「ごきげんよう、シスターマリー。良く来てくれました。今日はよろしくお願いしますね」
「ごきげんよう。こちらこそよろしくお願いします!」
これは蒸し暑さを感じる夏日の頃のお話になります。多くの企業や学園がお休みになる週末、私はシスターフッドと連携した教会へと赴くことになりました。
「ごめんなさい。トリニティと比べたら窮屈でしょう?」
「そんなことありません!この人数で運営出来るなんて…….、私達も見習わなければ……!」
「そう言ってくれると嬉しいわ」
今日の仕事は体調を崩してしまったシスターのヘルプ。仲間が苦難を前にしたのなら支え合い乗り越えてこそ。立派なシスターになるべくして、今日も私は頑張っているのです。
「お掃除完了しました!」
「ありがとう。それじゃあ、後は任せちゃってもいいかしら?」
「はい!お任せ下さい!」
そうして私は、病に苦しむ彼女の仕事を果たすべく、教会の懺悔室へと足を踏み入れました。これから巻き起こる試練の事など知る由もないままに——。
「そしたらよぉ!あの社長、なんて言ったと思う?」
「え、えぇ……、と…………」
「水を倍に入れろって言い出したんだよ!あの味覚音痴の馬鹿共には分かるわけねぇって!」
「え、でもそんなことしたら……」
「ああそうだよ!牛乳なら兎も角、水プリンでそんな事しちゃいけねぇ。けど逆らう訳にもいかねぇし……。私も無事に粛清対象だ」
「難儀な話ですね……」
私は懺悔室の中、次々もやってくる迷い子の懺悔を聞いていました。懺悔とは言ってもそれ程重苦しいものではなく、あくまでお悩み相談。皆さんにとって都合の良い程度の、話し相手の様なものです。学園生活の中で生まれた話したい事、けれども話す相手がいない。そんな時の捌け口として利用される方が殆どです。
「よし、準備が出来ました!次の方、どうぞお入り下さい!」
「はい、よろしくお願いします」
トリニティにも懺悔室はあります。ですが、外部の教会で受ける懺悔は、トリニティで普段受け持つ仕事とはまた違う楽しさがありました。
「ロールケーキ……、ですか?」
「はい……。激しい口論の末、私は友人の口に目掛けてロールケーキをぶち込んでしまったのです……」
「そんな大きな事だったのですね……」
「悪い所は自分にもあります。それなのに私は……。あぁ……、なんてことを……!」
それは普段聞いた事もない話が飛んでくるということです。シフターフッドは謎が多く怪しい団体だと疑う生徒が多くいます。なのでシスターフッドの懺悔室は利用者が少なく、常連とも言ってもいい方々しか足を運んでくれませんでした。
「その後は、謝られたのですか?」
「いえ……、どのように謝れば良いのか分からなくて……」
「そうですか。では、今の想いを素直に打ち明けてみたらどうでしょうか?」
「えぇっと、それだと……」
「今の話から反省している様子は伝わってきます。ご友人も分かってくれると思いますよ!」
「そ、そうですよね!」
その理由も何となく分かります。この教会は大人の方々が運営する教会。学園とはまた違う環境だからなのかもしれません。
生徒から大人まで、沢山の方々が相談しに来る。普段の業務とは格段に難しい物だと感じますが、それだけにやりがいを感じられました。
「ふぅ、これで8人目……。それにしても暑いですね……」
そしていよいよ9人目。時間的にも最後といったタイミング。そんな時にある事件が起こったのです。
「それでは次の方、どうぞ!」
「はい。失礼します」
「えっ!?」
最後の訪問者が入室すると同時刻、私は素っ頓狂な声をあげてしまいました……。私はその声をよく知っている。最後の訪問者とは私達生徒が揃って愛してやまない、ただ1人の男性。私の大好きな、シャーレの先生だったのです。
「よろしくお願いします……」
「は、はい……。よろしくお願いします……」
私は両者を隔てる仕切り版を操作し防犯用マジックミラーを展開。私の予感は的中、シャーレの先生がこの懺悔室へとやってきました。いつもの生気を感じられない弱気な挨拶。こんな彼を見た事ありません。余程打ち明けたい何かがあるのだと私は身構えていました。
「何かお辛いことでもあったのですか……?」
「はい……でも……、えっと…………」
