※この作品はR-18です。

貞操逆転世界の傾国記   作:熟睡枕

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第18話 透視魔法

四歳になった。

この世界に生まれてから、早くも四年。前世の記憶を持ったまま赤ん坊として人生をやり直すという、普通なら一生に一度も経験しないような出来事にも、今ではすっかり慣れてしまった。

もっとも、慣れたのはこの世界での生活であって、自由に動き回れないもどかしさまで消えたわけではない。

いや、正確には――自由に動き回ることはできるようになった。ただし、誰にも見られずに、という条件がつく。

 

「ルシー、今日も本を読んでいるの?」

 

部屋の扉が開き、母のアンネリーゼが顔をのぞかせた。

 

「うん」

「まあ、偉いわね。何を読んでいるのかしら?」

「魔法の本」

 

そう答えると、母は嬉しそうに微笑み、俺の頭を撫でた。

 

「ふふっ。本当に本が好きなのね」

 

母はそれ以上、何も言わなかった。

俺が読んでいるのは、魔法に関する入門書だ。

四歳児が読むには少々難しい内容だが、そこは前世の記憶がある身だ。文字さえ読めれば、内容を理解すること自体は難しくない。

……もちろん、四歳児が前世の知識を持っているなど、誰も思っていない。

母や姉たちから見た俺は、少し口数が少なく、恥ずかしがり屋で、本を読むのが好きな子供。

それが、ヴァレンシュタイン家における俺の評価だった。

実際、間違ってはいない。

俺は大勢で騒ぐよりも、一人で本を読んでいる方が好きだ。前世でもそうだったし、今世でもその性格は変わらなかった。

ただし、彼女たちが知らないことが一つある。

俺が本を読んでいる時間の一部は、魔法の秘密特訓に費やされているということだ。

それも、家族や使用人の誰にも知られていない。

 

あの幽霊事件以来、屋敷の中を勝手に飛び回ることは控えていた。

あれだけの騒ぎになったのだ。さすがに反省したのである。

……少なくとも、屋敷の人々を驚かせるような行動は控えることにした。

だからといって、魔法の練習までやめるつもりはなかった。

むしろ、誰にも邪魔されない室内での訓練に集中するようになったことで、魔法の腕は以前よりも上達している。

あくまでも、自分自身の成長を基準にした話ではあるが。

 

例えば、水を生み出す魔法。

以前は指先に小さな水滴を作るだけで精いっぱいだったが、今では両手で抱えられるほどの水球を作れるようになった。空中に浮かせたまま形を変えたり、複数の小さな球に分けたりすることもできる。

物を浮かせる魔法も同様だ。

本一冊を浮かせるだけなら、ほとんど苦労しない。自分の体を浮かせることもできるが、長時間維持しようとすると集中力を消耗する。

ただし、この世界の魔法使いの基準で見れば、どの程度の実力なのかはわからない。

しかし、今の俺にはわかっていた。

この世界ではそれほど男性が希少であり、特に貴族の男性が礼儀作法などを除いて自ら勉強したり訓練したりすることは完全なイレギュラーなのだ。

だから俺は、自分で学ぶことにした。

そして、今のところ秘密は守られている。

魔法の練習をするのは、基本的に自室で一人になったとき。誰かが入ってくる気配があれば、すぐに魔法を解除する。

寝台の上で練習するときは、布団の中で指先だけを動かすこともある。

我ながら、なかなか涙ぐましい努力だと思う。

 

◇

 

魔法の練習を続けるうちに、俺は一つの重要なことに気がついた。

それは、魔法を発動させる際のイメージによって、消費する魔素の量が大きく変わるということだ。

例えば、水を生み出す魔法。

単純に「水が出てくる」とイメージする。

すると、確かに水は出てくる。

しかし、魔素の消費が大きい。少量の水を出すだけでも、何度も繰り返せばすぐに疲れてしまう。

そこで、イメージの仕方を変える。

空気中に存在する水分を集め、少しずつ凝縮させて水球を作る。

そういう過程を頭の中で具体的に組み立ててみたのだ。

結果は明らかだった。

同じくらいの大きさの水球を作るのに、必要な魔素の量が大幅に減ったのである。

もちろん、空気中の水分だけで十分な量を確保できない場合もある。そんなときは、魔素を利用して不足分を補うようなイメージに切り替える。

それでも、何も考えずに水を生み出そうとするよりは効率がよかった。

 

この違いに気がついてから、俺は魔法を使うたびに試行錯誤を繰り返している。

イメージの仕方を変える。魔素の消費を確かめる。動きの精度を比べる。

仮説を立て、条件を変え、結果を比較する。

ただし、今は実験装置も測定器もない。

頼りになるのは、自分の感覚だけだ。

それでも、繰り返し試していれば違いはわかる。

そして俺は、魔法について一つの仮説を立てていた。

魔法は、結果を思い描くだけでも発動する。

しかし、結果に至るまでの過程を具体的にイメージすれば、より少ない魔素で同じ現象を起こせるのではないか。

この仮説は、今のところうまくいっている。

 

