レイプから始まる異世界生活 私は「犯られ戻り」で異世界を生きていく 作:みなぽん
十八歳。黒髪のショートカット。小柄で細身だが、弓道の有段者で、神社の境内を走り回り、祭りの準備や薪割り、掃除などを手伝って育ったため、体幹が強く運動神経もいい。性格は快活、行動的、好奇心旺盛。異世界に転生時に権能を特殊な授かる。それは「犯られ戻り」男に犯されると一定のタイミングで過去の時間に戻ることができる。
【挿絵表示】
アルキュオネー=ヴァル=ルシリオン 種族 人間
二つ名 傲慢(プライド)のアル
ドルガルド連邦に滅ぼされたルシリオン王国の第三王女
金色の髪とサフィアの瞳を持つ、美貌の聖騎士。お嬢様言葉が堅苦しい印象を与えるが、高貴な誇りゆえ。昴からアル姉と慕われ懐かれるお姉様
•武器:光翼剣《ルクス・レギナ》
「聖騎士の力は心の中に宿るもの、気高い心で自らに誇りが持てる生き方をするのです。」
「私は昴のお姉ちゃんでナイトですから❤️」
【挿絵表示】
アリステラ・エーレクトラー 聖導女
大陸で大きな勢力をもつリーキスト教団の聖導女。心優しい彼女は、自らの意思で孤児たちをあつめ
孤児院で世話をしている。子供たちのためであれば、どんな犠牲も厭わない彼女周囲の汚れた男たちから
時に利用され、時に虐げられる。しかし彼女の清い心はくじける事は無い。
アルキュオネー様、昴様と相手には尊称をつけて話す。
「可愛い子供達のためなら私はどんな屈辱や痛みにも絶えてみせます」
「慈悲深き地母神よ!傷つきしものに癒しの光を」
【挿絵表示】
メローペ・ヴァイス 魔剣士
ドルガルド連邦軍特殊執行部隊で白銀の処刑人と呼ばれていたクールな少女。
アルキュオネー暗殺に参加するが、l郷里の村をドルガルド連邦に虐殺された事を知りドルガルドを脱して
昴達の味方になる。ことに、自分の命と妹のペリーヌの命を助けてくれたアリステラには恩義を感じており彼女に個人的に剣を捧げている。アリステラの教会に住んでおりクールで塩対応のシスターとして名物になっている。愛刀は魔剣 絶刀 雪月花
「アリステラ、私は命に換えてもも貴女を守る。」
「何かしらその目は、身の程を知りなさい。
【挿絵表示】
」
マイア・アルトリア
月の光を宿した金色の長い髪、超絶美人エルフで月の勇者と呼ばれた弓の名手 精霊魔法も得意。
勇者の重責に耐えかねて酒浸りからヤク中毒になり売人の男達と荒んだ生活を送っていたが昴やアリステラに助けられ冒険者として復活した。人前では高潔な月に勇者の外面だが、緩むと酒カスでだらしないポンコツエルフ 127歳 月の紋章のアルテミスの弓を使う。
「月に代わって制裁です。」「カリュプソー いいじゃんか なぁ❤️」
【挿絵表示】
カリュプソー・オーギュギアー ホビット
黒い長髪に、澄んだ青い瞳。頭には、古い時代の魔術師が愛用したという、金糸の刺繍を施した大きな黒紫色の三角帽子。身体を包む漆黒のマント、古びた杖を片手に立つその姿は愛らしいが213歳。青の魔導士と呼ばれる大魔法使いである。
真面目な性格だが渋いおじさまとスイーツが大好きでおじさんには幼い振りをして甘えるあざとい側面を持つ。だらしない月の勇者、マイアとは親友で元 勇者パーティ仲間
「マイア!あなたは無駄に良い見た目と弓を抜いたら、どうしようもないポンコツです!l」
【挿絵表示】
血塗れの狼姫 ヴァレリア ヴァル ディオーネ 剣闘士 37歳
トンガリお耳にボサボサの黒髪に狼の黄金の瞳、ふさふさのしっぽにグラマラスな体。
身長2メートルの長身で怪力の持ち主だが母性溢れる優しい狼の獣人。
ドルガルドに村を襲われ、剣闘士奴隷に身を落としていたが昴たちに出会い仲間になる。
「私がみんなを守るから、」「お母さんだと思って甘えてくれていいんだよ」
「ご飯作ったから、たくさん食べておくれよ、お料理は得意なんだ」
【挿絵表示】
大陸の地図
ドルガルド連邦侵攻戦記―王の軍勢、二つの王国を呑む
ドルガルド連邦の恐ろしさは、単に兵士の数が多いことでも、魔族や魔物を軍隊に組み込んでいることでもなかった。
戦争の始め方から、敵を打ち破る方法、勝利した後の国の支配に至るまで、すべてが一つの体系として完成している。
ハルディア王国とゼルディア公国は、決して弱小国ではなかった。両国は長年の軍事協定によって結ばれ、騎士団、弓兵、魔術師団、重装歩兵を合わせれば、連合軍は数万の兵力を動員できた。両国の王族も貴族たちも、ドルガルドの脅威を理解していた。国境の砦を増強し、兵糧を蓄え、魔術障壁を張り巡らせ、連絡網を整備した。
しかし、彼らが備えていたのは、これまでの大陸で繰り返されてきた戦争だった。
彼らは友邦のルシリオン王国が滅亡するまで知らなかったのである。自分たちが、これまでの戦争の常識そのものを覆す軍隊と対峙しようとしていることを。
ドルガルドでは5年前から、両国を征服した後の土地台帳の準備まですでに始まっていた。
第一章 開戦前夜――王冠の下の亀裂
ハルディア王国の王都ハルディオン。
王城の大広間には、深夜にもかかわらず、数十本の燭台が灯されていた。長い会議卓には国境地帯の地図が広げられ、赤い駒がドルガルド連邦軍の推定位置を示している。
国王エドガルド三世は、五十を越えた壮年の男だった。白髪の混じる髭を蓄え、長年の統治によって刻まれた皺を額に浮かべている。彼の右手には、王国の守護を象徴する古びた指輪があった。
「それで、敵の主力はどこにいる」
「国境の東方、グランベル平原に集結していると考えられます。斥候の報告では、少なくとも十万。後方にはさらに大規模な輸送部隊が確認されています」
軍務卿の報告に、居並ぶ貴族たちがざわめいた。
十万。
ハルディア単独では到底対抗できない兵力だった。しかし、ゼルディア公国の軍を合わせれば、野戦において勝機はある。そう考える者も少なくなかった。
「魔物の軍団については?」
国王が尋ねると、魔術師団長が険しい顔で答えた。
「ワイバーン、ゴーレム、トロル、その他多数。正確な数は不明です。問題は、敵がそれらを単なる魔物の群れとして運用していないことです」
「どういう意味だ」
「組織的に動いているのです。斥候によれば、魔族の使役師が魔物に命令を下し、人間の部隊と連携している。魔物が城門を破壊し、人間の工兵が障害物を撤去し、魔術師が敵の防御魔法を無力化する。……それぞれが、あらかじめ決められた役割を果たしているようなのです」
その説明を聞き、騎士団長ローデリックは不快そうに鼻を鳴らした。
「所詮は魔物だ。知性のある連中が指揮していようと、我らの騎士団が突撃すれば崩れる」
彼は勇敢な男だった。若い頃から幾度もの戦場を経験し、国王への忠誠も本物だった。
だが、その勇敢さは、彼が知っている戦争の範囲内でしか機能しなかった。
「騎士団長」
王太子レオナールが口を開いた。
二十六歳の王太子は、金髪を短く整えた青年で、父王によく似た青い瞳を持っていた。武芸にも秀で、王都の民からも人気があった。しかし、彼は父の前でさえ、安易な楽観論を口にすることはなかった。
「敵が我々の想定以上に強いのであれば、なおさら慎重になるべきです。ゼルディアとの共同指揮系統を早急に確立しなければなりません」
「もちろんだ」
国王は頷いた。
そのとき、会議卓の隅に座っていた財務卿が、ためらいがちに口を開いた。
「陛下、もう一つ問題がございます。国境地帯の貴族領から、兵糧の供出が滞っております。各領主は自領の防衛を優先すると主張しており……」
「この期に及んで、まだ領地の取り分を気にしているのか!それともドルガルドと内通しているのか?」
王太子が怒声を上げた。
財務卿は肩をすくめた。
国王は目を閉じた。
ドルガルドの侵攻を前に、王国の内部にはすでに亀裂が走っていた。腐敗した貴族が蓄えた富、重い税負担に苦しむ農民、領主ごとに異なる法、そして中央政府への不信。これらは一朝一夕に解決できる問題ではない。
しかも、誰も知らなかった。
その亀裂を広げるために、ドルガルド外務府の工作員たちが何年も前から動いていたことを。
国境の村では、反乱を煽る者たちが武器を配っていた。王都では、財政難を理由に軍の改革を妨害する貴族が、連邦の商人から密かに金を受け取っていた。
ゼルディア公国の宮廷でも、連合軍の指揮権を巡る対立が繰り返されていた。
ドルガルドは、まだ一兵も国境を越えていない。
それでも、侵攻は始まっていたのだった。
⭕️ドルガルド内部工作員 リーゼロッテ クラウスの証言
王都の夜風は、いつだって退屈な血の匂いがする。
ハルディア王国の重鎮、「賢明なる」ライン伯爵、か。あはっ、笑わせないで。そんな見栄えだけの称号も、彼の頭蓋骨の中身が空っぽであることを隠すための、ただの薄っぺらい飾りに過ぎないのよ。
私、ドルガルド連邦特殊工作員、リーゼロッテの任務は、この愚鈍な豚を連邦の掌の上で踊らせること。ドッペルゲンガーである私にとって、他人の顔を模倣し、人心を操るのは造作もないこと。けれど、今回はあえて私の素の——といっても、これも作り物の容姿だけれど——姿のまま、彼に近づいた。こういうタイプの男は、自信過剰で美しい獲物には目がない。自分の権力で御せると思い込んでいるからね。
まずは実利だ。彼が喉から手が出るほど欲していた「隣国との密貿易ルート」と、それを合法化する偽の特権状をちらつかせてやった。領地の収益を増やし、王都での発言力を強めるための知恵(なんてね、ただの連邦の傀儡化計画の第一歩だけど)を小出しにしてあげたの。
「伯爵、あなたの洞察力には恐れ入ります。この計画なら、王太子の派閥にも一泡吹かせられますわね」
私が艶然と微笑んで褒めちぎると、彼はすぐに鼻の下を伸ばした。自分の浅知恵が功を奏したと信じ込み、私を「理解者」だと決め込んでいる。マジでバカすぎて吐きそう。実利で懐柔し、彼の自尊心を最高潮にまで煽り上げたら、次は肉体。これが一番手っ取り早いし、何より私の息抜きになるから好き。
昨日の夜、私の屋敷の私室に彼を呼んだ。「今後の協力関係について、より深く語り合いたい」なんて、それっぽい文言を添えて。やって来た彼は、堅苦しい外交辞令を並べ立てたけれど、私がワインの注がれたグラスを手に取り、わざとらしく足を組み、スカートのスリットから太ももをちらつかせた途端、言葉を失った。
滑稽ね。伯爵の視線が、私の脚から胸元、そして唇へと這い回る。彼の喉がゴクリと鳴る音まで聞こえたわ。私はゆっくりと立ち上がり、彼の膝の上にまたがった。彼が息を呑むのが分かる。
「ねえ、伯爵。……ライン」
耳元で甘く囁き、わざとらしく腰を擦り付けると、彼はもう我慢できなくなったみたい。
伯爵が私の与えた政治的な餌を食らい尽くし、私という「肉」を食らう番。そう思って誘いをかけた途端、あの愚かな伯爵は私の体に雑魚ちんぽ全開に勃起させてさぁ、マジ受けるんだけどお決まりのオスの反応を示した。私の柔らかい肌に押し付けられた彼のモノは、硬さだけは立派で、中身の愚かさと全く伴っていない。その滑稽なまでの生命力、笑いを堪えるのに必死だったわ。
私は彼の膝の上で体の向きを変え、彼と正面から向き合った。彼の首に腕を回し、ゆっくりと唇を重ねる。今度は私から。優しく、丁寧に、でも少しも焦らさずに。彼の唇が乾いている。中年男の唇なんて、政治的駆け引きと酒とタバコで荒れきっている。私の舌先でその乾いた唇をなぞり、少しずつ彼の口腔へと侵入していく。
「んっ……んむ……」
彼が低く唸る。私の舌が彼の舌を絡め取り、優しく吸い上げると、彼の腕に力が入るのが分かった。背中を撫でる私の手に、彼の体温が伝わってくる。中年男の体は、どこか硬い。筋肉というより、長年の緊張とストレスが凝り固まったような硬さ。私は彼の背中を優しく撫でながら、首筋から肩にかけて指を這わせた。
「伯爵……緊張してる?♥」
「ば、馬鹿な……私がそんな……」
「ふふっ、体が硬いよ。ほら、ここも♥」
私は彼の股間に押し付けられた硬いモノを、あざとく腰で擦り上げた。彼の息が詰まる。
「っ……!」
「ふふっ、伯爵のここ、すごく硬くなってる。私のこと、そんなに欲しいの?♥」
耳元で囁きながら、彼のズボンの上からその形状を手のひらで確かめる。おや、思ったより立派じゃない。雑魚ちんぽとか言ったけど、サイズだけは悪くないわね。もっとも、使い方がなってないんだろうけど。中年男の性欲というのは、退化するどころか、枯れるどころか、若い頃よりも粘着質で執拗になる。それを分かっているからこそ、私のテクニックが活きるのよ。
「リーゼロッテ……もう、待てん……」
「あら、伯爵。もう待てないの? 私のことがそんなに欲しい?♥」
私は彼の耳たぶを甘噛みしながら、片手で彼のズボンを解き始めた。ボタンを外す指先はゆっくりと、わざとらしく。彼の呼吸がどんどん荒くなっていく。中年男の興奮は、若い男のそれとは違う。ゆっくりと、しかし深く、体の芯から熱くなっていく。その熱を、私が巧みにコントロールしてあげる。
