※この作品はR-18です。

レイプから始まる異世界生活 私は「犯られ戻り」で異世界を生きていく   作:みなぽん

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冥土のメイド ドルガルド連邦 魔将 リリス 。

天童昴(てんどう・すばる)

十八歳。黒髪のショートカット。小柄で細身だが、弓道の有段者で、神社の境内を走り回り、祭りの準備や薪割り、掃除などを手伝って育ったため、体幹が強く運動神経もいい。性格は快活、行動的、好奇心旺盛。異世界に転生時に権能を特殊な授かる。それは「犯られ戻り」男に犯されると一定のタイミングで過去の時間に戻ることができる。

 

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アルキュオネー=ヴァル=ルシリオン 種族 人間

二つ名 傲慢(プライド)のアル

ドルガルド連邦に滅ぼされたルシリオン王国の第三王女 

金色の髪とサフィアの瞳を持つ、美貌の聖騎士。お嬢様言葉が堅苦しい印象を与えるが、高貴な誇りゆえ。昴からアル姉と慕われ懐かれるお姉様

•武器:光翼剣《ルクス・レギナ》

「聖騎士の力は心の中に宿るもの、気高い心で自らに誇りが持てる生き方をするのです。」

「私は昴のお姉ちゃんでナイトですから❤️」

 

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アリステラ・エーレクトラー 聖導女

大陸で大きな勢力をもつリーキスト教団の聖導女。心優しい彼女は、自らの意思で孤児たちをあつめ

孤児院で世話をしている。子供たちのためであれば、どんな犠牲も厭わない彼女周囲の汚れた男たちから

時に利用され、時に虐げられる。しかし彼女の清い心はくじける事は無い。

アルキュオネー様、昴様と相手には尊称をつけて話す。

「可愛い子供達のためなら私はどんな屈辱や痛みにも絶えてみせます」

「慈悲深き地母神よ!傷つきしものに癒しの光を」

 

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メローペ・ヴァイス 魔剣士

ドルガルド連邦軍特殊執行部隊で白銀の処刑人と呼ばれていたクールな少女。

アルキュオネー暗殺に参加するが、l郷里の村をドルガルド連邦に虐殺された事を知りドルガルドを脱して

昴達の味方になる。ことに、自分の命と妹のペリーヌの命を助けてくれたアリステラには恩義を感じており

彼女に個人的に剣を捧げている。アリステラの教会に住んでおりクールで塩対応のシスターとして名物になっている。

愛刀は魔剣 絶刀 雪月花

「アリステラ、私は命に換えてもも貴女を守る。」

「何かしらその目は、身の程を知りなさい。

 

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」

大陸の地図 

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アルトリアの冒険者ギルドは、夕刻になると常に喧騒に包まれる。

 

仕事を終えた冒険者たちが集い、酒を飲み、武勇伝を語り合う。情報交換の場でもある。ギルドの掲示板には日々新しい依頼が貼られ、古い依頼が剥がされる。成功したパーティーの報告と、失敗したパーティーの喪報が交互に聞こえてくる。

 

昴はギルドの隅のテーブルに座っていた。目の前には果実水。手元には霊樹の迷宮の攻略報告書。提出を済ませたところだった。

 

「よう、姉ちゃん。ここいいか?」

 

声をかけてきたのは、三十代半ばほどの男だった。赤褐色の髪に日焼けした肌。頬には古い刀傷がある。革鎧は使い込まれ、腰には幅広の短剣が下がっていた。戦場を渡り歩いてきた者の雰囲気があった。

 

「どうぞ」昴は頷いた。

 

男は椅子に座り、カウンターに向かって「エール!」と叫んだ。給仕の少女がジョッキを持ってくる。男はそれを一息に半分ほど飲み干した。

 

「はぁー……生き返る」

 

男は息を吐いた。そして昴の方を見た。

 

「あんた、この間の霊樹の迷宮を攻略したパーティーの一人だろ? 耳にしたよ。火炎戦法でトレントロードを倒したって」

 

「ええ、まあ」昴は少し照れた。「運が良かっただけです」

 

「謙遜すんな。あの迷宮、ここ二ヶ月で五つのパーティーが全滅してる。火炎が効くって知ってれば死なずに済んだ奴らだ。情報は命だぜ」

 

男はジョッキを置いた。

 

「俺はダグだ。ダグ・レンハルト。傭兵上がりの冒険者だ」

 

「天童昴です」昴は頭を下げた。「昴でいいです」

 

「スバルか。珍しい名だな」ダグは笑った。「で、スバル。あんたここに来て日が浅いだろ? アルトリア界隈の事情とかまだよく分かってないんじゃないか?」

 

「ええ、そうですね。半月ほど前に来ました」

 

「じゃあ教えてやるよ。この街の掟を」ダグは指を三本立てた。「一つ、夜の裏通りには行くな。二つ、ギルドの仲介なしで仕事を受けるな。三つ……」

 

ダグは声を潜めた。

 

「ドルガルド連邦の話は深く突っ込むな」

 

昴は眉をひそめた。

 

「ドルガルド……?」

 

「ああ」ダグは顔をしかめた。「俺は半年間あっちで仕事してたんだ。帰ってきたばかりだが……正直、もう二度と行きたくねえ」

 

「半年も? どんな仕事を?」

 

「護衛さ」ダグはエールを一口飲んだ。「商隊の護衛。アルトリア王国からドルガルド連邦の鉄皇城ガルドヘイムまで往復する商隊にな。往路は三月かかった。復路も三月。その間に見たもの聞いたもの……正直まだ整理がついてねえ」

 

昴は果実水を一口飲んだ。そして聞いた。

 

「教えてもらえますか? ドルガルド連邦ってどんな国なのか」

 

ダグは少し迷うような顔をした。だがやがて覚悟を決めたように頷いた。

 

「いいだろう。俺の持っている情報はとっておきだ。知っておいた方がいい。……だが、無料と言うわけにはいかないぜ。」

「お金ならお支払いします」

「ドルガルドでたっぷり儲けさせてもらったから金はいらねぇ。昴❤️女が男にものを頼む時は、どうすればいいかわかっているだろう?」

ダグはギルドの個室の鍵をちらつかせあごをしゃくった。

 

ギルドの個室は狭かった。木製の簡素な寝台が一つと、蝋燭立てが一つ。壁は粗末な板張りで、隣室の笑い声がかすかに漏れてくる。

 

ダグは鍵をかけ、蝋燭に火を灯した。

 

「……こういうのは初めてじゃないだろう」

 

「ありません」昴は正直に言った。「そういうのは」

 

ダグは少し驚いたような顔をし、それから苦笑した。

 

「じゃあ飲み込んで覚えとけ。この街では情報に金より高い値がつく時がある」

 

彼は昴の腕を掴んだ。傭兵の手は硬く、剣だこが分厚く盛っていた。その手が昴の細い腕を捕らえた瞬間、彼女の身体は条件反射的に緊張した。

 

弓道で鍛えた体幹。神社の石段を駆け上がり、薪を割り、境内を掃き、祭りの台を運んで育った身体。だがそれは戦うための身体であり、男に抱かれるためのものではなかった。

 

 

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ダグの唇が昴の首筋に落ちた。

 

ねっとりと、執拗に。舌が鎖骨の窪みをなぞり、唇が耳の裏を吸う。昴は目を閉じた。蝋燭の灯りが瞼の裏で揺れていた。

 

「……力抜け。固くなってる」

 

低い声が耳元で囁いた。傭兵の、戦場で命令を慣れた声だった。昴は息を吐き、肩の力を抜こうとした。

 

だがダグの手がブラウスのボタンを一つずつ外していくたび、指先が肌に触れるたびに、身体は裏切った。肋骨の一本一本をなぞる指。脇腹から腰へ滑り落ちる掌。そのすべてが異物だった。

 

「細いな」ダグが呟いた。「弓使いか? 腕の筋肉の付き方を見りゃ分かる。だが……」

 

ブラウスが開かれた。昴の身体が露わになる。小柄で細身。乳房は小さく、色は白い。体育で鍛えた腹筋が薄く浮かぶ。

 

「……戦場じゃ見ねえ体型だ」

 

ダグの手が左の乳房を包んだ。ごつごつとした手のひらが、柔らかい隆起を揉みしだく。昴は唇を噛んだ。

 

「……っ」

 

「声、出していいぞ。ここは壁が厚い」

 

親指が乳首に触れた。昴の身体がびくりと跳ねた。

 

「ほぅ」ダグが低く笑った。「感度はいいみたいだな」

 

指先が乳首を挟み、緩く擦った。擦られ、ひねられ、転がされる。

 

昴は目を閉じたまま、自分の身体に何が起きているのかを冷静に観察しようとした。

 

――乳首が硬くなっている。

 

事実だった。ダグの指が触れるたびに、小さな粒は充血し、立ち上がっていく。それだけではない。乳房の根本から先端へ向かう電流のような感覚が、腹部の奥にまで伝わっていた。

 

「……っ、ん」

 

声が漏れた。昴は自分の声に驚いた。

 

「いい反応だ」ダグの息がかかる距離で、声がした。傭兵の、日に焼けた顔が近づいていた。頬の刀傷が蝋燭の灯りで陰影を結ぶ。

 

ダグが乳首に口を含んだ。

 

「……あっ」

 

昴の背が反った。舌の熱さ。口の中の湿り気。吸われる感覚。乳首が舌の上で転がされ、歯の縁で軽く挟まれる。そのたびに腰の奥に甘い疼きが広がった。

 

右の乳房は手で揉まれ、左の乳房は口で愛撫される。二つの異なる感触が同時に襲い、昴の思考を白濁させた。

 

弓道で培った精神統一。的を射る時の静寂。それが今、男の舌によって剥がされていく。

ダグの手がスカートの中に滑り込んだ。

 

昴の身体が再び緊張した。太ももの内側を撫で上げる掌の熱さ。膝から太い付け根へ向かう指の軌跡。下着の布地の上から、指が割れ目をなぞった。

 

「……濡れてる」

 

ダグの声は平坦だった。事実を述べるだけの声。だがその平坦さが逆に昴を恥ずかせた。

 

「まだ触ってもねえのに、これだけ濡れてる。あんた、感じやすい体質なんだな」

 

指が下着を横にずらした。直接、粘膜に指が触れた。

 

「……んっ、あ……!」

 

昴の腰が跳ねた。熱い指が割れ目の間を上下になぞる。濡れた音が小さく響いた。ダグの指はゆっくりと、丁寧に、昴の花弁を解きほぐすように動いた。

 

「ここ、か?」

 