◇

 

ある日の午後。

俺は自室の扉が閉まっていることを確認してから、机の前に座った。

机の上には、いつもの魔法の本が置かれている。

だが、今日は本を読むために座ったわけではない。

 

「……透視魔法」

 

小さく呟いた。

この魔法をぜひとも習得したい

俺は4歳になった。

なので赤ん坊の頃のように軽々しくセクハラできないのである。

要するに飢えていた。

エロへの興味は必然と言えるだろう。

いや、待ってほしい

テストステロンやエストロゲンといった性ホルモンが分泌されているということは、心身が健康である証拠である。

それに、性的な興奮や快感は、脳内でドーパミンやオキシトシン、エンドルフィンを分泌させ、ストレスや不安を和らげる効果がある。

つまり心身の健康を保つ正常な行為なのだ

決して俺が変態なわけではない!

 

それはさておき

生まれたばかりのころは授乳の時に母のおっぱいを吸ってついでにもみもみしていた

離乳した後はイタズラのふりをして侍女のおっぱいを触ったり、パンツをのぞいたりしていた

どこまでやっていいのかチキンレース的なスリルがたまらなかった

繰り返し言うが俺は決して変態ではない

決して

 

しかし最近はそういうのはやっていない

せっかくクールなキャラでやっているのに、エロガキだと周囲に思われてしまうからだ

いやしゃべるのがへたくそなだけなのだけどね

こういうところは前世から全く変わらないし、成長もしてない

泣きそう

 

話はそれたがとにかくエロいことをしたいのだ

しかし俺はすでに2度の大事件を起こしている

自ら大きく動くことは避けたい

そこで思いついたのが透視魔法だ

これなら普通にしゃべりながら覗き見ることもできる

日常とエロが隣り合わせだ

それに将来はどこかの貴族と政略結婚するだろう

そのときの夜の生活でも役立てられるかもしれない

役立てているエロ同人やラノベを前世でいっぱい読んだので間違いない

 

それに壁の向こうを見ることができれば、どれほど便利だろう。

建物の構造を調べる。地面の下に埋まっているものを探す。人体の内部を観察する。

医療や建築、鉱業など、応用先はいくらでも思いつく。

メインとサブの理由が逆だろというツッコミはなしである

そう考えると、試さずにはいられなかった。

 

「よし……」

 

俺は机の上に置かれた本を見つめた。

まずは簡単なところから始めよう。

本の表紙を透かして、中身を見る。

それができれば、透視魔法の第一歩になるはずだ。

俺は本の表紙の向こう側を想像した。

表紙が消え、その下にあるページが見える。

ただ、それだけをイメージする。

しばらく待った。

何も起きない。

目の前にあるのは、いつもと変わらない本だった。

 

「……まあ、そう簡単にはいかないか」

 

俺は気を取り直し、もう一度試した。

今度は、もっと強くイメージする。

表紙の向こう側を見る。

見えないものを見る。

その結果を頭の中に思い描き、魔素を操作する。

しかし、やはり何も起きなかった。

水を生み出すときも、物を浮かせるときも、結果だけをイメージすれば一応は発動する。

効率が悪いだけで、魔法そのものは成立するのだ。

ところが、透視魔法は違った。

結果を思い描いても、発動する気配すらない。

魔素を操作している感覚はある。

それなのに、何も起きない。

 

「うーん……」

 

俺は腕を組んだ。

そもそも、透視とはどういう現象なのだろうか。

目から何かを放ち、対象を透過させるのか。

それとも、対象の内部にある情報を魔素で読み取るのか。

あるいは、対象そのものを一時的に透明にするのか。

考えれば考えるほど、わからなくなっていく。

 

「……いや、最後のは違うか」

 

対象を透明にする方法なら、透視というより透明化に近い。

そもそも、壁を透明にできたとしても、その向こうにあるものが見えるとは限らない。

やはり、何らかの形で対象の内部や向こう側の情報を取得する必要があるのだろう。

だが、そのための具体的な過程が思いつかなかった。

 

「……難しいな」

 

四歳児の口から出たとは思えないほど、深刻な呟きだった。

机に向かって考え続けていると、次第に集中力が落ちてくる。魔法の実験を繰り返したせいか、少し頭も重くなってきた。

魔素を使いすぎたのかもしれない。

俺は無理をせず、いったん実験を中断することにした。

今日はここまでだ。

だが、諦めるつもりはない。

幸い、俺はまだ四歳。

この先、研究に使える時間はたっぷりある。

 

◇

 

