※この作品はR-18です。

IS‐二人の男はSSランク‐   作:ニコネーム、フラフラ

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第三話 夏祭りは淫靡な夜に‐鈴視点‐

 

八月も中盤に近づいたある日の夕方。

 

蝉の声が遠くでジージーと鳴いている。夕暮れの空が茜色に染まり始めていた。

 

「ううー、暑い……」

 

あたしは扇子でパタパタと顔を仰ぎながら、境内の石段を一段ずつ登っていた。

 

浴衣。そう、今日は浴衣だ。

 

オレンジ色地に白い水玉模様が散った夏仕様。帯は黒地に金糸の細工がしてあって、母が中国に送ってくれたものだ。「日本の夏祭りくらい、ちゃんとした格で行きなさい」だって。はいはい、お母様。

 

でも、浴衣を着るのは初めてじゃないけれど、一夏と祐作の前で着るのは初めてで。

 

(ちょっと、緊張する……)

 

石段を登り切ると、見慣れた鳥居があった。篠ノ之神社。一夏と祐作にとっては幼馴染の距離感で、小さい頃から毎年来ているという地元の夏祭りだ。

 

境内の入り口には提灯がズラリと並んでいて、その明かりが夕暮れの中でポゥと浮かんでいる。出店の並ぶ参道の奥からは、屋台独特の油の匂いと、祭囃子の軽快なリズムが聞こえてきた。

 

「あ、鈴!」

 

鳥居の下で、声がした。

 

視線を上げると、一夏と祐作が立っていた。

 

二人とも、夏祭り仕様だ。一夏は紺色の甚平に下駄。祐作は白い着物にグレーの袴姿。

 

いや、まて。

 

祐作。

 

なんで、あんたは着物なのよ!

 

他の男子はみんなTシャツか甚平って感じなのに。あんた一人だげガチすぎて浮いてるわよ!

 

でも——。

 

(……かっこいい♡)

 

認めたくないけれど、認めるしかない。これが惚れた弱みと言う奴か。くそぉ…。

 

一夏の甚平から覗く腕の筋肉が、男らしくて。下駄を履いて少し背が高くなっているせいか、いつもより大人に見える。

 

祐作は……もう反則よ。白い着物に黒い髪。垂れ目が夜色の瞳で、提灯の光を受けてキラキラしている。女みたいな顔って昔から言われてるけど、着物を着るとその中性的な美しさが際立って、逆にドキッとする。

 

「二人とも、早いわね」

 

あたしは努めて冷静な声を出した。心臓がドックドックうるさいけど、顔には出さない。出さないったら出さない。

 

「リン、来たね」

 

祐作がふにゃりと笑った。その笑顔で、あたしの冷静さがガリガリと削れる音がした。

 

「お待たせ、鈴。浴衣似合ってるぞ」

 

一夏が、あたしをまじまじと見て、灰色の瞳を細めた。

 

「……似合ってる? 本当?」

「ああ。すげえ可愛い。その帯の金糸、鈴の目の色に合ってる」

「バ、バカ……」

 

顔が熱くなった。この天然ジゴロめ。そんなことを平然と言うな。

 

「一夏の言う通りだよ。リン、すごく綺麗だよ」

 

祐作が一歩近づいて、あたしの髪にそっと触れた。

 

「髪、結い上げたんだね。首元、綺麗だ」

「んっ……」

 

首筋に風が当たる。普段はツインテールで隠れている部分が、今は丸出しだ。祐作の視線がそこに注がれているだけで、背筋がゾクゾクする。

 

(あたしの彼氏たちって、なんでこんなに攻撃力高いのよ)

 

「さ、二人とも行きましょう。出店、いっぱい出てるわよ」

 

あたしは話を切るように歩き出した。これ以上二人の視線を浴びていたら、入場料も払わないうちから溶かされてしまう。

 

*  *  *

 

祭りは、喧譟に包まれていた。

 

参道には屋台がびっしりと並んでいて、人の波がゆっくりと流れている。りんご飴、綿菓子、焼きそば、たこ焼き、射的、金魚すくい。匂いが混ざり合って、独特の夏祭りの香りを作り出している。

 

「りんご飴! あたし、りんご飴食べたい!」

 

あたしは子どものようにはしゃいでしまった。だって、中国にはこれがないのよ。砂糖でコーティングされた丸ごとのりんご。破壊力が高すぎる。

 

「はい、鈴」

 

一夏がお金を出して、りんご飴を買ってくれた。

 

「え、いいの?」

「俺が買うに決まってるだろ。彼女のりんご飴くらい」

「……バカ」

 

甘い言葉と甘いりんご飴。どっちも歯に絡みついて離れない。

 

「リン、僕からはこれ」

 

祐作が差し出したのは、綿菓子だ。

 

「え、あたしりんご飴持ってるんだけど」

「両手に持つのが夏祭りの正解だよ」

「効率厨のくせに、そういうロマンチックなこと言うのやめて」

 

でも、あたしは綿菓子を受け取った。だって嬉しかったから。両手に二人からの甘いもの。あたしは世界で一番贅沢な女かもしれない。

 

三人で屋台を冷やかしながら歩く。人混みがすごくて、何度も押し合いへし合いになった。

 

「危ない」

 

人波に押されたあたしを、一夏の手が支えた。腰に回された手。その熱が浴衣越しに伝わってくる。

 

「くっついてないと迷子になるぞ」

 

祐作が反対側からあたしの手を握った。

 

(迷子って、あたしは子どもじゃないんだけど)

 

でも、文句は言わなかった。だって、嬉しかったから。

 

左に一夏。右に祐作。両手を握られて、三人で歩く。

 

すれ違う人たちが、あたしたちを見て何やら囁いている。

 

(あんな小さい女の子、二人の男と両手繋いで……)

 

視線が痛い。でも、二人の手があたしを離さない。

 

「リン、僕たちが離さないからね」

 

祐作が、あたしの心を読んだように言った。

 

「あんた、やっぱり読心術使いでしょ」

「違うよ。ただ、リンのこと愛してるから分かるんだ」

「…ば…バカ」

 

顔が熱い。夏の夜のせいじゃない。絶対に違う。

 

*  *  *

 

金魚すくいの屋台で、あたしは本気を出した。

 

「まあ、あたしに任せなさい」

 

ポイと呼ばれる薄い紙のついた網で、金魚をすくう。中国武術で培った動体視力と反射神経は、伊達じゃない。

 

「おお、すげえ鈴!」

 

一夏が目を丸くする。あたしは一匹、また一匹と金魚をすくい上げていく。

 

「五匹! リン、天才だ」

 

祐作が拍手する。

 

「当然でしょ。あたしを誰だと思ってるの」

 

得意げに胸を張った時だった。

 

「でも、一匹もすくえない俺たちを見て、リンはどう思う?」

 

一夏が突然、真顔で聞いた。

 

「は? 何よ突然」

「俺たちは鈴みたいに器用じゃないからさ。何かを守る力がないと、隣に立てない気がして」

「……一夏」

 

一夏の灰色の瞳が真剣だった。守るという言葉に込められた重み。このバカ一夏は、いつもそうだ。無自覚に、核心を突いてくる。

 

「バカね」

 

あたしは言った。

 

「あたしを守るのに、金魚すくいの腕は関係ないでしょ。あんたたちは十分、あたしを守ってくれてるわよ」

「鈴……」

「リン……」

 

二人が同時にあたしを見た。その瞳の熱さに、あたしは視線を逸らした。

 

「さ、次行きましょう。花火までまだ時間あるんでしょ?」

 

あたしは話を切り上げて歩き出した。これ以上この空気に浸っていたら、あたしの理性が保てなくなる。

 

*  *  *

 

夜が深くなるにつれて、境内の隅の方へと人波が引いていった。

 

「ねえ、こっちに来たい場所があるんだ」

 

祐作が、参道から外れた細い石段を指差した。

 

