鋼鉄のグリプス ~悪党貴族の孕ませハーレム日記~【パイロット版】 作:種をまく者
一日の予定を終えた夜。
俺は自室で読書をしていた。
正確に言えば文字列を目で追っているだけで、内容が全く頭に入って来ない。
今宵は待ちに待った<
そわそわして仕方がない。
遠い祖先に鍛冶師を持つグリプス家では、男子が初めて女を抱くことを剣の鍛造に喩えて<初火入れの儀>と呼ぶならわしがあった。
不純物の多い銑鉄のように未熟な男子が女という熱い炉の中に投げ込まれることで、真の鋼に変わる第一歩となる。
最初に聞いた時はただの性交渉をやたら大仰に表現するものだと思ったが、貴族家の抱える事情を鑑みれば、通常の男子の初体験よりも遥かに重要視されるのもわからないでもない。
鍛冶屋の親方が弟子と共に交互に槌を振るう様子も、男女での共同作業を暗示しているように思えた。
その時、誰かがドアをノックした。
咳払いをしてから、「入れ」と応える。
「失礼いたします」
キーラが静かに部屋に入ってきた。
いつも着ている侍女共通の作業服ではなく、夜着に着替えている。
制服姿しか知らない同級生の私服姿を見たような気分になり、つい嬉しくなった。
キーラの夜着は身体のラインが出る薄く柔らかい素材の服で、その下にあるキーラの豊かな肢体が見て取れた。
キーラは床に片膝をつき、胸に手を当ててうやうやしく頭を垂れる。
「若さま。この度は<初火入れの儀>にわたしのようなものをお選び頂き、ボウガイの喜びにございます」
普段は口数の少ないキーラが小難しい言葉を使ったので、俺はなんだかおかしくなった。
「立派な挨拶だね。誰かに習ったの?」
からかうように言うと、キーラが少し恥ずかしそうに「はい」と頷いた。
キーラは農村出身だった。
それゆえ礼儀作法や言葉遣いはなかなか完璧なものにはならないが、よく気が利く娘だった。学がなくとも決して愚かな人間ではない。
顔立ちといい控えめな人間性といい、侍女として実に好ましい娘だった。
数年前からグリプス家で奉公をしており、年齢は確か俺より4つ上の16歳。
俺専属の「お付き侍女」、いわゆるメイドだ。
部屋の掃除や食事の際の給仕を中心に、身の回りのことを何でもする。
お付きの侍女はキーラ以外にも何人かいて、若い娘もいれば中年や老婆など年齢は様々だ。
キーラはお付きの侍女の中で一番背が高く、服越しに見る限りは肉付きもいい。
かと言って太っているわけでもなかった。
侍女たちは普段から地味で露出の少ない服装をしているし、あまり言葉をかわすこともない。俺から話しかければ軽い雑談ぐらいはするが、長い時間話し込むことは禁止されているようだった。
そうした事情もあって、以前はキーラ含めてお付き侍女たちを特別意識していなかった。
というより、俺の方もそういう目で見るのをなんとなく禁じられているように感じていた。
ごく最近、精通後に教えられたことだが、身体の準備が整わないうちから俺が度を超えたエロガキに育ってしまわないよう配慮されていたらしい。
他家の話ではあるが、物心ついた時から性的な誘惑に接し続けておかしくなってしまい、まともな貴族に育たなかった男の逸話も聞かされた。
俺がそうならぬよう周囲が気配りしていたわけだが……余計な心配だったとはとても言えない。
だが、夢にキーラが出てきた時に全てが変わった。
俺はこの娘を好いているのだとはっきり自覚し、身体の準備も整った。
<初火入れ>に際して希望の相手はいるかと聞かれた時、キーラを選んだのは俺にとって自然なことだったのだ。
侍女長や父はそれぞれ一度ずつやんわりと「もっと年上の経験豊富な女性がいいのではないか」と勧めてきたが、最終的には俺の希望を優先してくれた。
