誤字だったり、色々ミスがあるかもしれません。
オリジナル主人公が『食戟のソーマ』のヒロインたちとスケベしまくります。
苦手な方は絶対に読み進めないでください。
だいたい女性優位で、マジで×4前戯ばっかです(特に口)。
翌朝。
いけないと思いつつも──おれは竜胆の腹部に
横で眠っている彼女を見て、我慢できなくなってしまった。
「はあっはあっ! 先輩っ、先輩ぃっ!」
ぱちゅんっ、ぱちゅんっ。
薄暗いカーテンの隙間から差し込む朝の光の中、リズミカルで淫らな音だけが部屋に響き渡る。
「……んぅ……」
ふいに、下敷きになっていた竜胆が身じろぎした。
長いまつ毛が震え、ゆっくりと瞼が開かれる。蛇のような瞳が、すぐ目の前で夢中になって腰を振るおれの姿を捉えた。
寝起きでぼんやりとしていたその瞳は、現状を把握するなり、ピカンッと獲物を見つけたような鋭い光を帯びる。
「おーおー……人の胸を勝手に使って、朝からすっげー元気じゃんか」
怒るどころか、竜胆は楽しげに牙を覗かせて笑った。
彼女は仰向けのまま両腕を動かすと、巨乳を外側からギュッと寄せ集めた。
むにゅんっ! ぐにゅぅっ!
ただでさえ暴力的なまでの圧迫感が、竜胆自身のサポートによってさらに倍増し、熱く反り返った肉棒をこれでもかと締め上げる。
「あっはは! 先っぽがビクビク跳ねて、すっげー熱い! あたしが寝てる隙にこっそり搾り出そうなんて、いい度胸してんじゃねーか」
寝起きの少し掠れた声で色っぽく囁きながら、竜胆は艶やかな赤い舌でペロリと唇を舐めめぐらせた。下から見上げてくる金色の瞳は、すでに昨晩と同じ、いやそれ以上の飢えを宿してギラギラと発情している。
「どうせならもっと気持ちよくしてやるよ。ほら、遠慮しないでガンガン押し付けてこいって」
竜胆は下から腰を浮かせ、胸の谷間でおれの肉棒を激しく擦り上げながら、嬉々とした表情で煽り立ててきた。
「昨日の夜から新しく作られた、朝イチの特濃……一滴残らず、あたしの身体にぶちまけろっ!」
「はいっ、はいぃっ、竜胆先輩のおっぱいに朝ミルク捧げますぅっ!」
彼女のサポートのおかげで、全力で腰を振ることが出来た。
そのせいで、あっという間に限界が来てしまう。フィニッシュの瞬間、ぐぐぐっ……と腰を押し付け──。
「いッ!」
どくんっ! どくどくどくどく────!
勢いよく弾け飛んだ熱い白濁の飛沫が、竜胆の豊満な双丘をドロリと白く染め上げ、さらには彼女の頬や艶やかな唇にまで容赦なく降り注ぐ。
「うおっ……!? あっはは、すっげぇ勢い! どんだけ溜め込んでたんだよ!」
顔に浴びた熱い飛沫に一瞬目を細めた竜胆だったが、嫌がる素振りなど微塵も見せない。むしろ、唇の端に飛び散ったばかりの朝ミルクを、艶やかな赤い舌でペロリと舐め取った。
「んっ……ちゅる……ああ、マジで最高。寝起きにダイレクトにくる、この強烈なコクと旨味……昨日の夜とはまた違う、朝イチならではの特濃スパイスじゃんか」
竜胆は自身の胸の谷間にたっぷりと溜まった白濁液を人差し指ですくい上げ、チュパッと艶かしく咥え込んだ。
「んちゅ……じゅるるっ、れろ……んふっ。お前の朝ミルク、すっげぇ美味ぇわ。一日の始まりにこんな極上のエナジードリンク飲めるなんて、あたしは幸せ者だぜ」
指についた最後の一滴まで綺麗に舐め取ると、竜胆は笑った。顔や胸にべっとりと白い証を残したまま、至近距離まで顔を近づけてくる。
「こんなにいっぱい出してくれて、ありがとな。でも、顔についたヤツはあたしの舌じゃ届かねーんだ。ほら、お前が出した分だろ? 責任持って、あたしの顔中綺麗に舐め取ってくれよ」
朝の光の中、獲物を誘うような色っぽい上目遣い。
極星寮での記念すべき最初の朝は、甘く、そしてどこまでも濃厚な香りに包まれていた。
