※この作品はR-18です。

雷竜のシル   作:mss

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第一話『金髪の少女と雷竜の出会い』

 

ハルジオンの港は、昼下がりの日差しを浴びてきらきらと輝いていた。

 

ルーシィは、夢と希望に胸を膨らませ、この港町に降り立ったばかりだった。

 

「ふぅ……まずは、仕事を探さなくちゃね」

 

彼女がそう呟いた瞬間、背後から陽気な声が響いた。

 

「やあ、お姉さん! 一緒にボウリングに行かない?」

 

ルーシィが振り返ると、そこに一人の男が立っていた。

 

派手なスーツを着た、ボラという名の魔導士。

 

その目は、油断なく輝いていた。

 

「えっ? ごめんなさい、今は……」

 

「ほら、見ての通り、一人なんだよ。寂しいんだよね、俺も」

 

ボラの唇が、滑らかに弧を描く。

 

その先から、まばゆい光の粉が、じわりとルーシィの周りに広がっていく。

 

「……」

 

ルーシィの瞳が、瞬きもせずに、ボラを捉える。

 

その鮮やかな金髪も、港の眩しい日差しも、彼女の意識からはすっと遠のいていく。

 

世界に存在するのは、目の前のこの男だけ。

 

彼の声が、まるで神の宣告のように、脳裏に響き渡る。

 

「……いいですよ。一緒に、行きます」

 

ルーシィの声は、自分のもののように思えなかった。

 

まるで、どこか遠くから聞こいてくる、他人の声だった。

 

その時だ。

 

「おい、お前。その娘に魔法かけただろ」

 

冷たい男の声が、二人の間に割って入った。振り返ると、そこに黒髪の青年が立っていた。

 

ラフな服を着こなし、その瞳には、少し遊び心と、冷徹な光が宿っていた。

 

「なっ! おまえは!」

 

ボラは、怒りに顔を歪ませるが、青年の放つオーラに圧倒され、一瞬、言葉を失う。

 

青年は、ボラには目もくれず、金髪の娘を見つめていた。

 

その青い瞳は、まるで品定めをする獣のように、彼女の全身をなぞっていた。

 

「……巨乳だな」

 

青年は、そう呟き、ボラとの間に一歩、踏み出す。

 

「シ、シル……!」

 

ボラの声が、震えている。

 

青年の名を知っているらしい。

 

「ああ、俺がシルだ。そして、こいつは、俺がもらう」

 

シルは、そう言って、ルーシィの前に立ちはだかる。

 

「……あなたは、誰?」

 

ルーシィは、魅了された瞳で、シルを問う。

 

その声には、感情の色がなかった。

 

「……」

 

シルは、答えなかった。

 

彼は、ただ、その手を、ルーシィの胸元に、そっと伸ばした。

 

「ちくしょう……!」

 

ボラは、呪いの言葉を吐き捨て、踵を返す。

 

その姿は、まるで、尻尾を巻いた鼠のようだった。

 

シルは、そんな彼の後ろ姿に、目もくれず、目の前の金髪の娘に、全集中を捧げていた。

 

「……」

 

彼の手が、ルーシィの胸に、しっかりと触れた。

 

「おいおい、すげぇな、これ」

 

シルは、その感触に、満足げに呟く。

 

その指先が、ルーシィの胸を、優しく、しかし確実に、揉みしだいていく。

 

「ん……」

 

ルーシィの口から、か細い声が漏れる。

 

その声には、まだ、快楽の色はなかった。

 

だが、シルの手は、その色を、引き出そうと、執拗に、彼女の胸を愛撫した。

 

抵抗しようとする意志も、次第に溶けていく。

 

その体は、もう、自分のものではない。

 

シルの指先が与える感覚に、ただ、身を任せるだけだった。

 

「……」

 

シルは、そんな彼女を見て、にやりと笑う。

 

「だめだな。服の上からじゃ、物足りない」

 

シルは、そう呟き、ルーシィの服の襟元から、その指を、滑り込ませた。

 

生地と肌の間の、僅かな隙間。

 

「ひゃあっ!?」

 

指先が、温かく、柔らかい肌に触れた瞬間、ルーシィの体が、びくりと跳ねる。

 

それは、生の感触だった。シルは、その感触に、酔いしれ、さらに奥へと指を進める。

 

やがて、その指先は、ふっくらと膨らんだ柔らかさに、触れる。

 

「……これだ」

 

シルは、ルーシィの乳房の、側面を、ゆっくりと撫でる。

 

そして、その指を滑らせ、乳輪の、少しだけ色の濃い、敏感な肌へと移動する。

 

「あ、ああっ……!」

 

ルーシィの口から、今までとは違う、はっきりとした、感情の籠った声が漏れる。

 

それは、もはや、魅了された声ではなかった。

 

快楽と、戸惑いと、そして、徐々に芽生え始める抵抗の声だった。

 

「……まだ、だめだ」

 

シルは、さらに指を進める。

 

そして、その指先で、硬くなった乳首を、優しく、しかし確実に、摘む。

 

「ひゃあああッ!!」

 

ルーシィの体が、激しく痙攣する。

 

その背中が、弓なりに反り返る。

 

その時だった。

 

彼女の瞳が、急に、煌めいた。

 

「……はぁ……はぁ……」

 

ルーシィの肩が、懸命に震える。

 

