※この作品はR-18です。

超昂大戦SS 絶望超昂〜こぼれた愛と奇蹟の残滓   作:環 藍河

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※原作に登場しないオリジナルキャラが登場します。


第2話【前編】 登録抹消! たった一度のエスカチーム

「…転院…ですか…?」

「うん。驚くよね。先日目が覚めたばかりなのに…ね。」

 

閂市総合病院、一般病棟。

入院当時は閂学園3年生。そして既に休学期間を使い切り、中退扱い。

それほどの長期入院…そして、長期の意識不明を経て、少女は奇跡的に目覚める。

 

「どちらの、病院へ…?」

「正確には病院じゃないの。でも…あなたを治すために、これ以上ない医療施設。」

 

翌日、少女は搬送車両へ。

通常は救急車があてがわれるところ、玄関で少女を迎えたのは…

カーキ色の輸送車両と、人類の救世主。

 

「! 園崎…さん…?」

「はい。園崎アカリ…エスカ・ルビーです。

 先輩のお迎えに…只今参上、です。」

 

「…初め、まして。」

(……。)

その返答に、アカリは一瞬、顔を曇らせる。

 

「ミソラ先輩は…6年前、アルダーク侵略のときに意識不明で発見された、って…聞きました。」

「うん…。」

 くすっ。

「と言っても、私もわからないんだ。

先週、このベッドで意識を取り戻して、お医者様から『貴女はずっと眠っていたんです』って…。

だから何だか、何を聞いても別世界の話みたいで…ヘンな感じ。」

(……。)

 

「世界で何が起きたかは、この1週間、ネット検索で大体勉強したけどね。

園崎さんは…その当事者なんだよね。

良かったら、聞かせてくれるかな。エスカ・ルビーとダイビートが、どうやって街を、地球を護ったのか。」

「…はい。私は今日、そのために来ました。」

 

…コミュ強モンスターのアカリが、今日はらしくなく、ひと言ひと言を選んで語る。

その事情は順を追って記す。だが…さしあたり、これだけは。

ミソラとアカリは…初対面ではない。

それどころか…

 

……

…

 

「トキサダ長官。私は…やっぱり、超昂戦士として戦いたい!

 お願いです! 私が授かったADDD適性は、神様の天啓なんです!」

 

6年前。

アルダークの先兵どもが青空を汚し、地球に降り注いだ、運命の日。

だが、運命を変えるべく、トキサダたちは防衛組織を編成。

基地を整備し、補給・輸送・技術…あらゆるスタッフを秘密裏に揃えた。

異界の伝説的戦士、天才博士の娘、政治と資金調達のエキスパート…そして。

 

東雲ミソラ。

表向きは成績優秀ながら、存在感の薄い閂学園生。

だが、爪を隠した才ある鷹の正体は、ホワイトハッカーとしてICTの世界で知られる、若き逸材。

その才を見出したダイビートが水面下で接触し、期待通りミソラはその才能を遺憾なく発揮。

通学しながら技術スタッフとしてさやかの下で働き、ビートポータルの実用化に貢献した。

(蛇足だが、後のアカリの勤務形態…表向きは倉庫番、その実は超昂戦士…に近い。)

 

だが、続くADDDの実用化シーケンスで、自らの高いADDD適性を知ったミソラ。

ためらわずに技術スタッフの地位をなげうち、最前線を志願した。

物静かな少女の、らしからぬ懇願に戸惑うも、トキサダは有望な戦闘スタッフの参戦を歓迎する。

 

「はああ…っ……

 …!! やああーーーっっ!!」

 

 どがああああーーーーんっ!!

 

 はあっ…はあっ…!

「や…やった…! 

