本日は晴れ。
奈緒が教室に入ると、大山涼子が声をかけてきた。
「あ…奈緒くん…」
「お、おはよう、涼子ちゃん」
「おはよう。もう体調はいいの?」
魔獣にやられて一日寝込んで学校を休んだ事を、気にかけてくれたらしい。
「う、うん…、もう平気…」
理由を言うわけにもいかず、取り合えず無難に答える奈緒。
そこに、後ろから小川由衣が近づいてきた。
「奈緒くーん、スキありーっ!」
由衣の足が奈緒の両足の間に入り、後ろから奈緒の股間を蹴り上げる。
コーンッ!
蹴り上げた足が、おきんたまにヒットする。
「あっっっ!!!あ……あ……あああああっっ」
不意打ちを受けて、奈緒は何が起こったのか分からず、そして次に悶絶する。
「へっへー。やっと奈緒くんのおきんたまを蹴れたー」
目標を達成して満足そうな由衣。
「由衣!奈緒くんに何てことするのよ!」
涼子が由衣に怒る。
「えー?涼子だって、「したい」って言ってたじゃない。「あの」写真みたいに」
「い、言ったけど……、こんな不意打ちなんて…」
「じゃあ、どんな風にすればいいの?」
「そ、それは…、ちゃんと奈緒くんの合意を得てから…」
涼子はオロオロしながら答える
「合意をとればいいのー?じゃあ今からとろう」
由衣は即座に奈緒の正面に回り込む。
うずくまった奈緒と目線を合わせるためにしゃがみ込み、鞄から何かを取り出した。
「ねえねえ、奈緒くん、この写真に載ってるのって奈緒くんだよね?」
由衣が手に持っているのは紙の束。そこに印刷されているのは、おきんたまを蹴られて悦んでいる奈緒の写真だった。
「!!??」
とんでもないものを見せられて、奈緒は動揺する。
(な、なんで?なんで?どうしてアレがここに……)
原本のファイルは奈緒の部屋にあるのだ。ならばここにあるのは…
(ララシャがコピーした分!?)
ララシャと戦った時、ファイルの複製をどこかに転送させていた。どこに行ったのかと思っていたら、この2人のところに送られていたのだ。
「これ、妹たちに蹴られている時の写真だよね?妹に聞いたら、そうだって言ってたよ」
由衣が写真を指差す。
妹とは、以前聞いていたサツキの友達の事だろう。
「それは…その…」
奈緒は言い淀む。
「奈緒くん…、靴でおきんたまを踏まれて悦んじゃう変態さんなんだよね?」
由衣が顔を近づけて、囁く。
「ち、ちが…」
「口では違うって言っても、本当は大好きなんだよね?そう書いてあるよ?」
「あうう…」
ファイルの最後に書かれているモノローグは、ズバリ奈緒の本音が書かれている。
そのため、強く否定する事ができない。
奈緒が困っているのを見かねて、涼子が奈緒に近付く。
「ね、ねえ…奈緒くん…」
涼子が耳元で囁いた。
「こうすればいいんじゃないかしら?奈緒くんが精液を出したい時は、私達が助けてあげる。だからそのお返しに……ね? ちょっとだけだから…」
交換条件を持ちかけて、相手に妥協させるやり方だ。
「うわー、涼子ちゃん悪知恵すごーい」
「だって、このままじゃ話が進まないでしょ」
涼子が顔を赤くしながら答える。
「あ、今じゃなくていいから、いつでも言ってね奈緒くん」
「えー?今じゃないのー?」
由衣は不満顔で涼子に問う。
「無理に急いでも嫌われるだけよ。さ、いきましょう」
由衣は涼子に背中を押されながら、教室に連れていかれてしまった。
なんとか難を逃れた奈緒だが、実際には問題を先送りにしただけに過ぎなかった。
「奈緒!新しい魔女が現れたわ!変身よ!」
ティーナがやる気満々で現れた。
少しは休息の日が欲しいな…と奈緒は思う。
奈緒は人目を避けて物陰へと移動する。
それくらいの時間は、ティーナも待ってくれるようになった。
「はい、いくわよー」
ティーナの媚薬魔法が発動する。
「あうううっっ!」
一瞬でおちんちんが膨らみ、オナニーの欲求で全身が支配される。
「はあ…はあ…」
シュッ!シュッ!
