Guild Knight -World of Monster Hunter- 作:ルノワール・ヴァスカビル
Chapter・01…Prolog
とある地方のとある街。
先進国なのか様々な施設や商業が立ち並び、真夜中だと言うにも関わらず多種多様の人々が公道を行き交う。
「やっべ、気持ちわりぃ…飲みすぎた」
並べられた松明の光のなかで、一人の男が千鳥足で歩を進める。身なりからしてハンターらしく、明日が休日なのか夜遅くまで酒を飲んでいたようだ。
_ドゴッ、ドゴッ…
そのハンターの男が一本の裏路地を通り過ぎようとしたところ、先の見えない暗闇からなにか鈍い音が聞こえてきた。
「あー?なんだぁ?」
音を聞いたハンターの男は歩みを止め、裏路地へと視線を向ける。
いくら目をこらそうが何も見えない闇。その中でひたすら叩きつける鈍い音が刻むように響き渡る。
この時酔ってて正常な判断が出来なかったのか、或いは音の正体が気になった好奇心か、ハンターの男は吸い寄せられるように音のなる方へ踵を返し、ゆっくりと前へ進んだ。
真っ暗闇でよく見えないため、壁に手を当てながら路地を進む。前へ、前へ。ただひたすら前へ。
_ドゴッ…!ドゴッ…!
進むにつれ音も次第に大きくなる。合わせてハンターの男も気が張って、心拍が早くなる。
自身の鼓動が鼓膜に突き刺さりそうなほど大きくなった頃、突如腰に備えていた小型虫かごから導蟲が淡い緑の光を放ちながら飛んで行った。
_まさか、モンスターか?こんな街中で、ましてや路地裏の先に?
とても考えられない思考に冷や汗を流すハンターの男。対して音は未だに一定の感覚で鳴り響く。
導蟲が残した光の軌道を頼りに進んでいると、終着点に着いたのか、ブワァっと広がるような挙動を見せた。
「っ……!!」
その際、光も広がって周囲がある程度見えたタイミングでハンターの男は言葉を失った。
そこにいたのは二人の人影。一人は地面に横たわり、もう一人は壁に向かってひたすら頭を打ち付けている。
何度も、何度も、何度も。頭が割れて血が出ても構わず、何度も、何度も…。音の正体はこれだったらしい。
そして地面に横たわってる人間は手遅れなのか、血まみれのままピクリとも動かない。
「ひぃ…っ!!」
あまりの光景に情けない声を上げて尻もちをつく。既に酔いは覚めてしまったようで、赤かった顔が一気に青ざめた。
「あー……?」
物音を起こしてしまったが故、壁に何度も打ち付けていた人影はハンターの男の存在に気付き、ゆっくりと振り返る。
導蟲の放つ淡い光に照らされて見えたのは、人…のようなものの存在。焦点の合ってない目は酷く充血し、だらしなく開いた口から黒ずんだ唾液。そして割れた額からは黒混じりの血が流れている。
人、のようなものから危険信号を受け取ったのか、導蟲の色が緑から赤色へと変色し、まともに動けないでいるハンターの男のカゴの中へと自ら入っていく。
「お、おい!!誰か!!誰かぁー!!」
恐怖でしかないその存在に、ハンターの男は助けを乞いながら背を向け、死に物狂いでその場から脱出する。
「あー…ぁあー…」
腰が抜けて上手く走れない彼の後ろ姿を見たその何かは、前のめりに倒れるとそのまま床へ頭を何度も叩き付けた。
何度も、何度も。さらにそのまた何度も。果てしなく叩き続ける。その身の命が消えるまで。
Chapter 01