「あっ……♡ んんっ……♡」
夕暮れ時の廃棄された教会に二人の喘ぎ声が響き渡る。授業を終え、日課も終わらせた私は、仕事を片付けて来たという先生と共に、カーテンで仕切られた懺悔室で自慰行為に耽っていました。
「はぁ……っ、はぁ……っ」
布越しに鼻息を荒くさせている先生の姿が目に浮かぶ。私が手渡した脱ぎたての下着に顔を押し付け、深呼吸を続けているのでしょう。
それは私も同じ事。私も彼から渡された雄臭に満ちた下着を通して自身を慰めていたのですから。
「ア゛ッ……♡ オ゛ゥ゛ッ…………♡」
ここはトリニティの外れ、シスターフッドしか知らない廃棄された無人の教会。立地も悪く、誰も利用することの無い不便な廃墟は私たちの密会場所として使われるようになりました。
「くぅ……」
お互いの声を聞きながら絶頂したあの日を境に、この教会で落ち合う関係になりました。匿名型の特殊なSNSを通じて連絡先を交換し、情欲を抑えられなくなった方から連絡を送り、その身体を慰め合うのです。
始めは互いに手淫だけで終わる関係でした。けれどもそれだけでは我慢出来なくなった私たちは、いつしか互いの下着を差し出し合う関係にまで発展していました。
「うぁ……っ!マリアさん……!」
「気持ちいいですか……♡ 先生……♡ 私も……♡」
この関係を結んで以降、彼は私『マリー』の名を呼んでくれるようになりました。それが何故だかとても嬉しい。私の名を呼ばれる度に私の心は疼いてしまうのです。
ですが、彼は生徒に情欲を向ける自分を毛嫌いしている。そんな彼を救う為に私はある仮面を被る事にしました。私は生徒の身でありながら彼の恋人。彼を救う為に在る者として『マリア』と名乗りました。
「あぁ……♡ 凄い匂い……♡ 先生、私もイっちゃいそうです♡」
「私も……! もうっ…!」
「えぇ♡出してください♡ 私も一緒に゛っ゛♡♡」
彼の呼び方はその時毎に変化します。『マリア』を『マリー』と錯覚しているのか、正体に気付いた上で知らない振りをしているのか。その真意は分かりません。それでも私を求めてくれる。私はそれだけで幸せなのです。
そんな幸福感に包まれながら快楽を貪り、彼と私は果てるのです。
「あぁ……っ! あぁぁぁ………っ!」
私の絶頂と合わせるように、他の生徒には聞かせられない、幸せそうで可愛らしい声を彼が漏らす。それが彼の絶頂の合図。そんな声を独占出来たと言う満足感が、私の不埒な情欲を満たしていくのです。
「はぁ……、はぁ……」
「あっ♡ あっ♡ ふぅ……っ♡」
次第に広がってくる雄の香り。脳を焦がす程の強烈な生臭さ。彼が享受した快楽の証に堪らず舌を濡らしてしまう。射精を経て満足した彼は私に感謝を伝え去っていく。そうして得られた戦利品を手に、はしたない一人遊びに没頭する。それが私の日課となっていたのです。
ですが、今日は、少しだけ違っていました。
「お疲れ様でした…♡ 後片付けはしておきますので……お先に……」
「あ、あの……。すみません……。もう少しだけ……いいでしょうか?」
彼はまだ満足していないというのです。彼はまだ私を求めてくれる。ただただ嬉しく、こんな事があっていいのかと夢を見ているような気分でした。
「…………ふふっ♡ 実は私も、そんな気分でした♡」
先生は安堵した声と共に可愛らしい喘ぎ声を漏らし始める。彼が申し出た理由は何となく理解出来てしまうのです。何故なら明日は、私達の仕事に先生も同行してくれるのですから……。
************
『続きまして、本大会の記念として。アンティークセラフィム、蒼森ミネさんによるキックインセレモニーです』
「出番ですね。サクラコさん、マリーさん、参りましょうか」
「え!?私達も!?」
シスターとの密会から翌日の事。マリー含むアイドルユニット『アンティークセラフィム』と私はトリニティ領内の総合グラウンドに仕事として出向く事になった。キヴォトスで開催されるプロサッカーリーグの応援ゲストとして、彼女達が選ばれたからだ。私はその引率役。
スタジアム内のアナウンスの従い、指定のユニフォームを着込んだ三人がグラウンドまで上がって行った。
「全力を出してもいいと……。承知しました。マリーさん、サクラコさん」
「は、はいっ!頑張りましょう!」
「あの……、ミネ団長?本当にやるつもりですか……?」
「当然です!今こそ特訓の成果を見せつける時です!」
「それはそうなのですが……。あれはどちらかと言うと悪ノリというか……」