先ほどの激しい絶頂の余韻に、まだ彼女の体は支配されていた。

 

目の前の黒髪の青年、シルは、満足げに唇を舐めている。

 

そして、ルーシィの体からそっと手を離した。

 

「……おい、大丈夫か?」

 

シルの声に、ルーシィは、ふと我に返る。

 

彼女は自分の体を見下ろす。

 

服は乱れ、胸のあたりは熱を帯びている。

 

そして、何より、先ほどまでの自分の行動、その激しい喘ぎ声が、耳元にこびりついて離れない。

 

「……あ……あれ……? こ、ここは……?」

 

ルーシィの瞳が、混乱を浮かべている。

 

さっきまで、彼女は港の入り口にいたはずだ。

 

ボラという男に誘われて、抵抗しようとして……。

 

その後の記憶が、霧のように霞んでいる。

 

ただ、激しい快感だけが、全身に染みついている。

 

「……どうしたんだ、急に。気でも失ったか?」

 

シルが、呆れたように眉をひそめる。

 

「あ、あの……さっきの、男の人は……?」

 

「ボラのことか? あいつならとっくにどこかへ行ったぜ。」

 

シルが言う。

 

ルーシィは、自分の体に不信感を抱く。

 

なぜここにいるのか、そして、この体に残る熱い記憶は、何だ?

 

「……いいか、教えてやる」

 

シルは、その混乱した顔を見て、少し呆れたように言った。

 

「さっき、あのスーツ野郎がお前にかけたのは、『魅惑』という魔法だ。相手の意志を奪って、言いなりにする、下劣なヤツだ」

 

「えっ……?」

 

「お前がボラの後に付いていこうとしたのは、そのせいだ」

 

「……」

 

ルーシィの顔から、血の気が引いていく。

 

自分の意思でなかったとはいえ、見知らぬ男に付いて行こうとしていた、その事実が、彼女を震えさせる。

 

「……で、俺がその魔法を、ぶっ壊してやった」

 

「あなたが……?」

 

「ああ」

 

シルは、そう言って、少し嫌そうに頷く。

 

その口元には、どこか、自負のようなものが浮かんでいた。

 

「そ、それなら……」

 

ルーシィは、勇気を振り絞って、シルを見上げる。

 

「お礼を、させてください!」

 

「礼だと?」

 

「はい! なんでもしますから! だから、ご飯、おごらせてください!」

 

ルーシィは、そう言って、真っ直ぐに彼の目を見つめた。

 

その瞳には、もう、混乱や恐怖はなく、純粋な感謝の光だけが輝いていた。

 

「……」

 

シルは、その純粋な瞳を見て、少し呆れたようにため息をついた。

 

「……まあ、いいか。」

 

「本当ですか? やったー!」

 

ルーシィは、嬉しそうに飛び上がった。

 

その姿は、あの激しい快感に溺れた娘とは、思えないほど、無邪気だった。

 

港の賑やかなレストランに座り、ルーシィは、シルの前で、まだ少し緊張した面持ちで皿に目を落としていた。

 

シルは、もうとっくにステーキを平らげ、ビールを飲んでいる。

 

その様子は、どこか、自然だった。

 

「……それで、自己紹介はしといた方がいいだろ。俺はシル。雷を操る魔導士だ」

 

「わたしは、ルーシィ・ハートフィリア。星霊魔導士です!」

 

「星霊か。まあ、いい腕に見えるぜ」

 

「ありがとうございます!」

 

「……なあ、ルーシィ」

 

「はい!」

 

「何しに、この町へ来たんだ?」

 

「その……!」

 

ルーシィは、一瞬、言葉に詰まる。

 

だが、彼女は、決意を固めたように、顔を上げる。

 

「私は、魔導士ギルド、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入りたいんです!」

 

その瞳は、輝いている。

 

それは、彼女の長年の夢だった。

 

「妖精の尻尾、か」

 

シルは、その言葉を反芻するように、呟いた。

 

「……知ってるんですか?」

 

「ああ。少しはな」

 

「そ、それなら……! あのギルド、私みたいな者でも入れますか!?」

 

ルーシィは、身を乗り出して尋ねる。

 

「……まあ、なんとかなるだろ」

 

シルは、そう言って、ビールのジョッキを傾ける。

 

その口元には、少し笑みが浮かんでいた。

 

「ほ、本当に……!?」

 

「あーこの街を抜けた先のマグノリアって街にあるらしいぜ。行ってみろよ」

 

「マグノリア……!」

 

ルーシィの目が、さらに輝きを増した。

 

それは、夢への具体的な地図だった。

 

「そこへ行けば、妖精の尻尾に入れる……!」

 

「ああ。大体、そうだ」

 

シルは、あっけらかんと頷く。

 

「ありがとうございます! シルさん!」

 

ルーシィは、深々と頭を下げる。

 

その姿は、純粋な感謝に満ちていた。

 

「まあ、いいさ」

 

シルは、そう言って、席を立つ。

 

「じゃあな」

 

「あ、あの!」

 

ルーシィは、彼の背中に呼びかける。

 

だが、シルは、振り返らずに、レストランの扉をくぐっていった。

 

「……」

 

ルーシィは、彼の去り際を見送る。

 

その背中は、どこか、頼もしく見えた。

 

「……シルさん」

 

彼女は、その名を、小さく呟いた。

 

 

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