「はあっ……はあっ……んちゅ、れろっ……れろぉ……」
言われたとおり、自らの舌で彼女の顔についた精を舐め取っていく。
しかし、そのみずみずしい唇の近くについた白濁を舐め取ろうとして、おれはためらった。自らの唇と重なりそうになったからだ。
「ん? どうしたよ、こんなところでピタッと止まってさ」
竜胆は瞳を細め、悪戯っぽく笑った。
「なんだ、ここまで舐め取っておいて今さら照れてんのか? ……それとも、あたしから味見してほしいのか?」
言うが早いか、竜胆はおれの首の後ろに両腕を回し、グイッと強引に引き寄せた。
「んむっ……ちゅる、れろっ……じゅぷっ……!」
ためらっていたおれの唇を、竜胆の艶やかな唇が塞ぐ。そして、お互いの唇の周りについていた白濁を絡め取るように、熱く這い回る赤い舌が容赦なくおれの口腔へと侵入してきた。おれ自身の特濃ミルクと、竜胆の甘い唾液が混ざり合い、とろけるような味が口いっぱいに広がっていく。
「んちゅ……ちゅぱっ、じゅるるっ……んふっ……」
竜胆は目を閉じ、まるで極上のデザートを味わうかのように、深く舌を絡ませてその味を堪能する。やがて、艶かしい水音と共に銀の糸を引きながらゆっくりと唇が離れた。
「ぷはっ……! あっはは、お前、すっげーいい顔してんじゃんか」
真っ赤になったおれの顔を見て、竜胆は喉の奥で楽しげに笑う。白濁にまみれた自身の豊かな双丘をおれの胸板に押し付けたまま、満足げに目を細めた。
「お前が出したソースとあたしの唾液のブレンド、すっげぇ美味かっただろ? ……あーあ、朝からこんないいモン食わせてもらったら、今日も一日元気いっぱいで過ごせそうだわ」
竜胆はおれの鼻の頭にチュッと軽いキスを落とすと、おれから離れ、ベッドの上でゴロリと寝返りを打った。
「さてと! あたしはもう一眠りしてっから、お前は遅刻しないようにシャワーでも浴びてきな。今日の授業も、あたしの専属シェフとしてバッチリ生き残ってこいよー」
そう言うと、彼女はこちらのシーツを器用に体に巻き付け、猫のように丸くなって再びスースーと無防備な寝息を立て始めた。顔や胸におれの白い証をつけたまま眠る十傑第二席を背に、遠月学園での過酷な二日目が始まろうとしていた。
昨晩、創真と一色が料理対決をしていた事など、すっかり抜け落ちていた。
──遠月茶寮料理學園の朝は早い。
広大な敷地内には、白のコックコートを身に纏い、次なる調理実習に向けて足早に移動する生徒たちの姿が溢れていた。
昨日のローラン・シャペルによるフランス料理部門での出来事は、すでに同学年の生徒たちの間で噂として広まりつつあった。すれ違う生徒たちの何人かが、こちらに警戒と好奇の入り混じった視線を向けてヒソヒソと囁き合っている。
「あいつだろ、編入生なのに初日でシャペル先生を唸らせたっていう……」
「ああ。もう一人の編入生と一緒にA評価を取ったらしい。油断できない相手だ……」
過酷な競争社会である遠月学園においては、実力と結果こそが絶対的な評価基準となる。校舎内に足を踏み入れると、極星寮での喧騒とは打って変わり、生き残りを賭けた生徒たちが放つピリピリとした重圧と緊張感が空間を支配していた。
向かった先は、最新鋭の調理設備が立ち並ぶ巨大な実習棟。本日のカリキュラムも、生徒たちを容赦なく振るい落とすための厳しい課題が用意されている。
指定された調理室の中では、すでに数十名の生徒たちが自身の調理台につき、食材や器具の確認に余念がない。
遠月学園の過酷なサバイバル生活、その2日目の授業が今まさに幕を開けようとしていた。
「おはよう」
創真や恵を見つけ、挨拶しに行った。
「おう、おはよう!」
「そういえば歓迎会のあとなんかやってたけど、どうなったんだ?」
「ああ、昨日の夜のか?」
創真は手元の調理器具を点検しながら、ニカッと屈託のない笑みを浮かべて振り返った。