指先が小さな粒を見つけた。昴の身体が硬直した。

 

「……当たりだな」

 

ダグは笑った。そして指先でその粒を円を描くように撫でた。

 

「……あっ、あっ、んっ……!」

 

昴の足が無意識に開いた。弓道で鍛えた太ももが、男の指の動きに合わせて震えていた。身体が勝手に反応する。開脚し、腰を浮かせ、男の指をより深く受け入れようとする。

 

――これが、大人の男のやり方。

 

昴は霞んだ意識の中で思った。同年代の少年の不器用な触れ方とは違う。戦場で人の生死を見てきた男の手は、どこをどう触れれば女が屈服するかを知っていた。

 

「いくぞ」

 

ダグが指を一本、奥に挿入した。

 

「……くっ……!」

 

指が壁を押し広げる感覚。昴は息を詰めた。痛みはなかった。濡れきっていた。だが異物感は強かった。指が中で曲げられ、内壁を擦る。

 

「狭いな。きつい」

 

ダグが第二の指を添えた。

 

「……ま、待っ……」

 

「待たねえよ」ダグの声は低かった。「これは商いだ。あんたが情報を買う代償だ。中途半端にしといて、後悔するのはあんた自身だ」

 

二本の指が挿入された。開かれる感覚が強くなる。指が中で交互に動き、内壁をほぐす。昴は寝台のシーツを握りしめた。

 

 

やがてダグが指を抜いた。昴が息を吐く間もなく、ダグは自身の服を脱いだ。

 

日に焼けた体には無数の傷が刻まれていた。傭兵の証。筋肉は皮革のように硬く、胸板が厚い。そして腰の間に、すでに猛った男根が屹立していた。

 

太く、長く、血管が浮き上がっている。昴はそれを見た瞬間、本能的な恐怖を感じた。

 

「……無理、です。それは……」

 

「大丈夫だ」ダグは昴の足を開かせた。「あんたはもう十分に濡れてる。受け入れられる」

 

ダグが昴の上に覆いかぶさった。男の体重がのしかかる。汗と革の匂い。日焼けした肌の熱さ。頬の刀傷が目の前にあった。

 

「息を吐け。力を抜け」

 

先端が割れ目に当たった。昴は息を詰めたまま、目を閉じた。

 

男が腰を進めた。

 

「……いっ……!」

 

太い先端が粘膜を押し広げた。昴の背が弓なりに反った。指とは比べものにならない太さと硬さ。異物感が痛みに近い感覚となって下腹部を満たした。

 

「力抜け。締めるな」ダグが耳元で囁いた。「でないと傷めるぞ」

 

昴は息を吐き出した。弓を引く時の呼吸。的を見る時の静寂。吐いて、吐いて、身体の力を抜く。

 

男が腰を沈めた。太いものがゆっくりと、しかし確実に昴の内部を開拓していく。壁が押し広げられ、奥へと進む。

 

「……あっ、ああっ……!」

 

昴の爪がダグの背中に食い込んだ。だがダグは気にする様子もなく、最奥まで到達した。

 

「全部入った」

 

ダグが囁いた。下腹部が密着している。男のものが昴の内部を完全に満たしていた。

 

ダグはゆっくりと腰を動かし始めた。

 

引かれ、押し込まれる。引かれ、押し込まれる。規則正しい往復。そのたびに内部の壁が擦られ、摩擦の熱が生まれた。

 

「……んっ、くっ、あっ……」

 

昴の声が漏れた。痛みは薄れ、別の感覚が膨らんでいた。下腹部の奥に、甘い疼きが広がる。擦られるたびに、その疼きは強くなった。

 

「……感じてきたか」ダグが低く笑った。「あんたの顔、見りゃ分かる」

 

昴は顔を背けた。だがダグの手が昴の顎を掴み、自分の方を向かせた。

 

「見ろ。自分の身体がどうなってるか見とけ」

 

昴は目を開けた。自分の細い身体の上に、日焼けした男が覆いかぶさっている。太い男根が自分の割れ目に出入りしている。結合部は濡れて光り、自分の内液と男の先走りが混じり合っている。

 

「……あ…」

 

「これがあんたの身体の反応だ。認めろ」

 

ダグが腰の角度を変えた。下向きに、昴の前壁を擦る角度に。

 

「……あっ、あっ、ああっ……!」

 

昴の身体が跳ねた。先ほどの粒を内側から擦られる感覚。甘い疼きが鋭い快感に変わった。

 

「ここだな。あんたの弱いところ」

 

ダグはそこを狙い撃ちするように腰を打ち付けた。突き上げ、擦り、引き、また突き上げる。規則正しく、容赦のない律動。

 

「……い、あっ、あっ、だっ、ダグさん……!」

 

「名前呼ぶ余裕が出てきたか。じゃあまだ足りねえな」

 

ダグは律動を速めた。寝台がきしむ。昴の細い身体が男の体重の下で揺さぶられる。小柄な身体は男の動き一つ一つに翻弄され、内部の摩擦熱が臨界に近づいていた。

 

「……あっ、あっ、何か、おかしい、何か……!」

 

「逝け。我慢するな」

 

ダグの太いものが最奥を突いた。昴の身体が硬直し、そして痙攣した。

 

「……あああああっ……!」

 

下腹部から背骨を駆け上がる電流。目の裏が白く弾けた。身体が勝手に反り、足が痙攣し、内部が男のものをきつく締め上げた。

 

昴は弓を射る時以外で初めて、自分の身体の限界を知った。弓道の集中力とは全く異なる、肉体の限界。快感の頂。

 

痙攣が収まっても、ダグは止まなかった。

 

「……まだだ。俺はまだ終わってねえ」

 

昴の身体が過敏になっていた。達したばかりの内部を擦られる感覚が鋭すぎる。逃げようと腰を退くが、ダグの手が腰を掴んで固定する。

 

「逃げるな。これは商いだ」

 

男の律動が再開された。過敏な内部を、容赦なく突かれる。昴は涙を浮かし、シーツを掴んだ。

 

「……あっ、あっ、無理、敏感すぎ、あっ……!」

 

「二回目はもっと気持ちいいぞ」

 

ダグが囁いた。そして腰の速度を上げた。

 

 

気がつくと、昴は四つん這いにされていた。

 

背後から男が腰を掴み、打ち付けてくる。犬の交尾のような姿勢。だがその姿勢は、男のものがより深く奥へと到達する角度だった。

 

「……あっ、あっ、あっ、あっ……!」

 

規則正しい突き上げ。寝台がきしむ音。肉と肉がぶつかる湿った音。昴の黒髪が汗で額に張り付き、揺れるたびに視界を遮った。

 

「……いい腰だ。弓使いの身体は腰の入りが違うな」

 

ダグの手が昴の腰を掴み、より深く突き入れた。最奥を突かれ、昴の背が反った。

 

「……あっ、また、おかしく、なっ……!」

 

「逝け」

 

二度目の絶頂が押し寄せた。一度目よりも深く、長い波。昴の身体が男の下で痙攣し、内部が男のものを締め上げた。

 

ダグが低く呻いた。

 

「……くっ、締めつけがすげえな……」

 

男の律動が速くなった。最後の追い込み。無慈悲な突き上げ。昴の身体はもう抵抗力を失い、男の動きに任せて揺さぶられるだけだった。

 

「……中に出すぞ」

 

「……え…?」

 

昴が振り返ろうとした瞬間、ダグが最奥に向かって深く、深く突き入れた。男のものが脈動し、熱い液体が昴の内部に注がれた。

 

「……あっ……!」

 

熱い。粘り気のある液体が内壁を満たす感覚。昴の身体は再び痙攣した。男の精を受け取った瞬間の絶頂。

「うっ!いいまんこだ!搾り取ってきやがる」

ドビュッドビュッ

ダグは昴の中に全てを放ち終えると、ゆっくりと抜いた。粘り気のある液体が昴の割れ目から溢れ、シーツに染みを作った。

 

昴は寝台に横たわったまま、天井を見ていた。

 

身体はまだ熱かった。太ももの内側が震えている。下腹部には男のものがいた痕跡が、鈍い感覚として残っていた。

 

昴は天井を見ていた。

 

蝋燭の灯りが揺れている。粗末な天井の板目に影が落ちる。自分の呼吸の音がやけに大きく聞こえた。

 

身体はまだ熱かった。一度果てたはずなのに、下腹部には火種が残っている。男に開発されたばかりの身体は、その感触をまだ欲していた。

 

ダグが寝台の縁に座りエールの瓶を口に運んでいた。汗ばんだ背中が蝋燭の光で光っている。

 

「……水」昴が呟いた。喉が渇いていた。

 

ダグは瓶を渡した。昴はそれを受け取り一口飲んだ。冷たい水が喉を潤した。

 

「意外とタフだな」

ダグは笑った。そして立ち上がり昴の前に立った。

 

「まだ半分だ」

 

「……え?」

 

ダグのものが目の前にあった。一度放ったはずなのに再び猛り始めている。太い柱が昴の目の前に屹立していた。

 

「……これも代償ですか」

 

「ああ」ダグは頷いた。「口でしてくれ」

 

昴は息を飲んだ。

 

「……やったことはありません」

 

「教えるからやれ」ダグの手が昴の頭に置かれた。「舌を出せ。先端を舐めろ」

 

昴は躊躇した。だがこの男から情報を得るためには従うしかなかった。

 

舌を出した。先端が男のものに触れる。塩気と男の匂い。熱い柱の表面を舌が這った。

 

「そうだ。裏側の筋をなぞれ」

 

昴は言われるままに舌を動かした。裏側の血管に沿って舌を滑らせる。ダグのものが脈動し硬度を増した。

 

「口に入れろ。歯を立てるなよ」

 

昴は口を開け先端を含んだ。口の中いっぱいに広がる熱と硬さ。舌で先端を転がすとダグが低く唸った。

 

「いいぞ。その調子だ」

 

ダグの手が昴の頭を掴んだ。そして腰を動かし始めた。

 

「んっ……!」

 

口の中を出し入れされる男のもの。喉の奥まで突かれ昴はえずきそうになった。だがダグは止まらない。腰を使って昴の口を犯す。

 

「んっ、ぐっ……!」

 

涙が滲んだ。呼吸が苦しい。だが同時に下腹部の火種が再び熱を帯びていた。口で奉仕されるたびに自分の身体も反応していることに昴は気づいていた。

 

「十分だ」

 

ダグは昴の口から自身を抜いた。唾液で光る男のものが目の前にある。

 

「寝ろ。足を開け」

 

昴は寝台に横たわった。一度犯された身体は素直に言うことを聞いた。

 

