異宗派のクソ女に村を焼かれ監禁セックスをさせられている俺の、歪んだ恋と復讐の物語 作:品川カタン
「──俺と共に生きてくれ、フロロー」
俺の選んだ答えはこれだった。
彼女の目を見た。丸い瞳は金色の宝石のように輝き、その中には俺の顔が映っていた。
「…………」
俺は今、自分が万能であり、敵などいないように感じていた。その瞳の奥に映っている俺の姿は、血塗れで人間を冒涜し切ったような自由な姿で、どこまでもどこまでも羽ばたいていけそうな強さを持っているように見えた。
フロローは、その言葉に強く興味を持ったようで、好奇心を宿した静かな表情でじっと俺の顔を見つめていた。本当に面白いものを見た子供が、騒ぐことも忘れて口を閉じ、瞳を輝かせているのと同じように、フロローは俺を見ていた。
「意外だった?」
俺は彼女に聞いた。
「意外だった」
彼女はそう答えた。
「フロロー、俺は──」
人生における全ての障害が取り除かれた俺は、初めてフロローに、人間として最も自由な言葉をかけることができた。
「神だなんて、いないと思っている」
そう打ち明けた途端、フロローの好奇心の瞳がさらに強く輝いた。
「根拠を並べたら、いくらでもある。俺は元々穢れた人間だったというのに──この日に聖魔法を使えるようになることを、ずっと以前から自分自身で理解していたこと。同じ宗教を信仰しているはずなのに、信仰の違いを理由に人間同士が争っていること。小さな子供が不条理に死ぬこと」
「でも、それは──」
「ローロタル聖典にも人間の不条理や信仰の揺らぎについて書かれているから、信じない理由にはならないって言いたいんだろ?」
フロローは黙った。きっと、当たっていたのだろう。
俺は言葉を続けた。
「だけど考えてくれ、フロロー。神様がいない根拠を並べたらいくらでもあるけど──いる根拠を並べても、いくらでもある。これは単に並列しているんじゃない。同じ出来事の中で、混ざり合っているんだ。神がいる理由にも、いない理由にもなる。俺たちはいくらでも理由をつけられる中で、それでも信仰するという道を無理やり歩まされてきた。周りに定義されて、枠に押し込められて、そして時には宗教的な権力を盾にして酷い目に遭わされてきた」
片手に握っている男が、まだ生きているのか呻き声を漏らした。なんて言っているのかは聞こえなかった。聞くつもりもなかった。
「それなら、俺たちはもう信じなくてもいいんだ」
フロローの瞳が美しいと思った。
俺の孤独を聞き、自身の孤独を自覚し始めているその姿が、どのような人間よりも美しく、気高く、そして愛おしかった。
「俺たちは、信じたくないものを信じなくて良い。そして、自由に生きよう。それは、パスラ派の思想をなぞることとは違う──神という視線に囚われず、自由に生きるんだ。全ての創造主である神と、この世で俺たちを生み出した父や母に囚われず、生きるんだ。俺たちはそうして、孤独で完全になる。その孤独を分かちあっているのは、俺たちだけで良い。俺は──本当のことを言うと、他人のことがほとんど嫌いだからだ」
そうだ。
俺は本当は、他者が嫌いだった。
愛しい隣人たちは、確かに愛おしかった。だが、同時に、嫌いでもあった。俺を定義してくるその視線が恐ろしかった。だから俺は、あの時の虐殺を実行したフロローに今こうして語りかけ──本当の自由を得ようとしているんだ。
そして、俺がパスラ派の信者たちを殺したのは、とっくのとうに過去となった隣人の敵討ちのためではない。
俺が、そうしたかったからだ。
単純に、彼らの顔が腹立たしかったからだ。
俺が全てを話し終えると、フロローは呆然としていた。
そうして次に、俺が片手に握っていた男へと視線を移した。俺自身、その男の存在を忘れかけていたのだが。
「私ね」
フロローが話し始めた。
「父なる神って言葉、嫌いなんだよね」