「え? どこ?」

「僕と一夏の、秘密の場所」

 

秘密の場所。その言葉に心臓が跳ねた。

 

「行こうぜ、鈴」

 

一夏があたしの手を引く。

 

石段を登ると、本殿の裏手に出た。そこには古びた注連縄が張られた森があって、街の灯りが遠くに見えた。

 

静かだった。祭りの喧譟が、まるで別の世界のように遠い。

 

「ここ、昔から二人で来てたんだ。花火を見るのに最高の場所なんだよ」

 

祐作が言った。

 

「へえ……」

 

あたしは街を見下ろした。提灯の灯りが星のように散らばっている。

 

「リン」

 

背後から、一夏の手があたしの腰に回った。

 

「えっ?」

「花火、まだ時間あるだろ?」

 

一夏の声が低い。耳元で囁かれると、背筋がゾクゾクした。

 

「一夏……?」

「ここなら誰も来ない。祭りの喧譟も聞こえない」

 

祐作が、あたしの前に回った。白い着物が夜に溶け込んでいる。垂れ目が欲望で潤んでいた。

 

「リン、浴衣姿が可愛すぎて、ずっと我慢してたんだよ」

「我慢って……あんたたち、またそんなこと……!」

 

体が熱くなる。祭りの最中に、神社の裏手で。そんなこと、バカげてる。でも——。

 

(期待してる自分がいる)

 

この一ヶ月で、あたしの体は二人に愛されることに慣れきってしまっている。二人の熱視線を浴びるだけで、体の奥がジンジンと熱くなるのだ。

 

「バカ。人が来たらどうすんのよ」

「来ないよ。ここは僕たちだけの場所だから」

 

祐作が、あたしの帯に手をかけた。

 

「待って、祐作……!」

「待たない」

 

祐作はしれっと言って、帯を解き始めた。

 

「あたしの意思は!?」

「リンの目が『してほしい』って言ってるよ」

「嘘つき!」

 

でも、否定できなかった。体は正直だ。祐作の手が浴衣の上から胸に触れただけで、乳首がツンと硬くなった。

 

「鈴、俺たちもだぞ」

 

一夏が後ろから、浴衣の裾に手をかけた。太ももに直接触れる外気の冷たさと、一夏の手の熱さ。

 

「んっ……」

 

声が漏れた。

 

「ほら、リンの体、すぐ反応する」

 

祐作がふにゃりと笑った。

 

「バカ……あたしの体、おかしくなっちゃっただけよ……二人に触られると、すぐ……」

「おかしくないよ。可愛いよ、リン」

 

一夏が耳元にキスを落とした。

 

「んっ……」

 

帯が解かれて、するりと前から滑り落ちる。そうなったら勿論浴衣の前面、つまり私の身体が正面から全部丸見えになる。下着なんてつけていない。浴衣を着る時は、どうしてもラインが見えるから裸に近い状態なのだ。

 

「ひゃっ!?」

 

夜風が裸の肌に当たる。でも、恥ずかしいなんて言ってる場合じゃなかった。

 

一夏の手が後ろから胸を包み込み、祐作の手が前からあたしの秘所に触れた。

 

「あっ、んっ……!」

「リン、もう濡れてるね」

 

祐作の指が、濡れた割れ目をゆっくりとなぞった。

 

「バカ! 言わないでよ!」

「事実だよ。僕と一夏に愛されてるリンの体は、正直なんだ」

 

祐作の指が、クリトリスを軽く押した。

 

「あっ!」

 

電流のような刺激に体が跳ねる。一夏の手がそれを後ろから支えた。

 

「鈴、力抜いて。俺たちに任せて」

 

一夏の声が甘い。後ろから首筋にキスが降る。一夏の唇が、あたしの敏感な首筋を愛撫する。

 

「んっ、あっ……一夏……祐作……」

 

二人の手が、あたしの体を弄る。前から祐作が指で秘所を愛撫し、後ろから一夏が胸を揉む。二人のリズムが、あたしの体を波に乗せた。

 

「んっ…!? んんっ……!」

 

祐作の舌が、あたしの口中を征服していく。

 

正面から。祐作の唇があたしの唇を塞いで、容赦なく深く絡め取る。空いている片手であたしの頬を包み込んで、逃げられないように固定している。もう片方の手は——

 

(ああっ……また、そんな音……)

 

ぐちゅ。ぢゅぶっ。ぐちゅぐちゅ。

 

祐作の指が、あたしの股間を容赦なく弄っていた。濡れそぼった割れ目を二本の指で挟み込み、上下に擦り上げる。濡れた音が夜の静寂に響くたびに、あたしの顔がボッと熱くなる。

 

(こんな音……神社で……!)

 

「んっ……ふぅ……んんっ!」

 

抗議しようとしても、祐作の舌が口の中を踊るから声にならない。祐作の舌があたしの舌に絡みつき、吸い上げ、時折上顎をなぞる。そのたびに背筋がゾクゾクして、足の力が抜けていく。

 

「んふぁ……ゆう……はく……むぅっ」

 

名前を呼ぼうとしても、唇の隙間から漏れるのは甘い吐息だけ。

 

祐作はそんなあたしの反応を楽しむように、さらに深くキスをした。頬に添えられた手が親指で涙を拭うように撫でる。その優しさが、余計にあたしを溶かす。

 

(ずるい……キスしながらそんな風に優しくしないで……)

 

そして——後ろから。

 

「鈴……」

 

一夏の低い声が耳元に落ちたかと思うと、両手があたしの胸を包み込んだ。

 

「ひゃっ!?」

 

一夏の手つきは祐作とは正反対だった。遠慮がない。あたしの小さな胸を両手で鷲掴みにして、容赦なく揉みしだく。

 

「んっ! あっ——一夏っ!」

 

祐作のキスの隙間で声が漏れる。一夏の手があたしの胸を揉むたびに、体が前後に揺れて、祐作の指と密着度が変わる。前も後ろも、二人の手で挟まれて、あたしの体は完全に支配されていた。

 

「鈴の胸、可愛すぎる」

 

一夏が耳元で囁く。その息が耳にかかって、背筋がビクビクと震える。

 

「んっ……やっ……一夏、強……っ」

「ごめん。でも、止められない」

 

一夏は謝りながら全く手を緩めない。むしろ、その指先があたしの乳首をピンッと摘んだ。

 

「あっ!!」

 

電流が走ったような刺激に、腰がガクンと跳ねる。祐作の指があたしの秘所を滑るたびに、一夏の指が乳首を弄るたびに、あたしの体は二人の間で波打つ。

 

「リン、ここ硬くなってるね」

 

祐作が唇を離して、濡れた指であたしのクリトリスを軽く押した。その言葉と同時に指で円を描くように擦り始める。

 

「あっ……やっ……そこ……っ!」

「ここ、好きだよね。僕と一夏に触られるとすぐ大きくなる」

 

祐作がふにゃりと笑った。その笑顔が憎たらしくて可愛くて、あたしの理性をまた一段削る。

 

「バカ……言わないで……っ」

「事実だよ」

 

祐作の指がさらに激しく動く。ぐちゅっ、ぢゅぶっ、ぐちゅぐちゅ——。濡れた音が夜の境内に響く。誰もいないはずの場所。でも、もし誰かが石段を登ってきたら——

 

(見られたら……こんな格好で……二人に……!)