懺悔室に慣れていないのか、彼は気まずそうにして口どもる。匿名性は護られているとはいえ、いきなり話してくれというのは酷な話なのでしょう。今日の体験だけでもそれは強く感じられました。
「ご安心ください。ここで出した言葉は決して外に出ることのない、完全な密室空間です。ゆっくりでもいいので、貴方の抱えた重荷を教えてください」
「ありがとう……、ございます……」
彼は私を『マリー』と認識していない。声だけでも聴き分けてくれる普段の彼では起こりえない反応、それだけ深い悩みがあるのかもしれません。少しでも彼の役に立ちたい、そんな思いが私の中に湧き立っていました。
「でも……その……女性に打ち明けるのは少し気が引けるというか……」
「女性だと……? いえ、ご安心下さい。私は仲介者に過ぎません。なのでお気になさらずとも結構です」
先生の悩みは異性関係。それを知った途端、胸の動向が激しくなっていくのに気付く。私は先生の事が大好きです。貞淑なければ行けないシスターとしては、持っては行けない感情なのかもしれませんが、異性としても彼の事が好きなのかもしれません。
だからこそ身構えてしまう。もしこれが交際中の悩みだとしたら?そんな不安と恐怖に駆られる私がいたのです。
何度も引き返そうとする先生、それを引き止める私。言葉の応酬は続き、ついに彼は折れたのか、私に打ち明けてくれるようになりました。
「あの……、私は普段、仕事で子ども達を相手にしています……」
「はい」
「生徒達は私を慕ってくれますし、いつも私を頼ってくれます……」
「そうなのですね」
先生という立場を隠しながらも、生徒に対する想いを語りかけてくれました。私達の可能性を信じ、更なる成長を期待してくれている。彼の放つ優しい言葉の数々。聞いているだけで心が暖かくなるような、そんな多幸感に包まれるようでした。
彼の言葉に嘘はない。それぐらいは分かります。私は彼の事を誰よりも見ているのですから……。
でも、それでは何故?一体何が彼を苦しめているのでしょうか?その理由は彼の放った一言により明らかになるのでした。
「ですが、その……。最近、距離が近いといいますか……」
「距離、ですか……?」
「はい……。いくら相手が子どもと言っても、私も男なので……、その…………」
歯切れの悪い先生の告白。私は彼が言いたいことを何となく察してしまいました。更に高鳴る心拍音。私も動揺と興奮を隠せないまま、彼の紡ぐ言葉を待つことしか出来なくなってしまったのです。
「せ、生徒を……、異性と……?」
「うっ……そうなんです……。そんな目で見てはいけないとは思いながらも……、どうしても意識してしまい……」
「もしかして情欲を感じてしまう、とか……」
私の質問を無言で返す先生。私にとっては想像にもしていない告白でした。あの彼が生徒にその様な目線を向けるとは思いもしませんでしたから。
「生徒達は異性とはいえ大切な子ども達です。こんな目を向けること自体間違っている。でも時々、それが我慢出来なくなってしまう時があるのです……。その度に自己嫌悪に襲われ、自分が嫌になってしまうのです……」
「そうだった……、のですね………………」
「軽蔑してくれて構いません……。許し、というよりも罰が欲しいのです……。それは悪い事なのだと認識を改めたい。そんな目を向けなくてもいいように、生徒達とは真正面から向き合いたいから……」
両者を隔てるマジックミラーの奥で、彼が項垂れているのが分かります。この様子だと誰にも漏らす事も出来ないまま、抱え込んでいたことでしょう。彼のこんな姿を知っているのは私だけ。
「よく分かりました。さぞ、お辛かった事でしょう……。ご安心下さい。貴方は罪を犯していません。今も尚、その気持ちを抑えられているのですから。素晴らしい事です」
「そういう訳には……!」
「そうですね……。ですがご安心ください。主は貴方の罪も許してくださることでしょう。その為に、私が遣わされたのですから」
「えっ……?」
先生の弱々しく震える声。彼を救えるのは私だけ、それならやる事は既に決まっている。私は貴方の役に立ちたい。貴方の罪を赦したい。貴方を幸せにさせてあげたい。そんな思いが、私を駆り立てていたのです。
