※この作品はR-18です。

平凡、ときどき不幸   作:本田一郎

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こどなすら飛び越しちゃった

修学旅行の一日目。眠りについた私(ウチ)の前には、

いつものように、束の姿があった…のだが何かが違う。

全裸ではなく、彼女はちゃんと服を着ていた。

そして、ウチも…いつもの前世の男の姿ではなく、

明らかに死んだ目をした…現実の少女の姿だった。

 

『今日は歩…ちゃんなのね。少し大きくなったのかな?

 私も服を着ているし…どうしてこうなってるんだろ』

「ウチ…もよくわからないですけど、8年振りに

 こんなか(・)し(・)こ(・)ま(・)っ(・)た(・)形で貴女とこうして

 会うことになるなんて…何となく嫌な予感がします。

 束さんの周辺…ではなくてウチ関係…ですよね?

 一体何が起こったんですか?教えてください。」

『昨日の夜だけど…歩ちゃん、大(・)人(・)に(・)な(・)っ(・)た(・)よね?

 無理矢理されたわけではないのはわかってたけど、

 何となく相手に興味があったから、

 光学迷彩をまとって、ついさっき、家まで行ったの。

 そしたら…家が思いっきり燃えてた!

 しかも、ただの火の不始末とは思えない勢いで…

 誰かが逃げ出した感じもなかったから…

 恐らくだけど…あなたの両親、亡くなってるかも…』

 

 

その言葉を聞いた瞬間、ウチは意識を失った。

再び目を覚ましたときには、既に2週間が経っていた…

すぐに警察の人が来て、事件の詳細を聞かされた。

焼け跡からは、男女二人の遺体が見つかったらしい。

女のほうは、心臓の辺りに深い刺し傷があり、

それが致命傷になって亡くなった…みたいだ。

そして、男…この前ウチを抱(・)い(・)て(・)く(・)れ(・)た(・)父ちゃんは、

体内から、アルコールと睡眠薬の成分が検出された。

…最終的には、無理心中という形で落ち着いたらしい。

 

その日の夜、病院を抜け出したウチは、

両親…のお骨が納められたお墓へと向かった。

墓を開けて、父親の骨壺に触れた瞬間…

それは、まるで手品のように消えてしまった。

余りにもわけがわからなくて、私はまた意識を失った。

 

気がついたら、私は…いつもの淫夢の中にいた。

目の前には、見慣れた姿の束がいて、私は男だった。

「…束、済まない。後でちゃんと気持ちよくするから、

 お前に聞きたいことがある…時間は大丈夫か?」

『うん…別に貴方が終わらせようと思わない限り、

 この空間は維持されるし、終わった後は、

 お互いに翌朝になるから大丈夫だけど…

 一体何があったの?』

「さっき、右手で父親の骨壺を触ったら、

 忽然と壺が消えてしまったんだ…

 一体何が起きたんだ?そして、壺はどこに在る?」

『流石にこの空間では調べようがないね…

 ちょっと起(・)き(・)て(・)調べてくるから待ってて。』

そう言って、彼女は目の前から消えた。

そして、1分もしないうちに、全裸でまた戻ってきた。

ただ、少し興奮してしまったのだろう。

内股からは、少しばかり蜜が垂れていた…

『歩さん!聞いて聞いて!骨壺なんだけど…

 どうやら、義手の中に収納されたみたいなの!

 ISにある【拡張領域】に近い仕組みみたいだけど…

 私、そんなアップデート、した覚えないのよね。

 ひょっとしてだけど、あなたの義手のコア…

 あの人の子種を受け止めたのがきっかけで…

 なんか、進(・)化(・)し始めてるのかもしれない。』

「そうなんだ…父ちゃんの遺骨も遺伝子も、

 私の胎内…ではないけど、ちゃんと在るんだ…

 あの女をしっかりと懲らしめてくれたのはいいけど、

 出来れば父ちゃんには生きてて欲しかったな…」

『多分だけど、あなたの純潔を奪ったことに対して、

 償う手段が、それしか思いつかなかったんだと思う。

 あなたは、彼に抱かれたことを後悔してないけど、

 あの人は…もうその罪を抱えて生きたくなかった。

 …悲しい結末だけど、今となっては…ね…』

「…それじゃあ何!?せめて一言相談くらいしてよ!

 父ちゃんは、確かに情けない男だったかもしれない。

 でも、ウチはあの人を全力で支えるつもりだった!

 それだけの覚悟があったから、

 ウチは、父ちゃんに大切なものを捧げた!