野球における始球式。一定の距離からキーパーの守るゴールへと一球だけ蹴り入れるという催し。その役をミネに頼みたいと声がかり、私も今日に向けての特訓に付き合ったりもしていた。サクラコやマリーまでこの催しに呼び出されるのは聞いていなかったが……。
やる気に満ち溢れたミネと意外にも乗り気なマリー、ミネに言いくるめられて半ばヤケクソなサクラコがピッチに上がっていく。いったい何をやらかすのか、私は三人を固唾を飲んで見守っていた。
「それではアンティークセラフィム、全力で参ります!」
アナウンスと共に三人がボール目掛けて走り出す。これこそ神秘とでも言う物なのか、突然ボールが輝き浮かび始める。続けてミネが翼を大きく広げ飛翔、ムーンサルトジャンプを繰り出しボール目掛けて踵落とし。同時にマリーとサクラコがミネの左右から飛び上がり、左右からクロスする様にボール目掛けて蹴り落とした。
『こ、この技はまさか!?』
寸分もなく重なった三人の蹴り技は莫大なパワーを生み出しゴールに向かって一直線。拳で弾き返そうとしたキーパーはおろか、ゴールネットを派手に貫通。ボールはネット奥のゲートに消え、地響きと共に何処かの建物が粉々に砕け落ちていった。
「ミネ……、やり過ぎだよ……」
「だ、だから三人は過剰だと言ったではないですか!?」
「ぐっ……、これは誤算でした……。プロの方々なら私達の力でも受け止めてくれるとばかりに……」
「どうするのですか!? 校舎を壊すなと、ナギサ様にも叱られたばかりなんですよ!?」
「と、とにかく救護に向かいます! マリーさん、ここはお願いします!」
「どうしてこんなことに……」
異様な光景に観客達は騒然とする中、ミネはサクラコを引き連れキーパーの救護に駆け出していく。取り残されたマリーは困惑しながらも笑顔な挨拶で閉め、遅れて現れた歓声を背にしながらグラウンドを後にした。
「あ、帰ってきた。なんか大丈夫そうだね…………」
数分後、ミネの治療を受けた選手がグラウンドに復帰。試合開始は間近となった頃に三人は私の居る観客席へと戻ってきた。
「先生、ただいま戻りました!」
「私達の特訓の成果、見ていてくれましたか?」
「勿論! 三人ともかっこよかった!」
私を囲うようにして両隣りに座る三人。救護室で選手からキック力を褒められたと得意げに語るミネ、必殺シュート練習の経緯を何だかんだと楽しそうに説明するサクラコ、私と一緒になって二人の語りに耳を傾けるマリー。三人とも学生らしく日常を楽しめているのが伝わり私としても嬉しかった。
「っと、そろそろ始まるね。気になる事があったら私に聞いてね」
「はい! 楽しみです!」
私もスポーツに詳しい人間では無いが、彼女らに比べればまだ知っている方なのだろう。ワクワクを隠せていない三人と共に、非日常な空間に身を任せることにした。
「楽しかったね! マリーはどうだった?」
「はい!私も凄く楽しめました! こんなにも盛り上がるものなのですね! 先生!」
試合は無事に終了、ゲストアイドルとしての仕事も終え、業務からも開放された私たちは皆で自由時間を満喫していた。
ミネとサクラコは物販へと駆け出していき、私とマリーは二人が帰って来るまで間ベンチで待つことにしていた。
「いい試合だったね!」
「はい! 特に後半のあの瞬間……!」
興奮気味なマリーは私の買ってきたアイス棒を片手に、いつになく饒舌に語り尽くす。試合は終始白熱し、異様な盛り上がりを見せていた。私も三人と同様に昂りを隠せないでいた。
「マリーもよく頑張ったね。ハーフタイムのライブ、すごく良かったよ!」
「そうですか!? それなら嬉しいです!」
白熱した試合で興奮していたせいか、熱がまだ抜け切れていない。この感覚はムラムラと込み上げてくる情欲に近いものだ。これは正直、良いとは言えない。今の私はマリーを想うだけで、下半身が疼いてしまう身体になっていたからだ。
「先生? どうかしました?」
「っ! なんでもない!」
湧いてくる情欲を抑えられず、マリーとの関係もギクシャクし始めている。他の生徒とは上手くやれるようになったのに、彼女との関係は悪化して行くばかりだ。昨日発散してきたというのにこのザマなのである。
「先生、お待たせ致しました」
「おかえり! ミネ、サクラコ! アイス買ってきたんだけど食べる?」
「ありがとうございます。頂きましょう」
