異宗派のクソ女に村を焼かれ監禁された俺は、彼女に恋と復讐をする 作:飲むヨーグルト
俺はあの時、村の中に入らずに大人たちを呼ぶべきだったのかもしれない。
だけど俺は、燃えている村に足を踏み入れた。そして、狂った景色を目の当たりにした。
狂信者は限界まで残虐になっていた。被害者であるはずの村のみんなもそれに感化されたのか、狂い始めて「パスラ派に殺されるくらいなら」と叫びまだ無事だった子供たちを殺し始めた。
殺し慣れていないからか、恐怖で急所を外してしまい肩や肋を殴ったり刺したりしていたのが、目に焼き付いている。当然その一回では死ぬはずがないので、互いに絶叫しながら殺すために何回も何回も何回も何回も下手くそな殺人をしていた。
俺は馬鹿正直に足を踏み入れたことを後悔して、その場で吐いた。まだギリギリ燃えていない家の影に隠れてはいたが、吐瀉物を零した時の呻き声でパスラ派に見つかった。
運が良かったと言うべきか、悪かったと言うべきか。俺を最初に見つけたのはクソ女だった。
その顔は血まみれで、赤い宗教服には煤がついていた。俺の顔をじっと見て、何かを考えていた。
こんなにイカれた状況だったのに、俺の中に存在していたのは恐怖心ではなかった。ただ、顔を見つめ返して「猫みたいな目だな」と思っていた。今考えると、これは現実逃避なのだろう。起こっていることをなるべく直視しないように、目は逸らせないからせめて思考を別のところに置いておこうと、本能が考えたのかもしれない。
本能が考えた、というとおかしな表現にも聞こえるだろうが、そうとしか言い表せなかった。俺は確かにあの時、俺が考えられる範疇を超えたことに対処しようと、思考とは思えない思考を巡らせていたからだ。
「君、司祭の息子だよね?」
クソ女が声をかけてきて、俺は頷くことしかできなかった。するとクソ女は、何かを考えたあとに俺の手を握って、狂信者たちのところへと連れて行った。
「司祭の息子をこの私が捕らえたため、お前らはこれから手出しをするな!!」
「こいつに触れる時は、私の許可を得ろ!! わかったか!!」
その後のことは、あまり覚えていない。
ただ、話した通りワインを飲んで、酔っ払いながらこいつの相手をして、そうして何日かが経過して、今に至る。
「いやーん♡♡ クロードくん上手♡♡ 参っちゃいましたぁ〜〜♡♡」
俺が苛立っているのをわかっているのか、わざと高い声を出して煽ってきた。
正面から、クソ女の腰を掴んでひたすらに腰を振った。ばちゅん、ばちゅんと水の音が弾けていて、その音の間隔は段々狭まってくる。
そのリズムに合わせてクソ女の胸がずっと揺れている。乳輪と乳首が薄いピンク色で、正直可愛い。この前まで血に濡れていた顔は火照っていて、時々余裕の無さそうな表情が浮かんだ。
次は両腕を掴んでやって、そのまま引っ張りながら腰を振り続ける。今ので奥に当たってイッたのか、一瞬だけ口を結んで目を瞑っていた。だけど、すぐにまた馬鹿にしてくるような笑顔に戻って、俺を煽り続けた。
「クロードくん♡♡ そんなに乱暴にやられたら壊れちゃいますぅ〜♡♡ 私、おかしくなっちゃいますぅ〜〜♡♡」
黙れよ、イッた癖に。口には出さないけど。
唇を少し尖らせてきたから、腕を一度離してキスをした。舌を口内に侵入させて、歯の裏から舌の奥まで舐めた。そうすると、生意気にも空いた手で恋人繋ぎをしてきた。俺は、逆らえもしないのでそのまま握り返した。
あと何回かイカせてやりたい、みっともなく喚かせてやりたい、そう思っている間、少しだけ居心地が良かったのは事実だ。
俺は今、間違いなくこの世の