「足を開けと言った」ダグの声が低くなった。「自分で開いて見せろ。欲しがってるってな」

 

昴は息を飲んだ。

 

「……そんなこと……」

 

「できないか」

 

昴は唇を噛んだ。ドルガルド連邦のことを知らなければこの街で生き残れない。

 

昴は震える手で自分の膝を掴んだ。そしてゆっくりと足を開いた。

 

「……もっとだ。全部見せろ」

 

昴は足を大きく開いた。一度犯された割れ目はまだ濡れていて男の精液が溢れている。自分の秘所が男の目に晒される羞恥に顔が熱くなった。

 

「そうだ。次は言え。何が欲しいか」

 

昴は目を閉じた。

 

「……おねだりしろ」ダグが命令した。「俺のものが欲しいって言え」

 

「……あなたのものが……」

 

「何が欲しい?」

 

「……あなたのものが……欲しいです……」

 

「どこに欲しい?」

 

「……中に……奥に……」

 

「いい子だ」

 

ダグが昴の開かれた足の間に膝をついた。先端が割れ目に触れる。一度犯された場所はすでに男を受け入れる準備ができていた。

 

「今回の方が深くいくぞ」

 

ダグは一気に腰を沈めた。

 

「ああっ……!」

 

一度開発された内部は男のものを飲み込んだ。だが今度は先ほどよりも深く奥まで届いた。昴の背が反った。

 

「くっ……きついな」

 

ダグは一度最奥まで沈めるとすぐに動き始めた。遠慮のない突き上げ。一度目よりも激しい律動。

 

「あっあっあっ……!」

 

昴の声が漏れた。一度目とは違う。開発された身体は男の動きに敏感に反応した。擦られるたびに快感が鋭く走る。

 

「ほら」ダグが昴の耳元で囁いた。「もう分かってるだろ。あんたの身体は俺に犯されるのが好きだ」

 

「ちが……あっ!」

 

ダグが前壁を狙って突き上げた。鋭い快感が昴の背骨を駆け上がった。

 

「嘘つくな。身体は正直だぞ。こんなに濡れて締め付けてる」

 

昴は否定できなかった。事実だった。男に犯されるたびに身体は快感を覚え、より深く求めていた。

 

ダグの律動が速くなった。寝台が激しくきしむ。肉と肉がぶつかる音。濡れた結合部の音。それらが狭い個室に響いた。

 

「あっあっあっあっ……!」

 

昴の声が高くなった。理性が溶けていく。弓道で培った精神統一などもう意味を持たなかった。ただ男の動きに翻弄されるだけの肉体。

 

「声出せ。隠すな」

 

「あっあっんっああっ……!」

 

声が漏れた。抑えられなかった。快感が理性を超えていた。

 

ダグが昴の足を肩に担いだ。より深く届く角度。最奥を突かれるたびに昴の身体が跳ねた。

 

「あっあっそこっそこだめっ……!」

 

「ここか? あんたの一番いいところか?」

 

「ああっ! あっあっ……!」

 

規則正しい突き上げ。容赦のない律動。昴の身体は限界に近づいていた。

 

「……おかしくっおかしくなるっ……!」

 

「なれ。俺のもので狂え」

 

ダグが最奥を激しく突いた。

 

その瞬間昴の理性が完全に弾けた。

 

「ああいぐうあああああっ!!」

 

獣のような叫び声が漏れた。人間の言葉ではない。本能の叫び。

 

下腹部から全身を駆け巡る圧倒的な快感。目の裏が白く弾け身体が痙攣した。足の指が丸まり背が弓なりに反った。ダグは彼女の体をがっつりと押さえつけてたっぷりと精液を流し込んだ。

「いぐぅ❤️」

昴は弓を射る時以外で初めて自分の身体の限界を知った。弓道の集中力とは全く異なる肉体の限界。快感の頂。彼女は泡を吹いて気絶した。

 

⭐️情報

「よく我慢したな。仲間のためか?かわいい奴だ。俺が話すのは俺の見たままだ。真実かどうかは自分で判断してくれ」

 

「分かりました」

 

ダグはエールを飲み干し、語り始めた。

 

「まず前提としてだ。ドルガルド連邦は強い。とてつもなくな」

 

ダグはテーブルに指を走らせた。

 

「大陸の三分の一を飲み込んだ。わずか三代でだ。普通ならそんなバカな話はありえねえ。侵略戦争ってのは勝っても損するもんだ。占領地の統治に兵を割かれ、反乱鎮圧に金を使わされ、結局は自滅する。……だがドルガルドは違う。占領するたびに強くなる」

 

「どうして?」

 

「皇帝だよ」ダグは言った。「ドルガルド八世。あの方は……いや、あいつは化け物だ」

 

ダグの目が複雑な色を浮かべた。畏怖と嫌悪が入り混じったような。

 

「八世は即位したとき十四歳だったそうだ。先帝が暗殺されてな。犯人は三人の大貴族だった。幼帝を傀儡にするつもりだったらしい。……だが八世は即位七日目にその三人を大広間で首を刎ねさせた。十四歳のガキが血の池の前に立って言ったそうだ。『朕の前には貴族も平民もない。能力ある者は昇り能力なき者は下る。それだけだ』ってな」

 

昴は息を飲んだ。

 

「……十四歳で?」

 

「ああ。それから八年かけて四十七の貴族家を潰した。『鉄の狩り』って呼ばれてる。私腹を肥やしてた貴族は土地も財産も没収され反発した奴らは皆殺しだ。……だがここからが大事だ。八世は没収した土地を農民に再配分したんだ」

 

「農民に?」

 

「そうだ。今まで収穫の六割七割を貴族に搾取されてた農民が自分の土地を持てるようになったんだ。税制も改められて収穫の三割上限。……そりゃあ農民は狂喜したろうよ。今まで搾取されてたのが急に救われたんだからな」

 

ダグはテーブルを叩いた。

 

「これがドルガルドの強さの秘密だ。侵略しても民衆が歓迎する。だって前より暮らしが良くなるからな」

 

昴は黙って聞いていた。

 

「法も整備された。貴族の私裁判が廃止されて統一法典ができた。身分にかかわらず刑罰は適用される。平等ってやつだ。貴族の私兵も解体されて正規軍が治安を担うようになった。……身分制も廃止された。平民でも試験に合格すれば官僚になれる。功績があれば将校になれる。……これがどれほど画期的か分かるか?」

 

「……この大陸では珍しいことなんですか?」

 

「珍しいどころか異常だよ」ダグは言った。「どこだって身分社会だ。貴族の子は貴族に農民の子は農民になるのが当たり前だ。……だがドルガルドでは違う。実力だけがものを言う。……もっともそれには裏があるんだがな」

 

「裏?」

 

ダグは声を潜めた。

 

「魔族だよ」

 

昴は目を見開いた。

 

「魔族……?」

 

「ああ」ダグは頷いた。「これが八世の最大の改革だ。……魔族差別の撤廃」

 

昴は身を乗り出した。

 

「魔族差別を……撤廃した?」

 

「そうだ」ダグは言った。「八世は宣言した。『魔族もまた連邦の民である。能力ある魔族は人間と同等の権利を有する』ってな。……この大陸で魔族が差別されてない国なんてどこにもなかった。奴隷にするか討伐対象にするか。……だが八世は魔族を解放して市民権を与えたんだ」

 

「でも……それは人間たちが反対しなかったんですか?」

 

「そりゃ反対したさ」ダグは苦笑した。「人間至上主義を掲げるリーキスト教団なんて激しく反発した。周辺諸国もドルガルドを蛮国と呼んだ。……だが八世は引かなかった。魔族を解放し市民権を与え軍や行政に登用した。……結果大陸各地で迫害されてた魔族たちがドルガルドへ流入した。優秀な魔族の将校魔術師技術者たちが連邦の力になった」

 

ダグはエールのおかわりを頼んだ。そして続けた。

 

「俺が見た商隊にも魔族がいた。……最初は怖かったよ。狼頭の獣人に角のある悪魔に肌が青い女。……だが一緒に仕事してみて分かった。奴らも俺たちと同じだ。……子供を持ってりゃ可愛がるし酒が入れば騒ぐし怪我をすれば痛がる。……ただ人間より身体能力が高くて魔力を持ってるだけだ」

 

ダグは新しいジョッキを受け取った。

 

「だが摩擦はある。……法の上では平等でも民間レベルじゃまだまだだ。……人間が魔族を忌避すれば魔族も人間を見下す。……八世のカリスマで抑え込んでるが……皇帝が崩御すれば内戦の火種になるだろうな」

 

昴は果実水を一口飲んだ。

 

「政治体制はどうなってるんですか?」

 

ダグは指を五本立てた。

 

「五府制だ。天政府、地武府、理法院、外務府、魔導府。……天政府が行政で宰相以下の官僚機構だ。地武府が軍事で元帥以下の軍隊だ。理法院が司法で裁判所だ。外務府が外交と諜報だ。……そして魔導府が魔術と魔族事務だ」

 

「五つに分かれてるんですね」

 

「ああ。……だが実権は全て皇帝にある」ダグは言った。「立法権、行政権、司法権、軍事指揮権、外交権……全部皇帝のものだ。議会はあるが諮問機関に過ぎない。……絶対君主制だよ。……ただし皇帝顧問会議ってのがあってだな。五府の長に加えて八世が個人的に信任する者で構成される。……そこには魔族の長老も元傭兵の名将も元敵国の官僚も含まれる。……身分や過去を問わず有能な者を用いるのが八世の方針だからな」

 

昴は頷いた。

 

「軍隊は?」

 

ダグの顔つきが変わった。

 

「……ここからが本番だ」ダグは声を潜めた。「連邦正規軍の総兵力は約八十万……戦時動員時は百二十万だ」

 

「八十万……!」昴は息を飲んだ。

 

「常備軍だけで四十万……予備役も四十万……大陸最大かつ最強の軍事組織だ。……強さの秘密は三つある。……一つ目は能力登用制……身分じゃなく実力で将校を選ぶ。……二つ目は魔族部隊の統合……人間部隊と魔族部隊を混合編成してる。……そして三つ目が……」

 

ダグはさらに声を潜めた。

 

「モンスター使役部隊だ」

 

「モンスター……使役?」

 

「そうだ」ダグは頷いた。「魔導府と地武府の共同プロジェクトで魔物を軍事利用する技術を確立した。……魔族の中でも使役能力を持つ者を使役師として登用して戦場で魔物を指揮するんだ」

 

ダグは指折り数えた。

 

「軍団の中核を成すゴブリンとオーガ、トロルの大群、間接支援で棘を打ち出すボルボックス。空はワイバーンの騎士にガーゴイル、闇や影に潜むナイトウォーカーに鉄巨人アイアンゴーレムやキガンテス。攻城兵器並みの硬度を持つ甲虫シージビートルに地中を掘り進むサンドワーム……」

 

 

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昴は戦慄した。

 

「そんなものを……軍事利用してるんですか?」

 

「ああ」ダグは重く頷いた。「俺は見たよ。……商隊を襲った山賊団をワイバーン部隊が壊滅させたところを。……空から毒尾で急降下してきて山賊ごと砦を粉砕した。……あれを見ちゃあ人間の敵う相手じゃねえって思うよ」

 

ダグはエールを飲み干した。

 

「特殊執行部隊ってのもある。……公式には存在しねえ部隊だ。……暗殺工作捕縛破壊工作を担う。……人間と魔族の混成で構成員は百名に満たねえが全員一騎当千の戦力を持つ。…」

 

ダグは震えた。

 

「そして実動指揮官……メローペ・ヴァイス……白銀の髪氷のような青い瞳の女……白銀の処刑人と呼ばれる……一度標的とした者は逃げられた試しがねえと言う噂だぜ……」

昴はその名前をきき微笑みを浮かべた

(メローペ・ヴァイス……!)

