※この作品はR-18です。

NTRRPG 学園黙示録ハイスクール・オブ・ザ・デッド編   作:良田両作

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第九話 毒島冴子先輩とエッチ。

 

 

深夜、庭で鋭い日本刀を振る音が聞こえる。

 

毒島冴子先輩だ、既に汗はダラダラで、何十、何百と振っている。

 

「先輩、やめてください、体力を温存しとかないと」

 

孝(シュウ)は彼女に警告した。

 

「しかし夜眠れないのだ、しょうがないだろう」

 

「……もうすぐ戦いが終わるんですよ……」

 

「ムクアに行けば戦いが終わるという保証があるのか?」

 

(あるけど言えないよ!)シュウは心のなかでツッコんだ。

 

「終わろうが終わるまいが、俺とありすとジークははムクアに行きますよ……なんなら二人と一匹でもいい」

 

敢えてシュウは冷たく言った。

 

「それは無茶だ!」

 

「月が綺麗ですね……」

 

「夏目漱石の言葉か?それは俗説だぞ?」

 

「えっ?そうなんですか?」

 

シュウはとぼけた、あの『運営』!デタラメ言いやがって!

 

「ああ、そうだぞ」

 

普段の彼女に戻った気がした。

 

「では、改めて、毒島冴子先輩、貴方はきれいです」

 

2人は熱いキスをした。

 

「接吻をしたいのならばしたいと言えばいいのに……♡」

 

白くて美しい。

「月の光に照らされると、綺麗ですね……♡」

「静香も同じこと言っていたよ……」

「かたじけない、あの天然先生と同じとは……」

「冴子先輩は天然じゃない……」

「そうか……」

「ああ……」

「うぅ……♡」

挿入した、さすがに彼女も湿っていた。

「ああ……♡気持ちいい……♡」

「先輩も……」

「いいえ……♡」

彼女は素直じゃない。

「……気持ちいい……♡」

「全く……君は相当なタラシだな……どうせほかの女のにもそうやって甘い言葉をかけているのだろう……♡」

「こんな辛い世界です、甘い言葉でごまかさないとやっていけませんよ」

「ジゴロだな……♡君は……♡」

庭にある、大木を背もたれにし、シュウは座る。

「またがってくださいよ……♡」

「嗚呼、こうか?」

と彼女はまたがった。

彼女は自分の腰を自ら動かし始める。

「あっ……♡」

「すごい、汗だくになりましたね……♡」

シュウは彼女の汗を拭う。

「ああ……♡」

「先輩、かっこいいです……♡」

「馬鹿を……♡」

「いや、本当です……♡」

「この、私という存在は……♡」

「……」

シュウは答えられない、明日にはこのゲームが終わるかもしれない、それでも彼女を守れるか?答えはノーだ。

「私を斬れ、小室孝」

「は?」

「いつか私が『奴ら』に噛まれたら、ためらわずに斬るんだ」

「……」

「あんたが斬らなければ、私は斬り合いの果てに斃れる……そうなれば『奴ら』の一人が増えるだけだ」

「……」

「答えろ」

「……わかってますよ……」と、渋々答えた。

「では逆に質問です、この戦いが終われば何をするつもりですか?」

「『奴ら』の戦いが終わったらどうするつもりですか?」

「……」

彼女は沈黙した。

「……『奴ら』の残党を殺すか、治安維持の為に、自警団でもはいるかな……」

毒島冴子先輩のステータスを見る。

「戦闘狂」の文字は変わってない。

「はい、お守り」

それは鞠川静香先生に渡した同じカードだった。

これで彼女もNTRRPG(ナイトメア、タクティクス、リベンジ、ロールプレイングゲーム)に参加できる、

「なんだこれは?」

「婚約指輪のかわりかなあ〜♡」

「君は面白い男だな」

「給料3ヶ月分どころか300年分あげますよ♡!」

「おかしなことを言うものだな……♡」

改めてキスをした。

 

 

 

 

 

 

 

「……また庭でキスしている……」

 

宮本麗は二階の窓から、こっそり庭を覗いていた。

 

そこには、孝と毒島冴子先輩の姿があった。

 

(二股どころか、四股の疑惑があるんだけど……)

 

麗は思わず眉をひそめた。

 

(まさか……ありすちゃんにまで手を出したりしないでしょうね……?)

