※この作品はR-18です。

オリ主と食戟のソーマ ~禁の皿~   作:江合生成貫夫

6 / 9
某AIで出力したものに手を加えた作品です。
誤字だったり、色々ミスがあるかもしれません。

オリジナル主人公が『食戟のソーマ』のヒロインたちとスケベしまくります。
苦手な方は絶対に読み進めないでください。

だいたい女性優位で、マジで×4前戯ばっかです(特に口)。
ただしエロ無し回。


恵の戸惑い

 

 

 

 

 

食戟当日。

 

遠月学園が誇る公式勝負の舞台、食戟闘技場。

すり鉢状になった巨大な会場は、勝負の行方を見届けようと集まった一般生徒たちで超満員となっており、割れんばかりの歓声と異様な熱気に包まれていた。

 

「ミートマスター! 水戸郁魅の登場だぁ──ッ!!」

 

実況の声が響き渡ると同時に、会場のボルテージが爆発的に跳ね上がる。

現れた郁魅は、昨日よりもさらに露出を増していた。炎柄のビキニトップにホットパンツという目に毒すぎる格好で、堂々たる足取りで入場してきた。彼女の傍らには、ドライアイスの白煙を上げる巨大な保冷ケース。中には、芸術的なまでに美しいサシが入った最高級のA5ランク和牛の塊が鎮座している。巨大なモニターにその極上の肉が映し出された瞬間、観客席からは「おおおおっ!」と地鳴りのような歓声が上がった。

 

一方で、対戦相手として入場してきた幸平創真に対する扱いは、完全にアウェーそのものだった。

「帰れ定食屋!」「どうせスーパーの安い肉だろ!」「水戸様の肉料理の前にひれ伏せ!」という、容赦のない野次と嘲笑が会場の四方八方から飛び交う。

 

観客席の最前列に設けられた関係者席では、丼研主将の小西が「もうダメだぁ……俺の丼研は終わりだぁ……」と頭を抱えて白目を剥きかけている。隣にいる田所恵も、完全に闘技場の空気に呑まれてガチガチに震えていた。

 

しかし、そんな四面楚歌の状況でも、当の創真は全く動じていなかった。

彼は手首に巻いていた白いハチマキを解くと、ゆっくりと額に結び、ニカッと不敵な笑みを浮かべて郁魅を見据える。

 

「テーマは『肉をメインとした丼物』! 審査員は厳正なる審査を行う食の権威が3名! ……それではこれより、丼物研究会の存続を賭けた食戟を――開始する!!」

 

ゴォォォォンッ!! と。

闘技場に、調理開始を告げる重厚な銅鑼の音が鳴り響いた。

えりなの刺客である肉料理のスペシャリストと、底知れないバイタリティを持つ編入生の、互いの意地を賭けた激突がいよいよ幕を開ける。

 

「相変わらずすんごい。マジでおっ……お肉の侵略者じゃん」

 

おれは目を見開き、席から立ち上がりそうになっていた。郁魅のお肉──という名の巨乳を目にして、股間も勃ち上がりそうになっていた。

 

それから実況席の方を見て、「なんだあれ?」と疑問を口にする。

 

「えっとね、あの子は……」

 

恵が説明してくれた。

この食戟の実況を務め、アイドル顔負けの可憐な笑顔で会場の熱狂を煽っているのは、後頭部に大きなリボンを結んだ黒髪の女生徒――川島(かわしま)麗(うらら)だ。彼女がカメラに向かってウインクを飛ばし、「さぁぁぁっ、始まりましたァ!」と甘い声を上げるたびに、男子生徒たちから地鳴りのような野太い歓声が上がっている。

 

その喧騒から切り離された場所。闘技場全体を特等席で見下ろせる、はるか上層のVIPバルコニーに、ひときわ異彩を放つ二つの人影があった。

 

長い金髪をふわりと揺らし、冷徹な紫の瞳で眼下の盤上を見下ろす薙切えりな。

そしてその斜め後ろには、えりなに付き従う赤紫色のショートヘアの秘書、新戸緋紗子の姿もある。

 

