NTRRPG 学園黙示録ハイスクール・オブ・ザ・デッド編 作:良田両作
nh8話
宮本 貴理子と宮本麗の親子丼を頂いていた。
「孝の変態……」
孝(シュウ)は親子ダブルパイズリを堪能していた、住宅街で。
「麗ちゃんのJカップと、貴理子さんのHカップ……最高……♡」
麗は嫌々やっているが、母親の貴理子さんは半ば諦観、彼女の夫は数日前に『奴ら』に喰われたのだ。
「だって、私と麗は孝しかいないんだから……」
そう呟きながら、涙を流す。
「麗は学生でもあるし……」
これが家元枠というやつか、熟女や母親好きのジュウを馬鹿にできないな……今はインポだけど。
「学生の娘と母親とやるのは学生の特権だよな……」
「……なら、もっと私のことを好きになってよ」
麗が言う。
「もちろん……♡」
「もっと激しくしてよ……♡」
「もちろん……♡」
「もっとめちゃくちゃにしてよ……♡」
「ああ……♡」
2人はシュウを信じることにした。
中岡あさみはコータ(ジュウ)に抱きしめられていた、彼の腕力は圧倒的だった。
「コータさん……♡」
「あさみさん、君を守るからな……」
「孝さんはコータより、女にモテるんですか……♡」
「ああ、あいつは……」
ジュウは言い淀んだ、自分はゲームでも女を抱き、現実の世界でもアニメとかのキャラクターを召喚することはある。
その時は人権があるからめちゃくちゃはしないけど……
「私なんかでもいいんですか……♡」
「いいんだよ……」
ジュウは彼女の口唇を奪った、彼女はそれに応じ、二人の間に、唾液の橋が建築されて、崩壊した。
「ねえ、コータさん……♡」
「あさみさん、君を愛しています……」
「私も……♡」
二人は愛を確かめ合った。
「すいません……ちょっと勃たないです」
「別にいいですよ……♡こうやって抱きしめて暮れるなら……♡」
豪はその様子を遠くから見ていた。
苛ついた彼はこう言った。
「何やっているんだよ……!」
その隣の住宅、高い塀があり、『奴ら』は来ない。
居間で中岡あさみは井永豪と会話していた。
彼はコーラを飲んでいた。
「生き残った気分はどうですか?」
それは普段の悪態をつく、彼ではない、素の彼だろう。
「エヘヘ、最高ですよ……♡」
彼女は拳銃のリロードをする。
「それじゃあ聞きますが、もし……奴らに囲まれて、人間として死ぬ為に、コータに撃たれるとしたら?そういう運命だったら?」
「なんでそんなタラレバを聞くんですか?おかしいじゃないですか?」
天然な彼女に振り回される豪。
「そ、そうですね……タラレバの話です」
それは原作、いや史実の話だった。
「……そうですね、コータさんなら撃たれてもいいと思います……」
豪は沈黙した。
「運命で人は変わる、と言うことですか……貴方は、運命に従う派?それとも足掻く派?」
豪はかなり変な事を聞く、余りにも哲学的だ。
「足掻く派だと思いますけど、最後の瞬間は……従う派です 」
「僕もあがく方です」
コータ(ジュウ)がやってきた、豪に向かってポテトチップスを投げる、もう一つそれを持っている。
その目は笑ってない、変な事を言ったら駄目!という目だ。
「あさみさん一緒に食べましょう、はいあーん」
「あーん」
「やれやれ、バカップルには敵わないぜ……」
豪はゲップをし、そう言った。
「コータさん……大切な話があります……♡」
「うーん?ナニ?」
「小学校に着いたらパーティーを降りようと思います」
「え?マジ?」
「本当ですか?」
流石に豪もジュウも驚く。
「私、足手まといだって気づいたんです……」
「それ、誰が決めたんですか?」
「え?」
「少なくとも僕は、あさみさんを足手まといだと思ったことはありません」
ジュウ中岡あさみの手を握る、それは単なる0と1の集合体データには見えなかった。
(俺はバカだな……母親系統や人妻とかが好きなのに、真逆のキャラクターに恋をしてしまうなんて……二次元のキャラクターにめちゃくちゃな事をしていたのに……)
ジュウはそう思った、豪は冷たい目でそれを見ていた。
(そうか……!データでも神である作者たちに命を吹き込まれているんだ!学園黙示録は原作者が死んで未完の作品のまま残された作品だ!!だけど二次創作でこうやって生きている!)
