※この作品はR-18です。

【ミリタリー】×【ダークファンタジー】は、お好きですか⁉ 呪力を交えて、一緒に戦争しませんか⁉   作:BIBI

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第1話 ミリオタ作家がシナリオ担当したらしい……。

 

 

 【怪奇世界へようこそ!~怖い世界で優雅に無双しちゃうかも⁉~】

 

 

 略して――〈怪ユウ〉。

 

 

 キャッチコピーは、〈【ミリタリー】×【ダークファンタジー】は、お好きですか⁉ 呪力を交えて、一緒に戦争しませんか⁉〉……らしい。

 

 

 

 このゲームは、著名なミリオタ作家が考えた、ダークファンタジーのグロゲーとして、一部の界隈だけで名を馳せていた。

 

 

 

 

 エロ要素のなし。中二バトルを重視した、グロゲー。

 

 

 ただ主人公の前で惨たらしく美少女が死に絶える結末が、何章も続くだけのゲームである。

 

 

 どれだけ主人公がヒロインを助けようと努力したって、〈バッドエンド〉だろうと〈トゥルーエンド〉だろうと、死亡フラグは決して折れない。

 

 

 主人公も四肢が欠損したり、片目吹き飛ばされたり、碌な目に遭わない。骨折り損のくたびれ儲け、という奴だ。

 

 

 オマケに攻略サイト無しには、攻略不可能と言わしめる高難易度。

 

 

 〈呪い〉や、〈モノノケ〉という化け物など、ファンタジー要素も充実しており、主人公は呪術師として、ポテンシャルだけなら史上最強。

 

 

 

 しかし、このゲームは能力を引き継いで周回する前提としか思えない程に、主人公の成長速度が遅いのだ。

 

 

 

 一周目は攻略サイトを駆使した上でも、難易度が高すぎて、簡単には〈トゥルーエンド〉に辿り着けない仕様だ。

 

 

 

 因みに、ハッピーエンドは用意されていない。トゥルーエンド含めて、全てのルートでヒロインは死ぬのである。

 

 

 

 何せヒロインに出会い、関係を深める選択を取った時点でバッドエンドの直行便だ。

 

 

 だからこそ、ヒロインさえ見捨てたら、ゲーム主人公は平和に過ごせるのだと、ユーザー達の間でよく話されていた。

 

 

 

 しかし残念ながら――。

 

 

 〈ヒロインを見捨てる〉選択肢なんて、このゲームには存在していないのだ。

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「何だ、これは……。こいつは――誰だ」

 

 

 どこか見覚えのある部屋。

 

 

 姿見に映るのは、小柄な黒髪の美少年――ゲーム主人公の三乃城(みのしろ)トモヤだった。

 

 

 そして思い出す、前世で死ぬ最期の瞬間を――……。

 

 

「責任取る気がないなら、中に出すな……!」

 

 

 涙ながらに包丁を振り下ろす、女の姿。

 

 

 そうか……。私はあのクソ女に殺されて……、死んだのか……――。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 私は自分で言うのも恥ずかしいが、エリートだった。

 

 

 昔から勉強もできて、当然の如く余裕で全国模試一位。

 

 

 

 親から『恥ずかしいから止めなさい』とも反発を受けつつも、試験会場で余裕の態度を演出しゲームの専門雑誌を広げ、周囲を威嚇した。

 

 

 

 その上で、きちんとトップの成績を叩き出し、東大に入学したのだ。敵の戦意喪失を狙いつつ、自分は冷静に実力通りの結果を叩き出す。

 

 

 東大主席に相応しい、合理的な謀略だと言える。論理的に考えて、これを実行しない理由がなかった。

 

 

 きちんと結果を出した御かげか、これには母親も顔を真っ赤にして黙るしかなかった。

 

 

 厳格な父親でさえ、こめかみを押さえ、『主席合格できる実力が有るのなら、周囲を威嚇する必要ないと思うんだが……、まぁ……、お前の強靭な精神だけは認めよう』と、悔しそうに私の実力を認めていた。

 

 

 

 その後、何故か両親とは疎遠となったが、本当に何故だろう。まぁ、たかが親が居なくても、何ら支障ないので、私は深く考えることをやめた。

 

 

 

 勿論、その後の人生も順調だった。

 

 