 

その考えが頭をよぎった瞬間、体の奥がキュッと締まった。

 

「リン、締まった。興奮してるね」

 

祐作が耳元で囁いた。その声に甘さと熱が混じっている。

 

「違……っ!」

「嘘だね。リンの体は正直だよ」

 

祐作の指がさらに奥へと滑り込む。

 

「あっ……ゆうさく……っ」

 

その時——一夏の指が乳首を弾いた。

 

パチン。

 

「ひゃあっ!!」

 

尖鋭な刺激が胸の先端から脳まで贯く。一夏があたしの乳首を指で弾く。パチン、パチンとリズミカルに。

 

「一夏……そこ……だめっ……!」

「鈴の乳首、可愛すぎる。弾くとビクビクしてるぞ」

 

一夏の声が興奮で掠れている。いつもの飄々とした余裕が消えて、ただあたしを求めている声。

 

「んっ……あっ……一夏……祐作……っ」

 

前後から同時に攻められて、あたしの体はもう限界だった。

 

一夏の唇が、あたしの首筋に這わされる。舌が鎖骨から耳の裏までをゆっくりとなぞる。その熱く湿った感触に、背筋が溶けてしまいそうだ。

 

「んっ……くっ……一夏の……バカ……っ」

「バカでいい。鈴の全部が欲しい」

 

一夏が首筋に軽く歯を立てた。

 

「あっ……!」

 

痛みと快感が混ざり合う。一夏の歯があたしの敏感な首筋に食い込んで、そこから吸い上げられる。

 

「一夏……痕ついちゃう……っ」

「つけていいだろ。リンは俺たちのものだからな」

 

一夏の声が低い。独占欲が隠されていない。

 

(あたし……二人のもの……)

 

その事実がまた头の中でリフレインする。体の奥がさらに熱くなる。祐作の指が動くたびに、濡れた音が大きくなる。

 

「リン、もう我慢できないよ……」

 

祐作があたしの耳元で囁いた。その声が甘く掠れている。いつもの稳やかな声じゃない。獣のような、抑えきれない欲求が渗んだ声。

 

「……っ」

 

あたしは答えられなかった。だって、あたしも同じだった。

 

(あたしも……もう……)

 

夜風が裸の肌に当たる。遠処から祭囃子が聞こえる。提灯の明かりがちらちらと揺れている。

 

誰もいない神社の裏手で。浴衣を脱がされて。前からも后ろからも二人に愛されて。

 

あたしは、目を閉じた。

 

(あたしは……二人のもの……)

 

その事実が、あたしの胸の奥でじんわりと熱く燃えていく。

 

怖くない。むしろ——安心する。

だって、二人がいるから。

 

祐作の指が、あたしの秘所をなぞる。ぐちゅ、と粘つく音が夜の静寂に響いた。

 

「んっ……」

 

あたしは祐作の肩に手を置いて、体を支えた。足の力が抜けそうになる。背後からは一夏の手が胸を揉みしだいていて、その両方の刺激が同時にあたしを襲う。

 

(もう……二人とも……)

 

でも、あたしの中で何かが弾けた。

 

祐作の指が動くたびに体の奥がきゅうきゅうと締まる。一夏の手が乳首を転がすたびに、背筋がゾクゾクと震える。二人に愛されているという実感が、あたしの理性をじわじわと溶かしていく。

 

「リン、どうしたの? ぼーっとして」

 

祐作が、あたしの顔を覗き込んだ。垂れ目が、欲望で潤んでいる。でもその奥に、いつもの優しさが隠れているのを、あたしは知っている。

 

「祐作……」

 

あたしは、祐作の名前を呼んだ。声が自分でも驚くほど甘く響いた。

 

「ん?」

「あたし……祐作が欲しい」

 

祐作の目が、すこしだけ見開かれた。その反応が嬉しくて、あたしは続けた。

 

「祐作の、ちょうだい」

 

背後で、一夏の手が止まった。その気配に、あたしは少しだけ優越感を覚えた。

 

(ごめんね、一夏。でも今は祐作が欲しいの)

 

あたしは、自分の両手を下に伸ばした。そして、祐作の目の前で自分の秘所をゆっくりと開いて見せた。

 

「んっ……」

 

自分の指が、濡れた花びらを左右に押し広げる。夜風が、露わになったあたしの一番敏感な場所に直接触れる。ひやりとした感覚と、祐作の熱い視線が同時に注がれて、体が震えた。

 

「リン……」

 

祐作の声が、少し掠れた。その声にあたしはゾクゾクした。

 

「見て、祐作。あたしの中こんなに濡れてる」

 

あたしは、祐作を誘惑するように指で入り口をくぱぁと開いた。中から、透明な蜜がとろりと溢れ出す。

 

「祐作の指で、いっぱい弄られたから……こんなになっちゃった」

 

祐作の喉が、こくりと鳴った。その反応があたしの胸を熱くする。

 

「ねぇ、早く……祐作ので、いっぱいにして」

 

あたしは、祐作の硬くなったものをじっと見つめた。袴越しでも分かるほど、それは反り返っている。

 

「祐作の、大きくて……硬くて……熱いおチンポ。あたしの中に欲しい」

 

背後から、一夏が「おい」と低い声を漏らした。その声に、あたしは少しだけ背筋を震わせた。でも、止まらない。

 

「ねえ、祐作。あたしのおまんこ祐作の形にしたいの」

 

あたしは、祐作の袴に手をかけた。ゆっくりと下ろすと、ビクンと反り返った祐作のものが、夜の空気に晒される。先端からは、透明な先走りが滲んでいた。

 

「祐作も、こんなに濡れてる……嬉しい」

 

あたしは、祐作のものをそっと手で包んだ。熱くて、硬くて脈打っている。それを、自分の入り口に押し当てる。

 

「リン……」

 

祐作の声が、甘く震えた。あたしは祐作の首に両腕を回して、耳元で囁いた。

 

「祐作……あたしの中、祐作のおチンポでいっぱいにして……」

 

その瞬間、背後で一夏が「くっ」と呻いた。あたしは、心の中で少しだけ謝った。

 

(ごめん、一夏。でも、今は祐作が欲しいの。一夏のことも、大好きだけど……祐作のおちんちんが欲しいの!)

 

祐作が、ゆっくりと腰を進めた。

 

「あっ……んぁ…」

 

熱いものが、あたしの中を押し広げる。祐作の形が、あたしの中に少しずつ刻まれていく。痛みは、もうない。ただ圧倒的な充実感だけがある。

 

「リン……あったかい……」

 

祐作の声が、耳元で聞こえる。あたしは祐作の背中に手を回して、ぎゅっと抱きしめた。

 

「祐作……もっと……奥まで……」

 

あたしは、自分から腰を動かした。祐作のものを、もっと深く迎え入れるために。

 

「あっ……んっ……祐作……」

 

背後の一夏があたしの肩を掴んだ。その手が、少しだけ強くてあたしはゾクゾクした。

 

「鈴……お前な……」

 

一夏の声が、少し拗ねている。その声があたしの体をさらに熱くする。

 

「一夏も……見てて。あたしが、祐作と一つになるの……」

 

あたしは、一夏に見せつけるように祐作の上で腰を揺らした。

 

「あっ……祐作……気持ちいい……」

 

祐作のものがあたしの一番奥を突く。そのたびに、体の奥から甘い快感が溢れ出す。

 

「リン……僕も……気持ちいい……」

 

祐作の声が、切なげに震える。あたしは祐作の唇にキスをした。深く、舌を絡めて。

 

「んっ……ふっ……」

 

一夏の手が、あたしのお尻を掴んだ。その手が、祐作のものとあたしの結合部に触れる。祐作のものが、あたしの中を出入りするたびに、一夏の指にも当たる。

 

「鈴……祐作ばっかり……」

 

一夏の声が、嫉妬で掠れている。あたしはキスをしながら、一夏の手を握った。

 

「一夏も……大好き……でも……今は……祐作が……」

 

正直な気持ちだった。二人とも好き。でも、今この瞬間は祐作に夢中なのだ。

 

「あっ……祐作……イッちゃう……」

 

祐作の動きが少しずつ速くなる。あたしの体が、快感の波に乗せられていく。

 

「リン……一緒に……」

 

祐作の声と共に、あたしは達した。

 

「あっ……ああっ……!」

 

頭の中が、真っ白になる。体が祐作にぎゅっと絡みつく。祐作も、同時に達した。あたしの中で熱いものが弾ける。

 