「お忘れですか?ここは懺悔室。貴方の罪は主が赦します。ですから、吐き出してしまえばいいのです。生徒たちに向ける情欲を、生徒に向けてしまう邪な視線を……。全部、話してみて下さい。それが貴方の為になるはずです」
「で、でも……」
「ご安心ください。私は貴方の生徒ではありません。主に使えるただ一人のシスター。私であれば、受け止められます」
先生の方から息を飲む音が聞こえてくる。困惑、不安、そして期待。彼からの期待を一身に背負った私は、思わず舌を濡らしてしまうのでした。
「さぁ、教えて下さい。貴方の罪を、貴方の欲を、私に全て、見せてください」
***********
シスターから告白を促されて数十分が経過した。今尚躊躇い罪を言葉に出来ないでいる私。ただ黙って私からの告白を待ち構えるシスター。二人の息遣いだけが蒸し暑い密室空間を満たしていた。
シスターは何も語らない。ただ、そこに居てくれているだけ。仕切り板に阻まれ私からは何も見えないけど、こんな私の為に祈りを捧げてくれているのは伝わってきた。
「っ…………」
だからこそ、そんな自分が惨めになる。私から懺悔しに来たと言うのに、いざ話して見ろと言われたら口吃ってしまう。今にも逃げ出したい気分だった。
けど、それはもう出来ない。このシスターは私の為にこれ程の時間を使ってくれた。多忙な時間を捧げてくれた彼女の労力を無碍にしてはいけない。私は数回の深呼吸を繰り返した。
「昨日の事です……。私は午前の仕事に向けて、シャー……っ、ある学校に行くためのバスへと乗り込みました」
「はい」
「学園行きのバスには当然、生徒たちしかいません……」
「そうですか……」
生徒たちの中には私に好意を向けてくれる子も少なくない。私の傍を陣取り、出来る限り近い距離で話をしようとしてくる子も多くいる。
「中には肌が触れ合ってしまう程に近寄ってくる子もいます。それで触れる度に、その……。ドキりと、してしまうのです……」
「ドキり、とは……?」
「えっと……それは…………」
「それでは先程の告白と変わりません。もっと鮮明に思い出して見てください」
抽象的な表現は避け、 感じたことを素直に打ち明けて欲しい。そうシスターは言葉を続ける。あくまで淡々とした、事務的な応答。シスターから漂う「私には興味がない」と感じさせる対応に、私は救われていたのかもしれない。
「は、はい……。女の子の柔らかい肌が、気持ちよくて……。もっと触ってみたいな……と……」
「ええ。その調子です」
「はい……。女の子達の身体に触れてみたい。胸やお尻を揉んでみたい。あの太ももに、包まれてみたいと……邪な想いが過ぎってしまうのです……」
口にした事で当時の情景が鮮明になっていく。バスに乗車し、後部座席についた所までは良かった。生徒が私を認識するにつれ、私の隣を独占しようと迫ってくる。両隣りはもちろん、前にも迫り、魅惑的な肉体が私の周囲を瞬く間に埋めつくしていた。
「駅を超える度に生徒は増え、彼女らとの距離は更に縮まっていきます……。少しでも身体を動かせば触れてしまう。彼女らの太ももが、お尻が私の身体に……!」
「そんなことが……」
「はい……!バスだけじゃありません!日頃の電車も、学校に着いてからの仕事中でも……!ずっと……!」
ゼロ距離で揺れ動く滑らかな唇。際限なく迫り来る豊満な胸、指がスカートにかかるもどかしい感触。揺れた際に触れ合う身体。思わず顔を埋めたくなる健康な下半身。私はシスターの前で、本来抱くべきではない邪な肉欲を言葉に連ねていた。
「さぁ、続けてください」
シスターは何も返さない。私の言葉を待ち、途切れたと気付くく度に更なる告白を促してくる。ただそれだけ。
想起を促され、彼女達の肢体を妄想し続けた私は、いつの間にか興奮を隠せなくなっていた。告白することで更に高まる羞恥心。体温は上がり、息を切らし、汗を垂らしていた。
「大丈夫ですか……?息が荒いようですが……」
「すみません……、少し暑くて……」
「興奮していらっしゃるのですね。無理もありません」
逃げ場のない閉鎖空間。シスターと2人きりの懺悔室は、あの時押し込められた満員バスと同じ息苦しさを再現させられているようだった。