 

そこまで考えて、慌てて首を左右に振った。

 

(いやいやいや! 何を考えてるのよ、私! ありすちゃんは子供なのよ!)

 

頭の中では、孝が中岡あさみに逮捕され、パトカーで連行されていくという、妙に現実味のない光景まで浮かんでいた。

 

(……ないない。さすがにそれはないわ)

 

「何しているんだ?」

 

「豪……!」

 

振り返ると、廊下には井永豪が立っていた。

 

彼は首をポキポキと鳴らしながら、怪訝そうに麗を見ている。

 

「別に……いいじゃない……」

 

麗はそう答え、もう一度庭を見た。

 

しかし、孝と冴子の姿はすでになかった。

 

ちなみに冴子は、先ほどまで庭で素振りをして汗を流していたため、その後は風呂へ向かっていた。

 

水道も電気も満足に使えないポストアポカリプスの世界で、風呂に入れるなど本来は贅沢な話である。

 

もっとも、これもシュウの判断によって『運営』が用意した、特別な環境なのだが。

 

「ヤリチン野郎のことが気になるのかよ、このビッチ……」

 

豪の声は冷静だった。

 

しかし、その言葉はあまりにもひどい罵詈雑言だった。

 

「……なんで、そんなこと言うの……?」

 

麗は耳を疑った。

 

もう我慢できなかった。

 

自分の知っている豪は、こんな男ではなかった。

 

非常事態だからこそ、これまで違和感を覚えても、何とか折り合いをつけてきた。

 

だが、もう限界だった。

 

「元の豪に戻ってよ……!」

 

麗の声が震えた。

 

「『奴ら』に噛まれてないだけ、ありがたいと思え! この尻軽女!」

 

豪は吐き捨てるように言った。

 

「俺がインポだから、あいつになびいているんだろ!?」

 

「……え?」

 

麗は言葉を失った。

 

そんな理由で自分の気持ちを決めつけられるとは、思ってもみなかった。

 

「嘘……最低……!」

 

麗は一歩、後ずさった。

思えば、『奴ら』が現れたときから、豪の様子はおかしかった。

 

空手の技術を持っているはずなのに、手足に鉄板や鉄パイプを取り付けて武装するまでは、妙に弱気だった。

 

それからも、できる限り『奴ら』との戦闘を避けようとしていた。

 

もちろん、戦いを避けること自体は間違っていない。

 

だが、それだけではなかった。

 

以前なら言わなかったような暴言を吐き、些細なことで怒り、顔を合わせれば喧嘩になる。

 

非常事態だから、誰だって変わる。

 

麗も、そう自分に言い聞かせてきた。

 

けれど、今はもう、その説明だけでは納得できなかった。

 

「……ねえ、豪」

 

麗は震える声で尋ねた。

 

「本当に……豪なの?」

 

「本当に……豪なの?」

 

その一言が、豪の逆鱗に触れた。

 

これまで押し殺してきた怒りが、一気に噴き出した。

 

そして豪は、決して口にしてはならない言葉を叫んだ。

 

それは、このゲームにおける最大のタブーだった。

 

「うるさい! たかがゲームのキャラクターが!!!」

 

「…………え?」

 

麗は呆然とした。

 

ゲーム?

 

キャラクター?

 

何を言われたのか、理解できなかった。

 

ただ一つ、分かったことがある。

 

目の前の豪は、自分を一人の人間として見ていない。

 

「……豪、何を言ってるの……?」

 

豪は答えなかった。

 

自分が何を口走ったのか、ようやく理解したからだ。

 

WARNING……WARNING……WARNING……

 

警告:ゲーム内機密情報の漏洩を検知。

 

警告:プレイヤーによる禁止発言を確認。

 

警告:登場人物の自己認識に異常が発生する可能性があります。

 

WARNING……WARNING……WARNING……

 

一方、その頃……。………

 

一方その頃……

 

ErrorErrorErrorErrorErrorError……。

 

一方、その頃……。

 

「うーん……天国というより、地獄だな……。この前より狭い家をセーフポイントにするなよ……」

 

コータことジュウは、身動きが取れずにいた。

 

右には中岡あさみ。

 

左には高城沙耶。

 

頭の方には鞠川静香。

 

そして足元には、希里ありすとジーク。

 

犬を除けば、全員がぐっすり眠っている。

 

(……なんで俺だけ起きてるんだよ)

 

まったく、どういう状況なのだろうか。

 

下手に寝返りでも打とうものなら、誰かを起こしてしまう。

 

それどころか、ジークに噛みつかれるかもしれない。

 

(そうなったら、勝海舟みたいに犬嫌いになりそうだな……。いや、オバQか? キカイダー01のワルダーか?)