「リン……」

 

祐作が、あたしの名前を呼ぶ。あたしは、祐作の胸に顔を埋めた。

 

(祐作……大好き……)

 

でも、背後から一夏の拗ねた声が聞こえる。

 

「鈴……俺もいるんだけど……」

 

あたしは、振り返って一夏にキスをした。

 

「一夏も……大好きだよ。でも、今日は祐作が欲しかったの」

 

一夏は、少しだけ不満そうな顔をしたけど、すぐにいつもの飄々とした笑顔に戻った。

 

「まあ、いいけどな。次は俺の番だからな」

 

その言葉に、あたしは体の奥がまた熱くなるのを感じた。

 

ずるりと祐作のが抜けていく。

 

熱い液が中に残っているけれど、大切なものが抜けていくような寂しさが胸を掠めた。

 

(あ……祐作が、抜けちゃった……)

 

空虚感。さっきまで満たされていた場所が、急に冷たくなる。体の奥が物足りなさにキュンと鳴く。まるで赤ん坊がおっぱいを奪われたみたいな——って、何その例え。あたしの思考回路はもう溶けているらしい。

 

でも、その寂しさは——一瞬で吹き飛んだ。

 

「鈴、俺もいるんだけ、どっ!」

 

一夏の声が、背後から降ってきたかと思うと。

 

ずぼっ!!

 

「ひゃあああぁぁっ!!」

 

一夏の太くて硬いものが、祐作の名残が残るあたしのおまんこの奥まで一気に無理やり入ってきた。

 

抵抗なんて、ゼロ。

 

祐作の残した潤滑油とあたし自身の愛液で、あたしのそこはぐちゃぐちゃに濡れきっていて、一夏の太いものをまるで待っていたかのように飲み込んでしまったのだ。

 

(いっ……一夏っ!? いきなり——!?)

 

声にならない悲鳴が喉の奥で爆ぜる。一夏の太いものが一気に最奥まで到達した衝撃で、あたしは——一瞬でまたイかされた。

 

「ぁっ……あぁぁっ!!」

 

体が弓なりに反る。二人の間で揺れる。内壁が一夏のものをギュッギュッと締め付ける。さっき祐作でイいたばかりなのに、一夏の侵入でまた別の波が来たのだ。

 

「くっ鈴きつっ……!」

 

一夏が苦しそうな声を漏らす。でも腰を止めない。

 

「祐作ばっかりずるいだろ。俺だって鈴の中に入りたかったんだ」

 

文句を言いながら、一夏は激しく腰を振り始めた。

 

ズン! ズン! ズン!

 

容赦がない。遠慮がない。一夏の動きは祐作とは正反対だった。祐作が丁寧で確かめるような動きなら、一夏は本能のままにぶつけてくる動き。まるで獣だ。

 

(このバカ一夏……文句言いながら激しくするな!)

 

心の中で叫んでも、口からは喘ぎしか出ない。

 

「あっ、あっ、あっ、一夏っ……!」

 

あたしの体が一夏の動きに合わせて前後に揺れる。前のめりになって、一夏の肩にしがみつく。一夏の筋肉の硬さが手のひらに伝わってくる。

 

「鈴の中、祐作の出したのでぐちゃぐちゃだぞ……でも、すごく気持ちいい」

 

一夏が耳元で囁く。その声が低い。独占欲が隠されていない。

 

(一夏……あたしの中、一夏のでいっぱい……)

 

思考がドロドロに溶けていく。一夏の動きに合わせて体が波打つ。

 

その時——視界の端に、白い着物が映った。

 

祐作だ。

 

祐作が、あたしの前に立っている。白い着物が夜の境内に浮かんでいる。垂れ目が、欲望で潤んでいた。

 

「リン……」

 

祐作の声が、甘く掠れている。その声に背筋がゾクゾクした。

 

「祐作……?」

 

あたしは一夏に激しく打ち付けられながら祐作を見上げた。視界が揺れている。一夏のピストンで頭がガクガクと揺れるからだ。

 

祐作が、あたしの顔に両手を添えた。優しく。でも逃がさないように。

 

そして——キスをした。

 

深く。

 

祐作の舌が、あたしの唇を割って侵入してくる。あたしの舌を絡め取って、吸い上げる。まるで唾液を交換するかのような、ねっとりとした深いキスだった。

 

「んっ……ふっ……んんっ……!」

 

一夏に後ろから激しく貫かれながら、祐作と深くキスをする。

 

(前から祐作、後ろから一夏……また、二人同時……)

 

でもさっきとは違う。さっきは祐作が前で一夏が後ろだった。今は——前から祐作の舌が口内を征服して、後ろから一夏のが膣内を征服している。

 

口も下も、二人で埋め尽くされている。

 

「んふぁ……ゆう……さく……っ」

 

名前を呼ぼうとしても、祐作の舌が口の中で踊るから声にならない。涎が唇の端から溢れて、夜風に冷やされる。

 

祐作はそんなあたしの反応を楽しむように、さらに深くキスをした。舌の根元まで吸い上げられて、頭がぼんやりする。酸素が足りない。でも苦しいことが心地よい。

 

(祐作のキス……好き……大好き……)

 

一方で——一夏の腰使いは、さらに激しくなってきた。

 

「くっ鈴、祐作とキスしてる時の中すごいぞ……!」

 

一夏が興奮した声を上げる。あたしが祐作とキスをすると、体の奥が無意識に締まるらしい。その反応を一夏が感じ取って、さらに激しく主張してくるのだ。

 

ズン! ズン! ズン! ズン!

 

「あっ! んっ! あっ! ぅむっ!」

 

祐作のキスの隙間から喘ぎが漏れる。一夏の激しいピストンに合わせて体が前後に揺れて、祐作の唇との距離が変わる。深くキスされたかと思うと、唇が離れて、また追いかけるように重なる。

 

(二人に……挟まれて……使われてる……♡)

 

前からも後ろからも。口も下も。二人があたしを奪い合っている。あたしの全部を、二人で分け合っている。

 

「リン……僕のキス、気持ちいい?」

 

祐作が唇をわずかに離して、囁いた。あたしの答えを待たずに、また深くキスをする。

 

「んっ……ふっ……きもち……いい……」

 

一夏の動きに合わせて声が震えながらも、あたしは正直に答えた。

 

「リン……可愛い……」

 

祐作の声が甘い。でもその目は——夜色の瞳が暗く光っている。獲物を見つめる捕食者の目だ。

 

「鈴、俺だってもっと気持ちよくしてやるからな!」

 

一夏が拗ねたように言って、さらに激しく腰を打ち付けた。ズンズンズンズン! と容赦ないリズム。

 

「あ゛っあ゛っあ゛っ! いち、かぁっ!」

「ほら、俺のことも見てよ鈴」

 

一夏の手があたしの顎を掴んで、強引に後ろを向かせた。祐作の唇が離れて、一夏の唇が重なる。

 

一夏のキスは祐作とは違った。祐作が丁寧で深いキスなら、一夏のは荒っぽくて情熱的なキス。舌をねじ込んでくるような、強引なキス。

 

「んっ……一夏……!」

 

一夏のキスと一夏の腰の動きが同時にあたしを襲う。口の中も下の中も、一夏でいっぱいになる。

 

「くっ……鈴俺ばっかりずるいぞ」

 

祐作が一夏の肩を叩いた。

 

「は? 俺がずるい? 祐作こそさっきまで独占してただろ」

「今リンとキスしてたのは僕だよ」

「今は俺がしてるだろ」

 

二人が言い争い始めた。あたしは二人の間で——一夏のものを咥えたまま——ただ揺れている。

 

(あんたたちねえ……あたしの意思はどこにあるのよ……)

 

でも、二人があたしを奪い合っているという事実が、たまらなく嬉しい。

 

「じゃあ、両方同時に」

 

祐作がしれっと言った。

 

「は?」

 

一夏が止まった。

 