「一色先輩と軽く料理勝負してたんだよ。いやー、あの人、裸にふんどしエプロンなんて変な格好してるけど……マジで底知れねーわ。さすが遠月十傑ってとこを、ガツンと見せつけられちまったぜ」
ワクワクとした様子で語る創真。どうやら昨晩の勝負は、彼の料理人としての闘争心に火をつけたらしい。
しかし、その隣で作業台に向かっていた田所恵は、おれの声を聞いた瞬間「ひゃっ!?」と奇声を上げて肩をびくっと跳ねさせた。
「あ、お、おはよ、うご……じゃなくて、おはよう、カヅキくん……ッ!」
昨日の約束通り敬語を外そうと努めているものの、その顔は耳の先から首筋まで、茹でダコのように真っ赤に染まりきっている。彼女はおれの顔を一切直視できず、まな板の上の食材とおれの足元を猛烈な勢いで交互に見ながら、あわあわと両手を振った。
「わ、私っ、昨日の夜は途中で自分の部屋に戻っちゃったから……そのっ、カヅキくんのお部屋から聞こえた、すっごい声とか、お水みたいな音とか、全っ然、聞いてないからね!? ほ、ほんとだよ!?」
「ん? なんのことだ? ……ってか田所、お前さっきから顔すっげー赤いぞ。熱でもあんのか?」
「ち、違うの! 熱じゃないの、なんでもないのっ!!」
創真が不思議そうに首を傾げる横で、恵はギリギリの精神状態でパニックに陥っている。
どうやら昨晩の竜胆との特濃な情事の余波は、純情な彼女の心に凄まじい衝撃を刻み込んでしまったようだ。
「ま、いっか」
創真は深く追及することなく前を向き直ると、白衣の袖をまくり上げながら、調理室の教壇へと鋭い視線を向けた。
「それより、今日もまた厄介そうな課題が出そうだな。カヅキ、今日こそお前のあのすっげぇコクが出る裏技、俺にも見せてくれよな!」
楽しげに、しかし確かなライバル心を持って笑いかけてくる創真。
その時、調理室の前方の扉が開き、本日の担当講師が入ってきた。途端に、教室内を満たしていた生徒たちのざわめきがピタリと止み、肌を刺すような緊張感が空間を支配する。
遠月学園の容赦のないカリキュラム、その二日目がいよいよ始まろうとしていた。
ただ、それよりも──挙動不審な恵の様子と発言内容に、おれの額からはだらだらと汗が流れてくる。
一体いつから。
いや、もしかして全て聞かれていたのか。今日の担当講師や授業の内容など、おれの頭には入って来なかった。
上の空のまま、どうにか無事に二日目の課題もクリアして──放課後の廊下。
周りの生徒の雑談が聞こえてくる。
「研究会」がどうのこうの話していた。
聞き慣れない単語に首を傾げたおれに気づいたのか、隣を歩いていた恵がびくっと過剰に肩を揺らした。
「あ、えと……っ。け、研究会っていうのはね……」
彼女はどうしてもおれの顔を直視することができないらしく、瞳をせわしなく泳がせながら、ぽつりぽつりと説明を始めた。
「普通の学校でいう、部活動みたいなもので……中華料理とか、丼物とか、それぞれの専門分野ごとに集まって、学園から予算や専用の調理室をもらって研究する組織なんだよ。実績を出せば出すほど設備も豪華になるから、みんなすごく熱心で……」
「へえーっ! 部活ねぇ」
恵の説明に真っ先に食いついたのは、反対側を歩いていた幸平創真だった。彼は持ち前の料理への好奇心を爆発させ、ギラギラと目を輝かせている。
「面白そうじゃん! 色んなジャンルの料理が見れるのはすっげー勉強になりそうだな。俺たちも見学に行ってみねーか?」
創真が無邪気に提案してくる横で、恵は「け、研究……」と、その単語を口の中で反芻し、みるみるうちに首筋から耳の先まで真っ赤に染め上げていった。
(研究、研究……。昨日の夜、カヅキくんのお部屋から聞こえた、あのすっごい音と声……。あれも、竜胆先輩との……大人の研究、だったのかな……っ!?)
