の奥が冷たくなるのを感じた。マイアは壁に手をつき、ふらふらと市場の端へ向かう。その瞳は虚ろで、焦点が合っていない。白目が見え、唇は乾いてヒビ割れている。

 

「アヘル……アヘルくれ……」

 

微かな、蚊の鳴くような声。アヘル。大陸に蔓延る麻薬の一種。服用すると強烈な多幸感と共に、身体の感覚が麻痺し、現実から逃げられる代わりに、一度でも口にすれば依存を免れないという呪われた粉末。

 

心配になった昴は、迷わず彼女の後を追った。

 

市場の裏手。建物の隙間のような路地に入ると、腐った野菜の臭いと、もっと不快な男たちの汗臭さが漂ってきた。

 

「おや、お姉ちゃん。来たね」

 

三人の男が待っていた。薄汚い革鎧を着た冒険者崩れか、ゴロツキだ。リーダー格の男が、小さな木の箱を指先で弄んでいる。中には白い粉末が入っていた。

 

「薬……薬を、お願い……」

 

マイアは男たちの足元に崩れ落ちた。かつて大陸を救った英雄が、麻薬の売人たちに土下座している。

 

「おやおや、月の勇者様が随分なご様だ。金がないんだろ? 前みたいに、体で払うか?」

 

男がニヤニヤと笑いながら、マイアの顎をしゃくった。マイアの瞳に一瞬、エルフとしての気高い光が宿る。

 

「……汚らわしい。豚の分際で私に触れるな……」

 

「あっそうかい。じゃあ帰っていいよ。薬はやらない」

 

男が箱を懐にしまおうとすると、マイアの顔が歪んだ。恐怖と、渇望と、絶望。

 

「待て! 待ってくれ……! くれ、薬をくれ……! お願いだ、何でもする……!」

 

プライドは、アヘルの前では塵芥に等しかった。マイアは自ら男の革靴に額を擦り付けた。

 

「いい子だ。じゃあ、みんなでたっぷり可愛がってやろうぜ」

 

昴は路地の影からそれを見ていた。助けに入るべきだ。弓道の腕前がある。石でも投げて注意を逸らせばいい。だが、あまりにも凄惨な光景に、足がすくんでいた。

 

男たちがマイアを路地の奥へ引きずっていく。壁に押し付け、そのボロボロの服を乱暴に剥ぎ取った。白く滑らかなはずのエルフの肌には、無数の打撲痕と注射の跡が残っていた。

 

 

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「いい体してるじゃねえか。エルフの肌ってのは滑らかだなぁ」

 

男の手がマイアの胸を鷲掴みにする。マイアは「ひっ」と短く悲鳴を上げたが、抵抗しない。むしろ、男の手の感触にすがるように体を預けた。

 

「薬……薬くれ……」

 

「ほらよ」

 

男が小さな紙に包んだアヘルをマイアの鼻先に持ってきた。マイアは犬のように鼻を寄せ、粉末を吸い込んだ。

 

その瞬間、マイアの体が大きく跳ねた。

 

「あ、あぁぁ……ぁぁぁっ……!」

 

瞳孔が開き、全身の筋肉が痙攣する。口からよだれが垂れる。アヘルの効果は速かった。本来なら耐えがたい屈辱であるはずの行為が、脳内で爆発する快楽に塗り替えられる。

 

「どうだ、気持ちいいだろ?」

 

「はい……はい、いい……いいです……! もっと、もっと触って……!」

 

かつての英雄は消えた。そこにいるのは、薬物に溺れたメス豚だけだった。

 

男の一人がマイアの脚を無理やり開かせた。既に濡れそぼった秘所が露わになる。男は下卑た笑いを漏らしながら、自身を彼女の中にねじ込んだ。

 

「ああああっ! あ、あ、おおっ……!」

 

マイアの背中が弓なりに反る。アヘルの効果で、感度が常人の何倍にも高まっている。ただの挿入だけで、彼女は絶頂に達したように喘いだ。

 

「いい締まりだ。さすがエルフ様だな」

 

「あ、あ、あ……! 深、い……そこ、そこ、いい……! もっと、もっと犯して……! 私を豚にして……!」

 

