※この作品はR-18です。

勇者の淫魔化トラップ譚   作:匿名希望

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捕食者へ

暗く湿った古代遺跡の最奥に、甘く重苦しい吐息と肉体が擦れ合う艶めかしい音が満ちていた。

 

全身を覆う漆黒の触手たちが、妖しい紫色の光を放つお腹の淫紋を、翼の付け根を、そして繊細に震えるハート型の尾の先を執拗に舐めずり、捏ね回す。かつて気高き男の勇者だったアルスの心身は、絶え間なく注ぎ込まれる甘い毒と猛烈な熱波によって完全に破砕され、頭から足先まで一糸乱れぬ純度100%の「淫魔」へと作り替えられていた。

 

黄金から妖艶な薄紫色へと変わった長い髪が石畳に散らばり、琥珀色の縦裂き瞳孔が狂おしい快楽に潤んでいる。

 

「あはっ……♪ んぁっ、もっと……っ! 触手さん、そこ……もっと強く、奥まで……っ♪ わたし、もう我慢……できないの……っ♪」

 

自ら腰を浮かせ、甘い蜜を滴らせながらさらなる蹂躙をねだるアルス。

背中の黒い翼が歓喜に震え、ハート型の尾が空を求めて切なく蠢く。

お腹に刻まれた淫紋は明滅を繰り返し、彼女の体内に渦巻く熱を極限まで高めていた。

 

まさに絶頂の瞬間が訪れようとした、その時だった。

 

「――あ?」

 

ふっと、全身を拘束していた無数の触手から力が抜けた。

 

ビシャリと湿った音を立てて、触手たちが一斉にアルスの肢体から離れていく。

首を締め上げていたものも、胸元を押し潰していたものも、太ももを固く縛り上げていたものも、まるで急激に興味を失ったかのように、床や壁の亀裂へとズルズルと滑り込んでいく。

 

「え……? や、嫌……離れないで……っ! まだ、まだダメぇ……っ!」

 

絶頂の直前で梯子を外されたアルスは、力なく冷たい石畳の上へと崩れ落ちた。

 

カツン、と乾いた音が響く。

触手が去ったあとの床には、かつて彼女が手にしていた愛剣と、細く華奢になった身体には不釣り合いなほど無骨な男用の甲冑の破片が転がっていた。

 

しかし、アルスにそれらを拾い上げる余裕など微塵もなかった。

 

「はぁっ……はぁっ……っ! なに、これ……体が……熱くて、苦しい……っ♪」

 

体内に注ぎ込まれた媚薬と魔力は、淫魔へと変貌した彼女の肉体の中で最高潮に達したまま放置されていた。

皮膚のすぐ下を灼熱のマグマが駆け巡っているかのように熱く、子宮の奥がキュンキュンと激しく収縮して甘い疼きを撒き散らす。

 

中途半端に跳ね上げられた感度は、吹き抜けるダンジョンの冷たい隙間風すらに敏感に反応した。

 

「ひゃうっ……!? 風が……当たっただけで……あぁんっ♪」

 

薄手シースルーの拘束服に包まれた豊かな胸が、荒い呼吸に合わせて激しく上下する。

先端は突っ張り、引き締まったお腹の淫紋は、絶頂を奪われた飢餓感から怪しく不気味な光を放ち続けている。

少しでも腰を動かすと、シースルーの生地と肌が擦れ合い、それだけで脳を揺らすような痺れが全身を駆け抜けた。

 

解放されたはずだった。

縛り付けるものはもう何一つない。

だが、今の彼女にとって「自由」とは、何よりも惨い拷問だった。

 

「うそ……嘘でしょ……っ? こんな……こんな生殺しのまま……っ!?」

 

アルスは華奢な腕で自分の身体を強く抱きしめ、両太ももを隙間なく擦り合わせた。

しかし、自らの手で撫で回したところで、触手たちが与えていた理性を吹き飛ばすほどの暴力的な快楽の穴を埋めることなど到底できない。

撫でれば撫でるほど、欲求不満の火に油を注ぐだけだった。

 

「あぐっ……ふぁぁっ……♪ だめ……収まらない……っ! 誰か……誰でもいいから……っ♪」

 

涙で視界を濡らしながら、アルスは這うようにして石畳の上を動き始めた。

背中の小悪魔の翼は力なく垂れ下がり、ハート型の尾は何かを求めるように床を滑る。

かつて勇者として人々を護るために鍛え上げた足は、今や満足に立つことすらできず、つま先を小さく震わせるのが精一杯だった。

 

迷宮の静寂の中に、彼女の鈴を転がすような甘い喘ぎ声と、シースルーの衣服が擦れる艶めかしい音だけが虚しく響き渡る。

 

迷宮の冷たい石床を這う淫魔の身体は、体内に吹き荒れる猛烈な熱波によってもはや一刻の猶予も許さない限界へと達していた。

 

