ラブコメの鈍感系主人公すぎる幼馴染♂の頼れる友人ポジである俺の日常がエロゲーすぎるんだが 作:三越利範
欠点のない人間なんていると思うか? 俺は断言する。そんなやつはいねえ。どんな聖人だろうが、一皮むけばたちまち醜い本性をあらわにする。とどのつまり、誰しも外面を必死に取り繕っているに過ぎないのだ。男だろうが女だろうがそれは変わらん。俺は性善説を信じるほどお人好しじゃないんでね。
「見てみて、おかゆー。
「んー」
「『んー』じゃなくて。見ろやっ!」
「……うるせぇなぁ」
椎奈にどやされた俺がしぶしぶスマホから顔を上げると、廊下の向こうからなんかキラキラオーラをまとった女子が歩いてきた。同じく廊下で駄弁っていた奴らが慌てて道をあける。キラキラ女子はニコっと人好きのする笑みを浮かべ、オーディエンスに小さく手を振って声援に応える。この光景、テレビで見たことがあるな。ロイヤルファミリーだ。
彼女の名前は
つね日頃から茶屋町委員長のファンを公言する椎奈は、うっとりと目を細める。
「はぁ~♡ やっぱり茶屋町さんカワイイよね! 歩いてるだけで目の保養だわ」
「ミーハーめ」
……まあ実際、顔は相当可愛いよなと俺も認めるところである。さらさらの黒髪セミロングにくっきりとした可愛い系の目鼻立ち。ちやほやされるのも理解できる美人だ。しかも、それを鼻にかけたりせず、誰に対しても平等に優しい。そりゃ勘違いするやつも出てくるわな。
校内には非公式のファンクラブも存在し、ファンから密かに『みこティー』の愛称で呼ばれているそうな。次期生徒会長と目される、校内一の有名人である。ただひとつ欠点を挙げるとすれば――
「あっ。公男くん!」
委員長はこちらに駆け寄ってくると、親しみを込めた眼差しを公男に向ける。
「この前はお仕事を手伝ってくれてありがとう! 学級委員でもないのにごめんね?」
「いいんだよ。茶屋町さんはいつも頑張ってて偉いなって思ってたんだ。俺はちょっと手を貸しただけだよ」
「ふふ。優しいね。公男くんのそういうところ、わたし好きだな」
「…………」
――ただひとつ欠点を挙げるとすれば、こいつも公男に惚れているということかな。どんな金持ちイケメンでもよりどりみどりのハイスペ女なのに、どうしてよりにもよって公男なんだ。意味がわかんねえ。これが主人公補正ってやつなのか?
一通り公男と談笑してから、委員長はひらひらと手を振って踵を返す。
「じゃあわたし、まだお仕事があるから。またね!」
「うん。またね」
親しげに挨拶を交わすふたりを見て、俺はげんなりした。椎奈もいるのに無神経にもほどがあるだろ。俺がちらりと横目で椎奈を見ると――
「公男、いいなー。茶屋町さんとあんなに親しくて。あたしもお近づきになりたい!」
椎奈は公男に可愛らしくジェラっていた。なんだこいつ。付き合ってらんね。
俺はがりがりと頭を掻く。
「あー。俺、しょんべん行ってくるわ」
「うわ、きたな。しょんべんとか……せめてお花摘みって言いなよ」
「なんの花だよ。ラフレシアか?」
「はよ行って来い!」
「わはは」
椎奈をからかって満足した俺は、鼻歌交じりにその場を後にした。
俺は自他ともに認める神経質で、隣に誰かが立っているとおしっこが出ない。というわけで、俺はわざわざ校舎の最上階にある人のいない男子トイレに向かった。
最上階に着くと、目の前でひらりとスカートが翻った。こんなところに女子? 訝しみながら歩を進めると、そこには茶屋町委員長がいた。後ろ姿だが、やっぱ絵になるなと思った。
(委員長もトイレか?)
俺が近寄ると気まずいかもしれんな。俺が気を遣って一定の距離を保って歩いていると――
――ひらり。
「ん?」
委員長、なんか落としたな。ハンカチか。俺は反射的にそれを拾い上げ、委員長に声をかけた。
「おい、委員長。ハンカチ落としたぞ」
「え? あ……。ありがとう、拾ってくれたんだ」
「意外とおっちょこちょいだな」
俺が歩み寄り、委員長の手にぽんとハンカチを落とす。
「……んん?」
俺は首をひねる。一般的にハンカチは四角形だ。だが、委員長の手にのったハンカチは三角形だった。なんかやけに手触りが良いなと思ったけど、まるでパンツみたいだな――
「――――!?!?!?」
委員長は真っ赤な顔で飛び退いて、ハンカチ(?)をブレザーのポケットにねじ込んだ。
「アハハ! ほんとわたしっておっちょこちょいだね! ありがとね、神岡くん!」
「待てよ」
俺は委員長を呼び止めた。彼女は、ぎぎぎと鈍い音がしそうなくらいぎこちなく振り返った。顔、真っ青じゃねーか。
俺は疑いの眼差しで委員長を見る。
「委員長、おまえ……パンツ穿いてる?」
「ははははは穿いてるに決まってるでしょ! そりゃもうがっつり穿いてるよ!」
「いやでも。パンツ……」
「穿いてるから! 変な言いがかりやめてくれる??」
「…………」
俺は無言でピンと人差し指を立てて視線を誘導する。
「委員長、指見てくれる?」
「指……?」
「うん」
――パチン。
俺は平坦な声で命令した。
「委員長。スカートをたくし上げて中を見せろ」
「はい」
茶屋町委員長は虚ろな目でするするとスカートをたくし上げる。現れたデルタ地帯には案の定布地はなく、薄めの陰毛と薄ピンクの割れ目があった。
ガッツリまんこだった。案の定、委員長はパンツを穿いていなかった。
委員長は、不思議そうに首をかしげる。
「これでいいの?」
「ああ。よくわかった」
――パチン。
委員長の目にハイライトが戻る。彼女はきょとんとした顔で自分の下半身を見る。"どういうわけか"自らスカートの端をつまんで持ち上げて下腹部を丸出しにしている状況に理解が追いついていない。
だが、ようやく現状を理解したようで、ぼっと火がついたように赤面した。
「なっ、えっ!? なんで!?」
慌ててもすべてが遅い。俺に大事なところを全部見られてしまったことを理解した委員長は、がっくりと膝から崩れ落ちた。
「あああぁああぁ……!」
委員長の慟哭が、人気のない廊下に響き渡った――。