 

「ウウウ……」

 

足元から低いうなり声が聞こえた。

 

ジークが牙を見せ、こちらを睨んでいる。

 

「……何もしないよ、ジーク……」

 

ジュウは小声で弁解した。

 

(犬にまで疑われるとは……)

 

ため息をつきたかったが、それさえも誰かを起こしそうだった。

 

ジュウは仕方なく、天井を見つめ続けた。

 

WARNING……WARNING……WARNING……

 

「!? マジかよ! あいつ、やりやがった!」

 

一方、その頃。

 

「狭い風呂だが、まるで新婚夫婦だな……」

 

シュウと毒島冴子先輩は、二人で湯船につかっていた。

 

「妻というより、美しきサムライヴァルキリーですよ……」

 

「ふふっ……妙な褒め方をする男だな、君は」

 

その身体には、日々の鍛錬によって培われた強さが宿っていた。

 

無駄のない姿勢、しなやかな肩、剣を振るうために鍛え抜かれた腕。

 

美しさと強さが同居するその姿は、まさに戦乙女と呼ぶにふさわしかった。

 

「だが、妻という言葉も……悪くないな」「冴子先輩、またおっぱいが大きくなりましたね……♡」

シュウは彼女の胸を揉む。柔らかい。

「……ふふっ、よく気づいたね……」

「ああ……♡」

「あたしも君の子供を産みたいと思っている……♡」

「……」

「だが、それは無理だろうな……」

「……」

「たらしだからな……♡」

毒島冴子先輩は彼のおちんちんを触る、既に勃起している。

「手コキするんですか……♡いやらしい♡」

「黙っててよ……♡」

冴子の指先は熟達した職人のように、シュウの欲望を巧みに撫で上げる。月明かりだけが照らす浴室に、ぬるま湯の溅く音と彼女の掠れた吐息だけが響く。

「……この腕、ただの剣を握るためだけじゃない……♡」

「さ、先輩……♡」

「お前のその顔……見ていて飽きない……♡」

彼女の動きは速くなり、湯船の水面はゆらゆらと揺れる。シュウは天井を見つめ、歯を食いしばる。快感に抗うように、だが抗いきれないように。

「出すよ……♡」

「ああ……♡うけとめてやる……♡」

白濁した液体が湯に溶けていく。冴子は静かに手を洗い、シュウの肩にそっと頭を乗せる。

「もっとしたいです♡」

「嗚呼……♡」

「湯船でやります♡」

「この変態……♡」と笑う冴子。

「では、どうぞ♡」

「えっ?」「ええ♡」

彼女は四つんばいになった。美しい尻が向いている。

「じゃあ、失礼します♡」

ずぶり!湯が溢れる。

「ああ……♡湯船でセックスなんて……♡」

「気持ちいいですよ?」

「ああ……♡」

湯気の中、二つの体は激しく絡み合う。

「シュウ……♡」

「なんだ?」

「……愛してる♡」

「ああ……♡俺もだ♡」

「嘘だろ♡」

「嘘だろ♡」

二人は笑った、月が見ている。

冴子は静かに微笑んだ。

「シュウ様! 緊急事態です! NGワードが発動しました!」

 

『運営』からの通信が入った。

 

「ちくしょー! いいところなのに……!」

 

シュウは思わず舌打ちした。

 

「すいません、冴子……ちょっとトイレに行ってきます……」

 

「む? ああ、分かった」

 

シュウは水着姿のまま、風呂場を後にした。

 

その直後、再び『運営』の声が響いた。

 

「時空魔法の使用を許可します! 制限時間は十五分です!」

 

「マジかよ! あれは魔力だけじゃなく、体力まで消耗するんだぞ!」

 

「発動してください!」

 

「くそっ……!」

 

シュウは両手を広げた。

 

「時空魔法、発動!」

 

その瞬間、時計を模した巨大な魔法陣が、彼の周囲に展開された。

 

幾重にも重なる文字盤。

 

長針と短針が逆方向へ回転し、秒針が猛烈な勢いで時を刻み始める。

 

そして――。

 

ドサッ!