可愛らしいグッズを抱えて帰ってきた二人にもアイスを振る舞う。それでも視線はマリーの方へ。猫のように舌を見せながらアイスを舐めとるマリーから目を離せない。
夢中になってアイスを頬張る姿に、見たくも無いものを幻視してしまう私がいた。
「っ……! ね、ねぇ! サクラコは何買ってきたの?」
気のせいか、マリーと目があった気がして話を逸らす。半分以上は溶けたアイスを頬張りながらも上目遣いでこちらを見据えるようなマリーの視線。目を逸らす瞬間に見せた、清楚な彼女からは感じたことも無い、妖艶さを感じさせる仕草に、胸の高鳴りは止まらなくなっていた。
「先生、今日はありがとうございました」
「こちらこそ、今日は楽しかったよ」
トリニティへの帰路に着く私たち。寮まで送り届けるまでの間、三人とは離れること無く付き添いを続けていた。
三人とも試合も楽しめたおかげか、各々の感想を笑顔で語り合っている。にも関わらず、ムラムラと込み上げる気分を抑えられず、三人の会話に集中出来ずにいた。
『♪』
そんな中、私の懐から電子音が鳴り響く。聞き慣れたとは言えない、珍しい通知音。気付いた時には既に携帯を取り出していた。
『今日も如何ですか?』
モモトークとは異なるアプリから発信された差出人不明のメッセージに私の下半身が熱くなる。その差出人とは共に性欲をぶつけ合える唯一の女性、マリアと名乗るシスターからのものだった。
「先生? どうかしましたか?」
「あ、あぁ……。ごめん、来週の仕事のね……」
顔色に出たせいか、心配そうな顔を浮かべているミネとサクラコ。私は笑って取り繕い。急いで返事を打ち込んだ。
『すぐに向かいます』と返事を送り、携帯をしまう。それでこの場は丸く収まる、筈だった。
『♪』
私と同じ通知音。しかしその音は私の携帯から発されたものではなかった。ではどこから?この通知音は私たちが使うアプリでしか出てこない筈だ。
通知音が聞こえてきた位置がその答えとなる。ミネでもサクラコでもない。それなら、私と傍にいるもう一人は……?
『♪』
私の元に送られた通知音。私と同じようにして、携帯を出していた少女が目の前にいた。それから先のやり取りは、もう何も頭に入ってこなかった。
************
「ご機嫌よう、先生。お待たせしましたね」
「よろしくお願いします……。マリア……さん……」
三人を寮へと送った後、私は待ち合わせ場所の教会へと走って向かった。下着を脱ぎ捨て、反り上がった股間を一人慰めていた所にシスターが到着。仕切りに区切られた向かいの扉からこの密室空間に足を踏み入れてきた。
「それでは今日も……、いえ、もう既に、始められてたようですね……♡」
わざとらしく深呼吸をして鼻を効かせるシスター。色気を感じさせる吐息にぞくぞくと気持ちが込み上げる。
「すみません……♡ 私も今日は昂りを抑えられなくて…♡」
シスターは何か聞いて欲しい口振りで呟く。マリーの声帯から出るような優しい声に妖艶さを加えた音色が脳を焼く。魅了された私は彼女の語りに耳を傾けていた。
「私は今日、あるスポーツを観戦するために外出していました……♡」
「サッカー……ですか……?」
「はい♡ よくご存知ですね……♡」
「わ、私も……、そこに居ましたから……」
マリーの声で聞かされる事によって今日の出来事が鮮明に思い出されていく。彼女のイメージカラーとも言える橙のユニフォームを身に付け、丈の短いスカートにより健康的な肢体を露出させた、シスターの彼女からは拝むことの出来ない魅惑的な肉体が映し出されいた。
「白熱した試合に息を飲み、観客の皆さんともに汗を流し合う。今日はとても刺激的な一日でした♡」
「そうですね………私も……興奮しました…」
「ですがそれだけに……、性欲という物が湧き上がってしまうのです……♡」
人間というのは激しい運動の後は性欲が高まる物らしい。発情した雌の匂いが鼻腔をくすぐる。彼女から醸し出されるフェロモンは麻薬の様に私の脳を狂わせていく。
「私はスポーツと言うものとは遠い人間です。ですが今日は特別、真摯に教えてくれる方がいたのです……♡」
「そ、そうなのですね………」
マリーもミネもサクラコも、三人とも真面目な人間だ。だからこそ観戦中に気になったこと、分からないルールについて、沢山のことを質問してくれた。ただそれだけに私が何かを答える度に向けられる、マリーからの上目遣いが記憶から離れられずにいた。