「リンの口は僕が、下は一夏が。同時に」

「お前……そういうことサラッと言うな」

「効率的でしょ」

 

祐作がふにゃりと笑った。この効率厨め。でも、その提案にあたしの体の奥がまた熱くなる。

 

(二人同時……また……)

 

「んっ……」

 

あたしは、小さく頷いた。言葉にする前に、体が答えていた。

 

一夏は後ろのまま、わたしの身体を直角に背を曲げさせると、祐作があたしの目の前に回り――

 

「リン、口開けて」

 

――祐作の大きなおちんちんが、あたしの目の前に差し出される。さっきあたしの中にあったもの。まだ濡れている。あたしの匂いと祐作の匂いが混じっている。

 

(あたしの匂いがついてる……)

 

その事実に顔が熱くなる。でも、あたしは素直に口を開いた。

 

「んっ……」

 

祐作のものを咥える。口の中に広がる熱さと硬さ。あたしの味と祐作の味が混ざり合っている。

 

「リン……上手だよ……」

 

祐作の手が後頭部に回る。ゆっくりと腰を動かし始める。

 

同時に——一夏も動き始めた。

 

「くっ鈴…中、すごい…!」

 

一夏の激しいピストン。前からは祐作のゆっくりとした動き。後ろからは一夏の激しい動き。対照的な二つのリズムが、あたしの体を好き勝手に揺り動かす。

 

「んぐっ……! んんっ……! うぐぅっ……!」

 

声がぐちゃぐちゃになる。口も下も二人で使われて、あたしはただ二人の間で揺れるだけだ。

 

(あたし……二人の……おもちゃ…みたい…)

 

その考えが頭の中をよぎった瞬間、体の奥がきゅうっと締まった。

 

「くっ鈴、締まったぞ!」

「リン……僕のも喉で締められて……」

 

二人が同時に呻く。二人の声が重なって、あたしの名前を呼ぶ。

 

(二人同時に……名前呼ばれてる……)

 

その事実が、あたしの胸をいっぱいにする。

 

一夏の動きがさらに激しくなる。ズンズンズンズン! と容赦ないリズム。お尻を叩くパンパンという音が境内に響く。

 

「鈴……俺もう限界だ……!」

「リン僕も……!」

 

二人が同時に言った。あたしは——逃げなかった。

 

(来て……二人の……全部……わたしの中でいっぱい出してぇ!♡)

 

ドクンッ!

 

祐作のものが、あたしの口の中で大きく脈打った。次の瞬間——熱い液体が喉の奥めがけて噴き出した。

 

「んぐっ!! んんんっ!!」

 

ビュクッ、ビュクッ、ビュクッ——と何度も何度も。祐作の精液が、あたしの口の中をいっぱいにする。量が半端じゃない。飲みきれない分が口の端からこぼれて、顎を伝ってポタポタと浴衣の襟に落ちる。

 

(熱い……苦い……でも……)

 

祐作の味。少し青臭くてでもどこか甘いような。あたしは喉を鳴らして、精一杯飲み込んだ。ごくんごくん、と何度も。それでも追いつかないくらい、祐作は出し続ける。

 

「リン……全部飲んで……」

 

祐作の声が上から降ってくる。切なげで、でもどこか満足げな声。あたしは目を潤ませながら、祐作を見上げた。垂れ目が愛おしそうにあたしを見ている。

 

(祐作……大好き……)

 

その時——後ろから。

 

「鈴っ……! 出るっ……!」

 

一夏の声が爆ぜた。同時にあたしの一番奥——子宮の入り口めがけて、熱いものが叩きつけられた。

 

「ぅんんんっ!! ん…ぅぅ…!!」

 

ビュクッ! ビュクッ! ビュクッ! ビュクッ!

 

一夏の精液が、あたしの中に溢れていく。量がすごい。祐作のを口で受け止めながら、あたしは下でも一夏のを受け止めていた。二つの穴で、二人の精液を同時に注がれる。体の奥が、熱いものでいっぱいになる。

 

「くぅっ……鈴…全部……中に……!」

 

一夏が腰を限界まで押し付けてくる。あたしの子宮口に、一夏の先端がキスをするように密着して、そこから直接熱い種が注ぎ込まれる。

 

(一夏の……あたしの子宮に……直接……♡)

 

ゾクゾクする。背筋が震える。今、あたしの体の中で二人の熱が混ざり合っている。

 

口の中には祐作の精液。膣の奥には一夏の精液。

 

二つの熱が、あたしを内側から満たしていく。

 

「あぁ…リン。今、可愛い顔してるよ」

「鈴の中、すごい締まる。俺の精液もっと注いでやるからな」

「んっ……んんっ……」

 

祐作のものがまだ口の中でビクビクと脈打っている。一夏のものも、あたしの中でドクンドクンと脈打ち続けている。二人とも、まだ出している。あたしの体を、二人のもので満たしながら。

 

(あ、あたし……今…すごい幸せかも……♡)

 

頭がぼんやりする。でも、嫌じゃない。むしろ——幸せすぎて泣きそうだ。

 

*  *  *

 

しばらくして、ようやく二人の脈動が落ち着いた。

 

祐作がゆっくりとあたしの口からものを引き抜く。ずるり、と音を立てて。あたしは名残惜しさに、唇を名残を追うように尖らせてしまう。

 

「リン、大丈夫?」

 

祐作が、あたしの口元を指で拭った。口の端からこぼれた精液を、優しく拭い取ってくれる。その手つきが優しくて、あたしは目を閉じた。

 

「ん……大丈夫……」

 

声が掠れている。喉が少し痛い。でも、それすら心地よかった。

 

後ろから、一夏がゆっくりと腰を引く。ずるり、と音を立ててあたしの中から抜けていく。

 

「ぁ……」

 

名残惜しい。あたしの中に残った一夏の熱が、どろりと溢れ出す感触。太ももを伝っていく粘つく液体。それすら、愛おしい。

 

「鈴……すごかったぞ……」

 

一夏が、あたしの背中にキスをした。汗ばんだ肌に、一夏の唇が気持ちいい。

 

「あんたたちね……」

 

あたしは振り返って、二人を交互に睨んだ。でも顔が緩んでしまって、全然怖くない。

 

「こんな神社で……もし誰か来てたらどうするのよ」

「誰も来ないって言ったでしょ」

 

祐作がふにゃりと笑った。その笑顔が憎たらしい。

 

「あんたの『誰も来ない』は信用しないわよ。前もそう言って、生徒に見られかけたでしょ」

「あれは僕の計算ミスだよ。でも、ちゃんとカバーしたでしょ?」

「あんたが『ごめん、彼女と喧嘩した』って言ってごまかしただけでしょ! あたしがどんな思いで……」

「でも、あの時リン、すごく感じてたよね。見られるかもって思ったら、すごく締まってた」

「ばっ……!」

 

顔が沸騰する。図星だ。否定できない。見られるかもしれないというスリルが、あたしをより敏感にさせていたのは事実だ。

 

「祐作のエロ…変態…エッチ」

「リンが可愛いからだよ」

 

祐作はしれっと言って、あたしの額にキスをした。

 

一夏が、あたしの腰に手を回した。まだ少し荒い息遣いで。

 

「なあ鈴。まだ時間あるし、もう一回……」

「バカ! 花火始まるでしょ!」

「花火は見ながらでもできるだろ?」

「できるわけないでしょ! こんなところで!」

 

あたしは叫んだ。でも、体はまだ熱い。一夏の手が腰にあるだけで、また疼き始める。この数ヶ月で、あたしの体は完全に二人に開発されてしまった。一度じゃ足りない。もっと欲しいと思ってしまう自分がいる。

 

「……バカ」

 

あたしは、小さく呟いた。

 

「花火、見てからね。花火ちゃんと見てから」

 

二人が顔を見合わせて、ふっと笑った。

 

「了解」

「わかったよ」

 

 