純情すぎる恵の頭の中では、昨晩のドア越しの生々しい音声が超高音質でループ再生されているのだろう。彼女はボンッ! と頭から目に見えるほどの湯気を吹き出し、両手で真っ赤な顔を覆って再びパニックになり始めた。
「わ、わたしっ、カヅキくんが夜にどんな激しい研究してても、誰にも言わないからね!? だから、安心していっぱい特濃……ひゃあっ!? な、なんでもないっ! 今の忘れてぇっ!!」
うっかりとんでもない単語が漏れ出てしまったことに気づき、恵は涙目になって首を千切れるほどの勢いで横にブンブンと振る。
一方の創真は、恵のパニックの真の理由など微塵も察することなく、「特濃? なんだそりゃ、どっかの濃厚な味付けを研究してる会か?」と呑気に首をひねっていた。
背筋に再び冷たい汗がツーッと伝い落ちる。
どうやら昨晩の情事は、恵の純白のキャンバスに強烈すぎる刺激を刻み込んでしまったらしい。
弁解のしようもない気まずさと、純真な少女の羞恥心が入り混じる放課後の廊下。
創真のペースに巻き込まれる形で、おれたちは遠月学園名物・研究会が立ち並ぶエリアへと足を運ぶことになってしまった。
遠月学園の敷地内にある研究会専用エリアは、並の大学のキャンパスすら凌駕するほどの広大な面積を誇っていた。
エリアに足を踏み入れた途端、あちこちの巨大な施設から香辛料の刺激的な匂いや、肉を焼く香ばしい煙、そして中華鍋を振るう小気味良い音が入り混じって押し寄せてくる。
「うおおおっ! なんだここ、すっげー美味そうな匂いがあっちこっちからしてきやがる。毎日が食の祭りみたいだな!」
創真は目をキラキラと輝かせ、キョロキョロと周囲を見渡しながら弾むような足取りで歩いていく。
「え、えっとね……」
恵はまだ少し頬に赤みを残し、おれの視線をチラチラと気にしながらも、一生懸命に案内役を務めようと口を開いた。
「学園から予算がたくさん出ている優秀な研究会は、あんな風に立派な調理棟を持ってるんだよ。例えばあっちの大きな中華風の建物は『中華料理研究会』で、その隣が『フレンチ研究会』……設備もプロ顔負けのものが揃ってるの」
恵が指差す先には、もはや一企業の研究所や高級レストランの本店と言われても信じてしまいそうなほど、豪華で真新しい施設が立ち並んでいる。遠月学園の豊富な資金力と、実力主義の恩恵が目に見える形で示されていた。
「へー、すっげぇな! ……ん?」
豪奢な建物群を眺めていた創真が、ふと足を止めた。
彼の視線の先、豪華な施設群から少し離れた日陰のエリアに、まるでプレハブ小屋のように古びてこぢんまりとした建物がポツンと建っていた。入り口の看板には、色褪せた文字で『丼物研究会』と書かれている。
「なんだあのボロっちい建物。……丼物? 丼の研究会なんてのもあんのか!」
「あ……丼研、だね。昔はすごく人気があった研究会なんだけど、最近は成績が振るわなくて、学園から予算をどんどん削られちゃってるみたいで……」
恵が少し同情するような声で補足する。