 …でも…この威力を何度でも…

 出せるように…ならなくちゃ…!」

 

 くらっ…どさっ。

(まだ…アルダークには…勝てない…)

 

精魂尽き果てるほどのトレーニングが、才女の日課。

正拳突き、蹴り技、寝技。

およそ技術者とは思えぬ格闘術を、来る日も来る日も繰り返し骨身に叩き込んだ。

ミソラの真の才能は、情報工学でも戦闘力でも、ADDD適性でもなかった。

悪に屈しない。そのために自らの苦難を厭わない。

その勇気こそ、少女を超昂戦士たらしめるライセンスだった。

 

そう。

アカリの目の前の患者・東雲ミソラは…超昂戦士。

旗揚げ前からダイビートに参画し、志願して技術職から戦闘職へ配置転換。

その後は誰よりも過酷な訓練を日々重ね、みるみる戦士の素養を備えていった。

 

そして、アカリの敬愛する先輩。

 

運命の日、街で侵略者に襲われ、自分の無力に絶望したアカリは…ご存知の通り、エスカレイヤーたちの闘いに心打たれ、翌日すぐにダイビートに志願した。

 

(勢いだけで面接受けて、通っちゃったけど…

 やっぱり、私だけ…なのかなあ…?)

 

真っ先に採用されたアカリが、自らの直情径行に迷いながら、初の戦闘訓練に臨んだ、その日。

 

「えっ…あなたは…?!」

「初めまして。話は長官から聞いているわ。2年生よね。」

 

 すっ。

 

「私は東雲ミソラ。3年生。

 園崎アカリさん…一緒に、超昂戦士になろう。」

 

その女性が身に纏うは、同じ学園の体操着。

レジェンドじゃない、この世界に生まれながら超昂戦士を志願する人が。

先輩が、もう既にいるなんて…!

 

 がしっ!!

「園崎さん…勝とう。絶対に!」

「ミソラ先輩…! はいっ! ガッツ全開です!」

 

差し出された右手を、力強く握り返すアカリ。

 

 街の、みんなの、地球の危機。

 だから…私が立ち上がる。

 普通の女子だって、黙っていられるもんか。

 

ミソラの存在は、駆けだしの超昂戦士には何より心強かった。

そしてアカリの参戦も、ミソラの孤立した心を勇気づけた。

 

《(ひとりじゃ…ない…!)》

互いの心に共鳴する、決意と闘志、そして敬愛。

 

先駆けて戦闘デビューを果たしたのは、エスカ・ルビー。

「…園崎さん、おかえり。そして、初勝利おめでとう。」

「あっ…ミソラ先輩…!」

「…うん。待ってて。私も、追いつく。」

勝利への誓いを新たに、磨き上げた希望の翠石が、紅石に並び輝く、はずだった。

 

……

…

 

程なく、東雲ミソラはその超昂戦士デビューを、満を持して迎えた。

 

「待ちなさいっ!!」

「何だっ!?」「ブブウッ!?」

 

 すたっ!

 

「青い地球を護るため、胸の鼓動が天を衝く!

 翡翠の光は未来のしるべ!

 超昂戦士、エスカ・エメラルド! 悪の現場に只今参上!」

 

「エメラルド!」

「ルビー、お待たせ。2人なら…私たちなら、負けないっ!」

「はいっ!」

 

その秘めた潜在能力は、ルビーに勝るとも劣らず。

その知性と勇気は、ダイビートの苦難の行く手を煌煌と照らす希望の旗手として、誰もを勇気づけた。

エスカ・ペアのリーダーとして…ダイビートの希望の明星と期待された。

 

そんな彼女の洋洋たる前途は…

無惨に引き裂かれた。

 

『こちら輸送班! 戦闘不能のエスカ・ルビーを収容しました! 直ちに基地へ帰投します。

 バイタル低下中、救護班の準備を!』

《…敵残党の追撃に注意を払え。》

 

「…うっ…ううっ…!」

『ルビー! しゃべるなっ、安静を…』

「長官…。エメラルドが…ルビーを…

 私を…かばって…!」

《…知っている。》

 

エスカ・エメラルドの初陣。エスカ・ルビーとの初の共闘。

輝かしい船出だったはずの、この日は…

今となっては誰もが、呑まされた苦渋に唇を噛み、口をつぐむ…惨劇の日となった。

 

……

…

 

惨敗だった。

気負いや驕りは、無かった。

二人のADDDも、D2エナジーも正常だった。

 

ルビーは…デビュー戦を完全に解析されていた。

狙う攻撃対象は総て先を読まれブロック。

自慢のフットワークも巧妙に封じられ、待ち構える滅忍のカウンターの餌食に。

遂にはディフェンスをことごとく破られ、苦し紛れのストライク・エスカレーションはアスファルトを掘るばかり。

その時が来たぞとばかりに、フーマンの集団攻撃。

 