アルキュオネーを処刑しに来た女だが今では仲間となりアリステラのところでポンコツシスターをしている。

 

「奴らの侵略戦争にはパターンがある」ダグは続けた。「三段階侵攻と呼ばれてる。……第一段階は工作……外務府が対象国の内部を崩す……腐敗した貴族に接近して買収や脅迫で内通者にする……民衆の不満を煽り反政府運動を組織する……情報戦により対象国の指導者の評判を落とす……第二段階は軍事侵攻……内部分裂が進んだ段階で正規軍を投入する……使役魔物を先鋒に城壁を突破する……魔族部隊は夜間奇襲や側面攻撃を担当する……人間部隊は正面からの制圧を行う……第三段階は統治……占領後即座に連邦の法を適用する……旧貴族の土地を没収し農民に再配分する……これにより占領された国の民衆でさえドルガルドの支配を歓迎することがある……ルシリオン王国がわずか3日で陥落したのはそのためだ。」ダグは重く言った。

昴の心臓が跳ねた。

「ルシリオン……?」

「ああ」ダグは頷いた。「同盟国に裏切られ王都は三日で陥落した……国王は戦死し……王女アルキュオネーだけが脱出したらしいが……王国そのものは消滅した……占領後ルシリオンの貴族の大部分は処刑された。民衆の多くは難民になったが、貧困層ではドルガルドの統治をむしろ歓迎するものもいるようだ。

」昴は唇を噛んだ。

 

(アル姉が戦おうとしているのは……そんなに巨大な敵なのか……)

 

「皇帝の思想がある」ダグは言った。「統合理論と呼ばれてるらしい。……『世界は分かたれている。人間と魔族貴族と平民強国と弱国これらの分断が戦争と不幸の源である朕は全てを統べる全てを一つにするそれこそが真の平和である』……こんな感じらしい」

 

ダグはテーブルに肘をついた。

 

「多くの者はこれに支持した。……特に虐げられてきた者たちにとって八世の言葉は福音だった。……魔族や開拓民は八世を救世主として仰いだ。……だがその裏には抗う者には容赦しない冷酷さがある……八世の統合に従わない者は障害として排除される。雪族の村が徴兵を拒んだら容赦なく虐殺された。

八世は自らを暴君とは思ってねえ……自らを世界を救う者だと信じてる……その確信こそが彼を最も恐ろしい存在にしてるんだよ……自らの正義を疑わない者はどのような残酷な行いも正当化できるからな」

 

ダグは立ち上がった。

 

「長くなったな。……一つだけ言っとく。……お前さんの仲間……金色の髪の女聖騎士……あれアルキュオネー王女だろ?」

昴は顔を上げた。

「……どうして?」

「噂になってるよ。……聖騎士姿の女を見たって。……それに光翼剣《ルクス・レギナ》……あれはルシリオン王家の聖剣だ、識者なら誰でも分かる。……スバルあんた気をつけろよ。…… アルキュオネー王女何かと一緒にいたら、ドルガルドにいつか殺されるぞ。……」

ダグはジョッキをテーブルに置いた。

 

「俺からの忠告代だ。……いいか絶対にドルガルド連邦と正面から戦うな。……勝てねえよ……あれには誰も勝てねえ……」ダグは背中を向けて歩き出した。

「皇帝が崩御すれば別だがな……今この瞬間八世が生きてる限りドルガルド連邦は不滅だ……」

ダグの出て行った扉を見つめながら昴は思った。

(アル姉……あなたは何と戦おうとしているの……)果実水の氷が溶けていった。

ギルドの喧騒の中で昴一人だけが静かだった。

 

(民衆に支持された国家……侵略しても歓迎される戦争……モンスターを使役する軍隊……自らの正義を疑わない皇帝……)これら全てがアルキュオネーの敵だった。

(どうすればいいの……どうすれば……)答えは見つからなかった。

 

⭐️ナイトウォーカー ドルガルドの刺客

 

黒衣のメイドと夜の怪物

第一章 おいしいスープと、夜の足音

 その宿屋は、街道沿いの小さな村にあった。

 石造りの街壁もなければ、立派な騎士団の詰め所もない。村の周囲には麦畑と牧草地が広がり、遠くには深い森が横たわっている。街道を旅する商人や冒険者たちが、日暮れ前に立ち寄って一晩を過ごす。それだけの、ありふれた宿場村だった。

「アル姉ー! 見て見て! あそこのお店、焼き菓子売ってる!」

「昴、走らないでくださいませ! まったく、あなたという子は……」

 金色の髪を揺らしながら、アルキュオネー=ヴァル=ルシリオンは、駆けていく黒髪の少女を追った。

 天童昴、十八歳。異世界に転生してからというもの、彼女は見慣れないものを見つけるたびに目を輝かせる。元の世界では神社の境内を走り回り、祭りの準備に駆り出され、薪を割り、掃除をし、弓道場で弓を引いていた。異世界に来ても、その行動力はまるで衰えていなかった。

「だって、いい匂いがするんだもん!」

「焼き菓子なら逃げませんわよ。まったく、わたくしの妹分は、どうしてこう落ち着きがないのでしょう」

「えへへ。アル姉が買ってくれるって信じてるから!」

「なっ……! そ、そのようなことを申されては、買わないわけにはいかないではありませんか!」

 アルは頬を赤くし、扇子でもあれば広げて顔を隠したいという様子で、店先の菓子を二つ買った。

 昴は満面の笑みでそれを受け取り、さっそくひと口かじる。

「んーっ! おいしい! ねえ、アル姉も食べて!」

「わ、わたくしはそのような子供じみた……」

「はい、あーん!」

「……あ、あーん」

 金髪の聖騎士が、黒髪の少女から差し出された焼き菓子を口にする。

 その様子を見ていた村の子供たちが、くすくすと笑った。

「お姉ちゃんたち、仲良しだね!」

「ええ、そうですとも! わたくしと昴は、誰にも負けないくらい仲良しなのですわ!」

 アルは胸を張った。

 昴はその腕に抱きつき、頬をすり寄せる。

「アル姉、大好き!」

「わ、わたくしも……いえ、当然ですわ! わたくしは昴のお姉ちゃんでナイトですから!」

 その言葉に、昴は声を上げて笑った。

 旅の途中にある、何でもないひととき。

 滅ぼされた王国の第三王女と、異世界から来た少女。戦乱の中で出会った二人にとって、こうした平和な時間は何よりも貴重だった。

 少し離れた場所では、アリステラ・エーレクトラーが村の子供たちに囲まれていた。

「アリステラお姉ちゃん、この人たち、お姉ちゃんのお友達?」

「ええ。こちらがアルキュオネー様。そして、あちらが昴様です」

 柔らかく微笑む聖導女の隣で、メローペ・ヴァイスは無言のまま立っていた。

 白銀の髪。冷ややかな眼差し。腰には魔剣《絶刀・雪月花》。

 村の子供たちは、彼女を少し怖がっているらしかった。

「お姉ちゃん、怒ってるの?」

「……別に」

「でも、怖い顔してる」

「生まれつきよ」

「メローペ、もう少し笑ってあげてくださいませんか?」

 アリステラが困ったように言うと、メローペは彼女に視線を向けた。

「必要がないわ」

「まあ……」

「あなたが笑っていれば、それでいいでしょう」

 あまりにも真顔で言うものだから、アリステラは返事に困り、子供たちはきょとんと顔を見合わせた。

 昴はその光景を見て、にやりと笑った。

「メローペさんって、アリステラさんには甘いよねー」

「昴。余計なことを言わない」

「えー、だって本当じゃん」

「……あなた、今夜の見張りを一人でやりたいの?」

「ごめんなさい!」

 即座に謝る昴に、アルがくすくすと笑った。

 誰もが笑っていた。

 誰もが、今夜も何事もなく過ぎると信じていた。

 宿屋の二階にある窓から、黒い服を着た女が彼女たちを眺めていることなど、誰一人気づいていなかった。

 

 

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「お帰りなさいませ、お客様」

 宿屋の食堂に入った昴たちを迎えたのは、黒いメイド服を着た少女だった。

 黒髪に白いフリルのカチューシャ。袖口と裾を飾る繊細なレース。きちんと整えられたエプロン。胸元には小さな黒いリボンが結ばれている。

 そして、紅い瞳。

 彼女は優雅に一礼した。

「当宿をご利用いただき、ありがとうございます。四名様でよろしいでしょうか?」

「はい。部屋は二つお願いしたいのですが」

 アリステラが答える。

「かしこまりました。お荷物をお持ちいたします」

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」

「まあ。聖職者の方でいらっしゃいますか?」

「はい。リーキスト教団の聖導女を務めております、アリステラと申します」

「これは失礼いたしました。わたくしはリリスと申します。この宿で給仕をしております」

 リリスは再び頭を下げた。

 動作に無駄がない。声は穏やかで、笑顔には一点の曇りもない。

 昴は感心したように彼女を眺めた。

「わあ、すごい! メイドさんだ!」

「昴、失礼ですわよ」

「だって、異世界に来てから本物のメイドさんって初めて見たんだもん!」

「お客様のお役に立てることが、わたくしの喜びでございます」

 リリスはにっこりと微笑んだ。

「お嬢様は、ずいぶんと活発でいらっしゃいますね」

「お嬢様?」

「ええ。そちらの金髪のお方とご一緒ですから、てっきり妹君かと」

「あ、私は……」

「妹ですわ!」

 アルが勢いよく割って入った。

「わたくしの大切な妹分ですの!」

「アル姉、妹分って何?」

「よろしいではありませんか!」

「ふふっ」

 リリスが口元に手を当てて笑った。

「とても仲がおよろしいのですね。羨ましい限りです」

 その言葉に、アルは満足そうに胸を張った。

「当然ですわ!」

 昴は笑いながら椅子に座った。

 リリスは四人の荷物を部屋へ運び、夕食の注文を取り、温かいスープと焼きたてのパンを運んできた。アリステラには野菜を多めにした料理を、肉好きのメローペには大きな肉の塊を、アルには上等な果実酒を勧めた。