「若さま、よろしければお風呂場にてお背中をお流し致します」
「そうしてもらおう」
侍女長との事前打合せ通り、キーラと二人で浴場に向かう。
キーラは俺より頭ひとつほど背が高いため、後ろを歩いていると眼の前にうなじが見える。
後頭部でひとつにくくった茶色い髪が少し濡れていた。
どうやらキーラ自身は先に身を清めているようだった。
今日、俺は童貞を捨てるのだ……。
どこかふわふわした気持ちでそのことを噛み締めているうちに浴場に着いた。
俺のために作られた専用浴場だ。
脱衣場でキーラに服を脱がせてもらう。
今までずっと風呂の手伝いをするのは中高年の侍女と決まっていたが、今日からは違う。
正直言って心臓バクバクだった。
ふと、俺の服を脱がせるキーラの手が震えていることに気付いた。
キーラの方が俺よりもっと緊張しているとわかって、少し落ち着きを取り戻した。
俺は腰布一枚になった。
キーラは薄手の肌着姿。ぴったりと彼女の肌にくっついており、胸元と太ももが艶めかしい。
滑らないよう、キーラに手を取られて浴室に入る。
ただそれだけのことで、俺の「剣」は既に固くなっていた。
教室ほども広さがある浴室には湯気が立ち込めており、湯船にはたっぷりと湯が張られていた。
今は夏だが、俺はしょっちゅう風呂に入っている。
風呂好きが高じて、以前から石鹸を始めとした備品の製作、さらに浴室のしつらえにも積極的に口を出していた。
地道な努力の甲斐もあって、この屋敷の浴場は元の世界と変わらぬ便利さと大貴族ならではの豪華さを両立させる最高の風呂場に仕上がっていた。
洗い場に置かれた、木でできた小さな丸椅子に座る。
「お背中お流し致します」
キーラは背後に位置取り、俺の頭を洗い始めた。
おばちゃん侍女や婆さん侍女に洗われる時は何の感慨も湧かないが、若い年頃の女性となると話は別。
キーラが十本の指で優しく頭を揉みほぐすように洗ってくれ、俺は静かに感動していた。
布越しではあるが背中に柔らかいものがあたっている。
俺の肉の剣がどんどん大きくなっていく。
頭を洗い終わると、今度は背中。
石鹸を泡立て、柔らかい布で優しくぬぐい清めていく。
「若さま。ひとつお聞きしてもよろしいですか?」
耳元にキーラの吐息がかかる。
「なに?」
内心ではドキドキしっぱなしだったが、努めて平静を装った。
「その……若さまはどうしてわたしを選んでくださったのですか……?」
「どうしてって……うーん……どうしてって言われてもなあ……」
もごもごしているうちに、キーラが背中を流し終えて俺の前に来た。
湯水で濡れたことによって、薄手の服がキーラの身体にぴったりと張り付き、肌の色が透けている。
少し吊り目がちなキーラが、上目遣いで俺を見つめていた。
「簡単な話だよ。俺がキーラのことを好いているからだ」
ストレートに言ってみると、キーラが少し驚いたような顔をしてから目をそらした。
「……大変勿体ないお言葉です」
「キーラは? 俺のことどう思ってるの?」
キーラはしばらく恥ずかしそうにしていたが、俺がじっと見つめていると、おずおずと口を開いた。
「わたしは田舎の農村の卑しき生まれです。そのわたしが若さまのおそばでお仕えできるだけでも幸せなことなのに……まさかこのようなお役目に選んで頂けるなんて、夢にも思っておりませんでした」
言葉を選んでいるようだった。
「……それで?」
俺が聞きたい言葉は、まだ聞けていない。
「もしかして、俺に選ばれて嫌だった?」
俺とキーラの立場は天地ほども違う。
大貴族の御曹司に指名されて、農村上がりの侍女が断れるわけがない。