 ふらっ…ぐらぐらっ…

 

「そ…そんなっ…。

 こんな、はずじゃ…!」

 

ADDDでは補えない、ルーキー超昂戦士の体力はすでに限界超え。

物量で劣後する肉弾戦で、繰り返し繰り返し、何度もフーマンたちに押しつぶされ、もはやルビーの眼差しは虚ろ。

 

「かはっ…ううっ…ぐふっ…」

 

後に人類滅亡の危機を切り拓く、エスカ・ルビー自慢の右脚。

だが、駆け出しの今は精魂尽き果て、惨めに膝を地に屈し、情けなくがたがたと震えるばかり。

体も心もへし折れ、もはや撃沈同然。

 

「ル…ルビーっ…!」

満身創痍の相棒を、助けたいのに…!

脚が、拳が、身体が、動かない。

デビュー戦のエスカ・エメラルドもまた、アルダークの猛襲に打ちのめされていた。

 

「オラア!」

 しゅっ…どぼおっ!

「うぐうっ!」

「ほらほら、顎が、脚が、お留守だ…ぜっ!」

 どごお! ぐしゃっ! ばきっ!

「あぐっ! おごっ! ううっ…

 うああーーーーっ!!」

 

澄み渡った大海の輝きにも等しいコバルトグリーンのレオタードは、理不尽と横暴のボディブローに貫かれ続けた。

短い新兵訓練期間ながら、オーバーテクノロジーとたゆまぬ鍛錬で丹念に鍛え上げたはずの鋼の腹筋は、脆くもずたずたに潰された。

超昂戦士のボディは幾度もくの字に折れ曲がり、五臓六腑は根こそぎ磨り潰された。

 

 ずきんっ!!「うぐっ!」

(あ…アバラ…折れたぁ…!)

 

それでも耐え、隙を見て敵の流れをかい潜り、ルビーの援護に飛び込む瞬間を狙うエメラルド。

だが、波状攻撃を仕掛けるコマンダーとフーマンの攻撃が、途切れない。

(護るんだ…ルビーを…

 護らなくちゃ、ダメ…なのにいっ…!)

 

エメラルドの救援が叶わない。

その間も、ごっそりエナジーと闘志を削られ続けるルビー。

 

「うっ…!」

 ふらっ…どすん。

 

そして、ルビーのエナジーが尽きた。

初めてを捧げ、身体と心の奥の奥でトキサダを受け止めて、至福のDチャージで満たしたD2エナジーだった。

その満タンのエナジーすら…

悪の手管に手玉に取られたルビーは、持て余した。

当たらぬ必殺技で空転させ、ディフェンスで浪費させ、遂に底をついた。

 

「ダメっ…身体が…もたないっ…!」

もはや立つことも叶わず、へたり込む紅蓮の超昂戦士。

今こそとどめを見舞うべく、フーマンが四方八方から…クラウチングで構える。

 

「【《『ブウーーーーーッ!!』》】

「あっ…ああっ……!!」

 

同心円でルビーを囲み、合図と同時に一斉タックル。

逃げ場無く追い詰められ、満身創痍のルビー。

その脳裏によぎったのは…

大型トラックに挟まれて原形を留めず潰れ、スクラップとなった軽自動車の映像。

 

(つ…潰さ…れるっ…!)

 

跳んで避ける脚力は、もう残っていない。

あの巨躯のタックルをガードなどしても無駄。

戦闘スーツの防御力を引いても、おそらく全身、骨まで粉々。

 

左右から、背後から、そして正面から迫る、フーマンの突進…!

 

「ひっ…!」

「ルビーーーーッ!!」

 

恐怖に遠のく意識の中、ルビーの耳に届いたのは…バディの決死の咆吼。

自らの身体がふわり宙に浮き…

 

 どすん。どすどすぐしゃっ。

 

自らが前の瞬間に居たはずの場所から、多重事故の鈍い衝撃音が爆ぜる。

 

 ふわっ…べしゃっ。

「あううーーーっ!!」

 

スクラップを免れた。

かばわれて突き飛ばされ、墜落した。

命拾いするも、汗と砂にまみれ、アスファルトに這いつくばるルビーは…

 

(エ…エメラ…?)