 

シュウは地面に倒れ込んだ。

 

そこは風呂場ではなかった。

 

先ほどまで毒島冴子先輩と過ごしていた、あの庭だった。

 

時間が巻き戻ったのだ。

 

「おい! 孝! どうした! しっかりしろ!」

 

冴子の声が、遠くから聞こえた。

 

「どうしました!?」

 

真っ先に駆けつけたのは、コータことジュウだった。

 

続いて、鞠川静香先生がシュウのそばに膝をつく。

 

「ちょっと待ってね……脈はあるわ。血圧も確認しないと……。でも、どうしてこんなことに?」

 

「分からん! 話をしていたら、いきなり倒れたんだ!」

 

普段は冷静な冴子も、さすがに動揺を隠せなかった。

 

騒ぎを聞きつけ、仲間たちが次々と庭へ集まってくる。

 

宮本麗、高城沙耶、中岡あさみ、希里ありす、そしてジーク。

 

だが、一人だけ姿が見えなかった。

 

井永豪である。

豪以外の全員が、庭に集まっていた。

 

「孝! しっかりしなさいよ!」

 

麗が心配そうに声を上げた。

 

だが、彼女は知らない。

 

つい先ほどまでの時間で、自分が豪から何を言われたのかを。

 

いや、正確には、その出来事そのものが消えてしまったのだ。

 

それでも、記憶を持つ者はいる。

 

シュウ、ジュウ、そして豪。

 

三人だけが、あの十五分間に何が起きたのかを知っていた。

 

(……あいつ、とうとう言いやがったな)

 

ジュウは唇を噛んだ。

 

一方、シュウは意識を失ったままだった。

 

時空魔法の反動は、想像以上に大きかったのである。

 

そして豪は、一人きりで廊下に立っていた。

 

麗に浴びせた暴言。

 

「たかがゲームのキャラクターが!」

 

その言葉が、頭から離れない。

 

(……くそっ)

 

時間は戻った。

 

麗は何も覚えていない。

 

だが、自分があの言葉を口にした事実だけは、豪の記憶に残っていた。

 

今さら、どんな顔をして彼女に会えばいいのだろうか。

 

「過労ね……。明日までゆっくり寝て、体力を回復させないと……」

 

鞠川静香先生の診断は、ある意味で正しかった。

 

時空魔法。

 

現実世界では使用が厳しく制限されている、禁断の魔法。

 

ゲームの世界だからといって、そう何度も使ってよいものではない。

 

「すまない……みんな……」

 

シュウは弱々しく謝った。

 

「お兄ちゃん、朝まで見ててあげる……」

 

ありすが心配そうにつぶやいた。

 

「アンアン!」

 

ジークも、それに同意するように吠えた。

 

「私もここにいるわ……」

 

宮本麗もそう言った。

 

彼女に、巻き戻る前の記憶はない。

 

それなのに、どこかショックを受けたような表情を浮かべている。

 

「……しっかりしなさいよ、リーダー……」

 

高城沙耶が、皮肉交じりに言った。

 

「私もここにいよう」

 

毒島冴子先輩は日本刀を傍らに置き、正座していた。

 

……いや、怖い。

 

護衛としては頼もしいが、まるで何かの儀式が始まりそうだった。

 

そんな仲間たちを見渡して、シュウは口を開いた。

 

「……男三人で話がしたい」

 

「それって……」

 

沙耶が何か言いかけた。

 

しかし、シュウはその言葉を遮った。

 

「真剣な話だ。茶化さないでくれ……」

 

その表情は、『奴ら』との戦いに臨むとき以上に真剣だった。

 

迂闊だった。

 

とくん。

 

沙耶は、またしても彼に惚れ直してしまった。

 

やがて、女性陣全員に説得され、豪が渋々やってきた。

 

シュウはポケットから、念のために用意していた盗聴防止のお守りを取り出した。

 

「……発動」

 

淡い光が三人を包む。

 

これで、女性陣に会話を聞かれる心配はない。

 

その直後だった。

 

ゴッ!