 そして昴の前には、焼き菓子が一皿置かれた。

「サービスでございます」

「えっ、いいの!?」

「ええ。お客様の笑顔は、わたくしどもの喜びですから」

「ありがとう、リリスさん!」

 昴は満面の笑みで礼を言った。

 リリスも微笑み返す。

 紅い瞳が、ほんのわずかに細くなった。

     *

 夕食は賑やかだった。

 昴は焼き菓子を頬張りながら、村の子供たちと遊んだ話をしていた。アルは「聖騎士たる者、旅先でも品位を保たねばなりませんわ」と説教しながら、自分も二つ目の菓子に手を伸ばしている。

 メローペは黙々と肉を食べ、アリステラはそんな彼女を微笑ましげに眺めていた。

「メローペ、もう少し野菜も召し上がってくださいね」

「必要ないわ」

「身体の調子を整えるためにも、大切ですよ」

「……アリステラがそう言うなら」

 メローペは渋々、皿の野菜を口に運んだ。

 昴はその様子を見て、テーブルを叩いて笑った。

「やっぱりアリステラさんには弱いんだ!」

「昴」

「はい、黙ります!」

 そのとき、窓の外で風が吹いた。

 森の木々がざわめく。

 リリスが空になった皿を下げながら、何気ない調子で口を開いた。

「皆様、今夜は少し冷え込みます。日が落ちてからは、あまり外へ出られない方がよろしいかと」

「何かあるのですか?」

 メローペが尋ねた。

「この辺りの森には、夜になるとナイトウォーカーが出るのです」

 その言葉に、昴の手が止まった。

 

 

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「ナイトウォーカー……?」

「ええ。人型の、恐ろしい魔物でございます。長い腕で獲物を捕まえ、森の奥へ連れ去るといわれております」

「それは……危険ですね」

 アリステラの表情が曇った。

「村の方々は大丈夫なのですか?」

「はい。皆様、夜は戸締まりをし、明かりを落として、朝まで静かに過ごすのです」

「なるほど。では、私たちも外出は控えましょう」

 アルが頷いた。

 メローペは窓の外を見つめていた。

「ナイトウォーカーが出る地域にしては、村の周囲に防護柵が少ないわね」

「鋭いご指摘ですわね」

 リリスは微笑んだ。

「この村の方々は、幸運にも、ここしばらく被害に遭っておりませんので」

「……そう」

 メローペはそれ以上追及しなかった。

 彼女は知らなかったのだ。

 この村でナイトウォーカーによる被害が少なかったのは、村人たちが幸運だったからではない。

 リリスが、まだ彼らを襲わせていなかったからだった。

     

 夜半。

 昴は、妙な音で目を覚ました。

 コツ。

 コツ。

 コツ。

 廊下から聞こえる、小さな足音。

 最初は宿の主人が歩いているのだと思った。しかし、音は一定の間隔で続き、やがて自分たちの部屋の前で止まった。

 昴は寝台から身体を起こした。

「……誰?」

 返事はない。

 窓の外では風が吹いている。

 昴は寝台から降り、音を立てないように扉へ近づいた。弓は荷物のそばに置いてある。剣を扱うアルやメローペと違い、昴は弓を主武器としていた。狭い部屋でいきなり弓を構えるのは難しいが、何かあればすぐに動けるよう、身体を低くして扉の脇に立った。

「……お客様?」

 扉の向こうから、聞き覚えのある声がした。

 リリスだった。

「どうかなさいましたか? お目覚めになられたようですが」

「リリスさん? どうしたの?」

「申し訳ございません。お水をお持ちしようと思ったのですが、扉が閉まっておりましたので」

「あ、そうなんだ。ありがとう。でも、大丈夫だよ」

「そうですか。では、お休みなさいませ」

 足音が遠ざかる。

 昴はほっと息をついた。

「……びっくりした」

 そのときだった。

 廊下の奥から、何かを引きずるような音がした。

 ずるり。

 ずるり。

 昴は眉をひそめた。

 続いて、湿った呼吸音。

 人間のものとは思えない、喉の奥で何かが擦れるような音だった。

 昴は扉の鍵を確かめた。

 そして、ほんの少しだけ、扉を開けた。

 廊下は暗かった。

 壁に取り付けられたランプが、頼りない光を投げかけている。

 その光の向こうに、リリスが立っていた。

 彼女は廊下の中央で、こちらに背を向けていた。

 そして、その足元に。

 白いものがあった。

 最初は、シーツか何かだと思った。

 しかし、それはゆっくりと動いていた。

 長い指が床板を掻く。

 白灰色の腕が、異様な角度に折れ曲がっている。

 その先に、細長い身体があった。

 身長は二メートルを超えているだろう。骨ばった肩。痩せ細った胴体。床に届きそうなほど長い腕。

 顔には鼻も口もほとんどなく、目の位置に、ぼんやりとした光が二つ浮かんでいた。

 ナイトウォーカー。

 昴は息を止めた。

 それは床に這いつくばり、何かを探しているようだった。

 リリスが、ゆっくりと振り返った。

 その顔には、いつもの笑顔があった。

「……あら」

 彼女の紅い瞳が、扉の隙間を捉える。

「昴様。まだお休みではなかったのですね」

 昴の背筋に、冷たいものが走った。

「リリス……さん?」

「いけませんわ。夜中にお一人で出歩かれては」

 彼女は、いつもの柔らかな声で言った。

 ナイトウォーカーが、首をもたげた。

 その動きは、人間のものではなかった。

 ぎぎ、と。

 骨が軋むような音を立てながら、首がこちらへ向く。

 ぼんやりと光る目が、昴を見た。

 その瞬間、昴は理解した。

 あれは、獲物を探しているのではない。

 獲物を見つけたのだ。

「……リリスさん。これ、何?」

 声が震えた。

 リリスは小首を傾げた。

「何、と申されましても」

 彼女はナイトウォーカーの頭を、愛しいペットを撫でるように優しく撫でた。

「わたくしの、大切なお友達でございますわ」

 昴は扉を閉めようとした。

 しかし、遅かった。

 ナイトウォーカーの腕が伸びた。

 人間の腕とは思えない速度だった。

 長い指が扉の縁をつかみ、木材が耳障りな音を立てる。

「っ!」

 昴は全身の力を込めて扉を押した。

 だが、びくともしない。

 向こう側から、異常な力がかかっている。

「アル姉! メローペさん! 起きて!」

 昴は叫んだ。

 その声を聞いた瞬間、リリスの笑顔が変わった。

 ほんの少しだけ。

 口角が、さらに吊り上がったのだ。

「まあ。お仲間をお呼びになるのですね」

 彼女は、楽しそうに囁いた。

「それは、よい考えですわ」

 廊下の奥で、何かが動いた。

 一体。

 二体。

 三体。

 暗闇から、ナイトウォーカーたちが現れる。

 壁に張りつくもの。天井から逆さまにぶら下がるもの。四つん這いで床を這うもの。

 その数は、昴の目で数えられるだけでも十体を超えていた。

「な……っ」

 昴は息を呑んだ。

 宿屋の廊下が、怪物で埋め尽くされていく。

 そして、その中央で。

 リリスは優雅にスカートの裾をつまみ、深々と一礼した。

「改めまして、こんばんは。リリス・ノクスと申します」

 彼女の声は、どこまでも穏やかだった。

「本日は、皆様をおもてなしするために、特別な準備を整えさせていただきました」

 彼女が指を鳴らした。

 ナイトウォーカーたちが、一斉に動き出した。

「どうぞ、ごゆっくりお楽しみくださいませ」

     *

 アルは、剣を手にして部屋から飛び出した。

「昴っ!」

 光翼剣《ルクス・レギナ》が輝き、廊下を照らす。

 光に浮かび上がった光景を見て、アルの表情が凍りついた。

 異形の怪物たち。

 その中央に立つ、黒衣のメイド。

 そして、怪物に扉を押さえつけられている昴。

「……あなた」

 アルの声が低くなった。

「何者ですの」

 リリスは、嬉しそうに微笑んだ。

「これはこれは。お目覚めになられましたか、アルキュオネー様」

 その名を聞いた瞬間、アルの瞳が鋭くなる。

「……なぜ、わたくしの名を?」

「もちろん、存じ上げておりますとも」

 リリスは優雅に一礼した。

「滅びたルシリオン王国の第三王女。我がドルガルド連邦に仇なすお方」

「……!」

「そして、そちらの小さなお客様は、異世界から来られた特別な少女。聖導女アリステラ様と、裏切り者の白銀の処刑人メローペ様もご一緒」

 リリスは、まるで晩餐会の招待客を紹介するように、一人ずつ名前を挙げていった。

「皆様、ずいぶんと豪華なお客様ですこと」

 メローペが、魔剣《絶刀・雪月花》を抜いた。

 刀身から冷たい魔力が立ち昇る。

「……お前、ドルガルドの人間か」

「ええ、ドルガルドの魔将 冥土のメイド リリスでございます」

「なぜアルキュオネーを狙う」

「簡単なことですわ」

 リリスは微笑んだ。

「ドルガルド様の理想を阻むゴミ虫ですから、掃除しませんとね」

 次の瞬間、ナイトウォーカーたちが襲いかかった。

「昴、伏せなさい!」

 アルが光翼剣を振るった。

 白い光が弧を描き、先頭のナイトウォーカーを斬り裂く。怪物の身体が崩れ落ちた。

 しかし、その後ろから別の個体が飛びかかってくる。

 メローペが横合いから斬り込んだ。

 魔剣の一閃が怪物の腕を断ち切り、返す刀が胸部を貫く。

「アリステラ、昴を!」

「はいっ!」

 アリステラは昴のもとへ駆け寄り、怪物の腕から彼女を引き離した。

「昴様、お怪我はありませんか?」

「だ、大丈夫……!」

 昴は震える息を吐き、床に転がっていた自分の弓を拾った。

 狭い廊下では、弓を十分に引くことができない。

 彼女は状況を見極め、後方へ下がった。

 アルとメローペが前衛を務める。アリステラは昴をかばいながら、傷を負った者に治癒の光を施す。

 戦いそのものなら、彼女たちは決して弱くない。

 しかし、問題は数だった。

 斬っても、斬っても、暗闇から怪物が現れる。

 しかも、ナイトウォーカーたちは無秩序に襲いかかっているわけではなかった。

 前列が剣を受け止め、後列が横から回り込む。天井を這う個体が後衛を狙い、倒れた個体を踏み越えて別の怪物が迫る。

 まるで、誰かが戦場を指揮しているようだった。

「……こいつら、統率されている!」

 メローペが叫んだ。

「その通りでございます」

 リリスは、少し離れた場所で手を合わせていた。

「わたくしの可愛い子たちは、少々頭が足りませんの。ですから、わたくしが教えてあげるのです」

 彼女が指を動かす。

 怪物たちの動きが変わった。

 アルへ向かっていた個体が突然身を翻し、アリステラへと襲いかかる。

「きゃっ!」

「アリステラ!」

 メローペが割り込んだ。

 魔剣が怪物の腕を斬り飛ばす。しかし、その隙に別のナイトウォーカーが彼女の背後へ回り込んだ。

 