しかし、大衆食堂『ゆきひら』の跡取りである創真にとって、丼物という親しみやすいジャンルは他の料理研究会よりも魅力的に映ったらしい。
「面白そうじゃん! 俺、丼物は結構得意だし、ちょっと見学していこうぜ」
創真は全く遠慮する様子もなく、ズンズンと古びた丼物研究会の扉へと向かって歩き出してしまう。恵は「あ、待ってよ幸平くん……!」と慌ててその後を追いかけた。
「ふーむ、丼物かあ」
二人の後に続いて、こちらも丼物研究会に邪魔することにした。
扉を押し開けると、外観のボロさに違わず、中は薄暗く埃っぽい空間だった。本来なら活気あるはずの調理台にはダンボール箱がいくつか積まれ、どこか片付け作業めいた物悲しい雰囲気が漂っている。
「ちわーっす! 丼研の見学に来たんですけどー!」
創真が元気よく声を張り上げると、部屋の奥でダンボールに丼鉢を詰めていた人影がビクッと肩を揺らした。
振り返ったのは、見事なリーゼントヘアに無精髭を生やした、恰幅はいいがいかにも気弱そうな先輩だった。
「け、見学……? 新入生か……」
彼はこちらを見るなり、ガクリとその場に膝をつき、両手で顔を覆ってズーンと重苦しいオーラを放ち始めた。
「来てくれたところ悪いが……この丼物研究会は、もうすぐ廃部になるんだよォ……。お前たちに見せてやれるものなんて、もう何もない……ッ」
「えっ!? 廃部って……どういうことですか?」
予想外の事態に、恵がおずおずと尋ねる。
リーゼントの先輩――丼研主将の
「俺は主将の小西……実は、学園の最高意思決定機関である遠月十傑評議会……その第十席、薙切えりな様の調理施設拡張計画のために、うちの研究会が目をつけられちまったんだよォ!」
薙切えりな。
その名前が出た瞬間、恵の顔からサッと血の気が引き、「ひゃっ……!」と小さな悲鳴を上げて縮こまった。
えりなの冷酷な噂は中等部上がりである恵も十分に知っているのだろう。完全に怯えきっている。
しかし、編入試験で直接えりなと対峙したはずの創真は、「へー、あいつか」と全く動じることなく、むしろ興味深そうに腕を組んだ。
「で? その十傑サマに目をつけられたら、なんで廃部になるんだ?」
「遠月学園において、部や研究会の存続を賭けて行われる公式の料理対決……『
小西は床をドンドンと叩きながら、ついに号泣し始めた。
熱気と活気に溢れていた他の研究会とは打って変わり、完全に絶望に支配された空間。
しかし、強敵や理不尽な状況を前にすればするほど燃え上がるのが幸平創真という男だ。
彼は泣き崩れる小西の前にしゃがみ込むと、ニカッと不敵な笑みを浮かべた。
「なんだ、その食戟って料理勝負で勝てば存続できるんだろ? だったら話は早ぇじゃんか!」
事もなげに言い放つ創真の言葉に、小西がパチクリと涙目を瞬かせる。
遠月学園の洗礼は、容赦なく次なるトラブルの渦中――学園の伝統である食戟の舞台へと、おれたちを引きずり込もうとしていた。
「とことん弱肉強食だな。そんな決闘まがいのシステムまであるとは」
おれは薙切えりなの顔を思い浮かべた。