ジュウが豪を殴った。

 

「……あれだけNGワードを言うなって言ってただろうが!」

 

「……すまない、兄さん……」

 

「兄さん……?」

 

ジュウは一瞬、眉をひそめた。

 

「ああ、お前……ムクアのパーティーで写真を撮っていた……」

 

「ゴウダ・テンだよ、兄さん……」

 

豪はうつむいた。

 

「……本当に、すまなかった」

 

ジュウは拳を握り締めたまま、弟を見つめていた。

 

その一方で、シュウは『運営』から送られてきた会話ログを確認していた。

 

「アチャー……これはダメだな。まあ、初心者にありがちなことだ」

 

当事者でありながら、シュウは妙に呑気だった。

 

もっとも、彼自身も初心者だった頃、別のゲームで同じような禁句を口にした経験がある。

 

だからこそ、頭ごなしに責める気にはなれなかった。

 

「ジュウ、お前が怒っているのは、NGワードを言ったからか? それとも、麗を傷つけたからか?」

 

「……両方だよ」

 

「テン、お前はどうなんだ? 禁止されている言葉を口にしたことだけを後悔しているのか?」

 

「……別に……」

 

そう答えた豪だったが、その表情には明らかな後悔と反省の色が浮かんでいた。

 

「まあ待て。そんな烈火の炎みたいに怒るなよ」

 

「烈火の如く、な……」

 

ジュウが即座に訂正した。

 

「……お前たちは、いったい何をしに来たんだ?」

 

シュウが二人を交互に見つめた。

 

「それは……言えない……」

 

豪は視線を逸らした。

 

「じゃあ、俺に質問してくれよ〜」

 

シュウは、わざと軽い調子で言った。

 

「移民が行方不明になっていることは前にも言っただろ?

」

 

「ああ、『移民』な……ニュースや表を見たが、全然一致しなかったぞ?ほれ」

 

虚空から書類が出る、ジュウと豪はそれを確認する。

 

ペラペラペラペラ……

 

二人は絶句する。

 

「これは……!全然違う……!」

 

「うーん?」

 

「多分……Rの世界、R国の住人……!」

 

「シュウ様!それは重大な書類では?」

 

「あー?うるせぇよクソ運営……俺の計画なんだから……」

 

「……通りでおかしいと思った……明らか嘘をついてなかった……」

 

「どういうことだ?兄さん……」

 

「僕たちが探している移民と、彼の言っている『移民』は根本的に違う!」 

 

「ああ……別の国から来た移民……」

 

豪はつぶやいた。

 

「俺たちが探している移民は、アメリカとか中国とか、中東とかインドとか……」

 

ジュウは書類を見つめながら続けた。

 

「A世界……アルファ世界の住民だ!」

 

「……ああ、そういうことか」

 

シュウはようやく納得したように頷いた。

 

「俺が言っていたのは、R世界……R国から来た移民のことだぞ?」

 

「だから話が噛み合わなかったのか……!」

 

ジュウは額に手を当てた。

 

「同じ『移民』でも、まったく別の話だったんだ……」

 

「……最初から世界の名前を言ってくれよ……」

 

豪がぼやいた。

 

「いや、お前らも聞かなかったじゃん……」

 

シュウは悪びれもせずに答えた。

 

「「「ハァーッ……」」」

 

三人は揃ってため息をついた。

 

「……おじいちゃんたちがハッキングをやっているから、そっちにかけてみるか……」

 

ジュウがつぶやいた。

 

コータと豪の服についているボタンには、小型カメラが仕込まれていた。

 

二人はそれを使い、書類の内容を撮影して送信した。

 

「やめとけ、やめとけ」

 

シュウは面倒くさそうに手を振った。

 

「ムクアは『R国の移民』、つまり『来訪者』だけじゃなく、普通の移民にも寛容なんだ。行方不明事件の犯人ってことはなかろうて……」

 

「……それを判断するのは、調べてからだろ」

 

ジュウが言い返した。

 

「まあ、そうだけどさ……」

 

シュウは肩をすくめた。

 

こいつ……童貞だな……と豪を見て思った。

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