女帝・緋村怜華、恥じらい乙女に還る夜~部下の俺はギャップにもう限界です~【毎話読み切り】 作:ren_hameln
23時過ぎ。
ようやく帰宅した
部下の不始末を部長として一身に背負い、上層部から理不尽に詰められた、そんな一日。
怜華は持ち前の責任感の強さから、誰にも言えずに一人で抱え込み、自分を責め続けていた。
食事をとる気力もなく、エンドレス脳内反省会に苛まれていた怜華に、一通のLINEが届く。
「今から行きます」
部下であり、また恋人でもある、
* * *
「すいません、こんな時間に」
再三断ったにもかかわらず押しかけてきた悠斗は、会うやいなやビニール袋からコンビニスイーツを二つ取り出して、やや性急に突き出した。
「まずはこれ食いましょう。あ、怜華さんは座っててください。皿、出してきますっ」
こういう時は甘い物が有効だと、悠斗はよく理解している。小さい頃から、姉に鍛えられている。
もっとも姉なら、とりあえずコンビニスイーツなんていう魂胆に冷ややかな目を向けそうなものだが、怜華はこういう扱いに慣れていない。素直に驚いている。
「わ、ありがとう……。でも、こんな夜中に食べて、大丈夫かしら」
「こういう時のために日頃から節制してんじゃないですか。でも無理はしないでください。とりま俺は食いますよ。てか俺が食いたくて買ってきたんで」
言い終わらないうちに、皿に出したチョコケーキにフォークを突き刺し、雑に食べ始める。
「ていうか、何なんですか、昼間のあれ」
家に来た時から妙に苛立ちを隠せなかった悠斗は、食べながら不満を爆発させていく。
「俺、知ってますよ。元はといえば
「それが上司の役割なの。部下のミスは私の責任」
「でも中田の野郎、全然反省してなかったですよ。あとあいつ、あの専務……怜華さんがどんだけうちの会社に貢献してるか知りもしないで」
「私の実力が足りないのは事実。専務は最近うちに来られた方だから……私も話をしたのは初めてだし」
「部長が女だからって舐めくさって……色仕掛けで出世したみたいな言い方しやがって……くっそ、あのゲス野郎、許せねえ……!!」
「ちょっと、悠斗くん、落ち着いて……」
苛立ちを隠せない悠斗に、怜華は少々困惑しながらケーキを口に運ぶ。
だが、悠斗の言葉に、ほんの少しだけ気が楽になった気がした。
わざわざ慰めに来てくれたことに、申し訳なさと嬉しさが心中で渦巻く。
一足先に爆速で食べ終わった悠斗は、ようやく一息ついた様子で話を続ける。
「とにかく怜華さんって、こういう時、抱え込んじゃうタイプだからさ」
「本当にありがとう。でも、大丈夫よ。慣れてるから」
「もっと俺を頼ってくれていいんですよ」
「これは私の問題だもの。部下のあなたを、巻き込むわけにはいかない」
ガタッ、と大きな音がリビングに響く。
悠斗は無意識に、立ち上がっていた。
「じゃあ、なんですか。俺と怜華さんは」
小さく肩を震わせて、驚いた顔の怜華を見下ろす。
「……つきあってるとか以前に、上司部下でしかないってことですか」
言葉が止まらない。止められない。
「辛いこととか、理不尽なこととか、そういうの、分け合うのが恋人なんじゃないんですか」
(何やってんだよ、俺……。怜華さんのことが心配で来たのに、何キレてんだよ……)
肩で息をして、悠斗は黙り込む。
大人げない理想論であることは、自覚していた。
怜華の抱える事情をどうにもできない不甲斐なさが、ただひたすら、悔しい。
「違う、私、そんなこと言ってない!」
そんな強い反発が、自分の口から飛び出したことに、怜華は驚く。
そして。
「あ……」
ようやく、怜華も気がついた。
立場に気を取られ過ぎて、本当の気持ちを押し殺していたことに。
「ごめんなさい、そっか、私……やっと、気づいた。ほんとは……」
静かに立ち上がった怜華は、棒立ちでうつむく悠斗に近づくと、ぎゅっと抱き締めた。