遠目からでも、えりなと緋紗子が制服の下に豊満な質量を隠し持っていることは一目でわかる。えりなの絶対的な女王のオーラと、緋紗子の凛とした佇まいは、騒がしい闘技場の中でもそこだけ空気が張り詰めているかのような威圧感を放っていた。

 

えりなは腕を組み、退屈そうに紫の瞳を細めている。彼女にとって、この食戟は『自分の意に沿わない目障りな編入生を、手駒を使って排除する』ための、ただの消化試合に過ぎないのだろう。

 

「さァァァッ! 両者、調理に取り掛かりました!!」

 

麗の甲高い実況が響き渡る。

眼下の闘技場では、水戸郁魅が炎柄のビキニトップからこぼれ落ちそうな双丘をダイナミックに揺らしながら、巨大な肉切り包丁で最高級のA5ランク和牛の塊に鮮やかに刃を入れていた。彼女の健康的な褐色の肌に汗が滲むたび、肉感的な太ももや深い谷間が巨大モニターに大写しにされ、会場の熱気と男たちの視線はさらに下世話に跳ね上がる。

 

対する創真は、完全なアウェー空間と郁魅の暴力的な色気にも全くペースを乱すことなく、スーパーの特売パック肉を取り出し、鼻歌交じりに玉ねぎを猛烈な勢いで刻み始めていた。

 

えりなの冷たい視線が上空から注がれる中、丼研の未来――そして創真の退学を賭けた決戦の火蓋が、ついに切って落とされた。

 

「ここまで来たら、おれたちは見守るだけだ……まあ、あれだけ手伝ったからね。あのお嬢様の舌を唸らせた彼の実力は本物だ……大丈夫さ」

 

どっしりと構えていよう。おれたちは創真の勝利をただ見届ければいい。

 

「カヅキくんがそう言うなら……う、うん。幸平くんを信じるよっ!」

 

おれの落ち着いた声色に、田所恵はギュッと両手を胸の前で握りしめ、祈るように闘技場を見つめた。

しかし、隣の小西は「だ、だが相手はあのミートマスターだぞォ!? 見ろよあの肉の圧倒的な違いをォォッ!」と、頭を抱えて涙と鼻水を撒き散らしている。

 

眼下の闘技場では、水戸郁魅がその圧倒的な肉の知識と技術を遺憾なく発揮していた。

 

「さぁさぁ水戸選手、最高級A5ランク和牛の分厚い肉塊に、一切の躊躇なく刃を入れていきますッ!」

 

川島麗の甲高い実況と共に、郁魅が巨大な肉切り包丁を勢いよく振り下ろす。ドンッ! という力強い音と共に、炎柄のビキニトップから零れ落ちそうな規格外の双丘が、ブルンッ! と暴力的な質量を伴って激しく揺れ動いた。

 

熱したフライパンに極上の肉が投下されると、ジュァァァァッ!! と凄まじい音が弾け、闘技場全体に和牛特有の甘く濃厚な脂の香りが一気に爆発する。

「おおおおおっ!!」「すげぇ匂い!」「水戸様ぁぁぁっ、こっち向いてぇぇッ!!」

視覚的な暴力とも言える色気と、嗅覚を強制的に支配する極上の匂い。観客の男子生徒たちの熱狂は、瞬く間に最高潮へと達した。

 

はるか上空のVIPバルコニーでは、薙切えりながふわりと長い金髪を揺らし、「ふん……当然の反応ね」と、退屈そうに紫の瞳を細めている。その後ろで控える新戸緋紗子も、絶対の自信を持つ主の言葉に静かに頷き、勝負の行方を冷徹に見下ろしていた。

 

一方の幸平創真はといえば、観客席からの容赦ないブーイングや郁魅の派手なパフォーマンスなどどこ吹く風。

昨日、おれや恵たちと共に丼研の厨房で仕込んだ通り、大量の玉ねぎの微塵切りを使ってスーパーの特売肉を極限まで柔らかくする『シャリアピンステーキ』の工程を、鼻歌交じりに淡々と、しかし研ぎ澄まされた集中力で進めている。

