※この作品はR-18です。

異宗派のクソ女に村を焼かれ監禁セックスをさせられている俺の、歪んだ恋と復讐の物語   作:品川カタン

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破滅BAD END 「空を歩く」

「──俺と死んでくれ、フロロー」

 

 俺の選んだ答えはこれだった。

 

 彼女の目を見つめた。丸い瞳は金色の宝石のように輝き、その中には俺の顔が映っていた。

 俺の姿は、まるで悪魔だった。血塗れになり、数え切れないくらい殺し、最後には自死を選ぼうとしている。それでも、フロローの瞳は全く揺れもせず、ただただ俺の姿を真っ直ぐに映し続けていた。

 

 俺は彼女がどう返事をするのかを待った。餌を前に「待て」を命じられた犬のように、利口に黙って待ち続けた。

 

 そして

 

 彼女は本当に、本当に楽しそうに笑みを浮かべて手を広げてきた。

 

「うん!」

 

「一緒に死のうか! クロードくん!」

 

 ──美しかった。

 

 俺はその美しい芸術品を見た悦びで、思わず涙が溢れた。今までの人生で鑑賞してきた絵画やら音楽とは比にならないくらい──完成されたその不完全さに笑いが止まらなくなった。

 

「あははっ、あははははっ!!」

 

 そんな俺に呼応するように、フロローも同じように声を上げて笑った。

 

「フロロー!! こいつ──どうする!?」

 

 フロローが俺の手を引こうとしたところで、俺は片手に持っている、まだ息のある肉塊を指さした。

 彼女はそれに目もくれずに、こう答えた。

 

「殺していいよ!! 邪魔だし!!」

 

 その一声で、俺は彼女の父親だった肉塊の頭を吹き飛ばした。

 血が飛び散って、俺とフロローの顔に真っ赤な液体が付着した。胴体だけになった死体を放り投げたあと、俺たちは手を取り合いワルツを踊るように歩き、花で埋め尽くされた台へと倒れ込んだ。

 

「フロロー、俺は何人殺したと思う?」

 

 花々に囲まれた彼女に尋ねた。

 

「40人くらいじゃない? 信者の数、そのくらいだった気がするし」

 

 彼女は俺を見上げ、俺の頬に触れながら言った。

 

「そうか、そのくらいか」

 

 俺たちはキスをした。

 そして、互いに服の上から胸を触り、下半身を触り、またキスをして、俺はウェディングドレスを捲りフロローの中へと挿入の準備をした。余興を楽しむように、俺たちは、最後には幸せだったと言い切れるように。

 

 体を重ねていく。血なんか気にせず、お互いにやりたいことをひたすらしていく。彼女の温かい手を握って、指を絡めたらフロローも同じように絡めてきた。亀頭でフロローの入口を擦るようにいじったら、小さく喘ぎ声が漏れていた。俺はその声が愛おしくて、また塞ぐようにキスをした。それの繰り返しだ。そうして、ようやくフロローの中がぐちゃぐちゃになったのを見て俺は一気に挿入した。

 

「〜〜〜っ♡♡♡」

 

「ふうっ、うっ、フロロー」

 

 俺のガチガチになった物が入った瞬間、フロローはその気持ち良さで仰け反りながら絶頂していた。可愛かった。彼女にとにかく奉仕して、とにかく愛して、とにかく欲のままに動こうと思った。

 

「クロードくんっ♡♡ クロードくんっ♡♡」

 

「フロロー、フロロー、フロロー!!」

 

 下品で激しい水音が結婚式会場内に鳴り響く。正面を向き、彼女の足を思いっきり広げて俺はその結合部分がよく見えるようにピストンを繰り返した。俺の血まみれの手が彼女の太腿を支え、赤い手形がついていく。真っ白なキャンバスが、赤い生命の元で彩られていく。俺の髪の毛から血が垂れて、ぴちゃんとフロローの頬についた。

 

 彼女と初めて会った時のことを思い出す。あの時も、フロローの顔にこうやって血がついていた。髪の毛やブラウスが赤く汚れ、そして笑いながら俺の手を引っ張り、新しい世界へと閉じ込めてセックスをした。そこから全てが始まった。フロロー、俺は、お前のお陰で人生を変えることができた。愛おしく明るいように見えた、信頼のできない隣人たちとの生活が終わり、暗い場所で彼女と痛みを共有し、お互いに貪っていった。そんな彼女が、今こうやって俺と共に死を選んで、これから迎える死すらも冒涜する性を謳歌している。俺は、俺は、俺は、俺は、フロローが好きだ。大好きだ。愛している!!

 

「ふーっ♡♡ クロードくん゛っ♡♡ そこだめっ弱いからぁっ♡♡♡」

 

 俺は彼女の弱い所を知っている。彼女も俺の弱い所を知っている。的確に突くと、ぎゅうって中が締まって思わず射精しそうになる。俺たちは二人とも汗だらけになっていて、フロローのせっかく綺麗に整えた髪の毛もぐちゃぐちゃになっていた。両腕を掴み、引っ張り、そしてまた彼女の奥をピストンしていく。

 

 俺は、模範的な司祭の息子でもない、父さんの妻でもない、正しくない人間だ。穢れていて正しくない人間のクロードだ。ハリボテの明るい世界にいた住民たちに向けた、義務的な敵討ちはもう終えて、義務的な憎悪に幕を下ろした。だからあとはもう、好きにやるだけだ。

 そして彼女がもしも間違えているとしたら、それはたった一つだろう。あの時、フロローが「やっぱり死にたくない」と俺に命令をしていたら、俺は従っていた。彼女は、そのことを想定していない。それが間違いだ。

 だが彼女は、自分が間違っているとは微塵も思っていないだろう。そして、たとえ俺に命令できたとしても、「これからも生きたい」と言うことはないだろう。

 だがそれで良い。それで良いのだ。彼女は今、果てしない孤独を俺と共有して幸せそうだ。俺も幸せだ。俺は彼女の犬だから、飼い主を喜ばすことができて、人生で最も満足をしている!