・・・・・・

 

・・・

 

結局、花火を見てる内から二人に腰が抜ける程に犯された。

 

 

 ちょっと、二人の相手は幸せだけど、体が持たないかも……。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

秋。文化祭の季節がやってきた。

 

あたしは教室の隅っこで、手渡された衣装を広げて絶句していた。

 

「……これ、着るの?」

「当然。クラスの出し物なんだから」

 

祐作が、しれっと言い放った。彼の腕には、もう執事服に袖を通している。黒のタキシードに白いシャツ、蝶ネクタイ。あまりにも似合いすぎて腹が立つ。

 

「はぁ…。奉仕喫茶って何よ。喫茶店なら普通に喫茶店でいいじゃない」

「文化祭なんだから、趣向を凝らさないと。それに男子は執事、女子はメイドって王道でしょ」

「王道って……あたし、メイド服なんて着たことないんだけど」

 

あたしは手の中の布を見下ろした。黒いワンピースに白いエプロン、フリフリのヘッドドレス。しかもスカートが異様に短い。これは絶対に設計した男子生徒の趣味だと確信した。

 

「大丈夫だよ、リン。似合うから」

「何を根拠に……」

「リンのことなら何でも分かるから」

 

祐作がふにゃりと笑った。その笑顔に、あたしの抗議の言葉が喉の奥で詰まる。この幼馴染は、こういう時だけ本気でずるい。

 

「鈴、早く着替えろよ。もうすぐ開場だぞ」

 

一夏が、隣で執事服の袖を通しながら言った。黒のタキシードが、彼の鍛えられた体にぴったりと合っている。灰色の瞳と黒髪が、執事服の大人っぽさを引き立てていた。

 

(……なんでこのバカ一夏、こんなに似合ってるのよ)

 

あたしは心の中で毒づいた。でも、視線は一夏から離せない。それくらい、執事服の一夏は格好よかった。

 

「ほら、リンも。着替え室空いてるよ」

 

祐作が、あたしの背中を押した。その手が、少しだけ優しい。

 

(……もう、分かったわよ。着ればいいんでしょ)

 

あたしは、メイド服を持って着替え室へ向かった。

 

 

*  *  *

 

 

「……うわ」

 

着替え室の鏡に映った自分を見て、あたしは声を漏らした。

 

黒いワンピースが、あたしの小さな体を包んでいる。白いエプロンが、その上からかかっている。フリフリのヘッドドレスが、ツインテールの上で揺れていた。

 

(……これ、あたしじゃないみたい)

 

でも、似合ってないわけじゃない。鏡の中の自分は、なんだか可愛らしく見えた。貧乳がコンプレックスのあたしでも、メイド服はそれをカバーしてくれる。フリルのおかげで、胸の部分がふんわりと見えるからだ。

 

「……よし」

 

あたしは、意を決して着替え室を出た。

 

教室に戻ると、一夏と祐作が待っていた。二人とも、執事服姿で教室の入り口に立っている。その姿は、まるで執事喫茶の看板みたいだった。

 

「お、鈴。似合ってるじゃないか」

 

一夏が、あたしを見て笑った。その笑顔が、少しだけ優しい。

 

「……バカ。似合ってるわけないでしょ」

「本当に似合ってるよ。リン、メイド服、すごく可愛い」

 

祐作が、あたしのエプロンのリボンをそっと整えた。その手つきが優しくて、あたしは顔が熱くなるのを感じた。

 

「ほら、開場だぞ。準備しろ」

 

担任の声が、教室に響いた。あたしたちはそれぞれの持ち場についた。

 

*  *  *

 

結果は、大好評だった。

 

いや、大好評なんてもんじゃない。

 

「おい、あっちの席、一夏くんが担当だって!」

「祐作くんのところ、行列できてるぞ!」

「メイドの凰さんも可愛いって噂聞いて来ました!」

 

教室の前にできた行列は、廊下をぐるりと一周するほどだった。他のクラスの出し物を完全に凌駕する盛況ぶり。担任が嬉しそうにニコニコしている。

 

(……なんでこんなに人気なのよ)

 

あたしは、自分の担当テーブルのお客さんに飲み物を運びながら、心の中で毒づいた。でも原因は分かっている。

 

一夏と祐作だ。

 

この二人が、執事服を着て接客するだけで女子生徒が殺到する。それどころか、男子生徒まで「かっこいい」と騒いでいる。あたしは、二人の人気を誇らしく思う反面、複雑な気持ちだった。

 

(別に、あたしの彼氏たちが人気なのは嬉しいけど……)

 

でも、その彼氏たちが、他の女の子に微笑んだり甘い言葉をかけているのを見ると、胸の奥がチクチクと痛む。

 

「お嬢様、本日はご来店いただきありがとうございます」

 

一夏が、女子生徒にそう言ってにこっと笑った。その笑顔に、女子生徒が「きゃー」と悲鳴を上げる。

 

(……なんでそんなに自然に『お嬢様』なんて言えるのよ)

 

あたしは、心の中で舌打ちした。一夏は天然ジゴロだから、そういうことを無自覚にやっている。それが余計に腹立たしい。

 

「お嬢様、お飲み物は何になさいますか?」

 

祐作も、別の女子生徒にそう言ってふにゃりと笑った。その笑顔に、女子生徒が顔を赤らめる。

 

(祐作も祐作よ。『お嬢様』なんて、あたしにしか言わないと思ってたのに)

 

あたしは、自分の手の中のトレーをぎゅっと握った。別に、二人が他の女の子に優しくするのは、仕事だから仕方ない。分かっている。分かっているけど、面白くない。

 

(ぅぅ……あたしって、こんなに嫉妬深かったっけ)

 

自覚のない自分の独占欲に、あたしは少しだけ呆れた。

 

*  *  *

 

三時間後。

 

教室の前の行列は、さらに長くなっていた。担任が、嬉しそうにしながらも少し困った顔で言った。

 

「お前ら、ちょっと休憩しろ。このままじゃ、倒れるぞ」

 

一夏と祐作は、担任に言われて教室の隅の休憩スペースへ移動した。あたしも、自分の担当を他の子に代わってもらって、休憩スペースへ向かった。

 

休憩スペースには、一夏と祐作が座っていた。二人とも、少し疲れた顔をしている。でも、その疲れ顔すら格好よくてあたしは心の中で舌打ちした。

 

「お疲れ、鈴」

 

一夏が、あたしに気付いて手を振った。その手には、ペットボトルのお茶が握られている。

 

「……お疲れさま」

 

あたしは、二人の向かいの席に座った。椅子に座った瞬間、足の疲れがどっと押し寄せてくる。あたしは、思わず足を伸ばした。

 

「リン、足、疲れた?」

 

祐作が、あたしの足を見て言った。その目が、少しだけ心配そうだ。

 

「……まあ、それなりに」

「じゃあ、後でマッサージしてあげるよ」

「……バカ。そんなこと言ってる場合じゃないでしょ。まだ文化祭、続くんだから」

 

あたしは、顔を背けて言った。でも心の中では、祐作の提案が嬉しかった。この幼馴染は、いつもこうだ。あたしの疲れを、誰よりも早く見つけてくれる。

 

「なあ、鈴」

 

一夏が、あたしの顔を覗き込んだ。その顔が、少しだけ真剣だ。

 

「ん? 何よ」

「さっきから、俺たちのこと睨んでただろ」

「……睨んでないわよ」

「嘘だ。俺、分かってたぞ。他の女子に笑いかけるたびに、鈴の目が怖くなってた」

 

一夏の言葉に、あたしはドキリとした。まさか、気付かれていたなんて。

 

「……別に。あんたたちが誰に笑いかけようと、あたしには関係ないでしょ」

「関係あるだろ。俺たち、鈴の彼氏なんだから」

 

一夏が、真っ直ぐにあたしを見た。その灰色の瞳に、あたしは言葉を詰まらせる。

 