そして、彼女は笑いながら奥へと歩き、花瓶を取ってきた。
「私を生み出した父を尊敬できないんじゃ──私は何を好きになれば良いんだろうって、思っていたの。それで、父を生み出した神のことも好きじゃなかったの。いや、好きじゃないどころか、信じていなかったの。だって、大いなる存在がこんなゴミを生み出しているなんて──信じたら頭がおかしくなりそうでしょ?」
「ああ」
「だからね」
フロローが、俺の片手に握られている男を離すよう、手振りで指示してきた。俺はその通りに、男を離した。四肢を失い、這うことすらできなくなったそれは、ただボトンと音を立てて床に落ちるだけだった。
「私も──嫌いだったの。他人のことが! ゴミを生み出したのと同じ〝製造先〟から生まれたことになっているなら、皆同じゴミだなって、思ってたの!! あはは!! だけど、これからはそんな思いをしなくていいんだね──だって、信じなくても良いから!!」
「はははっ!! 製造先って、パスラだった頃の言葉が染みついてていいな!!」
「あはははっ!! 習慣って、なかなか消えないよね〜!!」
二人で、ひとつの花瓶を握った。
「フロロー、俺たちはこれから二人で対等な飼い主とペットになろう。だから、最後の命令っていうのは、正しいよ。俺たちはこれから対等な上下関係を持つんだ、だから命令じゃなくて、対話になる」
「うん、そうだねクロードくん」
そして、それを振り上げた。
「──私たちは」
「きっとこれから、幸せに生きていける!!」
──フロローの父親
…………。
俺たちはしばらく笑いあった。その後はシャワーを浴びて休み、俺が興味本位で城を燃やしてみないかと提案すると、彼女はそれに食いつき、ウェディングドレスを焚き付けにして二人で火をつけた。
かなり大きな城だったから、本当に信じられないくらい燃え上がってしまい、熱狂的なパスラ派信者の住む街にまで燃え移って大騒ぎになっていた。
俺たちは、その光景を少し遠くの宿で見つめていた。幸い、向こうの方であんな騒ぎになっていたから客は全くいなくて、好きに部屋を選ぶことができた。
「クロードくん」
燃える音や悲鳴がここまで響いている中で──フロローが俺を押し倒した。
「しよう?」
俺は彼女の手を取った。
「ああ」
そして目を瞑った。
「しよう、フロロー」
フロローがキスをしてきて、俺はそれを受け入れた。口内で舌を絡める微かな音が聞こえ、絡み合う指の感触ひとつひとつを味わった。
すり、と彼女の股が俺の股間を擦る。それが地味にくすぐったくて、思わず腰が動いてしまった。
「だーめ♡♡ ほらワンちゃん、ちゃんとじっとしてて〜♡♡」
「……ワン」
「あははっ!!」
フロローは黄色いワンピースと下着を脱ぎ捨て、俺のパンツも一緒に下ろした。相変わらず可愛らしいピンク色の乳首がぴんと立っていて、そのいやらしさに唾を飲み込んだ。
「……あ、そうだ。排卵促進の薬飲んでたんなら、妊娠してるんじゃないか? お腹とか、平気なのか」
「も〜〜クロードくん女の子のことについて無知すぎ! 昨日したのに、もうできるわけないじゃ〜〜ん! お腹が大きくなったらできなくなるかもしれないから、今やるんだよ!」
そういうものなのか、ミザヤの教えと少し違うなと思いながらも「わかった」と返事をした。フロローが濡れた自身の秘部に俺の竿を擦り付けてくる。前にもされたことがあるので、この行為の名前を聞いてみたら、どうやら素股というらしい。
「…………」
「あっ、汗出てるよクロードくん。あははっ! これ好きなんだね〜!」
ぐちゅ、ぐちゅと水音が響いてくる。挿入したくてたまらない。フロローの腟肉が擦れる度に、竿全体にやわらかな快感が伝わってきてムズムズとした。
「フロロー、その、そろそろ……」
「あ〜〜ワンちゃん、人語喋っちゃダメでしょ〜〜! やるんなら、ちゃんと犬らしくお願いしなきゃ!」