自分から腰を振り、男の動きに合わせて喘ぐ。その金髪は汚れた地面に擦れ、白い肌に路地の泥がつく。だがマイアは気にする素振りさえ見せない。ただ快楽と薬の渇望だけが、彼女を支配していた。

 

別の男がマイアの口をこじ開け、自身を押し込んだ。

 

「んぐっ、んんっ……! んん〜〜っ!」

 

口と秘所の二箇所から同時に犯され、マイアの目が白黒する。それでも彼女は懸命に男を吸い込み、自らの快楽を貪った。

 

「こいつ、マジでイカれてるぜ」

 

「伝説の冒険者? ただの淫乱な雌豚じゃねえか」

 

男たちの嘲罵が路地に響く。マイアはその言葉さえも、アヘルの効果で歪んだ喜びとして受け取っていた。

 

「はい……私は、雌豚です……。勇者なんかじゃ、ない……。薬をくれるなら、何でも……うんっ、んんっ……!」

 

腹部を叩かれ、尻を叩かれ、体液をかけられても、マイアは恍惚とした表情でそれを受け入れた。アヘルが切れるまで、この地獄のような快楽の館から抜け出せない。いや、抜け出したくない。

 

昴は震えていた。恐怖ではない。怒りでもない。目の前で起きている事実に対する、深い無力感と、何か──底知れない衝動。かつての勇者が、薬と快楽の前に完全に敗北し、堕ちていく様は、異世界で昴が目にした中で最も悲惨な光景だった。

 

「さて、次はこっちの穴を使うか」

 

男がマイアの背後を向かせ、四つん這いにさせた。白い尻を高く上げさせ、その秘所とは別の穴に指を入れる。

 

「ああっ! そこ、だめ……! でも、いい……! あぁぁっ……!」

 

マイアの悲痛と快楽が入り混じった声が、路地の壁に反響する。

 

昴は唇を強く噛み締めた。このまま見過ごすわけにはいかない。だが、どうする。自分の権能は「犯られ戻り」。男に犯されないと時間は戻らない。もし自分がここで飛び出して、彼らの標的になれば……?

 

いや、それは最後の手段だ。昴は路地の地面に落ちていた空き瓶を握りしめた。

 

「やめろぉぉぉッ!!」

 

叫びと共に、昴は瓶を男たちに向かって投げつけた。ガラスが砕ける音が路地に響き、男たちの動作が一瞬止まる。

 

「誰だ!?」

 

男たちが振り返る。その隙に、昴は飛び出した。彼女の瞳には、かつて神社で暮らした頃の、神事の祭具を担ぐ時のような凛とした光が宿っていた。

 

(助けなきゃ。この人を、堕ちたままにしちゃダメだ)

 

⭐️月の勇者と昴

 

昴は路地の影に身を潛め、背負った和弓を構えた。日本の神社で培った技術は、異世界でも衰えていない。弦を引き絞り、男たちの一人──マイアを犯していたリーダー格の男の腕を狙う。

 

(外さない)

 

矢が放たれた。黒い矢が空気を切り裂き、男の腕を掠めた。血飛沫が舞い、男が悲鳴を上げる。

 

「何だ!?」

 

男たちが散開する。その隙に昴は飛び出した。二本目の矢を番え、弓を構える。

 

「その人を離せ!」

 

昴の声が路地に響く。男たちが一瞬たじろぐ。だが──

 

「へえ、嬢ちゃん。弓使いか」

 

リーダー格の男が血のついた腕でマイアの髪を掴み、無理やり顔を上げさせた。

 

「マイア。あの小娘を始末しろ。そうしたら薬をやる」

 

その一言で、マイアの虚ろだった瞳に光が宿った。アヘルの渇望が、操られた人形のように彼女を動かす。

 

マイアは地面に転がっていた自分の弓を拾い、ゆらりと立ち上がった。裸のまま。白い肌に泥と体液がこびりついている。だがその構えは、かつて月の勇者と呼ばれた者に相応しい、完璧な型だった。

 

「邪魔をするな…小娘…」

 

マイアの声から感情が消えていた。あるのは薬への渇望だけ。矢を番え、弦を引く。その動作は美しかった。だが、哀しくなるほどに。

 

昴は息を呑んだ。マイアの構えを見ただけでわかった。この人は自分より遥かに上手だ。だが──

 