宿屋の廊下は、地獄と化していた。

 

「くっ……!」

 

アルが光翼剣を振るう。白い光が闇を裂き、ナイトウォーカーの一体を両断する。だが、その光が消えるより早く別の個体が天井から降ってきた。長い腕がアルの肩を打ち、聖騎士の身体が壁に叩きつけられる。

 

「アル姉!」

 

昴が叫んだ。だが、その声はすぐに別の悲鳴にかき消された。

 

「ああっ!」

 

アリステラが倒れた。彼女の足に、床下から伸びた無数の白い指が絡みついている。聖導女は地面に引きずり倒され、必死に抵抗しながら治癒の光を放とうとする。しかし、その光はナイトウォーカーたちの身体には何の効果ももたらさなかった。

 

「アリステラ!」

 

メローペが振り返る。その一瞬の隙を、三体の怪物が同時に襲った。魔剣が二体を斬り伏せる。だが、三体目の腕が彼女の脇腹を捉え、壁に縫い付けた。雪月花が床に落ちる。

 

「ぐ……!」

 

メローペの白銀の髪が血に染まった。

 

「みんな……!」

 

昴は弓を構えた。狭い廊下。引ける距離はない。だが、矢を番え、狙いを定める。一体のナイトウォーカーの目の光に向かって。

 

放った。

 

矢は正確に怪物の頭部を貫いた。個体が崩れ落ちる。

 

「今だ、みんな、下がって……!」

 

だが、その声は届かなかった。

 

リリスが指を鳴らした。

 

次の瞬間、廊下の壁が裂けた。床が割れた。天井が崩れた。十体以上いたと思っていたナイトウォーカーは、実はその倍以上いた。隠れていた個体が一斉に姿を現す。

 

「そんな……!」

 

昴の弓が取り落とされる。背後から伸びた腕が彼女の首を捉え、身体を宙に吊り上げた。

 

「昴様!」

 

アリステラが叫ぶ。だが彼女自身もまた、五体の怪物に四肢を捕らえられ、床に押さえつけられていた。

 

アルが立ち上がろうとする。しかし、折れた肋骨が内臓を刺す激痛に、膝をつく。

 

「く……まだ……!」

 

光翼剣を杖代わりに立ち上がる。だが、ナイトウォーカーたちが四方から彼女にのしかかった。聖騎士の白い鎧が、異形の腕に絡め取られる。

 

「離しなさい……! わたくしは……!」

 

メローペもまた、三体の怪物に押さえ込まれていた。魔剣を失った彼女は、素手で抵抗する。だが怪物の力は人間のそれをはるかに超えていた。白銀の処刑人の細い腕が、後ろ手に捻り上げられる。

 

「くそ……!」

 

昴は首を吊り上げられながら、必死に仲間の姿を見た。

 

アルが床に押さえつけられている。アリステラが涙を浮かべている。メローペが歯を食いしばっている。

 

そして、リリスが歩み寄ってきた。

 

「まあまあ。皆様、お強いのですね。三十体のナイトウォーカーを相手に、よくここまで持ちこたえられましたこと」

 

彼女は、吊り上げられた昴の顔を覗き込んだ。

 

「特に昴様。弓の腕前、見事でございましたわ。あの一射、わたくしの可愛い子の頭を正確に貫きましたもの」

 

「離せ……!」

 

昴は足をばたつかせた。だが首を掴む怪物の腕は鋼のように硬く、微動だにしない。

 

「離せばよろしいのですね?」

 

リリスは首を傾げた。

 

「でも、離したら、昴様はわたくしの可愛い子たちを射ってしまうでしょう? それは困りますわ」

 

彼女は、廊下に倒れている仲間たちを見渡した。

 

「そうですね……。ここは一つ、皆様にご褒美をあげることにいたしましょう」

 

「……何?」

 

アルが顔を上げた。

 

リリスは、優雅に両手を広げた。

 

「わたくしの可愛い子たちは、ずっと良い子にしておりましたの。この村で何ヶ月も、じっと我慢しておりました。人間を襲わず、ただ待つようにとわたくしが命じましたから」

 

彼女は、昴を見た。

 

「おかげで、あなた様という素晴らしい獲物を捕まえることができました。ですから、ご褒美をあげなくてはなりませんわ」

 

リリスは、ナイトウォーカーたちに向かって言った。

 

「お前たち。あの三人を好きにしていいわよ」

 

その言葉の意味を、昴はすぐには理解できなかった。

 

だが、アルの顔色が変わった。アリステラが息を呑んだ。メローペの目が見開かれた。

 

 

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「……何を、言っている」

 

アルの声が震えた。

 

リリスは、心底不思議そうな顔をした。

 

「何を、と申されましても。お前たちの慰み者に差し上げると言っているのですわ」

 

「やめろ……!」

 

昴が叫んだ。だが首を掴む怪物の腕が締まり、声が途切れる。

 

「昴様はこちらで見ていていただきますわ。あなた様は特別ですもの。わたくしの可愛い子たちに手を出すわけにはいきませんから」

 

リリスは、昴の顎を掴んだ。

 

「あなた様は、わたくしが直接大事に大事にいただきます。……その前に、お仲間がどうなるかしっかりとご覧になっていてくださいませ」

 

ナイトウォーカーたちが動いた。

 

一体がアルの鎧に手をかけた。留め具が外れ、白い金属が床に落ちる。聖騎士の胸元が露わになる。

 

「やめ……!」

 

アルが身をよじる。だが三体の怪物が彼女の四肢を押さえている。一体が、彼女のブラウスに手をかけた。布が裂ける音。白い肌が、廊下のランプの光に晒される。

 

「アル姉……!」

 

昴の目から涙が溢れた。

 

アリステラの方でも同じことが起きていた。聖導女の法衣が、無数の指によって一枚ずつ剥がされていく。彼女は抵抗しようとした。だが、その手は別の怪物に掴まれ床に縫い付けられている。

 

「ああ……! やめて……!」

 

アリステラの声が初めて悲鳴になった。いつもは穏やかな聖導女の声が、恐怖に歪む。

 

「アリステラ!」

 

メローペが叫ぶ。だが、彼女自身もまた鎧を剥がされていた。白銀の髪が床に散らばり、引き締まった身体が露わになる。

 

「お前たち……!」

 

メローペが怪物を睨みつける。その瞳は、まだ闘志を失っていなかった。だが、ナイトウォーカーたちは彼女の睨みなど意に介さない。

 

一体が、メローペの脚を開かせた。

 

「く……!」

 

彼女は足を閉じようとする。だが、怪物の力は人間のそれをはるかに超えている。無理やりに、白い太ももが開かれる。

 

リリスが、満足そうに頷いた。

 

「さあ、始めなさい」

 

その言葉を合図に、ナイトウォーカーたちが動いた。

 

アルの身体に、一体が覆いかぶさる。白灰色の異形の身体が、聖騎士の白い肌に重なる。長い腕が、彼女の胸を掴む。骨ばった指が、柔らかな乳房を揉みしだく。

 

「あ……! やめ……!」

 

アルの声が漏れる。聖騎士の誇り高い声が、初めて屈辱に濡れた。

 

別の一体が、彼女の下半身に手をかけた。スカートが引き裂かれ、下着が引きずり下ろされる。金色の茂みが露わになり、その奥の秘所が怪物の目の前に晒される。

 

「いや……! 見ないで……!」

 

アルは顔を背けた。涙が、頬を伝う。

 

だが、怪物は構わず彼女の脚を大きく開かせた。

 

そして。

 

「あああっ……!」

 

アルの悲鳴が、廊下に響いた。

 

昴は目を見開いた。信じられない光景だった。

 

聖騎士アルキュオネー。光翼剣の使い手。ルシリオンの第三王女。昴が最も敬愛する姉が、異形の怪物に犯されていた。

 

怪物の腰が、前後に動く。白灰色の身体がアルの白い身体にのしかかり、規則正しく律動している。

 

「あ……! あ……! や……!」

 

アルの声が、獣のようになっていく。聖騎士の威厳も、王女の誇りも今はない。ただ、異形の怪物に貫かれる女の声だけが、廊下に響く。

 

アリステラもまた、犯されていた。

 

聖導女は、二体の怪物に同時に犯されていた。一体が彼女の口を塞ぎ、もう一体が彼女の下半身を貫いている。アリステラの白い身体が、二体の怪物の間で挟まれ揺さぶられる。

 

「ん……! んん……!」

 

口を塞がれた彼女は声も出せない。ただ、涙だけが止めどなく溢れていた。

 

メローペの方は、さらに凄惨だった。

 

彼女は、三体の怪物に囲まれていた。一体が彼女の脚を開かせ、一体が背後から彼女の胸を揉み、そして一体が。

 

「く……! あ……!」

 

メローペは、歯を食いしばっていた。白銀の処刑人としての誇りが、彼女に声を上げることを許さない。だが、身体は正直だった。怪物のものが彼女の内部を擦るたびに、白い肌が震え太ももが痙攣する。

 

「あ……! い……!」

 

メローペの目から、涙が零れた。

 

昴は、首を吊り上げられたままその光景を見せられていた。

 

アルが犯されている。アリステラが犯されている。メローペが犯されている。

 