「はぁっ……はぁっ……熱い……! 身体の奥が……焼き切れそう……っ♪」

 

引き締まったお腹に刻まれた紫色の淫紋は、激しい不快感と欲求不満を訴えるように脈打ち、脈動ごとに甘い疼きを全身の神経へと撒き散らす。

背中の黒い翼は惨めに垂れ下がり、ハート型の尾は濡れた石畳を虚しく打ち打っていた。

 

自らの手で胸を抱きしめ、太ももをいくら擦り合わせても、中途半端に跳ね上げられた感度は満たされるどころか、狂おしい飢餓感を強めるだけだった。

 

その時――暗闇の先から、ズリ……ズリ……という不気味な足音が近づいてきた。

 

迷宮の浅層を縄張りとする巨躯の魔物、オーガだった。

鋭い角を生やし、重厚な棍棒を携えたその醜悪な異形は、迷宮の奥から漂う異様な甘い蜜の香りに誘われて姿を現したのだった。

 

かつての勇者アルスであれば、愛剣を一閃させ瞬時に討ち果たしていたはずの雑魚に過ぎない。

しかし、いまや完全に淫魔へと変貌し、絶頂の生殺し状態にある彼女にとって、その魔物の発する野蛮な気配は、灼熱の砂漠で見つけた唯一の清涼飲料に他ならなかった。

 

「あ……あぁ……っ♪」

 

琥珀色の縦裂き瞳孔が、暗闇の中に浮かぶオーガの影を捉える。

 

理性のタガは一瞬で弾け飛んだ。かつての人類を守る正義感も、勇者としての誇りも、いまや身を焦がす熱の前に跡形もなく消え去っていた。

 

「見つけた……っ♪ 誰でもいい……誰でもいいのっ……!!」

 

アルスは華奢な体に溢れんばかりの魔力を滾らせ、地を蹴った。

ハイヒールタイプのブーツが石畳を激しく叩き、薄紫色に変化した髪とシースルーの衣服が夜風を切るように揺れる。

背中の小悪魔の翼が一瞬だけ怪しく羽ばたき、彼女の身体を弾丸のように前進させた。

 

「ガあぁっ!?」

 

突如として暗闇から襲いかかってきた魅惑的な女の姿に、オーガは驚愕して棍棒を構えようとした。

しかし、あまりにも素早く、そして常軌を逸した執着心で躍りかかったアルスを防ぐことはできなかった。

 

ドスッ、と艶やかな女体がオーガの頑強な胸板へと体当たりするようにぶつかる。

 

そのまま二匹の巨躯と華奢な体が重なり合い、石床へと倒れ込んだ。

 

「ひゃはっ……♪ つかまえた……つかまえたぁっ……♪」

 

オーガの巨体を押し倒し、その極太の胴体に跨がったアルスは、うっとりとした、どこか壊れたような笑みを浮かべた。

 

爪先まで紫色の鋭い爪へと変わった指先が、オーガの硬い皮膚や毛皮をガリガリと引っ掻く。

喉からは鈴を転がすような高音の、ひたすら愛を求める狂乱の喘ぎ声が漏れ出していた。

 

「な、なんだこの女は……!? 離れろ、この――」

 

異様な迫力と、漂う強烈な媚薬の香りに気圧されたオーガが、太い腕を振り払って逃れようとする。

しかし、淫魔としての本能に覚醒したアルスの筋力は、華奢な見た目からは想像もつかないほど強く、その腰をがっしりとオーガの体に押し付けた。

 

お腹の淫紋が、獲物を捕縛した歓喜でドクドクと眩い紫光を放つ。

 

「逃がさない……逃がさないからね……っ♪ わたしのこの熱……全部、貴方で溶かして……っ♪」

 

アルスはオーガの太い首筋に華奢な腕を回し、その醜悪な顔に自らの顔を寄せた。

琥珀色の瞳は爛々と輝き、桃色の唇から覗く小さな毒牙が、甘い吐息とともにオーガの肌を撫でる。

 

背中のハート型の尾が歓喜に震えてオーガの腕に固く巻き付き、完全にその動きを封じ込めた。

勇者としての知識も技術も、すべては「一刻も早く快楽を得るための手段」として淫魔の本能に上書きされていた。

 

「あはっ……♪ ほら、固くなってる……♪ 貴方もわたしが欲しいんでしょ……っ?」

 

自らの腰を激しく押し付け、擦り合わせながら、アルスは狂乱の瞳でオーガを見下ろす。

かつて魔王軍を恐れさせた伝説の勇者は、今や一匹の魔物を暴力的な美貌と快楽で支配し、自らの乾きを潤すためだけの「淫魔の捕食者」へと成り下がっていた。

 

迷宮の暗闇の中で、淫魔の甘い絶叫と、捕らえられた魔物の困惑した唸り声が、淫らに響き渡り始めるのだった。

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