丼研を潰そうとしている本人が勝負しに来ないのか。あるいは小西が情けなさ過ぎて、自分が出るまでもないという判断か。小西の立ち振る舞いを見てれば、申し訳ないが納得できる。
「あー……逆にチャンスなんじゃない? その肉料理のスペシャリストとやらがどれだけの腕か知らないけど……薙切えりなが直々に出向いてくるよりかは、勝算あるんじゃないの」
おれは励ますように言った。
「チャンスなわけあるかぁぁぁッ!!」
小西は床に突っ伏したまま、悲痛な叫び声を上げた。
「相手はあの
小西の言葉を聞き、背中に隠れていた田所恵が「ひぃぃっ……」とさらに小さく身をすくませる。
しかし、そんな絶望的な説明を聞いても、幸平創真の目の奥の炎は消えるどころか、ますます勢いよく燃え上がっていた。
「へえー、水戸グループねぇ。どんだけ上等な肉使ってくるか知らねーけど、面白そうじゃんか!」
創真はニヤリと好戦的な笑みを浮かべ、ドンッと自分の胸を叩いた。
「主将さんよ、その食戟ってやつ、俺が代わりに受けてやってもいいぜ? ま、勝ったらこの丼研の設備、好きに使わせてもらうって条件でさ!」
「お、お前……自分が何を言ってるのか分かってるのか!? 相手はあの水戸郁魅だぞ!? 万が一負けたら、退学させられるかもしれないんだぞォ!?」
小西が涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながら叫ぶが、創真は全く意に介していない。
その後ろで、恵が首を横に振っている。
「そ、そうだよ……食戟はお互いの大切なものを賭けて戦う、遠月の伝統的な決闘なの。もし負けたら、本当に学校を追い出されちゃうかもしれないんだよ……?」
ブルブルと震える恵の忠告。しかし、創真は「退学ねぇ」と呟きながらも、腕を組んで楽しそうに笑うだけだった。
「負けなきゃいいだけの話だろ。それに……」
創真はチラリとこちらへ視線を向けた。
「お前の言う通り、あの十傑サマが直々に来ねえなら、むしろチャンスだろ。……お前も、肉のスペシャリストがどんなもんか、見てみたくねーか?」
料理人としての血が騒ぐのか、創真はすっかりこの理不尽な決闘に乗る気になっていた。
遠月学園の絶対的な掟『食戟』。退学のリスクすら伴うその過酷な舞台への扉が、今まさに開かれようとしていた。
「負けたら退学は重すぎるなぁ。おれにはとてもとても……まあ、気にはなるけどな」
えりなの刺客ということは、緋紗子のようにイケてる女子なのだろうか。
そんな事を考えていた。
「おれがやるわけじゃないしな。幸平くんの初めての食戟、観戦させてもらうよ。どうせ
「薄情だなーお前! ま、特等席ですげぇもん見せてやるから楽しみにしてなって!」
創真はカラカラと笑いながら、全くプレッシャーを感じていない様子で肩をすくめた。
その横で、田所恵は「も、もうっ、二人とも冗談言ってる場合じゃないよぉ……っ! 退学になっちゃうかもしれないのに……っ」と抗議している。
「あ、ああ……そうだよ、お前ら逃げるなら今のうちだぞォ……っ!」
小西が鼻水を啜りながら顔を上げた、その時だった。
バンッ!!