ズボンの前開きから手を滑り込ませると、すでに全開に勃起した彼のモノが、下着の生地を押し上げていた。私はその熱を手のひらで包み込み、ゆっくりと擦り始めた。
「はっ……ああっ……」
「伯爵……ここ、すごく熱くなってる。私の手の中で、こんなに硬くなって……♥」
下着越しに指を這わせ、亀頭のあたりを優しく指先で円を描くように刺激する。彼の腰がびくんと跳ねた。
「っく……! リーゼロッテ……!」
「ふふっ、ここ、弱いの?♥ 伯爵の弱点、ここなのね」
下着を下ろし、直接彼のモノを手に取る。熱く、硬く、脈打っている。若い娘の白く細い指が、中年男の充血したモノを包み込んでいるその対比。私はゆっくりと、丁寧に、彼のモノを扱き始めた。
「ああっ……! くっ……!」
「伯爵……私の中に来て❤️伯爵になら私は何をされても構わない♥」
手のひらで亀頭を包み込み、優しく促す。
伯爵はもう豚みたいに息を喘がせてのしかかってきたわ。
「ああ、。素敵だよ、リーゼロッテ……お前は、私の運命の……」
彼のものが、私の中で激しくピストンする
「ああっ、伯爵……そんなに激しくしたら、私、壊れちゃいます……♥」
私は自ら腰を振って答える。
もちろん、口に出すのは蕩けるような甘い声で。だけど、私の脳内では彼を徹底的に見下している。ハルディア王国の重鎮が、ドルガルド連邦の工作員の体を貪るその無様な姿を。彼のちんぽなんて、ただの肉の棒。
それを私の体に全開に勃起させて、ドッピュドッピュと吐き出すのを、私が優雅に、そして冷酷に受け止めてあげるだけ。
「ああ、リーゼロッテ❤️君を正式に我が家に迎えよう私のそばにずっと行ってくれ。私の子供を産んでくれあぁ好きだ好きだ!」
「伯爵様、うれしいです❤️出してください。いっぱい出して妊娠させてください。伯爵様に愛していただけるなら私は何も要りません。素敵、大好きです。」
私はうっとりした顔で、あいつの喜ぶことを言ってやった
「リーゼ 射精るうっ!」
あいつは自分の娘ほどの私の体の中にたっぷり射精したよマジで受けるんだけど。
今、愚かなライン伯爵は私の隣で幸せそうな寝息を立てている。彼が持ち帰った密貿易の契約書は、すべて連邦にとって有利な条件に書き換えてある。彼は自分の領地の主導権も、王国での地位も、そして自分の性欲すらも、私に握らせていることにまだ気づいていない。彼が目を覚ましたら、また新しい「餌」を見せてあげましょう。それとも、朝からまたこの雑魚ちんぽの相手をしてあげようかしら。
まあ、どっちにしても、伯爵の最後はドルガルド様に粛正されるだけだけどね。♡
第二章 黒い地平線――グランベル平原の決戦
開戦の日、グランベル平原には朝霧が立ち込めていた。
ハルディア王国軍四万二千。ゼルディア公国軍二万八千。合わせて七万の連合軍が、平原を埋め尽くしていた。
歩兵の槍が幾重にも並び、騎士団の旗が風にはためく。後方には弓兵と魔術師団、そして両国が誇る重装騎兵が待機していた。丘陵には野戦砲に相当する攻城魔導器が据えられ、その周囲を工兵たちが忙しく走り回っている。
ハルディア王国軍の総司令官は、老将軍ヴァルター・グライゼン侯爵だった。六十歳。若い頃には国境戦争で名を上げ、幾度も格上の敵を打ち破った歴戦の指揮官である。
彼は馬上から東の地平線を見つめていた。
「敵はまだか」
副官が答えるより先に、地面が震えた。
最初は、遠雷のようだった。
次第に大きくなる地鳴り。鳥たちが森から一斉に飛び立ち、馬が不安げに嘶く。やがて朝霧の向こうに、黒い影が現れた。
一つではない。
十、百、千。
人間の兵士たちの頭上には、翼を広げたワイバーンの群れがあった。地上では巨大なトロルたちが棍棒を担ぎ、装甲を取り付けられたオーガが列を組んでいる。その背後には、人間の歩兵が規則正しく進み、さらに後方では無数の荷車が整然と連なっていた。
軍旗は黒地に金の竜。
ドルガルド連邦正規軍。
その先頭には、黒い甲冑を着た将校たちと、角を持つ魔族の使役師たちがいた。
「……あれが十万か」
ヴァルターは呟いた。
敵の数は、斥候の報告を上回っているように見えた。
だが、老将軍は恐怖を表に出さなかった。
「全軍、戦闘配置! 弓兵は敵先鋒を狙え! 魔術師団は防護結界を展開! 騎士団は命令あるまで動くな!」
命令が伝令によって走る。
連合軍は訓練どおりに動いた。槍兵が盾を構え、弓兵が矢をつがえ、魔術師たちが杖を掲げる。兵士たちの顔には緊張が浮かんでいたが、隊列は崩れていなかった。
やがて、ドルガルド軍の進撃が止まった。
その距離、およそ二千歩。
通常ならば、弓矢も魔法も届かない。
しかし、ドルガルド軍の後方で、奇妙な装置が組み立てられ始めた。
長い鉄製の架台に、筒状の魔導器が複数取り付けられている。装置の周囲には魔族の技術者たちが立ち、魔力を伝える結晶板を慎重に調整していた。
「なんだ、あれは」
ゼルディア公国軍の将軍が眉をひそめた。
次の瞬間、轟音が平原を裂いた。
青白い光が走り、連合軍の前方に次々と着弾する。土砂が噴き上がり、盾を構えていた兵士たちが吹き飛ばされた。魔導器の攻撃は一度で終わらなかった。複数の装置が順番に火を噴き、着弾地点を少しずつずらしながら、連合軍の防御陣地を叩き続けた。
魔法による遠距離砲撃だった。
だが、一発ごとに魔術師が呪文を唱える従来の攻撃とは違う。魔力を蓄積した結晶を交換し、照準を修正し、連続して撃ち込む。射程も威力も、連合軍が想定していたものを大きく超えていた。
「結界を維持しろ! 陣形を崩すな!」
魔術師団長が叫ぶ。
防護結界が光を放ち、幾つかの攻撃を受け止めた。しかし、着弾が続くにつれて結界は歪み、ついには砕け散った。
最初の数分で、前衛の一部が壊滅した。
連合軍の兵士たちは、敵兵の顔すら見ていない。
それでも戦争は始まっていた。
「弓兵、反撃!」
無数の矢が空を覆った。
しかし、ドルガルド軍はすでに動いていた。
ゴブリンの軽装部隊が、盾を組み合わせた小型の防護車両の後ろに身を隠しながら前進する。人間の工兵がその後方で障害物を除去し、魔術師が連合軍の反撃魔法を妨害していた。
そして、地面の下から何かが現れた。
最初に気づいたのは、連合軍の左翼にいた騎士だった。
足元の土が盛り上がった。
次の瞬間、巨大な甲虫が地中から飛び出した。
シージビートル。
硬い外殻は攻城兵器の衝角にも匹敵する強度を持ち、頭部には鋭く湾曲した角が生えている。その巨体が土塁に突っ込むと、土と木材がまとめて砕け散った。
一匹ではなかった。
二匹、三匹と地中から現れ、連合軍の防御陣地を内側から破壊していく。
「地中だと!?」
将軍が叫んだ。
土塁を防御の基点とする野戦陣地は、正面からの攻撃には強い。しかし、地面そのものを掘り崩されれば、その強みは失われる。
連合軍の左翼に、巨大な穴が開いた。
ドルガルド軍はその瞬間を待っていた。
「第三戦列、前進!」
黒い軍旗が動いた。
重装歩兵が盾を構え、穴の開いた陣地へ進む。ゴブリン部隊は両側へ散開し、弓兵と投槍兵が敵の射手を牽制する。トロルたちは破壊された土塁を踏み越え、巨大な棍棒を振り下ろした。
連合軍の兵士たちは必死に抵抗した。
槍がトロルの脚に突き刺さる。魔法の炎がゴブリンの盾を焼く。騎士たちが敵の側面へ突撃し、幾人もの魔族兵を馬上から斬り落とした。
決して、一方的に殺されていたわけではない。
連合軍にも勇敢な兵士がいた。家族を守るために戦う農民兵も、主君への忠義を胸に戦う騎士もいた。
だが、彼らの勇気は、戦場の構造そのものが崩れ始めたとき、あまりにも無力だった。
ドルガルド軍は、突破口を広げることに執着しなかった。
突破口を作った部隊が敵を引きつけている間に、別の部隊が迂回し、連合軍の指揮所と伝令路を狙う。魔族の斥候が煙幕の向こうを走り抜け、通信を担う魔術師を次々と襲った。
さらに上空から、ワイバーンが急降下した。
その背に乗るのは、魔族の騎手たちだった。
彼らは連合軍の密集陣形に正面から突っ込むような無謀なことはしない。上空から指揮所を探し、伝令の馬を狙い、後方の魔導器を破壊する。地上の兵士たちが空を見上げた瞬間、別の場所でゴブリンの投槍が飛んできた。
戦場のあらゆる場所で、連合軍は判断を迫られた。
前を向けば背後を突かれ、上を見れば足元が崩れ、陣形を整えようとすれば敵の砲撃が降り注ぐ。
「右翼が崩れました!」
「ゼルディア軍の指揮所が襲撃されています!」
「後方の予備隊が動けません! 負傷者が退路を塞いでいます!」
報告が重なる。
ヴァルターは歯を食いしばった。
敵は、ただ強いのではない。
こちらが何をしようとしているのかを読み、その選択肢を一つずつ潰してくる。
「騎士団を投入する!」
老将軍は決断した。
「敵の中央を突破する! 指揮官を討てば、魔物の統制も乱れるはずだ!」
騎士団長ローデリックは頷いた。
「我らが道を開きます!」
千二百騎の重装騎兵が動き出した。
金属鎧に身を包んだ騎士たちは、長槍を構え、平原を疾走した。馬蹄が地面を叩き、砂塵が舞い上がる。彼らは何度もこの突撃を訓練してきた。敵の歩兵を蹴散らし、隊列を切り裂き、その勢いで敵陣深くまで侵入する。それが騎士の戦いだった。
ドルガルド軍の中央に、トロルの重装部隊がいた。
ローデリックは迷わなかった。
「突撃!」
騎士たちが咆哮する。
槍の穂先が太陽の光を反射した。
しかし、敵の重装部隊は逃げなかった。
前列のトロルたちが、巨大な盾を地面に突き立てる。後方からゴブリンの部隊が鎖を張り、足元に障害物を敷設した。さらに、地中に潜んでいたシージビートルが、騎士たちの進路脇から姿を現した。
先頭の騎士が障害物に乗り上げた。
馬が転倒した。
後続の騎士たちが次々と衝突し、隊列が乱れる。
そこへ、トロルの棍棒が振り下ろされた。
重装騎兵の突撃は、最も勢いのある瞬間に止められた。
馬が倒れ、騎士が投げ出される。立ち上がろうとした者は、ゴブリンの槍に囲まれた。隊列の外側では、魔族の軽騎兵が側面を襲い、逃げ道を断っていく。
ローデリックは馬上で剣を振るった。
一人の魔族兵を斬り、トロルの腕に刃を食い込ませ、倒れた味方の騎士を助け起こした。
そのとき、彼の馬の横腹に投槍が突き刺さった。
馬が嘶き、膝を折る。
ローデリックは地面に叩きつけられた。
視界が揺れた。
目の前には、黒い鎧を着たドルガルドの兵士がいた。
兵士は彼に剣を突きつけたが、ローデリックは最後まで剣を離さなかった。
「……ハルディアに、栄光あれ」
彼の最期の言葉は、戦場の轟音に消えた。
重装騎兵の突撃は失敗した。
そして、連合軍の敗北は決定的なものになった。
正午を過ぎる頃には、両軍の間にあった秩序は完全に失われていた。
連合軍の一部は最後まで戦った。ゼルディアの騎士たちは公国旗を囲んで防御陣形を組み、ハルディアの歩兵は負傷した仲間を守りながら後退した。
しかし、ドルガルド軍は追撃を緩めなかった。
魔導器が退路を叩き、ワイバーンが逃げる部隊を上空から追い、地上の騎兵が敗走する兵士たちを包囲する。
グランベル平原には、武器を捨てた兵士たちと、動かなくなった馬と、折れた旗が散乱した。
夕刻、ハルディア王国軍の総司令官ヴァルター・グライゼン侯爵は、残存兵をまとめて撤退した。
彼の鎧は砕け、片腕から血が流れていた。
振り返った彼の目に映ったのは、平原を埋め尽くす黒い軍旗だった。
七万の連合軍は、事実上壊滅した。
ドルガルド軍の進撃は、まだ終わっていなかった。
⭕️ハルディア騎士団「疾風」カレン・ラプラスの手記
私はハルディア騎士団偵察隊「疾風」のカレン・ラプラス。
グランベル平原の戦いで、私はドルガルド連邦の兵に捕らえられた。
偵察中に魔族の斥候に見つかり、数で押し潰された。仲間は皆殺しにされ、私だけが生け捕りにされたのだ。「女騎士ならば情報を吐くだろう」と連中は目論んだのだろう。
天幕の中は薄暗く、どこか甘ったるい香が焚かれていた。私は木製の椅子に縛り付けられ、身動きが取れない。鎧は剥ぎ取られ、下着姿にされていた。冷たい空気が肌を撫でる。
「さて、ハルディアの小鳥ちゃん」
目の前に立つのはドルガルドの将校だ。顔に刀傷のある男で、ねっとりとした視線が私の体を舐め回す。
「お前たちの本陣の位置と兵站線のルート。話してもらおうか」
「……死ね」
私は血の混じった唾を男の顔に吐きかけた。
男は表情一つ変えず、ハンカチで顔を拭った。
「そうだろうと思ったよ。ハルディアの騎士は殊勝な心がけだと聞く。だがな……」
男は後ろに控えていた部下に目配せをした。部下が小さな瓶を持って近づいてくる。中には黒くどろりとした液体が入っていた。
「口の堅い女には、これが効くんだ」
男は私の顎を無理やり掴み、口を開かせた。抵抗しようと歯を食いしばるが、鼻を掴まれ息ができなくなる。苦しくて口を開けた瞬間、黒い液体が喉の奥へ流し込まれた。
「んぐっ……! ごほっ、ごほっ……!」
