※この作品はR-18です。

平凡、ときどき不幸   作:本田一郎

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気づいたら、1ヶ月分くらい書き溜めちゃったので、
臨時で少し増やしてみます…制約ないって、すばら!


どうしても助けたいと言うなら

中学校から、篠ノ之神社の片隅にある家に戻った私は、

弟の一夏(いちか)の様子を確認した後で荷物を下ろした。

束をはじめとする篠ノ之家の厚意によって、

神社の敷地にある離れに住まわせてもらってから、

私も、随分と肩の荷が下りたような気がする。

 

…おっと、自己紹介を忘れていたな。

私の名前は織斑千冬(おりむら ちふゆ)。恐らく普通の中学生だ。

恐らく…とつけたのは、凡人には興味を持たないはずの

束のやつに異様に執着されているからだ。

自分のどこがそんなに優れているのかは知らないが、

彼女がここまで興味をもつ以上、

私には、何か秘めたる才能があるのかもしれない。

 

そんなことを考えていると、突然地面が揺れ始めた。

そこまで大した地震ではなさそうだが、

念の為机の下に避難して揺れが収まるのを待った。

幸いにも地震自体は直ぐに収まったのだが…

突然、近くで木材か何かが折れて崩れる音がした。

その後すぐに、束の妹の篠ノ之箒(しののの ほうき)が飛び込んできた。

彼女はかなり動転していて、言ってることも

相当に滅茶苦茶だったが、要約してみると、

どうやら、氏子の田原本さんの家が崩れたらしい。

すぐに消防に連絡した私は、急いで現場に向かった。

 

レスキュー隊の皆さんは全力を尽くしてくれたが、

大人2人はその場で死亡が確認され、

箒と一夏の友だちである少女は…死にかけていた。

右手はもうあちこちから骨が飛び出していたし、

心臓がある辺りも、潰れていて痛々しかった。

病院に運ぶかどうか一応聞かれはしたが…

素人目で見ても、彼女は普通に「手遅れ」だった。

ただ、箒だけは彼女を救うことを諦めてなかった。

『お姉ちゃんなら何とかしてくれる』

余りにも強く言い切ったものだから、

私は仕方なく、彼女を抱えて神社へと向かった。

 

社務所に着いて、束の部屋のドアを開けると…

余りにも凄まじい、淫らな臭いがした。

当の束本人は…ベッドの上で下半身丸出しだった。

名前を呼んでも応答がなかったので、

私は、束の頭に全力で手刀を叩き込んだ。

『いったーい…あれ?ちーちゃん?

 なんでそんな緊急事態みたいな顔してるの?

 …ってか箒もいるじゃない!いくら女同士とはいえ、

 乙女の部屋に勝手に入らないでほしいんだけど…』

「ノックもしたし声もかけた。

 それでも反応しなかったお前が悪い。

 …正直こうやって話している時間も惜しい。

 箒がどうしてもこの少女を助けてほしいらしい。

 私から見ても手遅れにしか見えないのだが…

 ダメ元でお願いしたい。何とかならないか?」

 

束は、少しだけ考えて、そして話し始めた。

『正直、普通の人間としては生きられないね。

 どうしても…というなら試してはみるけど、

 それでも、確実に助かる保証はない。

 それに、もし彼女が一命をとりとめたとしても、

 両親が死んだ彼女の人生が幸せかはわからない。

 それでも彼女を助けたい…というのなら、

 今進めてる研究のサ(・)ン(・)プ(・)ル(・)にならしてあげる。』

私と箒は少しだけ考えて…束に頭を下げた。

そして、少女は束に地下の研究施設へ連れてかれた…

 

 

数時間後、無事に手術は終わったらしく、

彼女は一命をとりとめたようだ。

ただ…束が彼女に対して行った措置は…

正直、一発殴ってやりたくなるレベルの所業だった。

 

アイツが次世代型の宇宙服のようなものの

開発を進めているのは何となく聞いていたが、

そいつに使う予定のコアのプロトタイプを、

あろうことか彼(・)女(・)の(・)心(・)臓(・)に(・)搭(・)載(・)し(・)た(・)らしい。

どっちみち、彼女の心臓は損傷が激しく、

いつ脈動が止まってもおかしくなかった…らしいが、

動物実験もなしに、いきなりその辺の少女の身体に

そんな危険物を埋め込む…とか正気を疑いたくなる。

 

エネルギー源については…彼女の血液の中から

少しずつ持ってくるレベルで済むらしいが、

その殆どは、人工皮膚を被せられた右手の義手…

コイツを動かしたり成(・)長(・)し(・)た(・)り(・)するのに使われ、

義手以外については、バリアーすら発動しない。

…最も、あくまでもこれは「現状での」性能らしく、

将来的にはアップデートも計画しているらしい。

 

こんな衝撃的な事実を、自分では説明出来ないから、

何とか上手いこと彼女に言ってくれ…と言われたが、

私だって、こんなこと話せる自信はない。

彼女は確かに生きているが…両親は死んでしまった。

それに、彼女は最早人間をやめてしまっている。

…自分や箒の判断は本当に正しかったのか?

とりあえず、まずは彼女に話してみよう。

ひょっとしたら、何かしらの赦しを

得られるかもしれないし…

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