透視魔法の研究は、想像していた以上に難航した。

翌日も、その次の日も、俺は何度も同じ実験を繰り返した。

本の表紙を透かして見る。

机の天板の向こう側を見ようとする。

扉の向こうにあるものを想像し、そこに意識を向ける。

しかし、どれも成功しなかった。

魔素を多く使えば何かが変わるのではないかとも考えたが、ただ消費量が増えるだけで、透視ができるようになるわけではなかった。

魔素の操作を細かくしてみても、結果は同じだった。

むしろ、細かく制御しようとするほど、何を制御すればよいのかがわからなくなる。

俺は、これまでにない壁にぶつかっていた。

魔法を使うこと自体は、もう難しくない。

少なくとも、俺がこれまで試してきた範囲では、イメージを工夫すれば大抵の現象を起こせた。

いずれにせよ、今の俺には足りないものがあった。

知識か。

発想か。

それとも、単純に経験か。

 

◇

 

ある日のこと。

母の部屋へ向かう廊下を歩いていると、開いた扉の向こうに見慣れない女性の姿があった。

年齢は母とそれほど変わらないように見える。

きちんと整えられた服装に、落ち着いた立ち居振る舞い。手には書類の束を持ち、母の机の横に立っていた。

 

「こちらが、先日の商人から届いた報告書です。蜂蜜の出荷量については、昨年よりも増加しております。ただし、運搬費用が少々かさんでおりますので、次回の契約では条件を見直すべきかと」

「そうね。では、次の商談までに比較できるよう、過去三年分の記録もまとめておいてちょうだい」

「かしこまりました」

 

女性は手早く書類を整理し、母が次に必要とする資料を机の上へ並べた。

その動きには無駄がない。

母が何かを言いかけると、すぐに必要な資料を差し出す。別の書類に目を通している間に、机の上を整え、次の予定を確認する。

まるで、母の考えていることを先回りしているようだった。

俺は思わず足を止めた。

あれは、秘書というものではないだろうか。

前世で見たことのある、上司の仕事を支える補佐役。

この世界でどのような呼び方をされているのかはわからないが、役割としてはよく似ている。

母は領主だ。

領地の経営、商人との交渉、家臣との相談、領民に関わるさまざまな判断。毎日、数え切れないほどの仕事をこなしているはずである。

それを一人ですべて管理するのは大変だろう。

だからこそ、あの女性のような補佐役がいるのだ。

 

「……いいなあ」

 

気づけば、そんな言葉が口から漏れていた。

俺は本を読むのが好きだ。

魔法の研究もしたい。

だが、これから先、やりたいことが増えていけば、一人で何もかもこなすのは難しくなるだろう。

研究の記録を整理したり、必要な材料を集めたり、実験の準備をしたり。

そういう仕事を手伝ってくれる人がいれば、どれほど助かるだろうか。

もちろん、今の俺にはまだ早い。

四歳児が専属の補佐役を欲しがるなど、どう考えてもおかしい。

そもそも、俺が魔法の研究をしていること自体、誰にも知られていないのだ。

そんなことを口にすれば、母や姉たちはどう思うだろう。

きっと、俺が何か別の遊びをしたがっているのだと考えるに違いない。

 

「ルシー?」

 

不意に声をかけられ、俺はびくりと肩を震わせた。

扉の向こうから、母がこちらを見ている。

どうしたの? そんなところで立ち止まって」

 

「……なんでもない」

「あら、そう?」

 

母は優しく微笑んだ。

 

「お部屋に戻るところだったのかしら。あとで一緒にお茶にしましょうね」

「うん」

 

俺は頷き、母の部屋を後にした。

背後から、再び書類をめくる音と母たちの会話が聞こえてくる。

やはり、うらやましい。

俺にも、ああいう人がいてくれたらいいのに。

……いや、今すぐ必要というわけではない。

まずは自分でできることを増やしていこう。

そう考えながら、俺は自室へ戻った。

 

◇

 

夕方。

俺はいつものように机に向かい、魔法の本を開いていた。

部屋の扉は閉まっている。

窓から差し込む光は、少しずつ橙色に変わっていた。

今日も、透視魔法は成功しなかった。

いくら考えても、どのような過程をイメージすればよいのかわからない。

目の前の本は、相変わらずただの本のままだ。

 

「……明日は、少し違う方法を試してみよう」

 

俺は本を閉じ、寝台に移って布団をかぶった。

家族から見れば、俺は今日も本を読んで過ごしただけの、少し恥ずかしがり屋な男の子だろう。

母は俺を大切に思ってくれている。

姉たちも、会うたびに構ってくれる。

セレナをはじめとする侍女たちは、俺が快適に過ごせるように何から何まで世話を焼いてくれる。

その愛情に不満はない。

むしろ、ありがたいと思っている。

しかし今はまだ、誰にも知られるわけにはいかない。

だから明日も、俺は本を読む。

家族が思っているとおりの、物静かで本好きなルシアニウスとして。

その裏で、少しずつ研究を進めていこう。

いつか、パンツを見ることができる日まで。

透視魔法の研究は、まだ始まったばかりだった。




(◉ω◉`) ジーーーッ
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