 

郁魅の派手な『動』と、創真の揺るぎない『静』。

全く異なるアプローチで丼が完成へと近づくにつれ、闘技場には和牛の暴力的な香りに混じって、創真の鍋から漂う赤ワインと醤油ベースのソースの香ばしい匂いが、静かに、しかし確実に広がり始めていた。

 

「残り時間わずか! 両者、最後の仕上げに入りましたァッ!!」

 

麗の実況が会場のボルテージをさらに一段階引き上げる。

熱狂のるつぼと化した食戟闘技場に、運命の審査の時が刻一刻と迫っていた。

 

「うおぉ……ま、マジで……ヤバいな」

 

こちらは思いっきり目を見開いていた。食戟中、七割は郁魅に視線を向けていた。

もちろん、勝負はきちんと見ている。決して郁魅の胸だけしか見ていないわけではない。断じて違う。

 

──しばらくして。

 

「調理、終了ォォォッ!!」

 

川島麗の甲高い声と共に銅鑼が鳴り響き、闘技場の熱気は最高潮のまま、運命の審査へと突入した。

 

先行は水戸郁魅。彼女が審査員席にドンッと自信満々に置いたのは、ガーリックライスの上に花びらのように美しく並べられた『A5和牛のロティ丼』だった。

審査員たちが一口頬張った瞬間、闘技場に絶叫が響き渡る。

 

「おおおおおっ! 噛むほどに溢れ出す極上の肉汁ッ! 暴力的なまでの和牛の旨味ッ!!」

 

審査員たちはあまりの美味さに顔を紅潮させ、恍惚の表情を浮かべて身悶えした。郁魅は誇らしげに鼻で笑い、腰に手を当てる。

 

「や、やっぱり水戸さんの和牛、すごすぎるよぉ……っ」

 

恵が絶望的な表情で両手を合わせる中、幸平創真はニカッと笑って自身の品を差し出した。

 

「おあがりよ! 『ゆきひら流・シャリアピンステーキ丼』だ!」

 

スーパーの特売肉。その事実に最初は鼻で笑い、「こんな安肉がA5和牛に勝てるわけがない」と見下していた審査員たちだったが――一口食べた途端、その動きが雷に打たれたようにピタリと止まった。

 

「な……なんだこの肉の柔らかさはァァッ!?」

 

大量の玉ねぎの酵素によって極限まで柔らかくなったステーキ。さらに、ご飯に密かに忍ばせていた練り梅のさっぱりとした酸味が、肉の脂っこさを完璧にリセットし、いくらでも腹に入っていく魔法のどんぶりへと昇華させていた。

 

「肉の美味さだけを追求し、ご飯が完全に脇役になってしまっていた水戸選手の丼に対し……幸平選手の品は、肉とご飯が一つになった完璧なる丼物だッ!!」

 

結果は――満場一致の3対0。

幸平創真の、完全勝利だった。

 

「……ば、馬鹿な……あたしのA5和牛が……定食屋の安肉に……負けた、だと……ッ!?」

 

郁魅はその場にガクリと膝をつき、信じられないというように吊り目を見開いた。

ショックで荒くなった呼吸に合わせて、露出度の高すぎるビキニからこぼれ落ちそうな下乳と深い谷間が、激しく上下に揺れ動く。敗北の屈辱に染まった褐色の肌、汗ばんだ肉感的な太もも、そして強気だったミートマスターが見せる、かつてないほど無防備で扇情的な呆然とした姿。

 

「よっしゃあ! これで丼研は存続だな、主将さん!」

 

創真が白いハチマキを解きながら笑う横で、小西は「うおおおんっ! 幸平ァァッ!」と男泣きしている。恵も「よ、よかったぁ……っ!」とその場にへたり込み、ホッと安堵の涙を流していた。

 

はるか上空のVIPバルコニーでは、薙切えりなが「……チッ」と酷く不機嫌そうに舌打ちをし、新戸緋紗子を連れて無言で踵を返していく。

 