だけど、前とは違う。前だって、俺は暗い場所にいた。それは家の中だ。父さんが、家の中を暗い世界へと変貌させた。
【可愛い……可愛いよ、クロード……本当、お前はお母さんそっくりだね……】
父さんの声が聞こえた。幻聴だ。今のは、俺の記憶が作り上げただけの偽物の音だ。父さんは、もう既に黒いゴミになって消えていった。
父さんは生きていた頃、暗い場所で俺を喰い尽くしていた。腹を突き上げてくる不愉快の塊の感触が、俺の中にずっと残っている。
父さんが俺を喰う時は、必ず後ろからだった。よく「母さんに似ている」と言っていたが、やはりよくよく見ると、そこにあるのは母さんの顔じゃなくて、一人の男の顔だと気がついてしまうからだろう。だから、嫌いな野菜を避けて食事をするみたいに、俺の背中を見ながら喰っていた。
俺は父さんを愛していた。愛していたけど、喰われる時間だけは本当に苦痛だった。だけど今は違う。暗い場所にいたとしても、俺がこいつを喰っている。俺はもう喰われる側ではなく、俺がこの女をイカせて、射精をして、快楽を得ている!
本当は、クソ女の背中に少し触ってみたかった。可愛い顔と身体は見ていてイライラするが、こいつの背中の傷跡を見ている時はその感情も少し収まった。
こいつは、自分の背中がどれだけ醜いか知っているのだろうか。鏡を使って見たとしても、それはただの写し絵に過ぎない。そこに映った傷跡は真実じゃない。真実を一番見ることができるのは、俺だ。俺が、この女の背中の醜さを一番見ることができる。そして、その飾り気のない醜さを、美しいと思えるのも俺なのだ!
監獄に響く怒鳴り声と泣き声の正体を俺は知っている。クソ女の父親と、クソ女だ。そして、成長して伸びた皮に沿って広がった傷跡に、どんな歴史が刻まれているのか、俺には想像ができる。何故なら、俺も同じような痛みを持っているからだ。このどうしようもないクソ女の痛みを、俺は想像することができる。
「あ〜〜♡♡ イクッ♡♡ イッちゃう〜〜♡♡♡」
ふざけた声を出しているが、本当にイッていることはわかった。こいつは、絶頂を迎えるときに、口をぎゅっと結ぶ癖があるからだ。
腟内がびくびくとしている感覚が堪らなくて、俺もそろそろ限界に近付いていた。一度離していた唇を、もう一度重ねた。しばらく口の中で遊ぶと、トントンと背中を叩いてきたからまた離した。
汗だらけの顔で、笑いながら俺に言った。
「中に出したい?♡ 外に出したい?♡ クロードくんが選んでいいんだよ!今日は特別♡♡」
そんなの決まっていた。中に決まっている。あわよくば、こいつを妊娠させて、女として生まれたがゆえの苦痛を味わわせたい!
「どっち?♡ ねえどっち?♡ お返事聞かせて欲しいな♡」
クソ女が、片手で俺の首輪にそっと触れた。
「ワンッ、ワンワンッ、ワンッ!!」
それは、人語を喋るなという合図だとわかっていた。だから俺は、指示の通りに返事をした。クソ女が中を突かれながらも爆笑していた。
その声に苛ついた。俺が、俺が喰っているのに、なんでこいつが笑うんだ? 全部中に出して、子供ができたら困るのはこいつだ。その時は、きっと悪阻やら腹痛やらで悩まされることになるのだろう。この女は、それをわかっているのか?
全部出してやる。奥の奥に、もういらないって思うくらいに出してやる。白いのが溢れ出したのを見て、それを潤滑剤にして、その時はまたもう一回犯してやる。全部、全部命令されていることだ、だけど、愛おしいみんなを殺したことに対して今やれる復讐がこれだけだ。犯して、気持ちよくなって、男は女を好きにできるんだってわからせてやる!