「戦う気? まさか弓で私と?」

 

「アヘルの影響で照準はブレるはず…」

 

昴は矢を放った。マイアの肩を狙った慈悲の一矢。だが──

 

矢は空中で弾かれた。マイアが放った矢が昴の矢を空中で砕いたのだ。

 

「なっ…!?」

 

空中で矢同士をぶつける。そんな技術、日本の弓道でも異世界の冒険者でも聞いたことがない。だがマイアはやってのけた。アヘルで烂れた意識の中でなお、エルフの動体視力と精霊魔術の残滓が弓術に宿っている。

 

「小娘…弓が悲鳴を上げているぞ…」

 

マイアが二本目を放つ。昴は回避したが、矢は昴の弓の弦を切り裂いた。弦が切れ、弓が不格好に曲がる。

 

「私の弓…!」

 

呆然とする昴に、マイアが三本目を放つ。今度は狙ったのは弓そのもの。矢が昴の手元から弓を弾き飛ばした。

 

「武器を失った小娘に用はない」

 

マイアが冷たく言い放ち、弓を下ろした。アヘルの効果が切れかけているのか、その体が再びふらつく。

 

「薬…薬くれ…」

 

マイアが男たちの足元に再び崩れ落ちる。もう弓を持たない。ただの薬物中毒者に戻った。

 

「よくやった、マイア」

 

リーダー格の男がマイアの頭を撫でる。犬を褒めるような手つき。マイアは恍惚としてその手に頬を擦り寄せた。

 

「さて、お嬢ちゃん。邪魔をされたお詫びだ」

 

男たちが昴を取り囲んだ。三人の男。昴は武器を失い、路地の壁に背を押し付けられる。

 

「放して…!」

 

昴が抵抗するが、男の一人が昴の両手首を片手で掴み壁に押し付けた。体格差は歴然。弓道で鍛えた体幹も、男の怪力には勝てない。

 

「お、お嬢ちゃん、可愛いな。人形みたいだ」

 

男の指が昴の頬をなぞる。昴は顔を背けた。

 

「さて、どうしようか。殺すのも惜しい」

 

「なあ、こいつにもキメさせようぜ」

 

男の一人がアヘルの包みを取り出した。白い粉末。

 

「や、やめて…! それは…!」

 

「大人しく吸い込めよ。そうすりゃ気持ちよくしてやれる」

 

男が昴の鼻と口を片手で塞ぎ、もう片方の手でアヘルをこすりつけた。呼吸を求めて昴が口を開いた瞬間、粉末が肺に吸い込まれた。

 

「んっ……! ぐっ…!」

 

一瞬、激しい不快感。喉が焼けるような刺激。だが──次の瞬間、世界が変わった。

 

「あ…?」

 

世界が、溶けた。

 

昴の視界が歪み、色が溢れる。路地の汚れた壁が虹色に輝き、男たちの粗野な顔がどこか幻想的に見える。体の感覚が鋭敏になり、同時に麻痺する。重力が消えたような浮遊感。

 

 

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(これが…アヘル…)

 

圧倒的な酩酊感。日本酒でも薬物でも体験したことのない、脳髄を直接刺激する多幸感。恐怖が消え、怒りが消え、ただ──快楽の波だけが押し寄せる。

 

「ふ…あ…? なにこれ…すごい…」

 

昴の抵抗する力が抜けた。男の手を掴んでいた指が緩み、体が壁から滑り落ちる。だが男がそれを支えた。

 

「どうだ。いい気分だろ?」

 

「あ、あぁ…いい…気持ち…いい…」

 

昴の瞳孔が開いた。世界が黄金色に輝いている。男の粗い手の感触が、まるで恋人の愛撫のように感じられる。

 

(ダメだ… 頭が…おかしく…)

 

理性が薬の波に飲み込まれていく。弓道で鍛えた精神統一も、アヘルの前では蝋のように溶けた。

 

「可愛いな、お嬢ちゃん。顔がとろけてるぜ」

 

男が昴の服に手をかけた。黒髪のショートカット。小柄な体。神社で育った凛とした少女が、アヘルの前に崩れ落ちる。

 

「あ…いや…」

 