もしかしたら、キーラは嫌々受け入れているだけなのかも知れなかった。
「もしキーラが嫌だったら、俺が言えば今からでもやめにできるよ」
そう言った瞬間、キーラがはっとしたように俺の手を取った。
「わたしも、若さまのことが好きです」
真剣な表情だった。
「一生かけて、お尽くししたいです」
「本当なら嬉しいけど、無理してるんじゃない?」
「してません。どんな精霊にも誓えます」
俺を見るキーラの瞳は少し潤んでいた。
その目を見てたまらなくなり、勇気を出してキーラを抱き寄せる。
顔を近付けると、キーラが目を閉じた。
そっと口づけをする。
「ん……」
この世界に生まれ落ちてから、初めてのキス。
唇をくっつけるだけの小鳥のようなキスだったが、俺は再び深い感動に包まれていた。
「若さま……これから精一杯ご奉仕させて頂きますが、ひとつお願いがございます」
「聞いてるよ。キーラに任せていいかな」
「はい。では、少し準備をいたしますね」
今夜のキーラとの一連の行為については、大体の流れを事前に侍女長と話し合っていた。
今日の夜、キーラが俺の部屋を訪れること。
それから風呂で身体を洗ってもらうこと。
その際、風呂場で「あること」を済ませること。
そして、二人とも身体を清潔にしてから部屋で存分に<初火入れ>を行うこと……。
俺もキーラも、愛の営みをするのは初めてのことだ。
うら若き男女が戸惑わないためということで、あらかじめ丁寧な指導と情報共有が行われていた。
キーラが大きな甕(かめ)を持って来る。
傍らに置かれたその甕は金属製で、片足がすっぽり入りそうなほど口が広い造りだった。
身につけているものを脱ぎたいのか、キーラが急にもじもじし始めた。
「あの、若さま。できれば見ないでください……」
「あっち向いてるよ」
わざとらしく顔を背けてみせたが、ばっちり横目でキーラが脱ぐ様子を観察させてもらった。
長身恵体美少女が、薄衣を脱いで一糸まとわぬ姿となる様は、この世のどんなものより価値のある光景だ。見逃すわけにはいかない。
俺の視線を知ってか知らずか、キーラは背中を向けて服を脱いだ。
キーラの背中と丸みを帯びた尻があらわになる。
「はい、済みました……」
こちらを向いたキーラの肢体に、俺は思わず生唾を飲んだ。
元の世界の単位で言えば170cm以上はある長身。
胸は非常に大きく、はちきれそうだった。
胸元の血管がうっすら見えるほど肌が白い。
小さめの乳首は淡いピンク色。
腰はくびれており、尻が大きい。骨盤が張り出している。きっと安産型というやつだろう。
太もももむっちりしているが、筋肉とほどよい肉付きでバランスが取れている。
バレーボール選手のような体型だ。
完全に仕上がった雌の肉体を見て、俺は痛いほど勃起していた。
キーラは自分の身体を抱きしめながら、恥ずかしそうに身をよじった。
「わたしの身体、変ですよね……若さま、がっかりされておりませんか……?」
「ちっとも変じゃない。すごく綺麗だよ」
本心からの言葉だった。
キーラは少し照れたような笑顔を浮かべ、俺の正面にひざまずいた。
湯を張った手桶と手ぬぐい、それと俺が開発した特製石鹸を使って大量の泡を作り始める。
手桶に白い山のような泡ができると、キーラはそれをたっぷり手に取って俺の身体に塗りたくった。
「じゃあ、次は前の方を洗わせて頂きますね……」
今度は手ぬぐいを使わず、キーラの手で直接洗ってくれるらしい。
泡まみれになったキーラの手でゆっくり胸を撫でられ、ぞくぞくしてきた。
初火入れの夜は、まだ始まったばかりだった。
明日には濡れ場まで到達できるか……な……?