この時の奈緒には、オナニー以外の事は考えられない。
例え、誰かに見られていたとしても、止める事などできない。
涼子達に影から観察されていたとしても…
「あああああっっ!!あんっ!」
奈緒が射精に至り、変身が始まった。
「ここ?」
変身した奈緒がやってきたのは、校舎の四階にある空き部屋だった。
魔女ローズと最初に遭った場所だ。
学校内に魔女が出たのは久しぶりかもしれない。
ガラリッ
中に入ると、とても薄暗かった。
壁一面に紫色の布が張り巡らされていおり、窓からの光も布越しにしか入ってこない。
そんな薄暗い部屋の中央に机が設置されていた。この机にも金の縁取りをした紫の布が被さっている。その上には燭台と水晶玉と香炉が並ぶ。さらに部屋の周囲には不気味な像がいくつも設置されていた。
まさに「オカルト的な部屋」だ。
文化祭での出し物で占いの館をやろうとしたら、こんな感じかもしれない。
中央の机には、ベールを被って占い師のような恰好をした魔女が座っていた。
頭だけでなく、全身を紫の布で覆っている。口元さえ布で隠している。
今まで会った魔女の中で、一番魔女らしいかもしれない。胡散臭いという点で。
「ようこそ。私は魔女のイナーシャ。あなたがこの街の魔法少年ですか?」
イナーシャと名乗った魔女は、席に座ったまま質問してきた。
「あ~、はい。一応…」
「そうよ!魔女を倒す勇者、魔法少年ミルキーナオよ!」
ここぞとばかりにティーナが名乗りを上げる。
「そうですか。では挨拶代わりに占ってあげましょう」
イナーシャが右手を水晶玉の上にかざすと、水晶玉が赤く光りだした。
本当に占い師のように見える。
「わかりました」
水晶玉の光が消えると、イナーシャは奈緒を見つめた。
「ミルキーナオは最初に剣を構えて突進するが避けられ、次にミルキーアローを撃とうとするが、反撃にあって吹っ飛ぶ。これが答えです」
イナーシャはそう宣言した。
口元が隠れているのに、にやりと笑っているのがわかる。
「え?」
奈緒が変な声を出す。
それって占い?という顔をする。
「さあ、来なさい。当たるかどうか試してみましょう」
イナーシャは席から立ち上がり、腕を広げて攻撃を誘ってきた。
「え、えーっと…」
奈緒がどうしようか迷っていると、ティーナが叫んだ。
「奈緒!いいから、この変な奴をやっちゃいなさい!」
この妖精に「変な奴」と呼ばれるのは珍しい。
奈緒は最初からミルキーアローを撃つつもりだったが、占いに合わせて、ミルキーブレードに持ち変え、イナーシャに切り掛かった。
イナーシャはその場から動こうとせず、わざとギリギリで避ける。
奈緒は2撃目を振るおうとしたが、急に考えを変えて、ミルキーアローを構えた。
だが、アローを撃つ前に、イナーシャの手から魔力弾が発射され、奈緒にまともに当たった。
(えっ?)
ガッ!!
ドカッ!ゴロゴロッ!
奈緒は吹き飛ばされて、部屋の端まで転がった。
「何やってるのよ?奈緒!」
ティーナが奈緒を罵倒する。
「いや、ボクも今何が起こったのか分からないんだけど…」
剣を振ろうと思ったのに、何故かやめてしまった。
あんな位置から飛び道具を使ったら反撃されるに決まっているのに。
「ふふふ…」
イナーシャは立ったまま、机の上の水晶玉に手を置いた。再び水晶が赤く光る。
「ミルキーナオは右足でキックを繰り出しますが、横に避けられて体勢を崩し、部屋の端にある机に足を引っかける。これが答えです」
イナーシャが再び宣言する。
「えー?」
奈緒は戸惑った。
相手の言う通りの行動をしたら危険な気がする。
(キックじゃなくて、アローを撃てばいいよね)
奈緒は魔力で弓を作り出そうとして………床を蹴って、キックを繰り出していた。
(え?なんで?)
奈緒のキックをイナーシャはひらりと横に躱した。
キックを避けられた奈緒は、勢いを殺す事ができず、部屋の端まで移動した。
そこには、元々この部屋に並べてあったであろう、いくつもの机が積まれていた。
そして奈緒の足が、机の脚を引っ掛けて、倒してしまう。
ガラガラガラ!!ガターン!
積んであった机が崩れて、横倒しになる。
イナーシャが宣言した通りだ。
「次はそこに倒れている机のカドに自分から股間をぶつけます。これが答えです」
イナーシャはさらに宣言する。
「ハァ?何言ってるの?そんなのバカみたいじゃない」
ティーナが言う
(…?あれ?)