 

なけなしの精神力で、必死に爆心地を目で追った。

 

「ぐっ…ぐふっ…。」「!!」

 

自分が…ルビーがこうなっていた、はずなのに。

両肘で頭部をガードし、片足立ちで右脚を敵に突き出したのだろう。

精一杯のディフェンスも空しく…プレス機の中心に、翡翠の超昂戦士が吊られる。

 

急所を護り抜いた高い代償は、だらり力なく肩から垂れ下がるバトルグローブ。

ファイティングポーズは、もう二度と取れないだろう。

辛うじて、左脚は護りきった。

それだけに、あらぬ角度にねじれる右脚が、戦士を襲った衝撃のおぞましさを雄弁に語る。

 

 じわ…っ…。

(エ…エメラルド…エメラルドぉ…!)

 

 ダメだ。

 いま、諦めたら、ダメだっ…!

 

瞳に滲む絶望を、最後のガッツで拭う超昂戦士。

相棒の貴い自己犠牲で護られた右脚で、パルシオンが最後の雄叫びを上げる。

 

「ああああああーーーーーーっっっ!!!」

 

ルビーが、限界を超えた。

 

「ストライクうううーーーっ! エスカレーショーーーンっ!!」

どごおおおおっっっ!!!

 

「ストライクーーー!! エスカレーションっ!!

 エスカレーション! エスカレーションっ!! エスカレーションっっ!!!」

 

どがあっ! どどんっ!! どごおおおおっっっ!!!

 

肉体の限界を振り切り、ADDDはとっくにレッドゾーン。

パルシオンは亀裂を浮かべ、胸のジュエルは悲鳴を上げ…

それでもルビーは、ダイナモのアクセルを開ける。

 

「うあああああーーーーーーーっっっ!!」

 

我が身が壊れようと構うものか。

右脚が砕けたら、左で。

拳が潰れたら、ヘッドバッドで。

蹴撃に次ぐ蹴撃、拳撃に次ぐ拳撃で、トンネル工事のドリルの如く突き進む。

エスカ・ルビーは掟破りの肉弾戦で、フーマンの肉弾の壁をことごとく発破していった。

(エメラルドを…

 仲間を…助けるんだ…

 助け…なきゃ…。)

 

紅蓮の超昂戦士の馬鹿力は、無駄ではなかった。

救援部隊の到着まで、持ちこたえる時間を築いた。

だが、その評価は何ら慰めを成さない。

 

「出でよ、イデアの壁!」「【《『ブブウーーーーーッ!!』》】

(……。)

 

エスカ・エメラルドは敗北し、拉致された。

エスカ・ルビーの救出の手は、届かなかった。

シナプスまで焼き切れ…追いついた救援部隊の腕の中、ルビーは失神した。

 

…

……

 

救急輸送車のストレッチャーから、意識だけを取り戻したルビーは長官に嘆願する。

 

「お願いです。私は…自力で撤退、できます…

 エメラルドを…」

 

《エメラルドの奪還は…断念した。》

 

「…えっ…?!」

《発令済みだ。救出部隊を改めて編成する。》

 

トキサダの無慈悲に、ストレッチャーに横たわるルビーの全身が凍てつく。

 

「…この…後は…?

 エメラルドは…まさか…。」

《……。》

「…いえ…何でも…ないです…。」

 

ルビーも知識を持っていた。

超昂戦士が万が一戦闘に敗北し、撤退に失敗し、捕虜となった場合の心得。

最悪の事態を免れるための選択肢、即ち…救援まで身体と精神を崩壊させないよう、耐えるためのマニュアルを頭に叩き込んだ。

 

だが、それは座学で教わったに過ぎない、あくまで机上の論。

実際に捕らえられた超昂戦士が、どんな暴力と陵虐を受け、どんな辱めを受けるか…

 

それはこの後、ルビーもその身にその心に幾度も刻み込まれる、敗れし超昂戦士の宿命。

だが、VR訓練を受ける前にデビューしてしまったルビーは、その現実を知らなかった。

 

今日。

敬愛し、支え合う先輩を、目の前で奪われた。

不完全なエスカチームのバディを蝕む惨劇は、始まったばかり。

そして、ルビーは思い知る。

敗北の先に在る、超昂戦士の惨めな成れの果てを。

 

……

…

 

「通信回線に外部から侵入! これは…映像です!」

 

 ぶつん。ざざざぁ…!