「……バカ」

 

あたしは、小さく呟いた。でも心の中では、一夏の言葉が嬉しかった。このバカ一夏は、いつもこうだ。あたしの気持ちを、無自覚に核心を突いてくる。

 

「リン」

 

祐作が、あたしの手をそっと握った。その手が、少しだけ冷たい。

 

「僕たちが他の子に優しくするのは、仕事だからだよ。でも本当に大事なのは、リンだけだから」

「……分かってるわよ」

「分かってるなら、そんな顔しないで」

 

祐作が、ふにゃりと笑った。その笑顔に、あたしの胸の奥がきゅっと締まる。

 

(……本当に、この二人は)

 

あたしは、二人の手をぎゅっと握り返した。その温もりが、あたしの嫉妬心をゆっくりと溶かしていく。

 

 

*  *  *

 

 

食事を含めた二時間ほどの休憩が終わって、あたしたちは再び持ち場に戻った。

 

でも、さっきとは少しだけ違う。あたしの心の中のざわめきが、少しだけ静かになっていた。二人が他の女の子に優しくしても、さっきほど腹が立たない。だって、二人の本当の気持ちはあたしが一番よく知っているから。

 

「お嬢様、ご注文は?」

 

一夏が、また女子生徒に笑いかける。その笑顔に、女子生徒が悲鳴を上げる。

 

(……まあ、いいわ。今日だけは許してあげる)

 

あたしは、心の中でそう呟いて自分の担当のテーブルへ向かった。

 

文化祭は、まだまだ続く。でもあたしの心は、さっきよりもずっと軽かった。だって、あたしには二人がいるから。

 

 

*  *  *

 

 

文化祭が終わったのは、夕方だった。

 

あたしは、教室の隅で、メイド服を脱いで制服に着替えていた。体は疲れているけど、心は満たされていた。今日一日、たくさんの人に「可愛い」と言われた。でも、一番嬉しかったのは一夏と祐作に「似合ってる」と言われたことだ。

 

(……あたしって、単純ね)

 

自分の単純さに呆れつつも、口元が緩むのを止められなかった。

 

「リン、着替え終わった?」

 

祐作が、教室の入り口から声をかけた。彼は、もう執事服を脱いで制服に着替えている。

 

「うん。今行く」

 

あたしは、メイド服を畳んで教室を出た。廊下には、一夏が待っていた。彼も制服に着替えている。

 

「お疲れ、鈴」

「お疲れさま」

 

あたしは、二人と一緒に校門を出た。夕暮れの空が、オレンジ色に染まっている。文化祭の喧騒が、遠くで聞こえる。

 

「なあ、鈴」

 

一夏が、あたしの手を握った。その手が、少しだけ温かい。

 

「今日、すごく可愛かったぞ。メイド服」

「……バカ。もう脱いだわよ」

「でも、俺の頭の中ではまだ着てるから」

 

一夏が、にへらっと笑った。この天然ジゴロめ。あたしの理性が、またガリガリと削られていく。

 

「リン」

 

祐作が、あたしのもう片方の手を握った。その手が、少しだけ優しい。

 

「今日、僕もすごく楽しかったよ。リンのメイド服、本当に可愛かった」

「……あんたもバカね」

 

あたしは、二人の手を握り返した。三人で、夕暮れの道を歩く。あたしの心は、今日一番の幸せでいっぱいだった。

 

(あたしは、世界で一番幸せな女かもしれない)

 

そう思いながら、あたしは二人の手をぎゅっと握った。

 

 

*  *  *

 

 

その夜。

 

わたしたちは親の了承を得て一夏の家に三人集まって文化祭お疲れ様会を開いていた。

私たちが三人で付き合っている事を知っている千冬さんは、空気を呼んでくれたのか外出先で泊まるとのことだった。ありがたい。

 

「「「いただきまーす!」」」

 

一夏に合わせて三人で、大きな声で言った。テーブルの上には、料理が所狭しと並んでいる。

 

カレー、ハンバーグ、ポテトサラダ、唐揚げ、味噌汁、それに白いご飯。どれもこれも一夏が腕を振るって作ったものだ。

 

(……量が多すぎるでしょ)

 

あたしは、テーブルの上の料理を見渡して、正直そう思った。食べきれるかどうか怪しい。いや、確実に食べきれない。三人分じゃない。十人分くらいある。

 

「一夏、あんた何人分作ったのよ」

「三人分だぞ」

「嘘つき。これ絶対十人分あるわよ」

「いや三人分だって。俺、料理するの楽しくてさ。ついつい作りすぎちゃうんだよな」

 

一夏が、にへらっと笑った。その笑顔に、あたしはため息をついた。この天然ジゴロめ。料理まで得意だなんて、ずるい。

 

「まあでも、美味しそうね」

 

あたしは正直に言った。見た目は悪くない。むしろ、かなり良い。ハンバーグの肉汁がじゅわっと溢れ出しているし、唐揚げはカリカリに揚がっている。カレーはスパイスの効いた香りが漂っていて、鼻をくすぐる。

 

「祐作、ジュースお願い」

「うん」

 

祐作が冷蔵庫からオレンジジュースとアップルジュースを取り出した。グラスに注いで、あたしの前に置く。

 

「ありがとう」

 

あたしはグラスを取って一口飲んだ。甘くて冷たい。喉が潤う。

 

「じゃあ、改めて。文化祭お疲れ様!」

 

一夏がグラスを掲げた。祐作も続けて掲げる。あたしも、自分のグラスを掲げた。

 

「お疲れ様!」

 

三つのグラスが、カチンとぶつかり合った。透き通った音が、一夏の家のリビングに響く。

 

「んっ、美味しい!」

 

あたしは、ハンバーグを一口食べて声を上げた。肉汁がじゅわっと口の中に広がる。ふんわりとした食感の中に、玉ねぎの甘みが隠れている。

 

「だろ? 俺の自信作なんだよ」

 

一夏が得意げに胸を張った。その顔が、子供みたいに嬉しそうで、あたしはくすりと笑った。

 

「まあまあね。合格点あげるわ」

「え、だけ? もっと褒めてくれよ」

「調子に乗るなバカ」

 

あたしは一夏の額を指で弾いた。一夏が「痛っ」と大げさに頭を抑える。

 

「リン、唐揚げも食べて」

 

祐作が、唐揚げをあたしの皿に乗せてくれた。その手つきが自然で、まるで当たり前みたいだ。

 

「ありがとう……んっ、これも美味しい」

「一夏の料理は、素直に美味しいよね」祐作が頷いた。「僕は味噌汁が好きだな。出汁が効いてる」

「お、祐作わかってるな! 出汁、昆布と鰹節からちゃんと取ったんだぞ」

 

一夏が嬉しそうに言った。二人の会話が、自然と弾む。

 

(平和だわ)

 

あたしは、二人の会話を聞きながらポテトサラダを口に運んだ。マヨネーズの酸味とじゃがいものホクホク感が口の中で混ざり合う。

 

カレーも食べた。スパイスの効いたルーがご飯に絡んで、一口食べるたびに体が温かくなる。

 

「ねえ、一夏。あんた本当に料理上手ね。いつ覚えたのよ」

「中学くらいからかな。姉さんが忙しくて帰ってこないことが多くてさ。自分で作らないと飢え死にすると思って」

 

一夏がさらりと言った。でも、その言葉の裏にあるものを、あたしは知っている。一夏の家は、両親がおらず、姉の千冬さんも仕事で忙しい。つまり、一夏はずっと一人で暮らしてきたようなものだ。

 

(……一人でご飯作って、一人で食べてたのね)

 

そう思ったら、急に胸が痛くなった。あたしは、一夏の皿に唐揚げを追加した。

 

「鈴?」

「食べなさいよ。あんたが作ったんでしょ。自分もちゃんと食べなさい」

「……ああ。ありがとう」

 