「そのおかげでスポーツの楽しさに触れられました♡ いつしか見入ってしまい、シュートを決めた時なんかは大盛り上がり♡ 気付いた時には既に、私は隣の彼と抱き合っていたのです……♡」
そんな場面もたしかにあった。寧ろそれが今に至るまでのトリガーだった。私はあの時、確かにマリーと抱き合っていた。周りがそうしていたから、そんな空気だったから、と私は一線を飛び越えていた。私はあの時、確かに幸せを感じていた。
「私はあの時の記憶が忘れられません……♡ だから今、間違いを犯す前に、その欲求を解消させてしまおうと、貴方を呼び付けたのです……♡」
「っ…………!」
突然私の部屋に理性を奪い尽くす程の牝臭が襲いかかる。カーテンの隙間から、彼女の下着が伸びてきたのだ。 私は我も忘れて受け取った下着を顔面に押し付ける。そしてそのまま、わざとらしく深呼吸を繰り返した。
「もう♡ 今でもまだ、恥ずかしいのですよ♡?」
ツンとくる汗の酸っぱさと甘ったるい雌の色香が肺に流れ込み私の正気が奪われていくのがよくわかる。私は肉棒を握り締め、理性を失った猿の様に扱き立てていた。
「彼に抱き寄せられた瞬間、私は幸福を感じていました♡ 産まれ持って一度とて無いほどの幸福♡ あの時から私の下着は誰にも見せられないほどの染みを生み出していたのです♡」
私だって同じだ。不可抗力で肌を重ねてしまった瞬間から幸せを感じ、私の股間も固く張り上げていた。ミネやサクラコでは感じられなかった肉欲が急速に湧きだって来るのがよく分かるほどだった。
「あぁ♡ 匂いで伝わります……♡ 興奮していらっしゃるのですね……♡」
「はい……っ! 思い出しただけでも……っ!」
マリーをもう一度抱きしめたい。今度は不可抗力なんかではなく、肉浴の赴くままに力いっぱいに抱き締めたい。彼女の匂いを目の前で、直で嗅ぎ取りたい。五感で彼女を感じ、幸福を噛み締めたい。
そんな欲望が股間に集約し、限界を迎えようとしていた。
「マリーっ! マリーっ! 私はっ! もうっ!」
「ふふっ♡ それでは、今日はこちらに……♡」
カーテンの奥から布切れが渡される。私はその布切れに股間を押し当て、勢いよく欲望の塊を吹き出した。
「あっ! あっ! ああぁ!!」
どぷどぷと溢れ出る白い液体が彼女のハンカチを汚していく。止まらない射精に身を委ねて情けない声が漏れ出てしまう。数十秒にかけて押し寄せてくる多幸感に私の脳は焼き切れそうだった。
「はぁ……、はぁ……」
次第に治まっていく射精感、冷静さを取り戻していくうちに今までになかった違和感を覚え始めていた。
「あれ………、このハンカチ……………」
シスターから手渡されたハンカチに妙な既視感があった。それは今から少し前、それもこの契約を結ぶ前にあった、マリーの誕生日を祝う為に買ったあのハンカチと酷似していたからだ。
「マリア……、さん……?」
「っ……♡」
精液に塗れたハンカチを見つめ、ある核心へと思い至る。もう言い逃れは出来ない。マリアと名乗ったシスター、彼女は伊落マリー本人だ。初めて彼女と会った時から私は、既に間違いを犯していたと言うことなのだろう。
「貴方は……君は…………」
同じ声に同じ匂い、ここまで関係を重ねて気付かない方がおかしいと言える。ただ私は認めたくなかった。私の苦悩を許してくれて、気持ち良くて幸せで、夢を見ている様だったから。
「あっ……♡」
そして彼女もまた、同じなのかもしれない。何故ここまでしてくれる? そして何故、今晒した? その真意は分からないが、私は彼女を変えてしまった事には間違いない。
あんなにも純真で清楚だった彼女が今、奥でその痴態を晒している。エスカレートしてしまった関係によりいつしか淫乱な雌へと育て上げてしまった。これは私の過ち、私の責任としか言いようがない。
「私は……、君を…………」
私のつぶやきに対し、シスターは何も答えない。ただ色の籠った吐息だけが聞こえてくる。もう彼女なしでは生きていけない。自分の気持ちを抑えられる気がしない。
だとしたらもう、私は選ばなければ行けない。すべての責任を放棄し、この関係を終わらせるか……。私達を偽り続け、この関係を有耶無耶にさせてしまうのか……。それとも……。
「…………ごめん。マリアさん……、私はもう…………」
「……せんせい♡」
「っ! 私は君を……! マリーっ! 」
私は精液で汚した彼女ハンカチを握り締め、勢いよくカーテンを開け放った。
「マリー……、やっぱり……、君だったんだね……」