 女遊びもそれなりで、子供を産ませても責任を取らず、家で趣味のゲームにのめり込む様な、ごく普通のエリート会社員となって、まさに幸せの絶頂。

 

 

 

 だったのに――……。

 

 

「それが、何でこんなことに……。はぁ」

 

 

 肩を落として、僕は大きく溜息を吐く。早二週間。既に僕は嫌という程に理解してしまったからだ、この世界が自分のよく知るゲーム――〈怪ユウ〉の世界だと。

 

 

 

 だが――そこまで焦りはない。

 

 

 何せ、この世界では自分で選択肢を選べるのだ。

 

 

 つまりヒロインに会わなければ良い。仮に会っても見捨てる選択肢を取りさえすれば、それだけで――ハッピーエンドなのだ。

 

 

 

 罪悪感はない。どうせ関わっても、ヒロインは死ぬ運命。だったら、僕が関わって無駄に血を流すなんて、ただバカバカしいだけ。

 

 

 

 それなら、ゲームのシナリオを無視して、自分だけでも争いとは無縁の幸せを掴み取るのが合理的というものだ。

 

 

 

「ふわぁ……」

 

 

 全く、チョロいな。あまりにもヌルゲー過ぎて欠伸が……。

 

 

 

 こういう日のんびりとした日も偶には良いものだな。最近は仕事が忙しくて、碌に余暇を楽しむことができなかった。

 

 

 

「ふ……。我ながら完璧だな」

 

 

 〈怪ユウ〉では、金が非常に重要。中盤で大金がなければ、トゥルーエンドに至れないという、何とも世知辛い仕様だった。

 

 

 

 そして投資システムを駆使して、主人公は金稼ぎをする訳だが――。

 

 

 僕は東大卒だからな。記憶力には自信があるんだ。攻略サイトの知識は全て、この頭脳に叩き込んでいる。

 

 

 

 様々な資料を基に、ファンダメンタルズ分析を行い、テクニカル分析で買うタイミングを見計らう。勿論これは、ゲーム知識で有望な投資先を厳選した上での話……。

 

 

 

 我ながら、完璧過ぎるな……。

 

 

 ……とはいえだ。

 

 

 この世界って、今年で西暦2000年だからなぁ。ネットで投資が出来るようになったのは、4年前のことで……。

 

 

 それなりに、時間を要してしまったな……。

 

 

 全く……、ふざけているくらい不便な時代だ。

 

 

 あまりにも企業のデータ収集が困難過ぎる。

 

 

 商用データサービスで、資料を購入したはいいが……、今の通信環境ではたかが企業の資料でさえ、重すぎてダウンロードできない……。

 

 

 

 ヒストリカルデータの入ったCDを郵送して貰い、そのデータを専用チャートソフトで読み込み、一つ一つ資料を手作業で作る羽目になるなんて……。

 

 

 

 しかも必要な資料をファイルに纏め、丁寧に整理する作業。まさかこの程度の作業に二週間も要するとは……、この時代は人生の無駄遣いが多すぎだな……。

 

 

 

 この時代だと、新聞も貴重な情報源だと判断して、資料を纏めようとしたのは良いが、まさか新聞さえも、CDで郵送して貰うしかないなんて……。

 

 

 

 一応、メディア会社のオンライン有料データベースから、ブラウザの画像をスクショしたり、文字データをメモ帳に纏めようとしたけど……、アレは無謀だったな。

 

 

 

 まさか、2000年の回線速度がここまでクソだとは……。ただ新聞を一ページ表示する事でさえ、五秒以上、時には何十秒以上も掛かるなんて……、有り得ないだろ。

 

 

 

 少し値が張ったとしても、新聞のテキストデータが入ったCDを買う方が、ずっと現実的だ。

 

 

 

 確か、ゲーム通りだとしたら、大気中の呪力の影響で科学技術は進歩しにくいんだよな……。今の回線速度がこれから数十年続くとしたら……。

 

 

 

 全く……、頭が痛くなるな……。モノノケって化け物が蔓延っている物騒な世界な上に、科学の進歩にも期待できないって……。

 

 

 

 終わってるよ、この世界。

 

 

 都内済みなのに、CDが届くのに5日掛かったし……、通信速度だけではなく、配達速度すら遅いなんて、本当に終わってる。

 