言葉とは裏腹に、昴の体は男の手に吸い寄せられるように反応した。服が剥ぎ取られ、小柄な体が露わになる。白く引き締まった肌。弓道で鍛えた背筋と腕の筋肉が、ろうそくの光に照らされる。

 

「いい体してるな。引き締まってていい」

 

男の荒い手が昴の胸を撫でた。小さな乳房。だがアヘルの効果で、その感触が全身を駆け巡る電流のように感じられる。

 

「ひゃっ…! あ、あぁ…!」

 

昴の背中が反る。自分の声が自分のものではないように聞こえる。快楽の波が一つ、また一つ押し寄せる。

 

「そうだ、もっと声を出せよ」

 

男が昴の脚を開かせた。昴は抵抗しなかった。できなかった。アヘルが理性と羞恥心を完全に奪っていた。

 

「あ、あぁ…だめ…なのに…いい…」

 

男が昴の中に指を入れた。すでに濡れていた。アヘルが感度を極限まで高めている。

 

「あああっ…! なにこれ…こんなの…!」

 

昴の体が跳ねた。ただの指の挿入で、全身が痺れるような快感が走る。日本で育った十八年間で経験したことのない感覚。

 

「いい反応だ。人形みたいな顔が、淫乱な顔に変わっていく」

 

男が自身を昴の中にねじ込んだ。

 

「あああああっ…!!」

 

昴の叫びが路地に響く。アヘルの効果で、挿入の感覚が脳髄を直接殴るような快楽に変換される。弓道の呼吸法も、神社での精神修養も、すべてが快楽の波に飲み込まれた。

 

「は、はあっ…あ、あ、いい…いい…! もっと…!」

 

自分の口から出た言葉に、昴自身が驚いた。だがアヘルの前に、驚く理性さえ残っていない。

 

「お嬢ちゃん、弓使いだっけ? いい弓の使い手は腰の入れ方が違うって言うよな」

 

男が昴の腰を掴み、激しく打ち付けた。弓道で鍛えた体幹が、逆に男の動きに呼応してしまう。

 

「あっ、あっ、ああっ…! そこ、そこ…! なに、これ…すごい…!」

 

視界が白く弾ける。アヘルの幻覚と快楽が混ざり合い、昴を快楽の渦に引きずり込む。

 

「堕ちたな」

 

「堕ちた…私は…堕ちて…」

 

昴の黒髪が汗で顔に張り付く。小柄な体が男の下で揺れる。神社の境内を走り回っていたあの凛とした少女が、路地のゴミの中で薬物と快楽に溺れている。

 

「さて、次はこっちだ」

 

別の男が昴の口を塞いだ。昴は拒否する間もなく、それを受け入れた。口の中を犯される感覚さえ、アヘルが甘い蜜に変える。

 

「んっ、んんっ…! んん〜〜っ…!」

「こいつ、自分から腰を振ってきたぜ」

「うおおおおおっ射精るっ!」ドビュドビュドビュ

「次は俺だ!イキまくれよ!頭がぶっ壊れるまで」

 

二箇所から同時に犯され、昴の意識が白濁する。だが──アヘルの波の中で、一つだけ冴えた思考があった。

 

(──権能…)

 

犯られ戻り。男に犯されると一定のタイミングで過去に戻る、異世界転生時に授けられた権能。

 

(──発動する…? まだ…早い…もっと…)

 

アヘルが理性を溶かす中、昴の奥底で権能が胎動していた。だが、まだ発動のタイミングではない。それは昴の体が、快楽の頂点に達した時に──

 

「あ、あ、ああっ…! いく…いく…! なにか…来る…!」

 

昴の体が大きく跳ねた。絶頂。同時に──

 

(──還る)

 

視界が白く弾けた。

 

──市場の雑踏。

 

スパイスの香り、行商人の呼し声。昴は市場の中央に立っていた。服も着ている。弓も背負っている。体に違和感はない。

 

「戻った…?」

 

昴は自分の体を触って確認した。汗も、体液も、薬物の痕跡もない。時間が──戻ったのだ。

 

呆然と呟く昴の目に、再び金色の髪が映った。ふらふらと市場の端へ向かうマイアの姿。

 

「今度は…失敗しない」

 