熱狂に包まれる闘技場。底辺と蔑まれた定食屋の編入生が、十傑の刺客を正面から打ち破るという大番狂わせ。

極星寮の仲間たちと丼研が歓喜に沸く一方で――膝をついて荒い息を吐く郁魅の扇情的な敗北姿は、皮肉にも、隠しきれないほどに限界を迎えつつある特濃の熱を、さらに痛いほどに刺激し続けていた。

 

おれは深呼吸した。「むんっ!」という声と共に勃起を鎮め、ゆっくりと立ち上がる。

 

「お見事、これで退学は免れたな」

「おう! だから言っただろ、俺に任せとけって!」

 

創真は手首に巻き直した白いハチマキをポンッと叩き、ニカッと屈託のない笑みを向けた。退学という重すぎるペナルティを背負っていたにもかかわらず、その顔にはプレッシャーの欠片も残っていない。

 

「水戸さんもすごかったよ。なんていうか、その……迫力が伝わってきた」

 

色んな意味で。

 

盤上で力なくへたり込んでいた水戸郁魅は、おれの言葉にビクッと肩を揺らした。

 

「なっ……! ど、同情なんかするんじゃねぇっ! あたしは……このあたしが、こんな定食屋の安肉に負けたんだぞッ!」

 

郁魅は緑色の吊り目に悔し涙を浮かべ、ギリッと強く歯を食いしばる。敗北の屈辱と動揺で、その健康的な褐色の肌は耳の先まで赤く染まっていた。

しかし、「迫力が伝わってきた」というおれの言葉と、同時に向けられた視線の意味――自分の扇情的な姿を見下ろす男の熱を帯びた眼差しに気づいたのか。彼女はハッとして、炎柄ビキニの胸元を隠すように両腕を交差させた。

 

「っ……! お前、さっきからどこ見て……! ば、馬鹿にしてんのかッ!?」

 

強気で好戦的だった『肉の侵略者』の面影はどこへやら。涙目の上目遣いでおれを睨みつけてくるその姿は、勝負に負けたショックも相まってひどく無防備で弱々しい。交差された両腕によって規格外の双丘がむにゅっと強調され、深い谷間を伝い落ちる汗の雫が、否応なしに男の視線を惹きつける。

 

極限まで短いデニムのホットパンツから伸びる肉感的な太ももを震わせながら、郁魅はぷいっと顔を逸らした。

 

「……ちっ。勝負は、勝負だ……っ。このあたしが、丼研に入ってやるよ……ッ!」

「おおっ! これで丼研も安泰だな、主将さん!」

 

「うおおおんっ! 水戸郁魅が仲間になるなんて、夢にも思わなかったぞォォッ!」

 

小西主将が歓喜の鼻水を撒き散らして床に突っ伏し、その横で田所恵も「よ、よかったねぇ……っ」と心底ホッとしたように胸を撫で下ろしている。

 

「ま、そういうわけだ! これからよろしくな!」

創真が明るく手を差し出すと、郁魅は「気安くすんじゃねぇッ!」と顔を真っ赤にして怒鳴りながらも、その手を払いのけることはしなかった。

 

十傑の刺客を退け、見事に丼研の存続を勝ち取った創真の初陣。

そして、暴力的なまでの色気を放つ新たな仲間の加入。遠月学園での過酷な日々の中に、また一つ刺激的な火種が投げ込まれた瞬間だった。

 

──その夜。

 

「ふう……」

 

こちらはいつものように、自室でくつろいでいた。ただし、極星寮はいつもの静寂……とは程遠い、どこか浮き足立ったような空気に包まれていた。

えりな派閥の武闘派・水戸郁魅を下したという大金星。幸平創真が巻き起こした痛快な波紋は、すでに寮生たちの間でも大きな話題になっている。

 

コンコン、と。

一息ついていた302号室の扉が、不意に控えめな音を立てた。

 

「あ、あの……カヅキくん、起きてる……?」

 