一夏が、少しだけ驚いたような顔をして、それからふわりと笑った。その笑顔が、あたしの胸をきゅっと掴む。

 

(バカ。そんな顔しないでよ)

 

「リン、僕にも」

 

祐作が皿を差し出してきた。その目が笑っている。

 

「自分で取りなさいよ」

「だってリンが乗せてくれたら美味しいから」

「何その理屈」

 

あたしは呆れながらも、祐作の皿にポテトサラダを乗せてあげた。祐作が「ありがとう」とふにゃりと笑う。

 

(この二人には、一生勝てないわね)

 

あたしは心の中で呟きながら、カレーをもう一口食べた。

 

 

*  *  *

 

 

三十分後。

 

あたしたちは、満腹だった。

 

「……食べきれない」

 

あたしは、テーブルの上に残った半分のカレーと三分の一のポテトサラダを見て、ため息をついた。

 

「やっぱり作りすぎたか」

 

一夏が、後頭部をかきながら苦笑した。

 

「当たり前でしょ。十人分作っておいて三人分だなんて嘘ついて」

「でも美味しかったでしょ?」

「……美味しかったわよ」

 

あたしは認めた。否定しても仕方がない。全部美味しかった。一夏の料理は、本当に上手だ。

 

「じゃあ、片付けするわよ。一夏、あんたも手伝え」

「了解」

 

一夏が立ち上がる。あたしも立ち上がって、二人で食器をまとめ始めた。

 

「祐作は?」

「僕はお風呂の準備してくるよ。後片付けも三人分だから、少し時間かかるからだろうし」

 

祐作が席を立った。その背中を見送りながら、あたしは心の中で呟いた。

 

(祐作は、本当に気が利くわね)

 

一夏と二人で片付けをしている間も、あたしはそのことを考えていた。祐作はいつもそうだ。みんなが気づかないことに気づいて、当たり前のようにやってくれる。効率厨と言えば聞こえは悪いけれど、実際はただ優しいだけなのだ。

 

「鈴、これ洗うから鈴は拭いて」

「了解」

 

あたしは一夏の手渡した皿を受け取って、布巾で拭いていく。水の音が、静かなキッチンに響く。

 

「なあ、鈴」

 

一夏が、皿を洗いながら言った。その背中が、少しだけ広く見えた。

 

「ん?」

「今日の文化祭、楽しかったか?」

「……楽しかったわよ。まあ、あんたたちが他の女子にデレデレしてるの見るのは面白くなかったけど」

「デレデレしてないだろ。接客だろ」

「同じよ」

「同じじゃない」

 

一夏が振り返って、あたしを見た。灰色の瞳が、包丁の灯りを受けてキラキラしている。

 

「俺が笑いかけるのは仕事だから。でも、鈴に笑いかけるのは、本当に楽しいからだぞ」

「……バカ」

 

あたしは顔が熱くなるのを感じて、視線を逸らした。この天然ジゴロめ。洗い物中にそんなこと言うな。

 

「ほら、皿渡すからこっち向けよ」

「……はいはい」

 

あたしは皿を受け取った。一夏の指先が、あたしの指先に触れた。ほんの一瞬だけど、その熱が指先から伝わってくる。

 

(……ドキドキする)

 

こんな些細なことでドキドキするなんて、あたしもまだまだだ。二人に何度も抱かれているのに、指先が触れただけで心臓が跳ねる。

 

「リンと一夏、終わった?」

 

廊下から祐作の声が聞こえた。

 

「終わったわよ」

「お風呂、沸いたよ。三人とも入れるから」

「さんきゅ」

 

一夏が手を拭きながら言った。あたしも手を拭いて、キッチンを出た。

 

 

*  *  *

 

 

祐作が準備してくれたお風呂は、ちょうどいい温度だった。

 

「あたし先に入るわね」

「うん。ゆっくり入ってきて」

 

祐作が優しく言った。一夏は「あー俺も入りたい」と言いながらも、ちゃんと待ってくれる。

 

(本当に、この二人は)

 

服を脱いでバスルームに入りながら、そんなにわたしとエッチしたいのかと思う。体を洗いながら、二人に呆れと共に胸の奥から熱が全身に広がっていくのを感じた。

 

ふと顔をあげれば、鏡に映る自分を見えた。

 

お湯の湯気で曇った鏡を手の甲で拭うと、栗色の髪が濡れて肌に張り付いた小さな体が映る。

 

Bカップにも満たない胸。華奢な鎖骨。細い腰。小学生でももう少し曲線がありそうだ、と自分でも思う。

 

(……なんでこの体で)

 

二人はモテる。本気でモテる。今日の文化祭だって、あの行列。あの熱狂。一夏と祐作の執事服に釣られてきた女子生徒の数を考えたら、頭がクラクラする。

 

なのに。

 

その二人が、あたしのこんな体に夢中だという。

 

「……バカばっかり」

 

鏡に向かって小さく呟いた。湯気と一緒に言葉が溶けていく。

 

でも——嬉しい。

 

悔しいけれど、認めざるを得ない。二人があたしを選んでくれたことが、世界で何よりも嬉しい。小さな胸も、 小さな体も、二人が「可愛い」「好き」と言って撫でてくれる瞬間だけは、自慢に思えるのだから不思議だ。

 

(あたし、本当にバカね)

 

体をしっかりと洗った。海の日焼けがまだ少し残っている腕を泡で撫でる。一夏と祐作に触れられた場所を一つ一つ確認するみたいに。

 

 

*  *  *

 

 

お風呂から出ると、脱衣所に着替えが畳んで置いてあった。

 

「…こ…これ」

 

手に取って、息が止まった。

 

メイド服だった。

 

今日一日着ていた、あのメイド服。黒いワンピースに白いエプロン、フリフリのヘッドドレス。丁寧に畳まれていて、替えの下着まで添えてある。

 

(は? あたしの服は?)

 

見渡してみても、服はない。メイド服だけが、まるで「これを着ろ」と言わんばかりに置かれている。

 

(……祐作ね)

 

ピンときた。いや、祐作と一夏の共犯だろう。お風呂の準備をしたのは祐作だ。あたしがお風呂に入っている間に、あたしの服を隠してメイド服を置いたに違いない。

 

(あんたたち、あたしをお風呂に入らせて、その間に……!)

 

体が熱くなる。怒りじゃない。期待だ。もう分かってしまった。この二人がメイド服を置いた意味なんて、一つしかない。

 

「…もう…しょうがないわね…」

 

小さく呟いて、メイド服を手に取った。

 

着るしかない。制服がない以上、選択肢はない。いや、本当は選択肢なんて最初から一つしかないのだ。この二人の彼女になった瞬間から。

 

(あたしも、本当にどうしようもないわね)

 

メイド服に袖を通しながら、この後の展開に期待する笑みが漏れた。

 





賢者タイムで読み切った人へ。どんな部分が癖に刺さりました?

でも感想とかよりお気に入りにしてくれる方が嬉しいので、感想が面倒な人は、お気に入りにしてくれると嬉しいです。

現在はまだプロローグです。本編は学園編が始まってから。それまでは導入の為の犠牲と作者のお気に入りのキャラとエッチしているだけになります。

本編で、こんなシチュエーションで子作りしてる女の子の姿が見たいというのがあれば全部読んだ詳しい感想と一緒により詳しく書いてくれたら可能であれば採用します。

例えば「箒と一夏が寮で一緒になった時に、一夏が箒をシャワー室へ押し倒して処女を奪う」みたいな。

評価点数投票。感想投稿。お気に入り。全部メンドクサイって思う人用の、作者のモチベーション維持向上の一票

  • ……フッ……燃え尽きたぜ。出し切った……
  • うぉおおお!まだだ!まだ抜けるぞ!
  • もっとだ、もっと犯せ!女を堕とせ!
  • 物足りない。まだ我慢できる。
  • だめだ。解釈違い過ぎて抜けない。
  • モジガヨメナイ(.。o○)
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