 

【ダイビートの諸君。とりわけ、長官・戦部トキサダ…だったか。

 我等アルダークに抗う愚か者どもよ。

 我はアルダーク総統・ディストバーン。貴様等を十字架に繋ぐ者よ。】

 

「…ディスト…バーン…!」

 

【今日、通信を繋いだのは他でもない。

 貴様等、超昂戦士どもを待つ地獄の一つが完成した。

 ああ、先日捕らえた超昂戦士が、その人知を越えた素晴らしさに、歓喜に震えて腰を振っておるわ。

 無理も無い。あれから三日三晩、休む間もなく、とくと味わってもらっているからなあ。】

 

 トキサダ、ユーノ、ルビー…ダイビート指令部の全員が息を呑む中、映像が暗転。

 

(……エメラルドっ!!)

 

「ああああーーーーっっ!!

 いやあっ、またっ、中にいっ…ぐうっ…!

 あっあっあっあっ、イクっ、ダメえっ、もうっ、もう…!!」

 

 ずぼっ! ずぶっずぶっずぶっ!

 ぱんっ! ぱんっ! ぱんっ!

 

それは、瘴気とも呼ぶべき、戦士を身も心も冒す悪夢のエナジー。

牢獄を探しあぐねて救援部隊が72時間を空転させる間も…

敗北者、エスカ・エメラルドはさらなる敗北の絶望を刻まれ続ける。

 

「ふははははあ! よおくっ、締まるっ、なあっ!」

「ぐへへっ! やっぱり、想破を抜けて、正解だったぜえ!」

「ブッ! ブブウッ! ブッ、ブブッ、ブウウッ!!」

 

 ずぐっ! がすっ、がすっ、ずぶっ!

 ぱんっ! ぱちゅっ、ぶちゅっ、ぱんっぱんっぱんっ!!

 

「やあっ…やめろおっ…! ごふっ…!

 挿す…なあっ…注ぐなあっ…!

 もう…こんなああっ…ああっ…あっ…」

 

「くっ! 行くぞっ、淫乱ドスケベ戦士さんよおっっ!!」

「応っ! 全身っ、汚してやるぜえ!

 凛々しい戦闘服も、中の純潔もなあ!」

「ブブウッ、ブーーーーーっ!!」

 

 どぶっ! びゅーーーーーっっっ!!

「あ…ああっ! うあああああーーーーーーーっっっ!!」

 

 びくんびくんびくん、どくうっ!!

 ……くらっ…

 どちゃっ。

 

エスカ・エメラルドは…抵抗かなわず轟沈した。

 

ルビー同様、エスカレイヤー譲りの戦闘服。

緑のセーラーカラーとプリーツスカートが授けてくれた勇気に、無垢なる新人超昂戦士は正義の勝利を誓った。

 

だが…高層ビルをも砕くその拳と、戦車をも無力化するその蹴撃でさえも…

侵略者の企みを砕くには、あまりにも足りなかった。

 

…

……

 

フーマンのリンチからルビーを救出するべく飛び込んだ、勇敢なる新兵。

その勇敢の代償は…デビュー戦の敗北と拉致監禁、そして屈辱。

 

意外にも、イデアの壁で真っ先に施されたのは、応急治療だった。

「な…なぜだ…?」

「バーカ。これからあんあん喘がせるのに、いちいち激痛でのたうち回られたら、俺等が萎えるだろうがよ。

 まあ、そういうのが大好きでたまらねえ、ドSのコマンダーもいるけどな。」

「…!!」

 

慈悲でも、ましてや捕虜への紳士的処遇でも無かった。

総ては…さらに凄惨な陵虐で、超昂戦士を一層いたぶるため。

 

「…許さない。あんたたちみたいな外道になんか…絶対、負けないっ!!