 でも、それがきっかけで自殺したなんて言われたら、

 どんな顔をして、ウチは生きていけばいいの!?

 父ちゃんは、婦女暴行の罪を犯したかもしれんけど、

 ウチなんて、それこそ尊(・)属(・)殺(・)人(・)をした極悪人や!

 もちろん、今の日本にはそんな罪ないのは知っとる。

 国は、私に対して、死刑なんてことしてくれない。

 だから、ウチはこの先も生きなきゃいけないんや…

 …あー、ちょっと考えたら嫌なこと思い出してもた。

 束さん、一つ…お願いをしてもええか?」

『ものすごく嫌な予感しかしないけど…

 うん…とりあえず聞かせてもらってもいい?』

「ウチの戸籍を消してほしい。

 このままやと、また私は誰かの子になってまう。

 ウチにとって、父ちゃんは初(・)め(・)て(・)を捧げた

 今となってはお星さまになったこの人だけでええ。

 最初は死んだことにしてもらおうかと思ったけど、

 あんな女の娘として死ぬなんて、ウチはイヤや。」

『戸籍を消すこと自体は…不可能ではないけど…

 その後、あなたはどうやって生きていくつもり?

 日本って国は、戸籍なしで生きていけるほど

 甘い国ではないと思うんだけど…』

 

そう言われた頃には、ウチは少女の姿になっていた。

いつもと違って、人工皮膚がない剥き出しの義手から、

気がついたら、巻(・)き(・)取(・)り(・)式(・)の(・)電(・)源(・)コ(・)ー(・)ド(・)が生えてた。

「…束さん、この義手を維持するエネルギーって、

 ウチの体内の栄養素から持ってきとる、って

 確か言ってたよな…ウチの推測が正しければ、

 コ(・)レ(・)が生えてきたってことは、今までの逆、

 義手内のエネルギーを栄養素に変換する。

 恐らくやけど…それが出来るようになったんちゃう?

 後は…水くらいやったらその辺の公園で補充出来る。

 それで、今までどおり束さんと時々会ってれば、

 多分やけど…心も身体も問題ないやろ。」

そう言ったウチは…束に平(・)手(・)打(・)ち(・)を喰らってしまった。

人類最強クラスの一撃を喰らってしまったウチは、

それこそ、車にでも撥ねられたかと思うくらい飛んだ。

『…あなたが死ぬことを考えてないのはわかった。

 でも、その生き方は…流石に人間辞めすぎよ!

 そこまでして、あなたはあの人に殉したいの!?

 小学生の未亡人なんて…想像すらしたくない!』

「…ものすごくアホなこと言っとるのはわかっとる。

 家族…に憧れは勿論あるし、将来は結婚もしたい。

 でも…ウチはもう、誰の子にもなりとうない。

 その方法が、ウチにはこれしか思いつかん。

 出来ることなら何でもする。だからお願いしたい」

 

そう言われた束は…少し考えて言葉を発し始めた。

『知識…的には基準を満たさないかもしれないけど、

 義手を日常的に使ってることを考えると…

 IS適性は…かなりの値が出てくると思う。

 最悪、ちーちゃんを脅(・)せ(・)ば(・)…何とかなるはず…

 うん、決めた。4年後、貴女はIS学園に入学する。

 そこで3年間過ごす間に、将来の伴侶を見つけて、

 卒業と同時に結婚して、ちゃんとした人間に戻る。

 もし、本当にあなたの努力が足りなくて、

 学園に入学することが叶わなかったり、

 結婚相手が見つからなかった時は…

 それこそ…私の夢の中で一生暮らしてもらうとか、

 死んだほうがマシな目に遭わせてあげる。

 それでもいいなら…手伝ってあげてもいいよ。』

…どうやって返事をしようか悩んでいたら、

気づいたら、ウチは、見慣れた男の姿に戻っていた。

そして、気づいたら、私は束の足にキスをしていた。

『契約成立…ってことでいいのかな?

 なら、まずは最初の約束、果たしてもらえない?

 いつものように、私を沢山気持ちよくしてね!』

 

…こうして、私は苗字を捨てて、ただの歩(あゆむ)になった。

これからの4年間、どんな生活が待っているかは…

今は想像したくもない…多分ろくでもないだろう。

それでも、誰かの娘になるよりは、

自分らしさを貫いた生活が送れる気がする。

そう思いながら、私は…束を愛で始めた。




…最初は苗字がまた変わるルートも検討してました。
その場合は…確か家庭内暴力の末、餓死寸前まで
歩ちゃんは追い詰められる予定だったので、
流石にそれよりは…マシなルートになるはずです。
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