昴は弓を握り直し、マイアの後を追った。今度は、もっと慎重に。今度は、アヘルを吸い込ませないように。今度は──

 

⭐️月の勇者の救済

「薬があるよ」

 

市場の裏路地。アヘルの禁断症状で震えるマイアの耳元で、昴は囁いた。

 

「え…?」

 

マイアの虚ろな瞳が微かに動く。アヘルという言葉だけが彼女の脳に届いたようだった。

 

「私の知ってる場所に。もっと純度の高いやつがある。ついておいで」

 

昴は嘘をついた。良心は痛んだ。だがこのままではマイアは路地の汚泥の中で死んでしまう。それだけは阻止したかった。マイアは昴の言葉に操られるように頷き、ふらつく足で立ち上がった。

 

「薬…薬…」

 

昴はマイアの手を引き市場を抜けた。人々の目を避け裏道を通りアリステラの教会へ向かう。マイアは時折「まだか」と呟きながら昴についてくる。その手は氷のように冷たかった。

 

教会の扉を開ける。

 

「アリステラさん!」

 

昴の声に礼拝堂からアリステラが現れた。その後ろにはメローペが控えている。二人はマイアの姿を見て息を呑んだ。

 

「この人は…マイア・アルトリアさん?」

 

アリステラがマイアに近づく。だがその瞬間マイアの瞳が据えた。

 

「嘘だ…薬がない…! 貴様私を騙したな!」

 

マイアが叫び腰の弓を構えた。矢は残っていないが弓そのものが武器になる。エルフの腕力は人間の比ではない。

 

「下がってください!」

 

メローペがアリステラの前に立つ。だがマイアは構わず弓を振るった。弓の胴がメローペの頬を掠め血が飛ぶ。

 

「邪魔をするな! 薬をくれ! 薬を!」

 

マイアが暴れ始めた。教会の椅子が蹴り飛ばされ花瓶が割れる。孤児たちが悲鳴を上げ奥の部屋に逃げ込む。

 

「メローペさん!」

 

「大丈夫です傷ひとつ」

 

メローペは頬の血を拭い愛刀雪月花に手をかけた。だが抜かない。相手は武器を持ったエルフだが今はただの病人だ。

 

「制圧します!」

 

アルキュオネーの声が響いた。光翼剣《ルクス・レギナ》を鞘ごと抜き放ちマイアに向かう。

 

「おやめなさい!」

 

アルキュオネーの剣閃がマイアの弓を弾く。だがマイアは弓を放棄するどころか素手でアルキュオネーに掴みかかった。

 

「離せ! 離せ!」

 

「暴れないで!」

 

「お姉様!」

 

昴も加勢した。三人がマイアに飛びかかる。

 

「押さえます!」

 

メローペがマイアの右腕を極める。アルキュオネーが左腕を押さえつける。昴はマイアの背中に乗り両肩を押さえ込んだ。

 

「放せ! 毒婦どもが! 薬をくれぇぇッ!」

 

マイアは暴れた。エルフの怪力は凄まじく三人がかりでも押さえきれないほどだった。床を転げ回り椅子を巻き込んで暴れるマイアを三人が必死に抑え込む。

 

「アリステラさん今です!」

 

昴が叫ぶ。アリステラがマイアの上に両手をかざす。

 

「慈悲深き地母神よ! 汚れし者に浄化の光を!」

 

白い光がアリステラの手から溢れマイアを包み込む。

 

「ぎゃああああああッ!」

 

マイアが絶叫した。浄化の光はアヘルの毒素を焼き尽くすがそれは同時に激しい苦痛を伴う。

 

「やめろ! やめてくれ! 体が燃える!」

 

「耐えてください! これは貴女を救う光です!」

 

アリステラは手を離さなかった。光を注ぎ続ける。マイアは三人に押さえつけられながら身をよじり苦悶の声を上げ続けた。

「ああっあじぃいいいいい、ぐぎゃあああ、殺されりゅーー」

「聖水を!」

 

メローペが叫ぶ。アリステラは頷き祭壇の聖水を取った。

 

「飲め!ヤク中毒のメス豚め!」

 

聖水をマイアの口に流し込む。マイアは吐き出そうとしたがメローぺが口を塞ぎ飲み込ませた。

 