扉の向こうから聞こえてきたのは、おずおずとした田所恵の声だった。

静かに扉が開かれると、廊下には部屋着姿の恵が立っていた。瞳をせわしなく泳がせている。手には、寮生たちで持ち寄ったらしいお茶やおつまみが乗ったお盆がしっかりと握られていた。

 

「えっとね、幸平くんの食戟の勝利祝いに、これから丸井くんの部屋で宴会をやろうってことになって……みんな集まってるから、カヅキくんもどうかなって、呼びに来たの」

 

一生懸命に用件を伝える恵だったが、その顔はみるみるうちに茹でダコのように真っ赤に染まっていく。

彼女の視線は、おれの顔と、その後ろにあるベッドを猛烈な勢いで往復していた。昨晩、竜胆とおれが繰り広げていた『大人の研究』の生々しい水音――そして、竜胆が大量の白濁を飲み込んでいた卑猥すぎる光景の想像が、純情な彼女の脳内でフラッシュバックしているのは明白だった。

 

「あ、あわわっ! む、無理しなくていいからね!? カヅキくん、今日も一日中、その……色々と特(・)濃(・)な……じゃなくて、大変だったと思うし! もし疲れてたら、そのままベッドでゆっくり……あっ! べ、ベッドとか言ってごめんなさいっ!!」

 

頭から湯気を吹き出し、恵はお盆を持ったままアワアワと涙目でパニックに陥り始めた。

 

「もういい、恵さん……スマン」

 

ひたすらに慌てている彼女に対して、こちらは謝罪した。

 

「おれの落ち度だ……まさか君がいるとは思わなくて。全部聞いてたんだろ?」

 

彼女はビクゥッ! と肩を大きく跳ねさせた。

 

「ひゃあっ!? ば、バレて……!? ち、違うの、決して覗き見しようとか、そういうやましい気持ちじゃなくて……っ! 宴会でいなくなっちゃったから、お水を持っていったら、たまたま、その……お部屋から、すっごい音と……先輩の……声が、聞こえちゃって……っ!」

「ああ、分かってる」

 

必死に弁解する彼女に対して、おれは言った。

 

「実はおれ、秘密があってさ」

 

こちらの静かな告白を聞き、恵はピタリと動きを止める。

持っていたお盆を胸の前でギュッと盾のように抱きしめ、みるみるうちに顔の赤みを増していく。

 

「ひ、秘密……? カヅキくんの……?」

 

純情な彼女の頭の中では、昨晩の情事と、今から明かされるであろうおれの秘(・)密(・)が直結してしまっているのだろう。変に勘ぐってしまっているのか、瞳をまん丸に見開いて、ゴクリと細い喉を鳴らした。

 

「わ、わたしなんかが……そんな大事なこと……聞いても、いいの……?」

 

恐怖と、少しの好奇心。薄暗い極星寮の廊下で、恵は逃げ出すこともできず、小動物のように上目遣いでこちらをジッと見つめ返していた。

 

「ああ。でもその前に、勝利の宴に行こうか。みんな待ってる、だろ?」

 

彼女に秘密を明かすのは、後でも良いだろう。

 

「ごめんね、もったいぶっちゃって」

「ふぇ? あ……う、うんっ! わ、わかった……!」

 

一瞬ぽかんと瞬きをした恵だったが、我に返ると慌ててコクコクと何度も頷いた。

ホッとしたような、それでいて秘密という言葉に強烈に後ろ髪を引かれるような、好奇心と緊張が入り混じった視線をおれの背中に投げかけながら、お盆を抱えてパタパタと小走りでついてくる。

 

205号室――極星寮の自室を半ば強制的に宴会場にされている丸井善二の部屋に近づくにつれ、木造の扉越しでもわかるほどの騒々しい笑い声と、食欲をそそる匂いが漂ってきた。

 

ガチャリと扉を開けると、そこはすでに熱気あふれるカオスな空間と化していた。

 

「おっ! カヅキのやつも来たな!」

「あははっ、二人とも遅いよー! 待ちくたびれちゃった!」

 