咳き込んでも液体はすでに胃の中へ収まっていた。すぐに異変が起きた。
体が熱い。
内側から火がついたように熱い。
「な、何を……!?」
肌が赤く染まっていくのが分かる。心臓が早鐘を打つように脈打ち、体の奥底から疼きが湧き上がってくる。
「催淫薬だ。ドルガルドの魔導府が特別に調合したものだよ。飲まされた女は誰でもメスになる」
「ふ、ふざけるな……! こんなもの効くか……!」
私は必死に抵抗した。騎士としての誇りが、体の疼きに打ち勝とうとした。
だが、体は正直だった。
乳首が服の布地に擦れるだけでビクビクと反応し、太ももの内側にはじっとりと汗が滲む。そして一番恐ろしいのは、秘所が熱く濡れそぼり、何かを求めて疼き始めていることだ。
「ほら見ろ。お前の体はもう欲しがっている」
男は私の胸を鷲掴みにした。
「あっ……!」
電流が走ったような快感だった。これまで感じたことのない強烈な刺激に背筋が震える。
「やめろ……! 触るな……!」
「口ではそう言うが、乳首はこんなに硬くなっているぞ」
男は下着の上から秘所を指でなぞった。
「ああっ……! そこは……!」
一瞬で蜜が溢れ出し、下着を濡らした。自分の体の反応が信じられない。羞恥で顔が熱い。
「こんなに濡らして……お前は淫乱なメスだ」
「ちが……う……これは薬のせいで……」
「言い訳にならんよ。さあ、部下たちも待ちきれないようだ」
男が手を叩くと、天幕の奥から数人の兵士たちが現れた。彼らは一様に下卑た笑みを浮かべズボンの前を寛げている。
「やめろ! 近づくな!」
私は叫んだが、声には力がなかった。むしろ甘い響きが混じってしまっていた。
兵士たちが群がってきた。荒々しい手が私の体を撫で回し、下着を引き裂く。露わになった秘所に冷たい空気が当たり、それがまた刺激となった。
「いい穴してるぜ」
「騎士様のおまんこは締まりがいいか?」
彼らの言葉が耳に入るたびに羞恥心で頭がおかしくなりそうだ。それなのに体は彼らの手に喜びすら感じている。
一人の兵士が指を秘所に挿入れた。
「ああっ……! くうっ……!」
異物感と快感が同時に押し寄せる。内壁が指を締め付け自ら奥へと誘い込んでいく。
「ほら見ろ。自分から締め付けてきやがった」
「いやぁ……! やめて……お願い……」
涙が溢れた。騎士としての誇りも尊厳も薬の前に崩れ去っていく。
「口で頼むよりこっちで頼めよ」
兵士は指を抜き代わりに勃起したペニスを宛てがった。
「入れるぜ」
「ダメェェェッ!!」
ズブリと先端が飲み込まれた瞬間背筋が仰け反った。
「あああああッ!!」
痛みではなかった。強烈な快感だった。薬のせいで過敏になった内壁が男の形をなぞり歓喜の声を上げている。
「すごい締まりだ! さすが騎士様だぜ」
兵士は腰を打ち付け始めた。
「あっあっあっ! そこダメっ! おかしくなるっ!」
「おかしくなっちまえ! 俺たちの精で孕むんだよ!」
激しいピストン運動に理性が揺らぐ。頭の中で警鐘が鳴るのに体は快楽を貪る。
(これは薬のせい……私はそんな女じゃない……ハルディアに栄光あれ……)
心の中で必死に呪文のように唱える。
しかし別の兵士が私の頭を掴みペニスを口にねじ込んできた。
「んぐっ! んむぅぅっ!!」
口も封じられた。息もできない。ただ男たちの欲望を受け止めるだけの存在へと堕とされていく。
「んっ! んおっ! おおぉぉっ!!」
全身を駆け巡る快感の波に抗えず私は絶頂した。
「イッちまったか! 俺も出すぜ!」
男が私の中で果てた。熱い飛沫が子宮を叩く。
「ああっ……! 出てる……熱いのが出てる……」
屈辱と快感がない交ぜになった声が私の口から漏れた。
それから先は地獄だった。
何人もの男に代わる代わる犯された。口にも胸にもアナルにも白濁液を浴びせられ穴という穴から精液を注ぎ込まれる。
薬の効果は切れるどころか増幅され時間が経つにつれて快感だけが鮮明になっていった。
「もっと……もっと突いて……」
いつしか私は自ら腰を振り男たちを求めるようになっていた。
騎士としての誇りも誇り高い志も消え失せただ肉の棒と快楽だけを求める淫らな女になっていた。
「ああっ素敵……もっと犯してぇぇっ!!」
自分の声じゃないみたいだ。
でもこれが今の私だ。
ドルガルドに捕まった時点でもう終わりだったんだ。
私はただ彼らに身体を使わせるだけの肉便器になってしまったのだから……。
***
どれくらい時間が経っただろうか。
天幕の中は薄暗く男たちの寝息だけが聞こえる。
私は床に転がされていた全身が精液と汗で濡れそぼっているどこもかしこも痛いのに妙に満たされたような感覚があるのが怖い。
薬の効果はまだ残っているのか体の中では疼きが止まない。
私は虚ろな目で天井を見つめた。
ハルディアの敗北は決定的だ。
私もまた負けたのだ。
騎士としてではなく一人の女として。
⭕️ ハルディア王国 第二支援軽騎士団 メイア グラスの手記
私はグランベル平原の戦いにハルディア王国の女騎士 メイア グラスだ。
今日はあの日の忌まわしい思い出を語りたいと思う。
私たちは勝利を確信していた。しかし、魔物を巧みに使うドルガルド連邦に前に70,000人の兵が圧倒的に蹂躙された。それは想像絶する地獄のような光景であった。
しかし、私たちには、その後、真の地獄が待ち受けていた
後方支援をしていた私は同僚のクラリス、リンゼと共に卑しいゴブリンたちに投げ与えられて輪姦されたのだ。
恐怖に震える私たちを100匹以上の緑色の小鬼が囲んでいた。
騎士の誇りも、乙女の貞操も理解し得ないだろう。本能に狂った化け物たち
緑色の手が一斉に私たちに伸びた。悲鳴と泣き声が荒野に響く中、無慈悲に衣服は引き裂かれた。白い肌が露わになり、無防備な身体が暴かれていった。抵抗しようとしても、ゴブリンの力は強く、逃げる術はなかった。
緑の小鬼は我慢できずに私たちを押し倒した。粗末な剣で、ドレスや鎧、そして下着さえも切り裂かれた。恥ずかしい部分が剥き出しになった。
抵抗は無意味だった。何百もの緑の手が伸び、肌を撫で、乳房を掴み、秘所を弄んだ。
「やめて!」私の叫びは嘲笑に変わった。クラリスは涙を流しながら「助けて……」と訴えたが、誰も耳を傾けなかった。リンゼは虚ろな目で、ただ震えていた。私たちは完全にゴブリンたちの獲物となってしまったのだ。
ゴブリンたちは欲望のままに私たちを犯した。乱暴な行為に痛みが走り、体のあちこちに傷が増えていった。何時間も、何十回も繰り返される凌辱の中、私たちは次第に心が壊れていくのを感じた。笑顔も、希望も失われていく。
そして、ゴブリンに精液を注がれるたびに、強い催淫作用が、私たちの体を支配する。
「もうどうなってもいい!めちゃくちゃにしておちんぽちょうだい」
クラリスは自分からゴブリンに抱きつき、自ら腰を振るようになった。
その隣では、リンゼが人形のように犯されていた。
「あ、あ、ああ、、、」
リンゼは次第に口数が少なくなり、反応すら薄くなっていった。ただ、目の前にある現実を受け入れるしかなかったのだ。
私も次第に抵抗を諦めるようになった。この苦しみから解放されるならば、何でもいいと思った。
「クキャァアアアア」ゴブリンが私にフェラチオ強要した。後から別のゴブリンが私の割れ目を貫いた。
「たしゅけて、、とぶ、ッ❤️とんじゃ、うう❤️犯されて、イくッ♡ イく、 イ ――――…………」私の口から恥知らずな言葉が溢れてる。
興奮したゴブリンたちは、さらに私に激しいピストンを加える。脳が溶けるような快感。
「おちんぽ!っふぅ❤️んおっ❤️んっんふぅぅ❤️おちんぽほしいっっ❤️んぅ、、もっと強くして、壊れるくらいに突いて!だめ……っ❤️ふーーっ❤️ふーー
くっあ あ゛っ堕ちちゃう、お゛ぉッ!?ほぉーー❤️お゛ッ❤️おぉっほ、んぉ」
私は恥知らずな言葉を叫びながら、何度も絶頂を迎えた。
ゴブリンは満足すると、他の仲間を呼んで交代させた。まるで玩具のように扱われる屈辱は計り知れない。だが、同時に体は敏感に反応してしまう。ゴブリンのペニスを求めるように、自然と腰が揺れてしまうのだ。そんな自分に嫌悪感を抱きながらも止めることができなかった。
どれくらい時間が過ぎたのか分からない。ただひたすら犯され続けた結果、精神は完全に崩壊してしまっていた。
かつてのプライドも何もかも捨て去り、ただ快楽だけを求め続ける存在へと成り果ててしまったのだ。
「おまんこ、気持ちいい」
「もっと犯して!」
「いっぱい出してぇ!」などといった言葉ばかりが頭の中を駆け巡り、それ以外の思考ができなくなっていた。
私達は毎日犯され続けた。ゴブリンだけではない人間族もいた魔族もいた。最初は嫌悪感しかなかったはずなのに、今では犯されるのが当たり前になってしまっていた。
どれほどの時が流れたであろうか。
意識が途切れたのは、恐らく夜明け前だった。記憶の最後に残っているのは、空を見上げると星が歪んで見えたことだけだ。それきり、私の世界は闇に沈んだ。
「……え?」**
喉が焼けついたように乾いていた。声が出ようとしても、掠れた音が漏れるだけだった。
冷たい風が肌を撫でた。鼻をつくのは鉄の匂いと、腐臭。それが何の匂いであるか、私は本能的に理解してしまった。
ゆっくりと目を開けた。
空は曇り鉛色をしていた。重たく垂れ込めた雲が、今にも泣き出しそうだった。
私は仰向けに倒れていた。背中に押し付けられたものの感触が、最初は何だか分からなかった。冷たくて、硬くて、どこか柔らかい。
手を伸ばして触れた。
指の先に、青白い肌があった。
死体だった。
反射的に身を起こそうとして、全身に激痛が走った。腰は砕かれるように痛み、両脚は感覚が薄い。腹部には何かがこびりついていて、それが何であるかを考えることすら拒否した。
周囲を見渡した。
野原だった。
見渡す限り、死体が転がっている。ハルディア王国の紋章が入った鎧、旗の破片、折れた槍。そして、所々に積み上げられた遺体の山。その山の上から転がり落ちたのか、それとも一括して投げ捨てられたのか――私の身体は、その遺体の山の麓に埋もれていた。
「……生きている……?」
自分の声が信じられなかった。
いや、違う。生きたくなかった が本当だった。
だというのに、心臓は不平を鳴らすように脈を打ち続けた。肺は空気を求めて收縮を繰り返す。身体は、どれほど魂が厭もうと、生きることを選択したのだ。
遺体の数を数える気にはなれなかった。百も二百も、あるいはそれ以上かもしれない。グランベル平原の戦いで散った七万の兵の、そのほんの一部がここに集められていた。
味方の遺体を整理しようとした痕跡がわずかにあったが、途中で放棄されたようだった。ドルガルド軍が後退を始めたのか、あるいは追撃の優先をしたのか。理由は分からない。ただ、彼らにとって死体の処理など些末な事でしかなかったという事実だけが残っていた。
私は死んだものと勘違いされたのだ。
無理もない。動かない身体を、泥と血と精液に塗れて横たわる女を、わざわざ生きていると確認する者など、戦場にいるはずもない。
むしろ感謝すべきだったろう。彼らは丁寧に、一人一人の脇腹に剣を突き立てて確実に殺すという処置を行っていた。だが、私の身体の上に重なるように折り重なった遺体が、剣士の目から私を隠したのだ。
隣に転がっていたのは、見覚えのある銀髪の女だった。
「……クラリス……?」
声が出た。枯れ木のような声だった。
彼女は静かだった。金色の瞳は半開きで、何も映していなかった。その唇はわずかに開いていて、そこから覗く歯は泥に汚れていた。首筋に深い傷があった。一撃で終わらせたのだろう。その優しさに、彼女の生前を知る者は泣いただろうか。
彼女の右胸には小さな刺し傷があった。それは死後の損壊を防ぐための、いわゆる「留め」だった。
「……よかった……」
何がよかったのか、自分でも分からない。ただ、彼女がもう苦しむことがないということだけが、救いのように思えた。
リンゼは見つからなかった。
どこかに生きて逃げたのか、それとも別の場所に捨てられたのか。あるいは、遺体の山のさらに深くに埋もれているのか。確かめる術はなかった。
動かなければ、このまま腐っていくだけだ。
遺体の臭気に咽びながら、私は四つん這いになった。膝が笑った。手のひらが地面に触れるたびに、指の間から血の混じった泥が溢れた。
立ち上がろうとして、失敗した。
三度目に、ようやく膝が持ち堪えた。
視界が揺れた。倒れたら、もう二度と立てない気がした。
一歩。又一歩。
遺体の山を背にして、東へ向かった。東はハルディア王国の方角だ。太陽が見えなくても、分かった。雲の流れが、風が、囁いていた。
野原を抜けるのに、どれほどの時間を要したかは分からない。
足元にあるのは、誰かの顔だったり、誰かの剣だったり、誰かの手だったり。その一つ一つを踏み越えるたびに、何かが胸の奥で崩れていく音がした。
「……ごめんなさい……」