「暑さといえは……、そう。匂いも強烈でした……。女の子流した汗や香水、色んな香りが私の本能を刺激していくようでした……」
思い返してみれば、この部屋に足を踏み入れた時も似たような香りが立ち込めていた。聞けば来訪者は私で9人目、相談者はみんな女性だったと言う。長時間の相談によって醸されたフェロモンがこの空間に充満していたのだろう。
「私、匂いに敏感なんです……。引かれるかもしれませんが……、女の子から感じる匂いが好きなのかもしれません……」
無意識的に相手の匂いを確かめてしまう事はあった。その行動に性的欲求が含まれていたつもりはない。だとしても、この状況を前にして胸を張って言える訳でもない。
「失礼なのは分かってます。大人としてそんな事するのは間違いだとわかってはいます……。けど、私はそんな彼女らの匂いに発情してしまう、変態だったのかもしれません……」
言葉にしてみて、涙が止まらなくなっていた。私は自分が嫌いだ。夢多い生徒たちを性的に解釈し、都合のいい様に消費している私は正に悪い大人だ。方向性は違えど、悪辣な大人たちと何も変わりはしない。
「うぅ……、私は……」
悪しき欲求を振り払えない。それこそが私の罪。誰にも打ち明けられなかった私の淀み。良き大人として在るように。何とか表出しないよう抑え続けていたゲロ袋を紐解いたことで、感情の行き先を見つけらくなっていた。
「……よくぞ打ち明けてくれました。それが、貴方にとっての罪なのですね」
「…………はい」
静まっていたシスターが口を開く。帰ってきた言葉は嘲笑でも嫌悪でも叱責でもない。私の吐いた吐瀉物を飲み込んでくれるような、慈愛に満ちた優しい音色だった。
「貴方の痛みは理解出来ました。やはり貴方は素晴らしいお方です。欲を感じながらも理性で抑え込む貴方の姿勢、主に遣える私達も見習わなければいけません」
「そんな立派な人間ではありません……、私はただ……」
「いいえ。誰がなんと言おうと、私は貴方を尊敬します」
優しい声に乗せてシスターはきっぱりと言い放つ。欲を理解しでも尚、抑え込もうと耐え忍ぶ心の強さを評価をしているのだと、シスターは言葉を続けた。
先生とは時に聖職者として分類される事もある。更にその本場、聖職者そのものであるシスターだからこそ伝わる説得力に、私の心は完全に掴まれていた。
「うぅ……ごめん……、ごめんなさい……」
大人であるはずの私が情けなく泣き崩れる。ようやく吐露できた本音。伝えられるはずのない謝罪の言葉。矮小な自分が許されていく安心感。心のモヤが晴れていく様は快感としか言い表せないものだった。
「落ち着きましたか?」
「はい……ありがとうございます……」
涙を流し終えた私にシスターが問いかける。私を救ったその声は聞いているだけでも心地良い。どんな言葉でも従いたくなってしまう程に魅了された自分がいた。
「力になれたようで何よりです。ですが、性欲とは本来肉体から来る本能的なものと学んでいます。心を晴らせたとしても、また支配されるのも時間の問題でしょう……」
「うっ……。そうかもしれません……」
「そうですよね。これも良い機会かもしれません。肉体に残る欲望も今、ここで吐き出してみませんか?」
シスターの口から発せられた思いもよらない提案に、私は息を飲んでいた。魅力的な女体を前にして沸き立つ本能。愛を注ぎ、子孫を残したいとする欲求。その象徴とする下半身が、あれだけ惨めに泣き崩れても尚、鎮まる事なくいきり立っていたからだ。
「ここでは罪を晒け出すことも許されます。誰も見ていません。貴方と私さえ黙っていれば、明るみになる事はありません」
「ですが……!」
「ぼ、勃起……、していらっしゃるのでしょう……?」
「っ……」
シスターの発せられる淫語に私のぺニスがさらに反応してしまう。衣服で膨張した股間は出口を求めて痛いほどに張り上がっている。
いくら彼女が許したとしても女性の目の前、しかもここは公共の場。先生としてそんな事は許されない。けど、女性達の色香に漬け込まされ、煩悩を鮮明な迄に想起させられてきた私の理性は限界を迎えていた。
「本当に……、いいのですね……?」
「……………はい。私が赦しましょう」