「コータさん……」
「でも、あさみさんが自分で決めたことなら、ちゃんと聞きます」
2人とも沈黙する、本来死ぬべきキャラクターだったのだ、彼女の判断は正しい。
「宮本大先輩と一緒に相談して、次に行く小学校で警備や誘導をしようと思います……」
「ねぇ、見て……! ドローン……! チラシ!」
庭にやってきた希里ありすが、空を指差した。
見上げると、複数のドローンが上空を飛び回り、大量のチラシを散布していた。
まるで雪のように、無数の紙が街へと降り注いでいく。
「た、確かに……!」
「おい、大丈夫なのか? 拾っただけで『奴ら』になるとか、そういう罠じゃないだろうな?」
豪が警戒する。
「バカ、そんなことあるわけないだろ」
コータ(ジュウ)は呆れながら答え、庭に落ちてきたチラシを一枚拾い上げた。
「……日本語だけじゃない。英語、中国語、ヒンディー語、アラビア語……いろんな言語で書かれている……」
小説家を目指すジュウは、外国の文化や言語についても、それなりに知識を持っていた。
「つまり、多国籍の生存者に向けたメッセージか……」
豪が呟いた。
「ねぇ、なんて書いてあるの?」
ありすが興味津々に尋ねた。
「ちょっと待ってね。えーと……」
ジュウは日本語で書かれた部分を読み上げた。
『生存者の皆様へ。
私たちはムクア製薬です。
現在、世界各地で発生している感染現象、通称「奴ら」に対抗するため、ワクチンの研究開発を進めています』
「ムクア!?」
思わずジュウは声を上げた。
ムクア製薬。
それは、このゲームを作り出した会社の名前だった。
シュウのためだけに用意された、この狂ったゲームの運営に関わる企業。
(……まさか、ここでその名前が出てくるなんて……!)
ジュウは嫌な予感を覚えながら、続きを読む。
『研究の結果、感染が確認されていない動物の血液に、ワクチン開発の重要な手掛かりが存在する可能性が判明しました。
犬、猫、鳥など、感染していない動物を保護されている方は、ぜひ当研究施設までお連れください。
皆様の勇気あるご協力が、人類を救う希望となります』
「……人類を救う、か」
豪が腕を組んだ。
ジュウはチラシを裏返した。
そこにはムクア製薬の研究施設の所在地と、簡単な案内図が印刷されていた。
場所は港湾地区。
これから向かう予定の小学校からも、それほど遠くない。
「……ずいぶん都合のいい場所にあるんだな」
ジュウは小さく呟いた。
まるで、自分たちがそこへ向かうことを、最初から想定していたかのように。
そのとき、ありすが嬉しそうに声を上げた。
「じゃあ、ジークをそこに連れていけば、みんな助かるの……!?」
ジュウは答えられなかった。
希望なのか、それとも罠という絶望なのか。
その答えは、まだ誰にも分からなかった。
「……じゃあジークをそこにも持っていけば、みんな助かるの……!」
「い、いや……罠かもしれないし……」
とコータ。
「これは、チャンスだよ!」
豪は叫んだ。
「バカ!連中に気づかれたらどうするんだ!」
コータが指摘した、あさみが彼の口を手でふさいだ。
「これは大事な話だ!みんなで相談して決めよう!」
幸いな事に『奴ら』はドローンの音が囮になり、そちらに向かった。
「宮本、一体孝とナニを話していたんだ?」
毒島冴子先輩が聞く。
「おかあさんと一緒に話をしていたけよ」
麗はそう答えたが、その額にはうっすらと冷や汗が浮かんでいた。
三人は梯子で高い塀を登り、やってきた。