「あっ……♡ あぁ……♡ せんせい……♡ ごめんなさい……♡」
***********
「マリー……、私は……………」
先生は放心した表情で私を見つめていました。目に涙を溜め、今にも崩れ落ちてしまうかのような、そんな危さを秘めたもの。
そんな先生を前に私は立ち上がり、汗と愛液に塗れた身体で近寄っていく。姿を隠す仕切りなんてもう何も意味を成さない。今はただ、過ちに苦心する彼を救ってあげたかったのです。私は赤子を撫でるように優しく抱き寄せ、慈しむように囁きました。
「そんな顔しないでください。私は、貴方を許します」
「で、でも……私は…………!」
私は彼を傷付けてしまった。私は彼を裏切っていた。明かすにしても、今では無かったかもしれない。だとしても、私もこの昂りを抑えきれない。今すぐ抱いて欲しい。抱いてあげたい。今すぐ貪りたい。それほどまでに、私の魂は淫乱に堕ちきっていたのです。
「私は貴方の澱みを知ってしまいました……。ですが貴方はそれを乗り超え、私を求めてくれた……。勇気をだしてくれた事……、私はただただ……、嬉しいのです」
「マリー………………」
「私は貴方を赦したい。私でならその性欲も、赦してあげられます。だから……私ではダメですか? 先生♡」
「あぅっ……!」
待ち焦がれた彼のぺニスに指が届く。人の身とは思えないほどに固く、そして柔らかい。指先で触れた瞬間に彼が可愛らしい声を上げ腰をくねらせる。そんな彼の仕草に私の心は焚き付けられていくようでした。
「ふふっ♡ 気持ちいいですか……♡」
「マリー……、こんなっ……」
彼を慰めるのが私であったら……、と妄想してきた通りに指を沿わせていく。彼が日頃からしていたように、根元から亀頭へと優しく擦りあげるのです。先生は苦悶の表情を浮かべながらも腰を小刻み震わせる。本心では悦んでいるのが見て取れる。そんな彼の鼓動が私を心を満たしていく。
「大丈夫です♡ 私と一緒に、気持ち良くなりましょう……♡」
「あっ……! あぁ……!」
私は彼の癖を誰よりも長く見つめてきました。彼の1人慰めていたあの手つきを真似て優しく握りしめる。先生は幸福の表情を浮かべ、私の肩に抱き込まれていきました。
「んっ……、あっ……!」
感じながらも鼻息を荒くする先生。私の体臭を嗅ぎ取ろうとしているのがわかる。嬉しいけど、それ以上に恥ずかしい。だとしても、今身体を離してしまったら多分、彼を正気に戻してしまう。私は彼の頭を優しく撫で、私の身体を味わせることにしました。
「マリー……、マリー…………」
「ええ♡ 私は離れたりしませんよ♡」
彼を抱き寄せた事により、私も彼の匂いを感じてしまう。発情しきった雄の匂い。私の脳を焦がす刺激的な匂いに私も深く深く魅了されていくのが分かりました。肉棒を擦る掌が粘ついた液体に満たされていくのと同じように、私の秘所から液体が止めどなく垂れていく。
「先生♡ 私は今、凄く幸せです……♡ だからそう……、これ以上、自分を責めないであげてください……♡」
「マリー……私は…………」
「だから先生、顔を上げて下さい♡」
そうして私は、力なく顔を上げた先生の唇に目掛けて、自身の唇を勢いよく押し付けるのでした。
「んむっ……! んんっ……!」
女として産まれたからには誰もが夢見るファーストキス、それを彼に捧げます。
性欲があるのは悪いことでは無い。相手の人を深く愛せる理由になるのだから。その思想はシスターとしては失格なのかもしれません。ですが、その思想によって彼を幸せに導けないのなら、私は堕ちる事を選びます。彼を許してあげる、その瞬間まで堕ちきって見せましょう。
「あむっ……♡ んぁ……♡」
「んんっ! っ~~!」
彼の口内へと舌をねじ込み、彼の歯型を堪能する。彼の口内を丹念に舐め上げ、彼の唾液を我が物とする。そんな行為を続けていく内に、彼の舌が引っかかり始める。
理性をとかされたのか、彼からも舌を伸ばし始めたのです。
「っ♡! んちゅ……♡ ちゅぱっ♡」
「んんっ♡ んはぁ……♡ ちぅ……♡」
いつしか二人の口内の狭間で、激しく舌を押し付け合うようになっていました。二人の舌が絡み合い、二人の唾液が混ざり合う。絶え間なく分泌される唾液を舐め合い、流し合い、奪い合う。そんな淫靡なひと時が私にとって幸せだったのです。
「っぷぁ……♡」
「はぁ……♡ はぁ…………♡」