 やあああーーーっっ!!」

 

後悔させてやるんだ。私を侮って、治癒したことを。

なけなしのエナジーで立ち上がり、エメラルドは最後の勇気で飛びかかる。

 

「ふんっ!」

 ひゅっ…びしいっ!! 

「あぐうっ!!」どごおっ!

 

所詮は、イデアの壁で攻撃力を封じられた、経験浅き超昂戦士。

コマンダーの電磁ウィップの一振りで、エメラルドは電気ショックに身を委ね、ピンポン球のように軽く吹き飛ばされる。

 

「う…おええっ…ゲボっ…!」

骨は繋がっても、身体のダメージは重篤なまま。

エメラルドは突っ伏し、這い上がることさえままならない。

 

「ふははははっ! やはりなあっ!」

「な…何が…おかしい…!」

「ダイビート? 超昂戦士? 笑わせるなあ!

 強いのは最初のレジェンド3人だけ!

 あそこでお前が逃がしてなければぺちゃんこだったエスカ・ルビーといい!

 身代わりで無様なスルメイカになったお前、エスカ・エメラルドといい!

 超昂ぉ? 戦士ぃ?

 大したこたあねえ! 所詮お前たちはレジェンドどもの劣化コピー、ザコだってことさあ!」

 

 ……!!

(くっ……ううう~~~っっっ…!)

 

実力の彼我の差に、超昂戦士はわからされる。

もはやエメラルドは、獅子の獰猛にひるむモルモットも同然だった。

 

残された僅かなD2エナジーで、辛うじて生命を維持するのが精一杯。

この屈辱に…こんな奴に負けないように、鍛えてきたのに…!

 

 びりびりびりっ!!

「ああっ!!」

 

遂にはスカートの正面、パールホワイトが覆い護るショーツを、下卑た欲望に剥ぎ取られ…

腰まで伸びる新緑の髪は、幾度も殴り倒されて地べたの埃まみれ。

明晰な頭脳を護るカチューシャは、エメラルドの顔面だけで受けきれない、おびただしい汗と涙と白濁液でべちょべちょに汚された。

 

先刻まで溢れる闘志とみなぎる正義に燃えていた、ピジョンブラッドの瞳。

今やエメラルドは絶望と肉欲に囚われ、とっくに眼差しは焦点を喪っていた。

 

 ずぶっ! ずんっずんっ、ずぶううっ!

 ぐじゅっ! ごりゅっ、ぐりぐりぐりっ!

「う…ぐううっ!? うああああ〜〜〜っっ!!」

 

太ももを閉じても、逃れた右手で秘唇をさえぎっても。

抵抗虚しく、怒張は剛力で妨害をねじ伏せる。

閉ざす路をこじ開け、蛇の頭は戦士の最奥を幾度もノック。

「おお〜っ、いいぞっ、超昂戦士!

 もっと締めろっ! 搾り、尽くせえ!」

 

 ごりゅりゅりゅりゅっ!!

 

「あぐうううっっ!!

 痛っ、もう、入ら、ないいっ…!!」

 

超昂戦士エスカ・エメラルド。

後輩戦士を庇い、自らが身代わりとなった勇者は…その殊勝の報復を、総身に浴び続ける。

正面からフーマンの人外で貫かれ、背中からはコマンダーの調教。

両の掌でいずれも滅忍の棒を掴まされ、戦闘グローブはローションまみれ。

 

「フンっ!

 では…そろそろ…!」

 

 ぐるんっ!「!?」

 

エメラルドのバックを取るコマンダーが、腰のホルターから再び鞭を掴むと…

喉元を護るインナーの上から、エメラルドの首に巻き付ける。

「なっ…あぐうううううっっ!?」

 

エメラルドは狼狽する。

こいつらは…敵を快楽漬けに堕とすつもりではなかったのか。

ムチで首を、気道を絞めて、何をしたいのか…?

 

わからない。理解できない。

 

情報工学では天才のエメラルドも、性の知識は平均未満。

未知のサディズムに、困惑する間も許されず、ただ喉元に迫る生命維持のリミットに、半狂乱でわななくしかなかった。

 

「くたばれ、このっ、変態戦士があ!」

 

 ぎゅううううっっ……!