 

 

 唯一の救いは、こういう地道な作業や経済専門誌を読むのが、わりと楽しいということくらいか……。

 

 

 

 だが、まぁ……、そういう意味では、不便は不便だが、苦労というほどでもない。

 

 

 これはこれで楽しい時代とも言える。色々と新鮮だったしな……。

 

 

 

「…………。間違いなく、楽しいんだが……、流石に少し疲れたな……」

 

 

 後は放置で良いくらいだ。とりあえず、少し休むか……。

 

 

 既に仕事は粗方済んだ。後は金が増えるのを待つだけ。

 

 

 親から貰った金は、一千万もあるんだ……。後数年経つだけでも、それなりに……。

 

 

「くくく……。将来は安泰間違いなし、だな」

 

 

 窓を開いた部屋。僕は机の席に座っており、目の前のモニターを見つつ、ソフトの不具合対策で保存しているチャートの画像を眺めていた。

 

 

 まだ序盤の時点なので、かなり身長が低い。僕は床に届かない足をプラプラと動かし、遊ばせている。

 

 

「ふむ……。最高だな……」

 

 

 夏の生暖かい風を浴びながら、カップを口に付ける。

 

 

 事前に冷蔵庫で冷やしていたアッサムティーは、夏だと体に染み渡る。ミルクの両も丁度いい。この為に生きているんだと思わせてくれる程、紅茶が美味しく感じられた。

 

 

 

 悠々自適とは、まさにこのことだな……。

 

 

 美女なんて、金があれば手に入るんだ。

 

 

 別にゲームのヒロインに拘る必要はない。金はあるんだ、幾らでも良い女を抱ける。

 

 

 それで十分じゃないか。

 

 

「――えっとぉ。何してるの?」

 

 

 隣を見ると美少女が立っており、不思議そうに首を傾げていた。今はまだ僕より身長が高いみたいだが、それでも130センチにも届いてないくらい。

 

 

 

 白髪で清楚な印象の、お嬢様っぽい子だった。

 

 

 とんでもない美少女だった。

 

 

 とんでもなく見覚えのある黒いワンピースと、赤と緑のオッドアイだった。

 

 

 というか――。

 

 

 どう見てもゲームヒロインの〈シュナン〉だった。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「――どうして、ここに?」

 

 

 おいおいおい。どうなっている⁉

 

 

 母さんは来てないし、鍵もキッチリしめていたはずだ……! まさか〈モトカ〉が家に入れたのか……?

 

 

 シュナンが家に来ても、『兄は風邪で今は死んでます』って! 伝えてくれって! ちゃんと頼んだのに!

 

 

 

 アイツ、まさか実の兄を裏切ったのか⁉

 

 

 確かに兄が嫌いという設定はあったが……! それはルートの終盤で! 序盤だと少し苦手程度だったはずだろ……!?

 

 

 

「……えっとぉ。何と言うか……、最近ずっと会えてないなぁって……。玄関でチャイムを鳴らそうと思った時にね? 窓が開いてるのがチラリと見えちゃって……。それで……。入ってきちゃった……☆」

 

 

 隣の窓を指差して、シュナンは申し訳なさそうに苦笑していた。靴は指に引っかけて、土足じゃないとさりげにアピールしている。

 

 

「……ま、ど?」

 

 

 窓? 何だ窓って……? え。まさか、この部屋の窓から入って来たの? ここ、二階……、だよな? え?

 

 

 

 いやいやいや。当然、呪力がある世界だし? 中二バトル要素ある世界な訳だから……? 身体能力的にも、不可能ではない、けど……?

 

 

 

 でも、普通人の家に無断で侵入するか? しかも窓から……。

 

 

 コイツ……。良識がないのか?

 

 

 人としてどうかしてるだろ……。

 

 

「えっへへ……」

 

 

 照れた様に頬を掻いて苦笑する幼馴染の銀髪美少女――シュナン。普段は清楚な見た目と口調だが、意外にもお転婆という設定。

 

 

 

 まさか……。ここまで常識と良識を欠いた、お転婆娘だとは……。

 

 

 

 

 




【あとがき】
「期待してる!」
「続きが気になる!」

 そう思ってくれた人は、
〈評価〉してくれると嬉しいです!

 モチベ上がります!!
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