二人揃って酸欠になったことで、悠久にも感じられた口付けが終了する。混ざりあった唾液が舌と舌で繋ぐ糸が生まれる。口を離しても尚、まだ離れたくないと願いあっているようでした。
「はぁ……♡ はぁ……♡ ふふっ♡」
「はぁ……♡ はぁ……♡ ……っ♡」
先生は完全に蕩けきった顔を見せている。優しくてしっかりとした先生のこんな表情は、誰にも見せられない。見せたくない。私だけの宝物。
長時間のキスにより気持ちが解れて来たのか、先生は息を整えながらも照れくさそうに笑っている。そんな彼に私は微笑み、怒張した陰茎に目線を合わせようにして、姿勢を低く降ろすのでした。
「すぅっ……♡ はぁっ……♡ これが……♡ 先生の…………♡」
彼の勃起した男性器がすぐそこに……。気が飛んでしまうかのような雄臭さに顔を顰めるも、嗅覚を稼働させずには居られない。音を立ててわざとらしく、下品にも鼻を効かせてしまう私がそこに居たのです。
「はぁ……♡ くっさぁ……♡ すぅぅぅ♡ ぉ゛♡」
「マリー……」
「先生……♡ よろしいでしょうか……♡」
「う、うん……」
問い掛けの意図を察してくれた先生が力なく答える。我慢の限界を迎えた私は我慢汁に溢れた先生の亀頭へ、ゆっくりと唇を重ねていく。ねばねばとした濃厚な体液を感じながら、最愛のキスを交わしていきました。
「ちぅ……♡」
「あっ……!」
彼のぺニスから不思議な味がするようでした。汗や尿を感じさせる刺激的な酸味はするものの、いつしかその刺激は消え去り、いつまでも舐めていたい物へと変貌して行くようでした。
「ちゅぅぅぅ……♡ れろぉ……♡ ぺろっ♡ ぺろっ♡」
「あっ…! あっ!」
亀頭の先から生い茂った陰毛の根元まで舌をねっとりと這わせていく。彼の脈打つ血管を舌で感じ、感触さえも嬉しくさせる。熱気のこもった陰毛に顔を埋め、毛の一本一本までも丹念に舐め上げていきました。
先生はただ私を見下ろし切なそうに喘ぎ声を漏らしている。そんな可愛らしい仕草が堪らないほどに、愛おしく感じてしまうのです。
「ぷはっ……♡ はむっ……♡」
「あっ…! ダメっ! はぅ……!」
抜けた陰毛が口に絡むも、抜き取る手間さえも煩わしい。私は彼の陰茎を口に含み、閉じ込めた口の中で揉みくちゃになるほどの勢いで舌を泳がせていきました。
亀頭の形から陰茎の太さ、全てを記憶出来るように余すことなく舐め上げる。先生はその刺激に耐えようと腰をへこませて、せめてもの抵抗を繰り出しているようでした。
「じゅぶっ♡ じゃぷっ♡ ずぶっ♡ ずるっ♡ ぐちゅっ♡」
「あっ……! あっ…………! あぁ……!」
逃げようと腰を振る先生とそれを追いかけるようにしゃぶりつく私。そんな二人のやり取りによって生み出されるストロークは、先生のぺニスを様々な角度から味わえる極上の愉しみとなり、私をますます昂らせるのです。
「ぢゅぅぅぅ……♡ ちぅぅぅぅ♡ しゅぼっ♡ じゅぽんっ♡ れろっ♡ ちゅぅ……♡」
「だ、だめっ! それ以上は……! マリーっ!」
先生は快楽に抗えず、びくびくと身体を痙攣させて許しを乞う。射精が近いのがよく分かる。だからこそ逃がさない。
私は下品にも音を立てるように吸い付き、頬を窄めて搾りこむ。両腕で彼の腰を抱き込み、逃がす事のないように自分勝手に舐め回すのでした。
「あっ! あっ! もう! イッ……!」
「んっ♡ んっ♡ んんっっ♡!!」
そしてとうとう、彼が限界を迎えるのでした。口の中だからこそ分かる射精の瞬間。跳ね上がるように脈うった陰茎から、突如として高温の粘液が溢れ出す。痙攣の度に勢いよく吹き出す精液は瞬く間に私の口内を満たし、出口を探すようにして私の体内へと逃げ込んでいきました。
「あぁ……っ! あぁぁぁぁ……」
「ごくっ♡ ごくっ♡」
快楽にうち震える先生の表情は至福に満ちているような、蕩けた表情を浮かべている。私は彼の遺伝子を味わい、欠けていた心の隙間を満たしていく。互いに享受する幸福のひと時。この瞬間が無限に続いて行けばいいのにな、と願わずには居られませんでした。
「っぷは♡」
「はぁ……、はぁ……」
「へんへい♡ ほえっ♡ んっ♡」
射精を終えた先生の性器から口を離す。申し訳なさそうな表情で私を見下ろす先生に向けて私はゆっくりと口を開く。快楽の証明、白濁とした液に満たした口内を見せつけ、それを咀嚼し、流し込む。
そんな様子を先生は息を飲んで見届ける。傍で元気を取り戻していく性器を感じられました。
「マリー」