踏み越えるたびに、そう呟いた。
誰に謝っているのか分からなかった。ただ、謝らずにはいられなかった。
やがて野原が終わり、荒れた草原が始まった。足元が柔らかくなり、死体の代わりに枯草が頬を撫でた。
振り返らなかった。
いや、振り返ろうとして、できなかった。首が動かなかったのではない。**見る勇気がなかった**のだ。
七万の兵が散ったグランベル平原で、私は生き延びた。死体の山から這い出て、四日間歩いて、部落に辿り着いた。
第三章 ハルディオン包囲戦――王都の炎
敗走する連合軍の兵士たちは、村々を通過しながら、敵の接近を告げていった。
しかし、彼らが伝える情報は、聞く者の理解を超えていた。
魔物が軍隊として動く。空から攻撃される。地面の下から城壁が破壊される。
遠く離れた場所から魔法が連続して飛んでくる。
誰もが誇張だと思いたがった。だが、負傷兵たちの姿を見れば、嘘ではないことが分かった。
王都ハルディオンには、数日で数万人の避難民が流れ込んだ。
商人たちは店を閉め、職人たちは荷物をまとめ、農民たちは家族を連れて城門へ向かった。城壁の上では兵士たちが防御陣地を築き、城門には鉄板が打ち付けられた。
王太子レオナールは、王城の一室で地図を見つめていた。
父王エドガルド三世は、すでに王都を捨てる選択肢を検討していた。南方には山岳地帯があり、そこにある諸侯領へ退けば、軍を再編する時間を稼げる可能性がある。
しかし、王都には二十万を超える住民がいる。
「父上、私が残ります」
レオナールは言った。
「お前は王国の後継者だ」
「だからこそです。陛下が退かれた後、誰が民を守るのですか」
国王は息子を見つめた。
彼は、この青年が生まれた日のことを思い出していた。小さな手を握り、いつかこの子が自分より良い王になることを願った。
その願いが、こんな形で試されるとは思わなかった。
「……レオナール。もし王都が陥落したら、何をすべきか分かっているな」
「はい」
「王家の血を残せ。王国の名を残せ。民を見捨てるな。ただし、無駄死にすることも許さん」
レオナールは深く頭を下げた。
その夜、国王は密かに王都を離れた。
彼に従ったのは、王妃と幼い王女、そして僅かな近衛兵だった。残された王太子は、王城の最上階から夜空を見上げた。
東の地平線が赤く染まっていた。
ドルガルド軍が、王都へ到達したのである。
魔物の攻城
ドルガルド軍の攻城陣地は、王都の城壁から弓矢の射程外に構築された。
人間の工兵が土塁を築き、魔族の技術者が魔導器を設置する。巨大な盾を備えた車両が前進し、物資を運ぶ荷車が次々と到着する。負傷者は後方の野戦病院へ運ばれ、壊れた装備はその場で修理された。
それは、単なる侵略軍というより、移動する軍事都市だった。
ハルディアの守備隊が夜襲を試みたときも、ドルガルド軍は動じなかった。
闇に紛れて接近した騎士たちを、ナイトウォーカーが待ち受けていた。
影のような魔物は暗闇の中で輪郭を失い、騎士たちの後方へ回り込んだ。退路を断たれた騎士たちは、狭い谷間で包囲された。
一方、別の地点ではワイバーンが守備隊の見張り台を襲った。夜空から降りてきた巨大な影が、炎を吐き、毒尾で塔を打ち砕く。
王都の兵士たちは眠ることができなくなった。
朝になれば魔導器の砲撃が始まり、夜になれば魔物の襲撃が続く。
兵士たちは疲弊し、民衆は怯え、負傷者を収容する場所も足りなくなった。
三日目の朝、ドルガルド軍は本格的な攻城を開始した。
最初に動いたのは、シージビートルだった。
巨大な甲虫が地中を進み、城壁の基礎を掘り崩す。城壁の上ではハルディアの兵士たちが矢を放ち、魔術師たちが炎を浴びせたが、硬い外殻は簡単には砕けなかった。
続いて、アイアンゴーレムが前進した。
人間の背丈の数倍もある鉄の巨人たちは、矢を弾き、魔法の爆発を受けながら、巨大な破城槌を押し進める。その周囲をゴブリンの工兵が走り、トロルが倒れた障害物を除去していた。
「射撃を続けろ! 奴らを城壁に近づけるな!」
守備隊長が叫ぶ。
しかし、攻撃は一方向だけではなかった。
城壁の東側でシージビートルが地面を崩し、南側では魔導器が城門を狙い、西側ではワイバーンが城壁上の弓兵を攻撃する。守備隊が一つの場所に兵力を集めれば、別の場所が薄くなる。
そして、ドルガルド軍の魔術師たちは、城壁を覆う防護結界の一点へ集中攻撃を仕掛けた。
光の壁が震えた。
亀裂が走った。
次の瞬間、結界が砕けた。
轟音とともに魔導弾が城壁へ命中し、石材が空中に舞い上がった。
城壁の一部が崩落した。
「突破口が開いたぞ!」
ドルガルド軍の将校が叫ぶ。
その声を聞き、ゴブリンとオーガの部隊が前進を始めた。
ハルディア軍も黙ってはいなかった。
崩落した城壁の前に、近衛騎士団が集結した。銀色の甲冑を身に着けた騎士たちは、盾を並べ、剣を構えた。その中央に立つのは、王太子レオナールだった。
彼は自ら剣を抜いた。
「ここを通すな!」
騎士たちが応じた。
「ハルディアに栄光あれ!」
押し寄せる魔物の群れに、騎士団が突撃した。
レオナールの剣がオーガの腕を斬り、近衛騎士の槍がゴブリンを貫く。魔術師たちは炎と雷を放ち、崩れた城壁の前に火の壁を築いた。
一時、ドルガルド軍の進撃が止まった。
しかし、敵はそこで戦術を変えた。
トロルの部隊が正面から圧力をかけている間に、ゴブリンの投槍兵が側面へ回り込み、騎士たちの足元を狙った。後方からは魔族の弓兵が射撃を続け、ワイバーンが上空から守備隊の指揮官を探していた。
レオナールは、自分の周囲で倒れていく騎士たちを見た。
彼らは、幼い頃から自分を守ってくれた者たちだった。
剣術を教えてくれた者もいた。落馬したときに笑いながら助け起こしてくれた者もいた。王宮の庭で、弟のように接してくれた者もいた。
今、その者たちが、血に染まった石畳の上に倒れている。
「殿下、退いてください!」
近衛騎士団長が叫んだ。
「まだだ!」
「殿下!」
その瞬間、頭上から影が落ちた。
ワイバーンだった。
レオナールは振り向きざまに剣を構えたが、衝撃で吹き飛ばされた。地面に叩きつけられ、兜が外れる。
視界が霞んだ。
彼の目に映ったのは、王城の塔だった。
そこには、ハルディア王国の旗が掲げられている。
幼い頃、父王に連れられて登った塔。王都の街並みを眺めながら、父が語ってくれた言葉。
――この国は、王家のものではない。ここで暮らす人々のものなのだ。
レオナールは血を吐きながら立ち上がった。
「……まだ、終わっていない」
彼は再び剣を握った。
だが、近衛騎士団はすでに半数以上を失っていた。
そして、崩落した城壁から、ドルガルドの正規軍が雪崩れ込んできた。
王都陥落
城門が破られたのは、その日の午後だった。
門を守っていた兵士たちは最後まで抵抗した。だが、アイアンゴーレムが門扉を引き剥がし、トロルがその残骸を踏み越えた。
門の内側では、民衆が逃げ惑っていた。
市場の屋台が倒れ、馬車が横転し、荷物を抱えた人々が狭い路地へ殺到する。母親たちは子供の手を引き、老人たちは壁に寄りかかりながら、押し寄せる人波に呑まれないよう必死に踏ん張っていた。
「お母さん!」
幼い少女の声が響いた。
転倒した女性が人波に押し流され、少女の手が離れる。
少女は泣きながら母親を探した。しかし、逃げる人々の足音と怒号にかき消され、その姿はすぐに見えなくなった。
その先では、火の手が上がっていた。
魔導弾が命中した建物が燃え、崩れた壁が道路を塞ぐ。煙が街を覆い、呼吸することさえ苦しくなった。
人々は城門へ向かった。
だが、城門は敵の手に落ちていた。
別の出口へ向かおうとした者たちは、路地の奥でドルガルド軍の部隊と鉢合わせた。兵士たちは抵抗する武装集団を排除し、武器を持たない住民には道を空けるよう命じた。
それでも、すべての人を救うことはできなかった。
倒壊した家屋の下敷きになった者。火災に巻き込まれた者。逃げる途中で負傷し、動けなくなった者。混乱の中で家族とはぐれ、そのまま二度と会えなかった者。
彼らの多くは、戦争に何の責任もなかった。
ただ、ハルディア王国の民として生まれ、そこで暮らしていただけだった。
王城では、最後の防衛戦が続いていた。
レオナールは、残存する近衛騎士とともに王城の正門を守っていた。鎧は血と泥に汚れ、右腕は負傷していた。
彼の周囲には、十数人の騎士しか残っていない。
敵は、数千。
「殿下……もう、お逃げください」
近衛騎士団長が膝をついた。
「王家がここで滅びれば、王国は完全に終わります」
レオナールは首を振った。
「民は逃げられたのか」
「……すべてではありません」
「そうか」
彼は剣を握り直した。
「ならば、せめて時間を稼ぐ」
王太子は正門へ向き直った。
その姿を見て、近衛騎士たちも立ち上がった。
彼らはもう、勝てるとは思っていなかった。
ただ、自分たちが退けば、敵はさらに早く王城へ到達する。それだけは許せなかった。
ドルガルド軍の歩兵が迫る。
その後ろには、角を持つ魔族の将校がいた。彼は剣を掲げ、部隊に突撃を命じた。
近衛騎士たちは最後の力を振り絞って迎え撃った。
剣と剣がぶつかり、盾が砕け、石畳に血が流れた。
レオナールは敵兵を斬り伏せ、倒れた騎士を踏み越えて進む。
⭕️侍女 アレクサ
城壁が崩れたのは、正午をわずかに過ぎた頃だった。
ドルガルド連邦の攻城兵器が放つ火球が、ハルディア王国の北門を内側から破裂させた。炎と土埃が舞い上がり、門を支えていた鉄の梁が軋みながら折れ曲がる音が、城内にまで響き渡った。その音は、まるで巨獣の断末魔のようだった。
「王子を奥へ! 早く!」
叫んだのは近衛騎士団長だった。彼は血に塗れた剣を握りしめ、崩れゆく門の前に立ちはだかった。だが、その背中に無数の矢が突き刺さる。彼は二歩、三歩と前へ進みそして崩れ落ちた。彼が倒れるのと同時に、ドルガルド兵の波が城内へと雪崩れ込んできた。
レオナール王子は満身創痍だった。
「殿下、こちらへ!」
侍女長のアレクサは王子の腕を掴んで引き寄せた。彼女は三十歳。侍女として二十年近く王宮に仕え、レオナールが生まれた時から彼を見守ってきた。彼女にとって王子は、主君であると同時に弟のような存在だった。
「離せ! 私は戦う!!」
「なりません。王子は10分に戦いました。今は生き延びることだけをお考えください」
アレクサの声は静かだったがそこには逆らえない強さがあった。彼女は使用人たちに目配せをした。老いた執事、若い給仕料理人、庭師——戦う術を持たない者たちが、王子を囲むようにして奥へと進んだ。
裏手の馬車置き場には古びた馬車が一台だけ残されていた。荷を運ぶための粗末なものだったが、今はそれしかなかった。
「殿下、ここへ」
アレクサは馬車の荷台の幌をめくり、中に敷かれた布の上に王子を押し込んだ。レオナールは抵抗しようとしたが、彼の左脚からは血が流れ続けていた。先ほどの戦いで受けた槍の傷だった。深くはないが、走ることはできない。
「アレクサ、お前は——」
「私も共に参ります。」
アレクサは最初から分かっていた。この馬車が城門を抜けられる確率は、限りなく低い。だが彼女は微笑んだ。その微笑みは、二十年間王子に向けてきたものと同じ、穏やかなものだった。
馬車は動き出した。御者は老執事が務めた。彼は鞭を振るう手が震えていたが、それでも馬を走らせた。
だが、城の外堀を越えたところで、馬車は止まった。
ドルガルド兵の一団が、行く手を阻んでいた。十人いや二十人以上いる。彼らは馬車を囲むように展開し、槍を構えていた。
「止まれ! 中に誰がいる?」
ドルガルド兵の一人が叫んだ。その声は、獣の唸りにも似ていた。
老執事は震えながらも、馬車の前に立ちはだかった。だが、彼の身体は既に老いていた。兵の一人が槍の柄で彼の腹を打ち、彼は地面に崩れ落ちた。
彼女は馬車の扉を開け、外へと飛び出した。
「お願いです! 老人や非戦闘員ばかりです。」
アレクサは地面に膝をつき、頭を下げた。かつての誇り高い侍女長の姿はそこにはなかった。ただ、一人の女が必死に懇願していた。
ドルガルド兵たちの視線が、彼女に集まった。
アレクサは美しい女だった。艶やかな黒髪、白い肌、吊り目がちで整った顔立ち。
王子を幼少期から支えてきた才色兼備の女性である。
侍女長としての制服は血と泥に汚れていたが、それでも彼女の姿は荒んだ戦場の中で異彩を放っていた。
「ほう……」
兵の一人が、彼女の前に歩み寄った。彼はアレクサの顎を掴み、無理やり顔を上げさせた。彼女の瞳には、恐怖としかしそれ以上に強い決意が宿っていた。
「この女、いいな」
「ああ。熟れた上玉だ」
兵たちの間に、下卑た笑いが広がった。
アレクサは震える唇を噛みしめた。彼女は分かっていた。これから自分が何をされるのか。それを想像するだけで、全身が凍りつくようだった。だが、それでも——彼女は振り返らなかった。馬車の中には、レオナールがいる。彼だけは、何としても守らなければならない。