「うっ…ぐっ…!」

 

「もう一杯!」

 

二杯三杯と聖水を飲ませる。マイアは咳き込み白い泡を吐いた。それは体内の毒素が混ざったものだった。

 

「はあ…はあ…あ…」

 

暴れ続けていたマイアの力が抜けていく。浄化の光と聖水がアヘルの毒素を体外に排出していく。

 

「もう大丈夫です…もう大丈夫…」

 

アリステラが優しく囁きながら光を注ぎ続ける。やがてマイアの体から力が完全に抜け床に横たわった。

 

「…あ…」

 

マイアの瞳から虚ろな光が消え代わりに澄んだ青色が戻ってきた。焦点が合う。天井を見上げてからゆっくりと顔を動かし自分を押さえつけていた三人を見る。そして最後にアリステラを見た。

 

「私は…何を…」

 

マイアの声は枯れていた。だがそこには明確な理性が宿っていた。

 

「戻りましたね」

 

アリステラが微笑む。その微笑みにマイアの目から涙が溢れた。

 

「あ…あぁ…」

 

マイアは子供のように泣き始めた。嗚咽が教会に響く。三人はゆっくりとマイアから離れその姿を見守った。

 

一時間後。

 

マイアは教会の客室のベッドに横たわっていた。体は清められボロボロだった服は新しいものに替えられていた。アリステラが用意した温かいスープを啜りながらマイアは語り始めた。

 

「…私は元々勇者なんかじゃなかった」

 

声は静かだった。

 

「ただの田舎の出だよ。山岳エルフの里で弓を嗜む程度の平凡な娘だった。でも魔物の侵攻があって…私の矢だけが魔物を貫いた。それで人々が言ったんだ。『お前は勇者だ』って」

 

マイアはスープの器を見つめた。

 

「最初は嬉しかった。守れてるって。でも…だんだん違ってきた。人々は私に期待しすぎた。『月の勇者ならやれる』『月の勇者なら救える』。どんなに無理な戦いも私に押し付けられた。私は神じゃない。ただ少し弓が得意なだけのエルフなのに」

 

アルキュオネーが静かに頷いた。王族として同じような重圧を感じていたからだ。

 

「ある日限界が来た。小さな村を守る戦いで…私は逃げた。怖くて逃げ出した。結果その村は全滅した」

 

マイアの手が震えた。

 

「それから勇者を辞めた。冒険者として生きることにした。名前も変えて誰にも期待されない生き方を選んだ。でも…逃げた罪悪感は消えなかった。夜眠るたびに村人の顔が浮かぶ。最初は酒に溺れ、それで…アヘルを見つけた」

 

スープを置きマイアは両手で顔を覆った。

 

「アヘルを吸えば忘れられた。罪悪感も恐怖も全部消える。代わりに自尊心も理性も消えたけど…どうでもよかった。ただ忘れたかったんだ」

 

沈黙が部屋を満たした。

 

昴はマイアの言葉に胸を締め付けられた。勇者の重圧。期待に応え続けることの恐怖。そして逃げ出した後の自己嫌悪。異世界で自分だけが特別な権能を持っていることに漠然と不安を感じていた昴には痛いほどわかった。

 

「…逃げても消えないものはあるわ」

 

アルキュオネーが口を開いた。

 

「私は王国を滅ぼされた王女。奪還しなければという義務感と怖さで毎晩眠れなかったわ。でも逃げなかったのは…逃げたら自分が自分でなくなるとわかっていたから」

 

「逃げた私は自分じゃなくなったよ」

 

マイアが自嘲気味に笑う。

 

「小娘 どうして助けた? 私みたいなクズを」

 

「クズなんかじゃないです」

 

昴は即答した。

 

「弓を持った時の先輩の構え綺麗でした。あれは誰かに尽くすために弓を引いてきた人の構えだってわかりましたから」

 

マイアの目が見開かれた。

 

「私も弓をやっているんでわかるんです。マイアさんの弓にはね祈りがこもってる。今は迷ってるだけだって」

 

「祈り…」

 

マイアは自分の手を見た。弓を握り続けた手。人々を守りたくて引き絞り続けた弦。その手が今は震えている。

 

「休息が必要です」

 

アリステラが優しく言った。

 