ズボンを下ろし、テントを貼った下着を露わにする。貼り上がった股間の先には我慢汁が絶え間なく溢れ、粘ついた染みで満たされていた。
「ぬ、脱ぎました……」
「下着もですか?」
「い、いえ……、下着はまだ……」
「恥ずかしいのは分かります。ですがもう、我慢しなくていいのです」
彼女には私の姿は見えていないはず。にも関わらず、踏み切れずにいる私の行動を見透かされていた。彼女の言うことには逆らえない。逆らいたくない。これから待ち構える快感を押し退けられる強さはもう残っていなかった。
「あぅっ……、出しました……」
欲望に負けた私は、その興奮しきった下半身を晒け出す。抑え込んでいた衣服から解き放たれた開放感、下着を脱ぐ際に擦れた快感に情けない声を上げてしまった。
シスターは静まり、何も発さない。今の私は大人として、人間としてあってはならない姿を晒している。プライドも崩落した私に忍耐力など残っているはずもなく、まるで赤子のようにしてシスターに救いを求めていた。
「あ、あの……!私はどうすれば!」
「っ……、し、失礼しました……」
シスターはわざとらしく咳払いをした後、言葉を続ける。
「今、貴方のしたい事をすればいいのです」
「そんな事……」
「いいえ、貴方なら知っているはずです。貴方にしか分からないのですから……」
「私に……」
息を飲み、震えた手で股間に手を伸ばす。今私のしたいこと、そんな物ひとつしか存在しない。シスターの言われるがままに私は自身のぺニスを握りしめていた。
「あぁ……」
あまりの快感にため息で漏れてしまう。上下に擦るだけで多幸感に支配され、快楽を味わいたいとする欲求が溢れてきてしまう。
「はぅ……」
「あぁ……なんて気持ちよさそうな……」
「ごめんなさい……ごめんなさい……!」
ぺニスを扱く手が止まらない。全てに置いて不適切だと言うのに、それが興奮のスパイスとなっているのか、一人で処理している時では得られない快感に身を捩らせてしまう。
「先生。貴方は今、何を思い浮かべていますか?」
「な、なにって……!」
「それは勿論、生徒ですよね?貴方の手で、彼女達を汚す事を、思い描いてるのではないですか?」
「うぅ……!」
図星だった。股間を刺激する度に、今まで味わってきたうら若い女体達が私の眼下に迫ってくる。少女達を自分の都合のいい様に消費する。そんな事あってはならない筈なのに、彼女達を食い散らかす妄想が止められずにいた。
「その欲望を抑えては行けません。貴方の苦悩を、貴方の幸福を見せてください」
「はぁ……はぁ……!」
「教えてください。貴方は今、何も思い浮かべているのですか?」
シスターの優しい誘惑に抗えない。抗ってはいけない。キヴォトスに就いてから抱え続けてきた苦悩、その苦痛から解放されに来たのだから——。
「女の子の、裸体です……。うっ…くぅ……おっぱいに……、お尻……!制服から見える発達中の身体を想像するだけでも……えっちな気持ちが止められなく……あぁ……!」
我慢出来ずに欲望を口にしてしまった。少女達の発達途上な乳房に顔を埋めたい。そのおっぱいで揉みしだいて欲しい。そのまま乳首にしゃぶりつきたい。理性を失った私は叫ぶようにしてシスターに欲望をぶちまけていた。
「では、どんなお胸を想像していますか?」
「ど、どんなでもいい!小さくても!大きくても!どっちも好きなんです……!」
「ふふっ、そんなにがっついては、嫌がられちゃいますよ?」
「ごめんなさい……!止められなくて……!あぅっ……!」
「ええ、それでいいのです。せめて今だけは、貴方の幸福から逃げないでください」
抑圧し続けてきた欲望の解放。願いを言葉にする、こんな単純な行動がこれ程までに気持ちいいとは思いもしなかった。
もう止められない。理性のたかが外れた迷い子に願いを抑え込むことなど出来るはずもない。私は自身のぺニスを激しく擦り立てながら、シスターの質問に何一つ隠すことなく晒け出していた。
「先生、貴方は女の子の香りが好きだと、そう言いましたね?」
「は、はい!大好きです!汗臭くて……、私の脳を狂わせる、あの匂いに耐えられない……!それを気にして、隠そうとする女の子達の努力も……!」
