キーンコーンカーンコーン
ようやく休み時間に入り、奈緒はすぐに教室を出ようとすると、横から声をかけられた。
「大丈夫、奈緒くん?おトイレ行く?」
小柄な小川由衣が心配した様子で声をかける。その後ろには、大山涼子が立っている。
「え、えーと…」
「奈緒くん、分かってないだろうけど、授業中ず~っと甘い声を出してたよ」
「えっ!?」
蟲に責められている間、できるだけ声は抑えているつもりだったが、それでも声が漏れてしまっていたようだ。
「わたしは奈緒くんの甘い声大好きだけど、授業中は先生の声が頭から飛んじゃうから、控えた方がいいかな…」
「あうう…」
奈緒は真っ赤になる。
実際、奈緒の声でムラムラきてしまった生徒が、男女問わず周囲に存在していた。
(アソコ…ムズムズする…)
(やべえ…勃っちまった…)
そんな中でも、担任の山田先生は全てスルーしていたのだった。
「溜まってるんでしょ?おトイレで精液出すのお手伝いするよ」
(こくこく)
由衣の後ろで涼子が同意するように頷いている。
本来ならば涙が出るほどありがたい申し出を、奈緒は断った。
「うん、ありがとう……。でもちょっと、このまま行かせてもらえるかな…?」
今は1分1秒が惜しい。ここで時間をかけている余裕はない。
由衣は奈緒の目をじっと見つめて…
「…分かった。助けて欲しい時はいつでも言ってね」
そう言って奈緒を送り出した。
「ありがとう由衣ちゃん…」
何も聞かずに行かせてくれた由依に、奈緒は心から感謝した。
教室を出た奈緒は探索を再開する。
「さあ、まずはどこへ行くの?」
ティーナが奈緒に尋ねる。
「もう次のやつは分かってる」
授業中に僅かな反応があり、目標の方角を掴んでいたのだ。
目標は2つ隣の教室にいる。
奈緒はそこへ向かおうとしたところで、蟲達の反応が微妙に変化したのを感じた。
「動いている?」
最初の反応と方角が変化し、距離も変わっている。
とにかく目的の教室へ向かう。
「ぎゃああああ」
男子生徒の悲鳴が上がった。
「!?」
奈緒は声の元へ駆け出した。
「いだだだだだだだだだだ……」
別のクラスの男子が、うずくまって唸っている。
蟲が無関係の人間を襲い始めたのだ。
(そんな……、まだ放課後じゃないのに……!)
実際には、蟲達は手頃な獲物に取り憑いただけで、暴れたり魔力を吸ったりはしていない。
だが、目の前で苦しんでいる人を目の当たりにして、奈緒は酷く動揺していた。
(はやく…蟲を回収しないと…!)
「だ、だいじょうぶ?」
奈緒は気遣うフリをして、男子に近寄った。
ここまで接近すれば、蟲の正確な位置が分かる。
蟲はこの男子の『おちんちん』に噛みついているのだ。
(ええっと…どうすれば…?)
蟲の誘導範囲内に入るために、奈緒はうずくまっている男子に後ろから抱きしめるように被さり、自分のおちんちんを相手のお尻に押し付けた。
何も知らない者が見れば、怪しい関係のように思える。
「だ、大丈夫だよ。すぐに痛くなくなるから」
「さ、さわるな…!」
腕を後ろに回して、奈緒を振りほどこうとするが、力が入らない。
少年が暴れるのを利用して、奈緒はさらに股間を接近させる。一瞬、2人のおちんちんがぶつかった。
モゾ……
蟲は現在の宿主よりも濃厚な魔力の臭いを感じ取り、男子のおちんちんから離れた。
男子のズボンから出てきた蟲は、即座に奈緒の股間に移った。そして取り憑く場所を探し回る。
ガブッ
蟲は奈緒のおちんちんの、胴体の真ん中あたりに噛みついた。
「っ!ぐうぅぅぅぅぅぅ………」
奈緒は必死で悲鳴を上げるのを堪えた。ここでさらに騒ぎになれば、行動できなくなってしまう。
「…あれ?」
蟲が離れた途端、男子の苦痛が嘘のように消え去る。それどころか、爽やかな気分にまでなっている。
「ああ痛かった、急にチンコが痛くなったんだけど、何だったんだろう?」
「そ、そう……よかったね」
その痛みは、今まさに奈緒のおちんちんに襲いかかっているのだが、奈緒はそれを隠して、そっけない態度をとる。
「大丈夫?」
「どうしたの?」
周囲の人間が男子を気遣っている隙に、奈緒はその場から離れた。
「…まずいわね。蟲が人に取り憑き始めてるわ」
蟲が人に取り憑くと、その人の被害だけでなく、探索も困難になる。移動でもされたら、追跡だけでも一苦労だ。
「どうしよう?でも今はこのまま探索を…」
「こういう時は発想を変えましょう。もし痛みで動けなくなったら、何処へ連れていかれるの?