リビングで、冴子先輩、孝(シュウ)宮本親子、コータ、豪、鞠川静香、ありす、高城沙耶、ジーク、中岡あさみ、一同が揃った。
ソファに座り、机には水やお菓子などがある、まるで団欒だが、今後のパーティーの
「ムクアってかなり、有名な寝具と医療メーカーよ……」
静香が言う。
改変させられている……学園黙示録の世界にそんな会社はない、コータは痛感した、まるでお釈迦の手のひらの上だ。
「私も知っているわ……ムクアムクア、ああ無垢あ……って広告聞いたことある……」
沙耶が歌った、いい声だった。
豪はハーッとため息をついた。
「俺は反対だ、余りにも都合良すぎる、ありすちゃんとジークをそんな危険な場所に行かせらない」
「ねぇ?孝はどう思うの?」
麗は聞いた、即答だった。
「危険な場所?それは何処も同じじゃないか、小学校だっていつまで持つか……」
「大丈夫よ、私達が奮戦するから!」
宮本母、ニコニコしながらそういう。
「本官も同じくであります!」
宮本貴理子とあさみは敬礼した、可愛い。
「じゃあ俺はムクアに行くの賛成だな……」
孝(シュウ)はそう言った、嗚呼、漸くこのゲームが終わる、女性は魅力的だが。
小学校に籠もっていても、このゲームは終わらない。さっさとムクアに行って、終わらせるべきだ。
「えっ? 中岡さん、パーティーを抜けるの?」
高城沙耶が驚いたように尋ねた。
そもそも、沙耶がコータとの恋に破れたのは、あさみの存在があったからだ。
もし彼女がパーティーを離れるなら、コータとよりを戻せるかもしれない。
そんな淡い期待が、一瞬だけ胸をよぎった。
(……って、何を考えてるのよ、私!)
沙耶は心の中で自分を叱りつけた。
(慰めてくれた孝には悪いけど、これじゃ負けヒロインどころか、尻軽女じゃない!)
「はい! コータさんとも相談したんです! 大先輩もいらっしゃるなら、きっと大丈夫です!」
あさみは明るく答えた。
「大先輩?」
「宮本美智子先輩です! 数々の伝説をお聞きしています!」
宮本美智子。
かつてはレディースとして名を馳せ、その後、警察官となり、今では一人の母親でもある女性だ。
「もう、あさみちゃんったら! 昔の話よ、昔の!」
美智子は照れくさそうに笑った。
「その武勇伝はぜひ聞いてみたいところですが、今度にしましょう……」
コータ(ジュウ)が話を本筋に戻した。
「それで、ムクア製薬のことなんだけど……」
「ムクアは有名なところだし、私は大丈夫だと思うわ」
静香先生がチラシに目を落とした。
「あそこの研究施設って、ここよりもずっと高い塀に囲まれているのよ。まるで要塞みたいな場所なの」
その言葉に、一同は顔を見合わせた。
高い塀に守られた研究施設。
それは安全な避難場所なのか、それとも外からは中の様子が分からない、巨大な密室なのか。
まだ誰にも判断できなかった。
「とりあえずは小学校に向かうか……」
シュウは、ありすとジークに目を向けた。
この二人こそ、ゲームを終わらせるための鍵になる。
ムクア製薬の研究施設へ向かうには、どうしてもジークの協力が必要だった。
だが、ありすがジークと離れることを承知するとは思えない。
(なんとかして、ありすちゃんを説得しなければ……)
「そうだなぁ……体力も気力も限界だし、そろそろ寝るか……」
ジュウが疲れた声で呟いた。
「私はどちらでも構わん」
毒島冴子が静かに口を開いた。
「『奴ら』を斬れるのなら、何でも構わん」
その瞳には、疲労とは無縁の鋭い光が宿っていた。
まるで、次の戦いを待ち望んでいるかのように。