絞り出すように言う。
「悠斗くんが怒ってくれて……嬉しかったんだって」
怒ってくれて、嬉しい。
それは、ずっと一人で生きてきた怜華が。
自分の感情を、自分だけで処理してきた怜華が。
初めて抱いた感情だった。
「もちろん、仕事と私情は分けないといけないし、上司としてはこんなの失格かもしれない。だけど、本当は嬉しかった、すごく」
怜華の腕に力がこもる。
「……ごめんなさい、自分の感情を、他人と共有するの、慣れてなくて」
「怜華、さん……っ」
悠斗も怜華の背に、そっと腕を回す。
そのまま固く抱き合う。互いの心地よい熱と圧力とを、ただ全身で受け止める。
「ごめん、俺のほうこそ、ちょっと大人げなかった」
怜華の華奢な背中を撫でながら、悠斗はどこか、自分に言い聞かせるように呟く。
「……でもさ、怜華さんも、もっと大人げなくなってほしいんです」
「えっ」
「そうやって、自分の気持ちすら押し込めて、強く正しくあり続ける……。俺は怜華さんのそういうところ、マジで尊敬してるし、仕事の時はそれでいいと思うんです。だけど、たまには」
怜華の頬を両手で包み、目の前の美しい切れ長の瞳を覗き込む。
「弱音を吐きたいとか、愚痴りたいとか……そういう気持ち、無視しないでほしい」
低い声で、念押しするように。
「そういうときのために、俺はいたいんです。一緒に愚痴ってもいいし、嫌なこと全部忘れて逃避したっていい」
そうありたい、怜華さんにとって、そういう存在になりたい、と願いながら。
俺は無力だ。怜華さんみたいな、強さもない。
だけど、この人を——俺は、守りたい。
「怜華さん──女帝の鎧、自力で脱げないときは」
こんなとき俺が、できることは。
ひとつしかない。
「俺が、容赦なく脱がしますから」
怜華の頬に涙が伝い、頬を包む悠斗の指先を濡らす。
そのまま彼女の顔を引き寄せ、そっと軽く口づけすると、ほんのりと涙の味がした。
「んっ……ゆう、くん……」
怜華さん、と悠斗は囁いた。
「もう今日は何もしなくていいんで、あとは俺に抱かれて寝てください」
* * *
怜華さんは乳首が弱い。
これまでの夜の営みを通じて、悠斗はそう実感していた。
だから今日は、徹底的にそこを責める。
俺の全力で、ひたすら気持ち良くして、嫌なことを全部忘れさせてやる。
ブラウスの下から、黒のシンプルなキャミソールが現れる。
だが、まだ脱がさない。その下のブラだけを器用に外して引き抜く。
黒い布地に二箇所、小さな突起が出っ張っている。いわゆる胸ポチである。
はやる気持ちを抑え、悠斗はまず胸全体を布ごと、優しく揉みほぐしていく。
控えめな膨らみが、手のひらの中でやわやわと揉みしだかれる。
「んっ……」
円を描くように周囲をさすってから、おもむろに、両方の頂にそっと人差し指の腹を乗せる。
「ひゃぅっ……!!」
柔らかい小粒のマシュマロのようなふにょんとした感触が、布を通して指先に伝わる。
そのまま、少しだけ指先に力を加えて、上下左右にと
触感が変わる。頼りなかった先端が、次第に存在を主張し始める。この瞬間がたまらない、と悠斗は思う。
「ああ……あ、あ、」
目を瞑った怜華がせつなそうに眉を寄せる。小さな口から熱い息が漏れ始める。
引っ張られた布が与える絶妙な摩擦に、いつもより軽い刺激なのに声が出てしまう。
「はぁあ……あん……」
親指と中指で側面を挟み、少し立てるようにする。
てっぺんを人差し指の爪の先で、可能な限り軽く、かりかりとこする。
瞬間、怜華の体が跳ね、身をよじった。
「あああ……っ! やっ! はぁんっ!」
直接より布越しのほうが怜華の反応がいいことを、悠斗はすでに知っている。
怜華が好きな、下側の部分をかりかりしてみる。
「ああぁぁ……! あう……っ!」
「いいよ怜華さん……。もっといい声で鳴いて、さあ」
「ああっ、あんっ」
「きもちい?」
「あっ……、きもち……っ」