「あ……」
ティーナの言葉に、奈緒が一つの答えが浮かび上がる。
保健室、そうだ保健室だ
蟲に取り憑かれて動けなくなったら、保健室に連れて行かれるかもしれない。
「よくそんな事思いついたね」
「えー? だって保健室ってイベント発生の宝庫でしょう?」
「ティーナ、それゲームの中だけだよ」
現在の2人の状況が、まるでゲームのような状況だという事を、誰も突っ込んだりはしなかった。
保健室に近付くと、予想が当たった。
2人分の反応がある。
ガラガラ…
奈緒達は保健室に入り、周囲を確認する。
保健の先生は留守のようで、2つあるベッドに誰かが寝かされている。
奈緒達はまず一番手前にあるベッドに近付いた。
ここまで接近すれば、さらに詳しい場所が分かる。
蟲は寝ている男子達の、『おきんたま』に取り憑いていた。
「うううう…」
ベッドの上で、呻いてる男子達。
蟲におきんたまを責められているのだろう。
「どうするの?」
「こうするしかないだろ?」
奈緒はベッドの上に乗る。
ギシッ…
ベッドが揺れて、寝ている男子が気付く。
「な、何だよ…?」
突然見知らぬ人間に接近されて、男子が拒絶しようとする。
「静かにして。…おきんたまが痛いんだろう?」
「なんでそれを…」
「い、いたみを消す方法があるんだ。ちょっとだけ試させてくれないかな…?」
「本当だろうな…?」
「だいじょうぶ……」
奈緒は毛布をめくって、男子の姿を確認し、背中に手を置く。そして背中をさする振りをして、少しずつ腰を近付ける。
このまま、反応範囲に入ってくれれば…と考えていると、事態は急変した。
「がああああああああああああっ!」
突然男子が悲鳴を上げて、身体を丸める。
「あああああああっ…つ…ぶれる……」
「!」
男子の悲鳴を聞いて、奈緒は事態を理解する。
取り憑いた蟲が、おきんたまへの責めを強めたのだ。
「……ごめん!」
もう、怪しまれないようにじっくりとやる時間は無かった。奈緒は男子を強引にひっくり返し、足を開かせる。
「なにすんだ……やめ……」
抵抗しようとしても、力が入らない。
ガッ!
奈緒は自分の股間を、相手の股間にぶつけた。
実際には、相手の股間を押さえた指に、おきんたまをぶつけてしまった。
「ぐう…」
奈緒の口から、短い呻き声が漏れる。
だが、必死の行動は実を結び、目標の蟲が反応した。
男子のおきんたまに取り憑いていた蟲が、奈緒のおきんたまに移動する。
ミシッ
「ああああぎいいいい…た、たまはあああ」
蟲の長い脚がおきんたまに食い込む。
これまでの蟲と形が違って、長い脚でおきんたまを締め上げる形状のようだ。
「すげえっ!本当に痛くなくなった!サンキュー!」
「うん……、よかったね……」
ギリギリギリ……
奈緒の右のおきんたまが、形が変わるほど締め付けられる。
この後、奈緒はもう一人の男子から蟲を回収した。
先に助けた男子の口利きがあったお陰で、比較的穏便に済ませる事ができた。
先に回収した蟲は右のおきんたまに、次に回収した蟲は左のおきんたまに取り憑いた。
左右両方のおきんたまをギリギリと責められ、奈緒は何度も悶絶させられた。
「ね?保健室に行くというアイディアは、大成功だったでしょー?」
ティーナが調子に乗って、ギャーギャーうるさかった。
さらに保健室の前で、こちらに向かう途中の被害者を待ち構え、そのまま蟲の回収に成功した。
蟲は奈緒のおきんたまとお尻の中間にある膨らみ、会陰部に取り憑いた。
グリグリグリグリ……
「あぐあああああああああああああっ…!」
おちんちんの芯の部分に響く振動が、奈緒の身体をエビ反りにする。
その場に止まる事ができずに、のたうち回る奈緒。
さらに、他の蟲達も同調して、おちんちんとおきんたまを責め立てる。
「ぐぎぎゃおおおおおおおおんんんんんんっ!」
奈緒は蟲達の『遊び』に、翻弄され続けるしかなかった。
すでに回収した蟲の数は7匹。最初にいた1匹と合わせて8匹が、奈緒のおちんちんとおきんたまに取り憑いていた。
残りは2匹。だが、もう6時間目が始まってしまう。
ヂリヂリヂリヂリ…グリグリグリ…
8匹の蟲が激しく蠢いて、急かしている。近くに9匹目の蟲がいるのだ。
だが…
キーンコーンカーンコーン
6時間目の始まりを報せる無常のチャイムが鳴る。
「奈緒……どうするの?」
授業をサボって探索を続けるのかを、ティーナが聞いてくる。
もう時間が無い。授業は6時間目で終わりだし、後は掃除の時間しかない。『放課後』というのがどこまでの範囲を言うのか分からないが、下手をすると帰りの挨拶をした瞬間タイムリミットという事もあり得る。
何より、授業中の生殺しを、もう一度耐える自信はなかった。
「……いこう…!」
奈緒はこのまま探索を続けることを決意した。