「うああっ! かはっ、おええっ…」

 

コマンダーが下の逸物を挿し込んだまま、背中から喉を締め上げる。

 

 かひゅうーー……。こひゅうーーー……。

 

エメラルドの肺が酸素をせがむたび、芦笛のように喉がか細く鳴る。

額に伝う汗が凍てつき、絶対零度の絶望を戦士に知らしめる。

 

(も…もう、私…)

初陣の超昂戦士に、絶命の瞬間が迫る。

(だ…ダメ…なの…?!)

 

そのとき、今際の防御本能とばかりに、脳が苦痛緩和の快楽を放出。

 

(………あはっ♡)

 

まさに、天にも昇る心地。

エスカ・エメラルドは、その一瞬…とろけた。

 

そして、次の瞬間。

 

 どくんっ!! びくううううっっっ!!1

「ああああーーーーっっ!!

 あうっ! あんっ! あひいっ!」

 

 がくんがくんがくんがくんっ!!

「うあああああーーーーーーーっっっ!!」

 

電気ショックに撃たれたように、翡翠の超昂戦士は全身をがくがく震わせる。

腰を前に突き出すと、フーマンを最奥まで咥え込む。

飛沫を上げた反動で後方に尻を叩きつけ、今度はバックのコマンダーを腸まで迎え入れ、また高みに至る。

そのエクスタシーで、両手でしごき続ける滅忍の怒張を、思わずパールホワイトのグローブでぎゅうぎゅうに搾るエメラルド。

掌をてらてら濡らす白濁液で、つるりと逃げた左右の蛇口が、締め上げられた欲望を全開に、緑の超昂戦士を両脇からさらに白く染め抜く…。

 

どびゅーーーっ!! どぶどぶっ、どぴゅっ!

びゅううう〜〜〜っ!! びゅるっ、びゅうっ!

 

「あひいいい〜〜っ!! あんっ! ああっ!!」

 

初陣の超昂戦士は、前後左右から獣欲の爆発を浴びた。

秘唇の奥を発破する、フーマンのショットガン。

菊門から後ろを掘削する、コマンダーのマシンガン。

左右の滅忍は爆ぜる手榴弾か、頭のてっぺんからプリーツスカートの下まで燃え広がる火炎瓶か。

 

 …かくんっ。

 はあっ…はあっ…

「……。

 …あ……。…ああ~~っ…。」

 

気高きエメラルドグリーンは、泡立つ獣欲に沈む。

 

【何を余韻に浸っておるのだ、エスカ・エメラルド。】

(…えっ…?)

 

【ダイビートが…超昂戦士どもが二度と歯向かおうなどと思えぬよう、貴様の無様で淫らな醜態を晒し者にして送りつけ、恐怖を植え付けるのだぞ。

 貴様を待つ、終わりなき無間地獄が、こんな程度でたまるか。】

「あ…へっ…?」

 

ざざっ。ざざざざっっ。

 

「くっくっくっ、超昂戦士は今際にイくのがお望みなんだなぁ。」

「滅、滅滅! いいぜえ、想破の得物は苦痛も快楽も望むがままよぉ。」

「【《『ブブウーーーーーッ!!』》】

 

イデアの壁の端が見えないほどの、コマンダー、滅忍、フーマン師団。

 

【こやつらの股間を見るがよい。戦闘力も精力も、まだまだ底なしだぞ。

 これから昼夜を問わず、交代制で貴様の五臓六腑に注ぎ込んでくれるわ。

 エスカ・エメラルド。ここが貴様の墓標だ。】

 

 ぎん。ばきばきっ。ぼきっ。

 

(…ひっ…! ひいいっ…!)

 

漏れなく屹立する躾け棒の数々。

焼き切れそうな脳神経で、エメラルドはコマンダーの処刑宣告を理解する。

 

(わた…わたしぃ…

 また…まだまだ…もっと…

 アレを、アレも、されるんだ…!)

 

絶望を刻まれる。獣欲を注ぎ込まれる。

尊厳を穢される。誇りを踏みにじられる。

知性も、努力も、科学も、正義も…

役に、立たない。何も護れない。

 

 がちっ。がちがちがちがち…!