「布越しにこんな摘ままれちゃって、腰くねらせちゃって、えっちだね……れいちゃん」
「ああんっ……やっ……」
指の腹を少し強めに圧し付け、高速で左右に震わせると、怜華は「あああああっ」と細い叫び声をあげて仰け反った。
はあはあと息を荒げる、小さな唇。その動きはどこかなまめかしくて吸い込まれそうで、我慢できずに顔を近づけ、吐息と唾液を交わす。
「んむっ……」
んちゅ、ちゅぱ、と貪るように口を動かし、差し入れた舌でまさぐる。
されるがままになっていた怜華の舌が、やがておずおずと、応え始める。その行為に、悠斗の胸が熱くなる。
薄目を開けると至近距離で、彼女の紅潮した頬が熱を帯びている。愛おしさに、何も考えられなくなる。
暴発しそうな劣情を心の中で
まだだ。まだ、キャミすら脱がせていない。
口を離し、見つめ合う。
キャミの裾に手をかける。彼女が目で、肯定の意志を返した。
たくし上げると、形の良い二つの膨らみが現れる。その先端には、すでに硬く尖った、淡い桜色の突起。
まず、乳房全体を手のひらで包み込み、瑞々しい柔らかさを味わう。
手のひらに少し余るくらいの、極上の触り心地。少し汗ばんだ肌が吸い付き、ふにふにと自在に形を変える。
永遠に触っていたい安心感に、溺れたくなる。
「はぁぁ……っ」
胸の丸みをゆっくりと撫でる。
先端にはまだ触れない。
ただ周りを、焦らすように、円を描くように。
「んん……」
怜華の声が、どこかもどかしさを帯び始める。
体をくねらせ、胸を突き出すような動きを見せる。
指を少しずつ中心へ近づける。でも、まだ突起には触れない。乳輪の外側をなぞり続ける。
もぞもぞと怜華の腰が、自然に動いてしまう。
「ゆうくん……あのね……」
「ん、何? 怜華さん」
「えっと……。そ、そこじゃ、なくて……」
悠斗は意地悪く、指の動きを止める。
「ん? じゃあ、どこ?」
「……っ」
「言わないとわからないですよ」
怜華は両手で顔を覆い、指の隙間から涙目で悠斗を見つめる。
「うぅ……。胸の……先っぽ……」
「もっとちゃんと言って。正確に」
「……ち、ちく、び……」
怜華の声はほとんど聞き取れなかった。
「ちくび、どうしてほしいの?」
「うぅ……さわって……」
「ねぇ、れいちゃん。大人げなく、って言いましたよね、さっき」
自分でも、めちゃくちゃな要求をしてるよなと悠斗は思う。
だけど、分別と理性が剥ぎ取られれるほど、はずかしめられるほど、快感が引き出される。
そういうタイプの人なんだ、怜華さんは。
自力で脱げないプライドがあるなら、俺が脱がせてやる、と悠斗は思う。
嫌なこととか、世間体とか、恥ずかしさとか。
そういうの、全部忘れて、ただ、気持ち良くなってほしい──
「れいちゃんが一番欲しいところ、はっきり、おねだりして」
「……ゆうくん」
怜華は、ぎゅっと目を瞑った。
「ちく、び……れいかのちくび、つまんで、こねこねして……」
「…………っ!」
「ゆうくんの指で、れいかのちくび、いじめてほしい……お願い……」
(れ、怜華さん……。そこまで……)
怜華のおねだりは、想像を軽く超えてきた。
理性が弾け飛ぶ。悠斗の中で、何かが点火する。
よくできました、なんて余裕をかますことすら忘れ、掠れた声で悠斗は呟く。
「くっ……。了解。怜華さんっ、いくよ……」
桜色の先端を、直接、二本の指で摘まむ。
吸い付くような感触、慎ましやかな表面の下に潜む、しなやかな抵抗。
「ひゃん……っ」
怜華が、甲高く鳴く。
悠斗は執拗に、優しく、何度も何度も、胸の頂点をこね続ける。
指の腹で押し潰すように転がし、軽く引っ張り、フェザータッチですりすりとこする。
「はぁっ……やっ……それ……」
人差し指と中指の腹で押し込むように、上下左右に高速でこねくり回す。
「あ、あ、あっ、あっ、ああっ」
怜華の背中が弓なりに反り、腰が動いてしまう。