先生は私の肩を抱き、立ち上がらせる。惚けた表情を覗かせながらも、自分を強く持とうとしているのはよく分かりました。
「私も……、決めたよ……」
先生が呟いたある決意の言葉。上手く聞き取れず、聞き返そうとはしましたが、その口を彼の唇に塞がれてしまいました。
「んむっ♡」
この口付けは彼にとっての決意の表明なのでしょう。大人である彼が何かを決断する時、何かの責任を背負う時に見せる、強く逞しい眼差しを向けていた事に、私も気付いていたのですから……。
「んちゅ♡ んぅ……♡」
「れろっ♡ んはぁ……♡」
彼は私の口内に舌を突き入れる。これが本当の大人のキス。私の脳が溶かされてしまうような多幸感。そのまま身を寄せてしまいたくなるような快感が全身を駆け巡ってくるのが分かります。
「んちゅ……♡ はむっ……♡ じゅるるっ♡」
「んんっ♡ あむっ♡ ちゅぱっ♡」
ですが、私も負けてはいられない。私だって大人の階段を登っている。彼は私を選んでくれた。だとすれば私はその責任に見合うだけの女性でなくては行けません。だからこそ私は舌を激しく入れ返す。沢山の事を教えてくれた先生の為にも、私はもう少しだけでも頑張っていたいのです。
「っぷぁ……♡」
「はぁ……♡ はぁ……♡」
そうして永く続いた二度目のキスから開放される。いつの間にか一糸まとわぬ姿となっていた私達は、互いの欲情振りを見つめ合い、照れくさく笑いあったのでした。
「マリー、挿れるよ」
「はい♡ どうぞ来て下さい♡ 先生♡」
私は席に腰掛け、彼を誘うように股を拡げる。彼は最後の理性を働かせ、私の用意していた避妊具を取り付け、私の秘所へと股間を突き立てる。
どれほど気を張っていても、体内の膜が失うのは恐怖が勝る。そんな私を気遣う先生が優しく頭を撫でくれる。そんな幸福感を胸に秘め、私は祈りながら彼のぺニスを受け入れるのでした。
「あ゛っ゛……! あ゛あ゛っ゛……!」
「マリーっ! 頑張って……!」
「くぅ……! せ、せんせい……!」
私の体内に彼の巨根が入っていく。性器が無理矢理に押し広げられる苦痛。体内をぶちぶちと食い破られていく恐怖。そんな恐怖と戦う私の頑張りを、私の成長を見守ってくれる先生に愛情を感じる。彼の逸物によって女へと作り替えられる幸福感に満たされていく。色んな感情がごちゃまぜになって、私の思考は急速に壊されていくようでした。
「くぅっ……、入ったよ……! マリー!」
「せ、せんせいっ! このまま! 愛してください!」
私は必死になって彼を願う。彼は苦しむ私の為に、ただただ優しく抱き締める。これでいい。これがいい。彼の愛情が私を痛みから救ってくれる。
「大丈夫……? マリー……?」
「はい……、もう少しだけ……、このままで……」
「……うん。よく頑張ったね」
彼を受け入れるだけの器が出来たのか、次第に痛みが引いてくる。痛みが抜けたお陰で恐怖も和らぎ、幸福感だけが満たされていく。閾値を超えた幸福感は快楽へと移り変わり、彼のぺニスが気持ちのいいものへと感じ始めてきました。
「ごめん…マリー……、私も……もう……」
「はい……、先生もよく我慢してくれました……。それでは一緒に、気持ちよくなりましょう♡♡」
先生は私を気遣いながら、優しくゆっくりと腰を浮かせていきました。もどかしさすら感じる優しい快楽は恐怖に凝り固まった私の心を溶かしてくれる。気持ちよさそうにストロークさせる先生の幸せな顔が私に意義を与えてくれました。
「先生……♡ 気持ちいいですか……♡」
「気持ちよすぎてっ……! もっと……!」
「はい♡ 私も気持ちいいです……♡ もっと♡ もっとくださいっ♡♡」
「はぁ……、はぁ……、マリーっ!」
遂に待ちきれなくなった先生が腰を激しく打ち付ける。二人の肉がぶつかり合い、パンッ♡ パンッ♡ パンッ♡といやらしい音が室内を満たす。先生の腰振りに連動して気持ちいいが襲ってくる。押し付けられる度に奥が痺れ、引かれる度に絡み合った肉が抉られる。
「ア゛ッ゛♡ せ、せんせいッ゛♡」
「マリーっ♡ マリーっ♡」
いつしか体位が切り替わり、席に着いた先生の上に跨るような体勢に変化していました。下から突き上げられるような快感を貪るように、私も一緒になって腰を振り返すのです。
「気持ちよさそうですね♡ 先生♡」
「ッ!ま、マリーこそっ……!」
先生の蕩けた表情がよく見える。同時に、私の表情も見られてしまう。私は今、どんな表情を浮かべているのでしょうか……?