「罪悪感も恐怖も消えはしません。でも向き合う力は取り戻せます。ここでゆっくり休んでください」

 

「でも私アヘルを…」

 

「浄化は続けます。何度でも。貴女が立ち上がれるまで」

 

アリステラの言葉にマイアは再び涙を流した。今度は悲しみではなく感謝の涙だった。

「…ありがとう」

その言葉は枯れた声だったが確かな温かさを持っていた。

 

⭐️売人どもと夜の処刑人

その夜、教会は静寂に包まれていた。孤児たちは眠り、アリステラも自室に下がっている。マイアは客室で眠っているはずだった。

 

だがメローペは知っていた。

 

(来る)

 

三日前から、教会の周囲に不審な影があった。昼は市場に紛れ、夜は物陰から教会を窺う。かつてドルガルド連邦軍で斥候術を叩き込まれたメローペの目は、そんな尾行を見逃さない。

 

時刻は午前二時。メローペは修道女の法衣ではなく、動きやすい黒ずくめの装束に身を包んでいた。背には愛刀・絶刀雪月花。廊下に出て足音を殺し、物音のする方へ向かう。

 

(客室の方角)

 

窓の外、石垣をよじ登る影が三つ。メローペの瞳が冷たく光った。抜き足差し足で客室に近づくと、中から低い声が聞こえた。

 

「お姉さん、久しぶりだね」

 

「…あ、あんたたち」

 

マイアの声は震えていた。メローペはドアの隙間から覗く。三人の男たちが客室に侵入し、マイアのベッドの周りに立っていた。リーダー格の男が小さな紙包みを指先で弄んでいる。アヘルだ。

 

「教会に隠れてたのか。探したぜ」

 

「やめて…私はもう…」

 

「へえ、もうやめたのか? この香りを嗅いでも、そんなこと言えるか?」

 

男が紙包みをマイアの鼻先で開いた。白い粉末の匂いが部屋に漂う。マイアの体がびくりと震え、瞳が揺らいだ。

 

「ほら、吸いたいだろ?」

 

「…い、いや…」

 

「素直になれよ。俺たちがどれだけお前の面倒を見てやったか」

 

男の手がマイアの肩を掴む。その瞬間だった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「──その手を離しなさい」

 

ドアが静かに開いた。メローペが立っている。その声は氷のように冷たく、その瞳は何の感情も映していなかった。

 

「誰だ、てめえ」

 

「この教会に仕える修道女よ」

 

「あ? シスターがこんな時間に何してやがる」

 

男たちが笑う。だがメローペは微動だにしない。

 

「三つ数える。一人残らずこの教会から出て行きなさい。ただし──」

 

メローペが一歩踏み出す。その瞬間、部屋の空気が変わった。殺気。かつて特殊執行部隊で磨かれた、実体を持つ殺気。

 

「マイアに二度と近づかないと誓うなら、命だけは助けてあげる」

 

「はっ、舐めやがって」

 

男の一人が腰のナイフを抜いた。だが抜刀の途中で、彼の手首はもうなかった。

 

「──っ!?」

 

悲鳴を上げる間もない。メローペは抜刀していた。雪月花の白い刃が月光を反射し、男の手首を正確に切断していた。切断面は驚くほど滑らかで、血は一拍遅れて噴き出す。

 

「あ…ああああっ!!」

 

「一」

 

メローペが口にする。その声はカウントというより、死刑宣告のようだった。二番目の男が拳を振り上げるが、メローペは身をかわしその男の膝を斬った。

 

「二」

 

「ひっ…!」

 

「こいつ、化け物…!」

 

リーダー格の男がアヘルの包みを投げつけ、窓から逃げようとした。だがメローペはそれを許さない。床を蹴り、一瞬で男の背に迫る。雪月花の切っ先が男の背骨の間を正確に捉えた。

 

「三」

 

「やめ──」

 

男の言葉は最後まで続かなかった。メローペの一閃が、男の命を断った。

 

客室には静寂が戻った。床に血が広がり、三つの影が倒れている。メローペは雪月花に付いた血を布で拭い、鞘に納めた。手際はあまりにも慣れていた。

 

「メローペ…?」

 

マイアが震える声で呼ぶ。メローペは振り返らずに言った。

 