右のぽっちに悠斗は顔を寄せ、上下の唇でそっと口に含む。
怜華が声にならない声を上げた。
「……っ」
そのまま、ちゅっと吸い上げる。
「あああ……!!」
怜華の全身が、びくりと大きく震えた。
悠斗は舌の先でころころと転がしながら、上目遣いで怜華の表情を見遣る。
「ああん、ああっ、やっ、きもちいっ、きもちいのっ」
怜華はくねくねと悶えながら、熱に浮かされたように喘ぎ続ける。
「ああ……っ、ちくび、しゅきっ、ああんっ……」
悠斗は激しく攻めながら、内心で驚いていた。
怜華が。あれほど恥ずかしがっていたあの怜華が。
タガが外れたかのように、卑猥な言葉を口走り続けている……
「あっ、こんな、いけないのにっ、あん、ちくび、もっと、くにゅくにゅして、ああっ」
朦朧としながらも、怜華は気づいていた。
これまでの人生で、絶対に口にしなかったような言葉を発していることに。
口に出すことすら憚られていた、胸の先端の名称を。
だけど、止められない。本能に抗えない。
いやらしい言葉を使えば使うほど、気持ち良くなっていってしまう。
(いま、自分の胸が、部下の口に吸われてるなんて……)
(しかもそれに、こんなに感じちゃって……。こんないけないことしちゃって……)
あられもない姿で、はしたない声を上げている。
自覚すればするほど、怜華の体の奥が昂ぶっていく。
舌足らずな口調が罪悪感を増幅させ、それが快感を何倍にも高めていく。
(恋愛なんて関係ないって、ずっと思ってた。私は……仕事で生きていくんだって)
「あっ……んん、だめ……っ、だめなのぉ……っ」
(キスくらいなら、まだ想像できた。だけどその先は……)
(想像もつかない、背徳的な領域だった)
(誰かに胸の先を触られるなんて、人生で〝ありえない〟ことだった。それなのに)
「ああっ……ちくびっ……やっ……こりこりされちゃってる……っ」
だからこそ、そこを弄ばれることで、背徳感が爆発する。
それは、悠斗に抱かれるようになって初めて発動した、怜華の一種の〝こじらせ〟だった。
怜華の複雑な心理に気づき始めた悠斗も、もはや興奮を隠しきれない。
「れいちゃん……ここが、この可愛いぽっちが、怜華さんのスイッチなんだね」
「ゆうくんっ、あんっ……こんなの、だめなのに……あっ……」
「そうだね、怜華さん。こんなエロいカッコで、いけないことしちゃってますね」
「や……っ」
「でもさ、俺の前なら……いくらでもしていいんだよ、いけないこと」
言いながら、こりこりっと捻る。
「あああ……っ!」
「もうさ、鎧とかさ、全部脱いで。きもちくなることだけ考えて」
わざといやらしい指さばきで、先端をいじり回す。
「あっ、だめぇっ」
「大人げないこと、しちゃいましょ。俺と一緒に」
動きをどんどん速めていく。
「ああんっ、ゆうくんっ……あっ、れいかのちくび、ちくびだけでぇっ、こんなっ、ああっ」
怜華の腰が布団の上でくねくねと動き、蜜が伝う太ももを擦り合わせる。声が細く、切なくなる。
小さな先端はすっかり充血して肥大し、悠斗の指に翻弄され続ける。
彼女の昂ぶりに合わせて、悠斗は。
指先にわずかに力を込めた。
「ちくびだけで……イっちゃえ」
「あぁぁぁぁぁんっ……!!」
怜華は胸だけで、絶頂を迎える。
背徳感と快楽の狭間で、完全に溶けていく。
悠斗は何度も責め、怜華は何度も達する。
やがて二人が、疲れ果てて眠り込むまで。
禁断の〝れいちゃんスイッチ〟を責める夜は、終わりそうになかった。
(つづく)
次回、「4話 怜華、してあげたいと思う」
いつもしてもらってばかりの怜華。してあげたいと思ったものの、結局は……!?
独自路線を突っ走ってる自覚があるので、
果たして読む人がいるのか、カテエラじゃないか、正直すごい不安です。
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