三体の怪物が三体の女を犯している。いや、三体ではない。三十体のナイトウォーカーが、代わる代わる三体の女に襲いかかっている。

 

アルの身体から一体が抜ける。そして、すぐに別の一体が彼女に覆いかぶさる。

 

「あ……! また……! や……!」

 

アリステラも口を塞いでいた怪物が離れると、すぐに別の怪物が彼女の口を塞ぐ。

 

「ん……! んん……!」

 

メローペの身体は、すでに三体の怪物に同時に貫かれていた。

 

「あ……! く……! あ……!」

 

三体の女の声が、廊下に響く。悲鳴。嗚咽。屈辱。快感。

 

昴は、涙を流しながらその光景を見ていた。

 

(私のせいだ……)

 

そう思った。

 

(私が捕まったから……みんなが……)

 

首を掴む怪物の腕が、締まる。呼吸が苦しい。意識が遠のきそうになる。

 

だが、リリスの声がその意識を引き戻した。

 

「どうです? 昴様。お仲間の姿は」

 

リリスは、昴の耳元で囁いた。

 

「美しいでしょう? 女が女であることを思い知らされる瞬間というのは」

 

「……っ」

 

昴は、リリスを睨んだ。涙で霞んだ視界の中で、それでも憎しみの眼差しを向けた。

 

リリスは、その眼差しを受けて嬉しそうに笑った。

 

「その目、素敵ですわ。昴様」

 

彼女は、昴の頬を撫でた。

 

「あなた様は、わたくしが直接お相手いたします。……お仲間のように、雑には扱いませんわ」

 

 

「……やめろ」

 

昴の声は、掠れていた。

 

「みんなを……返せ……」

 

「返せ、と申されましても」

 

リリスは、首を傾げた。

 

「もう、返せない状態になっておりますわよ?」

 

昴は、もう一度、仲間たちを見た。

 

アルは、すでに五体の怪物に犯されていた。聖騎士の身体は、白い液体にまみれ金色の髪は汗と涙で顔に張り付いている。その目は、虚ろだった。

 

「あ……! あ……! あ……!」

 

アリステラは、三体の怪物に同時に犯されながら、それでも必死に祈りを唱えようとしていた。

 

「ん……! ん……! 地母神……! どうか……!」

 

だが、その祈りは、怪物のもので口を塞がれ途切れる。

 

メローペは、すでに声を上げることさえやめていた。白銀の処刑人は、四体の怪物に身体を好き勝手にされながら、ただ、天井を見つめていた。その目には、涙が溜まっている。

 

昴は、唇を噛んだ。

 

(私が……私が何とかしなければ……)

 

だが、どうすればいいのか。

 

首を掴まれている。弓も落とした。両手は、怪物の腕に捕らえられている。

 

(犯され戻り……)

 

昴の頭に、自分の権能が浮かんだ。

 

(男に犯されると、過去に戻れる……)

 

だが、今、昴を捕まえているリリスは女だ。

 

(誰も……私を犯さない……)

 

昴は、絶望した。

 

(このままじゃ……みんなが……)

 

リリスが、昴の顎を掴み自分の方を向かせた。

 

「さて、昴様。お仲間の鑑賞会はこれくらいにいたしましょうか」

 

彼女は、昴の身体を、廊下の壁に押し付けた。

 

「わたくしも、そろそろ、あなた様をいただきたくなりましたわ」

 

リリスは、昴のブラウスに手をかけた。

 

「……やめて」

 

「あら。まだ抵抗なさいますの?」

 

リリスは、くすくすと笑った。

 

「お仲間がどうなってもいいのですか?」

 

「……!」

 

昴は、言葉を詰まらせた。

 

リリスは、昴のブラウスを裂いた。小さな乳房が、廊下の光に晒される。

 

「まあ。小さくて可愛らしい胸ですこと」

 

リリスは、昴の乳首に指を這わせた。

 

「ん……!」

 

昴の身体が、びくりと震えた。

 

リリスは、満足そうに笑った。

 

「敏感なのですね。……いいですわ。わたくし、こういうのはじっくりと味わうのが好きなのです」

 

彼女は、昴のスカートにも手をかけた。

 

「さあ、昴様。……わたくしと、楽しい時間を過ごしましょう?」

 

昴は、目を閉じた。

 

(みんな……ごめん……)

 

アルの悲鳴がアリステラの嗚咽が、メローペの息遣いが聞こえる。

 

そして、リリスの手が昴の下着に触れた。

 

その瞬間。

 

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⭐️月の勇者

その瞬間、宿屋の屋根が裂けた。

 

月光が降り注いだ。

 

廊下の天井を突き破り銀色の光が舞い降りる。あまりにも突然のことに、ナイトウォーカーたちの動きが止まった。リリスが顔を上げる。昴も、首を掴まれたまま上を見た。

 

屋根の裂け目から、影が一つ舞い降りた。

 

長い金髪が月光を浴びて輝いている。尖った耳。透き通るような白い肌。すらりと伸びた四肢。そして、手には見事な細工の長弓。その握りには月の紋章が刻まれている。

 

「月明かりの下で、醜いナイトウォーカーの跳梁など、許しませんわ」

 

声は、鈴を転がすように澄んでいた。だが、その奥には凍てつくような怒りが宿っている。

 

エルフの女だった。年齢は人間で言うなら二十代半ばほどに見える。だがエルフの寿命は人間のそれをはるかに超える。見た目通りの年齢ではないことだけは、誰の目にも明らかだった。

 

リリスが、その名を呟いた。

 

「まさか…マイア・アルトリア…!」

 

「ご名答」

 

エルフは、優雅に弓を構えた。矢筒から白羽の矢を抜き、番える。その動作はあまりにも滑らかだった。一分の無駄もない。呼吸するように、自然に。

 

「月の勇者…! なぜここに…!」

 

リリスの声が、初めて動揺に揺れた。

 

「なぜ、ですって?」

 

マイアは、静かに笑った。

 

「あなたが、わたくしの友人を傷つけたからですわ」

 

「友人…?」

 

「ええ。昴、アリステラ、メローぺ、アルキュオネー、わたくしがお世話になっている子達」

 

マイアの瞳が、廊下に倒れているアリステラを見た。

 

「彼女達が何をされたか」

 

その瞳が、冷たく細められる。

 

「わたくしの弓は、悪を射るためにありますの」

 

「ふ…! 笑わせますわね!」

 

リリスが、叫んだ。

 

「月の勇者など、もう終わった存在! 十年前の魔物侵攻で心を壊し、廃人同然になったと聞いておりますわ! それが今さら、何の真似ですの!」

 

「廃人…」

 

マイアは、その言葉を噛みしめるように呟いた。

 

「ええ、そうでしたわ。わたくしはあの戦いで心を壊しました。仲間を失い、故郷を失い弓を引くことさえできなくなりました。薬に救いをもとめ、長い間、ただ、生きているだけの日々でした」

 

彼女は、弓を構えたまま静かに続けた。

 

「ですが、そんなわたくしを救ってくれた者達がいるのです」

マイアは、微笑んだ。それは月光のように静かで、温かい笑みだった。

彼女は、弓を引き絞った。

 

「だから、わたくしはここにいます。月の勇者、マイア・アルトリアとして」

 

矢が、放たれた。

 

「ムーンライトアロー」

 

その名の通り、矢は月光を纏っていた。白銀の軌跡を描き、廊下を駆け抜ける。

 

最初の一体を貫いた。矢は止まらない。二体目、三体目、四体目。白羽の矢はナイトウォーカーたちを次々と貫いていく。

 

「な…!?」

 

リリスが、目を見開いた。

 

「ばかな…! わたくしの可愛い子たちが…!」

 

「可愛い子たち、ですって?」

 

マイアは、二本目の矢を番えた。

 

「あなたの化け物どもはわたくしの友人たちを犯した。その罪は、万死に値しますわ」

 

矢が放たれる。廊下を這っていた一体が、頭部を貫かれて崩れ落ちる。

 

「ムーンライトアロー」

 

三本目。天井からぶら下がっていた個体が、胸を射抜かれて落下する。

 

四本目。五本目。六本目。

 

マイアの射撃は、まるで舞踏のようだった。矢筒から矢を抜き、番え、引き絞り放つ。その動作の一つ一つが、芸術的なまでに洗練されている。

 

ナイトウォーカーたちはなすすべもなく屠られていく。彼女の矢は、正確に急所を射抜いた。頭部。心臓。脊髄。一体として無駄なく、確実に。

 

「あ…! あ…!」

 

アルの上に覆いかぶさっていた個体が、マイアの矢に貫かれて崩れる。聖騎士の身体が、ようやく解放された。

 

「アルキュオネー様!」

 

マイアが叫ぶ。

 

「ご無事ですか!」

 

「…マイア…!」

 

アルは、涙で霞んだ目で銀髪のエルフを見た。

 

「なぜ…ここに…」

 

アリステラの上にいた個体もメローペを押さえていた個体も、次々に射抜かれていく。白銀の処刑人の身体が、自由になった。

「メローペ様! アリステラ!」

マイアの声に、二人は顔を上げた。

「治癒を! ご自身に!」

 

「…ああ」

メローペは、震える手で床に落ちていた魔剣《絶刀・雪月花》を拾った。そして、立ち上がった。白い肌には無数の傷と、白い液体がこびりついている。だが、その目には再び闘志が宿っていた。

 

「アリステラ」

 

メローペは、聖導女の名を呼んだ。

 

「立てるか」

 

「…ええ」

 

アリステラは涙を拭い、立ち上がった。彼女の法衣は無残に破かれ、白い身体が晒されている。だが、その手には治癒の光が宿っていた。

 

「地母神よ…! 傷つきしものに癒しの光を!」

 

アリステラの祈りが廊下に響く。柔らかな光が、アルとメローペとそして自分自身を包んだ。傷が塞がり、体力が戻っていく。

 

「ありがとう、アリステラ」

 

アルが、光翼剣を手に立ち上がった。彼女の鎧は剥がされ、下着姿のままだった。だが聖騎士の誇りは、その目に戻っていた。

 

「マイア。わたくしも戦います」

 

「ええ、アルキュオネー様」

 

マイアは、微笑んだ。

 

「ですが、そのお姿で?」

 

「…仕方ありませんわ。鎧は、壊されてしまいましたから」

 

アルは、光翼剣を構えた。

 

「ですが、聖騎士の力は心に宿るもの。この程度の屈辱、わたくしの誇りを折ることはできませんわ」

 

「ならば、わたくしも」

 

アリステラが、両手を胸の前で組んだ。

 