 

 両腕を引っ張りながら突き続けると、彼女は何回目かの絶頂を迎えて潮を吹き出した。ウェディングドレスがびちゃびちゃに汚れた。その甘美な匂いと快楽に酔いしれると同時に、俺も絶頂しそうになっていた。

 

「クロードくん♡♡ そろそろ出そうでしょ♡♡ びくびくしてるからすぐわかっちゃうよ〜♡♡」

 

「ああ、出そう、出そうだっ、フロロー」

 

「じゃあ、ぎゅーってしながらいっしょにイこ♡♡ はいぎゅー♡♡」

 

 俺はフロローに引き寄せられ、思い切り抱き合いながら最後のキスをした。互いの体が、もう限界だと叫ぶように熱を持っている。

 

「イクっ♡♡♡ いくいくいくっ♡♡ ん゛〜〜〜〜っ♡♡♡」

 

「でる、出る……っ!!」

 

 俺たちはそのまま、同時に絶頂を迎えた。

 

 そのまま抜かずに、お互いにしばらくその姿勢で抱きしめあっていた。そして、一度唇を離した後に次は頬やでこに軽くキスをし合った。汗が混ざりあって、二人の匂いまでもが一体となって俺たちの間に籠っていた。

 

 その後の俺たちは、隣同士に座って手を繋ぎ、少しの間だけ話をした。

 

 思い出話、家族の話、できたことがある友人の話。女の子の友人の話をした時は、少しだけ膨れっ面をしていたけど、「あれは塵同然だよ」と正直に言ったら、彼女の機嫌が直った。

 

 そうして話すことも無くなった頃、彼女が俺の方を見た。

 

「ねえ」

 

 笑いながら、手を強く握った。

 

「また空で会おうね」

 

 俺も握り返し、頷いた。

 

「ああ、フロロー」

 

 握った手の中に、魔法が流れる感覚がした。

 

「その時はまた、一緒にケーキでも食べようか」

 

 だが、俺たちの約束はきっと叶わないだろうと思った。天界とは、そういうふうにできているはずだ。

 それは、俺が神からの罰なんてものを信じているからではない。合理的に考えて、果てしなく広がる大地に人間二人が放り込まれた時──偶然会える可能性など、低いだろうと考えているからだ。

 

 だがフロローは、それをわかって言っているのだろう。

 だから俺も、わかった上で返事をした。

 

「──それじゃ」

 

 フロローが下手くそなウィンクをした。

 

「またね!」

 

 俺たち二人の間で何かが爆ぜる音が響き、そうして全てが真っ暗となった。

 

 

 …………。

 

 目覚めた場所は、真っ青な空だった。

 周りには誰もいない。

 

 俺がとりあえず前に進もうとした瞬間──足が抜ける感覚がして、急いで別の場所の空中を踏み、なんとか落ちることを防いだ。

 

 ドッドッドッ、と緊張で心臓が鳴り響いたあと、一息ついてまた歩き出した。

 

 歩き続けた。どこを見渡しても、青かった。頭上も、足元も、振り返った先も、ただひたすらに青い。雲がところどころに浮かんでいるような気がするが、それらが流れている様子はない。太陽らしきものも見当たらないのに、辺りは昼間のように明るかった。

 

 地平線はなかった。空と空の境界がないからだ。

 

 それでもまた、歩き続けた。本当にごくたまに誰かとすれ違うたび、その顔を覗き込んだ。しかし、誰も俺の知る人物ではなかったので、確認を終えるとそのまま無視して歩き続けた。

 

 暇なので、数を数えてみた。十万秒ほど数えた頃に飽きたので、やはりやめた。だから次は、たまにすれ違う人間の観察をしてみた。絶望的な表情を浮かべながら神に赦しを乞う人間ばかりで、俺は不思議に思っていた。この期に及んで、神を信じ、赦しに希望を見いだすことなど、理解ができないからだ。

 

 だが結局それも、俺がこの天界に来たにも関わらず神を信じていない根拠が── 直感のみであるのと同じで、彼らが神を信じる根拠というのも、論理的なものではないのだろうと思った。

 

 信仰というのは、そういうものだからだ。

 

 一度だけ、俺に話しかけてきた小汚い男がいた。「お前は相当殺したんだね。43万年も、歩くことになっているとは」と言いながら、ニヤニヤと笑っていた。きっと、自分よりも下の人間を見て安心したかったのだろう。そして同時に、俺はこの天界という場所では永遠に歩き続けるわけではないのだと知った。

 

「……43万年」

 

 どうやら話によると、人間を一人殺したら1万年歩くことになるらしい。

 

 指折りして数えられる分だけ数えた。

 

 フロローの父を含めた信者40人は一旦抜きだ。まずフロロー、次に俺自身、そして──

 

 フロローが腹をさすっていたのを思い出した。

 

「…………」

 

 思わず、ため息が出た。こればっかりは申し訳ない気持ちにもなり、行き場のない手で頭を掻いた。

 

「一人加算されちゃってたか」

 

 なんの罪もない……いや、意識すらないその子は、地界にいけたのだろうか?

 確かめる術など、ないのだが。

 

 俺は、そのまま歩き続けていく。今でも何処かで歩き続けているだろう彼女のことを想いながら。

 

【BAD END 「空を歩く」】

 

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