ここまで犬犬と言われると少し恥ずかしくなってきた。だけど結局、これも俺がやりたくてやっていることだ。言われた通りにちゃんと「ワン」と返事をすると、フロローがニヤニヤとしながら俺の亀頭を自分の腟に引っ掛けてきた。
「はいじゃあ、言うこと聞けて偉いから挿れてあげる〜〜♡♡」
「……っ」
竿全体が温かくて狭いフロローの中に包まれていく。すっかり俺の物の形を覚えた腟は、逃がさないようにとヒダをしっかりと絡みつけてくる。その快感をゆっくり味わっていると、フロローはそんなことにはお構いなしに、容赦なく腰を打ち付けてきた。
「ほらっ♡♡ 私に逆らえないねクロードくん♡♡ でも君がそうしたいって言ったもんね〜〜♡♡ じゃあ君は変態のマゾワンちゃんってことだね♡♡」
「ふうっ、ううっ、ううっ!!」
「ほらダメ!♡♡ ワンは?♡♡」
「ワンッ、わんっ!!」
人語の呻き声すらも許されず、俺はひたすらフロローに好き放題されていく。気持ち良い。俺の精液を搾り取ろうとするかのように吸い上げてくる腟も、柔らかい太腿も、可愛らしくて小さな手も、全てが快感の種となって俺の頭を真っ白にさせていく。
外で燃えている音が聞こえる。俺たちはその横でセックスをする。背徳的で、罪悪感すら出てくる快楽が、本当に本当に癖になりそうで俺は頭がおかしくなりかけていた。
「んっ♡♡ クロードくんっ♡♡ 今だけ人語許してあげる♡♡ どこが気持ち良い?♡♡ ちゃんと言って?♡♡」
「気持ち良い、気持ち良い、フロローのまんこ気持ち良い!!」
声が大きい! と言いながら頭を引っぱたかれ、それは理不尽だろと思いつつ俺たちは笑った。フロローの尻をしっかりと掴み、上へと打ち付けるように腟の奥を刺激してやる。
「あ゛っ♡♡ こらっ♡♡ クロードくん、それ私が弱いって知っててやってるでしょ♡♡」
「ああ」
「変態♡」
フロローの顔が気持ち良さで真っ赤になり、汗が滴り落ちた。その姿が愛おしくて、彼女の腕を引っ張ってキスをすると、腟内がぎゅうっと締まってその絡みつくヒダのいやらしさに射精しそうになる。
「フロロー、好きだ、愛している!!」
「んっ♡♡ クロードくん♡♡ 私も大好き♡♡ 愛してるよ♡♡ これからいっぱい赤ちゃん作ろうね♡♡」
ばちゅん、ばちゅんと激しく互いがぶつかり合う音が響く。俺たちは、強く抱き締め合い、そのまま一緒に絶頂した。時間が止まったかのような錯覚に陥り、魂が肉体から抜け出ていくような浮遊感に襲われる。びくびくと痙攣する腟は俺の精液をしっかりと搾り取り、愛液と混ざってぐちゃぐちゃになった中をかき乱した。
「クロードくん……♡♡」
汗だらけのフロローが恍惚とした笑みを浮かべて、俺を見下ろしてきた。
「私たち、こうやって生きていこうね♡」
それだけの合図で、俺たちは二回目の行為を始めた。
俺たちは、この先も自由に生きた。食べたい時に食べ、寝たい時に寝て、そして金に困った時や加虐心が疼いた時は略奪をして、良心が揺れた時には気まぐれで人を助けた。
そんな俺たちの生き方を見て、いつしかそれを真似しようと、俺たちについてくる人間が現れた。俺はそいつらのことがどうでも良かったので、特に目を向けなかった。
そしてまた、しばらく時間が経った頃に俺たちの行いの意味や生き方の哲学について本を作り始めるやつが出てきた。俺は読まなかった。興味が無いからだ。フロローは一度目を通したみたいだが、「くっだらないね〜」と言いながら爆笑して、本を放り投げていた。
戦争が始まった。俺たちがきっかけだそうだ。知ったことでは無いので特に何も言わず勝手にやらせておいた。
そうして、俺たちはいつの日か、人々からこんなことを言われるようになった。
「新たなる邪神が生まれた」と。
【HAPPY END 「新たなる神」】