「この女を頂こう。それで、馬車は見逃してやる」
兵の一人が言った。それは取引だった。アレクサの身体と馬車の通過
彼女はゆっくりと立ち上がった。膝は震えていたが、背筋はまっすぐに伸びていた。それは、二十年間王宮で培われた侍女長としての最後の矜持だった。
「——殿下」
彼女は小さく呟いた。馬車の中にいるレオナールに、聞こえるはずもない声だった。
「どうか、生きてください。アレクサは貴方のことを——」
言葉は、途中で途切れた。兵の一人が彼女の腕を掴み、乱暴に引き寄せたからだ。
「行くぞ」
アレクサは引きずられるようにして、兵たちの中へと消えていった。彼女の姿が見えなくなる直前、彼女は一度だけ振り返った。その視線は、馬車の幌に向けられていた。
そして、彼女は微笑んだ。涙で濡れた頬で、それでも穏やかに。
馬車は、動き出した。老執事が最後の力を振り絞り、鞭を振るったのだ。馬は嘶き馬車は砂埃を上げて走り出した。
ドルガルド兵たちはもう馬車を追わなかった。彼らは既に、別の獲物を手に入れていたからだ。
アレクサは、城の外れにある納屋へと連れて行かれた。そこには既に何人もの女たちがいた。城に仕えていた侍女たち、城下町の女たちそして——おそらくは、戦場で捕らえられた女騎士たちも。
彼女たちは皆同じ目をしていた。虚ろで、しかしどこかでまだ生きていることを諦めきれていない目。
アレクサは納屋の床に投げ出された。冷たい土の感触が、頬に伝わった。
「さて、まずはこの女からだ」
兵たちが彼女を囲んだ。その数は、十人ではきかなかった。二十人、いや、それ以上かもしれない。彼らの目には、欲望の炎が燃えていた。
アレクサは目を閉じた。
(殿下……どうか、ご無事で)
彼女の脳裏に浮かんだのは、幼い日のレオナールの姿だった。まだ三歳だった頃、庭で転んで泣いていた彼。彼女が手を差し伸べると、彼は小さな手で彼女の指を握り返した。その温もりを、彼女は今でも覚えている。
(あの日、貴方を抱きしめた時から私は貴方のために生きてきた)
兵の一人が、彼女の制服に手をかけた。布が裂ける音がした。冷たい空気が、露出した肌に触れた。
アレクサは歯を食いしばった。悲鳴を上げまいと、唇を噛んだ。彼女の身体は震えていたが、心は静かだった。彼女は自分が何のためにここにいるのか、理解していた。これは犠牲ではない。これは——彼女が選んだ道だ。
(私は、貴方を守るためにここにいる)
兵たちの手が彼女の身体を撫でた。粗い手のひらが、肌を擦った。彼女は目を閉じたまま、ただ耐えた。
やがて、最初の兵が彼女の上に覆いかぶさった。彼女の身体に、重たいものが押し付けられた。痛みが走った。だが、彼女は声を上げなかった。
(殿下……)
彼女の意識は、遠くへと逃れようとした。幼い日のレオナールの笑顔、王宮の庭に咲いた白い花窓から差し込む穏やかな陽の光——そんな記憶の断片が、彼女の心を支えた。
「ひひひ、こいつ最高のまんこしてるぜ。金玉の中全部持ってかれそうだ。」
「あぐっ、、もう、だめぇ、、イグぅ」
「おら咥えろフェラチオできるだろ?ちんぽしゃぶるんだよ」
男たちがえぐるように腰を振る。そして彼女の中に容赦なく中出しを繰り返す。
兵たちは次々と彼女を犯した。一人が終われば、また次の者が。彼女の身体はもはや自分のものではなかった。だが、彼女の心は——まだ彼女のものだった。
どれほどの時間が経っただろうか。
アレクサは、納屋の隅に転がされていた。全身が痛んだ。皮膚には無数の傷と痣が刻まれ、身体の奥には鈍い痛みが残っていた。だが、彼女は生きていた。
彼女はゆっくりと目を開けた。納屋の天井には、穴が開いていた。そこから曇り空が見えた。
(殿下は——無事だろうか)
彼女は、馬車が無事に逃げ切れたことを、ただ祈った。自分の身体がどうなろうと、それは構わなかった。ただレオナールが生きていてくれれば——それだけで、彼女の犠牲には意味がある。
兵の一人が、彼女の前に立った。彼は笑っていた。その笑みは、獣のものだった。
「まだ終わらんぞ。お前は、俺たちのものだ」
アレクサは、彼を見上げた。彼女の目にはもう恐怖はなかった。ただ、深い諦めとそして——微かな希望だけがあった。
(殿下……どうか、生きて)
彼女は再び、目を閉じた。
第四章 ゼルディア公国――白銀の城塞
ゼルディア公国の首都ゼルディアールは、険しい山々に囲まれた城塞都市だった。
石造りの城壁は厚く、山腹には幾重もの防衛陣地が築かれている。城門には鉄製の落とし格子が備えられ、城壁の上には魔術師の砲台が並んでいた。
公国の人々は、自分たちの国が容易に滅びるとは考えていなかった。
ハルディアが敗れたという報告が届いたときでさえ、彼らはまだ希望を捨てていなかった。
ゼルディア公爵アレクサンドル・ヴァレンティンは、五十五歳の厳格な統治者だった。銀髪を後ろへ撫でつけ、深い皺の刻まれた顔に疲労を浮かべている。
彼の前には、娘のエレオノーラが立っていた。
二十三歳の公女は、白銀の鎧を身に着け、腰に長剣を帯びていた。彼女は幼い頃から騎士団とともに育ち、魔術の素養もあった。公国軍の中では、兵士たちから「白百合の姫」と呼ばれていた。
「父上、ハルディアの残存兵を受け入れましょう。彼らの経験は貴重です」
「すでに受け入れを始めている」
「ならば、山岳地帯の防衛線を強化し、敵を消耗させるべきです。平原での敗北から学ばなければなりません」
公爵は娘を見つめた。
「敵は、我々が学ぶ時間を与えてくれると思うか?」
エレオノーラは答えなかった。
彼女は知っていた。
ハルディアの敗北は、単に敵の兵力が多かったからではない。ドルガルド軍は、敵が何を守ろうとするのかを理解し、その防御の意味そのものを失わせる。
城塞に籠もれば、地中から攻められるかもしれない。
山道を封鎖すれば、ワイバーンが上空から回り込むかもしれない。
補給路を守れば、魔族の特殊部隊が後方へ侵入するかもしれない。
そして、最も恐ろしいのは、敵がそれらを別々の作戦として扱っていないことだった。
すべてが連動している。
「……それでも、戦わなければなりません」
エレオノーラは言った。
「ゼルディアの民を、他国の皇帝の思惑に委ねるわけにはいきません」
公爵はしばらく黙っていた。
やがて、彼は娘の肩に手を置いた。
「お前は、私よりも良い統治者になるだろう」
その言葉に、エレオノーラは微かに笑った。
彼女は知らなかった。
父がその言葉を、最後の別れとして口にしたことを。
山岳防衛線の崩壊
ドルガルド軍は、ゼルディア公国へ侵入する際、正面の山道だけを攻めなかった。
人間の歩兵と工兵が山道を進み、魔族の斥候が獣道を抜け、ワイバーン部隊が山岳地帯の上空を旋回する。
そして、地中を掘り進むサンドワームが動き出した。
砂漠や乾燥地帯に生息するはずの魔物を、ドルガルドの魔導府は山岳地帯でも運用できるよう調教していた。魔物は土壌の状態を読み、岩盤の脆い部分を探しながら進む。
ゼルディアの防衛線は、山道を塞ぐことで敵の進撃を遅らせる計画だった。
しかし、地面そのものが安全ではなくなった。
ある砦では、兵士たちが夜明けとともに城壁の亀裂を発見した。
別の砦では、地下倉庫の床が突然崩落し、兵糧が地中へ呑み込まれた。
さらに別の場所では、山腹が崩れ、守備隊の退路が塞がれた。
「敵が来る前に、砦が壊れていく……!」
若い騎士が叫んだ。
その声を聞いた老兵は、唇を噛んだ。
彼らは敵兵と戦うために砦を守っていた。
だが、敵は砦を直接攻撃する前に、その機能を奪っていた。
そこへ、ドルガルド軍の魔導砲撃が始まった。
山腹に据えられた砲台が火を噴き、石壁に衝撃が走る。ゼルディアの魔術師たちは防護結界を張ったが、連続攻撃によって魔力を消耗していった。
守備隊が結界を維持できなくなった瞬間、ワイバーンが降下した。
翼が風を巻き起こし、毒尾が見張り台を打ち砕く。魔族の騎手たちは砦の内部へ炎の魔法を投げ込み、兵士たちの隊列を崩した。
地上では、トロルが破城槌を担いで進み、アイアンゴーレムが崩れた城門を押し広げる。
守備隊は最後まで抵抗した。
ある砦では、騎士団長が自ら剣を振るい、敵のオーガを崖下へ突き落とした。
別の砦では、魔術師団長が残された魔力をすべて使い、巨大な氷壁を築いて敵の進路を塞いだ。
その氷壁は、数時間にわたって敵の進撃を止めた。
だが、ドルガルド軍は氷壁を正面から破壊しようとはしなかった。
魔族の工兵が別の山道を切り開き、ワイバーンが氷壁の向こう側へ兵士を運んだ。
氷壁が崩れたとき、そこには敵がいなかった。
守備隊が振り返った瞬間、背後からドルガルドの兵士たちが現れた。
砦は一つずつ陥落していった。
そして、山岳防衛線の最後の砦が落ちた夜、ゼルディア公国の首都ゼルディアールは、完全に包囲された。
白百合の姫
ゼルディアールの城壁から、エレオノーラは敵陣を見下ろしていた。
ドルガルド軍の陣地は、城塞都市を囲む山々の麓に広がっていた。
無数の天幕。
規則正しく並ぶ兵站車両。
魔物を収容する巨大な囲い。
負傷者を運ぶ荷車。
魔導器の整備を行う技術者たち。
夜になっても、敵陣からは絶え間なく明かりが漏れていた。
それは、巨大な工場のようだった。
戦場でありながら、兵士たちが働き、食べ、休み、修理を行い、次の攻撃に備えている。
一方、ゼルディアの城内では、負傷者を寝かせる場所さえ不足していた。
「公女殿下、兵糧はあと十二日分です」
補給担当の騎士が報告した。
「負傷兵は?」
「収容施設が限界に達しています。薬草も不足しております」
エレオノーラは目を閉じた。
十二日。
その数字は、彼女にとって死刑宣告にも等しかった。
敵は補給路を確保している。こちらは包囲されている。援軍を求めようにも、周辺の小国はすでにドルガルドの圧力に屈し、兵を出す余裕がない。
それでも、彼女は諦めなかった。
「市民の避難を優先してください。城内の食糧は、身分に関係なく配給します。貴族の私有倉庫も開放させなさい」
「しかし、諸侯が反発する恐れが……」
「反発する者は、私が説得します」
エレオノーラは即座に答えた。
その夜、彼女は自ら市街へ出た。
焼けた家屋の前で泣いている子供に食糧を渡し、負傷した兵士の包帯を巻き、避難所で老人たちに声をかけた。
彼女の鎧は煤で汚れ、髪には灰が付いていた。
それでも、彼女を見た人々は顔を上げた。
「公女殿下……」
「大丈夫です」
エレオノーラは、できる限り穏やかに微笑んだ。
「まだ、終わっていません」
それは、彼女自身に言い聞かせる言葉でもあった。
だが、翌朝。
ドルガルド軍は最後の攻撃を開始した。
城壁の東側に魔導器の砲撃が集中する。
防護結界が破られ、石壁が崩落した。
西側では、シージビートルが城壁の基礎を崩し、巨大な亀裂が走った。
南門では、アイアンゴーレムが破城槌を叩きつけた。
三方向から同時に攻撃を受け、ゼルディアの守備隊は兵力を分散させざるを得なくなった。
「東門が破られました!」
「西側の城壁が崩れます!」
「南門に敵の魔物が集中しています!」
報告が飛び交う。
公爵アレクサンドルは、王城の作戦室で静かに目を閉じた。
「……そうか」
彼は剣を手に取った。
「父上!」
エレオノーラが駆け寄った。
「私も参ります」
「ならん」
「父上!」
「お前は生きろ」
公爵は娘を見つめた。
「国が滅びるとしても、民が残れば、いつか国は再び生まれる。だが、お前まで死ねば、何も残らない」
エレオノーラの瞳が揺れた。
「私は……ゼルディアの公女です」
「だからこそだ」
公爵は、娘の額に手を当てた。
「王冠を守ることと、国を守ることは違う。忘れるな」
それが、父から娘への最後の教えだった。
公爵は近衛兵を率いて、王城の正門へ向かった。
エレオノーラは、その背中を見送った。
彼女には分かっていた。
父が帰ってこないことを。
ゼルディアール最後の日
正午、ドルガルド軍が城内へ侵入した。
ゴブリンの部隊が路地を進み、盾を構えた正規軍が交差点を押さえる。魔族の術師が防衛魔法を無力化し、トロルが瓦礫を押し退けた。
戦いは、市街の至るところで起きていた。
ゼルディアの騎士たちは、狭い路地を利用して敵の進撃を遅らせた。建物の窓から弓矢を放ち、倒れた荷車を障害物にし、路地の奥で待ち伏せた。
しかし、ドルガルド軍は市街戦でも連携を崩さなかった。
正面の部隊が敵を引きつける間に、別の部隊が建物を迂回する。工兵が壁を破って隣の建物へ進み、魔族の斥候が屋根伝いに移動する。
一つの路地を守り切っても、隣の路地から敵が現れる。
一つの建物を取り戻しても、背後の広場がすでに敵に占領されている。
ゼルディアの兵士たちは、少しずつ分断されていった。
その頃、城門近くの広場では、公爵アレクサンドルが最後の抵抗を続けていた。
彼の鎧は幾度も傷つき、片膝には深い裂傷があった。周囲には近衛騎士たちが倒れ、立っている者はわずかだった。
それでも公爵は剣を振るった。