鼻息を荒くして泣き叫ぶ。気持ちいいが止められない。目の前には無いはずの肢体。それも全てこの空間に充満したフェロモンにより形作られていく。もうこの空間から出たくない。一生この匂いに包まれていたい。
「この部屋も……、そうだったのですね……。ではどうぞ、ご堪能ください。少し恥ずかしいですが……」
浅ましい願いを何度も言葉に乗せその欲望を解放させる。そんな私をシスターは淫靡な吐息を漏らしながらも受け止める。 それが嬉しくて、安心させてくれるようで、気持ちよかった。
「はぁ……!はぁ……!こんな所にいたら……!」
少女達の蒸れた体臭に身を置きながら、その身を任せても赦されてしまう。幸福感、安心感に身を任せ、ぺニスを扱き続けた掌は既に粘ついた我慢汁で汚しきっていた。
擦る度にネチョネチョといやらしい水音が室内を満たす。シスターには全て丸聞こえだ。それすらもこのシスターは赦してくれる。自身のマスターベーションを曝け出す恥に快感。幾つもの感情が脳内を見たし、麻薬でも打ち込まれたかのような多幸感に包まれていた。
「あっ……!あっ……!もうっ……!」
「限界なのですか?」
「ま、まだ終わりたく……!くぅっ……!」
私も一人の男性。快楽の絶頂、射精が目の前に迫っていた。この射精によりこの関係が終わってしまう。この幸福が終わってしまう。これが終われば、また苦悩の日々を送ることになるだろう。こんな聖母のようなシスターに出会えた奇跡を失いたくなかった。
「そうですか……。分かりました。貴方のことはよく覚えておきます」
「はぁ……!はぁ……!」
「また欲望に耐えられなくった時、またここに来てください。私は何時でも貴方を、見守っています」
「そんな……!そんな事って……!」
「ですので、ご安心ください。私に見せてください。貴方のその、幸せなひとときを」
「はぁ……!はぁ……!ごめんなさい……!ごめんなさい……!いっ……!!」
シスターからの優しい声。射精の赦しを貰った私はために溜め続けた白濁液を噴出させた。
「あっ……!あぁぁ……!!」
堪らず吐き出した精液は留まることなく吹き出していく。目の前のティッシュには収まりきらず溢れさせた精液が床を汚して行った。
「はぁ…………、はぁ…………、はぅ…………」
止まらない吐精感に酔いしれる。全てを出し切り、次第に萎びていく下半身を剥き出しにしながら、その幸福感に身を寄せてぐったりとさせてしまった。
「お疲れ様でした。どうでしたか?」
言葉が出せない。意識は完全に上の空。人前には見せられない惚けきった顔で目の前の仕切り板を見つめることしか出来ずにいた。
「ご満足、されましたか……?」
「あ、ありがとう……ございました………」
懺悔室から開放されたのは完全に日が暮れた後の事。恥部を見せつけ、泣き疲れ、吐き疲れていたはずのに、帰路に向かうその足取りは軽やかだった。
**********
「本当にいいの?掃除まで任せちゃって?」
「は、はい!お任せ下さい!」
先生はシャーレへと帰り、私の業務は完了。遅くなったからとシスターが私を帰そうとしてくれましたが、私はその誘いを断らざるを得ませんでした。懺悔室の清掃、この作業だけは誰にも任せることは出来なかったからです。
労いの言葉と共に去っていくシスターを見送った後、私はもう一度あの空間へと足を踏み入れました。
「っ……」
懺悔室に充満した強烈な臭気に顔を顰めてしまう。一度部屋から離れたせいか、懺悔室で起こっていた異常事態を思い知らされることになりました。聞けば空調設備が故障していたとの事。密室空間なだけはあり、空気の逃げ場が無くなっていたようです。
自分の匂いには鈍感になってしまうもの。業務に集中し、あの空間に留まっていた私では気付けなかった。今後の反省すべき点と言えるのでしょう……。
「先生……」
床には拭き残された白濁液が散らかっている。気付いた時にはその身を屈ませ、染みから広がる香りを吸い込んでいました。
「これが先生の……。す、すごい……匂い……、です……」
栗の花を思わせる、癖の強い強烈な匂いに脳が痺れる。生く臭さすら感じさせる刺激臭。だけど、決して嫌いではない、むしろ嗅いでいたい。私は深呼吸するようにして彼の遺伝子を堪能していたのです。
「んっ……♡、先生……♡」