オレンジ色のシニヨンヘアを揺らして元気よく出迎えてくれたのは吉野悠姫だ。

その奥では、本日の主役である幸平創真が「いやー、やっぱ丸井の部屋はくつろげるぜ!」とニカッと笑いながら、唐揚げを頬張っている。当の丸井本人は「僕の部屋を勝手に宴会場にするなと何度言ったらわかるんだ……!」と部屋の隅で涙目で抗議していたが、当然のごとく全員からスルーされていた。

 

「いらっしゃい、二人とも。幸平くんの大金星のお祝いなんだから、今日はどんどん食べて飲んでね」

 

悠姫の隣から上品に声をかけてきたのは、長い赤髪をかき上げた榊涼子だった。

ふわりと大人の色気を漂わせながら微笑む彼女の、ゆったりとした部屋着の胸元。そこには、竜胆や水戸郁魅にも引けを取らないほど規格外に豊満な双丘が収まっており、彼女が少し身を乗り出すたびに、たわわに、そして無防備に揺れ動いている。

 

「あはは……相変わらずだね……」

 

恵は苦笑しながらも、すっかりいつもの極星寮の賑やかな空気に安心したのか、ようやく顔の赤みを引かせてホッと肩の力を抜いた。彼女がお盆をテーブルに置くと、裸にふんどしエプロンという相変わらず奇抜な格好の一色慧が「さぁ、主役たちも揃ったことだし、改めて乾杯といこうじゃないか!」と上機嫌にグラスを掲げる。

 

しかし、恵が安心できた一方で、おれにとっては試練の時間の継続だった。

部屋中に充満する熱気、すぐそばで無防備に笑う涼子の豊満な胸元、そして先ほどの恵との薄暗い廊下でのやり取り。水戸郁魅の姿で刺激され、未だに完全には引いていない熱が、ズボンの下で再びじわじわと自己主張を強め始めている。

 

「ほらカヅキくん、こっち座りなよ! 乾杯しよっ!」

 

悠姫が無邪気におれの腕を引っ張り、宴の輪の中心へと引きずり込んでいく。

極星寮の夜は長く、そして賑やかに更けていく。おれが恵に明かそうとしている『秘密』と、限界に近い熱を孕んだ身体を、ひとまずはこの喧騒の中に隠しながら。

 

「幸平くんの勝利を祝って、乾杯」

 

自らの熱をごまかすように、周りと楽しんだのだった。

 

あっという間に夜も更け、宴もお開きとなった後──おれは部屋に戻った。

 

どさり、とベッドに倒れ込む。

郁魅のせいで溜まっていた熱は、夜になるまでに落ち着かせたはずだった。

 

「はあ、落ち着け」

 

うつ伏せになりながら、深呼吸する。

 

宴の余韻と熱気がまだ微かに残る極星寮。しかし、深夜に差し掛かった木造の廊下は、すでにしんと静まり返っていた。

 

――コンコン、コンッ。

 

その時。

静寂に包まれた302号室の扉から、小動物がつつくような、ひどく控えめで遠慮がちなノックの音が鳴った。

 

「あ、あの……カヅキくん。まだ、起きてるかな……?」

 

扉の向こうから聞こえてきたのは、宴会を終えて自分の部屋に戻ったはずの、恵の小さな声だった。

 

「さっき、廊下で言ってた……カヅキくんの秘密って、なんだったのかなって……その、どうしても気になっちゃって……」

 

ギシッ、と。

扉の向こうで彼女が体重を移動させたのか、古い床板が微かに鳴る。

 

「もう寝ちゃってたら……明日でも、全然いいんだけど……っ」

 

純情で警戒心の薄い彼女は、扉の向こうでおれが今、他の女子たちの色気に当てられて限界近くまで熱を溜め込んでいることなど微塵も知らない。

おれが約束した秘密を聞くために、無防備にも自ら男の部屋――しかも昨晩、小林竜胆との凄まじい情事が繰り広げられたまさにその現場へと、一人で足を運んできたのだ。

 

薄暗い302号室に、恵の戸惑うような甘い吐息と、おれの荒くなりかけた呼吸の音だけが静かに交差していた。

 

 

 

 

 

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