奈緒はフラフラと歩き、倒れた机の上を跨ぐ。
「奈緒?」
ティーナが怪訝な声を出す。
奈緒は机を跨いだ状態になると、足の力が急に抜けて、しゃがみ込む。
体重を乗せて落下した股間が、倒れた机のカドにモロにぶつかった。
ガンッッッ!!!
すごい音がして、机が揺れた。
「あぎいいいいいぃぃぃ!」
奈緒が悲鳴を上げる。
体重を乗せた分、威力も高く、固い木のカドが、おきんたまの真芯を捉えて圧し潰していた。
奈緒の完全な自滅である。
「あーっ!あーっ!あああーっ!」
多大なダメージを負いながら、奈緒はその姿勢のまま一歩も動かず、ただ激痛に悲鳴を上げていた。
その場にうずくまる事も、楽な姿勢をとる事も、手で患部を抑える事も、できない。身体の自由を奪われている…!
「奈緒!?なにやってるのよ!?バカじゃないの!?」
ティーナが驚いた顔で叫んだ。
「ふふふ…何故かしら?」
イナーシャがニヤニヤしながら言う。
(まさか、言われた通りに操られてるの?そんな大魔法、魔力がいくらあっても足りないはず…)
ティーナは相手の力の正体が分からず、困惑した。
「さあ、本番いきましょうか」
イナーシャが水晶玉持ち上げ、つかつかと奈緒に近付く。
そして動けない奈緒の額に、水晶玉を押し付けた。
ピィーーンッ!
高い音が響き渡る。
すると、魔力が頭の中に侵入してきた。
美咲ちゃんが奈緒の記憶を読む時と同じだ。
奈緒はおきんたまの痛みで抵抗する事もできない。
頭の中を探られると、その余波でメモリーが勝手に再生される。
奈緒の脳裏に、今朝由衣達が持っていた写真集の中身が再生された。
魔女ヒナが無理矢理奈緒に鑑賞させた時に、全ページ記録させたものだ。
これに付随して、ヒナにおきんたまをコリコリと握られていた痛みが再生される。
「あ…、あ…、あ……」
メモリーの再生が終わり、奈緒は現実に引き戻される。
現実のおきんたまの痛みが復活する。
奈緒の股間には、机のカドが減り込んだままだ。
「はい、解析終了。リンクも完了しました」
イナーシャが水晶玉を奈緒の額から離す。
「通常操れるのは一瞬だけ。でもこうしてリンクしてしまえば、私の思うまま…」
イナーシャは水晶玉の内側に閉じ込められた炎を確認して、懐にしまう。
「な、なにを…」
奈緒は身体を動かそうとしても、痺れて動かす事ができない。
「ありがとう、ミルキーナオ。もう要件は済みましたから……」
イナーシャは指先を奈緒の額に乗せる。
「出していいですよ」
ビクッ!!!
「あ、あ、あ、あああああああああっっっっ!!!!」
イナーシャの言葉を合図に、突然奈緒のおちんちんから精液が噴き出す。
前触れもなく、急に射精のスイッチを入れられ、何が起こったのか分からない奈緒。
どぴゅんっ!どぴゅんっ!どぴゅんっ!
「あっ!ひあっ!ひゃああっ!」
「奈緒ーー!どうなってるのこれー?」
ティーナは最後まで事態が呑み込めていなかった。
射精が終わり、変身が解ける。
放出された魔力は、イナーシャ自身ではなく、床に設置された不気味なオカルト像が吸い込んだ。
「ふふふ…」
魔力が吸い込まれるのを確認して、イナーシャが満足気な笑みをこぼす。
「さて、ミルキーナオ」
イナーシャの指先が再び奈緒の額に置かれる。
「今日から5日間、いつもとちょっと違う日常を送ってもらいましょう」
「あ…、あ……」
イナーシャの魔力が奈緒の頭の中に流し込まれた……
教室に戻った奈緒は、由衣と涼子の姿を見つけて、声をかけた。
「あ、奈緒くん」
声をかけられて、嬉しそうな由衣。
「あの…、由衣ちゃん、涼子ちゃん、お願いがあるんだけど」
奈緒は遠慮がちに言った。
「なあに?奈緒くんのお願いなら何でも聞いてあげるよ」
由衣がニコニコしながら答える
「僕のおきんたま、好きなだけ蹴って欲しいんだ」
恥じらいながら、期待を込めた目で奈緒が言い放った。