 

震える。

緑のカラーを纏う双肩が。大地を駆ける両脚が。

実力の差を悟った心が。恐怖に潰される眼差しが。

歯を食いしばることも、呼吸を整えることも忘れた顎が、がたがたと恐怖を奏でる。

 

どんな悪にも負けない、どんな暴力にも屈しないと誓った、燃え盛る炎のように澄んだ、紅の瞳。

今や正義の宝石は絶望に濁り、その端からこぼれる大粒の涙は、どんなに強く止まれと念じても、栓がばかになった蛇口のように…

止まらない…!

 

…ぷちん。

 

(…?

 ……。

 …あっ…。)

 

勝てない。

アルダークには、勝てない。

もう、逃れられない。抗えない。

こんなの…耐えられない…!

 

…ああ、そうか。

 

耐えなければ、いいんだ。

されるがままに、嬲られるがままに。

 

《超昂戦士は、地球の、人類の平和のために。

 負けられない。屈してはならない。》

 

…そんなの、誰が言ったの?

違う。私が誓っただけ。

超昂戦士が負けたら、地球が終わる。人類が滅亡する。

そんなの、私の勝手な思い込み。

 

だったら、いいじゃない。

 

私…負けたんだ。

負けて…汚されて…超昂戦士の恥さらしに、なるんだ…!

だって…だってええっ…!!

 

…

……

 

「やめろおっ! やめてええええっっ!!!」

 

アカリがいくら叫んでも、ジャミングされた回線の向こうには届くはずもない。

アルダークの超昂戦士ハメ撮り生映像。

無料配信は、新進気鋭の組織をあざけるように…その後も続いた。

 

「長官っ! エメラルドを!

 エメラルドを、助けてくださいっ!!」

「……!」

「…長官っ! 長官っっ!!」

 

自責の業火に身悶えるアカリの嗚咽に、トキサダは応える術を持たなかった。

 

…

……さらに、2日。

ダイビートの未来の暗号技術でさえも、逆探知とジャミングに成功するまで、さらに48時間を費やした。

ようやく突入部隊を編成し、ダイビートは辛うじてエメラルドの奪還に成功。

「変身を維持し、腸内を洗浄!」

「バイタル低下! エナジー補充、心拍を保ちます!」

「エメラルド! 助かったんだ! しっかりしろ!」

「何とか…基地まで、持ちこたえて…!」

 

手当を受けながら、ストレッチャーに横たわり搬送されるエメラルド。

搬送車の映像を、固唾を呑み見守るトキサダとユーノ、そしてアカリ。

 

だが、誰も気づいていなかった。

 

 にたり。

(…ふひっ。ふひひっ…。)

 

意識が途切れながらも、その虜囚が薄ら浮かべた…娼婦の歪んだ微笑を。【続く】




作者です。
第2話は原作超昂大戦で踏み込めない「敗北H、その先に…」をお届けです。
ソシャゲの制約上、超昂戦士は敗北Hから必ず戦線復帰します。(さもなくば、引いたSSRがロストするハメに…ウイ◯ードリィじゃないんだから)
でも、それでは描けない世界があります。

超昂シリーズBADエンド。
それはもちろんifの世界。正史ではありません。
でも…敗北を紙一重で免れ続けるも、さらに物量で、暴力で、秘術で追い詰められて。ついに力尽きて悪の理不尽に屈し、敗者の烙印を柔肌に焼き押される少女戦士の、救いの無い末路…!

初代エスカレイヤーのビジュアルファンブックを、amazonも楽天ブックスも弱小だった時代に出張先のアキバで購入、東北に帰る夜行寝台で読んで、闇堕ちエスカに脳みそ灼かれた20年前の僕。
今、その世界を超昂大戦で描きたくなったのが、このSSの執筆動機です。

そしたら、興が乗ってなんと前後編に。環のダークサイドは…いろいろアカンなコレ。
※ライトサイドはおバカなギャグSS、またはアリスソフト放送局のお便りでお楽しみ下さい。ときどきシリアスSS(ルビーカッコいい!)も書きます。

後編も執筆中。少々お待ちください。ではまた。
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