一人の敵兵を斬り、別の敵兵の攻撃を盾で受け止める。
「公爵閣下、退いてください!」
騎士団長が叫んだ。
「退く場所などない!」
公爵は答えた。
「ここがゼルディアだ!」
彼の声に、残された騎士たちが奮い立った。
彼らは、最後まで戦った。
しかし、ドルガルド軍の歩兵が次々と押し寄せ、トロルの巨大な棍棒が防御陣形を崩した。魔族の騎兵が側面から突入し、騎士たちを包囲する。
アレクサンドルは、倒れた騎士を庇うように立った。
その瞬間、敵の剣が彼の胸を貫いた。
公爵は一歩、二歩と後ずさった。
手から剣が落ちる。
彼は、最後に王城を振り返った。
そこには、ゼルディアの旗がまだ掲げられていた。
「……エレオノーラ」
娘の名を呟き、公爵は倒れた。
ゼルディア公国の君主は、首都を守る戦いの中で命を落とした。
王城では、エレオノーラが残存兵を率いて防衛を続けていた。
しかし、城門が破られ、敵兵が中庭へ侵入したとき、彼女はすでに敗北を悟っていた。
「公女殿下、こちらへ!」
近衛騎士が叫んだ。
「父上は?」
誰も答えなかった。
その沈黙が、答えだった。
エレオノーラは剣を握りしめた。
彼女の目の前で、ゼルディアの旗が引きずり下ろされる。
長い年月、この国を守ってきた旗だった。
父が即位したときにも掲げられた。彼女が初めて騎士団の訓練に参加した日にも、城壁の上ではためいていた。
その旗が、今、敵兵の足元に落ちた。
「……まだです」
エレオノーラは立ち上がった。
「まだ、私は生きています」
彼女は残された騎士たちとともに、王城の奥へ退いた。
しかし、王城の防衛線は次々と突破され、やがて最後の広間に追い詰められた。
彼女の剣は折れ、鎧は傷だらけだった。
それでも、彼女は膝をつかなかった。
ドルガルド軍の将校が、剣を下ろして告げた。
「ゼルディア公女エレオノーラ。抵抗をやめろ。武器を捨てれば、部下と市民の命は保証する」
彼女は将校を睨みつけた。
「本当だな?」
「武装解除に応じた者は、連邦法に基づいて保護される」
「父は?」
将校は答えなかった。
エレオノーラは、その沈黙を理解した。
父は死んだ。
国は滅びた。
彼女の目から、一筋の涙が落ちた。
それでも、最後まで顔を伏せることはなかった。
「……ゼルディアの王女の誇り、忘れるな」
彼女は呟き、剣を手放した。
⭐️エレオノーラ・ヴァレンティン 調教
ゼルディア公国の滅亡から三日後。
エレオノーラは、ドルガルド連邦の軍用テントの一つに収容されていた。
彼女の身には、かつての白銀の鎧ではなく粗末な麻の寝間着がまとわされているだけだった。手首には革の枷が嵌められ、天井から垂れる鎖に繋がれていた。足首にも同じく鎖がつながれ自由に動くことはできない。
テントの中には数人の男たちがいた。ドルガルド連邦の調教兵たちだ。彼らは戦場で敵を殺すだけでなく、捕虜から情報を聞き出したり支配下に置いたりするための特殊な訓練を受けた者たちだった。
「さて、ゼルディアの白百合殿」
男の一人がエレオノーラの前に立った。彼は鞭を手にしていた。
「まずは挨拶といこうか」
鞭が空を切り裂く音がした。
エレオノーラは歯を食いしばった。彼女の背中にはすでに幾筋もの赤い跡が刻まれていた。三日間の拷問で彼女の体はボロボロだった。だが彼女の瞳にはまだ強い光が宿っていた。
「…私はゼルディアの公女だ。貴様らの犬にはならん」
「ほお」
男は薄く笑った。
「まだ口が減らぬか。だが安心しろ。我々はすぐに折れるようなやり方はしない。ゆっくりと丁寧に壊していくつもりだ」
男は手招きした。すると別の男が小さな瓶を持ってきた。中には黒い液体が入っている。
「これはドルガルドの魔導府が開発した特別な薬だ。飲めば気持ちよくなる」
「断る」
「選択肢はない」
男はエレオノーラの顎を掴み無理やり口を開かせた。黒い液体が喉の奥へ流し込まれる。
「んぐっ…!?」
エレオノーラは咳き込んだがすでに遅かった。液体は喉を通り抜け胃の中へと収まっていた。
すぐに効果は現れた。
体が熱い。内側から燃えるように熱い。
「な…何を…!?」
エレオノーラの肌が赤く染まっていく。乳首が硬く尖り秘所から蜜が溢れ始めた。
「催淫薬だ」男が説明した。「お前の体を正直にしてやる薬だ。心が拒んでも体は正直に反応する」
男がエレオノーラの胸を鷲掴みにした。
「あっ…!」
電流が走ったような快感だった。これまで感じたことのない強烈な刺激にエレオノーラの背筋が震えた。
「や…やめろ…!」
「体は正直だな」
男はニヤリと笑い乳首を指で捏ねた。
「ああっ…!」
エレオノーラは自分の口から漏れた声に驚いた。それは苦痛の声ではなく明らかに快楽の声だった。
「ほら見ろ。お前の乳首はこんなに硬くなっている」
男は乳首を強く摘んだ。
「いやっ…!ああっ…!」
エレオノーラは首を振ったが腰は無意識に揺れていた。薬の効果は強力だった。理性が拒絶しても体は快楽を求めていた。
「さあ次はここだ」
男の手が下腹部へと滑り降りた。
「だめっ…!そこは…!」
男は秘所を指でなぞった。
「あああっ…!」
エレオノーラの体が跳ねた。秘所はすでに濡れており指は簡単に滑り込んだ。
「こんなに濡らして…淫乱な公女殿だ」
「ちが…う…!これは薬の…せいで…」
「言い訳にならんよ」
男は指を動かした。中の敏感な場所を的確に攻める。
「あっあっあっ…!やめて…!おかしくなる…!」
エレオノーラの呼吸が荒くなった。目の前が白く染まっていく。快感の波が押し寄せていた。
「イくのか?公女殿?」
「いや…!いかない…!いかないで…!」
「体は正直だ」
男は指の動きを速めた。
「ああああっ…!ダメッ…!イッちゃう…!イッちゃううううっ…!」
エレオノーラは仰け反り絶頂した。体が痙攣し蜜が大量に溢れ出した。
「ふふっいい声だ」
男は指を引き抜いた。糸を引く蜜がテントの明かりに照らされて光った。
「さあ次だ」
別の男が前に出た。彼はズボンの前を開け勃起したペニスを露出させた。
「口で奉仕しろ」
「断る…!」
エレオノーラは顔を背けた。
「そうか。なら仕方ない」
男は鞭を振るった。
鞭がエレオノーラの背中に叩きつけられた。
「あぐっ…!」
「どうだ?まだ断るか?」
更に鞭が振るわれる。
「ああっ…!くっ…!」
背中に激痛が走る。傷口が開き血が滲んだ。
「さあ選べ。奉仕するか更なる苦痛を味わうか」
エレオノーラは震えながら男を見上げた。彼女の目には涙が浮かんでいた。
「…わかった…」
彼女は屈辱に耐えながら男のペニスに顔を寄せた。
「よし良い子だ」
男は満足げに頷いた。
エレオノーラはペニスを口に含んだ。初めて味わう男の味に吐き気を催したが必死に堪えた。
「上手くなれよ」
男はエレオノーラの頭を掴み腰を動かし始めた。
「んぐっ…!んむっ…!」
喉の奥まで突かれ涙が溢れる。呼吸が苦しい。だが彼女は必死に舌を動かした。
「ふむ悪くないな」
男は口内に放出した。
「飲み込め」
エレオノーラは屈辱に震えながらも白濁液を飲み込んだ。
「よし次だ」
また別の男が出てきた。
エレオノーラの調教は日を追うごとにエスカレートしていった。
催淫薬は毎日与えられた。最初は抵抗していた彼女も次第に薬なしではいられなくなっていった。
体は男たちに開発され快感を覚えるようになった。
最初は苦痛だった行為も次第に快感へと変わっていった。
「ああっ…!そこ…!そこいい…!」
エレオノーラは腰を振っていた。彼女の上には男が乗っていた。激しいピストン運動に彼女の体は快楽に染まっていた。
「公女殿もうイくのか?」
「ううっ…!イく…!イくううっ…!またイッちゃううううっ…!」
エレオノーラは絶頂した。かつての白百合の姫騎士の面影はどこにもなかった。そこにはただ快楽に溺れる一人の女がいただけだった。
調教兵たちは満足げに頷いた。
「もう少しで完成だな」
「ああ後は心を折るだけだ」
ある夜エレオノーラは夢を見た。
父アレクサンドルが立っていた。
「父上…」
エレオノーラは涙を流した。
「父上ごめんなさい…私はもう…」
父は何も言わずただ静かに首を振った。
そのとき男の手がエレオノーラの胸を掴んだ。
「ああっ…!」
エレオノーラは目を覚ました。
そこには調教兵がいた。
「いい夢を見ていたか?公女殿」
男はニヤリと笑った。
「さあ現実を教えてやろう」
男はエレオノーラの中に入った。
「あああっ…!おおきいっ…!おおきいよおおっ…!」
エレオノーラは喘いだ。父の夢はもう遠かった。今彼女にあるのは快楽だけだった。
調教はさらに激しくなった。
ある日エレオノーラは全裸で広場に引き出された。
そこにはドルガルド兵たちが集まっていた。
「見ろ!これがゼルディアの公女だ!」
調教兵が宣言した。
「かつては高潔な姫騎士だった女が今ではどうだ!」
男はエレオノーラの秘所を指差した。
そこは赤く腫れ蜜で濡れていた。
「さあ言えお前は何だ?」
「私は…淫乱な公女です…」
エレオノーラは涙ながらに言った。
「違うだろう?お前はただの肉便器だ」
「私は…肉便器です…」
兵たちから笑いが起きた。
「さあ奉仕しろ!」
兵たちが一斉に殺到した。
エレオノーラは次々と犯された。
口にも秘所にもアナルにもペニスが突き入れられた。
「ああっ!ああっ!あああっ!きもちいいいいっ!めちゃくちゃにしてえええっ!」
エレオノーラは叫んだ。もはや理性のかけらもなかった。ただ快楽を求めるだけの存在へと成り果てていた。
「公女殿どうだ?気持ちいいか?」
「いいっ!きもちいいいいっ!もっとぉ!もっと犯してえええっ!」
兵たちは容赦なくエレオノーラを犯し続けた。
白濁液が顔にも胸にも腹にも降り注いだ。
エレオノーラは恍惚とした表情でそれを受け入れた。
かつてのプライドも誇りも何もかも失っていた。
ただ快楽だけが全てだった。
それから数日後エレオノーラはドルガルド連邦の将軍の前に引き出された。
将軍は彼女を見て満足げに頷いた。
「見事だ。見事な出来だ」
エレオノーラは虚ろな目で将軍を見つめた。
「お前はもうゼルディアの公女ではない。ドルガルド連邦の忠実な奴隷だ」
「はい…私は忠実な奴隷です…ご主人様の言う通りにします…」
エレオノーラは跪き頭を下げた。
そこにはもう白百合の姫騎士の姿はなかった。
ただドルガルド連邦に屈服した一人の女がいただけだった。
⭕️マリーとユーリー ゼルディア公国 靴屋の姉妹たちの悲劇
私の名前はマリー。姉のユーリーと二人で、ゼルディアールの西通りで小さな靴屋を営んでいました。
父は五年前に病で亡くなり、母は昨年の冬に流行り風邪で逝ってしまいました。それからは私たち姉妹だけで店を守ってきたのです。姉は二十五歳、私は十八歳。姉は器用な手で革を裁ち、私は仕上げの縫い目を丁寧に仕上げる。二人で作る靴は決して華美ではありませんが、丈夫で足に馴染むと評判でした。
戦争が始まったとき、私たちは店を閉じませんでした。
「兵士さんたちの靴がすり減っているわ。直さなきゃ」
姉はそう言って軍の補給所へ出向き傷んだ靴の修理を申し出ました。最初は怪訝な顔をされたけれど姉の腕が認められ次第に修理の依頼が増えていきました。私は姉の指示で補給所へ食事を運ぶ役目を引き受けました。
「マリー、シチューをもう一杯おかわりしてあげて。あの人たちお腹空いているのよ」
姉はいつもそう言って私を送り出しました。
補給所には若い兵士たちがいました。私と同じくらいか少し上の年頃の男の子たち。故郷に恋人や妹を残してきたのだと笑う子もいたし手紙を書くから字を教えてくれと頼んでくる子もいた。
「マリーちゃん今日もありがとうな」
「美味しいよお母さんの味がする」
彼らは私に優しくしてくれました。私は彼らが好きでした。故郷を守るために戦う勇敢な人たちだと尊敬していました。
でも戦況は悪くなる一方でした。
山岳防衛線が突破されたという噂が流れ始めた頃から兵士たちの目が変わりました。最初は冗談めかして「死んだら靴は要らないな」と笑っていた子が夜中にうなされるようになりました。故郷へ手紙を書いていた子は「もう書いても届かない」と呟くようになりました。
食事を運ぶ私の声にも彼らは反応しなくなりました。ただ無言でスプーンを動かすその目には光がありませんでした。
ある夜のことでした。
私はいつものように補給所へ食事を運びました。姉は靴の修理が残っているからと店に残りました。
「気をつけてねマリー」
「うん大丈夫だよお姉ちゃん」
私はそう答えて家を出ました。補給所は城壁の近くにあり夜道は暗かったけれど街灯がまだ点いていたから怖くはありませんでした。
補給所のテントに着くと兵士たちがいました。いつものメンバーです。でもその夜は何かが違いました。
「マリーちゃん遅かったな」
一人の兵士が言いました。彼はローランといって故郷に妹がいると言っていた優しい青年でした。
「ごめんねシチューを作り直したから」
「いい匂いだ」