恥ずかしくなり、遮りたくもなりましたが、それ以上に今は彼を確かめたい。だからここは譲れない。私にとって彼の膝上は特等席に他ならないのですから……♡
「はむっ♡」
「あむっ♡」
そうして何度目かの口付けを交わす。もうどちらの体液かも分からない。混ざりに混ざった唾液をこれでもかと混ぜ合わせる私達。両方の指を絡め合い、その感触を確かめ合う。
「れろッ♡ んぇ……♡ じゅぶっ♡」
「んんっ♡ ちぅ…♡ じゅぱっ♡」
汗と愛液と精液の匂いが充満した二人っきりの密室空間。愛し合う準備を整えた裸の二人が下品な肉音を響かせ、舌で押し合い、互いの指を絡ませ合う。
視覚から聴覚、嗅覚に触覚、舌で味わう味覚まで、五感を研ぎ澄ませた濃厚な交尾もいよいよ終盤。快楽に悶える先生のとろけた表情、私の体内を通して伝わってくるペニスの痙攣、痛さすら感じられる先生の強い握りにより、彼の限界が近いと伝わってくるようでした。
「マリー……♡ ごめん……♡ もうイッちゃう……♡」
「ふふっ♡ 先生なら……♡ 私の様子も分かりますよねっ♡」
「う、うんっ♡ 一緒にっ……♡」
「はいっ♡ 一緒に……♡ 堕ちきってしまいましょう…♡」
先生は射精に向けて更に腰を押し付ける。私は彼の突き上げに合わせて浮かせた腰を一気に下ろす。互いのピストン運動が交互に合わさり、幾度目かの交差の後、彼のぺニスが一気に膨れるのを感じました。
私も最後の一突きで限界を迎える。腰を振り下ろす直前、先生も私もシンクロするかのように、互いの唇へと飛び込みました。
「っ……♡ ~~~~っ♡」
「ッ゛♡ ッ゛♡ ~~~~~ッ♡」
次の瞬間、私の中で、避妊具越しに精液が伝わってきました。とぷとぷと溢れ出る吐精感、激しい脈動を繰り返す彼の性器、口の中で漏れる彼の声。
私の身体が、心が、何もかもが満たされていく。腟内を出来る限りの力で引き締め、彼の射精感を味わいながらも私も勢いよく果てるのでした。
「~~~~っ♡」
「っ♡」
そして訪れる暫しの静寂。息を忘れる程の快楽の余韻に浸る私達。手も口も性器も、全てを繋げたまま、彼の身体へと身を寄せていました。
「もう少しだけ……、こうしていたいんです……。先生……」
「私もだよ。マリー」
私の中で彼の性器が縮んでいくのが感じ取れる。それでも、もう少しだけ繋がっていたい。そんな私の口から漏れた我儘に先生は微笑み、後ろ髪を優しく撫でてくれました。
彼の胸板に身体を預け、鼓動を感じながら、私達は微睡みに落ちるのでした。
***********
「…………せんせい?」
「おはよう、マリー」
月明かりが満たす二人きりの廃教会。私を救ってくれた心優しい天使様が可愛らしく目覚めてくれた。彼女を覆っていた私のシャツは手元に返され、マリーは恥ずかしそうに脱いでいた自身の服を着直していた。
「はい。飲みかけだけど、いいかな?」
「で、ですが……それだと……!」
「え……、今更じゃない……?」
「あっ…、えっ……?は、はい……。戴きます……」
間接キスは恥ずかしいと、そんな事を言いたげな赤面をみせ狼狽えるマリー。凄く可愛いのだけど、唾液を飲ませ合った仲でするやり取りでもない。遅れて気付いたマリーも吹き出し、私が半分残した水を飲み始めた。
「マリー…………」
「ど、どうかしましたか……?」
「いや、なんでもない」
何故、正体を隠してまでこの関係を続けてくれたのか。私の悩みで幻滅したりしなかったのか。どうして突然、正体を明かそうと踏み切ったのか。言い始めたらキリがないが、聞きたい事は山ほどあった。
「あの……、先生……、本当に……、申し訳ありません……」
「謝らなくてもいいよ。本当にありがとう。マリー」
「けど私は……!」
だとしても、今はまだ聞く必要ないのかもしれない。もう少し落ち着いてから、少しづつ聞いて行ければいい。そんな気がしていた。
「今はまだ答えなくていいよ。またどこかで、教えてくれるならそれでいい」
「……はい」
「安心して、マリー。私は大人だからね。責任の取り方は知っている」
私はマリーの見せる肉欲に踊らされただけかもしれない。だけどもう後戻りは出来ない。する気もない。私は一人の女性としてマリーを選んだ。この選択は間違いではなかったと笑い合えるように、二人でこれからを生きていく。
老朽化した椅子に腰掛けるマリーの隣に座り、彼女の髪を優しく撫でる。恥ずかしそうに笑うマリーの仕草に笑みが溢れた。
「マリーのお陰で私の悩みは解消された。それは本当だよ。だけどその代わり、また1つ大きな悩みが出来ちゃった。聞いてくれるかな?」
「はい。私でよければ、お聞かせください」
「マリーを想うと、興奮する身体になっちゃった。他の生徒じゃ感じなくなった肉欲が……、マリーの前でだけ、抑えられないんだ。どうすればいいのかな、シスターさん?」
もう彼女なしには生きられない。私の全てがマリーに救われたくて堪らずにいる。だからこれからも一緒に、彼女の傍に居続けたい。私は永遠の愛を願って、彼女に優しく問い掛けた。
「ふふっ♡ 分かりました♡ また、いつでもいらしてください♡ 私は貴方を赦します♡ だからこれからも一緒に……、愛し合いましょう、先生♡」
私達が結ばれたこの日の最後に交わした口付けは、これから味わうどんなキスよりも優しくて幸せだった。