「聖導女として、皆様を守ります」

 

「私は」

 

メローペが、魔剣を抜いた。

 

「この屈辱、倍返しにしてやる」

 

三人の女が、廊下に立った。全裸のまま。だが、その姿はもはや陵辱された犠牲者ではなかった。怒りに燃える、戦士たちだった。

 

リリスが、震える声で叫んだ。

 

「な…! なぜ立ち上がるのです! あなた方は犯されたのですよ! 屈辱に泣き叫んでいたではないですか!」

 

「ええ」

 

アルが、静かに答えた。

 

「確かに、わたくしは屈辱を受けた。犯され、泣き叫んだ。ですが…」

 

彼女は、光翼剣を構えた。

 

「わたくしは、ルシリオン王国第三王女アルキュオネー・ヴァル・ルシリオン。この程度のことで、折れる女ではありませんわ」

 

「私は、聖導女アリステラ・エーレクトラー」

 

アリステラが、祈りを捧げた。

 

「すべての傷ついた者に、癒しの光を。…そして、あなたのような悪しき者には裁きの光を」

 

「白銀の処刑人、メローペ・ヴァイス」メローペが、魔剣を構えた。

 

「お前たちドルガルドに、私の故郷は滅ぼされた。…この剣は、その復讐のためにある」

 

「な…!」

リリスが、後ずさった。

マイアの矢が、リリスを狙った。

「ムーンライトアロー」

 

白銀の矢が、リリスに向かって放たれた。

 

リリスは、それを避けた。だがマイアの狙いは、最初からリリスではなかった。

 

矢は、リリスの背後にいた最後のナイトウォーカーを貫いた。廊下にいた三十体すべての怪物が、これで倒されたことになる。

 

「あ…!」

 

リリスが、振り返った。ナイトウォーカーがすべて倒れている。廊下には異形の身体が折り重なっていた。

 

「わたくしの…わたくしの可愛い子たちが…!」

 

「もう、あなたの子たちはいませんわ」

 

マイアが、二本目の矢を番えた。

 

「さあ、リリス・ノクス。あなたの番です」

 

「…っ!」

 

リリスは、後ずさった。だが後ろには、アルとメローペが立っている。

 

「逃げられませんわよ」

アルが、光翼剣を構えた。

 

「私は、あなたを許さない」

メローペが、魔剣を構えた。

「降伏してください。命は保証します。」昴が言った。

 

「わたくしはドルガルド連邦の魔将!ドルガルド8世陛下に命を捧げたものです。降伏はしません。

殺しなさい!あなたたち人間が魔族に散々やってきたことでしょう!私の父や弟は人間の貴族たちに、彼の獲物として面白半分に殺されたわ!私と姉は父と弟の死体の前で、貴族たちに面白半分に犯されたわ。ドルガルド陛下がそんな私たちを救ってくれた!あのかたの理想を叶えるためなら、私は何回死んだって悔いはない。」リリスは陶然と叫んだ。

その瞬間、彼女の周囲に煙幕弾が炸裂した。ドルガルドの手のものがすんでのところで、彼女を救出したのであった。

 

⭐️ドルガルド8世

鉄皇城ガルドヘイム。

大陸の三分の一を支配するドルガルド連邦の心臓にして皇帝の居城。黒鉄の尖塔が空を突き刺し、城壁には無数の旗が翻る。その玉座の間で、リリス・ノクスは冷たい石床に額を擦り付けていた。

 

「陛下…! 私は…ドルガルド連邦の名誉に泥を塗ってしまいました…!」

 

彼女の声は震え、黒いメイド服の肩が小刻みに揺れていた。独断専行。任務の失敗。そして何より敗北したこと。それらすべてが、彼女を押し潰さんばかりの重圧となっていた。

 

「勝手に出撃し、勝手に敗北し…このリリス、万死に値いたします! どうか…どうか死刑なり孕み袋の刑なり、お申し付けくださいませ…!」

 

涙が床に染みを作る。愛する主の期待を裏切ったことが、心を引き裂くほど辛かったのだ。

 

玉座から衣擦れの音がした。

 

「顔を上げろ、リリス」

 

低く、しかし不思議な温かみを含んだ声が響いた。ドルガルド八世。大陸を統べる絶対君主の声だった。

 

「…はっ…」

 

リリスは恐る恐る顔を上げた。涙で濡れた紅い瞳が、玉座に座る青年を捉える。黒い軍服に身を包み、鋭い眼光を放つ皇帝。だがその表情に怒気はなかった。

 

「お前が勝手に出て行くから心配したんだぞ」

 

八世は玉座から立ち上がり、ゆっくりとリリスに近づいた。重い足音が玉座の間に響く。家臣たちは息を呑んでその光景を見守っていた。

 

「ルシリオンの聖騎士アルキュオネー。白銀の処刑人メローペ・ヴァイス。そして月の勇者マイア・アルトリア。名のある強敵三人相手によく生き残ってくれた」

 

八世はリリスの目の前で膝をついた。絶対君主が臣下の前で膝をつくなど異例のことだった。家臣たちがどよめく。

 

「陛下…?」

 

リリスは呆然と主を見上げた。

 

「私は…失敗したのです。お役に立てなかったのです」

 

「結果だけが全てではない」八世は静かに言った。「過程がある。お前は最後まで戦い抜き、生きて戻ってきた。それだけで十分だ」

 

八世の手が伸び、リリスの頬に触れた。大きな手のひらが涙を拭う。

 

「お前への罰を申し付ける」

 

八世の声が玉座の間に響き渡った。家臣たちが固唾を呑む。

 

「本日を持って魔将の地位を剥奪する」

 

「…はい。承知いたしました」リリスは目を伏せた。当然の処分だった。

 

「そして」八世は続けた。「私の側付きのメイドとして命ある限り我が傍にはべることを命じる」

 

「え…?」

 

リリスは目を見開いた。紅い瞳が震える。

 

「め、メイド…? 陛下の…側付き…?」

 

「ああ」八世は頷いた。「二度と私の目の届かぬところへ行くな。私が守れる距離にいろ。それがお前への罰だ」

 

それは罰などではなかった。彼女にとってこれ以上の喜びはなかった。愛する主のそばに永遠にいられること。その手が届く距離にいられること。

 

「うっ…うぅぅぅ…!」

 

リリスの目から再び涙が溢れ出した。だが今度は悲しみの涙ではなかった。

 

「ああっ…! 陛下…! 陛下ぁっ…!」

 

彼女は子供のように泣きじゃくった。感極まった嗚咽が玉座の間に響く。

 

「よしよし」

 

八世は優しく彼女の頭を撫でた。まるで迷子の子供を慰めるように。

 

そしてそのまま彼女の体を軽々と抱き上げた。

 

「ひゃっ…!」

 

「立てないだろう。部屋まで運んでやる」

 

八世は家臣たちの方を見もせず言った。

 

「下がれ。今日はこれまでだ」

 

「はっ…!」

 

家臣たちは一斉に頭を下げ玉座の間から退出していった。

 

八世はリリスを抱えたまま玉座の間を出て廊下を歩き自分の寝室へと向かった。リリスは彼の広い胸に顔を埋めその温もりと匂いに包まれていた。

 

寝室に入ると八世はリリスを大きな寝台の上にそっと下ろした。

 

「…陛下」

 

リリスは上着のボタンに手をかけた。

 

「メイドとして…お務めを…」

 

「今日はいい」八世はその手を止めた。「ただ休め」

 

「しかし…」

 

「今夜のお前の務めは一つだけだ」

 

 

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八世はリリスの上に覆いかぶさった。

 

「私に抱かれることだ」

 

唇が重なった。

優しく丁寧な口づけだった。リリスは目を閉じ主を受け入れた。

 

八世の手が黒いメイド服を脱がせていく。一枚ずつ丁寧に。乱暴ではなく慈しむように。白い肌が露わになる。戦いでついた傷跡に八世の唇が落ちた。

 

「ここも…ここも…」

 

一つ一つ傷に口づけをしていく。その優しさにリリスの心が溶けていった。

 

「陛下…私など…こんな魔族女など…」

 

「お前は私の側仕えだ」八世はリリスの目を見つめた。「誰にも渡さん」

 

八世自身も服を脱ぎ捨て二人の肌が触れ合った。

熱い肌。硬い筋肉。そして太い男根がリリスの秘所に触れる。

 

「入れるぞ」

 

「はい…ああっ…!」

 

ゆっくりと八世が沈んでいく。

痛みはなかった。すでに濡れていたからではない。愛する人に受け入れられる喜びに身体が自然と開いていたからだ。

 

最奥まで到達すると八世は動き始めた。

ゆっくりと優しく。決して乱暴ではなく愛おしむように。

 

「あっ…陛下…ああっ…!」

 

リリスの声が漏れた。先ほどまでの恐怖も屈辱も消え失せていた。あるのは幸福感だけだった。

 

「私みたいな魔族女が…陛下のおそばにおいていただけるなんて…」

 

涙が頬を伝う。

 

「リリスは…幸せです…!」

 

八世の律動が少しだけ速くなる。

摩擦の熱が生まれ甘い疼きが広がっていく。

 

「私もだ」八世が耳元で囁いた。「お前が生きて戻ってきてくれてよかった」

 

その言葉が最後の理性を溶かした。

 

「ああっ! 陛下ぁっ! 大好きっ! 大好きですっ!」

 

リリスは八世にしがみついた。爪が背中に食い込む。だが八世は気にする様子もなく腰を動かし続けた。

 

二人の呼吸が重なり汗が混ざり合う。

寝室には水音と肉がぶつかる音そして二人の息遣いだけが響いていた。

 

「いくぞ」八世が低く呻いた。

 

「はいっ! 中にっ! 中に出してくださいっ! 陛下の子を…孕ませてくださいっ!」

 

リリスの懇願に応えるように八世は深く深く突き入れた。

そして熱い精を注ぎ込んだ。

 

「ああああぁぁぁっ!!!」

 

リリスの背が弓なりに反った。

今まで感じたことのない圧倒的な快感。愛する人の中で果てる至福。

彼女の意識は白く弾け甘い闇に沈んでいった。

 

*

 

事後。

寝台の中で二人は抱き合っていた。

リリスは八世の胸に頬を寄せその鼓動を聞いていた。

 

「陛下…」

 

「なんだ」

 

「罰として…一生このお務めをお申し付けくださいませね」

 

リリスは悪戯っぽく笑った。

 

「当然だ」八世も笑った。「二度と逃がさん」

 

二人の唇が再び重なった。

鉄皇城ガルドヘイムの夜はまだ長い。

 

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