別の兵士が近づいてきました。彼はギーズといって背の高い寡黙な男でした。
「みんなで食べようか」
ローランが提案しました。いつもなら彼らは交代で食事をとるのにその夜は全員が集まっていました。八人ほどの兵士たちが私を囲むように座ったのです。
「ここじゃ狭いな。もっと静かなところで食べようぜ」
ギーズが言いました。
「倉庫なら静かだ」
別の兵士が指差しました。補給所の裏にある古い石造りの建物でした。以前は穀物倉庫として使われていたけれど今は空になっていると聞いていました。
「うんいいよ」
私は何も疑いませんでした。彼らは味方でした。守るべき人たちでした。
倉庫の中は暗くカビの匂いがしました。兵士たちが松明を灯すと薄明かりの中に埃が舞っているのが見えました。
「ここなら落ち着けるな」
ローランが言いました。
私は鍋を置いてお椀にシチューを注ごうとしました。
その時です。
後ろから手が伸びてきて私の口を塞ぎました。
「んぐっ!?」
驚いて振り返ろうとしたけれど体は強く抱きかかえられて動けませんでした。
「ごめんなマリーちゃん」
ローランの声でした。でもその声にはいつもの優しさがありませんでした。どこか投げやりで絶望的な響きがありました。
「俺たちは明日死ぬかもしれない。そうだろ」
ギーズが言いました。彼の手が私の服に伸びてきました。
「死ぬ前に少しくらいいいだろう」
「やめて!何するの!?」
私は叫ぼうとしたけれど口を塞がれて声が出ませんでした。
「お前はいつも優しかったよなマリーちゃん」
別の兵士が言いました。彼は目を伏せていました。
「だから俺たちに優しくしてくれよ。最後に」
「違う!お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
私は心の中で叫びました。でも声は出ませんでした。
彼らは私を押し倒しました。冷たい石の床に背中が打ち付けられました。
「ごめんなごめんな」
ローランが繰り返しながら私の服を引き裂きました。その手は震えていました。
「嫌だ!やめて!助けて!」
やっと口が自由になったけれど叫び声は倉庫の分厚い壁に吸い込まれていきました。
「誰も来ないよ」
ギーズが言いました。
「みんな忙しいからな」
彼の手が私の肌に触れました。ざらついた手のひらが胸を這い乳首を摘みました。
「ああっ…!」
痛みと恐怖で体が震えました。
「いい体だ」
別の兵士が言いました。
「柔らかいな」
ズボンが引き下ろされました。下着も一緒に。露わになった下半身に冷たい空気が当たり鳥肌が立ちました。
「見ないで!見ないでください!」
私は必死に足を閉じようとしましたけれど二人の兵士に足を掴まれて開かされてしまいました。
「俺たち明日死ぬんだ」
ローランが言いました。彼の目には涙が浮かんでいました。
「少しだけ温もりが欲しいんだ」
「それは私を犯す理由にならない!」
叫んだ瞬間ギーズが私の中に入ってきました。
「あああっ!!」
痛みが走りました。裂けるような痛みでした。初めてでした。まだ誰とも寝たことがなかったのに。
「きついな」
ギーズは呟きながら腰を動かし始めました。
「やめて!やめてください!お願い!」
私は泣き叫びました。でも彼らは止まりませんでした。
「ごめんなごめんな」
ローランが私の髪を撫でながら言いました。でも彼の手もまたズボンを下ろしていて次は自分だと告げていました。
ギーズが終わるとローランが代わりました。
「マリーちゃんごめん俺我慢できない」
彼は泣きながら私の中に入ってきました。
「ああっ…! ローランさん…! なんで…!」
信じていた人でした。妹みたいだと言ってくれた人でした。なのにその人が今私を傷つけています。
次々と兵士たちが代わりました。八人全員に犯されました。
痛みだけでした。快感なんて一つもありませんでした。ただ痛みと屈辱と絶望だけでした。
「ごめんなごめんな」
彼らは口々に謝りました。でも止めませんでした。
死ぬのが怖かったのだと思います。戦うのが怖かったのだと思います。だから怯えた心を埋めるために誰かを傷つけたのだと思います。
でもそれは許されないことです。絶対に許されないことです。
全員が終わった後私は倉庫の床に転がっていました。体中が痛くて動けませんでした。涙も枯れていました。
「ごめんなマリーちゃん」
ローランが服を着ながら言いました。
「俺たちは最低だ」
ギーズも言いました。
「でも明日死ぬかもしれないんだ」
彼らは出て行きました。私を残して。
暗闇の中で私は独り震えていました。
お姉ちゃんにお姉ちゃんに会いたい。
でも会えない。こんな姿を見せられない。
私は汚れてしまったから。
どれくらい時間が経ったでしょうか。
倉庫の扉が開く音がしました。
「マリー!?マリーどこ!?」
お姉ちゃんの声でした。
「お姉ちゃん…」
弱々しい声しか出ませんでした。
でもお姉ちゃんには聞こえたようでした。
足音が近づいてきて私を抱き起こしました。
「マリー! どうしたの!? 誰に!? 誰にされたの!?」
お姉ちゃんの声が震えていました。松明の光にお姉ちゃんの顔が見えました。怒りと悲しみで歪んでいました。
「兵士さんたちに…」
私は答えました。
「味方の人たちに…」
お姉ちゃんは何も言わずに私を抱きしめてくれました。
温かかった。安心しました。でも同時に怖かった。お姉ちゃんにも汚れが移ってしまうような気がして。
「ごめんなさいごめんなさいお姉ちゃん」
「謝らないでマリー謝らないで」
お姉ちゃんも泣いていました。
「悪いのはあいつらだよあいつらなんだよ」
お姉ちゃんは私を背負って家に連れて帰ってくれました。お風呂を沸かし体を洗ってくれました。傷の手当てもしてくれました。
「大丈夫だよマリー私がいるから」
お姉ちゃんはそう言ってくれました。
でも大丈夫じゃありませんでした。
翌日その兵士たちは全員戦死しました。
最前線へ配置され敵の攻撃を受けて全滅したのです。
彼らは死に場所を求めていたのかもしれません。罪を償うために自ら死地へ向かったのかもしれません。
でもそれは許しません。絶対に許しません。
彼らが死んでも私の傷は消えないから。
あの日から毎晩夢を見ます。倉庫での出来事を何度も何度も繰り返し見ます。
でも目覚めるとお姉ちゃんがいます。
「大丈夫だよマリー私がいるから」
その言葉があるから私は生きていけます。
ゼルディアは滅びました。国も家も店も失いました。
でもお姉ちゃんがいます。
それだけが救いです。
⭐️救出
アルメリア王国のレオニダス第二王子が昴達 プレイアデスを訪ねたのはゼルディアール陥落から十日目の夜だった。
「ゼルディア公女エレオノーラ殿下の救出を、貴殿らに依頼したい」
昴は焚き火のそばで串焼きを持ったまま、その言葉を聞いていた。
「救出って……生きてるの、王女は」
「生きているが、、場所が悪い」
レオニダスは唇を噛んだ。
「ドルガルド連邦魔戦将軍、ゲラバル・ドラグハート。連邦の七将軍の一角にして、ゼルディア侵攻の先鋒を務めた男だ。公女殿下は、その男の私領へ下げ渡された」
「下げ渡され……」
アリステラが静かに繰り返した。彼女の手の中で、ロザリオの珠が小さく鳴った。
「ゲラバルの砦は、ゼルディアから北へ八十里。山と湿原に挟まれた要害で、正面から攻めるのは不可能に近い。我が主レオニダス殿下は兵を動かせば、アルメリアが次の標的になる」
「だから、我々に」
アルキュオネーが腕を組んだ。金の髪が焚き火の光を受けて揺れる。
「他所の国の王女を、私的な冒険者に拾わせようと。随分と都合の良いお話ですわね」
「アル姉」
昴が小声で呼ぶと、彼女は肩をすくめた。
「……嫌とは言っておりませんわ。ただ、筋を通していただきたいだけです」
レオニダスは深く頭を下げた。
「重々承知の上でのお願いだ。報酬は、我が国が用意できる限りのものを」
「報酬の話はいい」
昴は串を地面に刺した。立ち上がり、仲間たちを見回す。
ヴァレリアが腕を組み、狼の耳をわずかに動かしていた。
「行くのかい、昴」
「行く」
「だろうね」
狼の獣人は、大きな手のひらで昴の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「あんたはそういう子だよ。お母さんは嬉しいよ」
「お母さんじゃないって……」
マイアが酒瓶を掲げた。
「ふふ、月に代わって、制裁ですわ」
「このポンコツエルフ。あなた、その台詞を言いたいだけでしょう」
カリュプソーが杖で彼女の脛を小突いた。
「うるさいわね、今回はちゃんとやるわよ」
メローペは壁にもたれたまま、静かに剣の柄を握っていた。
「ゲラバル・ドラグハート」彼女は低く呟いた。
「私が執行部隊にいた頃、名前だけは聞いたことがある。連邦の中でも特に、捕虜の扱いが酷いと評判の男よ」
「知ってるのか」
昴が振り返ると、メローペは視線を落とした。
「知っている。……だから行く。私が斬る」
その一言には、誰も何も付け足さなかった。
ゲラバルの砦までの道は三つの峠を越え、二つの湿原を抜ける長いものだった。
一行は街道を避け山の尾根伝いに進んだ。カリュプソーの魔術が彼らの足音を消し、体を景色に溶け込ませた。マイアが風の精霊に頼んで先行させ、斥候の位置を常に把握した。
五日目の夜、一行は砦を見下ろす岩場に着いた。
「……でかいな」
昴は息を吐いた。
砦は、湿原に突き出した岩山の頂にあった。黒い石を積み上げた外壁が三層に重なり、その上に四本の塔が立っている。塔の頂には魔導灯が灯され、青白い光が周囲を照らしていた。
「正面からは無理ですわね」
アルキュオネーが岩の陰で囁いた。
「門は一つ。跳ね橋は上げられている。壁の高さは、軽く二十メートルはありそうです」
「地下からは?」
「無理。湿原だからな。水が湧いてやがる」
ヴァレリアが鼻を鳴らした。彼女の嗅覚が、岩と水と鉄の匂いの中から別のものを拾っていた。
「……女の匂いがする。何人も。あと、血の匂いも」
昴は拳を握った。
「場所は?」
「塔の、一番奥だね。三層目の東の塔」
「分かった」
カリュプソーが小さな水晶を取り出し、地面に置いた。水晶の中に砦の内部構造が浮かび上がる。
「私は転移の補助ができる。ただし、一度だけよ。私の魔力では六人を同時に飛ばすのが限界」
「十分だ」
昴は弓を背負い直した。
「作戦は、こうだ」
夜半、砦の北側の崖で小さな爆発が起きた。
カリュプソーが放ったのは、音と光だけの魔術だった。守備兵たちがそちらへ殺到する。
その隙に、一行は南側の壁を登った。
ヴァレリアが最初に壁に取り付いた。彼女の爪が石の隙間に食い込み、二メートルの巨躯が音もなく上へ滑っていく。彼女は壁の縁で手を伸ばし、昴とアリステラを引き上げた。
「ありがとう、ヴァレリア」
「礼は後だよ。……来る」
物陰から守備兵が二人、槍を構えて現れた。
メローペが前に出た。
彼女の剣は抜かれなかった。鞘のまま、一振り。兵の一人が膝をつきもう一人が壁にもたれて崩れ落ちる。
「殺してない」
彼女は短く言った。
「まだ、情報を聞いていないから」
「……相変わらず容赦ないな」
昴が呟くと、メローペは無表情で振り返った。
「殺すのは、必要になってからよ」
一行は塔の中へ入った。
内部は石造りで壁には松明が灯されていた。カリュプソーの案内で階段を上り、三層目へ。
その途中、二度、守備兵と遭遇した。
一度目はアリステラの聖光が兵の目を眩ませ、その隙にヴァレリアが二人まとめて壁に叩きつけた。
二度目は、アルキュオネーが剣の腹で三人をまとめて気絶させた。彼女の動きは美しく、無駄がなかった。光翼剣は抜かれもしなかった。
「アル姉、強い」
「当然ですわ。私はあなたのお姉ちゃんですから」
彼女は髪をかき上げ、静かに笑った。
三層目の廊下は、異様に静かだった。
松明の数が減り空気が重い。石の壁に、爪で引っかいたような跡がいくつも残っていた。
ヴァレリアが鼻を鳴らした。
「ここだ」
廊下の突き当たりに、鉄の扉があった。
鍵は、外から三つ。内側からも閂がかかっているらしい。
メローペが耳を当てた。
「……中に、一人。息が浅い。……あと、男が二人。奥の部屋にいる」
「ゲラバルか?」
「違う。部下よ。ゲラバルは、この階にはいない」
昴は扉に手を当てた。
「開けるぞ」
カリュプソーが杖を掲げ、鍵の部分に触れた。金属が軋み、鍵が一つずつ外れていく。
最後の閂が落ちた。
扉が、静かに開いた。
部屋の中は、薄暗かった。
窓はなく、天井から吊るされた小さな魔導灯が一つだけ、弱々しく光っていた。
部屋の隅に、鉄の寝台があった。
その上に、女が一人、横たわっていた。そして彼女の傍にはもう1人、侍女と思しき女。
「……エレオノーラ殿下」
昴が声をかけると、女はゆっくりと顔を上げた。
かつて白百合の姫騎士と呼ばれた面影は、そこにあった。
銀色の髪は汚れと血で黒ずみ、絡まり顔の半分を覆っている。痩せた頬、乾いた唇そして、虚ろな瞳。