「何も見なかった。何も聞かなかった。あなたはただ眠っていただけよ」

 

「でも…」

 

「あなたは守られるべき人よ。アリステラがそう決めたから」

 

メローペはようやく振り返る。その顔に先ほどの殺気はない。ただ、妹のペリーヌを見る時と同じ静かな守護の色があった。

 

「アリステラには言わないで」

 

「…どうして」

 

「彼女は優しすぎるから。私が人を殺したと知ったら、悲しむ。私のために悲しむ。それが嫌なだけ」

 

メローペはそう言って、倒れた男たちの一人を肩に担いだ。

 

「処理してくる。あなたは眠っていなさい」

 

「手伝うわ」

 

マイアがベッドから降りた。まだ本調子ではないが、その目はしっかりしていた。

 

「弓の勇者が、死体の処理を?」

 

「私は勇者じゃない。ただの…借りを返したいだけ」

 

マイアはそう言ってもう一人の男の足を掴んだ。メローペはそれ以上何も言わず、二人は静かに教会を出た。

 

裏山は教会の北、鬱蒼とした森を抜けた先にある。人里離れた場所で、昔から人骨が埋まっていると噂される場所でもあった。月明かりの下、メローペとマイアは三人の男を埋めた。深さは一メートル以上。獣に掘り返されないよう、石を積み土を固め、最後に落ち葉をかぶせた。

 

「…慣れてるのね」

 

マイアが呟く。

 

「こういうの」

 

「かつての仕事だから」

 

「殺し屋?」

 

「処刑人。国が認めた殺し屋よ」

 

メローペは最後の土を叩きつけながら言った。その手は泥だらけで、修道女の白い手ではない。

 

「私はドルガルド連邦の特殊執行部隊にいた。命令されるまま、何人もの命を奪った。罪のない者もいた。でも辞められなかった。辞めたら自分が殺されるから」

 

「それで…この教会に?」

 

「アリステラが私を拾った。妹のペリーヌと一緒に。私が人を殺してきたことを知っても、彼女は笑って『それでも貴女は貴女です』と言った」

 

メローペは空を見上げた。月が雲の間から顔を出す。

 

「あの人のためなら、私は何度でも手を汚す。この手が真っ黒になっても、あの人の祈りだけは守る」

 

「…貴女は強いわね」

 

「強くない。アリステラがいなければ、私はただの殺人鬼よ」

 

メローペは立ち上がり、泥を払った。

 

「戻りましょう。朝の準備がある」

 

「…そうね」

 

二人は森を抜け、教会へ戻った。メローペは井戸で手を洗い、血の匂いを消し修道女の法衣に着替えた。台所に立ち、明日の朝食の準備を始める。手際は変わらず正確で、まるで何もなかったかのようだった。

 

明け方、アリステラが台所に現れた。

 

「メローペさん、おはようございます」

 

「おはよう、アリステラ」

 

「昨夜はよく眠れましたか?」

 

「ええ」

 

「それはよかった。何か物音が聞こえた気がしたのですが、気のせいでしたね」

 

「気のせいよ。この教会は静かだから」

 

メローペは粥をかき混ぜながら答えた。その横顔に罪悪感はなかった。ただ、アリステラを守り抜くという静かな決意だけがあった。

 

「そうですか。ならいいのですが」

 

アリステラは微笑みメローペの隣に立ってパンを焼き始めた。二人の肩が触れ合う。メローペは一瞬だけ目を細め、その温もりを確かめた。

 

「アリステラ」

 

「はい?」

 

「今日の粥は、少し甘くする」

 

「まあ、どうして?」

 

「ペリーヌが甘いのが好きだから。それと…」

 

メローペは言葉を切り、小さく付け加えた。

 

「マイアも、少し甘いものがいいだろう」

 

「ええ、そうですね。メローペさんは優しいです」

 

「優しくない」

 

メローペはそう言って、鍋をかき混ぜ続けた。だがその口元は、ほんの少しだけ緩んでいた。

 

裏山では、昨夜の土が静かに朝日を浴びていた。誰も知らない。誰も気づかない。ただ、月の勇者を蝕む毒の源がこの世から確かに一つ消えたことだけは、事実だった。

 

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