これでは足りない。彼をもっと感じていたい。私は片隅に配置されたゴミ箱に手を伸ばし、彼に捨てさせた精液塗れのティッシュを広い上げてしまいました。
「っ……♡」
まだ生暖かさの残るちり紙を見つめ息を飲む。私だけが知る彼の苦悩、彼の煩悩、彼の欲望。その煮凝りが今この手に……。
ぞくぞくと湧いてくる衝動に身を任せ、彼の遺伝子がつまったティッシュに顔を押し付けていました。
「すぅ……♡はぁ……♡」
先生の匂いを感じると共に、彼の浮かべていた幸せそうな表情が目に浮かぶ。
自慰に耽る彼の姿を、私は見ていました。仕切り板に設計された犯罪防止用のマジックミラー、彼のプライベートを護る為、使ってはいけないとは理解していながらも、私はそれを護れなかった。
「んっ…♡ごめんなさい……♡私は…♡」
粘着いた液を絶え間なく垂らしながらも固く、高く剃り上がった男性器。恍惚とした表情で刺激し続ける幸せそうな彼の姿。そのいずれも初めて見る光景。私は彼の浮かべる扇情的な姿を前にして、目を離す事が出来なくなっていたのです。
「っ……♡」
そんな物を目にしたせいか、下半身が疼いて堪らない。気付いた時には足を広げ、開放された下半身に手を伸ばしていた。
下着越しに伝わる私の性器。ぐしょぐしょに濡らした下着に不快感を受けつつも、そんな下着の上から優しく撫で上げて見たのです。
「あっ……♡気持ちいい……♡」
その感触は想像を絶する物だった。気持ちいい。嬉しい。もっと感じていたい。生まれ落ちて初めて知る快感。とめどなく溢れてくる快楽は私にとっては耐え難く、次第に擦りあげる指も過激な物になっていきました。
「先生っ♡先生っ♡」
こんな気持ちいいこと、耐えられる訳がない。いつしか私は、快楽に身を寄せる彼の姿を思い浮かべながら下着の中に手を突っ込んでいました。
彼の体臭、彼の汗、彼の欲望に塗れた空間で、彼の姿を真似て快楽を貪る。股間を弄る手が止まらない。その空気を味わずには居られない。今の私は、私たちの先を生きている彼の姿そのもの。そんな事実を噛み締め幸福感に満たされているようでした。
「先生っ♡先生っ♡私はっ♡」
ただひたすらに彼を求め、快楽に酔いしれる。精液を吐き出す時のあの表情が忘れらない。今までに見た事もない幸せそうな顔。その快楽を私も味わいたい。男性器を扱いていた時と同じ水音が室内を響かせる。私も限界が近いのかもしれません。
「すぅっ……♡はぁ……♡せ、せんせいっ♡私もっ♡」
手が止められない。我を忘れた様に指を幾度となく擦り付け、急速に高まっていく快感に身を捩らせる。絶頂は目の前、私は彼の性器を思い浮かべ、束ねた指を秘所へと突き入れました。
「お゛ッ♡せんせいので……♡イ゛ッ……♡♡」
先生の匂いに満ちたティッシュを顔に押し付け、指を勢いよく突き入れる。その瞬間、脳を焼ききるような快感が身体を満たす。全身に駆け巡る快感により身体のコントロールが失われ、まるで失禁したかの様にして、股間から体液を吹き出してしまいました。
「あ゛ッ♡お゛ぅ゛ッ……♡」
気持ちいい。嬉しい。多幸感に身を委ねてその余韻を堪能する。掃除しに来たはずなのに、さらに汚してしまった。けどそれも仕方ない。こんな快感、耐えられるわけがない。
「ふぅ……♡ふぅ……♡」
次第に整っていく呼吸と共に、様々な罪悪感が芽生えていく。シスター達の仕事場を汚してしまったこと、禁欲の戒律を乱してしまったこと、そして何よりも、私の手で彼を汚してしまったこと。
「先生……私は………」
善意のつもりだった。ただ救ってあげたいだけだった。けど、 何かが違う。この無限に湧き立つ高揚感は何なのか、その実態は分からない。どうしてあげるべきだったのか、今の私には分からない。
だとしても、彼はまたやってくる。だってこんな快楽、抗える訳がないのだから。
「くぅ……♡あっ♡先生……♡」
一人前のシスターになるには、この欲求から戦わなければいけない。でも、彼との相対するこの一時だけは許して欲しい。明日からまた、普段通りの日常に帰りますから、せめて今だけは……。
「だ、ダメですッ♡先生っ、そこはッ♡」
色欲に惑わされたまま快楽を貪る私たちの懺悔は長く続き、自室に帰ってこられたのはお月様が上がりきった後の事でした。