手首には革の枷。足首にも。寝台の柵に鎖で繋がれている。
彼女は、昴を見た。
「……誰」
掠れた声だった。
「助けに来た」
昴は近づき、屈み込んだ。
「ゼルディアの公女、エレオノーラ・ヴァレンティン殿下で間違いないですか」
女はしばらく黙っていた。
やがて、その唇が微かに動いた。
「……その名前は、もう、ない」
「え?」
「私は、もう、公女ではない」
彼女の目から、涙が一粒、零れた。
「私は、肉便器だ」
昴は、拳を握った。
その言葉を、聞かなかったことにしたくなかった。
「違う」
彼は言った。
「あなたは、ゼルディアの公女だ。父上の国を、最後まで守ろうとした人だ」
「……父は、死んだ」
「知ってる。でも、あなたは生きてる」
エレオノーラは、昴の顔をじっと見た。
その瞳に、ほんのわずか光が戻った。
「……なぜ、あなたは」
「助けるって決めたから来た。それだけだよ」
アリステラが後ろから近づき、エレオノーラの手首の枷に手を当てた。
「慈悲深き地母神よ。傷つきしものに癒しの光を」
柔らかな光が枷を包んだ。革が緩み、鎖が外れる。
エレオノーラは自分の手を見た。自由になった手を、しばらく、じっと。
「……あなたは」
「アリステラと申します。リーキスト教団の聖導女をしております」
エレオノーラの喉が、鳴った。
「……私は、穢れている」
「穢れてなどいません」
アリステラは、彼女の手を両手で包んだ。
「あなたの体に何をされようと、あなたの心はあなたのものです」
エレオノーラは、俯いた。
肩が、震えていた。
「さて、感動の再会はここまでだ」カリュプソーが杖を握り直した。
侍女も鎖を解かれポーションで最小限の回復をする。
「下から兵が上がってくる。数は二十以上。……ゲラバルも、戻ってきている」
「早いな」
昴は弓を構えた。
「アル姉、先頭を頼む」
「承知しましたわ」
アルキュオネーが扉の前に立った。光翼剣が、静かに抜かれる。
「ヴァレリア、メローペ、左右を」
「任せておくれ」
「分かった」
マイアが弓を引き、カリュプソーが杖を掲げた。
「エレオノーラ殿下」
昴は振り返った。
「歩けるか」
「……歩ける」
彼女は立ち上がった。ふらついたが、倒れなかった。
「なら、行こう。ここから出る」
廊下に出た瞬間、敵兵が現れた。
狭い石の廊下に、鎧の男たちが詰めかける。先頭に立つのは、大柄な男だった。
ゲラバル・ドラグハート。
赤銅色の肌、剃り上げた頭左頬に走る古い傷。魔戦将軍の一人に数えられるだけあって、その体からは尋常ではない魔力が滲んでいた。
「ほう」
彼は、一行を見回した。
「ずいぶんと可愛らしい侵入者だ。ゼルディアの残党か? それとも どこかの国の差金か?」
「どっちでもいいでしょ」昴が弓を構える。
「公女様は、返してもらう」
「返す?」
ゲラバルは笑った。
「この雌豚は私の所有物だ。連邦から正式に下賜された。私が毎晩、可愛がっている」
エレオノーラの肩が、屈辱に震えた。
昴は、それを見た。
「公女様はお前の所有物じゃない」
「ふん」
ゲラバルは手を上げた。
「殺せ」
兵たちが一斉に動いた。
「昴 さがって」
メローペが前に出た。
彼女の剣が、初めて抜かれた。
「絶刀・雪月花」
白い刃がきらめく
次の瞬間、兵士たちが次々に倒れていく
メローペの剣は鎧ごと兵士の体を両断していく
「な……!?」ゲラバルが目を見開く。
「白銀の処刑人……! なぜ、ここに」
「私の郷里の村を焼いたのは、お前の部隊だったな」
メローペは静かに言った。
「なら、話は早い」
彼女が踏み込んだ瞬間、ゲラバルは魔術を放った。
赤黒い光が廊下を埋め尽くす。
カリュプソーが杖を突き出した。
「させない」青い障壁が光を受け止める。砕け散るが、その一瞬で、ヴァレリアが跳んだ。
「がぁっ!」
大質量の大剣 ツヴァイヘンダーが、ゲラバルの鎧を引き裂いた。彼は後退り、部下たちを盾にしようとする。
「お前たち、何をしている! 囲め!」
「囲ませないよ」
昴の矢が、彼の肩を貫いた。
「お前の部下は、全て仕留めた」
アルキュオネーが、廊下の端で最後の一人を斬り殺していた。
女神のような美しさで光翼剣を振った。
ゲラバルは、自分の周囲を見た。
立っているのは、自分だけだった。
「……ふざけるな。私は連邦の将軍だぞ。お前たちのような小娘どもに」
「小娘呼ばわり 嬉しいわ」
マイアが弓を引き絞った。
「うふふ 月に代わって、制裁です」
矢が、ゲラバルの膝を貫いた。彼は膝をつく。
「ひ……ひぃ」
メローペが剣を鞘に収めた。
「お前を殺すのは、私の役目じゃない」
メローペは、後ろを振り返った。
そこに、エレオノーラが立っていた。
彼女は、ゲラバルを見下ろしていた。
「……エレオノーラ」
ゲラバルが、初めて彼女の名を呼んだ。
「お前、私に可愛がってもらっただろう。命も助けてやった。感謝して」
「この下衆!」
エレオノーラの声は、震えていた。
でも、震えながら、彼女は続けた。
「あなたは、私から、名前を奪った。誇りを奪った。父も国も、私の手から奪った」
「だから、何だ。」
「私は、ゼルディアの公女エレオノーラ・ヴァレンティン」
彼女は倒れている雑兵の件を拾った
腕は震えていた。それでも剣を構える
「父が、命をかけて守ってくれた。そして私は、まだ、戦える」
「やめろ……やめろお!」ゲラバルが叫んだ。
エレオノーラは剣を振り下ろした
ゲラバルは、床に崩れ落ちた。
エレオノーラは、昴の方を向いた。
「……ありがとう」
昴は、うなずいた。
カリュプソーの転移魔法で砦を出る頃には、東の空が白み始めていた。
砦を守る兵士たちは、まだ主君の死を知らない。
一行は湿原を抜け、峠へ向かった。エレオノーラはヴァレリアに背負われていた。狼の獣人の背中は、温かかった。
「剣闘士さん、、わたくし重くないかしら」
「全然。あんた、もっと食べなきゃだよ」
ヴァレリアは、歩きながら言った。
「ヴァル母さんが、うまいもの作ってやるからね」
「……お母さん、なの」
「そうだよ。あんたも、みんなも、私の子供みたいなものさ」
エレオノーラは、その言葉に、少しだけ笑った。
「変わった人ね」
「よく言われる」
空が明るくなるにつれて、彼の頭の中にあの権能の気配が微かに触れていた。
――犯られ戻り。自分が傷つけられるたび、過去へ跳ぶ力。
今回は、使わずに済んだ。それが、嬉しかった。
朝日が、峠の向こうから昇った。
白百合の姫は狼の背に揺られながら、その光をじっと見つめていた。
⭐️エピローグ
レオニダス第二王子の陣営に、エレオノーラが運び込まれた夜。
天幕の中には焚き火の匂いと、薬草の香りが満ちていた。従者が湯を用意し、女官たちが清潔な衣を整えている。けれどエレオノーラは、そのどれにも手を触れようとしなかった。
彼女は天幕の隅で、膝を抱えて座っていた。
「エレオノーラ殿」
レオニダスが敷物を踏んで近づいてきた。三十歳を少し過ぎた男だった。褐色の肌に、栗色の髪。ゼルディアとは古くから姻戚関係を結んできた隣国の第二王子で、穏やかな笑みを絶やさない男として知られている。
彼は、エレオノーラの前に跪いた。
「迎えに来た」
エレオノーラは顔を上げなかった。
「来なくてよかったのに」
「来たかったから来た」
「私は、もう」
彼女の声は、掠れていた。
「私は、もう、あなたが知っているエレオノーラではないの」
「知っている」
レオニダスは、静かに言った。
「君がゼルディアールで最後まで戦ったことを。君が捕らえられてからも、一度も父上の名を汚さなかったことを。…全部、聞いている」
「聞いているだけよ」
エレオノーラは、自嘲するように笑った。
「私は、あの砦で、毎晩、犬のように扱われた。抵抗もできず、屈して泣いて、そして…」
言葉は、途中で詰まった。
「私は穢れているの。あなたが抱きしめられるような女ではないわ」
レオニダスは、何も言わなかった。
ただ、彼女の前に膝をついたまま両腕を広げた。
「エレオノーラ」
「…やめて」
「来なさい」
「やめてよ」
「来なさい」
三度目の言葉は、命令だった。
エレオノーラはゆっくりと顔を上げた。彼女の目には、涙が溜まっていた。
「レオニダス…私は」
「私は、君を守る」
彼は、立ち上がった。そして、彼女の前に歩み寄りその華奢な肩を、静かに抱き寄せた。
「もう、離さない」
エレオノーラの体が、震えた。
「私は、穢れて」
「知っている」
「私は、あなたにふさわしく」
「知っている」
「私は」
「エレオノーラ」
レオニダスは、彼女の髪にそっと口づけた。
「君が何をされようと、君は君だ。私が愛したのはゼルディアの公女という肩書きではない。エレオノーラ・ヴァレンティンという、一人の女性だ」
「…そんな」
「嘘だと思うか」
エレオノーラは、彼の胸に顔を埋めた。
肩が、激しく震え始めた。
「う…うあ…ああ…」
「泣いていい」
レオニダスは、彼女の背中をゆっくりと撫でた。
「全部、泣いてしまえ。私の胸で全部」
「うああああっ…!」
エレオノーラは、子供のように泣いた。
レオニダスの胸元が涙で濡れていく。彼は、それでも彼女を離さなかった。
「私は、このレオニダスが誰よりも愛する女性だ」
彼女の耳元で、彼は囁いた。
「君を娶る。ゼルディアが滅びようと、ハルディアが滅びようと私の国は君を迎える。君の帰る場所を、私が作る」
「レオニダス様…」
エレオノーラは、初めて、彼の名を敬称付きで呼んだ。
「私は、あなたに、ついていってもいいの」
「当たり前だ」
彼は、少しだけ笑った。
「君を失って、私が生きていけると思うか」
エレオノーラは彼の胸の中で、小さく笑った。
それは、この一か月で彼女が初めて見せた笑顔だった。
***
その頃、陣営の別の一角では別の再会が起きていた。
昴たちが砦から連れ出した捕虜の中に、一人の女がいた。三十歳前後の、落ち着いた顔立ちの侍女だった。粗末な衣をまとい、髪は乱れ腕には生々しい痣が残っている。
彼女は、天幕の外で、ぼんやりと夜空を見上げていた。
「アレクサ!」
その声に、彼女は振り返った。
駆けてくる若者がいた。金髪に、青い瞳。痩せてはいたがその顔には見覚えがあった。
「レオナール殿下…!」
「アレクサ!」
レオナールは彼女の前に辿り着くなり、そのまま抱きついた。
「アレクサ! アレクサ! アレクサ!」
「殿下、お待ちくださいこんな、人前で」
「うるさい! 離さない!」
王子は、彼女の胸に顔を埋めて子供のように泣き始めた。
「ああ、よかった、生きていてくれたよかった、本当によかった…」
アレクサは、一瞬、戸惑ったように体を固くした。
けれど、次の瞬間には彼女の手が、王子の頭にそっと触れていた。
「殿下ったら」
彼女は、優しく、彼の髪を撫でた。
「勇敢な英雄様が、子供みたいにどうしたんですか」
「英雄じゃない」
レオナールは、顔を上げた。
「僕は、国を失った、ただの王子だ。君を守ることすらできなかった」
「そんなことはありません」
アレクサの声は、静かだった。
「殿下は、王都の最後まで立派に戦っておられました。私は見ておりました」
アレクサの目にも、涙が滲んでいた。
「殿下、本当に、ご無事で」
「アレクサ」レオナールは、彼女の両手を握った。
「結婚してくれ」
アレクサは、目を見開いた。
「は?」
「僕と、結婚してくれ」
「殿下、お戯れを」
「本気だ」
「本気で、そんな」
アレクサは、首を振った。
「私は、三十歳の、ただの侍女です。殿下はハルディア王家の、正統な後継者。冗談でもそんなことを言っては」
「冗談じゃない」
レオナールは、真剣な顔で、彼女を見つめた。
「今回のことで、はっきりと分かった。僕はずっと君のことを見ていた。幼い頃から、ずっと」「殿下」
「君は、僕の理想だ。時には母のように、姉のように僕を守ってくれた。そんな女性を、好きにならない理由がどこにある」
「ですが、私は」
「これは命令だ」レオナールは少しだけ、王子らしい声で言った。
「僕の妻になってくれ、アレクサ」
アレクサは、唇を噛んだ。涙が、こぼれた。
「殿下、私は、穢れて」
「知っている」
「あの砦で、私は、何度も、、私は、殿下にふさわしい女では」
「アレクサ」
レオナールは、彼女の頬に、手を添えた。
「僕は君の心を愛しているんだ」
「殿下…」
「国を失った、価値のない王子だが」彼は、まっすぐに、彼女を見つめた。
「君だけは、絶対に、守り抜いてみせる」
アレクサは、しばらく、彼を見つめ返していた。
やがて、彼女は、ゆっくりとうなずいた。
「…はい」
「本当か」
「はい。…このアレクサ エーデルコーワ 生涯、殿下のお側に」
レオナールは、彼女を、もう一度強く抱きしめた。
「ありがとう。ありがとう、アレクサ」
「殿下、苦しいです」
「ああ、アレクサ」
「殿下の甘えん坊は変わりませんね❤️」
二人は、天幕の外で、しばらくそうして抱き合っていた。
夜空には、星が、静かに光っていた。