「ほら出せー♡♡ 出しちゃえ♡♡ かっこいいクロードくんのエッチなもの出しちゃえ♡♡」
俺が思いっきり腰を打ち付けた時、こいつの中で果てた。射精した。精液を全部出し切る間、脳みそがぐちゃぐちゃに溶けるような感覚がした。
やりやすい体勢だったから、抱きしめながら最後の一滴まで振り絞っていると「汗くっつくから離れて」と言われそのまま手で押しのけられた。
俺の視線に気がついたのか、またニタニタと笑って脚を広げて見せてきたが、俺はすぐに目を逸らした。
「あ〜〜あ♡♡ 外でもいいって言ったのに、赤ちゃんできちゃったらどうしよう〜〜♡♡ クロードくん、その時は責任とってね♡♡」
莫迦が、と思った。
俺が黙っていると、クソ女が「あっ」と声を漏らした後に、「もう人語で喋っていいよ!」と指示を出してきた。
「…………」
「ちなみにだけどさ、あの時ワンワン鳴いてた時って、なんて言ってたの? 中がいいです! 中に出させてください〜! とかお願いしてた? アッハッハッ!」
クソ女が、横に置いた服を乱暴に取って着直した。
その時に、また背中を向けてきたから俺は傷跡をじっと見つめた。
これは成長期に入る前につけられた傷跡だろうか。かなり大きめの切り傷だから、包丁で切られたんだろうか? いや、あの狂信者の父親なら、レイピアで刻んでいてもおかしくないなと思っていた。
「クロードくん、お水欲しい?」
反射的に「ワン」と返事をしそうになった。だが、声に出す前に思いとどまった。
「…………いる」
「オッケー!」と返事をしてクソ女が扉から出た。そして直ぐに、水の入ったコップをふたつ持ってきて、そのうちの一つを俺に渡した。
「男は大変だね〜! 出したら終わり、って結構しんどくない? その分、身体のものが外に持っていかれるわけだしさ。疲れて当然だよね〜。あ、今日はお肉食べさせてあげようか? 結構、激しくやったもんね」
隣に座ってきた途端、俺が返事をする前にべらべらと次の話を始める。コップの中の水を飲んだ。冷たくて、美味しかった。
「クロードくん」
そして、クソ女がその水を一気に飲み干したあと、にっこりと目を細めて俺の顔を見た。
俺の手を取って、優しく握った。
「最後は私の名前を呼んで、バイバイしよう?」
その笑顔は、まるで恋する乙女のようだった。
いや、そもそもこいつは、俺のことをどう思っているんだろうかとふと考えた。別に、それを疑問に思うのは今に始まったことではないが、こういう表情を向けてくるとさらにわからなくなってくる。
そもそも俺を生かしたのは何故だろうか。あの時、吐いた俺を見てこいつは何を考えていたんだろうか。
俺は、明るく見える世界のことが好きだった。だけど信頼ができなかったのは、俺と同じ痛みを持ってはいないだろうと思っていたからだ。いや、もしかしたら黙っているだけで同じようなやつはいたのかもしれない。だけどそこは、不可侵の明るい世界で、黒の一滴を零すことすら許されなかった。
だから、父親じゃない人間が存在する暗い場所で、俺はこの女を憎み、恋をした。沸き立つ憎悪が、心臓をうるさくさせているのを恋と勘違いしているだけなのかもしれないが、それでも俺はこいつの背中の傷跡が愛おしかった。今は、恋だと信じることに決めた。いいや、思い込むことに決めた。
俺が今、言い直したのには意味がある。本音を言うと、俺は神も何も、信じてはいなかったからだ。俺にとって、神を信じないことはこの世の全てを信じないことと同義だった。
「ほら、クロードくん! バイバイしよ!」
クソ女がしつこく促してきた。俺は、ようやく口を開くことができた。
「ああ、フロロー。バイバイ」
名前を呼ぶと、また笑顔を向けてキスをしてきた。