ラブコメの鈍感系主人公すぎる幼馴染♂の頼れる友人ポジである俺の日常がエロゲーすぎるんだが 作:三越利範
「――始まりは、受験のストレスだったの」
とつとつと語りだすノーパン委員長。中庭のベンチで、俺は昼飯のパンツ……もとい、パンをかじりながら話に耳を傾ける。木陰で死角になってるスポットだから、話を盗み聞きされる心配はないだろう。それをわかっているのか、委員長は赤裸々に語る。
「中3のとき。なんかもうむしゃくしゃして、頭がパンクしそうで……だからわたし、いっそパンツ穿かないで登校しちゃおっかなって!」
「気が狂ってるのか?」
たまらず突っ込むと、委員長は自嘲するように笑う。
「うん。狂っちゃってたのかもね、あのときのわたしは。そのくらい追い詰められていたの」
「そうか」
俺も経験したが、受験はマジで人を狂わせるよな。志望校に落ちて引きこもるやつまでいるしな。
委員長はつんつんと弁当箱の中身を箸でつつきながら、つとめて平坦な声音で続ける。
「男の子にはわからないかもしれないけど、パンツを穿かないとね、本当に心細いんだ。スカートが風で揺れるだけで心臓が止まりそうになるし、視線が気になって仕方ないし。こんなの頭がおかしくなっちゃうと思った」
「でもね」と話を切ると、委員長はくすっと笑った。
「すっごく気持ちよかったんだ。もうわたし無敵なんじゃない?って思った」
「ハイになってんじゃん。脳内麻薬中毒だな」
「実際、麻薬みたいに依存性があると思うよ。露出ってね、やめられないんだ。一度経験したらもう。だから、最近ストレス感じるなーって思ったら、我慢できずにパンツ脱いじゃうんだ。こんな気持ちいいことないから」
俺に露出狂の気持ちはわからないが、露出の良さについて語る委員長の表情は恍惚としていて、こりゃあ気持ちいいんだろうなって思った。露出とはベクトルが違うが、盗撮や下着ドロも一度経験するとやめられないって聞くしなぁ。
「今まで誰かに見つかったことはないのか?」
「見つかってたら、わたしは今ここにいないよ」
「それもそうか」
学園のアイドルで、委員長で、次期生徒会長候補とうたわれるまで昇りつめたんだもんな。その細い肩には重すぎる重圧に耐えるために露出行為に及ぶ。正直ヘンタイのそしりは免れんが、俺は委員長に同情していた。
「さあ。わたしの話は終わり」
話しているうちに吹っ切れたのか、委員長は清々しい顔をしていた。
「どうする? わたしを告発する? それとも、性奴隷にでもするのかな」
「べつに。なにもしねえが」
「…………え?」
委員長は虚をつかれたように目を丸くした。完全に意識の外から殴られたみたいにぽかんとしている。
「ど、どうして? こんな絶好のチャンスないでしょ? わたし、自分で言うのもなんだけど人気あるし」
「逆に訊くけど、俺が露出オナニーが趣味のヘンタイだって知ったら、おまえは俺を告発するのか」
「それは……しないけど」
委員長はもじもじする。露出オナニーというワードで興奮したのか? この露出狂め。
一度は吹っ切った不安がまた込み上げてきたのか、委員長は揺れる瞳でこちらを見る。俺は鼻で笑った。
「委員長さ、学校の誰もがおまえに興味津々だと思ってね? 思い上がるのも大概にしろよ。俺みたいにおまえに何の興味もないやつだっているんだよ」
「……きゅん」
「は?」
なんか奇怪な音が委員長の口から飛び出てきたぞ。おい、なんでそんな潤んだ目で俺を見るんだ?
「わ、わたし、そんなこと言われたの……初めてで……」
だから、なんで頬を赤らめる? 俺、相当ひでえ事言ってると思うんだが??
「か、神岡くん……ううん、
「急にファーストネームで呼ぶな。しかもあだ名で。馴れ馴れしいぞ」
「ごめんね。あの、迷惑じゃなかったら、きみもわたしのこと、下の名前で呼んでほしいな……?」
「????」
俺は混乱していた。意味がわからん。普通の女なら俺を罵倒してひっぱたいてくるようなことを言ってるはずなのに。俺の見立てが間違っていなければ、委員長の俺への好感度がうなぎのぼりだ。
「お、おい委員長」
「ともくん。お願いがあります。……ううん。これは契約かな」
学生には馴染みのない言葉を口にすると、彼女は俺の手をぎゅっと握ってきた。さすがにドキッとする。
委員長は深く息を吸うと、声を裏返らせながら言った。
「わたしを、あなたのヘンタイ露出奴隷にしてくださいっ!!」
「――――なんて??」
「ヘンタイ露出奴隷……わたしがもっと露出で気持ちよくなれるようにプロデュースしてほしいの」
「おまえは何を言っているんだ」
日本語を喋っているはずなのに意味が理解できない。俺がストレスで露出しちまいそうだ。
「要するに、わたしの露出プレイを手伝ってほしいの。その代わり、わたしはあなたの欲望をなんでも叶えます」
ようやく意味は理解できたが、意図がわからなかった。そんなことをして何の意味が……。
俺が混乱していると、委員長はブレザーのポケットからパンツを取り出し、俺に握らせてきた。そして、情欲にとろけた目をして言った。
「よろしくね……わたしのご主人様♡」
「――――」
まだ恋人もいない
…………意味わかんね。俺は考えることをやめた。