ボロい丼研の扉が、外から蹴り破られるかのような勢いで乱暴に開け放たれた。
「……ずいぶんと
逆光を背負って立っていたのは、緋紗子の凛とした佇まいとはベクトルが全く異なる、強烈な存在感を放つ女生徒だった。
健康的な褐色の肌に、派手な金髪のショートヘア。
何より目を引くのは、その露出の多い服装と巨乳である。アメリカンスクール風と言うべきか、丈の短いブラウスの裾を結んでヘソを出し、胸元は大きく開いている。そこから星条旗ビキニに包まれた見事なたわわが覗いている。
「ひぃぃぃッ!! み、水戸郁魅ィィッ!!」
小西が悲鳴を上げて後ずさる。
彼女こそが、薙切えりなの尖兵にして肉料理のスペシャリスト、『
郁魅は鋭い吊り目を細め、獲物を値踏みするような肉食獣の眼光で室内の創真、そしておれをねめつけた。
「おまえら、編入生どもか。えりな様に楯突いた生意気な一年がいるって聞いてたが……ここで出くわすとはな」
郁魅は腰に手を当て、豊満な胸をさらに張り出しながら鼻で笑った。
「食戟を受けて立つって? はっ、笑わせるな。定食屋上がりとその取り巻きが、あたしの扱う最高級肉に勝てるわけがないだろ」
圧倒的な威圧感と、視覚的暴力とも言えるほどの扇情的な肉体美。
えりなの刺客はイケてる女子なのか、というおれの予想は、ある意味で完全に、そして想像以上の形で的中することとなった。
「へーえ。最高級肉ねぇ」
しかし、創真は郁魅の挑発と胸の谷間にも全く動じることなく、ニヤリと好戦的な笑みを深める。
「いいぜ。その食戟、受けて立つ。俺が勝ったら、この丼研の存続と……そうだな、お前がここ──丼研に入るってのはどうだ?」
「……ッ!? このあたしが!?」
郁魅の褐色の肌が怒りでカッと赤く染まる。彼女はギリッと歯を食いしばり、おれと創真をまとめて睨みつけた。
「いいだろう……その安い挑発、後悔させてやる! 負けたらお前ら全員、遠月から叩き出してやるから覚悟しろ!!」
宣戦布告と共に、郁魅は激しい怒気を振りまいて丼研を後にした。
他人の勝負とはいえ、遠月学園での生き残りを賭けた食戟の熱狂は、確実にすぐそばまで迫ってきていた。
ただ、創真と郁魅が会話している間、おれは無表情のまま──両手を股間の前で組んでいた。
郁魅が丼研を去ると、息を止めていたかのようにぜえぜえと息をつく。
「た、確かに、迫力あったな……おれの料理人としての
「おう! お前もそう思うか!」
創真は全く違うベクトルで目を輝かせ、無邪気におれの肩を叩いた。
純粋な料理への闘争心だけで興奮している創真には、おれがすっと前で手を組み、必死に腰回りを隠しながら不自然な姿勢をとっている理由など微塵も伝わっていない。
水戸郁魅の暴力的なまでの露出度と深い谷間は、朝に竜胆から搾り取られた身体に、再び──そして急激に特濃ソースの生産を促してしまっていた。ズボンの下では、すでに無視できないほどの熱と硬さが自己主張を始めている。
「カヅキくんも幸平くんも、すっごく前向きだね……。私、水戸さんの迫力だけで、もう足がガクガクで……」
田所恵が涙目でへたり込みながら、ブルブルと首を横に振る。
えりな派閥の武闘派である郁魅は恐怖の対象でしかない。彼女もまた、おれが別の意味で疼いてしまっていることには気づいていないようだった。
「よーし! 相手が最高級の肉を使ってくるってんなら、こっちもとびっきりの肉丼で迎え撃たねーとな!」
創真はやる気満々で白衣の袖をまくり上げると、まだ床でメソメソと泣いている小西主将に笑顔を向けた。
「主将さん! ちょっとこの丼研の厨房借りるぜ! 早速、水戸郁魅をぶっ倒すためのメニュー開発だ。カヅキ、田所、お前らも手伝ってくれよな」
もはや他人事として見学するだけでは済まされない空気が出来上がっていた。
創真のペースに完全に巻き込まれ、強制的に食戟の準備に参加させられることになったおれは、郁魅の刺激的な肉体を脳裏から追い出し、股間の熱をなんとかやり過ごしながら試作を手伝う羽目になるのだった。
「まあ、しゃーないか」
おれが食戟しても良かったかもしれない。
しかし、すでに創真vs郁魅が決定した以上はどうすることもできない。おまけに、郁魅の口ぶりからして──創真が敗北したらおれと恵まで遠月を追放されてしまいそうだ。